中近東

2009年12月 9日 (水)

反戦塾乗・09/12/9

■12/7 パキスタン東部ラホールの市場・自爆と仕掛け爆弾が30分間隔で爆発49人死亡、約100人が負傷。
■12/7 パキスタン北西部ペシャワル、裁判所前で自爆テロ、10人死亡、40人以上が負傷。

■12/8 パキスタン・パンジャブ州・ムルタン郊外で武装集団が治安部隊の検問所を自動小銃やロケット砲で襲撃、爆薬を積んだ乗用車が軍事務所に突っ込んで大爆発、15人が死亡40人以上が負傷。
■12/8 イラク・バグダッドで政府機関などを標的にしたとみられる連続5件の爆弾テロ発生。少なくとも127人が死亡、448人が負傷した。首都での大規模テロは8月と10月に発生している。

 ★これはもうテロリストの仕業という段階ではない。その組織的計画性、規模から見ても内乱である。アフガンにアメリカなどが3、4万人軍を送って治安が回復しても、パキスタンまで回復するわけではない。また、イラクは結局回復していないことがわかったので、再度増派を検討するつもりか。いたちごっこで増派は根本的解決に役立たない。

 パキスタンは、政府軍が米国の圧力を背景に10月にアフガン国境の武装勢力・パキスタン・タリバン運動(TTP)の掃討作戦を開始して以来、爆破テロや襲撃事件がほぼ連日起きている。アフガン戦争が飛び火した有様はベトナム戦争のカンボジア、ラオスを思い起こすが、それよりひどくなりそうだ。

 中国・インドと仲良くしたいアメリカがパキスタンを見限る日、それは、地域的核戦争の恐怖にまで世界を追い込むことを意味する。そうならないようにするためには、周辺国であるイラン・パキスタン・ウズベキスタンなど旧ソ連圏隣接国、それに中国・インドまで加えた包括的な解決策でなければならない。そうしないと火種はいつまでも残る。

 侵略や謀略で手のよごれた遠い国の軍隊は手を引くべきだ。イラクとアフガンの共通点は、アメリカ軍が前政権を戦争で倒し、そのあとに作った傀儡政権が国民に信用されていないことと、イスラム教徒である住民が他国軍の支配を歓迎していないことだ。一時的に混乱があっても、自らの手で平和を構築するのを待つしかない。そこで日本の国際貢献は、何ができるかを考える時期に来ている。   

 

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2009年1月20日 (火)

ビンラディンは自首せよ

 20日、日本時間では21日、アメリカ・オバマ大統領が世界の耳目を集めて就任式を行う。史上最大の盛り上がりを見せるだろうと言われている。

 サウジアラビア人・ウサマビンラディンに告ぐ。あなたはどうやら死んでいないようなので、この際自首して世にでてくるようお勧めする。人気最低のブッシュ大統領は引退する。あなたは、誰が見ても勝ったのだ。この機会を逃してはならない。

 あなたが9.11の同時多発テロを指揮し、金も出したのかどうか、証拠もないだろうから自首という言葉があたるかどうかは知らない。しかし、多くのテロリストを養成し激励し、その戦いの中で多くの市民が犠牲になったことは確かだ。

 あなたが自首すれば、アメリカがタリバンと戦争を続ける理由がなくなり、アメリカ兵がアフガンに増派されても話し合いを公約したオバマとなら話がつけやすくなるだろう。ついでに、ガザでハマスも勝ったといっているのだから、パレスチナ和平支持宣言もしたらどうだ。

 その上、誰かに捕まって裁判を受けるのだ。国際司法裁判所なら、筋違いのイラクで人を殺したブッシュの方はおとがめなしでは不公平という声が出るに違いない。それに、裁判を承認しない国のアメリカから出てくるはずはない。

