戦争責任

2020年8月11日 (火)

「文民」と「武民」

 ややさかのぼるが、自衛隊初の女性将官となった空将補に昇任した自衛隊員が美人ということで評判になった。退官までつとめるとして、防衛省の役職につくとか政治家になるとか防衛大臣になるとかの道はあるのだろうか。

 最初にひらめいたのは、憲法の文民統制条項である

第六十六条[内閣の組織、国務大臣の文民資格、国会に対する連帯責任]

⓵②略

⓷内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。

 ここから見て、無理かな――と思ったのだが、この条文はあり得ないことが書いてあることに気が付いた。

 「文民」という言葉の意味を確かめた。漢和辞典その他いろいろ見たのだか、由来などをくわしく書いたものがない。つまり「シビリアンコントロール」の直訳であろうというのが結論である。

 英語のシビリアンを見ると、一般市民をいい、現役の軍人・聖職者でない人などと解説されている。だからかつて軍人であった経験のある人、退役した人でも過去がそうであったからシビリアンの資格なしとはできない。

 それだけではない。自衛隊は憲法上「軍隊」でないので、現役であっても「シビリアン」なのである。

 本塾は「護憲派」といわれるが、こんな矛盾に充ちた条文がなぜ生きてたいるのだろうか。憲法制定当時のことを思い起こすと、次のような状況下にあったことは確かだ。今、特にいじることはないが、時期を見ていずれ抹消すべきだろう。

 アメリカの要請で警察予備隊ができ、それが自衛隊に編成される過程で、旧軍部の要人が大勢参加した事実がある。GHQはそういったメンバーが主導権を握って日本が再び軍事国家となることのないようにした。

 もう一つは、ソ連を中心とした共産主義革命が破竹の勢いで進んでおり、対日講和締結後にいずれの日か独立国として軍隊を持つ可能性がある。その時、かつて日本がたどったような過ちを犯さないようにしておかなければならない。

 しかし、現憲法下では実態は、軍事的組織の予算、人事、そして行動につき、その「最終的な」命令権が、軍事的組織そのものにはなく政府や議会にあることが制度的に保障されている状態があり、それが歯止めとして機能している。

 ややこしいので、自民の9条改憲案に紛れ込ませるようなことのないよう、しっかり監視し、議論しなければならない。

 ひとつつけ加えておきたいのは、古来、武力抗争上の外交判断、戦利・戦略・武力など、武官は直接自身や部下の命にかかわってくることなので、文官の無責任な暴走よりはるかに優れたものがある――それをどう生かすか、これも真剣に考えておかなければならない。

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2020年8月 7日 (金)

日本政治の立秋

 今日、8月7日は立秋。

 日本が第一次大戦の戦勝国から二次大戦敗戦の 冬に向かう分かれ目が1936年(昭和11)8月7日である。

 広田弘毅首相のもと外・蔵・陸・海の5相会議で「国策の基準」を採択。続く蔵相を除く4相会議で「帝国外交方針」を、日・満・支共同の対ソ防衛・赤化防止防止対策とし、日独提携などを目標とすることを決めた。

 つまり、この日が日本政治の大きな変わり目だった、と言えるかもしれない。

 このところの桐一葉は、落ちそうにもなくへばりついている。

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2019年5月31日 (金)

議会の死んだ日

 82年前の今日、その年のはじめ以来陸軍の政治関与により、国会はマヒ状態に陥る。2度の政変を経て就任した陸軍出身の林銑十郎首相も、職を投げ出した。この後を継いだのが華族出身の近衛秀麿である。

 そして、7月7日、中国・盧溝橋で偶発的軍事衝突をきっかけに日中戦争が始まった。ここから8年間「さきの戦争」が続いたのだ。その年の5か月間に何が起きていたかを略記しておく。

1937年(昭和12
1/21
 第70回帝国議会において立憲政友会の浜田国松衆議院議員が反軍演説。

「近年のわが国情は特殊の事情により、国民の有する言論の自由に圧迫を加えられ、国民はその言わんとする所を言い得ず、わずかに不満を洩らす状態に置かれている。軍部は近年自ら誇称して(中略)独裁強化の政治的イデオロギーは常に滔々として軍の底を流れ、時に文武恪循の堤防を破壊せんとする危険がある(後略)」

 これを軍人に対する侮蔑とする陸軍大臣との間で腹を切れという応酬に発展、議場が大混乱におちいった。このため、広田内閣は事態収拾不能で総辞職。その後以下の経過をたどり、軍部専横が決定的になる。

