石油・エネルギー

石油・エネルギー・原発

2020年3月17日 (火)

原発ゼロへの第一歩

 九州電力は16日、原子力規制委員会が設置を義務付けたテロ対策施設の完成が期限に間に合わないため、川内(せんだい)原発1号機(鹿児島県)の稼働を停止した。同施設の未完成を理由に原発が停止するのはこれが初めてで、今後は他の原発でも相次ぐ。業績悪化に加え、必要な安全対策費も膨らんでおり、電力会社にとって原発事業の経営は厳しさを増している。

 1号機の停止は施設が完成する12月まで続き、九電は2020年末の再稼働を目指す。他に同様の理由で今年停止を予定する原発は、川内2号機(5月)、関西電力高浜3号機(8月)、同4号機(10月)。現在稼働できる状態の9基のうち4基が止まることになる。他の四国電力伊方原発なども対策が追いつかず、21年以降に停止する可能性がある。

 テロ対策施設は、東京電力福島第1原発事故後の13年に規制委が新たな規制基準を導入する際、設置を義務化した。工事計画の認可から設置まで5年を期限としたが、過去に設置例がないため審査が長期化している。(後略・毎日新聞、03/17)

 仮に再稼働が認められても、柏崎原発のように地元の同意がなければ無条件再稼働に至らないということもある。

 いずれにしても、電力各社に降りかかるコストアップは累積する一方である。かといって、料金値上げによる消費者転嫁をするわけにはいかない。電力自由化で新電力との価格競争があるからだ。

 電力各社は、増大する廃棄物処理や廃炉のための費用もこれから増大する。

 これが、世界で先細り傾向にある原発を見限り、原発ゼロへ方向転換するきっかけになるのであれば朗報である。

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2020年3月11日 (水)

中国の奥深さ

 コロナ禍に悩む中国に、日本からマスクなどに添えて送った漢詩や漢字の激励メッセージが中国人の感動を呼び、両国間の友好や感謝の念が、これまでになく多く寄せられているという。

 日本が中国と韓国に向けたコロナウイルスの水際対策も、韓国が猛反発しているのに対し、中国は共感の意を示している。

 中国から見た日本は、韓国が示すように、あらゆるできごとの前に「反日」を持ってくるのとは違う。

 中国の文献で最初に現れるのは、後漢書で西暦57年に相当する年、委奴国(福岡市近辺?)国王の使節が朝貢して「漢委奴国王」の5文字を刻んだ金印を賜った、とする記事である。

 この金印と見られるものが、発掘で志賀島から発見され、国宝になっている。それに次ぐのが、有名な「魏志倭人伝」となる。

 5世紀には、遣隋使・遣唐使などを含め、公私にわたる交流が盛んになるにつけ、民族としての垣根が取り払われてきたと思う。

 その後、歴代の正史に「日本伝」の掲載があるが、中国人の「日本感」にことさらの変化はない。

 長い歴史の中で、戦争とか侵略などの軋轢は存在するものの、大国としての優越感に自信があり、奥深さも感じられる。

 日韓の差が、漢字を捨てた国と、かたくなに守り続けて文化に取り入れた国の違いとして現れたのだろうか。

 代表的な中国正史として「旧唐書倭国日本伝」から採録しておこう(『新訂・旧唐書倭国日本伝・宋史日本伝・元史日本伝』岩波文庫)

日本国は、倭国の別種である。その国は日の出るところに近いので、故に日本をもって名としている。あるいはいう。倭国がみずからその名の雅(みやび)やかでないのをにくみ、改めて日本としたのである、と。あるいはいう。日本はもと小国だったが、倭国の地を併せたのだ、と。

その国の入朝する者は、多くみずから矜大(ほこる)で、実をもって対(こた)えない。故に、中国はこれを疑っている。またいうには「その国の界は、東西南北、おのおの数千里あり、西界・南界はみな大海に至り、東界・北界は大山があって限りをなし、山外はすなわち毛人(蝦夷・アイヌ)の国である」と。(以下略)

 

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2019年12月11日 (水)