 法廷はどこでもいい。茶番であってもなくいも判決は「死刑」。聖戦を戦って神に死を捧げるのは、あなたが身をもって手本を示すことになり、いとわないはずだ。ことにアメリカの法廷が最善だろう。アメリカが中東でやってきたさまざまな裏面工作を明らかにし、アメリカが再び同じ過ちを犯さないよう機能させれば、「凶悪なテロリストの首魁」の最後として最もふさわしのではないか。

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2008年9月20日 (土)

イスラエル関係メモ

 イラクにしろアフガニスタンにしろ、また9.11のテロにしろ、その遠因にパレスチナ問題があることを疑わない人はいない。ユダヤ人はパレスチナ人を排除してイスラエルを建国した。そこに始まる戦争や抗争に、西欧人、中でもアメリカはイスラエルに肩入れしていると見られていた。

 イスラム教徒がこれに強い反感を抱いたのは当然である。「文明の衝突」には出口がない。アメリカの政治をネオコンが籠絡し、ここに武力を用いて地域の覇権を確立しようとしたブッシュのもくろみがもろくも失敗した。彼の任期はあといくらも残っていない。

 パレスチナ問題はどこに行くのか、最近まがりなりにも和平に向いた動きがではじめている。こけれがアメリカ一国支配の退潮に起因していることは確かのようだ。ブッシュは言うだろう。アメリカは動乱の続いた中東に平和と自由をもたらすことに遂に成功した――と。

 おめでたいアメリカ人気質で彼が何を言おうと勝手だ。平和の到来はともかく喜ばしいことに違いない。しかし何千人ものアメリカ兵が死に、その10倍を超える現地人が意味もなく殺されたことを歴史からぬぐい去ることはできない。

 パレスチナ問題は、最近の動向がやや見にくくなっている。そこで以下のようにメモしてみた。複雑になるのを避けるため、イスラエルから見た対外関係ということにしておいた。

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☆対ハマス(ガザ地区支配勢力)
・2007/6、ファタハを武力で追放。イスラエルとは砲撃戦発生
・2008/6/19、エジプトの仲介で停戦。これにアルカイダ系、ファタハ系、イラン系武力組織などの妨害あり

☆対ファタハ(パレスチナ自治政府アッバス議長)
・ヨルダン川西岸地区の返還および東エルサレム所属交渉進まず
・最近はファタハ支配地区での統制力が弱く、ハマス系の方が当事者能力を持つと見ているふしがある また、オルメルト首相の汚職・辞任などで膠着状態がまだ続きそう

☆対ヒズボラ(レバノン国内の武装勢力)
・08/7/16、ドイツの仲介で捕虜交換

☆対シリア
・2007/9/6、北朝鮮支援の核施設空爆
・2008/5/21、オルメルト首相和平交渉開始を発表、焦点はゴラン高原返還
・2008/7/13、パリの地中海サミットで両首脳の接近

☆対レバノン
・依然内戦状態から脱しておらず、有力な勢力であるヒズボラやシリアを相手にしなければならない状態が続いている

☆対イラン
・2008/春、核兵器開発阻止のためイスラエルのミサイル攻撃による実力行使説高まる
・2008/7、イランにアメリカが代表部を置く計画など緊張緩和の兆し

☆対イラク
・1981年6月7日、原子炉を破壊

☆対エジプト
・ガザとの関係で仲介あり

☆対トルコ
・シリアとの間の仲介あり

☆対アメリカ
・2008/1/9、ブッシュ大統領がパレスチナを含め歴訪、年内和平合意を目指すが実現は疑問

【参考】「中東関係粗年表

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2008年9月12日 (金)

パキスタン軍反発

 前回の記事「パキスタンとアフガン」で、米軍がアフガンからのパキスタン西部地区へのミサイル攻撃から、ヘリを使った地上作戦にまでエスカレートしていることについて、「アメリカはザルダリ氏(大統領)を棚に上げ、陸軍参謀長との関係強化をはかっている模様」という観測を書いた。

