中近東

2020年1月21日 (火)

穏健なイスラム原理主義

 この言葉は、イスラエルとパレスチナの激しい武力闘争を繰り返すPLOとは違い、国家権力の外にあってコーランを忠実守り、イスラム教徒の安全と福利に向けて行動を起こす一団・ムスリム同胞団を指す。

 エジプトのシナイ半島から地中海方面に向けて強い勢力があり、イスラエル・ガザ地区に地下トンネルを掘って、救援物資を同胞に届けるなど、内部からの工作にイスラエルは神経をとがらしていた。

 軍政が続いていたエジプトでサダム大統領が暗殺された後、民主的な選挙が施行されて、民衆に人気のあったムスリム同胞団推薦の候補が多数となったが、たちまち軍事クーデターで政権を追われた。

 そして同胞団をテロ組織に指定、シナイ半島ではISと並列におかれ居場所を失った。

 それが、ひさびさに目にするようになったのはリビアである。以下長い引用はご容赦いただきたい。

 バックに利害関係を有する多くの諸国が複雑に絡み、それぞれ後方支援の手を緩めない。中東の教訓は何ら生かされておらず、国連の仲介が寄与していない点も同じだ。

 ムスリム同胞団が民衆の支持をえているのなら、それに任せられらいものか。

  北アフリカ・リビアの内戦を巡り、ドイツやロシア、トルコなど関係国首脳らは19日のベルリンでの和平協議で、リビアに対する武器禁輸を順守することなどで合意した。停戦に向けた環境作りに関係国が同意した形だが、当事者であり、当初は協議参加が伝えられたリビア暫定政権のシラージュ暫定首相と、対立する民兵組織「リビア国民軍」(LNA)のハフタル将軍は参加を見送っており、停戦が実現するかは不透明だ。【ベルリン念佛明奈】

 メルケル独首相は協議後の記者会見で「軍事力による(紛争の)解決はない」と述べ、政治プロセスによって内戦を終わらせる必要性を強調。取りまとめた共同声明には、関係国がリビアへの武器禁輸を順守し軍事支援を停止するなど、内戦に干渉しない方針が盛り込まれた。合意の実現に向け、委員会を設立することも確認した。

 メルケル氏は協議前、シラージュ暫定首相とハフタル将軍と個別に会談しており、「(両者は)協議には参加しなかったが、我々の協議内容が伝えられるようベルリンにいた」と説明した。

 リビアでは、2011年の中東民主化要求運動「アラブの春」でカダフィ政権が崩壊。その後、過激派組織「イスラム国」(IS)や国際テロ組織アルカイダ系の組織、部族に根ざした武装組織などが割拠し、混乱を極めた。15年に国連の仲介で西部トリポリを拠点とするシラージュ暫定政権が誕生したが、東部ベンガジを拠点とするLNAのハフタル将軍は暫定政権を拒絶し、戦闘が激化していた。

 リビアのシラージュ暫定政権と「リビア国民軍」(LNA)との内戦は、「代理戦争」といわれるほど各国の支援が続く。イスラム組織「ムスリム同胞団」に対する姿勢の違いや天然資源の権益確保などさまざまな思惑が絡み合っている。

 暫定政権はトルコやカタール、イタリアなどに支持されている。これに対し旧カダフィ政権の軍高官だったLNAのハフタル将軍は、ロシアやエジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、フランスなどの支援を受けている。

 中東諸国の支援先が分かれるのは、ムスリム同胞団への対応が国によって異なるからだ。暫定政権には同胞団系の勢力が参加しており、同胞団に共感するトルコやカタールが暫定政権を支援する。他方で、同胞団を国家体制への脅威と見なすエジプトやサウジ、UAEはイスラム勢力を敵視するLNAを後押ししてきた。

 また、旧カダフィ政権と友好関係にあったロシアはリビアでの影響力を回復し地中海での影響力拡大を図ろうとしている。

 欧州では、リビアから送り出される難民の漂着地となっているイタリアが、暫定政権を支持してリビア国内情勢の安定に望みを託す。その一方で、リビア東部に石油権益を持つフランスはLNA支援に回る。

