経済・政治・国際

2009年12月 2日 (水)

党高政低の民主

 まもなく西高東低の冬型気圧配置になる。政権与党の気圧配置は、党(民主党)高・政(政府)低の気圧配置が定着しそうである。政権交代を願い、新内閣の好調なすべりだしに多少のことには目をつぶってきたが、この気圧配置は大荒れに発達するのではないかという心配がでてきた。

 党高気圧の中心は、小沢幹事長。当初言われていた権力の二重構造にはならない、という私の観測は当たっていると思う。「生き続けるためには変わらなくてはならない」という彼のモットーは捨ててはいないが、心にもないことを言ったり言わされたりするのが大嫌いで、直情径行に走りやすい性質はそのままのようだ。

 例えば、官僚の国会答弁を禁止する法案、こんなことは議会の運営でやればいいのに、なぜ法律にしなければならないのか。それでなくても官僚は法律でいろいろな基本的人権を制限されている。いちいち例を挙げないが、労働基本権、言論の自由などがそれである。

 たしかに、これまで放置された官僚による悪弊は大掃除をする必要がある。しかし「坊主にくけりゃ」の官僚バッシングは目に余る。官僚はあくまでも「法」に基づき「法」に従って仕事をする職業で、政治家に支配されて法をまげることは許されない。法制局長官による法解釈答弁を法律で禁止するのは筋違いだと思う。

 そのほか、一年生議員の一方的支配、議員連盟参加の制限、議員立法の制限など共産党や公明党でも見られないような議員しめつけをすれば、いずれほころびを生ずるに違いない。薬害エイズ問題で名をあげ、どちらかといえば民主党よりだと思われた川田龍平参議院議員が、それを嫌ってみんなの党に入ったのは深刻だと思う。

 次ぎに「政低」のほうだが、鳩山首相が就任早々国連やASEAN首脳会議て打ち上げた演説は、胸のすくようなものがあった。内政でも選任された閣僚は多士済々で、それぞれ発言に不一致があっても「開かれた議論のもとで」という新鮮さが、逆に評価されるという幸運もあった。まさにしばらくは秋晴れの高気圧のようにも見えた。

 しかし、このところ首相の発言の迷走ぶりが問題にされている。特に沖縄普天間飛行場の処置について、その決定時期や、移転先が県内なのか県外かについてその都度ころころ変わっている。国民は「最後は私が決めます」に期待を抱いている。自分の意見と違っても「鳩山首相がきめたことなら」という、国民の納得が得られそうな恵まれた人気の上に立っていた。

 しかし、天気模様は急速に変化しつつある。そのひとつが政治資金問題である。これは「捜査の結論を見た結果で身を処す」という発言である。国民の多くは、自分の金の管理不十分ということで、これまでは大目に見るような所があった。

 しかしどうしてそんなことになったか、桁外れの大金持ちの気分にはなれないが、その金額・内容から見て、とんでもない無能力者か、詐欺犯に近いような人に金をまかせてしまったとしか思えない。疑獄や収賄などに全く無関係であったにしても、そういった人を雇い入れてまかせきりにするような、身辺に甘さのある人を首相にしておくのがいいのか、という疑問は当然起きてくる。

 自民党の大敗は、選挙前の「民主が勝っても党内の意見不一致から遠からず内部分裂を起こす」という自民の希望的観測ははずれたようだ。上述のような大荒れがやってきても「解散総選挙」という事態にはならない。しかし参院選の結果はわからない。いかに小沢幹事長の采配があろうとも獲得議席が前回に達しないこともあり得る。

 問題はその後である。自民党のような手練手管に長けていない民主党にとって本当の危機がやってくる。そうならないようにするには、政権交代による強引さの手綱をゆるめ、幹部、特に党代表経験者が一致団結して事に当たるしかない。 

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2009年11月30日 (月)

鳩山外交発射準備

 11月も今日一日だ。鳩山首相就任以来、国連、ASEANと席の温まる間もない顔見せ興業を続け、核廃絶、温暖化ガス削減、アジア共同体など自民になかった外交の変化をアピールした。安保政策では、鳩山外交のいわゆる「かけはし路線」に否定的な目を向ける一部大手マスコミや閣内不一致などもあってか、普天間基地移転問題など安保見直しなどが来月以降に持ち込まれる。

