戦中・戦後

2021年1月27日 (水)

バイデンとチャーチル像

 バイデン米大統領就任に伴い、大統領執務室に飾ってあったイギリスのウィンストン・チャーチル元首相の胸像が無くなったことがちょっと話題になっている。

 キング牧師などの像と入れ替えられたようだが、バイデン氏の「私はチャーチル氏を尊敬している」との発言も紹介されている。

 米英との戦争が始まって、新聞などに小腹の出たチャーチルや、米・ルーズベルト大統領の漫画が多用されたため、憎らしい敵、というのが塾頭の第一印象になった。チャーチルは、戦後引退してからも有能で偉大な政治家として内外での影響力を保った。

 戦争再発を根元から断つため、今にある「欧州連合」を学生に向けた講演会など提唱していたことは知られており、今は尊敬する政治家の一人だ。

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2020年12月19日 (土)

先進国アメリカの妄想

【毎日新聞.12月18日 東京夕刊】

 バイデン次期米大統領は1月に発足する新政権の内務長官にデブ・ハーランド下院議員(60)を指名する方針を固めた。米メディアが17日、一斉に伝えた。近く発表される見通し。上院で承認されれば先住民として初の閣僚となる。国有地や先住民政策を担当する内務省トップに先住民出身者を求める声が民主党内から上がっていた。ハーランド氏は西部ニューメキシコ州のプエブロ族出身。民主党州本部の委員長などを経て2018年の連邦下院選に同党から出馬し、先住民女性として初の連邦議員となった。 (以下略)

 これは驚いた。昔見た西部劇の映画は、西洋から渡来してきた白人が先住民の生活や土地を奪うことで戦いとなり、カウボーイハットと二丁拳銃の乗馬姿が活躍する。先住民・インデアンを追い払ったあとにアメリカ合衆国が成立する。

 1787年9月17日、現在のアメリカ合衆国憲法が起草された。集合的に権利章典と名付けられた最初の10の修正案は1791年に批准され、多数の基本的な市民の権利および自由を保証することを目的として策定された。

 それから164年後に日本はアメリカを主力とする連合国と戦ってやぶれ、敗戦国として占領下におかれた。

 東京の中心街も進駐したアメリカ兵であふれた。電車の中で習いたての英語で会話を交わしたのは黒人兵で威圧は感じなかった。

 志願兵かどうかはわからないが白人兵と同じ軍服を着ている。差別があるようには見えなかった。

 しかし、その頃米本土では乗り合いバスの席は黒人用と白人用に分かれており、その境目にある席にだれが座るかを決める権限は運転手にあった。その席の奪い合いで黒人が立たされ、それがもとで差別反対抗議運動に火が付き、キング牧師が乗り出すなど全米にひろがった。

 この問題は訴訟沙汰になり、最後は黒人のバスボイコット運動と最高裁の違憲判決で黒人勝訴で決着し、人種差別は消滅したかに見えた。

 日本の敗戦後10年もたっており、日本国憲法も定着するころだ。「土地に杭は打たれても、心に杭は打たれない」立川米軍基地拡張反対運動が高揚を見た年でもある。

 人種差別、さすが今はないだろう、と思ったら、トランプ・バイデンの選挙戦で論争の的になった。

 そこで、冒頭の引用である。バイデン新大統領が閣僚に黒人を指名、そのデブ・ハーランド下院議員(60)は、上院で承認されれば先住民として初の閣僚となる。

 それだけではない。2018年の連邦下院選に同党から出馬し、先住民女性として初の連邦議員となった人だ。

 なんと、先住民女性議員は2年前まで存在しなかったという、後進国ぶりだ。なんでも手本にしなければならない先進国というイメージはもろくも崩壊した。

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2020年10月23日 (金)

敗戦決定の動機

 今年が終戦75周年だから書くわけではない。TVを見ていたら藤山一郎が歌う「長崎の鐘」という場面がでてきて、その頃を思い出したからだ。

 5年間続いた大戦は、わずか5日間で終戦という結論を出した。負け戦が続いていることは、いわゆる「大本営発表」とは裏腹に国民が実感して知っていたところだ。

 1945、昭和20年の年表は次のように記す。

7.28 鈴木首相、記者団に対しポツダム宣言を黙殺し、戦争継続を表明。

8.6 B29、広島に原爆投下。

8.8 ソ連、日本に宣戦布告、満州への進撃を開始。

8.9 B29、長崎に原爆投下。

8.10 午前2時30分、御前会議、国体維持を条件にポツダム宣言受諾を決定。

8.15 天皇、戦争終結の詔書を放送(玉音放送)

