反戦・軍縮

2009年12月18日 (金)

PAC3

 PAC3、地上配備型迎撃ミサイルのことである。愛称はパトリオット(愛国者)である。もはや旧聞に属するが、北朝鮮がテポドンを打ち上げたとき、落ちてくるミサイルを地上から発射する迎撃ミサイルで打ち落とすという、トレーラーの荷台に四角の砲身並べて置いたような映像がよく出てきたアレである。

 このPAC3追加配備を盛った防衛費予算が見送りとなった。報道では、福島瑞穂社民党党首が「無駄を省く方向で検討してほしい」と注文をつけていることなどが影響しているという解説である。この財政の苦しい中、無駄を省くのは当然である。

 自衛隊の段階的縮小を看板に掲げる社民党が、数ある防衛費の中でPAC3配備が最も無駄だと思ったのなら少々異議ありだ。好戦派がいう核開発やテポドン実験が北朝鮮の脅威ではない。核開発は今が外交のカードとして使える山場で、核弾頭ができてしまっても使いようがないし、テポドンは近すぎて日本には不向きだ。

 こわいのは200基(その半分以下という説もある)もあるという中距離ミサイル・ノドンだ。テポドンのようにボディーを遠くから運んだり発射台に据えたり、時間をかけて燃料注入したりして何日も前から発射準備が偵察衛星にバレバレになるのとは違い、トラックに積んだノドンは地下トンネルからいきなり出てきて即発射できる。数ある地下トンネル出入り口にはダミーもありなかなかとらえられない。

 運良く衛星でキャッチしたりイージス艦で軌跡が追跡できれぱ、着地点でPAC3が待ちかまえて落下の途中を爆破する。ただしPAC3の守備範囲は20㎞以内に限られている。したがって都心地区を守るだけでも数基が必要ということになる。現在は都心とか基地周辺とかに配備されているだけで日本全土がカバーされているわけではない。

 1発だけならともかく、位置を変えた連続発射などがあれは撃ち漏らしを防げず、命中させたとしても放射能や化学・生物物質をまき散らすことになれば被害甚大だ。要は結果として「防げない」ということである。

 軍事常識からすると、日本も対抗上同等以上のミサイル持ち、軍縮交渉で数を減らしていくということになる。しかし、憲法上日本は攻撃用兵器を持てない。その分をアメリカに依存している形になるが、格が違いすぎる米朝では、軍縮交渉が成り立つとは思えない。となると、PAC3の性能を上げ配備を増やし、北朝鮮にノドン増設しても無駄だと思わせるしかない。北朝鮮脅威論が本当であり、もし備えが必要ならPAC3配備に最優先順位を与えなくてはならない。

 防衛費の削減は大賛成である。私が言いたいのは、その前にどれほど真剣に国防や安全保障について考えているかということである。アメリカと自民党の間で進んでいた防衛大綱の改定と「中期防衛力整備計画」(中期防)策定が、政権交代でとりあえず1年先送りされた。

 つまり、それに変わるべきビジョンが見えてこないということである。民主党は内部調整に手間取るであろう。また、極右の平沼新党などの動きもあり、自民党で落ち目のネオコン・ネオリベが復活の機会をねらっている。

 社民党が生き延びるためには、これまでの「非武装中立」のDNAを神棚に置いて、民主党以上に外交に乗りだして平和への実績を高め、現実味のある安全保障の新理念をかかげることしかない。無理な注文かも知れないが、そんな社民党なら次は社民党に投票することにしたい。

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2009年12月16日 (水)

こども/小学生/戦争

2009_12120002  当塾で検索が非常に多い「戦争 子供 こども 小学生 本」をキーワードとするページを組んでみました。以前のエントリーページ、小学生の検索1位「戦争」、子供のための戦争の本、などの組み直し再録です。

 なお、各地の図書館では右の写真のような「特設コーナー」を設けているところも多いので、是非見に行ってください。(写真は千葉県市川市立中央図書館)