 このところ、予算の事業仕分けがTV政治番組を占領し続けた。昨日は休日にもかかわらず、円高、ドバイ金融危機などを受けて急遽関係閣僚会議だ。年末を控えた不況対策にどう対処するか、世間の目がその方に向くことになるだろう。

 思い返していただきたい。選挙投票日の前後「インド洋上給油」を打ち切ると日米関係に取り返しのつかないひびが入ると言い立てられた。そして、鳩山外交はアフガンに50億ドルの民生援助を決めた。これに対しても、血も汗も流さない顔の見えない札束外交と非難したメディアや評論家は、一体どこへ行ったのだろう。

 当ブログでは、アフガンの軍事力強化の治安維持より、日本は米軍などの「出口作戦」に協力すべきだと主張してきた。
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-4e5b.html
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-ddde.html

 その準備は着々と整いつつあるようだ。大手マスコミではほとんど無視しているが、そういった和平仲介の中味が公開されずに進んでいるせいかも知れない。それを乏しい報道の中から二つ紹介する。

2009年11月21日  西日本新聞
 アフガニスタンに和平を築く道筋を探る国際会議が23日から3日間の日程で、東京都内のホテルで開かれる。日本政府は既にアフガンへの50億ドル(約4500億円)の民生支援を表明しているが、会議の結果を日本の中長期的なアフガン和平貢献策に反映させる方針。

 主催は「世界宗教者平和会議」(WCRP)などで外務省が協力。アフガン、パキスタン、サウジアラビア、イラン、欧州連合(EU)などの代表を招き、日本からは犬塚直史参院議員(民主党国際局次長)や伊勢崎賢治・東京外大大学院教授(元アフガン武装解除日本政府特別代表)らが参加する。

 「参加者の安全を確保し、率直かつ自由な討議を保証するため」(WCRP)に会議は非公開だが、外交筋によると、アフガンからは反政府武装勢力タリバンとの和平交渉も担当するスタネクザイ大統領顧問らが参加する。

47news 2009/11/25】  
 アフガニスタンや周辺諸国の代表を招き、23日から都内で開かれていたアフガンの和解と平和に関する国際会議(主催・世界宗教者平和会議など)は最終日の25日、「アフガン和平構築で日本は中心的役割を果たすべきだ」などとする提言書をまとめ、岡田克也外相に手渡した。

 会議は、アフガンから反政府武装勢力タリバンとの和平交渉を担当するスタネクザイ大統領顧問らを招き、非公開で開催された。提言は、和平交渉進展に向けて、タリバンに一定の影響力があるとされるサウジアラビアのアブドラ国王らの協力を期待し、イスラム諸国の一層の関与を要求。

 タリバンメンバーが和解に応じて暴力を放棄すれば、タリバン幹部らの資産凍結を命じた国連安全保障理事会決議からメンバーの氏名を削除するよう国連に求めた。

 日本政府は既にアフガンへの50億ドル(約4400億円)規模の民生支援を表明しているが、これとは別に、提言を中長期的な和平貢献策に反映させる。(共同)

 これと符合するように、ブログ「マスコミに載らない海外記事」では、アメリカが裏ルートでタリバンと接触を始めたとする、相当踏み込んだパキスタンの新聞『Dawn』の記事を翻訳掲載している。当事者としてタリバン要人やサウジアラビア機関がかかわっている点も共通している。立体的にものを見る上で大変貴重だ。

 上記報道にある犬塚直史参院議員(民主党国際局次長)は、民主党政権誕生前からこのプロジェクトに参画しており、当然鳩山・岡田両氏もその経緯を承知して新政策を起案したと思われる。いままでは黒衣(くろご)に徹していた日本政府だが、同国際会議から「アフガン和平構築で日本は中心的役割を果たすべきだ」という提言を受けた以上、より前向きに外交努力する責任と義務がある。

 それにより、オバマ政権に「出口作戦」のきっかけを与え、アフガンで貸しを作ることに成功すれば、日米安保の新しい世界戦略を構築する方向に光りをあて、鳩山ロケットの宇宙発射成功を確実なものにすることができるだろう。
 

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2009年11月 2日 (月)

国会がおもしろい!

