テロとの戦い

2016年6月14日 (火)

米乱射事件と各社社説

 前からそうなのだが、舛添知事のことはせこすぎてあきれ果てて書きようがない。辞任するのかとがどうなるのか、まだ見当がつかない(今入ったュースでは議長の辞職勧告を拒否)。そこでアメリカ・フロリダ州の銃乱射事件に、日本の新聞各社がどう迫っているかを見ることにした。

 14日は、日本の主要6社全部が社説に取り上げている。珍しいことだ。しかし、言っていることは、テロは許せない、銃規制すべきだという線を大きくはみ出さず、アメリカの病弊や解決策に大きく踏み込んだものはない。

 知られているように、オバマ大統領念願の銃規制思考と、銃依存社会や闘わないものを弱腰とする開拓時代以来の価値観を捨てない、主に共和党中心とする保守層の対立がある。トランプ氏が大統領候補として、排他的主張を繰り返すとこの傾向は、日本の世論とかけ離れたものとなる可能性がある。

 「世界の警察官」を早く降りたいアメリカだが、こういった葛藤は建国以来続いており、世界の模範とするにはまだまだ問題含みであることを忘れてはならない。そういった前提のもとで各社の社説を比べてみる。

 まず、朝日新聞だが、「許せぬヘイトの凶行」と題し、オバマ大統領の非難「テロであり、ヘイト行為だ」としたのを受けて「戒めるべきは、犯罪とイスラム教徒を短絡的に結び付けることだ。それは違う意味でのヘイト行為を誘発しかねない」としている。

 なにか言葉遊びをしているようで他人行儀の感を免れ得ない。最後の結論は、

痛ましい事件を繰り返す米国社会のひずみは何か。米政界は超党派で、銃規制のあり方とともに冷静に考えるべきだ。

とあり、読売の

11月の大統領・議会選に向け、テロ対策や、イスラム過激主義への対応、具体的な銃規制策などを冷静に議論せねばなるまい。

と、ほとんど変わらない。ただ、当局のテロ関連捜査が数回あったのに、事前回避できなかったことへの検証が必要、と治安対策強化をにおわせているのが読売らしい。

 次に毎日が「銃規制こそ世界の声だ」というテーマにしている。しかし「対テロで国際的連携を求める米国が、国内ではテロの手段となる銃を規制しない。その矛盾に早く気付いてほしいと世界は願っているはずだ。」という、これも他人ごと扱いだ。

 これに対して産経も「異常な社会としか言えぬ」と題し、同様な論旨を掲げるが、こっちの方がアメリカに対してはっきり要求を出している。「国際社会共通の敵として、テロの根絶に向けた戦いを強化すべきである」とする一方で、銃規制に関して「自由と民主主義を掲げる国のリーダーである米国での論戦を、世界は注目している。憲法が時代に合わなければ、これをためらう必要はない。」と力強い。

 日経は「寛容な社会はテロを防ぐ」である。

イスラム教徒でも過激派はごく少数だ。宗教対立をあおれば、社会への疎外感から報復へと走るテロリスト予備軍はかえって増えるだろう。

 被害者が性的少数者(LGBT)だったことを考慮しても、人種、宗教、思想信条、性的志向などにおいて多様性を認める寛容な社会づくりこそが重要だ。恐怖で世界を支配しようとすることがいかに不毛であるかを時間をかけて説く以外に道はない。

 これが塾頭の考えに最も近いが、日本として「好戦国」といわれるアメリカをどう説得するか、またその考えを波及するためどうすれはいいか、結論の「わたしたちに何ができるのか一緒に考えたい」だけでははなく、もっと踏み込んでもらいたかった。

 アメリカの銃社会堅持に、東京新聞の「今は時代が違う」では、冷たすぎる。

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2016年3月20日 (日)

二元論・反知性は世界的

 「へえー、知らなかった」ではすまされない。
 昨年12月12日、「トランプ現象と反知性」という題で、日本語だと思っていた「反知性」という言葉が、アメリカ生まれで Anti-intellectual からからきていることを知ったと書いた。