1/25 宇垣一成(陸軍大将)に大命降下。陸軍が陸相候補を推薦せず組閣失敗で4日目に組閣辞退。

/2 林銑十郎(陸軍大将)内閣成立。閣内、政党出身者ゼロ。

3/31 議会刷新を理由に抜き打ち解散。 4/30 総選挙。

5/31 林内閣、軍部・政党の支持を失い総辞職。

/4 第一次近衛文麿内閣成立。

 

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2018年11月13日 (火)

ロヒンギャと日本

ASEAN首脳会議が今日から3日間の予定で行われる。開催地はシンガポールで日米中ロなどが参加する。安倍首相は南シナ海の緊張を取り上げるつもりだが、米大統領・トランプは代理出席となる。

ビルマのロヒンギャ難民問題も議題にあがる。しかし、日本の関心はあまり高くなく、その経緯についての知識も複雑でよそ事のようだ。そこでウイキペディアをのぞいてみた。

第二次世界大戦中、日本軍が英軍を放逐しビルマを占領すると、日本軍はラカイン人仏教徒の一部に対する武装化を行い、仏教徒の一部がラカイン奪還を目指す英軍との戦いに参加することになった。これに対して英軍もベンガルに避難したムスリムの一部を武装化するとラカインに侵入させ、日本軍との戦闘に利用しようとした。しかし、現実の戦闘はムスリムと仏教徒が血で血を洗う宗教戦争の状態となり、ラカインにおける両教徒の対立は取り返しのつかない地点にまで至る

ラカインとは、ロヒンギャも住むミャンマーの州の名前だ。11日の第一次大戦終結記念日に続き、安倍首相に戦争責任の自覚がどこまであるか、というよりないだろう。

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2018年8月 6日 (月)

日中朝韓関係のトゲ

  安倍首相は北朝鮮の金正恩、中国の習金平両首脳との接触・会談を盛んに模索している。しかし、トランプのようにうまくは進まないだろう。理由は、首相が相手を信頼していない以上に、相手からも信用されていないことによる。

のどに刺さった骨は「靖国問題」である。今年の終戦記念日の首相参拝は断念したとのことである。例により「私的に玉串料を奉納」とすることになるのだろう。

余計に悪い。自民党や「ゆ」党の一部議員たちのように、信念に基づくものなら理由を明らかにして堂々と参拝するべきだ。信念の内容正否は別として、中国・北朝鮮は安倍首相不信の理由を正面に掲げ、反論することになるだろう。

その上で、金・トランプ会談のように主張の違いを乗り越えて会談が実現するかも知れない。このままでは、いつまで経っても煮えきれない相互不信の関係が続く。

過去、ご存知のように友好関係を発展させる機会は、安倍首相以外の自民党内閣でもしばしばあった。小泉元首相も、靖国参拝を断念したり断行したりだったが、個人の信念というより、自民党に強い影響力を持っていた遺族会や、党内右派への配慮があった。また、当時A級戦犯合祀について国内で盛んに議論が行われていた。

国内議論に決着をつけ、平穏な慰霊環境をつくるための打開策もいくつか提案されていた。こういった環境の下で、小泉首相は訪朝し拉致被害者の何人かを連れ帰ることができた。北朝鮮も日本の国内議論を承知していたのだ。

その際の、日朝合意が破られたとする不信感が増幅し、現在に至っている。これを解消させるには安倍首相では無理だ。基本的に靖国問題は国内問題であり、日本で決着をつけなくてはならない。マスコミも靖国問題を再燃させる時期に来ている。

小泉時代までは、そういった議論が盛んに行われたが、戦争議論の風化が進み、今や嫌中・嫌朝、反日といった次元でしかものを見ない風潮になってしまった。

以下、関連する事項を列記しておく。

【安倍首相の歴史認識】

2015520日に行われた党首討論で、共産党の志位和夫委員長は安倍晋三首相に、ポツダム宣言に関する認識を質問した。

志位氏は「過去に日本が行った戦争は、間違ったものという認識はあるか。70年前に日本はポツダム宣言を受け入れた。ポツダム宣言では、日本が行ったのは間違った戦争だったと明確に記している。総理はこの認識を認めないのか」と聞いた。これに対し、安倍首相は「ポツダム宣言は、つまびらかに読んではいないが、日本はポツダム宣言を受け入れ、戦争が終結した」と述べた。

ポツダム宣言は、1945726日、ドイツのポツダムにおいて、アメリカ・イギリス・中国(のちにソ連も参加)が発した対日共同宣言。日本に降伏を勧告し、戦後の対日処理方針を表明したものだ。

