安保

2020年2月19日 (水)

焦点はフィリピンに

 フィリピンが国内での米兵の法的地位を定めた「訪問軍地位協定」の破棄を11日に米国側に通告し、両国の同盟関係が大きく揺らいでいる。このままだと8月に失効する見通しで、米軍との合同軍事演習もなくなる可能性がある。この地域で米軍の存在感が弱まれば、中国との領有権問題を抱える南シナ海の周辺国などにも影響が及ぶだろう。【ジャカルタ武内彩】(毎日新聞02/19)

 他のテーマを考えていたが、上の記事を見て変更した。ずーと長い間ウオッチする外電は中東だったが、フィリピンは、より日本に近くアジア全体に重大な影響をもたらすことになりそうだからだ。原因は麻薬取締の行き過ぎのようだがくわしいことはわからない。

 戦後、中学校で先生から聞いた話は、「3S政策」についてだった。

 スペイン戦争でフィリピンを奪取したアメリカが住民に施した政策は、3S、スポーツ・セックス・スクリーンでフィリピン人を洗脳し弱体化することで、アメリカ占領軍もきっとこの方針で日本に臨む、という内容だ。

 戦争中、日本軍は米軍をフィリピンから追い出した。守備を任されていたマッカーサーは「ここに必ず戻って来る」と言い残しその通りになった。

 そして、バターン死の行進、日本兵の悲惨な死、マルコス・アキノなど個性的な大統領、ミンダナオ島のイスラム勢力跳梁など様々な変転はあったが、南シナ海を挟んで中国と対峙、台湾の現状を維持するうえで、アメリカにとっては最前線基地だったのだ。

 本塾は、日米安保の地位協定改定に手をつけるよう主張しているが、フィリピンが一挙に破棄にまで進み、トランプが「気にしない、節約になる」などというようでは、安倍首相も慌てざるを得ないだろう。

 これからは、最優先でウォッチしなければならない問題だ。

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2020年2月12日 (水)

自衛隊の力

 改憲論者の中に「自衛隊は憲法違反とする学者が多いから、憲法に明記すべきだ」という理由をあげる者が多くなった。

 ちょっと前まで「命がけでことに当たる仕事をしているのに明記してない」とする意見が主だったが、本塾は、警官や消防士でも命がけで仕事に当たっているのに、どこが違うのか、と書いたものだ。

 最近は、912項をそのままにして、3項で安保法制を強行採決した時の論理にそうような条文を加えるという、安倍私案が跳梁している。

 本塾は、もともと自衛隊を憲法違反とは思っていない。設備などは、ミサイル防御システムのイージス体制、監視システム、短距離用の戦闘機、へり空母などの装備、或いは最近の島嶼不法占拠対処に備えた海兵隊のような組織など、予算から見ても軍隊といわれて反論しにくい規模だ。

 それをさらに複雑化しているのが「日米安保」である。講和後、アメリカ占領軍が撤収せず、冷戦激化の機運を受けて駐留を続けることになった。

 ただし、日本国内における革命勢力の破壊活動防止など、日本の治安維持のため「警察予備隊」を自前で持つように要請され、それが「保安隊」に名を変え、さらに「自衛隊」へと改組された。保守政権にとって将来軍隊の母体となる野望が当時からあったとしても不思議はない。

 しかし、岸首相が改定した新・安保条約は、日米両国が互いに両国憲法尊重の義務を課しているので、それに反することはできないことになっている。

 だから、安倍内閣が作った安保法制により、自衛隊が、日米安保条約を理由に米軍と共同行動をとった場合、9条などにとらわれない米軍と行動を別にしなければならない事態が生ずる。

 日本はアメリカに守ってもらっている。だから協力しなければならない。そこで思考停止するので、沖縄をはじめとする基地問題解決が遠のいてしまう。

 繰り返すが、日米安保では憲法遵守を前提に置いている。そこで、条約の様々な矛盾を法的に合理化させるための道具が「地位協定」など2国間協定で、できてしまうと条約と同じ効果を発揮し、どうかすると憲法の上をいく。