 さらに事態を複雑にしているのが、東地中海の天然ガス田権益を確保したいトルコの思惑だ。トルコは、キプロス(ギリシャ系)やエジプト、イスラエルが計画する欧州へのガスパイプライン敷設の妨害を狙う。パイプラインのルートを遮断するために、暫定政権との間で軍事支援をテコに海洋境界に関する合意も結んだ。

 歴史的にトルコと敵対するギリシャは猛反発し、欧州連合(EU)もギリシャやキプロスを支持する立場だ。

 今回の合意で暫定政権とLNAが歩み寄れるかどうかに加え、各国の足並みがそろうかも注目される。【エルサレム高橋宗男】(毎日新聞01/21)

| | コメント (0)

2020年1月17日 (金)

中東情勢の急変貌

 イスラエルとイスラム圏各国との衝突による中東戦争が勃発したのは、第2次大戦がおわってから3年目、1948年である。

 石油を武器とするOPECの結成で世界経済をゆるがし、イラン・ホメイニ革命で米大使館が占拠されて以来、イラク戦争、アフガン戦争などアメリカは紛争介入が絶え間なく続き、ロシアの後方支援もあってイラク・シリア・アフガン・リビアなど分裂国家だらけとなった。

 その、最後に出現したのが、既存国家の枠を超えたISの跳梁である。

 ISは、既存国家である米・ロをはじめ、シーア派の本家イラン、同じスンニ派ではあるが、王国のサウジ、軍事独裁政権のエジプトから、寄ってたかってつぶされてしまった。

 ここに、戦後かつてなかったような変化が中東に起きようとしている。

 イスラム人口の9割を占めるというスンニ派の元締め役である、という自覚がサウジにはあった。

 それは、コーランがアラブ半島が中心となるアラビア語だけで唱えられ、他語への翻訳は許されていないこと、ムスリムの義務である聖地・メッカ、メジナが国内にあり、巡礼者への便宜供与をシーア派信者も含めて保証しているなどの自覚をよりどころとしている。

 それには、王国であってもスンニ派を統合するため「普通の国家」とは違うという立場が必要であった。つまり、国際舞台に立つようなことは、できるだけ避けてきたように思える。

 中東湾岸3カ国歴訪でサウジアラビアを訪問した安倍首相は、ムハンマド皇太子の招きで首都リヤドから約1000キロ離れた、世界遺産の古代遺跡「マダイン・サーレハ」を見物した。

 この遺跡の古さは、中国やエジプトなどに存在する世界最古の文明発祥の地としてもいいほどのものであり、もちろんマホメットなどは存在しない時代である。

 サウジは、この史実を国民教育に使うことはせず、観光地化も避けてきた。

 ところが、今年の主要20カ国・地域(G20)の議長国として、同国はG20観光相会合をこの古代遺跡近郊のウラーで開く予定にしている。

 皇太子は、アッラーのお恵みである石油資源がこの国を支えるという、これまで続いた慣習では国が持たないことを知っている。

 そこで、観光立国に舵を切り替えようとしているように見える。

 イランとアメリカの動向を、このところ書き続けてきたが、イラク・シリアの情勢も様変わりし、石油を軸としてきたアメリカの撤退も、遠くないような機運になってきた。

 安倍首相が、そんな変化をどこまで感じ取っているか、外務省の役人のアドバイスだけでは心もとないような気がする。

| | コメント (0)

2020年1月12日 (日)

イランの二転三転

 イラン情報に振り回されているので、これを続ける。

 ウクライナ旅客機がテヘラン近郊で墜落した件について、イランは自国のミサイル攻撃によるものであることを認めた。第一報が、ウクライナに対する謝罪表明に始まり、その影響を含め各方面から様々な形で伝えられた。

 はっきりしたのは、発射ミサイルは革命防衛隊からのもの、ということである。それは、責任者が国軍担当のロウハニ大統領ではなく、最高宗教指導者・ハメネイ師であることを示す。

 つまり、イスラム教シーア派の失態ということになってしまう。ホメイニ師革命以来前例がないことになる。

 ロイター通信が伝えるロウハニ大統領のコメントにある「破滅的な過ち」は、ペルシャ語にすると、どういう意味になるのか知らない。

 本塾はアメリカと「信頼度逆転」と書いた。同国の立場からは「破滅的な過ち」ということになるのだろう。

 ここから先、イランがどういう道をたどるのか、戦争か平和かの段階は、もはや超えてしまったようだ。

| | コメント (0)