【ポツダム宣言】

 吾等ハ日本人ヲ民族トシテ奴隷化セントシ又ハ國民トシテ滅亡セシメントスルノ意圖ヲ有スルモノニ非ザルモ吾等ノ俘虜ヲ虐待セル者ヲ含ム一切ノ戰爭犯罪人ニ對シテハ嚴重ナル処罰ヲ加ヘラルベシ日本國政府ハ日本國國民ノ間ニ於ケル民主主義的傾向ノ復活強化ニ對スル一切ノ障礙ヲ除去スベシ言論、宗教及思想ノ自由竝ニ基本的人権ノ尊重ハ確立セラルベシ

【終戦の詔勅】

朕深ク世界ノ大勢ト帝国ノ現状トニ鑑ミ非常ノ措置ヲ以テ時局ヲ収拾セムト欲シ茲ニ忠良ナル爾臣民ニ告ク

 朕ハ帝国政府ヲシテ米英支蘇四国ニ対シ其ノ共同宣言ヲ受諾スル旨通告セシメタリ

【東京裁判】

この裁判は連合国によって東京に設置された極東国際軍事法廷により、東条英機元首相を始めとする、日本の指導者28名を、「平和愛好諸国民の利益並びに日本国民自身の利益を毀損」した「侵略戦争」を起こす「共同謀議」を「1928年(昭和3年)11日から1945年(昭和20年)92日」にかけて行ったとして、平和に対する罪(A級犯罪)、人道に対する罪(C級犯罪)および通常の戦争犯罪(B級犯罪)の容疑で裁いたものである。「平和に対する罪」で有罪になった被告人は23名、通常の戦争犯罪行為で有罪になった被告人は7名、人道に対する罪で起訴された被告人はいない。裁判中に病死した2名と病気によって免訴された1名を除く25名が有罪判決を受け、うち7名が死刑となった。日本政府及び国会は1952年(昭和27年)に発効した日本国との平和条約第11条によりこの(the judgments)を受諾し、異議を申し立てる立場にないという見解を示している。

【昭和天皇の参拝中止】

昭和天皇は、戦後は数年置きに計8度、靖国神社に親拝したが、19751121日を最後に親拝が行われなくなり、今上天皇も親拝を行っていない。この理由については、昭和天皇がA級戦犯の合祀に不快感をもっていたことを理由とする主張と、1975年当時の三木武夫首相が同年の終戦の日の参拝の後、「総理としてではなく、個人として参拝した」と発言した事を理由とする主張とがあった。昭和天皇が合祀に不快感をもっていたことを記録した「富田メモ」や、内容を裏付ける『卜部亮吾侍従日記』に基づき、松岡洋右と白鳥敏夫の合祀が天皇の親拝を妨げていたと考える説もある。

【最高裁判決】

大阪地裁は、合祀に国が協力した行為は政教分離原則違反で違憲であると判決した。201111月、最高裁により確定した。

色々あった議論

A級戦犯だけを別の場所へ分祀する。
・一宗教法人として残し、国家の関与をなくする。
・靖国神社とは別に宗教を離れた戦没者慰霊施設を設ける。
など

 

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2016年12月 8日 (木)

オバマ、トランプ、真珠湾

 75年前の今日、日本は宣戦布告通知が米側に届かないままハワイ真珠湾の海軍基地を急襲した。これに関し、オバマ大統領と次期大統領になるトランプ氏は、それぞれ声明を発表した。(12/8毎日新聞・東京・夕刊)

 オバマ氏は「攻撃で2400人を超える米国の愛国者が命を失った」とし、犠牲者を追憶し、遺族らをたたえると表明した。

 そのうえで「(当時の)敵国が最も緊密な同盟国に変わった証左として、今月下旬に安倍晋三首相と戦艦アリゾナ記念館を訪れるのを楽しみにしている」と言及。「この歴史的な訪問は、和解の力と、75年前には想像できなかった同盟関係で結ばれた日米両国が、より安定した世界のために手を携えて働いていくことの証しとなる」と強調した。

 一方、トランプ氏は「(犠牲となった人たちが)分かち合った犠牲は、我々が享受している自由を守るために先人たちが支払った大きな代償を思い出させる」と指摘。「米国にとっての敵国は過去75年間で変わってきたが、レーガン大統領がかつて言った『平和を追求するには、勝利に代わるものはない』という事実は変わらない」と述べた。

 最後のトランプ氏の、レーガン大統領発言を引用した部分、戦争はいつも自国が正義で必ず勝つと思い込んでいるアメリカ――。塾頭の最も嫌いな面である。戦時中の日本そのまま、低レベルの俗論が支配して反省するところがない。