 そういった事態を回避するため、従来は、我が国に集団的自衛権は存在するが行使できないという政府の見解を、安倍内閣は法制局長官の首をすげ変えて「行使しうる」に変えてしまった。

 そうすると、自衛隊が憲法違反行為に巻き込まれる可能性が限りなく増大する。

 つまり、自衛隊員は非常に不安定な状況に立たされていることになる。言葉は悪いが、いつもの安倍首相のズルイ手口だ。こうしておいて、一挙に法改正に持ち込まれるのだ。

 この際、野党は、自衛隊の存在を認め、装備は、航空母艦はダメ、長距離爆撃機はダメ、ICBMはダメ、活動範囲は、領土・領海をこえない、国連の認めない公海での活動はダメ、国連が取り上げる核・生物・化学兵器、地雷などの禁止賛成といった、自衛隊活動制限規範を作って自民に対抗すべきではないか。

 本来なら、軍事機密に属することだが、集団的自衛権を解除し、軍隊でないのであれば隠しておくことに意味がない。

 集団的自衛権に頼らなくても、日本の自衛を担保するために、他国攻撃戦力のない現在の自衛隊規模や、平和憲法さえあれば、自衛には十分だ。

 

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2019年11月17日 (日)

在日米軍は雇兵?

 米外交誌フォーリン・ポリシーは15日、複数の米政府関係者の話として、トランプ政権が日本政府に対し、在日米軍の駐留経費負担(思いやり予算)を約4倍の約80億ドル(約8700億円)に増やすよう要求していると報じた。7月に当時のボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)らが訪日した際、要望を伝えた。

 以上は毎日新聞(11/17)による。

 日米安保条約は、双方の国の憲法を尊重するという前提で成り立っており、条文の中でもそううたわれている。

 トランプは、アメリカが日本を守る義務を負っているのに、日本には、アメリカを守る義務がないのは不公平だから駐留経費をもっと負担させろ、という論理だ。

 沖縄県は米軍基地を辺野古に拡張することを拒否している。基地は海兵隊の訓練に使われる。海兵隊は敵前上陸をして、敵国内を制圧する目的を持つ軍隊だ。ベトナムもイラクもここから出て行ったし、韓国防衛目的の海兵隊も沖縄から移駐している。日本を守るためではないのだ。

 横須賀に遠距離爆撃にも使えるアメリカの原子力空母を常駐させるのも、日本領海と島嶼を守る目的で自衛隊が戦闘機の発着ができる母艦を備えたので必要性が薄らいだ。

 米占領軍が、冷戦の激化にともない、日本に駐留基地を維持するために受け継いだのが旧安保条約だ。

 別段、日本が頼んだわけではない。トランプの勝手な思い込みを真に受けることはない。断ろう。断ろう。

 安保条約を破棄する必要はないが、駐留費用が大変なら、遠慮なく撤兵してもらおうじゃないか。穴は、平和憲法下の自衛隊が埋める。

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2019年6月26日 (水)

トランプ、日米安保破棄発言

(朝日新聞デジタル06/26)

米ブルームバーグ通信は24日、トランプ大統領が最近、親しい人物との私的な会話のなかで、日米同盟の基盤となる日米安全保障条約は不平等として、破棄する可能性について言及したと報じた。日本が他国から攻撃を受けると米国が防衛の義務を負うのに、日本には米国を防衛する必要がないことを「一方的」などと批判したという。(中略)

 このニュースは、メディアにより扱いがまちまちである。塾頭が購読している毎日新聞では、ベタ記事の隣に一段見出しの見落としそうな記事であった。私的な会話を1通信社が伝えただけのものとして軽視したのかも知れない。

 しかし、日々発せられる「とんでも発言」に世界が振り回されている。彼の本音と情報操作ねらいを読みとるためには、いろいろな分析の中から、アメリカの政治が赴く方向を見極めなくてはならない。