地球温暖化対策データ

国別温暖化対策        先進国の石炭
ランキング         火力発電廃止
独シンクタンク        政策
ジャーマンウオッチ等   シンクタンク
カッコ内は昨年の順位   クライメート
            アナリティクス等
  ――――――        ――――――
1~3
位 該当なし 
                       
ベルギー2016
4(4)
スウェーデン    フランス2021
(15)デンマーク    英国  2025
(5)モロッコ      イタリア2025
(8)英国        オランダ2030
(6)リトアニア     デンマーク2030
(11)インド      ドイツ 2038
10(13)
フィンランド  日本廃止年限無設定
……………
51(49)
日本
52(52)
ロシア
53(51)
マレーシア
54(53)
カザフスタン
55(54)カナダ
56(55)
オーストラリア
57(58)
イラン
58(57)
韓国
59(56)
台湾
60(60)
サウジアラビア
61(59)
米国

――――――――――

日本のエネルギー別依存度

    2017年度       2030年度計画  

原子力       3%   20~22%

石炭火力     33      26%
液化天然ガス火力  40%    27%

石油火力      9         3%

再生可能エネルギー 16     20~24%

(出所・毎日新聞12/11) 

 

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2019年12月10日 (火)

鉄腕アトムの段階

 鉄腕アトム、手塚治虫原作の動画では、原子力を備え、足の先から火炎を噴射するロケットとして描かれる。

 何十年か前、韓国旅行中に突然この動画がテレビ放映されたので驚いたことがある。

 ロケットマンといえばトランプ大統領が名指す金正恩委員長だ。ロケット開発に趣味があり、核開発にも余念がない。

 彼が幼児のころどこにいたか知らないが、ヨーロッパでは戦中にドイツが元祖といわれるミサイル・V1による英本土渡洋攻撃は有名だし、鉄腕アトムのことも知っていただろう。

 先日亡くなった中曽根氏が当初総理大臣になったころ、火力発電を「赤い火」、原発を「青い火」と称して希望の新エネルギーに位置づけていた。

 一部の学者がその危険性について警鐘を鳴らし続けていたことも知っているが、事故が起きるまでなおざりにされていたのが実態だ。

 日本政府は、まだその段階から踏み出していない。

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2019年12月 8日 (日)

石炭火力の時代遅れ

 今月(12215日)ポーランドで、COP24はじめ気候変動に関する一連の会合が開催されている。問題は気球温暖化で、その原因となる2酸化炭素排出量増加を抑えないと、風水害等自然災害の激増、海洋水位の上昇、生態系への影響など地球の未来に対する悪循環が断ち切れなくなるという共通認識のもとに成り立っている。

 排出ガス削減に向けたパリ協定成立は、不十分とはいえ地球の将来に希望をつなぐよりどころとなっていた。これを真正面からぶち壊す仕業に出たのが、米トランプ大統領である。

 トランプほど派手ではないか、排出量増加ゼロを宣言する多くの国の中で、石炭火力新設で批判を浴びているのが日本である。

 その理由を考えてみた。原子力に代わる発電設備として資源が豊富で低コストで建設できる。発展途上国の需要が多く輸出で有利な立場に立てるなどであろう。

 確かに、日本は水力と並んで石炭火力は戦前から多くの技術蓄積があり、脱硫技術やNOXなど排出ガスの無公害化では先端を行っている。

 西欧諸国では、国策として再生可能エネルギー利用を最優先させている。海洋エネルギー、風力、太陽光などの蓄電技術やバイオマスなど、日本はそういった技術開発をするうえで好条件を備えており、発展途上国も、石炭がより好ましいとは考えていないだろう。

 COP24の先頭に立って温暖化排出ガスゼロを売り込む条件は備えているのだ。環境保護でトランプのあとを追うポチのような姿は見たくない。

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2019年11月19日 (火)

気付かない大ニュース

 スマホ出現以来、情報源の変化は目まぐるしい。活字離れというが、塾頭は新聞を第一とする。①スピードニュース価値(紙面の位置・活字の大きさ)要点(見出し)論評(社説など識者の評価)⑤一覧性などに優れている点だ。