①「日本児童文学者協会」には「新しい戦争児童文学委員会」があって、さまざまな角度から、小学生・子供向けの戦争に関連する作品をとりまとめています。

 「おはなしのピースウオーク」は、公募作品と、あさのあつこさん・那須正幹さん・川北亮司さんら作家による短編や詩など40編6巻として08年1月に完結しました。また、女優の中嶋朋子さんらが朗読した8作品のCD(3枚組み)もあります。

 本とCDの申し込み・問い合わせ先
  日本児童文学者協会電話番号
    03-3268-0691

②「子供の本・9条の会」は昨春に設立され、▽「ちいさいモモちゃん」などで知られる作家の松谷みよ子さん▽「くまの子ウーフ」の神沢利子さん▽「おしいれのぼうけん」の古田足日さんらが代表をつとめています。

 このたび(09/7/15)、同会が企画した「9ゾウくん げんきかるた」¥1260が発売されました。読み札は大勢から寄せられたものの中から選び、絵札も絵本作家45に依頼しました。絵本のように楽しめるそうです。

かるたの問い合わせ
 ポプラ社
電話番号 03-3357-2212

③国際的選書・ハロー・ディア・エネミー作品

 「ハロー・ディア・エネミー」は「こんにちは、敵さん」という意味で、ドイツのミュンヘン国際青少年図書館が選書した80作品です。

日本の作品
・「絵で読む 広島の原爆」(那須正幹文、西村繁男絵、福音館書店)
・「サニーのおねがい 地雷ではなく花をください」(柳瀬房子文、葉祥明絵、自由国民社)
・「二度と」(紙芝居、松井エイコ脚本・絵、童心社)など7作品

日本原作で海外で出版されたもの
・「伸ちゃんのさんりんしゃ」(米国)
・「かわいそうなぞう」(カナダ)

・広島で被爆した少女サダコの物語(インド、オーストラリア)

海外の作品
・「ハロー・ディア・エネミー!」(インゲ・シュタイネケ絵、グードルン・パウゼバンク文、桑田冨三子訳、くもん出版)☆川をはさんで青軍と赤軍がにらみあっていた。軍服を脱いだ両軍の兵士が川で出会うと、誰が敵か分からない。

・「バスラの図書館員」(ジャネット・ウィンター絵・文、長田弘訳、晶文社)☆イラクの図書館員は戦火から本を守ろうと、3万冊を友人の家やレストランなどにこっそり移動させた。

・「ちいさなへいたい」(パウル・ヴェルレプト絵と文、野坂悦子訳、朔北社)☆ある日、戦争は始まり、ぼくは軍隊にかりだされた。仲間は次々に死に、ぼくは恐ろしい出来事をたくさん見た。

・「ゆらゆらばしのうえで」(はたこうしろう絵、きむらゆういち文、福音館書店)☆ウサギを追うキツネ。2匹ともシーソーのように揺れる橋に乗ってしまう。揺れる橋の上で2匹は力を合わせる。

巡回作品展については、次のページをご覧下さい。
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-1fab.html

お問い合わせ先
JBBY(日本国際児童図書評議会)事務局
(電話03・5228・0051
、メールinfo@jbby.org

④コメントをいただいた方のご推薦です。
Kさんから――
こんにちは。私が子供のための反戦の本で思いつくのは、「かわいそうなぞう」です。
http://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=140

小2の時、小学館の「小学2年生」の読み物として、「ぞうのトンキー」というタイトルで、上野動物園で起こった実話が掲載されていたのですが、初めて読んで、涙が止まりませんでした。
「かわいそうなぞう」として単行本が出たのは、もう少し大きくなってからですが、思い出しても泣けてくるので、もう一度読めといわれても読めないかもしれませんが・・・。
でも、一度は親子で読んでほしい本です。

Tさんから――
私が子供の頃読んで感動したのは、
「ゼロ戦~坂井中尉の記録」という本でした。
勇敢に戦った日本の将兵の真実を子供に
教えることは非常に重要だと思います。