 むしろ、メディアを意識せずになされた私的な会話の中に本音の部分があるかも知れない。前記引用記事の最後は、こうなっている。

同通信によると、トランプ氏は日米両政府が進める沖縄の米軍基地の一部返還について、「土地の収奪」として金銭補償を日本側に求める考えも示したという。特に、2022年度以降の返還で安倍政権とオバマ前政権が合意した米軍普天間飛行場(宜野湾市)の土地は、約100億ドル(約1兆700億円)もの価値があると発言したという。

 3回前の22日「戦争と武力行使の差」で、トランプ発言は、まるで不動産屋のようだ、と書いた。今回の発言は、そのままズバリ。そもそも普天間基地の土地を収奪したのは米軍で、現在でも敷地の約92%は現地農民などの私有地になっており、60億円台の借地料が政府から支払われている。

 トランプは、土地を返すのなら100億ドル払え、と、まるで自分の土地であるかのような言い分だ。もつとも彼にすれば、70年もわが土地のように使ってきたのだから、「占有権」の存在を主張するつもりだろうか。

 日米安保条約破棄は、本当は日本の方から言い出さなければならない。それを言うと友好関係にひびが入る、というのが日本の一貫した外交姿勢で、口が裂けても言えないことだった。

 それをトランプの方から言い始めたのだ。もちろん、日米の友好関係はかけがえのないものである。日米安保維持の価値判断、費用負担の妥当性、他国に例を見ない外国軍隊基地の常駐と安全保障、自衛隊と自主防衛の在り方など、これまで避けてきたことが「不動産屋」から見ると不思議な現象に写るのだろう。

 アメリカ国民の支持が続いているのは、この無法者のような物言いが、庶民に目新しきを感じさせているせいかもしれない。

 そういった点は、参院選を前にした最大野党の立憲民主党幹部が利用すべきだ。米軍基地を前提とした現行安保の廃棄など公約として掲げるほどの器量がなければ、世間の注目を集めることができない。

 

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2018年12月20日 (木)

アメリカに物申した首相

外務省は19日、外交文書22冊を一般公開した。1957年6月の岸信介首相の訪米や、米ソによる中距離核戦力(INF)削減条約交渉への日本の対応に関する極秘文書が柱。日米間の半導体協議、沖縄返還交渉を巡る記録も含まれる。

驚かれるのは、アメリカの太平洋・アジア戦略を中曽根首相が変えさせたことである。独立国なら当然な振舞なのに、沖縄普天間基地移転先ひとつについて交渉もできない現状との違いが歴然としているのである。

このブログは、「安倍批判」しかないという書き込みをいただいたことがあるが、そうなっても仕方がないのだ。

旧安保を一歩前進させ、10年という有効期限をつけさせた祖父の岸信介元首相は、戦犯だったとはいえそれなりの経験からくる信念と見識が感じられる。

三角大福中と言われた自民の先輩首相時代も、支持はしなかったものの、今から考えれば外交を含め、国民の意思にそったまっとうな選択が行われていたのだ。中曽根氏は、暇を見つけるとお友達とゴルフではなく、別荘で座禅を組んでいた。

以下、毎日新聞12/20より引用する。

(前略)アジア向けに配備したソ連の中距離核ミサイル「SS20」を半分残す案に傾くレーガン大統領に対し、中曽根康弘首相は全廃を要求。米側に翻意を働き掛けるよう指示する駐米大使宛て訓令書も明らかになった。

こうした日本側の訴えが奏功し87年、米ソの全廃合意につながった。被爆国の反核世論を意識しながらも、米国の核抑止力を重視してきた日本が大国間の核軍縮交渉に影響を与えた異例のプロセスが浮き彫りになった。(中略)

 外務省は駐米大使向けの「IMF交渉訓令」(10日付)も作成。アジアでもINF全廃を達成するため、米側に態度変更を迫るよう厳命した。(後略)