 さらに、イタリア・国際研究センター、アンドレア・マルジェレッティ所長という人が毎日新聞(3/20)で

 欧米では長年、「常に自分たちが正しく、相手が悪い」わけではないにもかかわらず、善悪のイデオロギーがもてはやされ、(理念より現実の力関係や利害を重んじる)リアルポリティクスが軽視されてきた。その間違いを繰り返さないのが人類の知恵だ。

と、ISやイランの動静を論ずる中で書いている。当塾ではここ3度にわたり、「敵」を作る政治関連の記述をしているが、この善悪二元論も、相当前から世界の潮流として定着していたのだ。

 最初は、スマホなどの普及で情報過多になり、人類から「思索」が奪われているせいかとも思った。しかし、安倍首相をはじめ、テレビ全盛時代の人にして既にそうなのだ。塾頭が時代遅れなのか。でなければ「人類の知恵」をとりもどすため、今、何をすべきか。これを喫緊の世界的課題にしなければならない。

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2015年11月20日 (金)

テロの根源に変化

 前々回の「ISはニセ・イスラムか」で、フランスを襲ったテロ事件は、ウサマビンラディンの主導したアルカイダと同列に置いたり、パレスチナ問題から生ずる抗争などと混同してはならないと書いた。実は、塾頭はこの時点で、ブッシュ前アメリカ大統領がいう「テロとの戦い」を分けて考える必要を感じたのである。

 以前から書いているように、塾頭は行ったことはないが、中東やイスラム教に関して何十年も前から関心を持っている。ホメイニ革命のあったイラン、石油鉱脈が関連したイラク・クエート、ウサマビンラディンを匿ったアフガニスタンなどなど。

 そのいずれもアメリカがかかわっている。フランス、イギリス、ロシア(ソ連)は、この地域を支配していたイスラムを国教とするオスマン帝国を追い出してから、勝手に国境を決めたり植民地にしたりした。しだがって、今日の混乱の根源を作った責任はあるのだが、アメリカは関係がない。

 第2次大戦末期、イギリスがそれまで国をもたなかったユダヤ人に、パレスチナで国を作ってもいいよ、と約束、金持ちのユダヤ人を多く抱え.るアメリカが、パレスチナ人の反対を押し切って新興国・イスラエルを強力に支持する立場に立ったのだ。また一方、急速に産油量を上げたサウジなどとの連携を深める。

 アラブ対イスラエルの中東戦争は、1948年から1973年までの間に大規模な戦争が4度も起きている。以上の各国の利害が複雑にからみ、代理戦争の様相を呈する。ここでの詳述はさけるが、アメリカの仲介もありエジプトなどとの妥協が成立する。しかし、第3次中東戦争で勝利したイスラエルは、パレスチナ人が集住する東エルサレムなどを併合、ヨルダン川西岸地区などを占領したままだ。

 こういったことから、パレスチナ人の抵抗運動が起き、アラブ各国をはじめ、イスラム教の聖地を巡る争いもからんで反イスラエル、ひいては反米の機運が高まる。アフガン戦争やイラク戦争などの米軍侵攻や駐留長期化は、アメリカ敵視を根深いものにした。

 その原点が、パレスチナ人のインティファーダ(反イスラエル民衆蜂起で、石を投げるなどの素朴なもの)だ。今、イスラム国(IS)の大規模無差別テロという事態を受けて、この抵抗運動を振り返って見る必要がある。アメリカの「テロとの戦い」を「文明の衝突」と評した人がいるが、今回のフランステロなどに、ISのほうから「十字軍とその協力者」というような表現で、文明の衝突論を出している。

 これは、これまでの抵抗運動ではなく、明らかなIS側からの宣戦布告で、異質なものだといわざるを得ない。20日の毎日新聞「記者の目」で大治朋子記者は、エルサレムから次のようなレポートをしている。

 パレスチナでも日本でも戦争を知らない世代が次第に多数を占めるようになる。新たな抗争のたねが、憎しみ合い殺し合う世界を招こうとしているならば、今のうちその芽を摘むよう全力を尽くさなければならない。世界の政治家にどれほどその覚悟があるのだろうか。

◇2度の民衆蜂起知らぬ世代反乱
 パレスチナ人は87~93年の第1次インティファーダ(反イスラエル民衆蜂起)、2000~05年の第2次インティファーダで抵抗してきたが、武力で制圧された。現在30代以上のパレスチナ人は、当時の挫折感から民衆蜂起に失望したとされる。だが、その挫折を知らない新世代がいま、各地で「一匹オオカミ」の波状攻撃を仕掛けている。

