反戦塾指定文化財
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前回の記事「不毛なテロとの戦い」の続きです。というより、違う角度から見るため文体を変えた“付録”だと思ってください。前回は、アメリカがイラクから撤兵を進めても、代わりにアフガンへ3万人の増派を決め、さらに、オスロのノーベル賞授賞式で米軍最高指揮官として戦争を合法化したオバマ大統領に対して、「引き時を誤って敗戦の憂き目を見た日本の教訓を教えてあげたらどうか」と言いました。
日本は日露戦争に勝利し、遼東半島や鉄道などロシアが得ていた利権をロシアから奪い取りました。一旦中国に返すべきなのでしょうが、ことわらずにいただいてしまいました。その守備のためといって、日本軍を常駐させたのが1905年です。それから1945までの40年間、一度も引きあげたことがなかったのです。
その歴史は、本塾でも書いてきましたが、ロシアの侵入を防ぎ、五族協和のためといって満州を独立させ、その防衛を日本が受け持ち、さらに北支、蒙古とじわり勢力を拡大、ついには首都南京まで占領して「大東亜共栄圏だあ」とうたい上げました。
中国人は、そういった日本の“善意”を信用せず、反日・抗日運動を高めるばかりです。また、それに火をそそぐような行動が軍部を中心に繰り返されてきたことも事実です。まさに「泥沼」に落ち込んだのです。“正義の国”アメリカなどは、日本に対立する蒋介石支援にまわりました。
日米開戦を避けるため、アメリカは日本に中国からの撤兵を要求しました。東条など陸軍の幹部は、ここまで戦線を拡大し今さら撤兵などできない、戦意が失墜し軍が持たなくなるといったことで反対しました。
そうです。それで開戦、最後は原爆を落とされ日本は負けました。アフガンに米軍が入って早くも9年目です。(沖縄は65年目??、そんなチャチは入れないでください)。とにかく、住民の支持がない戦いは、何年居座っても絶対に勝てません。
アメリカのどなたさんかのように「えらソー」に言ってごめんなさい。アメリカでも立派な教訓があったのでした。南北ベトナムの戦争を「アメリカの戦争」としたのは、ケネディ暗殺後の政権を引き継いだリンドン・B・ジョンソン大統領ですね。
その手はじめが北ベトナムへの空爆でした。なかなか効果が現れないので攻撃を激化、北ベトナム側の死者はアメリカ兵の10倍にのぼるが、なかなか参ったとはいわない。ジョンソンは軍部の求めに応じて増派を続けました。ベトナム戦争最後の決断を下したのは、リチャード・ニクソン大統領でしたね。
戦争は早期に終結させねばならないが敗北も許されない。「名誉ある撤退」を掲げるニクソンとヘンリー・キッシンジャーが選んだ方策は、増派を中止し、北ヴェトナムとの交渉を続ける一方で、圧倒的な軍事力で威圧することであった。(西崎文子『アメリカ外交とは何か』)
そのため北爆や枯葉作戦を徹底し、お隣の国、カンボジアやラオスにまで戦火や破壊が及びました。これはチョット今のパキスタンに似ていません?。結局、南ベトナムの首都サイゴンに突入した北ベトナム軍を見て、アメリカは撤退することになりました。
これは、誰が見ても「敗け」ですよね。だけどお国では、いろいろ屁理屈をつけて「敗北」ではないことになっているようです。オバマさん。屁理屈ならいくらつけてもかまいません。ブッシュ大統領のはじめた「テロとの戦い」から軍隊を引くことです。そうしないと、アメリカの果てしない凋落につながりかねないことを、お節介ですが小プログは心配しているのです。
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日本、そして世界に逆流が吹きまくっている。歓声をもって迎えられたオバマ大統領、選挙で自民党支配の構図をくつがえした日本、いずれも景気回復の足取りは重く、先行きに暗雲がたれ込めている。日本の政治資金疑惑は、検察官対小沢の崖っぷちに立った攻防戦であることがだんだん見えてきた。普天間基地移転に関する政府の混迷ぶりも、国民をいらだたせ、暗い気持にさせている。