 

 

 

 

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2018年11月22日 (木)

防衛計画の大綱

 「防衛計画の大綱」が5年ごとに改定されることになり、政府が年末までに策定する。これについて、岩谷毅防衛相は「敵基地攻撃能力」の明記を見送る方針を示した。前防衛相の小野寺五典は「今回の大綱には入らないと思う」と発言している。

 ところが、何代か前の防衛大臣・中谷元は異論を示し、自民党内でも批判が噴出している。ということは党内のタカ派を抑え、安倍首相が慎重になっているとも読める。日頃目の敵の安倍首相だが、これには塾頭も賛成する。

 今でも、ミサイル監視網や戦闘機、巡行ミサイルその他の組み合わせで、敵基地攻撃能力がないとは言えないのではないか。あってもなくても、そんなことを公言する必要があるのかどうか疑問だ。自衛隊はあくまでも現・憲法下の存在である。

 軍隊ではなく、戦争もしないことになっている。かりに、敵基地攻撃能力を行使する事態が起きるとしよう。敵は民間の邦人を基地に集めて人質とするだろう。これを救出するため陸戦隊が派遣される。当然、双方に犠牲者が出る事態となる。

 最大限可能なことは、敵のミサイル発射直後に軌道計算を行い、領空に達しなくても撃墜する能力を持つことではないか。基地を攻撃すれば人的被害も出る。戦争はそこから始まる。

 自衛力とは、領海・領空・国土を侵されないよう万全の体制をとることである。攻撃が最大の防御であることは当然だが、それで真珠湾という苦い経験もしている。

 ただ、国防に関心がなく、他国に頼ることしかしなかった旧朝鮮のような存在は、地域に不安をもたらし平和を乱す要因になりかねないことも自覚すべきだ。

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2018年10月 9日 (火)

首都圏・沖縄の共通点

新聞休刊日の今日、TVのニュースショーは、築地市場の豊洲移転で市場お休みとか貴乃花問題蒸し返しなど気の抜けてようなテーマの繰り返し。

その中で圧巻だったのがテレビ朝日の羽鳥モーニングショーだった。番組紹介のかわりに昨日の新聞ラ・テ欄をたしかめるとこうある。

羽田空港新ルートピンチ! アメリカとの合意まだ……。これだけ見ると空港の東京市街上空を通過する新ルートが騒音問題などで未定になっているという、これまでの報道を取り上げただけかと思うが、中身は違った。

横田基地の存在を理由に、東京都の大部分と埼玉、神奈川、群馬上空の航空管制権が日本になく、日本の飛行機はそこを避けて迂回を余儀なくされているという、占領以来続いている治外法権の詳しい内容だ。

事故が起きても日本の法律は適用されず、その判断はアメリカに有利なものになるという、まさに沖縄住民が抱えている不安と同じ状況が首都圏にもあることに国民が気づいていないという点を改めて指摘した。

このような不合理は、同じ敗戦国であるドイツ・イタリアにも存在せず、国際的に見ても異様な関係になっている。問題は日米安保条約である。条約本文にはそんな表現はない。問題は「地位協定」である。

歴代政権は民主党なども含め、この改定に取り組んでこなかった。むしろ外交上はノータッチでいることが友好維持のかなめと考えていた。唯一大きな声をあげていたのは、石原慎太郎だけである。

現・河野外相もそのことはよく承知しているが、担当大臣となったことで口封じ同様の立場になってしまった。そこへ起きたのが、翁長氏に代わる玉城沖縄県知事の出現である。

今こそアメリカに相談を持ち掛ける絶好のチャンスである。米軍の存在によって、空路の遠回りを70年以上も続けざるを得なかった日本の損害や負担金の額は、計算できないものの関税不均衡などに劣らないのではないか。

そういったことを感じさせる番組だった。

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2018年10月 3日 (水)