是非、「新しい戦争児童文学委員会」には
この本を加えて欲しいものです。

⑤トラックバックをいただいた方からのご推薦です。
世界一美しいぼくの村 [虹色オリハルコン]

私達日本人は、アフガニスタンというと、どんなイメージを持つでしょうか。荒涼としたほこりっぽい茶色の大地。武装した兵士たち。テレビで見るアフガンは、そんな負のイメージしか、わきません。しかし、もともと、アフガニスタンは緑も多く作物もたくさん採れた豊かな国だったのです。度重なるクーデターや、旧ソ連の進攻などによって、国土は荒廃し、食糧事情も悪化。内戦は全土に広がっていました。息子が幼いころいっしょに読んだ本です。.. [続きを読む]

ロバート・ウェストールの本3冊[虹色オリハルコン]

「猫の帰還」「海辺の王国」「弟の戦争」

http://blog.goo.ne.jp/hanamiduki87/e/07a742d3bd6ae2cf0227edb7ee5944e6」 この3冊は上のリンクで飛んでいただくと本の内容、解説、表紙の写真などがご覧になれます。

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2009年11月20日 (金)

外交を動かす世論

 政権交代から3か月を過ぎようとしている。その変化を国民に印象づける試みは、ほぼ成功したと見ていいだろう。しかしさまざまな変化が、この先国民に迎えられるようなものになるかどうかは、はなはだ不透明というほかない。

 さまざまな変化が混乱を招き、閣内不一致や首相の指導力不足が露呈し、不景気が二番底に向かうようなことがあれば、内閣支持率は一挙に下降線をたどるだろう。問題は、自民党路線から抜け出した外交・安保政策でどれだけの成果が得られるかだ。

 日常の事務局レベルで行われる外交折衝ではなく、オバマ宣言にみられるような国家の体質に変化をもたらすような事案には、強い国内そして国際世論の支持が必要だ。またそれを定着させるためには、忍耐強い反対者への説得が必要で時間もかかる。

 アメリカの外交史家アーネスト・R・メイは、世論が外交政策に関心を持ち、それがどのように変化するかについて次のように述べている。『歴史の教訓』(進藤栄一・訳、岩波現代文庫)

 調査資料によれば、次のような常識的仮説の正しさが――すなわち、人々がある問題に関する意見を出す場合、自分独自の分析によることはほとんどないという仮説の正しさが――確認されている。実際彼らの意見は、自分たちが信頼を寄せている人々の判断から借用して作られている。

 国際問題に関する意見を指導していく人々は、通常少数者中の少数者で、それは、官僚や政治家、実業家、それにこれまで政府の仕事をした経験があり、要人と交際があり、数多くの出入国スタンプを押したパスポートを携行し、『ニューヨーク・タイムズ』とか『エコノミスト』のような定期刊行物を購読する週刊のある専門職業人(プロフェッショナル)たちである。

 ――つまり支配階層に属する人々――から成っている。

 わが塾頭は、飛行機はおろか最寄りの駅から電車に乗ることも月に一度あるかどうかの身分である。とても支配階層の仲間には入れない。支配者・被支配者という分類はあまり好きではないが、アメリカではそれがより顕著に見られるのであろう。  
    
 ルイによれば、画一的な外交政策を変化させる要因は、支配層の意見の分裂から始まるとする。それは、海外の暴動、革命、戦争などのショッキングな事件の影響や、支配層の一角を占める取材記者などがもたらす意見や情報によるだろう。

 さらに、世論が政治に寄生する実業家などと利害をともにする議員や、現状維持に固執する官僚を動かせるかどうかを見通すことにより、大統領の大きな指導力が発揮できるようになる。ルイの著作の最大の失敗は、ベトナムからの撤退をうながす世論の背景が「歴史の教訓」とはならず、予測がはずれたことにあった。

 それはともあれ、現在、日米ともに支配層の意見が割れている状態には違いない。ブッシュの過ちを繰りかえさせないようにするには、とかく戦争指向に傾きがちな政治勢力に対抗できる世論形成が必要だ。そのためには「被支配階層」としての最低限の海外情報、国際問題の知識、さらにはシビリアン・アウェアネス=文民の軍事知識がどうしても必要になってくる。