 長崎原爆投下の翌朝、終戦を決めたのだ。

 原爆は当時のニュースで「新型爆弾」と呼んでいた。

 日本が玉砕(全軍戦死)や転進(敗北後退)を続けている中で、生死回生の手がある。それは原子爆弾を発明することだ、マッチ箱一つの大きさがあれば敵師団や敵艦隊をせん滅させて戦局を逆転できる、というもので子供でも知っていた。

 だからこそ「原子爆弾」という言葉は故意に避けたのではないか。そして、それが「敗戦」を決断する決め手となったように思える。

 平行して敗戦の決断に「ソ連参戦」もよく取り上げられるが、不可侵条約の一方的な破棄は広島原爆のあとだ。

 中国はすでに国共内戦の含みで、その虚をついた卑怯な行動とは映ったが、ソ連に負けたという感覚はあまりなかった。

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2020年9月19日 (土)

靖国神社とA級戦犯

 安倍晋三前首相は19日、自身のツイッターに「本日、靖国神社を参拝し、今月16日に内閣総理大臣を退任したことをご英霊にご報告いたしました」と写真つきで投稿した。(毎日新聞09/19)

 最後の最後まで、彼らしいふんぎりの悪さだ。世間では、中国や韓国などが猛反発することを理由に、定例としていた参拝を取りやめ、奉幣だけにとどめていた。どこの国であろうと、国家を背負って戦死した兵士を祀るのは当然で、国家元首が参詣したからといって他国に糾弾されるいわれはない。

 一国の宰相が自らの信念を曲げるのはどうか。現に千鳥ケ淵戦没者墓苑を拝礼したからといって、他国から苦情がきたという話は聞かない。

 2001年8月の小泉純一郎首相・靖国参拝に端を発する。当時、国際問題というより、国内でも戦没者慰霊の在り方に様々な議論がされていた。他国から意見されるのは内政干渉だとさえ思えた。

 そこへ大きな転機をもたらしたのが「富田メモ」の発見である。2006年(平成18年)7月20日に、1988年(昭和63年)当時の宮内庁長官であった富田朝彦が昭和天皇の発言・会話をメモしていた手帳に、昭和天皇がA級戦犯の松岡洋右と白鳥敏夫の合祀に不快感をもっていたことを示す発言をメモしたものが残されており、その発見を日経新聞が報じたことである。

 以後、天皇の靖国参拝はされていない。問題はA級戦犯合祀だったのだ。

 A級戦犯なら、東条英機もそうだが名前は挙げられていない。現役の軍人だったからということだろうが、開戦時外交面で独・伊と3国同盟を結び開戦のきっかけを作った軍人でない2人が靖国に祀られるいわれはない、ということになる。

 以下は塾頭の独断である。

 天皇は、陸軍中将・東条英機を忠臣中の忠臣と見ていたようだ。内心、三国同盟にも開戦にも反対の意を戴し、最後はその方向に動かす力ありと見ていたのかもしれない。

 しかし、陸・海軍の意見の衝突もあって戦局転換の時期を失し、当初から研究されていた通り、国力の差で敗戦が決定的になった。

 そこで、東条暗殺計画まで起きるなど、本土決戦論が起きる一方内閣も代って終局に向かうことになる。

 終戦後、占領軍による戦犯逮捕を前にして、東条はピストルで腹を撃ち自殺をはかる。しかし失敗、占領軍の治療を受けて東京裁判の法廷に立つ。

 近衛秀麿は逮捕前に服毒自殺し、これは果たした。当時、東条は腹をつまんでそこを撃ったのではないかなどと物笑いの種になり、以後評価は地に落ちたままだ。

 しかし、このところ見方が変わった。

 東条は、天皇の戦争責任追及を100%わが身に受ける決心をしたのだ。そのためには、生き延びて法廷で相手にも納得できる証言をしなければならない。できるのは自分しかない。という悲壮な決意だ。

 昭和天皇は、それを知っている。前述の戦犯靖国合祀問題もそんな背景が見えてくる。東条は、敵国軍の捕虜となり自殺にも失敗し、最後は処刑されるという、彼自身が帝国軍人にいましめとしていた恥ずべき姿で最後を遂げた。

 これは彼が最初から仕組んだ自作自演だったのではないか。自殺失敗、A級戦犯、そして絞首刑は彼にとつて勲章なのだ。

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2020年9月10日 (木)