辺野古とアメリカ世論

【ワシントン=座波幸代本紙特派員】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は1日、米軍普天間飛行場移設に伴う沖縄県名護市辺野古の新基地建設計画に反対する玉城デニー氏の県知事選当選を受け「沖縄の米軍駐留を減らすために」と題した社説を掲載し「日米両政府は妥協案を見いだすべきだ」と新基地計画の再考を促した。(琉球新報10/3

塾頭は以前から「普天間基地の辺野古移転は、政府自民党が意地を張っているだけ」と考えていた。アメリカにとって、米海兵隊を沖縄に張り付けておくメリットがベトナム戦争当時と違ってきたからだ。

米軍基地を置けば、日本の思いやり予算もついて、米本土より安くつくということは、これまでも指摘してきたが、それが沖縄の辺野古に普天間から海兵隊を移すということと関係がない。

ベトナムに近く、海兵隊の訓練には辺野古より北の演習地がベトナムのジャングルと似ていて好都合、などともいわれたことがある。

中国をにらんで?。自衛隊をさし置いて、アメリカが無人の尖閣諸島を守りに行くわけはない。台湾有事で派遣すれば空前の人的被害覚悟、ということにもなる。

戦争の姿がすっかり変わった。陸戦隊で敵国を占拠、首都制圧という古典的戦法が通用するのは内戦だけで、大国は武器援助、軍事指導、無人機攻撃、サイバー攻撃など人的損害なしの方向に進む。

その上で、沖縄の基地問題でアメリカの世論が変化するだろうことは予測していたが、前述の記事でそれが見えてきた。玉城新知事が政府に対しアメリカとの協議で政策変更を促す考えは、それを踏んでのことだ。

日米安保堅持は、政府・自民党にとっての金科玉条であって、一度決めたことは野党に指一本触れさせない、という伝統的な向米一辺倒主義が支配している。また、アメリカにとっても居心地のいい関係で日本を引き付けておくため、政府の足元をすくうような言動はできなかった。

いずれにしても、法廷闘争などは、姑息な手段に見えてくる。玉城氏には、よりアメリカ世論に訴える力があると思うので、その方向の活躍も期待する。

 

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2018年9月18日 (火)

安保法制の危険目前に

首相は、総裁選の演説で、外交での成果をことさらあげていいる。例として「アメリカとのこれまでにない緊密な関係構築」に触れたが、その中味は言っていない。

本塾は前々回の「首相の外交センス」で、途上国へのバラマキ外交以外には、主要国をはじめ拉致問題など何の進展も見られず、トランプとの「特別な関係」も経済などで色あせてぎくしゃくしていると書いたことに矛盾する。

そこへ、今朝の毎日新聞に「シナイ半島 停戦監視へ陸自派遣検討 安保法を適用」という記事が出た。

はは〜んこれか。

ぎくしゃくの中には、トランプのイスラエル大使館エルサレム移転に同調せず、イスラエルの脅威であるイラン制裁にも消極的な態度がトランプのお気に召さなかったという事情が隠れているはずだ。

記事の中にある「シナイ半島駐留多国籍軍・監視団(MFO)」とは何か。40年近く前の1979年3月、エジプトとイスラエルが激しく戦った中東戦争の後始末として、キャンプ・デービッド合意に基づき、ワシントンD.C.で署名されたエジプト・イスラエル両国の他、イスラエルの支援国であるアメリカ署名した条約に基づく。

記事は、次のように続ける。

安全保障関連法で可能になった「国際連携平和安全活動」の初めてのケースとなる。政府は現地の治安情勢などを見極めながら、派遣が可能かどうか慎重に検討を進める。

自衛隊の国連平和維持活動(PKO)への部隊派遣は昨年5月の南スーダン撤収で途絶えており、「積極的平和主義」を掲げる安倍政権は新たな派遣先を検討していた。ただし、シナイ半島はイスラム過激派の活動で治安が不安定な地域があり、当面は司令部要員の派遣にとどまる見通しだ。