一方、アメリカでも国内問題に大きな悩みをかかえているが、外交・軍事面でも行き詰まっているようだ。国内ニュースの影に隠れてあまり大きく取り上げられていない。そういった変化というか潮流をとらえないで、日本の基地問題を云々することは決して両国の将来にプラスにならない。その観点で、直近のニュースの中からすこし拾ってみたい。
イラク 首都バグダッドで26日、警察の科学捜査施設を狙ったとみられる自爆テロが起き、18人が死亡、80人が負傷した。その前日25日は、同地主要ホテルが目標になり、約40人が死亡している。オバマ公約で米軍撤退を進めているが治安は一向に改善していない。テロの対象は、外国人と外国軍の保護のもと成立した政府機関である。
アフガン・パキスタン 米軍3万人増派を目指したものの基本的に治安回復が達成したとはいえない状況だ。むしろ戦線がパキスタンに移り、内戦の様相さえ呈している。対立は、TTP(パキスタン・タリバン運動)&アルカイダ対米国の越境無人機&パキスタン軍である。
TTPは、アフガンで最多の民族パシュトゥン人で、パキスタン国内でも北西部のアフガン国境から南部にかけて同じ民族が住んでいる。また、パキスタン軍は以前からパシュトゥン人を支持し支援してきた。したがって、アメリカの要請でTTPを殲滅させるという政府の方針にはあまり熱心でない。
その戦闘状態の中心が、北西部ワジリスタンから海に面した南部のシンド州まで下りてきたのだ。州都カラチは、同国最大の人口を有し海・陸・空の交通の要衝でパキスタンの玄関口である。また、海に面していないアフガンにとっても、ここを経由して多くの物資が陸送される。
ここに住み着くパシュトゥン人難民は、150万人とも言われ、故郷をうばったのはアメリカだという反米感情が高く、TTPの潜入が容易になっている。この近くで今月8日に警察訓練センターを狙ったと見られる自爆テロが発生し、すくなくとも8人が死んだ。
「インド洋の洋上給油は後方支援だ」などとは言っていられない。中止していてよかった。戦線はもう海岸線まで迫ってきたのだ。また、警察の訓練支援ならいい、などとも言っていられない。アメリカが敵視されているのは、現地人の心を踏みにじる暴力装置・軍の存在である。
日本軍が中国に派遣され、それがいかに日本の善意によるものだとしても理解を得られず日本の敗戦につながった。その教訓をアメリカに伝えることは、決して反米的ではない。日米の指導者は今こそ、冷静・果断に局面の展開をはかるべきだが、その道は遠いというのが現実だろうか。
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アメリカのオバマ大統領は、テキサス州の陸軍基地で起きた銃の乱射事件の追悼式に出席するため、日本訪問を13日に変更したいと日本側に伝えているようだ。米兵の犠牲者が出るたびに大統領が追悼式に出席すると、外遊などしている暇がなくなる。
しかし今回の事件が、オバマにとってよほど深刻な事態であることを物語っている。アフガンに増派をするのか取りやめるのか、日々伝えられる現地情勢に好転の兆しはなく、このままではベトナム以上の泥沼化が避けられなくなる。
増派中止、さらに撤兵ということになると国内の右派から猛反発を受け、政権に回復不能の打撃になることもあり得る。また、犯人がイスラム教徒であったことなどを考え合わせ、この際どんな障害があっても犠牲者に最大限の弔意を払うこと以外に彼の選択肢がない。
この事件はもう一つの大きな問題をアメリカ社会に投げかけている。それは、毎日新聞(11/6)が伝える次のような事実である。
イラクやアフガンでの戦争では、PTSD(心的外傷後ストレス障害)や、爆弾攻撃により脳細胞が破壊される外傷性脳損傷(TBI)を患う兵士が急増した。オバマ政権は今春、対テロ戦争を「象徴する負傷」と位置づけ、最終的にいずれかを発症する兵士が30万人前後にのぼると推計し、治療体制を拡充すると表明した。
