エッセイ

2021年2月24日 (水)

コロナ文明論

 日清・日ロの戦争が終わり大正を迎える。江戸文明も街から次第にその姿を消していく。それを文明論として表現したのが永井荷風の『日和下駄』だとされている。

 それとは全く無関係だが、現在、文明の転換期に差し掛かっているのでは、というような気分になることは多く、本塾でも触れることがある。

 配達される新聞は、薬や健康食品の全面広告などで占領される。ネットやテレビもまた然り。

 視聴者もすっかりそれに埋もれて不思議を感じなくなった。野口冨士男編『荷風随筆集』岩波文庫、からのやや長い引用だが、その点はお許し願いたい。

(前略)私は日進月歩する近世医学の効験を信じないのでは決してない。電気治療もラヂウム鉱泉の力もあながち信用しないのではない。しかし私はここに不衛生なる裏町に住んでいる果敢ない人たちが今なお迷信と煎薬とにその生命を託しこの世を夢と簡単にあきらめをつけている事を思えば、私は医学の進歩しなかった時代の人々の病苦災難に対する態度の泰然たると、その生活の簡易なるとに対して深く敬慕の念なきを得ない。(後略)

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2021年2月11日 (木)

祝祭日の不安定

 今日は「建国記念の日」。奇妙なことに気が付いた。

 「憲法記念日」には「の」が入らないのに、なぜ建国には「の」が入るのだろう。

 文部省の役人が法律を作る時、おそらく、憲法は施行の日がはっきりしているのに建国は暦もない伝説のような時代だから、日付を特定することには難がある、と考えたのだろう。

 昔の呼称は紀元節だった。四方拝、紀元節、天長節、明治節を4大節と言って国民あげての祝祭日として祝った。

 今考えると、「紀元節」を変える必要は毛頭なかったのだ。伝説の日といっても、初代神武天皇が即位したとされる節目の日をいうのだから不都合はない。

 「建国」の方が不正確である。当時日本国は存在しない。国があったにしろその範囲・役割が全く違う。

 ちなみに、現在の祝祭日がいかにいわれのないものか、列記してみよう。

・元日 1月1日
・成人の日 1月第2月曜日
・建国記念の日 2月11日 (旧)紀元節
・天皇誕生日 2月23日 (旧)天長節
・春分の日 3月20日 (旧)春季皇霊祭
・昭和の日 4月29日 もと天皇誕生日
・憲法記念日 5月3日 現行憲法施行の日
 改正したらどうする?
・みどりの日 5月4日
・子どもの日 5月5日 もと端午の節句。
 男子の成長を祝う日であったが、女子のひな
 祭り3月3日は祝祭日になく男女差別のよう。
・海の日 7月第3月曜日今年に限り7月22日。
 オリンピックとの関連で日程変更。日取りは
 明治天皇の東北巡行の日程に関連するというが、
 旧海軍記念日(5月27日)の代替という説も。
・山の日 8月11日
 本来は8月8日だがオリンピック関連で日程変更
 海の日の対抗上できたが由来は全くなし。

以下年の後半は省略するが、要は休日や連休を増やしたいだけのよう。

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2021年2月 1日 (月)

明日が節分

 月が変わって2月、そして明日は124年ぶりに1日早い節分となる。季節の分かれ目は政治の分かれ目になるか。毎日新聞電子版(02/01)にこんな記事が載っていた。

 菅義偉内閣発足後初の政令市議選となる北九州市議選(定数57)が31日投開票され、自民党(現有議席22)は公認候補22人のうち6人が落選した。新型コロナウイルスへの対応などを巡る政権批判も逆風になったとみられ、与党内には年内に実施される次期衆院選への影響を懸念する声が出ている。(以下は選挙結果)

定数 57
自民党22→当選者16 公明党13→13 
立憲民主党5→7(候補者全員当選)
共産党8→8 日本維新の会0→3
無所属7→10

 明日の節分は、コロナ禍にとっても変わり目になるかどうか。豆まきでくれぐれも「コロナ~外」などと叫ばないように。別の禍が降りかかる危険あり。

 また、子供が拾った豆を口に入れて窒息死するケースも多発するとのこと、くれぐれもご注意を。
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2021年1月10日 (日)