(中略)イスラエル治安当局は、ナイフで向かってくるのが中学生でも射殺をためらわない。若者はそれを承知で、決死の覚悟で臨む。暴力を容認するつもりは毛頭ないが、彼らがそこまで思い詰めている状況に目を向けなければ解決策は見いだせない。「テロリスト」と呼んで殺すだけでは、事態は悪化するばかりだ。

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2015年11月17日 (火)

ISはニセ・イスラムか

 フランスのテロ事件で2回連続の記事を書いた。塾頭は、これまでISの動きに対して、アルカイダなど個人商店的過激派ではなく、国境を意識せずイスラム最盛期再現を狙う異質の存在であると見る。その点でウサマビンラディンの主導したアルカイダと同列に置いたり、パレスチナ問題から生ずる抗争などと混同してはならないと思っていた。

 TVでは、どこの局か確かめなかったが、今はやりの「わかり易い」ニュース解説をしていた。パネルのシールを次々はがして見せるあのやりかたで、「アルカイダとISは仲が悪かったが共闘するようになりました」などとやっている。十字軍と名指しされている欧米諸国ならともかく、日本国内で一把ひとからげでそういった見方が定着しては困るのだ。

 ISの原理主義は徹底したものだ。7世紀、ムハンマドが神の啓示を受けて伝えたコーランに忠実であることを基本とする。ムハンマドの伝道を間違いなく伝えていくと称する「カリフ」4代が続く中で、アラビア半島全部にアフリカ地中海岸、ヨーロッパの一部まで、ジハード(聖戦)によりイスラムのウンマ(共同体)とした。

 地域があまりにも広大になったため、改宗しないキリスト教徒やユダヤ教徒は、一神教の同じ神を信じる者として、税金をとって存在を認めた。したがって、ジハードが裕福と平和をもたらすイスラム全盛時代だったのである。

 その伝統は厳しく受けつがれた。「目には目を」でわかるように法の支配が優先され、生活を支配した。「豚を食べてはいけない」などもその一環である。しかし、地域が広大になればその解釈も柔軟にしなければらない。

 ところが、他の文化・文明・宗教が変化発展する中で、とても通用しないことをISの一部で言い始めたのだ。たとえば、「ムハマンドは奴隷の娘を妻の一員に加えた。だから、捕虜の女を兵士の妻にすることは正しい」などのことである。それが、自称カリフのバグダディーから出た言葉とは到底信じられない。カリフには、神の言葉を時代に沿った解釈で指導しなければならない任務があるはずだ。

 シナイ半島におけるロシア機撃墜にも、犯行声明が出た。イスラム教徒も乗っているかもしれない民間航空機をジハードの対象にするなど、本当のカリフならあり得ないはずだ。しかし、これはISシナイ州という分派から出たものであれば、ISの不統一を示すことになる。

 今回のフランスの無差別テロも、声明でフランス州を名乗っている。フランスにはそういったISが有効支配する地域や集団があるわけがなく、ウソッパチが証明されたようなものだ。状況は、間違いなくIS本体が関与していることを示している。多くの推戴を受け、適正にコーランを解釈運用する信頼されたカリフはいないということだ。

 無差別テロは、多数のムスリムにとって夢を実現する方途ではなく、全く逆を行くものとしか思えない。イスラム国以外に、ムスリムの理想を再現できる本物のカリフは出現する可能性はあるのだろうかか。その答えは、”インシャアッラー”~もしも神がそのようにお望みになれば~と言うしかない。

 インシャアッラーは、ムスリムの日常会話によく出てくる。例えば翌日再会する約束をしても、こういう答えが返ってくる。さきほど「法の支配」と言ったが、日本人の几帳面さからすると、なんともいいかげんで頼りない反応に聞こえる。

 日本人にとってもう一つのこわもての国、中国にも似た慣用語がある。「没法子(メイファーズ)」という。この言葉 は、「すべてを尽くしてもうやることはない。後は天に任せるだけだ」と解釈される。日本でも昔「ケ・セラセラ」という言葉がはやった。