 ところが本日の報道(毎日新聞)によると、下記のように軍が一転して米軍越境に反対声明をだした。これでパキスタンは、大統領から与野党、国民世論すべてがアメリカのパキスタン侵攻にノーの姿勢を明確にしたことになる。昨日、8年目を迎えることになった9.11でテロとの戦いに決意を新たにしたアメリカだが、今度はパキスタンを敵にしてアルカイダ殲滅に乗りだす決意がアメリカにあるだろうか。

【ニューデリー栗田慎一】米軍のマレン統合参謀本部議長が10日、国際テロ組織アルカイダの拠点を掃討するため、アフガニスタン、パキスタン国境地帯に照準を合わせた軍事作戦を強化すると発表したことについて、パキスタンのキヤニ陸軍参謀長は同日、「どの国の軍隊も領内への侵入を絶対認めない」との緊急声明を出した。参謀長自身が米側に真っ向から反発するのは異例。対テロ戦の同盟関係に深刻な亀裂が生まれる恐れがある。

 ブッシュ政権末期になって起きたグルジア紛争は、冷戦後はじめてロシアと正面から対峙する難問題を生んだ。もはやイランや北朝鮮の核の問題などどこかへ吹っ飛んだ感じだ。ライス国務長官が何人いても足りそうにもない。こんな時、渋谷で自民総裁候補が5人うち揃ってマンガ調の茶番をやっている。

 カルザイ・アフガン大統領も「民間人の犠牲を減らすのではなく、完全になくさなければならない」と米軍の空爆を非難している(同紙)。「日本は平和だなあ」と、よろこんでいるだけでいいのだろうか。

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2008年9月11日 (木)

パキスタンとアフガン

パキスタン
☆9月6日投票された大統領選で、下院第1党「パキスタン人民党」のアシフ・ザルダリ氏が当選。ザルダリ氏の妻は07/12/27にテロリストに暗殺されたブット元首相。辞職に追いつめられたムシャラフ大統領同様アメリカから協力を要求されているが、軍を背景にしたクーデターで権力を奪取した前大統領と違って民選大統領のため、対テロ戦には及び腰にならざるを得ない。

☆政治指導者には「3つのA」の支援が不可欠と言われる。軍(アーミー)、神(アッラー)、米国(アメリカ)である。神は国民の9割以上を占めるイスラム教徒の世論だ。野党は、アメリカによるアフガンからの越境攻撃を「主権侵害」だと反発を強めており、アメリカはザルダリ氏を棚に上げ、陸軍参謀長との関係強化をはかっている模様。

☆以上のような米・パ関係の構図は以前からあったが、軍とのヤミ取引は軍出身のムシャラフでは無理。一方、建国の原因でもあるインドとの宿命的な対立に、このところ核保有問題でアメリカがインドに肩入れする政策を採るなど、中立的立場を捨てるような行為がパキスタン国民の反感をより高める(タリバン支持)結果を生みそうだ。

アフガン
☆ブッシュ米大統領は08/9/9に11月から来年1月の退任までに、計4500人の米軍をアフガンに増派する意向を表明した。8月のイラク米兵の死者数22人に対しアフガンの米兵を含む多国籍軍の死者数は43人で過去最悪。

☆これまで、イラク治安維持を理由にNATOの国際治安支援部隊(ISAF)がアフガンでの主軸をになってきたが、アメリカはしぶしぶ増派に応じている欧州各国に見切りをつけたのか。「テロリスト」の出撃基地がパキスタン領内であれば、戦争が目的でないNATO軍では対応できない。

☆カルザイ政権は国土の大半を統治できず、タリバンの勢力拡大は、米軍等の誤爆?等による住民の被害増大をきっかけに勢いを増している。警察組織は極端な人員不足で機能不全状態。何カ月も給料が払われないため、汚職や犯罪の温床になっている。この傀儡政権は、末期の南ベトナム政権以上のひどい状況のようだ。

(以上は08/9/7、08/9/11毎日新聞その他を参考にしました) 
 