「タイ」づくし

 10日の毎日新聞社会面中程は、「列島、大雪警戒続く」という写真入りの記事だ。その最下段は「昨年世界の気温1位タイ」の見出しになっている。

 それを続けて読んだが、下の記事を何度読んでもタイ国の話が出てこない。落ち着いて読み返すと、タイトルの付け方に問題があったのだ。

 ここは、「世界平均気温、最高保持」とすれば、字数も11で同じになる。意味がわかるし詳しくは記事を読めばいい。

 タイは暴動で最近よく記事になる。得点などにつける「タイ」は「対」としてルビをふることにしたらいい。区別がつく。

 

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2021年1月 4日 (月)

存在しない帝国

 昨年暮れから「名」をテーマにした記事をなんとはなしに続けている。今回は「国」のあとにつく呼称である。

 かつては、「大日本帝国」という正式名称があった。現在、帝国を名乗る国はない。「日本国」のように国だけをつけている国はイスラエル国、エリトリア国、オマーン国、クゥエート国など。

 カタール、アイルランド、スペイン、エチオピア、インド、マレーシア、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、ウクライナ、ジャマイカ、ジョージアなどは「国」もつけない。

 他は、合衆国のアメリカ、メキシコそして、首長国連邦のUAEがあるのほかスイスも連邦を名乗り、コモロ連合というのもある。

 ルクセンブルク大公国、アンドラ公国、サモア独立国など、独特の名乗りもあるが、国連加盟国だけでもまだまだあり全部をチェックしきれない。

 圧倒的に多いのが共産圏を含め「共和国」であり、それに次ぐのがイギリスを含めた「王国」である。

 共和国は議会が機能していなければならないが、事実上「帝国」に近い共和国もあるので気をつけなくてはならない。

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2021年1月 3日 (日)

スポーツイベントの命名

 暮れから3が日。身内を含め来客なし。

 従って、テレビの駅伝でも見て時を過ごそうと思った。

 元日に落ち着いてテレビを見たという記憶はあまりない。したがって「実業団対抗駅伝 ニューイヤー駅伝」というのも初めてだ。

 見ていてどこを走っているのか見当がつかなかった。左右に見える低い山並み、街路は日本のどこにでも見られる光景だ。コースの地図も出てこない。

 箱根駅伝とか大分別府マラソンと言えばイベントの場所はすぐわかる。そとて、見ていて走者と同じ気分が味わえる。箱根駅伝は参加大学にとってもPR効果が大きいだろう。

 スポーツイベントには、それぞけ特有の名称がつく。

 命名は、そのイベントの人気にも関係するのではないか、前年末に「戦争の名」を書いたが、

 名のつけようで戦争の性格・目的・規模や範囲その他さまざまな影響がもたらされるような気がしたからだ。

 野球は昔の「中等野球」が「高校野球」になり、「東京六大学野球」「東都六大学野球」などが定着する。プロ野球はセントラル、パシフィックの2リーグに分かれ、ほかに「社会人野球」がある。

 この「社会人」は、冒頭の「実業団」とは違うのだ。会社が多いのだが、同好の士が集まって作ったクラブチームにも門戸が開かれ、「都市対抗野球」という形にもなる。

 イベントの性格は名は体を表している例にもなる。

 スポーツでは、〇〇カップ、〇〇杯、〇〇選手権などというイベント名が多い。

 年をまたいで、命名の仕方ひとつで内実も変わってくるということを書いてみた。

  冒頭の駅伝は「太田中継所」と言う看板が出てきたので、群馬県?と思い、調べたら県も主催者に入っていた。それならば「空っ風駅伝」かな……。

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2020年12月27日 (日)

帰省今昔物語

  JR各社の25日~1月5日の新幹線、在来線の指定席予約状況は9日時点で前年同期比61%減。その後、22日時点で東北新幹線では予約席数が約1万席、北陸新幹線では約2万席減るなどキャンセルが相次いだ、と毎日新聞(12/26)が伝える。

  同紙は、26日が帰省ラッシュのスタート日というような書き方だった。塾頭が正月の「帰省」に当たる旅行を最後に経験してから50年ほどたつ。

 その頃は、30日が御用納めで出勤、社長の挨拶があった後退社。公休は31日から1月3日まで、4日は仕事始めでやはり挨拶を交わしただけで退社した。

 したがって、帰省は30日と4日の休暇願を出して30日から帰省ラッシュが始まったように記憶する。

 新幹線はまだなく、ホームや駅頭に長い行列ができたのは、東京では上野・東京・新宿など始発駅だった。

 早くから並ばないと座席に座れず、通路に紙を敷いて座るかデッキに立つしかなかった。それで10時間余の我慢は容易ではない。

 東京からの手みやげは、田舎にはなく東京の有名店で作り始めたスイーツ、バームクーヘンなどが喜ばれた。

 帰省者激減は新型コロナの手みやげがこわいから、というのも今年限りに願いたい。

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2020年12月14日 (月)