国際連携平和安全活動は改正PKO協力法で規定され、自衛隊が国連主導ではない、欧州連合(EU)などの国際機関の要請による人道復興支援や治安維持活動に参加できるようになった。紛争当事者の停戦合意などPKO参加5原則を満たすことが条件。隊員は同じく安保法で規定された「駆け付け警護」もできる。

MFOは1979年のエジプトとイスラエルの平和条約に基づき多国籍軍の形式で展開している。本部はローマで、昨年現在で欧米など12カ国が約1160人の軍人を派遣し、日本も88年から資金援助している。(後略)

それが現在も続いているわけだが、40年間にその政策・環境が全く変わってしまった。エジプト・シナイ半島はイスラエルと境を接しており、長い間エジプト市民の支持する「穏健なイスラム原理主義」と称された「ムスリム同胞団」がパレスチナ人に人道的支援を続けパレスチナ・イスラエルの融和も図ってきた。

一変したのは、いわゆるジャスミン革命で同胞団の支持する政権が生まれたものの、軍部がクーデターで倒し、シナイ半島に逃げ込んだ同胞団をテロリスト扱いにして厳しい弾圧を加えてからである。

このため抵抗も武力に頼らざるを得なくなり、ISを名乗る一派も生まれるようになった。

MFOがエジプト政府の意を受ければ、こういったいわゆる「テロリスト」と対立関係を生む。それはアメリカとイスラエルにとって好都合であり、日本の参加はその実効や人数は別として多大な宣伝効果があると思われる。

首相は、これで「ぎくしゃく解消」ができたと踏んでいるのだろう。泥沼にいったんはまり込むと参加するより抜ける方が困難になる。憲法の趣旨にまったく反した方向へまっしぐら、を止める人はいない。

 

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2018年9月 1日 (土)

沖縄知事選にかける

沖縄県は昨31日、辺野古沿岸部の埋め立て承認を正式に撤回した。急逝した翁長前知事の遺志を継いだ副知事がその旨を発表、政府は前回同様、これを裁判で覆すよう考えている。

辺野古移設の是非を争点に9月30日投開票される知事選があるので、政府の申し立てはその後のことになると見られる。

選挙は、佐喜真淳(さきま・あつし)氏が自民党、公明党の推薦を受けて立候補を表明していた。「オール沖縄」という基盤に立っていた翁長氏の後継候補者は、二転三転していたが8月29日になって自由党幹事長の玉城デニー氏が正式に出馬表明をした。

佐喜真氏は辺野古移転の反対を口にするが、政府側との落としどころを探っているようにも見える。その点玉城氏の主張は、国会選挙を通じて明白であり、日本維新の会を除く全野党の支持に期待する。

よく言われる「弔い合戦」、そんな矮小な一地方選ではない。県民の中には、「どうせ国には抵抗しきれない」と、抵抗疲れ諦めの心境を漏らす人もいると聞く。

国連をはじめ世界が注目(下記参照)しているのだ。これまで、本土住民の無関心が云々されてきたが、この知事選で玉城氏が圧勝すれば安倍首相へのダメージが決定的になり、その逆であればますます好戦的外交政策を強め、念願の改憲にも自信を持つだろう。

もはやお互いに無関心は許されない。トランプ大統領に政策見直しを迫るチャンスでもある。棄権だけは避けていただくよう県民にお願いする。

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831 09:56 (琉球新報) 

国連人種差別撤廃委員会は30日、対日審査の総括所見を発表した。日本政府に対し、沖縄の人々は「先住民族」だとして、その権利を保護するよう勧告した。米軍基地に起因する米軍機事故や女性に対する暴力について「沖縄の人々が直面している課題」と懸念を示した。その上で「女性を含む沖縄の人々の安全を守る対策を取る」「加害者が適切に告発、訴追されることを保証する」ことなどを求めた。同委員会が勧告で、差別の根拠として米軍基地問題を挙げたのは2010年以来。

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