  

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2008年9月 1日 (月)

アフガン妄想

 9.11からあと10日で7年、犯人の首魁とされたビンラディンはいま、どこで何をしているのだろうか。犯人を引き渡さないとして最新兵器を繰り出し、アフガンに攻め込んだ米英。いまだに捕まるどころか死んだとも聞かない。

 最初の頃は、潜伏しているといわれる山岳地帯の洞窟をしらみつぶしに捜索している占領軍の姿が、連日のように茶の間のテレビに写し出された。最近はそんな映像がでてこない。いつの間にかビンラディン逮捕から、テロリストにされたタリバンや武装勢力の掃討に変わった。

 ビンラディンは、もうアフガンにいないのだ。7年もかけてまだ発見できないということは、首謀者と断定し攻撃を開始したアメリカの負けということになる。アメリカ人は負けず嫌いである。「マケイン」という候補者を立ててブッシュの跡継ぎにしたい気持ちはわかるが、ベトナムと同じだ。負けても「勝った」といいはる。空しい。

 タリバンは9.11に関係ない。ビンラディンをかくまったとされる時、アフガンの政権を担っていただけだ。厳しい戒律に忠実だったが腐敗はなく国民の支持を受けていた。宗教指導者オマル師が熟慮のすえアメリカにNOと言ったのだ。

 壊滅させられたはずのタリバンがこのところ復活している。ただし伊藤さん殺害事件のように、どこからどこまでがタリバンなのかは、はっきりしていない。アメリカが探す指名手配者は、パキスタンにいる可能性が強く、苦労して作ったカルザイ政権を支えるためにだけアフガンに軍隊を置く。

 本当ならパキスタンに猛攻を加え、しらみつぶしに洞窟を調べたいところだが、開戦当時にやっとムシャラフ軍事政権の支持を取り付けたパキスタンには、その手が使えない。アフガンにしろパキスタンにしろ民衆は、イスラム第一で協力が得られない。それを理解しない外国軍隊にはいて欲しくないのだ。

 この八方ふさがりの迷路に、集団的自衛権で出動したNATO諸国を含め強気な発言を繰り返す首脳はいるが、本心は一刻も早く手を引きたがっているのではないか。そこへわざわざ新しい「恒久法」をつくって、自衛隊をノコノコ出かけさせよういう日本の政治家がいる。

 オマル師の死亡説が飛んでいるようだ。そのうちにきっとビンラディンの戦闘による死亡説がでてくる。それをくつがえすビデオがあっても、替え玉説やねつ造説をばらまけばいい。アメリカは「目的終了」宣言をしてアフガン撤退に踏み切る。これが、わが塾頭の「妄想」である。

 以上で本題は終わるが「妄想」という言葉について。
 
大辞林 第二版より

〔古くは「もうぞう」とも〕
(1)〔仏〕 精神が対象の形態にとらわれて行う誤った思惟・判断。妄想分別。
(2)根拠のない誤った判断に基づいて作られた主観的な信念。分裂病・進行麻痺などで特徴的に見られ、その内容があり得ないものであっても経験や他人の説得によっては容易に訂正されない。
「被害―」「誇大―」「あらぬことを―する」「―にふける」

  かつて、故人となった義母が方言で笑いながらよく言った。「いやだねー、モーゾなったんかやあ~」。「モーゾ」、今は死語になりかかっている「耄碌」のこととは理解はしていた。これと「妄想=もうそう」が同義とは今回辞書を引くまで知らなかった。

 それが官の介入で、新聞も電波もすべて「認知症」一色。言葉としてのこなれもなければ、受ける印象も最悪だ。『徒然草』にも使われた美しい的を射た言葉「もうぞう」は、残していくべきではありませんか、皆さん。

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2008年8月28日 (木)