しかし、現場では、軍での経歴に障害となったり、除隊を迫られることを恐れて、精神的な治療を敬遠するケースが目立つ。米精神医学会が昨春、約350人の帰還兵らを対象に行った調査によると、約半数が不眠やうつ症状を訴えたが、治療を受けた人は約1割だけ。治療を受けなかった人の多くは、目に見えない症状のため治療を求めても適切な診断が得られにくく「(兵士としての)経歴に悪影響を及ぼす恐れがあるから」と答えた。
こうした状況を受けて、米陸軍副参謀長のピーター・シラリー大将は今月5日、陸軍の年次総会で「従軍を逃げようとする弱い兵士の訴えではない」と指摘。偏見をなくし、迅速な対応をするよう求めた。
犯人は、同基地の精神科医を務める少佐で、帰還兵患者のカウンセリングなどの任務を持っていた。その彼自身がアフガンなどに配属される予定があったとか露骨な差別発言に悩んでいたとかで、神経症に罹患していた可能性があるという。
上記のように米軍で治療を受ける患者はわずか1割に過ぎない。他の負傷と違って表に出したくないという心理が働くからだ。日本でもさきの戦争で多くの戦争神経症患者が出たはずだが、「皇軍兵士にはそのような弱兵はない」という建前があったため、重症者は監禁に近い状態で精神病棟に入れられていたようだ。
戦後60年たって、引取先のない「戦傷病者特別援護法」等による入院精神障害者は全国で84人(平均年齢80代半ば)も残っている。つまり、負傷といっても癒えることのない悲惨な状況におかれる患者が、今後アメリカで激増する可能性を否定できない。
太平洋戦争、朝鮮戦争、ベトナム戦争をそれぞれ比較すると、米軍の死者は劇的に減っている。しかし、死者と傷者の割合では傷者が増え続け、発見の遅れている潜在患者まで入れると、最近の状況はまさに破滅的といってもいいのではないか。(以上については、下記の関連記事を参照して下さい)
アメリカは「テロとの戦い」を大転換するべき時期にさしかかっている。オバマは果たしてその勇気ある決断をする勇気(同時にアメリカ人の勇気でもある)があるのか。鳩山首相は、近く会う大統領に「同盟国としてアメリカの方針を支持します」とオウム返しでいうだけでは、せっかくの政権交代の意味がなくなる。
首相はオウムではなくハトである。「米軍撤退のために必要な協力は惜しみません、そのためにはかけはしにもなりましょう」と増派撤回を進言することだ。それが真の同盟国への友愛精神だと思うのだが……。オバマも鳩山も正念場である。
参考エントリー
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_eda8.html
帰還兵の殺人
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-190f.html
アメリカの兵士3
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-a4fb.html
アメリカの兵士2
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-0bd4.html
アメリカの兵士1
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28日、カブールで国連施設が武装集団に襲われ12人が死亡した。イラクではそのようなことがあったがアフガンでは初めてだ。他国の指図による大統領選を妨害するためだ。パキスタンでは同じ日、ペシャワルで爆弾テロ、市民ら91人が死亡200人以上が負傷した。これはTTP攻撃に対する反撃か。もはや、際限がないといっていい。
あえて“俗論”を言おう。「アメリカもNATOも国連もアフガン問題から手を引け!」、これしかない。軍の撤収で一時的に混乱は増すかもしれない。しかし、アフガンですでに国土の8割以上を掌握しているタリバンが全権をにぎり、パキスタンでは軍政が力を得るだろう。そうすればすくなくとも今より治安は回復する。そうして、両国とも国際社会への復帰を急ぐことになるだろう。