2020年1月11日 (土)

対イラン、イメージ操作

 イランで起きたウクライナ旅客機墜落事件は、イランのミサイル誤射による撃墜説とイラン側の事故説の激しい情報合戦になった。

 イラン側は、回収したブラックボックスの公開・合同調査に応じるという発表をしている。ブラックボックスには、ボイスレコーダーとフライトレコーダーがある。

 操縦士の会話が聞けるボイスレコーダは、偽物を作ることが困難だし、フライトレコーダーがあれば、被爆による墜落かエンジン等機体の事故によるものかの判別は不可能でない。

 撃墜説を証明するには、ミサイルの航跡を示す電波とか、ロシア製ミサイルの破片と称する航空写真でもあれば公開して証明しなければならないが、証拠物件として公開できる範囲が限られ、ブラックボックスに対抗できるかは疑問が残る。

 イランの肩を持つ理由は毛頭ないが、この証拠合戦もイラン優位に進み、撃墜説が状況証拠だけに頼っている限り、イメージ操作は失敗するのではないか。

【追記】01/1116:59

  以下のニュースが入った。塾頭の状況判断の誤りになる。もしこれが正しければイラン・アメリカの信頼度が逆転する。

(CNN) イランの首都テヘランの国際空港で今月8日発生したウクライナ国際航空の旅客機墜落でイラン軍の統合参謀本部は11日、誤って同機を標的にし、撃墜したことを認めた。同国の国営プレスTVが報じた。😞

| | コメント (0)

2020年1月 9日 (木)

イランの危機解消?

 年明けと同時に始まった中東の緊張状態を見て、4日に「米・イラン戦争になるか」を取り上げた。

 そこで「(ハメネイ)師は、トランプがイラン側に戦争責任を負わせるためにぎりぎりの挑発をしていることをよく知っている。その手に乗るようなことはしないだろう」と観察しておいた。

 事態はそのように動いている。トランプも鉾を収めるタイミングと計算しているようなので、双方とも「平和の勝利」宣言で落着する可能性がある。

 さらに、米軍撤退が進めば、トランプの選挙にマイナスになるとは考えられない。そして、イランが核開発見合わせに復帰し、経済制裁がなくなれば、すべて「めでたし」で終わる。

 ただ、北朝鮮と同列に置いて考え、ロシアや中国の勢力範囲拡大が拡大することに、アメリカがどう対抗するかで頭を悩ますことになるだろう。

| | コメント (0)

2020年1月 7日 (火)

イランの穏健反応

 イランは、イラクに駐留していた革命防衛隊司令官をアメリカ軍の攻撃で殺害された件につき、報復を宣言していたが、司令官の喪が明ける日を過ぎても「核兵器の開発を無制限に進める」という抵抗措置を発表しただけだった。

 そして、IAEAの査察は従来通り受け入れ、透明性を確保するという柔軟なものだ。この点、核拡散防止条約を脱退した北朝鮮とは相当違う。

新聞論調などの中には、「第3次世界大戦前夜か」などと危機感をあおるものがあるが、見当外れだ。

 アメリカの狂気じみた非常識な挑発は、米国内にもトランプを批判する声が高まっているという。

 イランと対抗関係にあるイスラエルが核拡散条約に加盟せず、核戦力を隠し持っていることは世界の常識である。これに比べればイランの措置が報復と言えるかどうかも疑わしいほどだ。

 イラクは、自国内で何の了解もなくイラン司令官殺人に及んだアメリカを非難し、国会は米軍撤退要求を決議しているいるが、アメリカは逆に増派を検討している。

 この周辺11か国に7万人もの米兵がすでに派遣されている。そして、駐留費用をもっと分担しろ、などとトランプは吠えているのだ。

 安倍首相は、どこを向いたらいいのか迷っているのだろうか? 

| | コメント (2)

2019年12月28日 (土)