 今なお絶えることない戦火。アメリカがかかわっていないケースがどれだけあるだろうか。世界の警察官気取りはやめたのではなかったのか?。

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2016年8月15日 (月)

象徴天皇③

 8日に、天皇個人の思いという形で「おことば」が発表された。その核心は「既に80を越え、幸いに健康であるとは申せ、次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」ということにつきる。

 ほかに、摂政制度の採用を疑問視したり葬送行事などの煩雑さに触れた部分があるが本筋からはずれた話だ。やはり、象徴天皇のありかたを追求し、信ずるところを完遂しなければならないという点に比重がかかっているように思う。

 マスコミは一斉に「天皇退位の意向がにじんでいる」と報じ、手早く「退位に賛成か、反対か」などというアンケートを実施し85%が賛成などという結果を示している。塾頭は、おことばの中で退位には一切触れていないことから、勝手に「日本国民の総意」などと解釈されるのではないかと、はなはだ危険を感じている。

 簡単に退位というが、それが法的、とくに憲法がらみで実現できそうにもないということは、天皇が一番よく知っているはずだ。それを承知の上で何故?という疑問がわく。ネット論壇の中で、参院選の結果などから安倍右傾化路線まっしぐらという状況に、天皇があえて一矢報いるハードルを設けたのではないかとする説がある。

 にわかに賛成しかねる憶測だが、今日の終戦記念日の戦没者慰霊式の安倍首相の式辞と、天皇のおことばには、大きな差があった。この差はもう2年連続のことだとされるが、安倍首相の戦争責任の回避へのこだわりが大きく国益を損じていることに、全国民は早く気が付いてほしい。

天皇:過去を顧み、深い反省とともに……
首相:歴史と謙虚に向き合い……

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2015年10月 1日 (木)

買ってしまった『正論』

 先月29日の記事「アメリカ石油生産トップに返り咲き」で、日本の「敗戦の原因は、原爆やソ連参戦ではなく、精神論だけで科学的判断が下せなかったを軍部の責任である。開戦の段階で充分予測できたことなのに、見通しもなく突っ込んでしまったからだ」と、石油輸入ゼロのもとでの無謀な戦争だつたことを書いた。

 そしたら、今朝の新聞の広告欄で、雑誌『正論』――大東亜戦争は無謀ではなかった、とあるのを見つけた。「おもしろそう!」。ほかにも保守系雑誌御常連”西”トリオ(中西輝政・西尾幹二・西部邁)そろい踏みで、安倍首相談話の内幕をつく記事もある。

 塾頭の本棚には中西、西部の2~30年前の単行本があるが、たしか「歴史修正主義」などという言葉がはやり出したころ買ったものだ。その後はとんと御無沙汰しており、ご高説は拝聴していなかった。それもあって、つい駅の本屋まで行って780円を払う破目になった。

 早速、「無謀ではなかった」論の石油関連部分を紹介する。まず、題字脇にはゴシックでこう書いてある。

 開戦決定は、合理的な計算と判断に基づいていた――。
 戦後に消し去られた「真実」を解き明かす

 その内容は、開戦直前の昭和16年11月15日に大本営政府連絡会議で決定された「対米英蘭蒋戦争終結に関する腹案」に依っており、著者である林千勝氏は「科学的で合理的な戦争戦略」と形容している。

 研究リーダーは秋丸次朗陸軍中佐で、秋丸機関とも呼ばれ、石油に関する部分は、同機関の報告書「独逸経済交戦力調査」から抜粋している。以下それを引用する。

「(前略)持たざる国が最後の勝利を得る為には(中略)不足する生産力素材の確保を目指す」こと、「軍事行動によって占領した敵国領土の生産力をも利用し得る」こと、そして「長期化されれば、同盟国、友邦、更には占領地を打って一丸とする広域経済圏の確立も次第に可能となり、この広域経済圏の生産力が対長期戦の経済抗戦力として利用され得る」ことを明示します。日本にとり広域経済圏は大東亜共栄圏です。

 実際、蘭領東印度の獲得で石油は当初計画をはるかに上回る量を数年に亘り確保できました。だから連合艦隊は大海原を大いに動けたのです。以上は秋丸機関の報告書「独逸経済交戦力調査」(昭和十六年七月)に明記されています。

 戦争が起きた後のことを、起きる前の報告書に明記されている、というのはナンセンスで編集上の手違いかも知れない。事実は、翌年度が10,524千bℓが南方から送られ予想を上回ったが、19年度は半減、20年度はゼロになった。

