マスコミ

2018年6月17日 (日)

『朝日』がこけた日

平和主義者が兵士になって前線に立つ。敵を前にして、動くものがあればすかさず銃を撃つ。それが女であろうが子供であろうが、さきに撃たれたら殺されると思えば正当化される。それを嫌って現場を離れれば、戦場離脱で仲間の兵から撃ち殺されても文句は言えない。

満州事変の前、大手全国紙といえば「朝日」と「毎日」で「読売」は夕刊が無くその下の存在だった。電波は、NHKの前身である社団法人日本放送協会のラジオだけで民放はまだない。

購読料と広告料だけが収入源の新聞は、やや軍部よりの毎日をのぞき、主要紙は、軍部独走反対、軍事費拡大反対、平和優先で、朝日はその先鋒をきっていた。それがある日を境に一変したのが次の社説である。

【社説】

 満州事変勃発の前日、9月17日の大阪朝日新聞社説

吾人は若槻首相に望む。昨今、満蒙問題の論議、漸しく激化せる折柄、軍部の昂奮を善導して意外の脱線行為なからしめ、対支外交に清鮮味を加え、その基礎の上に国際正義に基づく近代的外交の伝導を築き上げんことを。……これが成し遂げられなければ、徒らに退嬰の結果による衰頽か、または猪突主義による顛落か、日本の運命は二者その一つを出でないであろうと確信する。

事変勃発後最初の社説(20日)

曲は彼(中国側)にあり、しかも数百名兵士の一団となっての所業なれば計画的破壊行為とせねばならぬ。断じて許すべきではない。……そもそも満鉄はわが半官半民の経営幹線なりといえども、世界交通路の幹線である。これが破壊を企つものは寸尺の敵といえども容赦はできない。わが守備隊が直ちにこれを排撃手段に出たことは、当然の緊急処置といわねばならぬ。

書き出しに使った比喩が当を得ていろとは言えないが、同社現地取材網の奉天通信局からの第一報は、ドーンという大音響とともにガラス戸が割れ、入浴中だったという同局長からのものである。

それにひきつづき、徹夜で約8時間のあいだに計118通の至急電報を打つという新記録を作った。戦闘が始まっているさなか、取材先は関東軍しかなくそれを追う展開になる。現地の謀略であることを軍中央は知っていたので、不拡大方針であったが、現地軍はとどまることを知らず戦場を拡げていった。

【重役会】

大阪朝日新聞の主張激変について歴史的史料がある。大阪憲兵隊が情報収集して中央に報告していたのである。

大阪朝日新聞は従来、社説その他において、国家財政、経済的立場より常に軍縮論を強調し、まことに編集局長・高橋操、論説委員の調査部長・藤田進一郎、経済部長・和田信夫らは、その色彩最も濃厚なるものとして注目していたが、日支衝突事件の局面展開し、国家重大時なる時に、軍縮に対する態度はしばらくおき、目下の時局に対する方針決定のために十月十二日午後一時より、同夜八時まで重役会議を開催した。

(中略)主なる各部長らが集合して協議の結果、大阪朝日新聞は今後の方針として、軍備の縮小を強調するは従来のごとくなるものの、国家重大時にあたり、日本国民として軍部を支持し、国論の統一をはかるのは当然の事にして、現在の軍部、軍事行動に対しては絶対批難、批判を下さず極力これを支持すべきことを決定。

もちろん「外務省のように軍部に追随するのか」などといった厳しい質問もあり、整理部など不満がおさまらなかったが部員の半数を入れ替えるなど、強硬手段もとった。なぜ論説陣を含む重役会でこのように決定をしたのか。

裏にあったのは、朝日・毎日の激しい部数競争である。戦争報道で読者数が爆発的に増える。各社は競って特派員数を増やし飛行機や電送機カメラなど器財を投入する。特ダネ、速報は号外として飛ぶように売れる。

今の号外は、駅頭などで無料で配っているが、昔は若者が腰に鈴をつけ「号外・号外」と叫びながら町中を走る。家の中にいてもそれを聞けば飛び出して買ったものだ。続報は夕刊、朝刊でということになるのだ。

重役会の結論を招いたのは『朝日新聞社史』によると、事変直後に右翼の総本山・黒竜会から幹部への面会要求があり、調査部長が面会したが、社の姿勢に恫喝、脅迫があったとされる。黒竜会はかつて村山社長を襲撃するという事件を起こしており、それを警戒したのだという見方もある。