 もとはアメリカ映画の主題曲で、「♪ケセラセラ、なるようになるさ、あとのことなどわからない」というような歌詞であった。スペイン語だというが、その点はあやしい。何が言いたいかというと、どこの国であろうと民族であろうと、庶民は支配者が言う突っ張った融通の利かない気分を好まない、ということだ。

 イスラム統一の夢は尊重されるべきだが、ISのような他人迷惑をものともせずでは、今どき通用しない。ムスリムの殆どはそう思っているはずだ。

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2015年11月15日 (日)

続・パリでテロ

 昨日は、事件第一報の頃からニュースを追っていたのだが、今朝の段階で死者は129人にのぼった。重傷者も沢山いるのでまだ増えるかもしれない。続報で、イスラム国(IS)がネットを使って犯行声明を出し、犯人の一人は難民としてギリシャ経由で入国していた、などのことも伝えた。

 新聞は、組織的な同時多発テロの現場取材を中心に、その残虐ぶり非道性に多くの紙面を費やしている。各国首脳は口をそろえてテロ、そしてISを糾弾し、テロとの戦いを強調する。そしてヨーロッパの右翼は、ここぞとばかり移民・難民の排除を主張する。

 さあ、日本はどうすればいいか。ISは日本に「十字軍に手を貸す者」と位置づけているが、歴史上十字軍であったことはない。マスコミに取り上げられる有力な学者・識者の意見は、キリスト教中心の欧米・ロシアとは別の立場を活かして、宗教対立の第3次世界大戦に拡大させることの無いような筋道を真剣に考えるべきだ、とするものが多い。

 中国も十字軍と関係がないが、日本と違うのは、ウイグル自治区というムスリム居住区をかかえていることである。しかし、ニュース報道では、ISを非難する点で、ロシアと足並みをそろえている。これは、珍しいことではないか。

 つまり、国連安保理常任理事国すべてが同じ認識を持っているということだ。ロシアはISを駆逐したら、ひとまずアサドが国を安定させ、といった思惑を持っていそうだが、そこらの違いは、安保理5大国で協議すれば解決できないことではない。

 それで、信教の自由否定や、奴隷制を肯定するような人権の無視の過激派集団を制圧し、イラク・シリアに平和を取り戻す、という強力な国連決議を出せばいい。日本は、憲法上戦争に参加できないが、自衛隊のPKO参加には道がある。ここで「専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位」を占めればいいのだ。

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2015年11月14日 (土)

パリでテロ、第2の9.11か?

 11/14、午前8時前後に入ったニュース。

パリで発砲や爆発30人死亡 人質数十人か(NHK)
パリで銃撃・爆発・立てこもり、少なくとも40人死亡(JNN)
パリで銃撃相次ぐ 死者60人、百人人質か(NNN)
153人死亡 劇場やサッカー場など(CNN=10:36)

 発砲・爆発はパリ中心にあるレストランとコンサートホールで、現地時間の午後9時ごろ。コンサートホールでは、まだ数十人が人質になっている。

 また、パリ郊外のサッカースタジアムの出入り口付近で相次いで爆発が起きた。オランド大統領も観戦だったが、その後内務省に戻り「、「前例のないテロだ。事件はまだ続いている」とする声明を発表した。

 東京でこんなことが起きたら、と思うと、ゾーッとする。集団的自衛権で対・テロ戦争に参加すれば同じ目に合う。すでにカネは出している。

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2015年3月20日 (金)

フランスの勝手?

  外電はチュニジアのテロ事件に占領されている。結局「アラブの春」は束の間。民主主義成功例はゼロになった。むしろ情勢は悪化の一途をたどっている。大国の介入や武器援助、輸出がなければこんなことにならなかったのに。これもムハンマドに関連するが、朝日新聞デジタルにこんな記事が。 

 フランスの裁判所は18日、パリの連続テロの直後に、対テロの合言葉となった「私はシャルリー」と、スーパーでの立てこもり事件の容疑者の名前をもじって、「おれはシャルリー・クリバリのような気分だ」とフェイスブックに書き込んだ風刺芸人に懲役2カ月(執行猶予付き)の有罪判決を出した。テロ行為の礼賛にあたると認めた。AFP通信などが伝えた。風刺芸人が控訴するかどうかなどの対応は明らかになっていない。(パリ=青田秀樹)