 私は国会の予算委員会の中継で与党質問など聞いたことがなかった。まさに茶番で時間の無駄だったからだ。今日、政権交代後はじめての委員会が与党質問から始まった。単に好奇心からだったがこれが予想外に面白い。

 民主党の山口壮代議士のアフガンに関する質問は、考えが当塾と同じだった。すなわち、経過はソ連の侵攻と全く同じ経過をたどり、国際的にも「負け戦」であると認識されるようになった、いまや出口戦略を考える段階だ、日本は日本にしかできない国際貢献をするべきだ、という主張だ。

 そして遂にでた。「私なら体を張ってでもタリバンとの接触を試み武力ではない国際協力に当たる」という発言。言いも言ったり、わが塾の主張と同じである。山口氏は外務省出身で、米、中、パキスタン、英の各大使館勤務を経験した人で素人ではない。

関連エントリー
アフガンは振出しにもどせ
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-2991.html
アフガンの出口を作れ
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-1de4.html
アフガンの動き、急
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-6c3c.html
ガンダム
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/post_e87f.html?no_prefetch=1

 このほか、国民新党下地幹郎議員の普天間県外移設発言に対する、「候補になった自治体の意見を考えろ」というヤジに「沖縄だけに基地を押しつけるという心構えだから解決しない。基地は国民全体で負担を分担する考えがどうしてできないか」と反論したのも圧巻だった。(以上議員発言は正確ではありません)

 午後からは野党質問も始まる。やはり「民主党がんばれ」だ。

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2009年10月26日 (月)

わかっていない「共同体」

 2009_10260001 今日は1日雨との予報。つわぶきの葉・花が一段と鮮やかだ。半月前《「共同体」7つの誤解》を書いた。これから鳩山首相の所信表明演説が行われる。「アジア共同体」の議論も一段と活溌になるだろう。しかし、マスコミも一般社会もさっぱりわかっていない。 「アジア共同体を作ろう」という発想自体がまちがっている。「戦争をなくするにはどうすればいいか、そのためには何ができるか」というEUの発端になった精神がない。そこで、第2次大戦当時英国の首相だったチャーチルのチューリッヒ大学における1946年演説(再掲)と、最初の共同体鉄鋼・石炭プール計画にたずさわったドイツのアデナウアー首相の信条を引いておく。(小屋修一『欧州連合論』より)

チャーチル
 われわれが生きているこの時代に、平和を破壊し、人類の全ての未来に暗影を投じることになったあの恐るべき「民族の戦い」を二度も戦ったのは、この欧州においてであった。だが、欧州がこの不幸を癒すひとつの薬を用いるなら局面は一変し、欧州を短時間で今日のスイスのように、自由にして幸せな知に変容せしめ得る、そんな薬が存在する。

 その特効薬とは何か?それは欧州の家族を平和にかつ安全に生活させることができるように、再編成することである。つまり、一種の「欧州合衆国」を建設することである。その欧州一家復活の第一歩は、フランスとドイツの統合でなくてはならない。

アデナウアー
 ドイツは欧州全体のなかに、自分の居るべき場所を見いだすことによってしか、平和でいることはできない。

 さらに、単なるブロック経済と考えている人が多いことだ。1930年、世界恐慌が吹き荒れたあと、米ドル、英ポンド、仏フランなど統一通貨、域内保護貿易圏を目指したブロック化で日本などが孤立した。そのあせりから東亜新秩序、大東亜共栄圏などの円支配圏に活路を見いだそうとし、ブロック経済が第2次世界大戦の引きがねにもなった。EUは「反戦・平和」が作ったのだ。わかっていない。( ̄| ̄;)!……

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2009年10月24日 (土)

外交ブレまくりは×

 鳩山外交の滑り出しは順調で◎をつけだが、このところ首相と外相、防衛相などの発言がブレまくっている。外相が日本外国人記者クラブで「東アジア共同体にアメリカは加えない」と発言していたのに対し、首相はASEANに出席してアメリカの参加を求める意向を表明するという。

 まったく逆の意見で、これほどの食い違いが表面化することなど聞いたこともない。また、沖縄の基地移転問題でも、首相は民意を慎重に見極める必要があるとして、期限を設けない方針であるのに対し、他の閣僚は早期決着を求め県外移設の選択肢はないなどという。