鳥取大震災

 77年前の今日、鳥取県に大震災が発生した。死者1083人。塾頭は兵庫県に住んでいたが、ただならぬ大揺れに外へ飛び出した。門前に据えてあった防火用水の水が揺れで半分くらいに減っていた。

 ここでも現在にいう震度5ぐらいはあったのだろう。あと2年ほどで終戦になるのだが、翌朝の新聞には、鳥取市内のデパートなど鉄筋建てがひしゃげている写真が載っていた。別に報道管制はなかったようだ。

 戦争でもコロナでも、自然災害は容赦しない。

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2020年9月 4日 (金)

ゲーペーウー

 ドイツ政府は2日、意識不明の状態でベルリンで治療を受けているロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏(44)について、猛毒の神経剤ノビチョクと同じグループに属する物質で襲撃されたと発表した。ドイツ連邦軍の研究所による解析で「疑いのない証拠が得られた」という。ドイツ政府は声明で襲撃を厳しく非難し、ロシア側に早急な説明を求めた。 (以下略)【毎日新聞20/9/4東京朝刊】

 このほか、同紙はプーチン政権下で起きた過去6件の同種暗殺疑惑を列記し、ドイツや英国などから追及を受けていることを記事にしている。

 ソ連・ロシアによる暗殺事件の歴史は古い。「ゲーペーウー(GPU)の仕業」という言葉を思い出した。

 ソ連の国家政治保安部の略称で反革命運動の取り締まりを任務とした秘密警察である。しかし、1934年に内務人民委員部に吸収され、組織名としては消滅していたが言葉だけは残っていたのだろう。

 アメリカの「CIA(中央情報局)」は.外国での諜報を行うアメリカ合衆国の情報機関で、大統領直属の監督下にある。

 この方は、日本の占領行政で巨大な権限を持つ組織として知られていたが、恐怖の対象ではなく、CIA図書館や、16mm映写機の貸し出しなどを通じてなじみがあった。

 この違いを考えているのだが、権力によるメディアの完全独占・集中と、メディアの育成を通じて権力の基盤とする点で、極端な差が生じたのだろうか。

 この差は冷戦解消とは無関係、むしろ先鋭化している。

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2020年8月20日 (木)

終戦の年の夏休み

 1945年8月20日、75年前の今日の記憶がはっきりしているのは、夏休み中の登校日だったからだ。終戦放送があってから5日目で、以前、2011/10/3付けでこの日のことを書いており、2度目になる。

 集合場所は、磐越西線の小駅・三川の駅前広場で、列車はダイヤ通りに運転され乗客にも変化がなかった。駅前には、農機具・スコップ・のこぎりなどがそれぞれ1クラス分用意してあり、それを携えて現場の山に向かう。当時、学校は小銃(弾はなし)、工作器具などを教練用として常備していた。

 山に入ると、ブナなどの灌木を掘り返し、土を整えてソバの種をまいた。なぜイもか麦でなくソバか。

 ないよりましというより、生育後にそこへすきこめば肥料になる、と説明された。草むらが急に日光にさらされたため、蛇の赤ちゃんが卵から顔を出したのを覚えている。

 昼食時に、キャンプファイアーに擬して火をたいたが、灯火管制が解けたのは3年8か月ぶりのこの日で、「敵の標的にされる」と注意した人もいた。

 その後、ソバが育ったか役に立ったのか、一切知らない。蛇の赤ちゃんに聞いてみたいところだ。

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2020年8月18日 (火)

「人造」の時代

 17日付け毎日新聞夕刊の1面トップの見出しは、「GDP27.8%減 4~6月期 戦後最低」であった。

 2面の特集ワイドでは、AI(人工知能、artificial intelligence〉と、コロナ禍への対処で欠くことのできない理論疫学の分野における人材不足が深刻だと訴える。

 AIとは何だろう。実はわかっていそうで突き詰められると、よくわからない。理論疫学とやらも同じである。感染者数の評価など結論はいく通りもあってわからない。

 AIは、「人工知能」という訳語から類推すると昔使われた「人造人間」の類ではないか。

 発電・貯水・水利など多目的の巨大工作物、黒四ダムを人造湖といった。石炭を乾留して作るドイツの技術で人造石油会社ができ、すぐ破けてしまう靴下は、人絹といい人造絹糸を略したものだ。人造人間は戦後、鉄腕アトムとしてアニメに登場する。

 特集でいう「人材不足」は、国内のAI分野の研究者が少なく、世界が人材を奪い合う状況で、経産省によると2020年時点で4.4万人、30年時点では12.4万人が不足するというものだ。