カルザイは逮捕処刑され、宗教指導者オマルが地下から現れ復権するかも知れない。しかしビンラディンは公然と姿を現すことはないだろう。アフガンにいない限り「客人」としてもてなす必要がないからだ。パキスタンも外国から潜入したテロ要員を、倒産の危機にある国家予算を割いてまで面倒を見る余裕などない。かつてのようにサウジから秘密資金が流れる可能性が低いとなれば、いずれ厄介払いするしかない。
以上は素人の想像の域を越えるものではない。問題はアメリカのオバマだ。敗戦を決めた大統領として「腰抜け」「売国奴」というネオコンの罵倒にさらされることになる。しかし、ギリギリ今なら間に合う。世論ではアフガン増派に反対する国民がわずかながら多いのだ。
ブッシュから始まった戦争優先体質をチェンジし、アメリカに最後の勝利をもたらす、と得意な弁舌で反撃することだ。このままずるずる先延ばしすると、ソ連崩壊の二の舞となるかノーベル賞が吹っ飛ぶこと必定である。日本も人道支援援助など姑息な対策は一旦白紙に戻し、外国部隊撤退を先行させる道筋をつけるべきだ。
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アフガニスタンの大統領選挙の決選投票が10日あと、11月7日に行われる。アメリカをはじめ関係各国は問題解決への第一歩としてこの選挙を注目している。そもそもこの決選投票は、さきの大統領選に大量の不正があったとされ、再調査の結果カルザイ現大統領の得票が過半数に達していなかったこと判明し、実施されるものである。
全国の8割を支配しているといわれるタリバンの中でも、強硬派は前回同様選挙不参加を呼びかけるだろう。アフガニスタンの人は、今度もアメリカの傀儡政権を作るための選挙だからというより、こうして選ばれる政治家たちを全く信用していないからであろう。
世俗の政治家は、権勢欲、汚職、腐敗がつきもので益より害が多いと思っている。いかに好意からであってもアメリカ式民主主義など迷惑千万なのではないか。それより宗教指導者による政治の方が善政がしかれると信じている人が多そうだ。
人々に敬愛される宗教指導者であれば、それは絶対的になる。アメリカのお尋ね者オマル師が現在どれほど支持を保っているかわからない。しかし彼の指導下にあっ時代はイスラムの戒律には厳格だったが、平和で不正・腐敗もすくなくこんな苦労はしなくてすんだ、と思っているだろう。
宗派が違い事情もことなるが、イスラム国のイランでも同様である。欧米傀儡の王制を倒してホメイニ師を熱狂的に迎えたエネルギーはいまだに生きている。アメリカが不倶戴天の適にしてしまったのはそれからである。欧米式民主主義だけが正義とする考えでは、永久にことは解決しないだろう。
もう一人、宗教指導者をあげよう。チベットのダライ・ラマである。この指導者にも古来続いている政治指導の役割がある。中国共産党独裁の憲法から見れば、絶対受け入れられない思想である。ダライ・ラマは、独立を求めないということで妥協をはかろうとしているが、たとえ地方政府であろうと共産党の組織・仕組みを変えることは許されない。
中国も欧米式民主主義のない国である。しかし、ダライ・ラマがいかにチベット人民の敬愛を受けていたとしても、彼を支援したりノーベル賞を与えたりするのは、欧米式民主主義のダブルスタンダードといわざるを得ない。
さて、最後は戦前の日本。昭和3年に、現行憲法9条の根拠ともなるパリ不戦条約の批准の時の話である。原案に「人民の名において宣言する」とあるのにクレームがついた。「日本国の統治権は天皇にある、したがってこの部分は受け入れがたい」というものだ。
一部議員の本音は「不戦条約など結びたくない」というものだったかも知れないが、結局この文言は日本において適用しないという付帯決議をつけて承認された。ちなみに「人民」という言葉は明治なかば頃までは普通に使われ「People」の訳語にもなっていた。今はすっかり追放され、すべて「国民」になってしまった。