 また、岡田外相は普天間飛行場の嘉手納基地統合案持ち出し議論を複雑化している。国内の他の案件でも閣僚間の意見食い違いが表面化していて、ガラス張りで政策決定の過程がよくわかるなど、新政権に甘い評価も見受けられる。

 しかし外交は違う。米国防長官らが来日しても従来どおりの強硬策を表面にだす。そして一歩もひかぬ立場を説明し、一切の妥協を拒むところから始まる。さまざまな応酬があって最後に首脳がでて落としどころをさぐって決着をみる。日本外交はその逆だ。

 金正日のまねをしろとまでは言わないが、そんなのは外交交渉のいろはではないか。多少のイレギュラー発言をするにしても、それは最善の結果を招くめの陽動作戦の範囲内だ。官僚はずしはいいけど、官僚だったら決してこんな混乱を招くようなことはしないだろう。

 あしもとを見られて相手を利するだけでなく、あきれられ信用をなくすだけだ。どうしてこんなことになるのだろう。先が思いやられる。このままでは、早晩鳩山外交の◎から×に転化するに違いない。

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2009年10月19日 (月)

新外交にギヤがかかった

 前回のエントリーで「オバマの背中を押せ」を書いたら、早速、岡田外相が「核の先制不使用宣言をアメリカに働きかける」という考えを講演で示した。これは、鳩山新外交方針に慎重かつ確実にギアがかかったことを示す。当塾としては、これをすなおに受けとめ、手放しで喜びたい。

岡田氏は講演の中で「(日本政府が)一方で核の廃絶を強く言いながら、自分のためには先制使用してくれと言うのは、矛盾のない行動であるかというのはかなり議論がある」と指摘。「大きな方向性としての先制不使用は否定できないこと」と語った。

 核の先制不使用は18日の「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」の本会合でも議論され、年明けにも出される最終報告書に盛り込まれる見通し。岡田氏は報告書がまとまった段階で、米側に議論を提起したい考えだ。 (AsahiCom、10/19

 8月はじめ、麻生政権が民主党に断末魔のネガティブキャンペーンを始めた頃、「核先制攻撃希望の日本政府」という記事を書いた。アメリカの先制攻撃がいかに日本にとって危険か、そして報復攻撃にも核は使えないということを書いたものだ。

 今回の、岡田発言が明快さより慎重さが目立つのは、背景に依然として次のような意見が存在することを意識したからであろう。

 米国が先制不使用を宣言した場合、北朝鮮が弾道ミサイルに搭載した生物化学兵器で日本を攻撃しても、米国は核兵器では反撃しないという保証を与えることになる。今回の外相発言は、日米両政府内で波紋を呼びそうだ。(毎日新聞、10/19。電子版ではこの部分をカット)

 これほど、あり得ない仮説はない。北朝鮮が日本を狙うとすればノドンだ。弾頭はなんでもいい。何発かは打ち落とせるだろうが、一定の被害はさけられない。仮に抑止力を米国の報復攻撃に頼るとしても、核兵器を使うはずがない。

 なぜならば、過剰防衛になることはいうまでもないが、発射基地が散在しているので狙いがつけらない。しかも基地は中国・韓国に近く、放射能被害が確実に他国に及ぶ。そんな危険を犯して、世界で3発目の使用国も米国という愚を犯すだろうか。通常兵器のピンポイント攻撃の方がよほど確実で効果的なはずだ。

 このほか、普天間基地の移転問題、おもいやり予算、地位協定その他問題は山積しているが、外交はすべて駆け引きだ。米国防省を先陣に立てて強硬姿勢で臨んでくるだろうが、アメリカでも世界軍事戦略変更、修正が必要なのだ。真剣に相談に乗り、オバマを助ける方向をさぐる方がいい。

 日本は、これも前政権末期に、勝俣東電会長や東大・京大教授たちを集めた懇談会で、年末に改定される「防衛計画の大綱」への超タカ派・対米従属の答申意見を出した。もちろん新政権はこれを無視、改定を来年に持ち越すことにした。急ぐことはない。あわてず、次のギヤをどこでかければいいかを思案すればいいのだ。 

 

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2009年10月15日 (木)