SLの名称

 今日14日は、1975(昭和50)年、国鉄のダイヤに沿って北海道の室蘭-岩見沢間で蒸気機関車(SL)が最後の旅客輸送をした日である。

 現在でも観光地に向けて、動態保存されたSLによる臨時運行があるが、かつて主に支線で活躍した名機C11が使われることが多い。前に一度書いたような気がするが、テレビのカットによく使われる新橋駅前広場に展示されているのがそれだ。

 機関車としては小型の部類で、愛称はシーチョンチョン、Cはアームのついた動輪が片側3つあることを示す。

 Dは4つあって、D51は動輪の口径は小さいが多くの貨物車両を力強く引っ張ることができる。太いボデーや底力のある汽笛の音にも人気があった。愛称はデゴイチ。

 そして東海道本線で特急「さくら」「ふじ」などを引っ張ったのがC57。これは先頭の機関車より最後尾の展望車の方に注目が集まる。機関車は動輪の数が少ないだけ口径が大きくとれ、スピードが出せた。

 そのほかかABCのつかないクンロク(96)などと称する数字だけの機関車もあり、これは大正時代から生き延びた系統を受け継いでいる。支線の主力機として長く活躍した。

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2020年11月30日 (月)

コロナで迎える師走

 明日から師走。1月にはじまった新型コロナ難がこんなに続くとはだれも想像しなかった。

 最初の頃は、月末までにはとか、来月一杯でなどという見通しがよく言われたものだが、最近は「この3週間が勝負どころ」だそうだ、「年内に終息」などという人はいなくなった。

 お医者さんも先生、「師」である。文字どおり「師走」のまっただなかを迎える。忘年会も開けず年が明けても師走は続く。オリンピックのマラソンが始まっても終わらないという見通しもある。国難、いや「世界難」ここに至れりの師走になった。

 来年は、師や関係各位のご尽力により、めでたく忘年会が開ける師走となるよう期待しよう。 

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2020年11月23日 (月)

大関を最高位に

 昨日、大相撲11月場所が終わった。大関・貴景勝が照ノ富士に13勝2敗で並ばれ、優勝定戦でかろうじて優勝した。

 横綱は2場所連続でけがを理由に欠場、白鵬はその前の場所の途中休場を含め3度目で横綱不在が続いた。

 ウイキペディアによると、

横綱審議委員会は日本相撲協会定款第52条に基づき設置されている。

設置のきっかけとなったのは1950年初場所での三横綱の途中休場である。この場所では3日目までに東冨士、照國、羽黒山の三横綱が途中休場し、前場所の前田山の引責引退もあり横綱批判が強烈になった。場所中に協会は「2場所連続休場、負越しの場合は大関に転落」と決定したが、粗製濫造した協会が悪いと世間の反発をくらい、決定を取り消すことになった。そこで、横綱の権威を保つためにも横綱免許の家元である吉田司家ではなく、相撲に造詣が深い有識者によって横綱を推薦してもらおうということとなった。

こうして日本相撲協会の諮問機関として同年4月21日に横綱審議委員会が発足した。初代委員長は好角家として有名だった元伯爵・貴族院議員の酒井忠正。発足直後の夏場所は、東富士が優勝、他の二人も11勝以上と、横綱の奮起を促すこととなった。

 かつて大相撲の家元とされた吉田司家に遠慮する必要はない。天皇杯を争うこの競技の主催者は相撲協会であり、家元をしいて言えば天皇である。

 横綱は読んで字のごとく白麻で編んだまわしのことで、かつては優勝しなくても吉田司家が力士に交付した例もあった。

 明治時代のように、大関が番付の最高位で、横綱をその上に設ける必然性はない。出場しなくても引退しない限り横綱が続くというのは、力士としての公正さが疑われ、ファンの感興を削ぐ。

 国際性が高まっている大相撲だ。横綱審議委員会発足当時の発想に立ち返り、横綱を廃して大関をトップにする方がわかりやすく、相撲人気が永続するのではないか。

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