美しい誤解に安住するな

 アフガニスタンでNGO「ペシャワール会」のスタッフの伊藤和也さんが拉致殺害された。美しく高い志がこのような結末を生んだことは、まことに心が痛む。衷心よりお悔やみを申し上げたい。「美しい誤解」、以前何回か取り上げたことがあるが、もう一度この事について考えてみたい。

 そこで強調したいのは日本の役割です。これまでアフガニスタンの「治安分野改革」で成功したのは、日本の武装解除だけです。なぜか。現場の私たちは「美しい誤解」という言葉を使いました。アフガン人はテロ特措法など知りません。日本は軍事行動をしていないという「美しい誤解」が、疑心暗鬼の武将たちに信頼醸成させた。

 これは、アフガニスタンで武装解除日本政府特別代表を務めた、伊勢崎賢治氏の発言である。私はこれにも「美しい誤解」があると思う。アフガン人は善意の第三者なら誰でも喜んで受け容れると考える「美しい誤解」である。

 これは、現地をよく知る伊勢崎氏だからこそ言える言葉であって、人道支援とか貧困解消、あるいは国際貢献といった美名のもとでおこなう活動なら必ず誠意が通ずる、というある種の“お人好し”信念とは意味が違うということである。

 犯人の組織や目的はわからない。そこにいわゆるイスラム原理主義というものが存在するとすれば、神はひとつ、ユダヤ教徒やキリスト教徒はその共通の神をいただく「経典の民」で、条件次第で融和や結婚も許されるが、その他の宗教は「異教徒」で戦争をする相手である。現地の言葉を話すだけでは駄目でなのである。

 タリバンが復活、優勢となるなかで大麻栽培が盛んになり、それがゲリラ活動の資金源になっているという。現地の人が喜んでいるにしろ、農地に稲やサツマイモの栽培を普及、定着させることは、タリバンにとって、カルザイ政権やアメリカなど駐留外国軍を支援することにつながる。

 ムスリムは客人をよろこんでもてなす。しかし、女性が肌を見せることに平気な欧米や、異教徒にながく居座ってもらいたくないないのだ。これはサウジアラビアでもイラクでも、厳格なイスラム信仰を保とうとする国なら当然なことだ。

 イスラム教国に限らない。ロシアがグルジアの国境を越えて、戦車を繰り込み軍艦で小国を脅迫する。ロシアの言う「民族自決」「治安維持」「邦人保護」「独裁排除」それに「自衛」、これまでの歴史でさんざん使われてきた戦争合法化の口実である。

 日本の大陸侵攻はすべてこの伝であった。そして、それらの国民は、日本の善意を理解しようとせず反抗ばかりする、と言って、早く親日政権を作り安定させようとする。それが失敗を許されない大国意識で、占領を長引かせる。今、イラクで、アフガンで、そしてグルジアでも繰り返されようとしている。これを「侵略」という。

 国、あるいは国連という組織が現存する限り、軍隊に国境を越えさせなくてはならないという事態はありうるだろう。かりにそうだとしても、その国を他国の影響下や支配下に置こうとして居座ることは許されないし、問題解決を遠のかせ、はるかに多くの犠牲者を生むだけだ。

 あとに問題を残しても、内戦が起きても仕方がない。国連では解決しないからといって他国が介入すれば、紛争は世界にひろがる。軍隊を緊急避難的に入れることがあっても、何年にもわたってはならない。NGOは性格が違うが、一応の目的を果たしたらあとは現地にまかせて引きあげるよう心がけるべきだろう。

 

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2008年7月 9日 (水)

アフガンへは丸腰で

 福田首相は、サミットで自衛隊のアフガン派遣を他の首脳からせっつかれていることはないか。大いに気になるのは、ねじれ現象緩和のためこれを小沢民主党代表との話の糸口にしかねないからだ。欧米各国が「日本だけアフガンへの貢献をしていない」とせっつく理由ははっきりしている。