話をもどすと、戦前の天皇はどう見ても宗教指導者的地位にいたのだ。混乱なく戦争を終結させることができたのもその立場があればこそである。そして占領軍も敢えてそれを利用した。それが今の憲法である。したがって、厳密に観察すれば日本は、欧米式民主主義とはやや異質なのものといわざるを得ない。この先、この位置関係はもっと使えるのではないか。
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前々回は「アフガンの動き、急」、続けて「PKO法緩和反対」を前回とりあげた。その中でスーダンへの自衛隊派遣について触れた部分がある。多少とも文化のかかわりあいのあるアフガンとちがって、アフリカのスーダンは日本人にとってなじみが薄い。
しかし、国際貢献や自衛隊というキーワードでいつ国内問題で取り上げられるかわからない。それにそなえ、概略の知識は持っておく必要がある。詳しくは「Wikipedia」という便利な道具があるのでそちらに譲るとして、懸念としては何があるのだろう。
まず、位置からいうと、エジプトを潤すナイル川の上流にあたり、アフリカで一番国土面積が広い。接する国は北にエジプト、時計回りで、北東は紅海にのぞみ、対岸がサウジアラビア。さらに隣にエリトリア、エチオピアと続き、南はケニア、ウガンダ、コンゴ。西に中央アフリカとチャド、最後の北西の隅がリビアである。
地中海沿岸国、アラブ・イスラム国、インド洋接岸国、赤道に近い内陸国、あわせて9カ国に接し、まるでアフリカ北部の「ハブ空港」のようだ。そのせいか、住民は北部がアラブ系イスラム教徒、南部がアフリカ系黒人でキリスト教か土着の原始宗教の信者が混在している。
イギリス、一時はエジプトが植民地にしていたため1国家としての形成が遅れ、他のアフリカ旧植民地同様内乱が多く落ち着かない。現在も、北半分、南半分それに西側を占めるダフールと三つどもえの紛争がある。
北部を「中央政府」がにぎり、南部には「自治政府」がある。南部は11年に独立を問う住民投票が予定されているが、南部内部の部族間抗争と石油資源の多い中部で激しい中央政府との境界争いがある。ダフールは、03年に中央政府に不満を持つ黒人を中心とした住民が武装蜂起し、これまでに政府や民兵の無差別襲撃などで30万人が死亡、250万人の国内避難民がでたという。
同国の背景にはやはり有形・無形の大国の干渉がある。まずアメリカだが、かつてビンラディンが潜伏していたこともあるテロリストの隠れ家だったため、テロ支援国家に指定していた。制裁一本槍だったが、最近は硬軟双方の政策のなかで揺れ動いている。
中国は、石油開発で力を貸し、政府は石油で稼いだ金で中国・ロシアなどから中古の武器を買って、他民族弾圧に使っている。日本も石油を買っているから虐殺に手を貸していることにもなりかねない。国際刑事裁判所(ICC)は、同国のバシル大統領の逮捕状を出したが、国際社会はアフリカ連合をはじめ必ずしも足並みが揃っていない。
このような中で、日本は軽率な行動に出るべきではない。やはり、国連などを通じて、紛争国への武器輸出禁止を徹底することとか、力に頼らない内戦状態終結のため、何ができるかを模索する以上のことはできないのではないか。世界の警察官の警察犬役はおことわりだ。
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アフガンというよりパキスタンというべきか。とにかく地下でマグマが動き始めているような気がする。その理由を挙げる前に、わかりにくいアフガン・パキスタン問題を整理しておこう。
・タリバン 米軍が攻め込む前までアフガン政権を支配していたイスラム至上主義の勢力で、ソ連が侵攻してきた時には、アメリカの援助も得てこれを撃退した。サウジ人であるビンラディンと義勇軍アルカイダも、これに参加した。しかし、9.11テロの首謀者とされるビンラディンをタリバンの宗教指導者・オマルがかくまったことからアメリカとの戦争になった。
タリバンと称される勢力は、強硬派から穏健派まで極めて多様で、カルザイ大統領は来月大統領選の決戦投票を迎えるが、すでにアフガンで8割近くの地域を支配下に置いているというタリバンとの話し合い路線は動かないだろう。