億・兆

 「億兆心を一にして……」というのは、頭に刻み込まれた教育勅語の一節、「一億一心火の玉だ!」というのは、戦争末期が近い頃の標語だった。1億というのは、当時朝鮮・台湾の人まで入れた国民の人口総数だから概念としてつかめた。

 だけど兆となるとその一万倍、何にもたとえようのない架空の数字で無限大を意味しているという感じだった。それがこのところいやに身近になった。政権交代のニュースのおかげである。自公内閣が作った本年度補正予算を削り取り、公約実現の財源を捻出する。

 目標3兆円、新大臣にハッパをかけてぎりぎりひねり出した2兆5000億、まだ足りぬ、さらにがんばれもっと厳しくと、各大臣は東奔西走。こっちでなん億あっちになん億なん千万、90%まできたあとひと息、などと連日のご活躍。

 億どころか千万にも縁なき衆生だが、ひとごとではない気がしてくるから不思議だ。そこへ飛び込んできたのがビックリ外電。

【ニューヨーク時事】米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は14日、金融大手の今年の報酬支給額が前年比2割増の計1400億ドル(約12兆4000億円)に達するとの試算を明らかにした。これは、米株式相場が最高値を記録した07年の水準(1300億ドル)を上回り過去最高。失業におびえる庶民を尻目に高額報酬を謳歌するウォール街(米金融街)に、米国民の怒りが再び爆発する可能性がある。(毎日新聞・東京10/15)

 エエーッ、12兆……。何人で分けるのか知らないが、これだけあれば日本全国子ども手当(2.7兆円)4年分払ってまだお釣りが来る。怒りが爆発するのは米国民だけでない。金融マフィアで迷惑しているのは世界中だ。

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2009年10月 7日 (水)

新保守(ネオコン)の芽

 自民党の安倍元総理に近い自民党議員や平沼赳夫無所属議員で構成する新保守グループ、真・保守政策研究議員連盟は、有力議員の落選や党内の穏健派谷垣総裁の誕生、さらには会長・中川昭一議員の急逝で、かつての威力を失ったように見える。(「ネオコン」というと、アメリカのブッシュ政権を支えたスタッフの意味になるので、日本のそれは漢字で「真」ではなく「新」保守とした)。

 それに、政権を奪った鳩山内閣は「友愛」や東アジア共同体を表に出した新外交政策で、予想をこえる足場を築くことに成功した。民主党内閣には、松下政経塾出身でかつて「タカ派」と目されていた大臣が二人加わっている。

  政権党となってそれなりの要職についたこれらのタカは、ハトは無理としてもトンビぐらいになって鋭い爪は隠し続けるに違いない。つまり、野党分裂などの政局があっても、新保守グループに同調、これに加わるとは考えられない。しかしそこらをにらんだ「新保守の芽」には注意が必要だ。

 世界の国々が、競争力を強化しようと奔走しているからだ。世界の景気が再び落ち込むと言われているが、日本は構造改革なしにどうやって生き残るつもりなのか。

 今後、日本は間違いなく世界の激動に飲み込まれていく。たとえば、軍事力を強化している中国が、経済発展の行き詰まりから台湾に侵攻するような冒険を犯さないとも限らない。その場合、シーレーンを中国に抑えられれば、日本の物価や通貨はかなり不安定になるだろう。

 日本の存立基盤が根底から揺さぶられようとしているときに、「子供手当て」のような国民へのサービス合戦を展開している場合ではない。(以上DIAMOND online 09/9/28より)

 これは、山田宏東京・杉並区長のインタビュー発言である。最近はほとんど聞けなくなった新保守アナクロニズムの丸出しで、反・民主党の立場も鮮明にしている。彼は松下政経塾第2期生で日本新党から立候補、細川政権を立法調整委員長として支えた。

 すなわち原口一博、前原誠司両大臣の大先輩で、塾出身者の中では随一の指導力・統率力があったとされる。在塾当時からの「新党結成論者」で、長浜博之・野田佳彦氏らと「志士の会」を結成、血判状をとったという芝居じみた話もある。

 区長の任期はあと1年あるが、国政を目指した彼にとって、現職大臣である後輩の後塵を拝す屈辱の中にいる。こうなったのは、細川政権のあとの野党の離合集散で、メンバーの去就がばらばらになって裏切られた思いから、中央政界に見切りをつけ、区長戦に転身したことによる。