 ビンラディンは何年たっても逮捕できない、イラクも手が離せない、そこでアフガンをNATO軍に肩代わりしてもらいたいというのがこれまでの経緯だ。ところが、治安回復の目途もなく戦死者が増える一方で、欧州各国内でもさすがに評判が悪い。できるだけ治安のいい場所、本音をいえば早く引き上げたいのだ。

 アフガンのカルザイ政権も外国軍がいなければ持ちそうもないし、いたらいたで、タリバンなど武装勢力の攻撃をかわすことができない。隣国パキスタンとの国境の無政府状態は、パキスタンの政情不安定で改善の目途が立たっていない。

 欧米は生き血を吸う最後のババを日本につかませたいのだ。この前、高裁判決がでたイラク以上の「交戦地域」である。福田首相は、恒久法検討などで時間稼ぎをしてお茶をにごすしかない。その間に、「新憲法制定促進議員連盟」などが息を吹き返すチャンスとばかり暗躍するのだろう。

 それ以前に、イラクやテロ特措法の延長問題がある。これも3分の2採決で時間稼ぎするつもりか。どうしてもアフガンへ自衛隊を行かせたかったら、攻撃兵器を一切もたず迷彩服やミリタリールックもやめて、丸腰の平和構築、民政安定活動に専念すべきだ。それで犠牲者がでたとしても、それはあらかじめ覚悟した上ということになる。

 そういったことで、NGO「ペシャワール会」の中村哲医師がいう「自衛隊が来れば活動を一時中止して引き上げざるを得ない」という状況を回避できるのかどうか、はなはだむつかしいと言わざるを得ないだろう。要はアフガン人から見て、たとえそれが国連組織であれ「軍」という暴力装置を国内に持ち込んでほしくない、ということにつきる。それが必ず抗争中の一方を利することなり解決を遅らせるからだ。

 日本の過去の戦争は、すべて邦人保護とか権益保護、あるいは暴徒鎮圧などの名目で外国に派遣した軍隊がきっかけを作っている。大量虐殺、テロリスト逮捕、独裁政権排除、理由はなんであれ現地から望まれないことには手出しすべきではない。現地のことはまず現地で、どうしても緊急なことがあれば周辺国連合、さらに国連という手順を踏むべきだ。日本に直接関係のない国に、日米同盟とか集団的自衛権を利かせようというのは、どう見ても時代遅れといえよう。

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2008年7月 3日 (木)

中東和平と日本

 昨日2日、都内の外務省飯倉公館である会合が開かれた。集まったのはイスラエル、ヨルダン、パレスチナ自治政府の閣僚級要人である。新聞の扱いは地味で、アサヒ・コムでは探してみたが見つからなかった。

 これは、ヨルダン川西岸の開発プロジェクト「平和と繁栄の回廊」構想の具体化に向けた3回目の打ち合わせである。2年前、小泉首相が中東歴訪した際に提案したもので、いわば小泉政権からの置きみやげである。

 置きみやげにもいろいろあり評判の悪いものも少なくないが、この外交プロジェクトは中東和平へのささやかなステップとして是非成功させるよう願っている。計画の概要は、ヨルダン川西岸を中心に農業用水や道路、そして物流基地などのインフラ整備を行い、関係3国の経済協力を通じて、和平プロセスを実現させていこうというものである。

 EUのスタートが、争いの絶えなかったフランスとドイツの間に始まった石炭と鉄鋼の共同事業化であったことはよく知られている。双方の利益を追求しながら次第に壁を取り除いていく手法は、日中間の戦略的互恵関係でも考慮されている。

 意義があるのは、アメリカでもEUでもなく、キリスト教国でもイスラム教国でもない、手のきれいな「平和憲法」を持つ国が仲介するということである。もっとも、これまで日本の外交姿勢は、「対米関係の文脈から離れた日本の中東政策はあり得ない(外務省幹部)」というものであった。