 連合艦隊が大いに動けなくなり、輸送路の制海権・制空権が奪われ、船の多くが撃沈されたためだ。つまり、上記の報告自体、タラ、レバの多い希望的観測で、科学的でも合理的でもないお粗末な図上作戦であったことが、史実で証明されている。「消し去られた真実」とは、有力学者も参加していたということらしいが、本質的な問題ではない。

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2015年8月15日 (土)

「安倍談話」

 人間というのは、ここまで心にもない事を言えるものかと、思わず首相の顔を見つめてしまった。戦後70年の首相談話、こんなものは出さないでおくのが一番良かったのではないかというのが塾頭の結論である。

 この内容をほかの人が言ったら、自虐史観、東京裁判史観、反日、ブサヨなどと、幼稚な安倍首相信者からあらん限りの悪態をつかれただろう。立場上そこまで踏み込めない応援団の産経新聞や櫻井よしこ氏などは、評価し支持する立場だ。

 安保法案に反対するマスコミは概して批判的なトーン。しかし賛否いずれも用語がどうの、主語がどうの、村山談話と比較してどうのという枝葉末節の話ばかりで全体としては、庶民に判断のしようがないものだ。

 困っているのは中国・韓国も同様、公式の反応を示すのに時間がかかっているようだ。喜んでいる人がいるとすれば公明党の山口さんぐらいだろう。両方に顔を立て、党や創価学会内部の離反を避けられそうになったからだ。

 当塾で安倍路線について「潮目がかわりつつある」と書いたのは6月11日だが、安倍首相の談話にそれを押し戻す意図があったとすれば半ば成功かもしれない。その一方で、談話が「戦後レジームの脱却」の方針を放棄した宣言ともとれるのだ。

 憲法学者の大部分が集団的自衛権行使の憲法違反を指摘した事実は重い。これを公明党や野党がどう処理するか、凋落を続ける内閣支持率がどう動くか。そう大きな変化はない、と見るが、国民の戦いの正念場は8月15日が終わってからだ。

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2014年8月27日 (水)

「性奴隷」伝説

 縄文時代に見る豊富な女性土偶、天皇の始祖になる伝説の天照大神、魏書にしるされた倭国の女王・卑弥呼などなど。紫式部も和泉式部もどうしてどうして。まさに「女ならでは夜の明けぬ国」、「原始、女性は太陽だった」日本の国だ。

 女性の地位が低くなったのは中国、朝鮮伝来の儒教による影響が大。それでも、夜明け前の日本に来てその文化や言語を研究したヘボンなどは、日本の女性が軽視されていると思うのは偏見、と喝破した。

 その下地は明治以降も脈々と続いていたが、女性参政権が認められたのは戦後になってから。しかし、その少し前まで男性も一定額以上の納税がなければ、選挙権もなかった。人権保護も考慮に入れた公娼制度が廃止されたのも戦後しばらくたってからだ。それでも韓国で妓生(キーセン)外交などといわれた時期よりは早かった。それが、歴史だ。

 「性奴隷」などあるはずがない。あったとすれば、日本の法秩序の及ばない、軍隊がすべてを支配する最前線。そこは殺人を日常とする狂気の世界だ。自由も人の尊厳もすべて禁止。何があっても不思議ではない。つまり「戦争犯罪」の巣だったのだ。

 先の戦争による戦争犯罪は、アメリカにもソ連にもある。また、被害者は日本人、朝鮮人、中国人、東南アジア等すべての戦地に及ぶ。関係した犯罪者として、軍事裁判で裁かれ刑に服したのは、証拠を突きつけられた敗戦国の日本人だけである。負ける戦争を始め、やけくその戦争犯罪に走ったのは誰か。

 その戦争犯罪者を、靖国神社は神に祀って顕彰した。そこへ総理大臣が公式参拝をする。それはやはり、まずいんじゃないか。非業の死を遂げた日本人被害者の遺族としても許せない。天皇も参拝したくないというのは道理にかなう。

 朝鮮人を怒らせて戦争に支障をきたすことのないようにするのが当時の政策だ。それに反した慰安婦強制連行の新証拠がでることは、多分ないだろう。河野談話の「総じて本人の意思に反し」というのが当たらずといえども遠からずの表現だ。

 詫びなくてはならないのは、朝鮮人に大きな傷を残した戦争犯罪だ。そういった区別やけじめを、右も左もリベラル、そしてマスコミもあいまいにしたまま。 「河野談話は変えない」。菅官房長官……さすがは苦労人。「河野談話にかわる新談話を」。高市早苗……やけぼっくりに火をつける女国賊。この問題、そろそろお開きにしませんか?――。

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