戦中・戦後

2017年3月16日 (木)

教育勅語

 下手な解説はしない。

 

 朝、登校すると鉄筋コンクリート造の奉安殿(文部省を通じて下賜された教育勅語とご真影=天皇と皇后の写真を収納)の前に立ち止まり、最敬礼をする。下校の時も同じ。これを怠ったりするのを見つかると「鉄拳制裁」になる。

 

 四大節(四方拝1/1、紀元節2/11、天長節4/29、明治節11/3)には校庭にテントを張り、ご真影を奥に飾るが、勅語朗読が始まるまで覆いがかかっている。テーブルを置いた演台の前に白い手袋をした校長が立つ。そこへ教頭が三方に乗せた巻物の勅語を頭より高く掲げて運んでくる。

 

校長は巻物を一礼して取り上げ、ひもをほどく。この際、ひもの先についている爪(ツメ)が巻物にぶつからないようツメを高く持ち上げて慎重に開く。そこで「最敬礼」の号令。「直れ」は、御名御璽を読み上げた直後になる。したがって生徒はご真影を見たことがない。

 

火災で奉安殿を失った学校の校長が自決したこともあった。戦局が急を告げた頃、学校の地元にいる生徒は、警戒警報(空襲警報)発令と同時に、深夜、荒天にかかわらずゲートルを巻いて学校へ駆けつけた。

 

校舎ではなく奉安殿を守り、勅語・ご真影を持ち出すためである。勅語は今でも暗唱できるが、修身の宿題とされただけで、斉唱した記憶はない。「朕󠄁惟フニ」つまり、明治天皇の回想で始まる勅語を子供が斉唱するなど、不敬な行動ではないか。校長の朗読は、勅語を受け取った天皇の代弁者としてである。

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2017年2月17日 (金)

女子ジャンプ・世界一

 昨日行われた韓国・平昌W杯ジャンプで高梨沙羅選手(20)が97メートルという最長距離を出してW杯通算53勝となり、歴代最多記録を達成した。その前日も伊藤有希(22)がトップを飾り優勝している。

 若い女子選手が怖がらずに偉いなあ…と塾頭は思う。中学生の時、関西の都会から雪深い越後へ転校したが、軍事教練の時間は校庭が積雪で使えず、雨天体操場では鬼ごっこか銃剣術だけになってしまう。

 そこで、山スキーの行軍かジャンプになった。ジャンプは急斜面を滑降するだけでも怖いのに、踏切は飛び上がらず精一杯上体を前方に倒す……、それだけの指示で、教官は「次」「次」と号令、一人ずつ飛び出させる

 着地するあたりも、けがを防ぐため見下ろすのもこわい急斜面になっている。先に飛んだ地元の子もこけない子はわずか。塾頭も「次」と言われた時は死んだつもりだった。

 

 転げ落ちて止まった時は、ホッ!。今考えると、あれは自爆体当たりの訓練だったようだ。そんなことは考えなくていい女子選手に拍手!拍手!。

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2016年12月 7日 (水)

生めよ増やせよ

 フランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏が毎日新聞のインタビューに応じた。トッド氏は、日本の社会保障制度について、「家族に要求することが多すぎる」と指摘。それが低い出生率につながっているとの見方を示した上で、「日本が直面している最大の課題は人口減少。このままでは30~40年後に突然、災いが訪れる」と警告する。 (毎日新聞12/7)

 タイトルの「生めよ増やせよ」は、戦中、政府が唱導したモットーである。戦線が拡がって兵士が不足し、徴兵対象から外れていた大学生や一家をささえる中年世帯主まで徴兵された。職場の事務員はほとんど女子社員が肩代わりした。

 工場や炭鉱などの労働者は、中国など周辺国に求めた。これが「強制連行」と誤解されているもとである。女だけでどうやって「生めよ増やせよ」を実現させるのだろう。小学校高学年では「……も国のため」というハヤシ言葉がはやった。