当時から編集局長、主筆などを歴任していた緒方竹虎は、事変勃発について戦後、「今から考えてみて、中央の大新聞が一緒にはっきり話し合いが出来て、こういう軍の政治関与を抑えるということを満州事変の少し前から考えもし、手をつけておればできたのじゃないかということを考える」といっており、「右翼」というのはやや短絡的だ。

【鶏と卵】

戦争や軍部に批判的と思われる記事を書くと、黒竜会の影響下にある組織や軍部・在郷軍人会と言ったところから不買運動を仕掛けられる。現に読者が数万部も減り他社を利するといった事態もこの前後に発生している。

新聞にはオピニオンリーダーという大切な任務がある。その一方で読者の支持を受けないと成り立たない一面がある。鶏が先か卵が先かの矛盾にさらされ、卵を選んでしまったということになりそうだ。

このような事態が今、起きる可能性があるか。

ここまで、諸データを中心に、前坂俊之『太平洋戦争と新聞』講談社学術文庫、を参考にさせていただいた。その中には「大朝、大毎両社の時局に対する態度決定に関する件」(憲高秘第658号)などというものも含まれる。

戦後の焚書にも逃れよく残ったものだ。公文書秘匿、破棄、改ざんや「忖度」ばやりの現在より80数年前の方がはるかに進んでいる。これが残っているから歴史の検証が可能で多くの教訓を得ることが出来る。

「マスコミのこける日」が身近に迫っている。これを防ぐためには情報の受け手にも大きな責任があることを自覚しなければならない、というのが前掲書の読後感である。

 

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2018年6月 9日 (土)

置いてけぼり、置いてきぼり?

安倍内閣の北朝鮮政策である。当塾では過去3回、「置いてぼり」と書いている。ところが今朝の新聞には「置いてぼり」とあった。見出しは「……置き去り」である。

「さて、間違いかな」と心配になり『広辞苑』を開いた。

おいてき・ぼり[置いてきぼり]「おいてけぼり」2に同じ」

おいてけ・ぼり[置いてけぼり]①魚がよく釣れるが、帰りしなに、どこからともなく「置いて置いてけ」という声が聞こえるという伝えのある場所。江戸の本所で七不思議の一に数えられている錦糸堀が有名。②他の者を見捨てて去ること、置き去りにすること、おいてきぼり。

どうやら、本塾の方が語源から見てより正しそう。安倍首相がそうなるかどうかは、多分来週中にわかる。もしそうなったら、錦糸堀は観光名所として一躍有名になるかも。←不謹慎(^^)

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2018年6月 1日 (金)

早いほどいい安部おろし

森友問題の財務省による文書改ざんについて、大阪地検の不起訴処分が決定した。これについては、1月15日に「森友問題と司法」で、最高裁に見られるような「司法消極主義」が働き、不起訴になるのではないかと書いた。

当たってしまったが、報道によると法律専門家の中にも民意から離れすぎたこの決定に疑問を向けている人がいるようだ。

今日の大手各紙は、この件で一斉に社説を掲げている。加計問題で柳瀬元首相秘書官の国会招致で発言のあった翌日の5月11日付各紙社説と同様、今回も政府や当局にとつて厳しい内容で揃った。以下、今日付け社説のタイトルである。

■朝日
佐川氏不起訴 これで決着とはならぬ
■読売
森友捜査不起訴 財務省は国民の信頼を損ねた
■毎日
森友文書改ざんで不起訴 国民を欺いた罪は消えぬ
■産経
佐川氏を不起訴 改めて信頼の回復を図れ
■東京
佐川氏不起訴これで終わりではない
■日経
なし

加計学園の場合がそうであったように、こういった社説は、世論調査の内閣支持率に直接影響しないにしても、個別の問題の批判回答が70%を越えるという現象を先取りしたものとなる。この不起訴問題も検察審査会の付議を受け、恐らく強制起訴ということになるだろう。しかし、多くの例がそうであったように、無罪判決になってしまう可能性は払拭できない。

ただ、これまでの交通事故とか殺人事件とか電車暴走事件などとは根本的に違う。行政・立法・司法の3権が、国民の多数意見や気持ちの前に立ちはだかり、民主主義の根幹を問われるようなケースだということである。

政府は、依然としてこの問題を矮小化し、安部一強維持の時間稼ぎをすればいいという姿勢である。それを許しておく危険性は、過去の歴史をひもとくまでもない。あらゆる手を使って安部を引きずりおろすしかないのだ。

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2018年5月11日 (金)