・TTP(パキスタン・タリバン運動) もともとタリバン育ての親は、パキスタンである。ヒンズー教国・インドと境を接するカシミールで厳しく対立する同国にとって、バックを支える強力なイスラム政権が必要だった。
アフガン内でも過激派タリバンが存在し、依然自爆テロなどによる治安悪化が続いているが、犯行はパキスタン北西部を基地とするTTPとの疑いが持たれている。もちろん、カルザイ政権打倒をめざす他の勢力かも知れないが、ビンラディンとオマルはすでにアフガンから逃れ、パキスタン北西部にいるとされる。
・パキスタン北西部 アフガンで最大人口を擁するパシュトン人が多い国境地域であるが、ペシャーワルに州都を置く「北西部辺境州」と、北西部の南端に位置する「連邦直轄部族地域」ワジリスタンに分かれていること知っておくべきだ。そうでないと、新聞を見ていても混乱を起こす。法体系をはじめ、ほとんど国の統治権が及んでいないのが「直轄」と名を付けた後者の方なのだ。
つまり、「パキスタン北西部の南ワジリスタンにパキスタン軍が猛攻を加え、住民が続々と直轄地域から北西部に避難している」などというと、北と南が混在してわけがわからなくなる。オマルや外国人を含む過激派は、TPPが本拠を置く南ワジリスタンの3千㍍を超える山岳部にいるとされている。
さて前置きはこれぐらいにしておいて、いま述べたパキスタン軍の猛攻は、17日に開始された。これはパキスタンが01年に米国の「対テロ」同盟国にかじを切って以降、最大の軍事作戦である。同軍部はこれまで同盟関係にあったタリバンと対敵することには至って消極的であった。
この裏には、アメリカが共同作戦や核兵器の管理という強硬なムチと、膨大な援助というアメで、パキスタン政府に強圧をかけた結果であろう。作戦には3万人以上の兵士が配置されるというが、冬は雪に閉ざされ短期決戦は無理である。
続けて奇妙なニュースがある(毎日新聞、10/20)。
【カブール栗田慎一】パキスタンの有力英字紙「ニューズ」は19日、北西辺境州政府や軍部の情報として、パキスタン軍が反政府武装勢力「パキスタン・タリバン運動」(TTP)との戦闘を続けている部族支配地域のアフガニスタン側国境で、米軍とアフガン軍が設けていた主要な検問所が半数以上も撤去されたと報じた。パキスタンでの共同作戦を求めている米国が、あえてアフガンのタリバン戦闘員の越境を容易にさせたとの見方も出ている。(後略)
これはどういうことか。アフガンにいるタリバンに「パキスタンの本家が危ない」と思わせて、アフガンから自発的に追い払うためかか、パキスタン軍の猛攻を避けてアフガンへの逃げ道をあらかじめ用意、そこで絡め取ろうという「ねずみ取り作戦」か、どちらも考えられる。
以前、このブログのどこかに「米軍増派はパキスタン向けか」と書いたような気がするが、もしそうなら、無人機以外にパキスタンに入れない、まさにマンガチックな米軍の高等作戦ということになるだろう。日本外交の対アフガン政策も心して当たっていただきたいものだ。
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オバマはアフガンで岐路に立っている。国内問題でも国民皆保険や景気回復をめぐり、反対勢力からの猛攻を受けると、70%近くあった支持率も50%に限りなく近づく可能性がある。オバマの公約は、イラクからの撤兵を急ぎ、アフガンへは治安回復優先のため増派するというものだった。
日本では大きな記事になっていないが、ウサマビンラディンが9月か10月になると恒例的に出すとされる「声明」が報道されている。アメリカのいわゆる「テロとの戦い」の本質を突くものであるが、軍事的解決しか頭にない各国からは無視されている。
アフガンに世界一の軍事力をつぎ込み、NATOからも協力を得、さらにCIAという優秀な?諜報機関がありながら、8年経ってもまだビンラディン1人を確保できずに戦い続けている。彼の指揮下にあるアルカイダが敵だという。しかしその正体はつかみきれていない。