海自の中東海域派遣

 政府は27日、中東海域で航行する日本関係船舶の安全確保のための情報収集を目的として、海上自衛隊の護衛艦と哨戒機を派遣することを閣議決定した。

 この目的なら、海上保安庁でいいんじゃないの。当面、日本に攻めてくる国がありそうもないので、遊んでいるわけにもいかず、行くことにした?。とんでもない。自衛隊は、尖閣とか北朝鮮漁船監視で大忙しで手も空いていないのだそうだ。

 ある新聞によるとアメリカとイランの両方に顔を立てるためだという。しかし、そこまで行ってペルシャ湾の米合同作戦に加わらないのならアメリカの顔を立てたことにはならず、イランも忙しいならなにもそんな無理をしなくてもいいのに、と内心思っているに違いない。

 つまり、安倍首相周辺以外に、どこで誰も喜ぶ人はなく、余計な大金を浪費する計画に過ぎないというだけ。

| | コメント (2)

2019年12月20日 (金)

気になるカタールの行方

 湾岸の小国・カタールがサウジアラビアとよりを戻そうとしている。一時は国交断絶、イランに急接近していた。

 ということは、アメリカの中東支配にスンニ派国からノーを突きつけたことになる。国内にはシーア派住民の割合も多く、アラブサイドの発信基地として信頼されている衛星放送局・アルジャジーラがあることでも知られている。

 サウジとの離反は、エジプト同様、中東戦争の結果を受けてイスラエルと妥協し、現状維持を旨とする両国の姿勢を定着させた時から始まる。

 両国は地下組織・ムスリム同胞団をテロ組織に指定、エジプトでは、同胞団勢力が選挙に勝って政権についたものの、またたく間に現・軍事政権がクーデターで奪い返したといういきさつもある。

 カタールはイスラム同胞団の肩を持つことで、パレスチナ住民の物心両面の支えとなっていた。サウジはそういったカタール国の影の力を削ぐよう要求しているが、その圧力をバックについているイランやトルコに頼ってはね返せるかどうか。

 ここまでアメリカの名前が出てこない。その動静が気になるが報道でも影が薄い。かつて世界の石油を制覇していたサウジ・アメリカが、米国内だけで輸出能力が大幅に増え、世界の原油価格が低迷する中でサウジを無二の盟友とする必要がなくなったこと、アメリカ大統領選でユダヤ・ロビーの支持に見通しがついたことなどがあるのではないか。

| | コメント (0)

2019年12月 7日 (土)

日本人医師団殺害

 以下は、産経新聞の電子版からの引用だが、他のメディアでも大きく伝えている。

【シンガポール=森浩】アフガニスタン東部ナンガルハル州で、農業支援に取り組んでいた医師、中村哲さん(73)が殺害された事件で、州政府のミヤヘイル知事は6日、産経新聞現地スタッフの取材に対し、事前に中村さんが襲撃を受ける可能性があるとの情報があったことを明らかにした。情報の詳細については明らかにしなかったが、中村さんに関する警備を強化していたという。

 ミヤヘイル氏によると、武装グループは計5人で、2台の車に分乗し、中村さんが乗った車を追走。進行を遮った後、銃撃した。ボディーガードと運転手の計5人は即死状態だったとみられる。ミヤヘイル氏は、武装グループの詳細については語らなかったものの、「国外で犯行が計画された可能性も視野に入れている」とも示唆した。犯行には、アフガンなどで流通する自動小銃「AK47」(カラシニコフ)が使用されたとの見方も示した。

 事件の目撃者は、武装グループは襲撃後に車の内部を確認し、頭を上げた中村さんを見て、「まだ生きている」と叫び、再度発砲したとも証言している。武装グループは裾の長い民族衣装「シャルワール・カミーズ」を着ており、顔は隠していなかったという。

 アフガン国内では中村さんに哀悼の意を示す動きが広がっており、首都カブールでは5日夜、日本大使館周辺で追悼行事が開かれた。参加した市民はろうそくとともに日本とアフガンの国旗を並べ、中村さんの死を悼んだ。(以下略)

 この報道から憶測できることは、⓵州知事には犯人または犯人に近い筋から、詳しすぎるほどの情報を得ている。⓶州知事が情報を得られたのは、同じイスラム教徒として信頼がある。という点である。