 少子高齢化はたしかに問題が山積している。上の引用は主に経済問題を言っているのだろう。しかし、人口問題は昭和になってから二転三転しており、単純な方向付けだけでは片付かない。

 昭和恐慌で人口の殆どを占めていた農民は、余剰人口を吸収する働き口がなくなった。日本は人口密度が東洋ではジャワに次いで高い(今よりずっと低かったが)とされ、大陸に目が向けられた。満州事変後、満蒙の生産技術を高めるという名目で満蒙開拓団が大挙して海を渡った。
 
 それが数年後には「生めよ増やせよ」に早変わり。戦争直後には大勢の復員兵士を迎え、団塊の世代を生む結果となった。

 現在、自民党の政策では、女性は育児に専念できるようにするのか、職場を増やすようにするのよくわからない。移民受け入れに対しても同様で、基本政策を持たない。

 TTPなどを巡って、食糧自給率が云々されている。自給率を高めるためには、人口が増えない方がいいことになる。戦時中は標語に「一億一心」など一億近い人口を称したが、朝鮮・台湾を除いた内地だけなら7000万人台だった。それでも自給ができず、「貧乏人は麦を食え」など、池田首相の暴言を生む土台があった。

 人口問題もインフレターゲットと同じ、ただ増えればいいと言うものではなく、国土面積や生産力などから見てどのレベルが適正かを、しっかり見極めることが大切なのではないか。

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2016年11月29日 (火)

撃ちてし止まむ

 このところ、天皇退位問題などに関連して、天皇が平和を祈る伝統的な役割をになっているような書き方をしてきたが、戦中は天皇の違った面が強調された。

 「撃ちてし止まむ」が標語として日本中を覆っていた。神武東征・大和侵略戦争の歌からきている。

大和国磯城郡忍坂(おさか)の土雲(今でいえば土人)を撃ち殺す歌。

忍坂の 大室屋に 人多(さわ)に 来入り居り 
人多(さわ)に 来入り居りとも みつみつし 
久米の子が 頭椎(くぶつつい) 石椎(いしつしい)もち
撃ちてし止(や)まむ みつみつし 久米の子等が 
頭椎 石椎もち 今撃たらば良らし

登美毘古を撃たむとしたまひし時、歌ひけらく、

みつみつし 久米の子等が 粟生(あわふ)には
韮(かみ)一茎(もと)そねが茎 そね芽繋ぎて
撃ちてし止まむ

とうたひき。また歌ひけらく、

みつみつし 久米の子等が  垣下に 植ゑし
椒(はじかみ) 口ひひく 吾は忘れじ 撃ちてし止まむ

とうたひき。また歌ひけらく、

神風の 伊勢ノ海の 大石に 這ひ廻(もとろほ)ふ
細螺(しただみ)の い這ひ廻り 撃ちてし止まむ

 以上『古事記』岩波文庫参照。「久米」は軍事を専管する一族。「頭椎」「石椎」は大刀と石の武器。「粟生」粟畑。戦いの厳しさをニラや山椒そして貝に例えるなど牧歌的ではあるが……。

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2016年11月28日 (月)

完全死語「すいこん」

Cocolog_oekaki_2016_11_28_10_50先週24日、東京都教育委員会は都立学校の水泳授業において、来年度から飛び込みによるスタートを禁止すると発表した。今年7月に都立高校の水泳の授業で、生徒がプールの底に頭部を強打して首を骨折した事故を受けて、都教委が対応を検討していた。

 最近は、小学校から高校まで、体育授業が人気のあるサッカー、野球等の球技に集中して水泳が無くなり、泳げない子が多いという。

 また、塾頭の懐古趣味だが、国民皆泳の時代で、小学一年の時は完全に平泳ぎができた。それでもなくてもエアコンなどどこへ行ってもない。夏休みは、暑さしのぎに海か川へ泳ぎに行くのが日課だった。そこで思い出したのが「スイコン」。