政府のウソと各紙の社説

  昨日の柳瀬元秘書官の国会招致は、国民の関心事であるだけに、産経を除く主要各紙が一斉に社説を掲げた。各紙の見出しはこうだ。

 毎日 柳瀬元秘書官の国会招致「首相案件」の心証強めた
朝日 柳瀬氏招致「加計優遇」は明らかだ
日経 特区活用の公正さが疑われかねない
東京 柳瀬氏と「加計」「特別扱い」拭い切れぬ
読売 柳瀬氏答弁 国会軽視の姿勢が混乱招いた

本塾は、「政府のいうウソは、国民のだれしもが見抜いている」という書き方をしているが、マスコミがそれを裏付けるようになった。

関心があったのは、最大部数を誇り、日常、国民の目線からはずれないという趣旨なのか、政府寄り記事が多い読売である。柳瀬発言をどう評価するかに注目していた。 

以下を見ていただきたい。基本的には、他紙と変わらない論調になっている。政府・野党ともに、のんきなことは言っていられない事態が目前に迫っているのだ。

不誠実な対応が国会の混乱を招き、政府に対する信頼を損ねたと言わざるを得まい。安倍首相には、一層の説明責任が求められよう。

学校法人「加計学園」を巡る問題で、元首相秘書官の柳瀬唯夫氏に対する参考人質疑が衆参両院で行われた。学園の運営する岡山理科大獣医学部は、国家戦略特区制度を活用し、今春、愛媛県今治市に開学している。

柳瀬氏は2015年に学園関係者と3回、面会していたと明らかにした。市職員に「会った記憶はない」とした昨年の答弁については「随行者の中にいたかもしれない」と述べ、軌道修正した。

学園関係者との会談の事実を伏せたまま、市職員との面会だけを否定する姿勢は、理解し難い。国会軽視も甚だしい。

首相は、長年の友人である学園理事長に対し、学部開設の便宜を図った疑いが指摘されている。

野党の追及を受ける首相を慮おもんぱかり、柳瀬氏が事実を隠そうとしたとみなされてもやむを得ない。

首相官邸が事実を早期に確認し、説明していれば、事態を複雑化させずに済んだのではないか。対応をおざなりにした結果、政府への不信感を招き、問題を長引かせてしまったと言えよう。

愛媛県職員が作成した面会の記録文書には、柳瀬氏の「本件は首相案件」との発言がある。 柳瀬氏は質疑で「獣医学部の解禁は、首相が早急に検討すると述べている案件、と紹介した」と説明し、個別事業を指しているわけではないと強調した。

首相の主導で大胆な規制緩和を図る国家戦略特区の趣旨を指摘したものと受け取れる。特区を突破口に、長年認められてこなかった獣医学部の新設が実現した。

事業者の認定を巡って首相の関与が疑われれば、国家戦略特区制度の根幹が揺らぎかねない。

特区の指定から開学に至る過程で、首相の指示などの具体的な証拠は見つかっていない。柳瀬氏の答弁を踏まえ、首相は改めて獣医学部新設に関する事実関係を説明せねばなるまい。

政府は特区のプロセスの透明性を向上させる必要もある。(以下略)

 

 

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2018年4月 1日 (日)

森友問題と司法

森友関連証人喚問を山場に、週を越すとマスコミ攻勢は政府自民のねらい通り低調になった。佐川証人が50回以上も連発した「刑事訴追」云々の証言拒否、庶民は「次は司法が真相を突く」と思ってしまう。

ところが、その道の専門家、やめ検などが流す「見解」は、法がこれを明らかにするにはいろいろな難問があり、また結論を出すのに長期間を要するだけでなく、庶民の求めるような明快なものにならない、と水を差している。

日本国憲法は、行政・立法・司法の三権分立をうたっており、それぞれ独立した権能を有している。最高裁は法律に対しても違憲判決を下すことができる。

ところが「司法消極主義」というのがあって、政府や国会によるきわめて政治的な結論には、三権分立を尊重する立場からあえて踏み込まず、判断を回避するという傾向が目立つようになってきた。

昔からそうだったわけではない。戦前でも天皇の司法、天皇の官僚という矜持があり、○○一強になびいて「忖度」するとは限らなかった。名判決、名演説と称されるものも数多く残されている。

三権分立というのは、他の権力を忖度することではない。むしろ逆の立場に立った機能が求められるのではないか。司法がとるべき姿勢は「忖度」ではなく、庶民の声を汲んだ「毅然」さが期待されているのだ。それを実現させるためには国民の「声」を大きくするしかないようだ。

 

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2018年3月30日 (金)