 前回は、一覧性や見逃せない記事の発見などで「新聞」の優位性を書いたのだが、上の記事だけではさっぱり何のことかわからない。フランスでは、マスメディアがムハンマドの風刺画を描いたのは無罪で言論の自由を通したと称賛されるが、個人の風刺芸人のフェイスブックなら懲役2カ月の有罪判決……。

 それはないんじゃないの。言論の自由は個人にこそもたらされなければ。フランスってどうなっているの?――、という疑問がわき上がった。このことの方がニュースではないか。こういった場合に有難いのがネットだ。

 幸いにして、ニュースソースとされたAFPに日本語版がある。«ありました、ありました»。この方は、なんと塾頭が考えた疑問がたっぷり載っている。つまり、フランスの法制の発展過程や慣習法に関係があるということらしい。
http://www.afpbb.com/articles/-/3036945

 そして、イギリスやアメリカなど憲法や基本法の成立過程がそれぞれ全く違い、個性を持っていることなどもくわしく解説してある。――な~るほど。安倍首相などがいう「共通の価値観」などは、そもそも幻想だったのだ。

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2011年1月19日 (水)

反戦塾指定文化財

◆2003年、自衛隊イラク派遣反対デモ用旗指物  1旒。

Dscf3290 「やっていることと」「言っていることと」の小泉首相の二枚舌に、「舌の下が見えないぞ!!」と叫ぶデモ隊を書いた政治漫画が右上に貼ってある。

この先、役に立つようでは困るが、燃やすゴミにするのもまたしのびない。

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2010年1月28日 (木)

懲りないアメリカ

 前回の記事「不毛なテロとの戦い」の続きです。というより、違う角度から見るため文体を変えた“付録”だと思ってください。前回は、アメリカがイラクから撤兵を進めても、代わりにアフガンへ3万人の増派を決め、さらに、オスロのノーベル賞授賞式で米軍最高指揮官として戦争を合法化したオバマ大統領に対して、「引き時を誤って敗戦の憂き目を見た日本の教訓を教えてあげたらどうか」と言いました。

 日本は日露戦争に勝利し、遼東半島や鉄道などロシアが得ていた利権をロシアから奪い取りました。一旦中国に返すべきなのでしょうが、ことわらずにいただいてしまいました。その守備のためといって、日本軍を常駐させたのが1905年です。それから1945までの40年間、一度も引きあげたことがなかったのです。

 その歴史は、本塾でも書いてきましたが、ロシアの侵入を防ぎ、五族協和のためといって満州を独立させ、その防衛を日本が受け持ち、さらに北支、蒙古とじわり勢力を拡大、ついには首都南京まで占領して「大東亜共栄圏だあ」とうたい上げました。

 中国人は、そういった日本の“善意”を信用せず、反日・抗日運動を高めるばかりです。また、それに火をそそぐような行動が軍部を中心に繰り返されてきたことも事実です。まさに「泥沼」に落ち込んだのです。“正義の国”アメリカなどは、日本に対立する蒋介石支援にまわりました。

 日米開戦を避けるため、アメリカは日本に中国からの撤兵を要求しました。東条など陸軍の幹部は、ここまで戦線を拡大し今さら撤兵などできない、戦意が失墜し軍が持たなくなるといったことで反対しました。 

 そうです。それで開戦、最後は原爆を落とされ日本は負けました。アフガンに米軍が入って早くも9年目です。(沖縄は65年目??、そんなチャチは入れないでください)。とにかく、住民の支持がない戦いは、何年居座っても絶対に勝てません。

 アメリカのどなたさんかのように「えらソー」に言ってごめんなさい。アメリカでも立派な教訓があったのでした。南北ベトナムの戦争を「アメリカの戦争」としたのは、ケネディ暗殺後の政権を引き継いだリンドン・B・ジョンソン大統領ですね。

 その手はじめが北ベトナムへの空爆でした。なかなか効果が現れないので攻撃を激化、北ベトナム側の死者はアメリカ兵の10倍にのぼるが、なかなか参ったとはいわない。ジョンソンは軍部の求めに応じて増派を続けました。ベトナム戦争最後の決断を下したのは、リチャード・ニクソン大統領でしたね。