 全く事情は違うが、塾出身で小池百合子議員の秘書から議員となり、民主党の支持を含め3期連続当選しながら横浜市長戦に鞍替えした中田宏がいる。彼はこの衆院選が日程にのぼる頃、突如横浜市長を辞任したことで世間を騒がせた。

 補欠選挙は衆院選と同日に行われたが、辞任に納得のいく理由は示されていない。ただ、山田杉並区長と行動を共にするということが明らかになっているだけだ。彼の企画した横浜港開港150周年イベントの有料入場者が予定の40%しかなく、大赤字になることがはっきりしており、責任追及が避けられない状態ではあった。

 また、当初のはなばなしさに反して女性問題など素行面でも市民の評判は低下、相乗り議会のもと民主党関係者の信頼も高くなかったようだ。自己顕示欲が強く野心まんまんのところは山田区長と似ているが、すでに松下塾の同窓は頼れない。

 山田氏の新党へのこだわりは決して失せることはないだろう。二人ではなにもできないが、地方自治の経験をてこに橋下大阪府知事を巻き込むことができれば、ひと波乱起こせる可能性がある。さらにその母体に新保守グループを持ってくると、場合によればだけれど要注意信号だ。

 しかし、塾出身者でまとまるということは、それぞれ一匹狼的な側面が強く、ことにその最大勢力である民主党から求めることは絶望的であろう。そうすると反・民主党を旗印にするしかなく、かといって谷垣自民党の是々非々野党ではインパクトがない。

 橋下も日和りまくっている。東国原は使えない。当分は新保守の主導権を目ざして空しい過激発言を繰り返すしかないだろう。(本稿は出井康博『松下政経塾とはなにか』その他を参考にしました)

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2009年9月29日 (火)

幻と化す政界再編

 自民党総裁選の結果が出た。
          議員票   党員票   計
谷垣禎一 120(61%)180(60%)300(60%)
河野太郎  35(18%)109(36%)144(29%)
西村康稔    43 (22%)  11(4%) 54(11%)

 また、新総裁は党内人事で幹事長に大島理森・前国会対策委員長(63・高村派)、政調会長に石破茂・前農相(62・額賀派)、総務会長には田野瀬良太郎・元財務副大臣(65・山崎派)を起用する。長年中枢を支配した町村派(旧・森派)は3役から排除、与党の閣僚起用に対応した谷垣氏らしい重厚な布陣となった。

 総選挙で民主党の圧倒的な優勢が伝えられる前、自・民の過半数割れがあれば、政界再編が避けられない、というのが大方の見方だった。また両党の内部の不一致から、むしろそうあってしかるべき、という肯定的な意見もすくなくなかった。

 しかし、もう半年前に考えたような政界再編は当分はないだろう。選挙前に反麻生で脱党も辞さない勢いを示した勢力もすっかり声をひそめ、渡辺みんなの党というヌエ的存在の小会派が残っただけである。大勝した民主党側には当面分裂する要素が見あたらない。

 そこで、上記の自民党総裁選の結果の中から将来をうかがえるものがあるかどうかを考えた。平沢勝栄代議士は「10月の参院補欠選挙、そして来年の参院選で負ければ、党は分裂、永久野党の始まりになってしまう」(サンデー毎日10/11)と言っている。

 まず、谷垣氏の得票は、議員・党員いずれも60~61%と揃っている。河野・西村両氏には、圧倒的な差をつけて勝利したことになる。これは、国民が望んでいる自民党の立ち直った姿を、健全、穏健な保守本流にあると見たためではないか。

 政治家を色わけして見たくはないが、河野氏は年代交替と新自由主義を強調していたようだし、西村氏は、経歴だけでなくその信条も安倍元総理と極めて近い存在のようだ。極端にいうと、中道右派対「ネオリベ」、「ネオコン」の戦いに擬することもできる。

 河野氏はその主張が明白で、過激とさえいわれ、あいまいさを政界遊泳のこつと考える同僚議員の支持が得られなかった。したがって、18%35人の支持票は、掛け値なしの同志を結集したと見ていい。しかし、谷垣総裁の采配で野党としての政策に河野氏の意見のいくらかが取り入れられれば、彼の潔癖な姿勢から背反・脱党という事態は起きないだろう。