また、当初アフガン国内で彼をかばって引き渡さなかったという理由でアフガンに侵攻、その当時の政権タリバンを倒しカルザイ政権を擁立した。だからタリバンも敵だというが、宗教的指導者のオマルもまだどこかで生きており、隠然とした勢力を保っている。
タリバンはアフガン国内でも健在で、《戦闘が止まなければ、「かつてソビエト連邦を崩壊に追い込んだように、あらゆる手段を用いて、あなた方(米国民)に対し消耗戦を続ける」ということになるだろう》という、ビンラディンの警告は真実味を帯びている。
ビンラディンの声明は、米国民に呼びかける形になっている。そして、一般にオバマに対する挑戦のようにとられているが、これまでのブッシュ政策やネオコンの存在と対比して批判する形をとっており、政策の変更こそ解決への道であることを示唆している。
当初の米軍増派の理由とされたアフガンの大統領選挙は終わった。皮肉なことに国内の7、8割を実質支配しているタリバンとの融和を説き、外国軍隊の撤退を主張するカルザイ氏が留任することは、ほぼ確実だ。
アフガンに駐留する外国軍の立場はますます苦境に立つことになる。駐留を続ける理由は、撤退すると治安が悪化するということである。それはあり得るだろう。イラクがまさにそこから抜け出せない。
それでもアメリカはオバマの方針を貫いた。 その分をアフガンに増派、ということになったのは、「アメリカはテロとの戦いに負けた」ということには絶対したくないからだ。アメリカ国民がそれを許さないし、オバマもそれでは選挙に勝てない。 ヨーロッパ諸国もそれは同じだが、現実の厳しさからだんだん撤退論に傾いている。
さて日本だが、選挙に勝った民主党は、「テロの温床を除去するために、アフガニスタンの実態を踏まえた支援策を検討し“貧困の根絶”と“国家の再建”に主体的役割を果たす(3党連立合意)」としている。
「インド洋の給油活動の延長はせず」の代替として、国際治安支援部隊(ISAF)への協力などを安易に持ち出す前に日本にはすることがある。それは、カルザイ政権、タリバン良識派、パキスタンなどと話し合い、アフガン戦争の出口をさぐることである。
オバマの苦境を救い、ECから感謝され、日本が国際社会に外交で存在感をしめすのにはこれしかない。海上給油は別として派兵当事国でなく、過去アフガンに覇権を競った歴史もなく、タリバンと戦ったソ連や国内にイスラムの火種をかかえる中国にはできず、宗教上の確執もない。
平和憲法を堅持し、アメリカと役割分担し対等なパートナーシップを築くことをモットーに政権交代をした日本、今こそ絶好の外交一流国へのチャンスである。外交の継続はブッシュ・小泉体制をだらだらと続けることではない。重ねていう。「アフガン戦争の出口を作ること」、民生支援はそのあとでいい。
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オバマの話し合い和平路線をよそに、アフガンには治安部隊を倍増させる計画がある(文末引用参照)。イギリスも、犠牲者急増と裏腹に増派の方向で、世論はこれに賛成しているという。なぜ、そういうことになるのだろう。
来月行われる選挙を前に治安回復をはかるというが、それは当面の口実で、選挙後に撤兵ができることを保証していない。というのは、米英にとってまだ「敵」に勝っていないからだ。ブッシュのはじめたイラク戦争で撤兵を決めたのは、アフガンにその分をまわすという前提つきだった。
そうしないと、「敵」を打ちのめすこともできない「腰抜け」、「卑怯者」ということになるのだ。大統領もそういったアメリカ人の好みに反する行動はとれない。もう一つ、テロ被害者意識と、従軍して戦死した人の遺族、さらには命がけで戦った退役・在郷軍人などの存在だ。
後半の部分は、米英に限らない。そういった人たちの無念は晴らせない、犬死にだったのかというという声と、「愛国者」とか「売国奴」などという殺し文句が乱れ飛ぶ。しかし相手方にもそれと同じかそれ以上の論理があることを忘れてはならない。