麻生財務相のレベル

麻生財務相は29日の参院財政金融委員会で、学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書改ざん問題に関連し、「森友の方が、TPP(環太平洋経済連携協定)11より重大だと考えているのが、日本の新聞のレベルか」と述べ、報道に対する不満を示した。(中略)

麻生氏は、今月8日に行われた米国を除く11か国によるTPPの署名式について、「茂木大臣が0泊4日でペルー往復していたが、日本の新聞には一行も載っていなかった」とも批判した。しかし、読売新聞をはじめ、主要各紙は署名式を大きく報じており、事実とは異なる。署名式の開催地もペルーではなく、チリの首都サンティアゴだった。(読売・電子版3/29)

大臣、ご心配なく。日本国民の新聞離れ、活字離れが著しくそんなに影響はありません。それよりテレビの方がNHKを含め、森友学園関連番組の視聴率が飛び抜けているようです。

だが、ペルー?の調印式の映像、塾頭は一度も目にしませんでした。

 

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2017年11月25日 (土)

ISに勝ったのはロシア

「対話会議」ソチで、露提案 トルコ、イラン了承

(毎日新聞20171124日 東京朝刊)

 【モスクワ杉尾直哉】ロシアのプーチン大統領は22日、露南部ソチにトルコのエルドアン大統領とイランのロウハニ大統領を招いて会談し、シリア情勢について協議した。過激派組織「イスラム国」(IS)が壊滅間近であることを念頭に、政治プロセスへの移行に向けた「国民対話会議」をソチで開催するというロシアの提案を了承した。タス通信などが伝えた。

 

「国民対話会議」は、アサド政権や反体制派の代表を集め、憲法改正や大統領・議会選など今後の正常化に必要な手続きを決める狙い。プーチン大統領は20日以降、アサド大統領との直接会談や、トランプ米大統領やサウジアラビアのサルマン国王ら中東の主要国首脳との電話協議で「国民対話会議」開催について事前に説明していた。米国が敵視する中東の大国イランと、中東でただ一つの北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるトルコから賛意を得たことで、ロシアは自国主導のシリア和平プロセスに弾みを付けたい考えだ。プーチン氏はこの日の会談で、ロシアが2015年9月から実施してきたシリア空爆などの大規模な軍事作戦が「終わろうとしている」と改めて表明。「政治プロセス」に移行する必要性を訴えた。さらに「シリアの運命はシリア人が決める。現政権支持者と反体制派のどちらも含む」と述べ、アサド大統領を今後の政治プロセスの正当な当事者として位置づける考えを示した。

 

上の記事はイラクに触れていない。シリアの反アサド武装グループをアメリカやサウジなどが支援していたが、ロシアはそれにも勝ったということになる。シリアであろうとイラクであろうと空爆だけでは平和を回復できない。

それには、直接軍を送り込み治安回復する必要がある。この主要な役割をイラン革命軍が果たしたものと見られる。イラクは政府軍をアメリカがバックアップしているが、当初ISに立ち向かうだけの威力が感じられなかった。イラクは人口の面でもシーア派が多いのでイラン軍は入りやすいが、反イランのアメリカやサウジにとっては我慢できないところである。

「国民対話会議」には、クルド族が入っていないが、トルコ、イラン域内にも多く存在する民族のため、独立反対の立場からメンバーから除外していると見られる。イラクは取り残されたままになるが、ロシアが会議に成功すれば、イラクでも少なからぬ影響を受けることになるだろう。

こうしてイランは、シーア派勢力としてペルシャ湾から地中海に面するシリア・レバノンをつなぐことになり、イスラエルは海からの圧力に直面する。対抗するスンニ派は、盟主であるサウジとホメイニ革命以来宿敵とするアメリカが頼りだが、21日付の「王子独裁に世界混乱」で書いたように先が見えなくなった。

トランプの無原則なアメリカ・ファーストが、それに輪を掛けているということも考えていい。日本が相撲取りの喧嘩に気を取られているうちに、歴史の車輪が大きく動いていることを、マスコミはもっと指摘すべきだ。

 

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2017年8月30日 (水)

ミサイル発射と各紙社説

北朝鮮の日本上空越え発射に対する8月30日付社説のタイトルは次のようになっている。朝日、読売、日経は圧力強化の方向で、読売が「敵基地攻撃能力保有の検討」に言及、東京は話し合い解決優先だが、トランプだのみで独自の方策が見あたらない。