 中村さんが「灌漑水利事業は医師としての医療行為の延長」としているが、それを認めていない根拠は、水利事業は居住民に対する、至って政治的な行為で、個人の範囲を超えると見なされたのだろう。

 もう一つは、それを仮にアメリカ人が企図したとしても、「経典の民(一神教のキリスト教・ユダヤ教徒を指す)」ならば、しかるべき納税・手続きにより許される。一神教を認めない偶像崇拝の国民の勝手な行動は、ムスリムの間から排除されなければならないということだ。

 犯人がタリバン、アルカイダ、ISいずれでうろうとも、また知事にアメリカの後ろ盾があったしても、こういった原理主義を理解している者として情報が得られるのだろう。

 あらかじめ警告しておいたのに無視した行為が、反イスラム的という解釈につながったのではなかろうか。

| | コメント (6)

2019年11月27日 (水)

イランのデモ、どう見る

 世界中、死傷者の出るデモがどこかで発生している。16日に発生したイランの大規模デモは、我々にとって唐突な感じがした。

 香港のデモが3月頃に始まり、その原因・経過が逐一報道され、今月の選挙実施に至った変化を追うことは比較的簡単だ。

 イランについては、アメリカの経済制裁によるガソリン価格の大幅値上げに対する抗議という、理由は別として、どうもホメイニ革命以後のイランの国情や、その後維持してきた「国の姿」に似つかわしくないのだ。

 日経新聞(11/27)がやや詳しい報道をしているので、それを引用する。

【ドバイ=岐部秀光】イランの首都テヘランなど各地で16日にガソリン価格の引き上げに抗議するデモが発生して1週間余りが経過した。当局は全土でインターネットを遮断するという強硬策でデモの拡大を押さえ込んだ。通信再開にともない、関連動画が公開され、当局が過剰に対応した可能性が浮上している。

デモの広がりは米国による経済制裁で経済状況が悪化するなか、市民の怒りが爆発寸前まで高まっている可能性を示す。国民の負担増にあえて踏み切らざるを得なかったイラン政府の財政事情も厳しさを増しているとみられる。

政府は15日、事前の予告なしに1リットル1万リアル(実勢レートで9円)だったガソリン価格を1万5千リアルに引き上げた。さらにこの「配給価格」で買うことができるガソリンの量を自動車1台につき1カ月60リットルに制限。それ以上を購入する場合には1リットル3万リアルにするとした。

発表は週末の深夜であったにもかかわらず、デモは瞬く間にひろまった。当局の対応も素早かった。16日にはネットの制限に着手。チャットアプリを通じた国外との通信もできなくなった。

最高指導者のハメネイ師やロウハニ大統領もデモの参加者を激しく非難した。治安部隊が過激化したデモの鎮圧のために強硬策に踏み切ったとの見方も広がる。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルはデモ参加者と治安部隊の衝突などで106人が死亡したと指摘する。

イラン当局は26日までに徐々にインターネットの規制を解除。これによってイラン市民が撮影したとみられるデモの動画が国外にも拡散した。真偽は不明だが、デモを沈静化するため革命防衛隊がマシンガンを用いたとされる動画がネット上に出回った。

 古代のペルシャ。文明の古さでは他にひけをとらない。

 40年前までは米・英の保護を受ける王政の国だった。それをくつがえし、国外追放されていた宗教指導者ホメイニが、民衆の歓迎するなかで迎えられイスラム・シーア派を代表する宗教大国を築き上げた。

 その過程で、アメリカ大使館を学生が占拠し続けるなど、アメリカの中東支配にとって唯一邪魔な国となった。

 イランは形の上で共和国であり、大統領もいる。しかし、外交、軍事は宗教指導者の意に背くことができない。さらに三権分立の上に存在する権威を持つ。

 イランの民衆行動は、これまでアメリカなどイランの尊厳を無視するような国に向けられてきた。

 それが今回は、国政に対する不満から生じている。ということは、宗教指導者にNOを突きつけているようにも見えるのだ。

 だとすると、複雑な中東情勢を判断するうえで、これまでと違った姿をイランが垣間見せたということになる。

| | コメント (0)

より以前の記事一覧