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2009年10月30日 (金)

ムダ使い、SM3

 28日、海上自衛隊のイージス艦「みょうこう」から海上配備型迎撃ミサイル(SM3)をハワイ沖で発射し、弾道ミサイルの迎撃実験に成功したと発表した。07年12月は成功したが、昨年11月は失敗していたものである。

 費用は約63億円(毎日新聞)。何の財政チェックも受けずに一瞬で海にポシャン。無駄遣いの最たるものである。当ブログで再々指摘してきたことだが、ブッシュの方針で進められてきたこのMD(ミサイル防衛)計画が、金持ちの道楽よりまだ始末におえない無駄遣いであることは世界の常識だ。

 北朝鮮のテポドン騒ぎの時、撃墜命令とやらで話題にされた。宇宙空間で超音速のミサイルを電波などで追跡し打ち落とそうというものである。テポドンがそのまま飛べばハワイ方面に行くが米本土には行かない。

 日本にどうすれば落ちてくるのか説明がつかない。このシステムには膨大なお金がかかるが、打ち上げる方はチョットの工夫だけでこれをかわせる。ダミー弾頭を同時にばらまけばいいのだ。現に中国にはそれがあるという。その上をいくものを開発しようというのだから、コストの勝負は最初からついている。

 9月半ばには、アメリカがかねて強行しようとしていたポーランドとチェコでのMD施設建設計画を棚上げにする方針を決めたと伝えられている。これはイランから米本土・欧州をねらうミサイルをここで打ち落とすという説明になっていた。

 イランにそんな意図や能力がないにもかかわらずである。一方、ロシアが計画に強く反対していた。それは、核弾頭軍縮で、仮にアメリカ100発・ロシア100発と決めても、MDシステムでアメリカだけがその半分を打ち落とせば50対100となり、協定が無意味になるからだ。

 棚上げ方針は、オバマ大統領の指示で早期見直しの対象になっていたようだ。それよりも、中短距離ミサイル対策に重点を置くということになれば、日本にとってはノドン・テポドン対策となる。太平洋・大西洋を隔てたアメリカは別としても、この方が日本にとってはより現実的だろう。 

 今回の実験は、自民党が決めたものだとしても、まさか第4回実験を民主党内閣が予算に組み込むということはないでしょうね。(>_<)

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2009年10月19日 (月)

新外交にギヤがかかった

 前回のエントリーで「オバマの背中を押せ」を書いたら、早速、岡田外相が「核の先制不使用宣言をアメリカに働きかける」という考えを講演で示した。これは、鳩山新外交方針に慎重かつ確実にギアがかかったことを示す。当塾としては、これをすなおに受けとめ、手放しで喜びたい。

岡田氏は講演の中で「(日本政府が)一方で核の廃絶を強く言いながら、自分のためには先制使用してくれと言うのは、矛盾のない行動であるかというのはかなり議論がある」と指摘。「大きな方向性としての先制不使用は否定できないこと」と語った。

 核の先制不使用は18日の「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」の本会合でも議論され、年明けにも出される最終報告書に盛り込まれる見通し。岡田氏は報告書がまとまった段階で、米側に議論を提起したい考えだ。 (AsahiCom、10/19

 8月はじめ、麻生政権が民主党に断末魔のネガティブキャンペーンを始めた頃、「核先制攻撃希望の日本政府」という記事を書いた。アメリカの先制攻撃がいかに日本にとって危険か、そして報復攻撃にも核は使えないということを書いたものだ。

 今回の、岡田発言が明快さより慎重さが目立つのは、背景に依然として次のような意見が存在することを意識したからであろう。

 米国が先制不使用を宣言した場合、北朝鮮が弾道ミサイルに搭載した生物化学兵器で日本を攻撃しても、米国は核兵器では反撃しないという保証を与えることになる。今回の外相発言は、日米両政府内で波紋を呼びそうだ。(毎日新聞、10/19。電子版ではこの部分をカット)