ミサイル発射 日米韓の結束強化を 朝日
○北ミサイル発射 日本通過は許されない暴挙だ 読売
○列島越えた北朝鮮ミサイル 日本主導で5カ国協議を 毎日
○危険極まる北の挑発に強力な制裁圧力を 日経
○北ミサイル、「善意」は独裁者に通用しない 首相は積極防衛に転換を 産経
北朝鮮ミサイル 日本を実験場にするな 東京

産経は、独自の主戦論だ。専守防衛を捨てて「積極防衛」転換を政府に要求、敵基地攻撃能力を導入したうえ敵地攻撃力へと進化させるという右翼好みの勇ましいものだ。

毎日の「日本主導で5カ国協議を」が目新しい。本塾の昨日の提案と同様な趣旨だが、協議の内容にまで踏み込むのは、想像・予測が入るので時期尚早ということだろう。

 

 

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2017年7月 3日 (月)

忖度時代に幕

  都議選結果をどう見るか。大きな変化が目の前に迫っているはずだが、世の中には流れというものがある。その流れが緩慢で気がつかないように自然に変わるのか、急カーブを切るのかはわからない。

 自民 57↓23 -34 惨敗

 公明 22↑23 +1  堅実

共産 17↑19 +2  健闘

民進  7↓5  -2  泡沫

都民フ 6↑55 +49 虚像

  これからどうなるのかの確たる予測は、マスコミでもしかねているようだ。内閣改造とか臨時国会、自民党の総裁選、改憲日程などを淡々と述べるだけで都議選がもたらした流れの変化を予測するものはほとんどない、といっていい。

 前回、都議選で惨敗するようなら、内閣改造は首相の入れ替えが一番。と書いたが、それは、内閣総辞職を意味し、今のままではありそうもない。では、流れはどう変わるのか。すでに流れの変化は出ていた。

 マスコミである。以前はネットウヨの喜びそうな見出しをつけていれば売れていた雑誌系週刊誌が、今は「文春砲」などと言われるようなスクープ合戦が権力に巣くう右派に向けられるようになった。

 読売の御用紙ぶりは相変わらず。加計学園関連文書の存在を明かした元文科省事務次官の発表と、日を合わすように当人のスキャンダル・ゴシップを取り上げたことで、読者からの批判もあったようだ。 

産経も政府系と並び称されることが多かったが、売れる記事であれば発信元の如何を問わず積極的に取り上げるという傾向が強くなり、読売のように都合の悪い記事は避けて通る、という態度はなくなっているように見える。

NHKでも一時噂された政府の牽制にもかかわらず、番組によっては、公正を武器に「エッ」と思うようなことも放映するようになった。これらは、緩やかな流れの変化であろう。

東京・公明党の自民党離や維新の東京進出に関心なし、も傾向のひとつになろう。この先、確実にありそうなことは、役人にとって権力にかげりが出てくれば、人事権も永久不滅のものではないということである。「忖度」も限定的になり、秘密を死守するようなことはなくなるだろう。

フリーハンドを持つということ、それは外交であろうと国家であろうと、また、個人であろうと「一強」よりはるかに強いことを知るべきだ。さきの戦争への過程で、大手マスコミ各社が戦争記事は売れるからという理由に甘んじ、フリーハンドを持たなかったことにもよる。

社会にとって、「忖度」は百害あって一利なしである。

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2017年6月 1日 (木)

首相呼び捨て猛批判

 今朝パソコンでネットに入ったら、表題のようなニュース見出しが目に付いた。産経マークがついている。これだけでは意味が分からないのでクリックしてみた。内容は、

かつて自民党総裁を務めた河野洋平元衆院議長が31日、都内で講演し、安倍晋三首相(党総裁)が9条への自衛隊の存在明記などの憲法改正に意欲を示したことに関し、「安倍という不思議な政権」と呼び捨てにし、「理解のしようもない」と首相を猛批判した

 ということ。

 産経では政権や内閣をいうときどういう敬称を付けるのだろうか不思議になった。当塾では揶揄するとき以外に敬称は付けない。国民が公僕に対して敬称をつける義務はない。まして元国会議長、首相とは同格である。

 どうやら、慰安婦問題で「河野談話」をまとめた同氏に対して、ネットウヨレベルの「河野・国賊」評価を下敷きにしているからだろう。くだらないことでも読売と違って時々スクープを参考にする同紙だが、事実関係の報道より「河野憎し」が先に立つようでは、マスメディアやジャーナリズムに列することができない。

 韓国の慰安婦矛盾撞着にはあきれかえる塾頭だが、ネットウヨやヘイトスピーチ応援団では、これから食っていけなくなることを心配する塾頭だ。

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