2003年の3月20日、米軍24万人、英軍26000人による イラクへの軍事侵攻(イラクの自由作戦)が開始された。カテゴリ「データ・年表」にある「中東関係粗年表」の一環として、5年目の現状をアトランダムに記録しておく。
☆米軍の死者約4000人に(08/3/23AP通信)。イラク人難民申請、昨年4万5000人(前年の倍、世界トップ。これにはヨルダンやシリアなど周辺国への国境越えは含まれていない)
☆イラクのタリク・ハシミ副大統領が18日、バグダッドで毎日新聞と単独会見し「米軍のイラク進攻は間違いだった」と米政府を批判した。イラクの治安や経済状態が「全体として悪化」しているとの見方を示し、混乱の原因としてイラク戦争を挙げた。ただ、米軍の即時撤退には慎重な考えを示した。【この項、毎日新聞3/20】
朝日新聞も単独会見記事を載せているが、米軍進攻がまちがい、などの批判発言は掲載していない。同副大統領はスンニ派「イラク・イスラム党」指導者で、同党は連立が離脱したが閣内に残りスンニ派の利益代表的立場にいる。
☆チェニー米副大統領は17日にバグダッドを訪問し、マリキイラク大統領との声明発表で「治安情勢は劇的に改善されている」との共同声明を発表した。昨年6月に実施した米軍3万人増派作戦が成功した、とする立場を強調するものだ。ブッシュ米大統領も19日、作戦の成功と、開戦が「正しい決定」であったと演説した。
シーア派反米強硬派サドル師傘下の民兵組織マフディ軍が昨年8月に停戦宣言したこと、バグダッドの中心部、官庁、ホテル、外交機関などが多い地区を頑丈なコンクリート擁壁で囲むグリーンゾーンを設け、外部の侵入を防いでいることなどで、犠牲者が減っている。
しかし、米軍にたいする民衆の不信感は高く、とって変わるべきイラク政府の組織する治安維持部隊には、過激派民兵であった者が紛れ込んでいたり、訓練や規律確保に不向きな者もいて効果が期待できない。また、武器の横流し、周辺諸国からの流入もあとを絶たない。
戦前にはなかったイスラム宗派の対立が、アメリカ主導の選挙でできたシーア派中心の新政権では統率できず、抜き差しならぬところまで発展してしまった。さらにスンニ派に多いかつての官僚・技術者などが難民として国外に去っているので復興基盤の整備などが麻痺している。
「治安回復の遅れから国民の間には旧政権へのノスタルジーが広がり、一部にはバース党支持の芽も生まれている」(毎日新聞3/20、バース党は戦前故・フセイン大統領が率いていた世俗政党)。やはり、治安状態は一発触発、累卵の危機にあると言った方がよさそうだ。
☆米大統領候補の公約
・共和党
マケイン候補=ブッシュ路線継承。長期駐留。
・民主党
オバマ候補=16カ月以内の撤退完了。
クリントン候補=就任後6週間以内の撤退開始。
☆アメリカが敵視するイランの大統領のイラク訪問(3月2日)、親米国である湾岸6カ国にイランがオブザーバー招待されたことなど、イスラム圏内でのアメリカパッシング状態が見え始めている。
☆同時多発テロのあと、アフガニスタンなどで展開したアメリカ軍の経費や新たな兵器の調達費など「テロとの戦い」の戦費は、これまでに7520億ドル、日本円にしておよそ75兆円に上る。このうち、イラクでの開戦に踏み切った2003年3月以降は、陸軍の費用が一貫して伸びている。来年度2009年度についても、イラクとアフガニスタンに展開するアメリカ軍の駐留経費などに、700億ドルの予算を議会に要求しており、当面、戦費の拠出が続くと予想されている。一方で、アメリカの景気低迷に伴って税収が伸び悩むとみられ、来年度の財政赤字は、4000億ドルを突破して過去最大の水準に迫る見通しで、戦費の拡大はアメリカ経済の重荷となりそうだ。(NHKニュースより)
日本は、思いやり予算などの軽減をねらっているが、むしろ高額の戦費、駐留費肩代わりを迫られるのではないか。
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