 これほど、あり得ない仮説はない。北朝鮮が日本を狙うとすればノドンだ。弾頭はなんでもいい。何発かは打ち落とせるだろうが、一定の被害はさけられない。仮に抑止力を米国の報復攻撃に頼るとしても、核兵器を使うはずがない。

 なぜならば、過剰防衛になることはいうまでもないが、発射基地が散在しているので狙いがつけらない。しかも基地は中国・韓国に近く、放射能被害が確実に他国に及ぶ。そんな危険を犯して、世界で3発目の使用国も米国という愚を犯すだろうか。通常兵器のピンポイント攻撃の方がよほど確実で効果的なはずだ。

 このほか、普天間基地の移転問題、おもいやり予算、地位協定その他問題は山積しているが、外交はすべて駆け引きだ。米国防省を先陣に立てて強硬姿勢で臨んでくるだろうが、アメリカでも世界軍事戦略変更、修正が必要なのだ。真剣に相談に乗り、オバマを助ける方向をさぐる方がいい。

 日本は、これも前政権末期に、勝俣東電会長や東大・京大教授たちを集めた懇談会で、年末に改定される「防衛計画の大綱」への超タカ派・対米従属の答申意見を出した。もちろん新政権はこれを無視、改定を来年に持ち越すことにした。急ぐことはない。あわてず、次のギヤをどこでかければいいかを思案すればいいのだ。 

 

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2009年10月17日 (土)

オバマの背中を押せ

 パキスタンのペシャワールでは、昨日(17日)もバイクに乗った男女二人の自爆テロで37人が死傷した。岡田外務大臣は、アフガン、パキスタン、インドネシアを駆け足で回った。なぜか、イスラム圏の国だけだ。いま、何をやらなければならないか、岡田大臣はわかっているはずだ。

 マスコミに出てくるインド洋の給油、警察官の訓練、そんな些末のものではないことは、各方面から流れてくる報道を総合すればわかる。オバマのノーベル平和賞は、選考委員会で委員5人のうち3人が反対していたことがわかった。

 それは、時期尚早論特にアフガン戦争への米軍増派などに関連があったらしい。しかし、強い委員長の推薦があり決定に至ったという。「オバマの背中を押す」という意味を重視したのだ。アメリカではこのところ厭戦気運がたかまり、アフガン増派反対世論が優勢になったようだ。

 反面、同時テロ犠牲者遺族、イラン、アフガン戦争での戦死者遺族、退役軍人の猛反発とそれに乗りやすい若者や共和党右翼のキャンペーンで、オバマ大統領の政権基盤がゆるがされかねない。私は、日本が満州そして大陸侵略の野望に走った一因に日露戦争で払った犠牲の大きさがあったと思っている。

 オバマはブッシュと違い、イスラム圏からもその宗教観で一定の支持を得ている。オバマの国内に存在する難関を乗り越えるためには、強力な国際的後押しが必要だ。そうことは簡単に進まないだろうが、一つ一つのつっかえ棒がやがてそれを実現させる。

 核廃絶にしてもそうだ。日本が94年から毎年国連総会に提出してきた核兵器廃絶を目指す決議案に、アメリカが共同提案国になることが15日に決定した。これまでアメリカ上院が批准に反対していた核実験全面禁止条約(CTBT)もあとを絶たれる感じだ。

 オバマ政権は、今年中に「核態勢見直し」の政策基本文書を更新する予定だ。これまで核の先制使用を否定しなかったブッシュ政権が、核廃絶共同決議案に反対した理由として、毎日新聞(10/17)が次のように説明している。

 核軍縮が専門の英「アクロニム研究所」のレベッカ・ジョンソン所長は「共和党側は『日本が核の傘を求めている』ことを反対の根拠にしている」と指摘し、日本の新政権に先制不使用宣言を支持するよう求めている。