 「なんのこと?」という人が多いと思うのでネットをさがしたが見つからない。漢字で書くと「水褌」だろう。そこで、家にある古い『広辞苑第4版』、これならあるだろうと思ったらやはりない。70年前は男の子の必需品だったが、言葉の寿命の短さに改めて驚いた次第。

 上の下手なイラストがそれ。上部にひもを通し右か左で結ぶ。

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2016年11月14日 (月)

古式男子用トイレ

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 11月10日は、昭和61年(1986)に『日本トイレ協会』が制定した「いいトイレの日」という記念日になっているんだそうです。

その記念日にあたる今月の11月10日(木)に文部科学省が全国の全ての‘公立小中学校’、約2万9000校を対象に実施された「トイレ事情」に関する調査結果を発表。

 以上は、ブログ「つぶやき古道(コミチ)」さんの書き出し部分から頂戴したものですが、左上の下手なイラストは、塾頭が通学した田舎の中・高校時代の男子小便所です。

 下のグレー部分は、半円形にえぐられたコンクリートの溝に川から引いた水がいつも流れていました。胸のあたりの高さに厚い板があり、荷物はそこに乗せて、板に前身を寄りかかせながら用を足します。

 公衆便所の陶器製便器、「一歩前へ」など注意書きの必要がなく、人の目も気にならない理想的な方式でした。

 

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2016年10月28日 (金)

追悼・三笠宮殿下

♪昭和 昭和 昭和の子どもだ 僕たちは 

 だから、昭和天皇に続く秩父宮、高松宮、三笠宮の3兄弟は、平成の子供と違って近くに感ずる。その最後の弟三笠宮が100歳の長寿を全うし、27日朝薨去された。昭和は28年を経てですでに遠くなった。

 次代の今上天皇も生前譲位を言いだされている。塾頭はこの20日に「退位に慎重だった皇后」を書いたばかりである。そこで、退位に理解を示す国民の多数は、自らの生き方を決められないことは、基本的人権に反することにならないか、という素朴な発想からきているのではないか、と書いた。

 ところが、三笠宮は70年前の皇室典範制定時に、皇族の立場から天皇の生前退位を容認する意見を発表され、「必要最小限の基本的人権としての譲位を考えた方がよいと思っている」と異議を唱えていた(表記は原文通り)ということがわかった。

 また、オリエント歴史学者として、紀元節復活に反対意見を持ち、さらに戦中には、陸軍参謀の名で中国各地を視察、その見聞にもとずく支那派遣軍総司令部で行った講話原稿が残されている。そこには、日本人の「侵略搾取思想」や「侮華思想」、さらに「日本軍の暴虐行為」などの表現があった。

 ひるがえって、今朝の新聞には、天皇の生前退位に関する安倍首相の指摘諮問機関が、ヒヤリング対象とする専門家?16人を選定したことが書かれている。それを見ると、週刊新潮も顔負けするような極右雑誌の常連筆者、渡部昇一・八木秀次・桜井よしこなど、安倍首相のお気に入りがずらっと勢ぞろいしている。

 これら歴史修正主義者や戦前回帰論者は、100歳にわたる貴重な現代史目撃者の見聞・意見とと真っ向から対立する。メンバー選定者は、意見がはっきりしている人から選んだというが、その結論はどうなるのだろう。結論が出せないか、出たとすれば到底歴史の批判に耐え得ない奇怪なものになるだろう。

 塾頭は、日本随一のナショナリストは、昭和天皇をはじめ、こういった皇族方にほかならないという考え方だ。生を受けると同時に五穀豊穣と民(おおみたから)の安寧を祈る神事の中で育ち、徹底した帝王学を学び、利害を超越した純粋性を持つ。

 そのテキストは日本書紀・古事記で始まるのであろう。それらの文献は、決して美辞麗句の聖典ではない。先祖の各天皇の事績を原典で知る必要があり、そこからさまざまな文化や教訓・批判力を身に付ける。決して「天皇中心の神の国」や「万世一系」などという安直なものではないはずだ。