 戦争は早期に終結させねばならないが敗北も許されない。「名誉ある撤退」を掲げるニクソンとヘンリー・キッシンジャーが選んだ方策は、増派を中止し、北ヴェトナムとの交渉を続ける一方で、圧倒的な軍事力で威圧することであった。(西崎文子『アメリカ外交とは何か』)

 そのため北爆や枯葉作戦を徹底し、お隣の国、カンボジアやラオスにまで戦火や破壊が及びました。これはチョット今のパキスタンに似ていません?。結局、南ベトナムの首都サイゴンに突入した北ベトナム軍を見て、アメリカは撤退することになりました。

 これは、誰が見ても「敗け」ですよね。だけどお国では、いろいろ屁理屈をつけて「敗北」ではないことになっているようです。オバマさん。屁理屈ならいくらつけてもかまいません。ブッシュ大統領のはじめた「テロとの戦い」から軍隊を引くことです。そうしないと、アメリカの果てしない凋落につながりかねないことを、お節介ですが小プログは心配しているのです。

  

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2010年1月27日 (水)

不毛なテロとの戦い

 日本、そして世界に逆流が吹きまくっている。歓声をもって迎えられたオバマ大統領、選挙で自民党支配の構図をくつがえした日本、いずれも景気回復の足取りは重く、先行きに暗雲がたれ込めている。日本の政治資金疑惑は、検察官対小沢の崖っぷちに立った攻防戦であることがだんだん見えてきた。普天間基地移転に関する政府の混迷ぶりも、国民をいらだたせ、暗い気持にさせている。

 一方、アメリカでも国内問題に大きな悩みをかかえているが、外交・軍事面でも行き詰まっているようだ。国内ニュースの影に隠れてあまり大きく取り上げられていない。そういった変化というか潮流をとらえないで、日本の基地問題を云々することは決して両国の将来にプラスにならない。その観点で、直近のニュースの中からすこし拾ってみたい。

イラク 首都バグダッドで26日、警察の科学捜査施設を狙ったとみられる自爆テロが起き、18人が死亡、80人が負傷した。その前日25日は、同地主要ホテルが目標になり、約40人が死亡している。オバマ公約で米軍撤退を進めているが治安は一向に改善していない。テロの対象は、外国人と外国軍の保護のもと成立した政府機関である。

アフガン・パキスタン 米軍3万人増派を目指したものの基本的に治安回復が達成したとはいえない状況だ。むしろ戦線がパキスタンに移り、内戦の様相さえ呈している。対立は、TTP(パキスタン・タリバン運動)&アルカイダ米国の越境無人機&パキスタン軍である。

 TTPは、アフガンで最多の民族パシュトゥン人で、パキスタン国内でも北西部のアフガン国境から南部にかけて同じ民族が住んでいる。また、パキスタン軍は以前からパシュトゥン人を支持し支援してきた。したがって、アメリカの要請でTTPを殲滅させるという政府の方針にはあまり熱心でない。 

 その戦闘状態の中心が、北西部ワジリスタンから海に面した南部のシンド州まで下りてきたのだ。州都カラチは、同国最大の人口を有し海・陸・空の交通の要衝でパキスタンの玄関口である。また、海に面していないアフガンにとっても、ここを経由して多くの物資が陸送される。

 ここに住み着くパシュトゥン人難民は、150万人とも言われ、故郷をうばったのはアメリカだという反米感情が高く、TTPの潜入が容易になっている。この近くで今月8日に警察訓練センターを狙ったと見られる自爆テロが発生し、すくなくとも8人が死んだ。

 「インド洋の洋上給油は後方支援だ」などとは言っていられない。中止していてよかった。戦線はもう海岸線まで迫ってきたのだ。また、警察の訓練支援ならいい、などとも言っていられない。アメリカが敵視されているのは、現地人の心を踏みにじる暴力装置・軍の存在である。

 日本軍が中国に派遣され、それがいかに日本の善意によるものだとしても理解を得られず日本の敗戦につながった。その教訓をアメリカに伝えることは、決して反米的ではない。日米の指導者は今こそ、冷静・果断に局面の展開をはかるべきだが、その道は遠いというのが現実だろうか。

  

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