 このことは、すでにこのブログで何度も指摘(カテゴリ=反戦・軍縮)している。先制攻撃は日本国憲法をないがしろにするものであり国連憲章の精神にも反する。また中国は、核兵器開発当初から先制攻撃否定宣言をしている。一方核の傘は、日本が非核三原則の密約を破棄するのことで幻の傘となり、民主党公約の北東アジア非核宣言指向を先どりすることになる。

 つまりこの方針の確立は、オバマ態勢下では日米関係上さしたる問題ではなくなるのだ。その双方を宣言することにより、オバマ路線をしっかり後押しすることになる。さらに、平和都市宣言の核廃絶期限である1020年に向けて広島・長崎でのオリンピック開催のムードを高めれば、オバマが生きているうちどころか、塾頭が生きているうちに核廃絶が実現できるかも知れない。

 

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2009年10月 9日 (金)

早すぎるノーベル平和賞

 オバマ大統領へのノーベル平和賞授与が決定した。平和賞以外は、綿密な実績の審査を経て賞が決まるが、平和賞は往々にして「宣言」だけで賞が決まる。オバマ授賞にケチをつける気はないが、核廃絶プラハ演説はもちろん、他の平和政策もこの先どれだけ実効をあげられるか、不安視されている。

 特に、アフガンでは昨日(8日)も首都カブールで大規模な爆弾テロが発生し、100人近くが死傷している。インド大使館の近くだというから、インドと抗争の絶えないパキスタン発の過激派の仕業かも知れない。

 アメリカの現地司令部は、国防省を通じてさらに数万人の軍増派を大統領に要請した。表向きはアフガンの治安強化だが、パキスタン対策に違いない。今、まさに新たな火の手が上がりかねないのだ。パキスタンは非公認の核保有国である。従ってアメリカは、まずパキスタンの核の手をしばらなくてはならない。

 これは、パキスタン、ことに同国の軍部は猛反発するだろう。インドに対抗しての核だから、インドの方はお構いなしでは、いかに援助を多くもらっても我慢できるものでない。その前に、イスラム国から見て、イランの核開発に制裁強化はするが、ヤミ保有国イスラエルには全く知らぬ顔。そういった二重基準を平気で押し通す、こういったアメリカの態度がすっかり信用をなくしているのだ。

 遠い先の核廃絶願望宣言をするなら、まずここから手を付けなければならない。軍の増派は平和賞にならない。それより、イスラエル対策や包括的核実験停止条約批准などを妨害する米上院の説得が先ではないか。そうして核廃絶に役立つ政策を前進させることた。ノーベル賞はそれからでいい。

 佐藤栄作元総理は核三原則宣言でノーベル平和賞をもらった。ところが、「核兵器持ち込ませず」には、これを無効にする密約があったことがばれ、核の傘を差してくれるようアメリカに頼んでいたこともわかった。

 これですっかりノーベル平和賞の権威を落としたが、金大中元大統領の太陽政策に5億ドルの裏金が動いたことなど、あとでケチがつくケースが続発している。政治家への平和賞授賞には数年以上間をおいた方がいいのではないか。
 

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2009年8月22日 (土)

仮想敵国

 どこの国でも、軍事組織(自衛隊を含め)を持てば、仮想敵国を設けいろいろ研究をしたり図上作戦を立てたりします。戦前の日本も、アメリカはすでに昭和の初めに仮想敵国になっていました。このこと自体はある意味で当然なことで、一概に非難できません。

 しかし、これを根拠として装備や兵員に膨大な予算を要求したり、それを実現させるために危機感をあおり敵愾心を高めたりすればどうなるでしょう。そして、「せっかく手にした新兵器は、どうしても実戦で試してみたくなる」という軍人の気持ちがあることも、元軍人が告白しています。

 それを押さえ込むためには、憲法66条にある「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」というシビリアン・コントロールが徹底していなければなりません。「文民」とは、何を指すのでしょう。