 問題は西村氏だ。43人22%は、語られているように派閥の長あたりから出た締め付けがあったとすれば、党員票の出方からみても相当割り引いて見なければならない。党を割ってでも同志として行動を共にするという議員は、党員票11%との差の中間あたりとしても30人に達しないのではないか。

 これに、右派無所属・平沼赳夫氏らや民主の極右議員を加えてもかつての公明党の勢力には及ばない。しかし、共産党同様、純粋野党として存在感を示すというのであれば、それはそれで立派な選択かも知れない。いずれにしても政界再編は、すこし先の遠い話になってしまった。

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2009年9月25日 (金)

鳩山外交は☆☆☆

 総選挙では民主党の勝利を願った。そしてその勝ちっぷりは予想を越えた。反・民主党陣営の期待を裏切り、小沢幹事長との軋轢もなく組閣を無難にこなした。そして息つく間もなく外交の表舞台に飛び立ったが、ここまで日本の外交が輝いて見えたことはかつてない、と言えばほめ過ぎになるだろうか。

 次の日曜日に世論調査をする社が仮にあれば、内閣発足当時のご祝儀支持率をさらに上回るという前例にない結果がでるかも知れない。もちろん新聞各社の論調が言うように、これから発言に肉付けするためは、至難の業が待ちかまえている。

 自ら安保理の議長を買って出たオバマ米大統領も、国連の分担金滞納を放置し、事務総長身辺の不正をかぎまわり、国連をあってないような地位におとしめたブッシュ時代との違いを際だたせた。しかし鳩山首相の存在感は、決してオバマに劣るものではなかった。

 それは、オバマ以上に議会対策を気にしないでいい政治基盤と、一時いわれた対米関係への懸念が報じられたようなものでなかったことに自信を持ったからであろう。これが仮に自民党内閣の総理だったら、オバマ発言口移しのことしか言えず、国際舞台で注目される場面がなかったに違いない。

 選挙では、外交はほとんど争点として取り上げられることはなかった。しかし、鳩山首相の国際舞台での発言は国際公約である。単なる目標であっても、それに反する行動はとれない。例えば安保理発言で「非核3原則を堅持することを改めて誓う」と言っているのに、あとで「かつてアメリカとの間で核持ち込みに対する密約があることがわかったので2原則にします」などと言えるだろうか。

 このほか、当塾がかねて主張してきたこと↓に関連する事項をここに抜粋しておきたい。
オバマに提案
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-2b1a.html
アフガンの出口
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-1de4.html

安保理決議
【非核兵器地帯条約】非核兵器地帯条約締結に向けた動きを歓迎、支持。
【非核保有国に対する核の不使用】NPT加盟の非核保有国に対し、核兵器を使わないと保証した核保有5カ国の声明(95年の決議)を想起し、こうした保証が不拡散体制を強化することを確認。

 例えば日・韓・北朝鮮の3国でこの条約を結ぶ(北東アジア非核地帯宣言)ことに対し安保理が歓迎、支持を与えるだけでなく、核保有国である米・ロ・中はこの地域に核兵器を使用しない保証、つまり6カ国協議参加国による条約化も視野にはいってくる。

国連総会鳩山首相一般討論演説
 東洋と西洋、先進国と途上国、多様な文明の間で架け橋となるべく全力を尽くす、というのが骨子。それに5項目をあげている。第一が世界経済危機への対処、2番目が気候変動問題、第3に核軍縮・不拡散への挑戦をあげる。

 この中で北朝鮮問題に触れ「6者協議を通じ朝鮮半島の非核化実現の努力を続ける」と締めくくっている。第4が平和構築・開発・貧困でアフガン対策に乗りだすことをいうが、これが当塾の主張「アフガンの出口探し」につかがれば理想的だ。

 最後の第5が東アジア共同体の構築であり、当塾がカテゴリを設け強調している究極の平和追求体制である。これは国内にもまだまだ誤解があり、軌道に乗せるのには半世紀では足りないだろう。しかし、ASEANなどとの関連でこの主導権が中国に行きかけていたのを、鳩山外交で手前に引き寄せた効果は大きい。 

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