 天皇、そして皇族は、明治維新以降はびこり始めたエセ・ナショナリストや戦中に猖獗を極めた皇国史観を超越した、日本民族の「象徴」的存在であることを改めて強く感ずるのである。ここに更めて殿下の冥福をお祈りする。

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2016年8月29日 (月)

記録的台風雑感

 台風が東北地方に直接上陸すれば統計を取り始めてから初めてだという。それがいつかと思ったら1951年以来というから、「なんだ、最近じゃないか」と思った。

 だけど65年前は、いつのまにか大昔になっているのだ。ラジオの天気予報が無くなったのは1941年12月の日米開戦と同時期。天候も軍事機密になった。

 戦後すぐ再開されたが、「平和が来たんだなあ……」と改めて実感した。そして、台風情報もその強さを中心気圧ヘクトパスカルではなく、伝統的単位、水銀柱ミリバールで表現した。

 さらに、中心の予想ルートも放送されている。疎開先の母子家庭である我が家には、祖父が泊りに来て、戸を板で覆うなど万全を期してくれた。翌朝、台風の目が通り一瞬青空の広がっているのを目にした。

 台風は、何号ではなく、米軍がつけた女性の名前が使われた。大きな被害を出した「キャスリン」とか「キティ―」などを覚えている。1951年より前の時代である。

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2016年7月 9日 (土)

投票率72%、前回比-11%

 明日は参院選投票日。よくうかがう「つぶやき古道」さんの記事にヒントをいただき、過去の投票率をちょっと調べて見ました。

72.08% (前回比-11.08%) 男性:78.52% (前回比-4.64%) 
女性:66.97%

 これは1946年(昭和21)4月10日の第22回総選挙、戦後初の国民投票です。女性の「前回比」がないのは、前回までは女性の選挙権がなく、前回比では+66.97%ということになります。また、この回から選挙年齢が25歳以上から20歳以上に引き下げられました。

 ちなみに当選者は、自由110、進歩94、社会93、協同14、共産5.、無所属・諸派119。婦人議員は39人でした。
 
 さて、その前回です。1942年4月30日(昭和17)、太平洋戦争の真っ最中です。前回記事でもちょっと触れましたがいわゆる翼賛選挙です。投票率は83.2%、いつもは投票率の低い東京がなんと86%でした。

 当時、何かというと「非国民」という言葉がはやりました。パーマネントをかけているご婦人は、♪パーマネントはやめましょう、という子供のはやし謡で街から消え、外出姿もスカート、ハイヒールからモンペ、地下足袋に変えないと「非国民」扱い、という時代です。

 この選挙結果は、翼賛政治体制協議会推薦者381人、非推薦者85人で、政権翼賛議員は軽く3分の2を越えました。

 棄権する人は非国民扱い、があったのかもしれません。投票率が高すぎるのも問題ですが、今の日本は他の先進国から見ても低すぎます。今度の選挙は選挙年齢が変わる大きな境目の選挙です。

 投票率がどうなるか気になります。

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2016年5月10日 (火)

1億総グルメ社会

 テレビは、ついているからぼやっと見ていることの多い塾頭である。別に統計を取っているわけではないが、他を圧しているのがグルメ番組。それ以外のドラマなどでもものを食っていたり、盛り付けを見せたりするシーンの多いこと。いつ見ても出てくる。これを評して「食傷気味」という。

 中でも飽きずに繰り返されるのが、「行列のできる○○の店」企画。そして、並んでいる客に注文するメニューの券をあらかじめ配ったりしている。その券がないと席についても目的のものは食べられない仕組みだ。

 そういえば、塾頭にもそんな経験があった。70年近く前だ。店の周りに列を作る。店に入っても「券」がないと飯が食えない。「外食券」と称する。主食の配給制度が解けず通帳とか切符のかわりに「外食券」の交付を受ける。

 行列のできる店は、外食券食堂といい、要所要所にあった。ただ、焼き魚とお新香の付いた定食がいくらだったかは覚えていない。

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