 民意を受けたもの、という解釈が普通のようですが、私は素朴に、軍服などユニフォームを着て特殊な公権力、暴力装置を持ったことのない人を想定します。それでも過激な思想を持った制服組とあまり変わらない総理大臣がでる危険性がありますから、国民はよほど選挙を通じてきっぱりした意思を示すべきです。

 さて、話が仮想敵国から遠くなりましたが、現在最大の仮想敵国は北朝鮮で、中国がそれに次ぎます。北朝鮮が長距離ミサイルを発射し、2回目の核実験を強行、その裏に金総書記の健康悪化説が流れた時、「これは悪い方に向くな」と感じました。

 それは、金総書記の権力が維持されている限り、日本で喧伝されるような危機はあり得ないと思っていました。もし危機があるとすれば、金総書記の威令がおこなわれず、内乱で思慮のないものによる暴発のおそれが生ずることです。

 しかし、このところ健康に自信をとりもどしたようで、様子が180度変わってきてました。このこと一つをとってみても「悪の枢軸」「ならずもの国家」「テロ支援国」などといわれるほど強力な敵国ではなさそうです。

 仮想敵国として、研究にはげんでいる軍事専門家も、その辺りのことはよく承知していると思います。ただ、予算がほしいことには変わりありません。それならば、アメリカ向けミサイルの撃墜など非現実的なものではなく、日本が射程内にあるノドン対策を考えた方がいいと思います。

 中国のことを書く余裕がなくなりましたが、改めてアメリカの世界戦略を問い直し、東アジア政策についても新しい情勢分析を加え、あるべき仮想敵国の姿を描いてほしいものです。

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2009年8月15日 (土)

節目の終戦記念日

 64回目の終戦記念日である。昭和16年12月8日午前7時、いつものようにつけっぱなしのラジオが叫んだ。

「臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申上げます。大本営陸海軍部午前6時発表。帝国陸海軍部隊は本八日未明、西太平洋においてアメリカ、イギリス軍と戦闘状態に入れり」。

 それから終戦の玉音放送を聞くまで、3年9カ月余り、1096日間。わが人生でその後の64年にくらべると長いようで短い。しかしその前、満州事変からの連続を考えると15年戦時下にあったわけだから、やはりとんでもない戦争を起こしたわけだ。

 さて、今年の終戦記念日を迎えるに当たって、なにかこれまでと違うような感じがする。テレビでは、NHKはもとより、これまで消極的だったように思える民放まで、戦時体験などの関連特番が多くなったように見える。明らかにトレンドの変化である。そのきっかけは何だったのだろう。

 ① 米オバマ大統領の出現で、対立・抗争から和平・協調路線に世界の風向きが変わった。
 ②  麻生失政もあり、小泉靖国参拝、安倍改憲路線が急に色あせた。
 ③ 寡黙だった戦時体験者が、ここのところ急に口を開くようになった(当ブログは4年以上もやっているが《笑》)。
 ④ 選挙の月で、64年のほとんどを支配してきた政権が変わろうとしている。

 以上のうち④は、メディアが自民の圧力を気にしなくてもよくなるという解釈もできるが、政界自体を見わたすとどうも怪しくなる。ちなみに、去年の今日付のエントリー「終戦記念日と各党」に書いた声明などと、今回各党が発表したマニフェストとの比較では、ほとんど進歩のあとがない。むしろ自民党の方に変化があった。集団的自衛権の解釈変更である。

 「同盟国である米国に向かうミサイルの迎撃をや弾道ミサイル防衛で連携する米国艦艇の防護などが可能となるよう、必要な安全保障上の手当をする」という部分で、北朝鮮を敵国に見立てたこの筋書きが笑止千万であることは、すでにこのブログで言及した。

 11日の各党首討論会で、社民党の福島党首が集団的自衛権の問題を取り上げ、麻生首相にただした。麻生は、同盟国の艦船が攻撃を受けた場合、そばにいる日本の自衛官が防護するのは当然、といった趣旨の答えをしたように思うが、これはまさに、「日本国海上自衛隊は、本○日○時、日本海において北朝鮮軍と戦闘状態に入れり」ということにならないか。こっちでそう思わなくても相手はそう思う。