 ①は、ネットが優れていそうだが、新聞とそんなに変らない。そこで、関心を持った事項や、疑問点をネットで調べるという手順になる。

ところが、見逃したか、新聞で扱われなかった大ニュースをあとで知ることがある。 

 「ブラジル深海底油の入札状況」というタイトルで書かれた毎日新聞(11/19)のコラム「経済観測」で、国際公共政策研究センター理事長、田中直毅氏が担当している。

 ニュースとは、11月6日に実施されたブラジルの深海底原油4鉱区入札についいて2鉱区は応札ゼロ、2鉱区は入札下限価格に張り付いたまま、というものである。

 これは、地球温暖化にかかわるガス排出削減を目指す世界の傾向を反映したものとされ、田中氏は「歴史に残るかもしれない入札不調」と表現している。

 日本に深刻な経済危機をもたらしたオイルショックは、1973年(第1次)と1979年(第2次)に始まり、ピークとなった1980年から40年しかたっていないのに様子がすっかり変わったのだ。

 オイルショックにとらわれているトラウマは消えていない。

 「ホルムズ海峡が封鎖されないよう、自衛隊ができる強力は」とか「北方4島交渉で見返りにロシアが樺太沖に持つ石油利権開発で話し合いを」などというたぐいである。

 日本の外交政策にかかわるこの環境変化が、大ニュースでないわけがない。

 

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2019年11月16日 (土)

暖房・石油・戦争

 いよいよ暖房シーズンだ。かつてガス・ストーブを使ったこともあったが今はない。ルームエアコン4台、カーペット大小2枚、トイレに置くパネル、使っていないこたつ各1台、すべてエネルギーは電気である。

 そのほか、石油ストーブ3台があり、これだけ別熱源で、使い始めは最後になる。立ちあがりの速さと加湿機能の面で最も優れているからだ。

 エアコンが賢くなり、消費電力は少なくなったようだが、古い木造で全館24時間つけっぱなしは、やはり無理な感じ。

 灯油は、小型トラックにタンクを積み「ト―ユー」とスピカ―で触れて回るのをポリ缶で買う。

 かつては、これを「曳売り」といった。荷車のてんびんを曳いて売りに来るからだ。昭和以前、灯油の用途は照明用が主で、それもランプがなくなるにつれほとんど使い道がなくなり、「灯油」という名前だけが残った。

 原油を蒸留すると原油により違いはあるが、軽い方からガソリン、灯油、軽油がほぼ同量とれ、残る半分以上は、重油。最後がアスファルト、パラフィンなどとして残る。

 石油会社の儲けは、主に自動車燃料のガソリン・軽油から生み出され、あとは、その他をどううまく捌くかが課題であった。

 したがって、石油ストーブ、石油風呂釜などの器具普及が新たな民生用需要として灯油の地位を押し上げる画期になった。

 軍需用の地位が低くなった分、石油危機は家計を脅かす社会問題となる。自家用車が増えたため、ガソリンもこれからは同様である。

 日本が戦争に突入した最大の原因が、軍需用石油輸入の途絶であったことを、あらためて思い出す暖房準備になった。

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2019年11月 3日 (日)

放射性廃棄物、日欧の差

 フィンランドで、高レベル放射性廃棄物を半永久的に地中に埋める最終処分場の建設が進められている。

 世界で最も費用がかかり、使用期間も最長のこの処分場は、フィンランド西岸のオルキルオト(Olkiluoto)島に建設される。

 フィンランドは2020年から、5500トンの廃棄物を地下420メートル超に埋める方針だ。

 現時点で完成しているのは、曲がりくねった全長5キロのトンネルと、作業員の移動や換気などに使われる3つの立て坑。最終的には、全長42キロになる計画だ。

 鉄の鋳造物で囲った使用済み核燃料棒を、分厚い銅の容器の中に封印した上で、トンネルに運び込む。この容器を、周囲の岩盤の揺れや、浸水を防ぐ働きをするベントナイト(bentonite)と呼ばれる粘土で覆う。最終的には、さらに多量のベントナイトや粘土の塊を使い、トンネルを埋める。

 以上、AFPの報道を参考にした。10万年先まで見越した対策だ。これに対して日本では、

 台風19号の大雨で福島県と栃木県で保管されていた除染廃棄物91袋が近くの川に流れ出ていたことがわかり、環境省流出が仮置き場から相次いだ原因を検証することにしています。