 また、左翼陣営の中には、日本工営という会社が参画することなどをとりあげ、植民地主義的進出だとか、帝国主義荷担だとかと批判する人がいる。これには理論の飛躍があり、ためにする議論としか見えない。あるいは過激派ハマスの立場を代弁したいというのだろうか。

 そのハマスは、イスラエルとの間で結んだ停戦協定が先月19日に発効、現在実行されている。相互不信はそのままで、解決への道のりはまだ遠い。かつてハマス幹部は、日本の記者に「日本は、対話の一歩を踏み出したい重要国だ」と語っており、大衆の憎悪の対象になったことのないことをあげていた。

 これから、何らかの形でハマスを日本主導のプロジェクトに参加させることはできないものだろうか。今は、アメリカ一辺倒の小泉・安倍外交から福田外交に変わったのだ。もしそういうことが可能になり、世界でどこもできなかったことが、日本の手でできたらどんなにすばらしいことだろう。

 それには、日本国民やマスコミがもっと中東に目を向け、日本の平和外交に大きな声援を送る必要がある。

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2008年4月29日 (火)

戦争犯罪者ブッシュ

 これまでの報道で断片的には知らされてきたが、イラク戦争開始に関するブッシュ政権の犯罪性について、これほど明白な証言を聞くのは始めてである。それは、毎日新聞の小倉孝保記者が、元NCI情報官ポール・ピラー(Paul R Pillar)氏と元米中東軍司令官アンソニー・ジニー(Anthony Zinni)氏に対しておこなったインタビュー記事(08/4/29)によるものである。

 結論を先に言うと、ブッシュ大統領や開戦時のチェニー副大統領、ラムズフェルド国防長官などは、極東裁判で裁かれた日本の東条英機などよりはるかに重い「平和に対する罪」や「戦争犯罪」の容疑者にあたるのではないか、と言うことである。

 アメリカ軍人の戦死者4000人の遺族は、彼らの戦争犯罪をだまって見過ごし沈黙してしまうのだろうか。また結果的にだまされて協力した日本、その費用だけでなく、戦死者をかかえる他の有志国も、「おとがめなし」の不正義をこのまま見逃すことになるのだろうか。かりにそうなっても、世界の歴史は、最悪の大統領としてブッシュを断罪することになるだろう。

 インタビュー内容の詳細は、同紙で見ていただくこととして、ポール氏は次のように言う。 米情報機関が大量破壊兵器などの情報を間違った理由は、「質の悪い情報」に頼ったせいだが、その情報を得る前すでに開戦を決定していた。また、政権幹部は「開戦の理由になる情報はないか」と繰り返し、開戦に都合のいい情報だけを求めていた。

 また、同氏は「誤った異常な戦争」と断言し、情報当局者の多くは戦争に反対していたほか、現在見られるイラクの混乱も開戦時から予想していたという。そして、こういった意見を言うのは「我々の仕事ではなかった」と証言する。

 このブログでは以前から何度も「石油メジャーズなどては世界一の中東情報を持っているはずなのに、なぜそれを活用しないのか」と疑問を投げかけていた。大統領にさからえないアメリカ、情報を操作するアメリカ、これでは他国に自由と民主主義をおしつける資格はない。まさに、どこかが狂っている。

 アンソニー氏は、フセインならびにイラク軍は開戦時何ら脅威ではなかったという。そしてアメリカが戦争に突き進んだ理由をこのように語る。(「 」引用部分)

「ブッシュ大統領は米多発テロ(01年9月11日)後、とても劇的なことをしなければならないと考えたのではないか。その彼を、ネオコン(新保守主義派)が利用した。ネオコンは、フセイン政権を倒せば、中東の状況をダイナミックに変えられると考えた。ばかげた理論だった」

 官僚の意見や慎重論をことさら無視し、レベルの低い材料でマスコミ受けだけを優先させる危険な風潮は、日本にも蔓延しはじめている。政治のトップは多彩な知識と経験をそなえ、毅然とした判断をくだせる人でなければならないことを痛感する。

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