日本の太平洋戦争開戦直前、アメリカから日本軍の中国撤退を含む条件をハル・ノートで突きつけられ、東条が「日本陸軍全体の士気にかかわる、そのようなことができるか」と一蹴し、開戦を決定的にしてしまったことを思い出せばいい。撤退はそれほど難しいことなのだ。
さて、それでは誰を敵(相手)にして戦っているのだろう。最初は、9.11やロンドンのテロの首謀者であり資金源であるとされるウサマビンラディンと、彼の元にあるテロリスト養成学校と世界的なテロ組織であるアルカイダだったはずだ。
タリバン勢力は、それをかくまった当時のアフガン政権だったが、身柄を引き渡せというアメリカの圧力に悩んだ末、宗教指導者オマルの判断で、ムスリムの戒律「客人は優遇する」に従って拒否した。これが自衛権をおかすという理由づけで、アメリカに軍事行使をうながすことになった。
戦闘は瞬く間に終わり、タリバンのかわりに亡命先からカルザイを帰国させ傀儡政権を作った。米軍と有志国軍がアフガン山岳地帯などしらみつぶしにウサマビンラディンとオマルを探したがでてこなかった。もうアフガン国内にはいないと見るべきだ。
国境を越えたパキスタン側にいるとされているが、パキスタンはアメリカの同盟国で勝手に軍隊を越境させることができない。そこで無人機などを飛ばして隠れ家らしいところを爆撃しているが、効果がなく、多くの民間人を犠牲にしている。
いまやパキスタンの反米感情は、アフガン以上になろうとしている。そのアフガンでは、タリバンがじわりと復活し、全国の7割がたを支配しているという。敵対していたカルザイでさえ、彼らと妥協をはかるしか安定は得られないと考えるようになっており、米軍の中にもそれを肯定する意見がある。
アメリカにとって、「敵をかくまった者は敵」で、タリバンもテロリストも一緒にして区別していないかのようだ。たしかに彼らの中にはテロに走る者もいるだろう。しかし、タリバンの標的は戦争の相手である占領軍とその支援者で、世界や民衆を敵にしているわけではない。
米英がいう、治安悪化とはそのことを言うのであって、タリバンが民衆の支持を受けている限り、外国軍隊に対するレジスタンスは尽きそうにない。結局ベトナム化が避けられないということになる。ソ連は、1989年に軍隊を撤退させるまでの10年間で1万5000人の犠牲者をだした。当時の司令官は、「アメリカはこの教訓に学ぶべきだ」といっている(共同通信)。
イラクでもブッシュは盛んに治安維持を言い続けた。そしてバグダッドなどの治安回復を自らの手柄にした。米国内にはそれでも引き揚げを不安視する向きが多かったが、オバマは公約を実現しようとしている。
治安維持は、一義的に占領軍がするものでなく当該国にゆだねるべきものだ。異教徒である占領軍では、一時的に押さえつけても根本的解決にはならない。イラクも今後いかなる内紛が起きようと、それは自国の責任で解決すべきで、他国の軍事介入がいかに長期にわたり禍根を残すか、歴史が証明している。
仮にアフガンで治安が回復したとしても、アメリカは「敵」に勝ったことにならない。するとこんどは、パキスタンを「敵」に軍隊を移動させなくてはならなくなるだろう。戦いの敵を見失った悲劇的運命がそこに待ち構えている。
わが愛するオバマさん。アフガン増派よりもっと先にやることがあるでしょう。役に立たない日本政府のかわりに当塾から忠言します。
【ワシントン大治朋子】ホルブルック米特別代表(アフガニスタン・パキスタン担当)は29日に会見し、治安の悪化が目立つアフガニスタン情勢について「アフガン軍や警察の増強が必要だ」と指摘、地元の治安部隊の一層の拡充が不可欠との考えを示した。
現在、アフガンの治安部隊は国軍8万5000人、警察5万人の計13万5000人態勢。米メディアによると、アフガン駐留米軍のマクリスタル司令官は治安部隊を最終的に27万人に倍増することも検討している。(毎日新聞 2009年7月31日 東京朝刊)
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