 福島党首は、どうして「では自衛隊はアメリカと一緒に戦争するんですね」と突っ込んでくれなかったのか。マスメディアが小政党の発言を封ずることは承知しているが、言いっぱなし聞きっぱなしでは物足りない。それは自民党側から、「では、どうして日本の安全を守っていくのか」という反論に、具体的にかみ合う答えの用意がないからではないか。

 世界は大きく変化を遂げようとしている。また、日本もかすかながら新しい時代を模索しつつある。野党各党にとって、今年こそ平和・安全保障問題の新しい旗を掲げる絶好のチャンスだったはずである。特に社民・共産は、これまでの日米同盟解消、自衛隊縮小などの55年体制以来の教条主義を精算し、民主・自民の外交・防衛族と同じ舞台で渡りあえる具体策を用意、「憲法擁護・軍縮先導」の党是に命を吹き込むようにしてほしかった。まさに両党の「本気度」がためされているのである。

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2009年8月 6日 (木)

核先制攻撃希望の日本政府

 問われる「核の傘」
   先制不使用宣言は困る
    ―――日本政府の「本音」

 広島原爆忌の朝、朝刊(毎日新聞)の特集面を開いたらこんな大きな見出しが目に飛び込んだ。間違いではないかと本文を何度も読み返した。唯一の被爆国政府がそんなことを言うはずがない、毎年総理大臣が「過ちを繰り返さない」誓いをあらたにするため、今日は広島を訪れる。

 その政府が……?。しかし読み違いではない。

 米国の軍縮NGO「憂慮する科学者同盟」のグレゴリー・カラキー氏はこう説明した。

 オバマ米大統領は4月のプラハ演説で「米国の安全保障戦略の中での核兵器の役割を減らす」と強調した。先制不使用宣言は「核兵器の役割を減らす」典型的な政策の一つとされるため、将来的に米国が先制不使用を宣言するのではないかという見方が出ている。

 米国が先制不使用を宣言した場合、日本にどう影響するのか。日本政府は「先制不使用宣言は検証困難で安全保障を弱体化させる」という立場だ。核攻撃以外にも核兵器で対抗してほしいという意味だ。

 念頭にあるのは中国の通常戦力と北朝鮮の生物化学兵器だ。中国の軍事費の伸びは毎年10%を超えている。北朝鮮は化学兵器禁止条約に加盟しておらず、実戦配備の可能性も指摘されている。

 アメリカの先制攻撃は、北朝鮮の場合、たとえミサイル発射台のピンポイント攻撃でも日本がノドンによる報復攻撃を受け、防御態勢不十分のため被害が出るという記事を数日前に書いたばかりである。北にアメリカ本土を攻撃する能力はない。

 また、核による先制攻撃もあり得ない。なぜならば北のミサイル発射基地は中国・ロシア国境に近い。両国に死の灰をもたらすようなら中国の反撃も考えなくてはならない。中国は早くから核の先制攻撃を否定しているが、ICBMは開発済みで米本土をねらえる。アメリカに危険が及ぶようなことをするわけがない。

 日本政府は、日本の安全保障のため「先制攻撃だけはやめてください」と言うべきなのだ。いま、済んだばかりの広島の式典で、麻生総理が挨拶でまた読み違いをしたようだ。

 「 ラクイラにおいて、初めて『核兵器のない世界』を宣言し、世界的な核軍縮・不拡散に関する機運の高まりを維持・強化するための力強いメッセージを表明しました」の《宣言》は《言及》のはずだ。TVの字幕にはそうなってる。

 現にラクイラのG8では、核拡散防止に関するの声明のなかで核廃絶に向けた機運に「言及」しているが、「宣言」するまでには至っていない 。気にもないことを原稿で読むとこんな間違いをする。こういった国際レベルの「KY」政権を永久に葬るために国民は何をすればいいのか。

 答えは間もなく出てくる。

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