 このうち、少なくとも25袋が空の状態で見つかり廃棄物が袋の外に漏れだしたとみられますが、環境省によりますと、周辺の空気線量の値に影響は見られなかったということです。

 以上は、NHK全国ニュース字幕から要約。

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2019年9月21日 (土)

予見可能性、NHKが追及

 他のマスコミが報道しない事実の追及をNHKがしている。通常のテレビ報道番組では出てこないが、デジタル1番でNHKに合わせ、リモコンのdボタンを押すと地元の天気予報などが出てくる。ここでリモコンの青ボタンを押すと、見出し項目一覧が現れる。それを上下ボタンで選べば、内容の文字が読める。また、ネットでも見ることができる。

 分量が多いので、肝心なところを要約する。取材は「東京電力刑事裁判 取材班」が行っている。37回におよんだ公判からは、これまで知られてなかった”新事実”が次々に明らかになったということである。

⓵茨城県にある日本原子力発電東海第二原発では、東日本大震災が起きる3年前には、巨大津波への対策を進めていた。

⓶東京電力の現場担当者たちは、巨大津波への対策を進める考えで原子力設備をもつ他の4社との会議でその旨を表明していた。

⓷東電の最高意思決定は、いわゆる「ご前会議」で決まる。2008年2月の御前会議で津波の予測と対策案を提出したが、出席していた上司からは、「特に異論はなかった」と報告されていた。ただし経営幹部は、記憶にない、とする。

⓸その後被害を防ぐための予算と完成時期を提出するが、だれがどの場で意思決定するのか、社内で現場と幹部の意思がずれたまま、津波対策の具体化は進まなかった。

⑤日本原電は、国に対して、政府がかかわっていた地震調査会議の出した「長期評価」に基づいてとっていた対策を、他社(東電)との横並び意識から外部に漏れないようにしていた。理由は自治体などからの追及を避けるとか、経産省の意向を無視して独走できないということらしい。

 ここでも「忖度」万能だ。

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2019年9月20日 (金)

予見可能性

 「予見可能性 は、日常使う言葉ではない。塾頭がはじめて知ったのは、昔、炭労争議の裁判で判決に出てきた時ではなかったかとと思う。

高級な法律用語に聞こえたが、文字の意味は「あらかじめ知っていたかどうか」を判断するという程度のことで、深い意味はなさそうだ。

 ところがこの一語が裁判に使われると、「この紋どころが目に入らぬか」というような効果を発揮するから不思議だ。

 福島第1原発事故で、巨大津波に襲われる可能性を予見できたのに、措置を怠ったことが業務上過失致死傷罪に当たるとして、強制起訴されていた東電旧経営幹部3被告に対して、「予見可能性があったと認めることはできない」という判決を東京地裁がくだした。

 東電は、政府の地震調査研究本部の「最大15.7mの津波が原発に襲来する可能性がある」とする試算を08年3月に受け取っており、東電担当者から具体的に敷地が浸水する可能性について報告を受けている。

 判決はそれを指摘しておきながら、「具体性や信頼性が不十分」だから予見することが不可能だった、としている。

 浸水したら何が起きるか、それを防ぐにはどうすべきか、という具体的なことを考えるのは東電である。専門家の指摘に福島県沖を震源地としていないなどを理由に信頼性に疑問を抱くなど、東電幹部が評価すべきことではない。

 1973年79年と2度にわたったオイルショック当時に、東電幹部も在職していたはずだ。石油不足は、当時の電源の主流を占めていた石油(重油)火力からの脱却・多角化が盛んに議論された。

 当然原子力も話題とされたが、すでにそのころ発生していた人為的ミスによる危険とか、事故による放射能被害の大きさから原発慎重論が支配していたことを東電幹部が知らないわけがない。

 上記判決は、全くナンセンスだ。

 これと同様な案件は民事訴訟でも進んでいる。約30件の訴訟のうち9地裁・支部で12件の判決が出た。このうち前橋地裁では予見可能性を認めており、今後まちまちの判断になりそうだ。

 司法が国の責任をどう判断するか。韓国の徴用工問題と性格は違うが、重要なテーマであることには違いない。

 

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