 かつての人造〇〇は必要に迫られて生み出されたもので、別に豊富な人材が背景にあったというわけではない。

 特集には「日本の弱点」という標題がついているが、少子老齢化やこの分野での、中国などの追い上げを意識しているのだろうか。コロナ対策分野で分析・指摘した科学技術振興機構(JST)の原因として、

背景に、日本の研究界の「縦割り文化」がある。教授は自分の研究を弟子にそのまま引き継がせ、他分野と交流がないまま「専門化」が進み、社会の課題に迅速に対応する新たな研究の潮流に乗りにくくなっている。

という要因をあげた。

 仮にかつての「人造」ブームを呼び起こすためであれば、新聞トップにあったGDP対策で相当思い切ったことをするにつきる。

 AIに携わる企業を儲けさせ、高い給料を保証する。コロナに利く新薬やワクチン開発に携わる企業も同様、昔はやった「傾斜生産」だ。これで高度成長の時代が生まれ、国の借金が活かせた。

 ただし、「花見の会」などに使ってしまう政府では無理で、この際、お引き取り願うしかない。

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2020年7月12日 (日)

「異国の丘」

 ロシア極東のハバロフスクで11日、プーチン政権と距離を置く知事が逮捕されたことに抗議する数万人規模のデモが行われ、長期政権に対する地方の不満の高まりを伺わせるものとなりました。

ロシア極東ハバロフスクのフルガル知事は、2004年と2005年に起きた殺人事件などに関与した疑いで今月9日捜査当局に拘束され、その後、身柄を首都モスクワに移されて、正式に逮捕されました。

フルガル知事は、野党の極右政党に所属し、おととしには、プーチン政権与党の現職を破って知事に就任したことから、政権と距離を置く人物として知られています。

ハバロフスクでは10日、支援者や野党勢力の呼びかけで、知事の逮捕に抗議するデモが行われました。【NHKニュース】

 ハバロフスクは、大陸ロシアで北海道から日本海をはさんで最も近い都市である。住民はロシア人が多いが、ロシア全土から多様な人種が集まっており、中国人・朝鮮人・日本人も住んでいるという、ロシアの中では多様性を持った都市である。

 デモの原因とか、兼職市長とプーチンの対立など詳しいことがわからないが、世界各国に中で最も安定した長期政権を維持しているように見えるロシアの内情が垣間見えるのか、続報が待たれる。

 戦後、「悲しき口笛」「湯の町エレジー」などで歌謡界をリードした演歌歌手・近江敏郎は、「ハバロフスク小唄」でその知名度を高めた。

 また、NHKのど自慢の人気度を一挙に高めたのが無名のハバロフスク抑留者の作詞作曲による「異国の丘」である。出演者の悲痛な叫び声に似たメロディーが全国民を圧倒し、知らない人がいないくらい口ずさまれるようになった。

 ハバロフスクで思い出したことだが、戦争の語り部が少なくなる中、戦後を語るこういった歌も残してほしい。

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2020年7月 9日 (木)

安全器

 玉井人ひろたさんのブログに「安心・安全」というこどぱに関連し記事があり、コメントした。徳用マッチの大箱に「安全燐寸」と書いてあったことを思い出してのことである。

 そのあとで、日常の中の「安全」を考えてみたら、戦争直後の「安全器」を思い出した。今日ある家庭内の「配電盤」にあたる。陶器の刃型開閉器があって、そこを鉛製ひも線状のヒューズがつないでいた。

 電気器具やコードなどのショート、落雷などで大電流が流れるとヒューズが溶け(「飛ぶ」という)電流を遮断する。

 戦後の食糧難は史書に書かれるが、炊事や暖房の一環をになった囲炉などに使われる木炭も材木が軍事資源として優先されため、木炭の配給が途絶えがちになり家庭生活を圧迫したことは、あまり触れられない。

 そんな時活躍したのが電気である。軍需工場で使われなくなったため、有り余る電力は家庭用に振り向けられた。炭火の代わりをしたのが赤熱した螺旋状のニクロム線である。

 その便利さが、ちょっとした使い過ぎを招き、安全器のヒューズを飛ばすことがよく起きた。

 脚立を持ってきて安全器を引きおこし、ヒューズを取り換える作業は、男の仕事だ。買い置きのヒューズがない時は、荷札についている細い針金を1本抜き出し、これを代用した。

 もちろん違反である。コメの買い出しも違反だ。すべて法を守っているだけでは生きていけない時代の話である。

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