「気になる選挙区」の題名で、選挙区ごとに北海道、東北、北関東と取り上げてきた。あと、南関東以下を続けるつもりだったがやめることにした。理由は、連日似たような劇場型選挙区紹介がマスコミで取り上げられ、それと競うようなことはしたくないと感じたからだ。
そこで、民主党で是非勝利してほしい候補を考えてみることにした。これまで書いてきたように、自民党タカ派以上に危険な意見を持つ候補が松下政経塾出身者や旧民社党出身者などの中にいるわけで、このところ離党や除名などでやや勢力を減じているように見えるが、同党の外交・安保政策をあいまいにする一因となっていることは否めない。
そこでまず、かつて同党で50名を擁する有力な政策グループと見なされていた「リベラルの会」の結成趣意書と今回の選挙公約(マニフェスト)を、憲法を中心に比較してみることにした。リベラルの会は、前回の小泉選挙で大勢の落選者をだし、一時は存続を危ぶまれていた。
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■リベラルの会結成にあたって(2004年8月)
私たちは、東西冷戦に象徴されるイデオロギー対立の政治が終焉した21世紀こそ、「真の自由」と「真の民主主義」を実現する世紀にしたいと思います。そして、「真の自由」と「真の民主主義」こそが、世界に平和をもたらし、個々人に光り輝ける人生をもたらすものと考えます。
以上の基本認識の下、私たちは、次の基本的な考え方を政策実現していくために、「リベラルの会」を結成します。
1、 憲法第9条の精神を世界に広め、活かしていきます。自衛隊は専守防衛に徹し、一部の国を敵国扱いすることとなる集団的自衛権は行使せず、国連を中心とした集団的安全保障の確立を目指します。国連改革を推し進め、新しい国連の下、積極的に世界平和の構築に取組むとともに、北東アジアの平和と安全の為にイニシャティブを執っていきます。
2、 真に自立した市民一人一人が政治に参加することのできる「市民に開かれた政治」を目指します。そして、「市民に開かれた政治」の中で、社会的立場の弱い人を含むあらゆる人が、安心して自由に暮らしていける社会の実現を目指します。
■民主党衆院選マニュアル(2009年7月)
「憲法とは公権力の行使を制限するために主権者が定める根本規範である」というのが近代立憲主義における憲法の定義です。決して一時の内閣が、その目指すべき社会像やみずからの重視する伝統・価値をうたったり、国民に道徳や義務を課すための規範ではありません。
民主党は、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」という現行憲法の原理は国民の確信によりしっかりと支えられていると考えており、これらを大切にしながら、真に立憲主義を確立し「憲法は国民とともにある」という観点から、現行憲法に足らざる点があれば補い、改めるべき点があれば改めることを国民の皆さんに責任を持って提案していきます。
民主党は2005年秋にまとめた「憲法提言」をもとに、今後も国民の皆さんと自由闊達な憲法論議を各地で行い、国民の皆さんが改正を求め、かつ、国会内の広範かつ円満な合意形成ができる事項がるかどうか、慎重かつ積極的に検討していきます。
「民主党政策INDEX2009」
自衛権の行使は専守防衛に限定
自衛権は、これまでの個別的・集団的といった概念上の論議に拘泥せず、専守防衛の原則に基づき、わが国の平和と安全を直接に脅かす急迫不正の侵害を受けた場合に限って、憲法9条にのっとって行使することとし、それ以外では武力を行使しません。
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双方に共通する点は、9条の精神は守るといいながら、「1、2項を変更しない」と言い切っていないことである。この点は社・共や公明との違いで不安を残す。両者の最大の違いは「集団的自衛権」への姿勢である。
作成時点の異なるものを比較するのは問題があるが、マニュアルの「個別的・集団的といった概念上の論議に拘泥せず」はいかにも苦しい。たしかに、かつて安倍首相らが一般化できない持論をふりかざし、神学論争のような議論にしたことはある。
しかし、この問題を棚上げにしたのは、日米同盟の懸案に目をふさぎ解釈改憲に道を開く明らかな「逃げ」である。このような「概念上の論議」を否定しておきながら、「急迫不正の侵害」という、個人の正当防衛にかかわる「概念上」の用語を武力行使に関して使うなど、全く前後の論理が一貫していない。
また、マニュアルは憲法問題を「慎重かつ積極的に」検討していきますという、これこそ民主党が目玉にしているアンチ官僚公約にそぐわない官僚用語で、何を言っているのかわからない。また、上の比較文からは長くなるのでのぞいたが、アジア政策でも明らかな開きがうかがわれる。
リベラルの会は、「東西冷戦に象徴されるイデオロギー対立の政治が終焉した21世紀」を冒頭にかかげている。これが「リベラル」理念の根底をなしている。そして北東アジアとという表現で中国、南北朝鮮、あるいはロシアといった日本と隣接した国との安定した関係づくりに目をむけている。
これに対し、民主党マニュアルは「共同体」といった踏み込んだ用語を使いながら、アジアを台湾、アセアン、太平洋諸国まで自由貿易圏をひろげるとか共通懸案事項で協定する構想にとどまり、北朝鮮に対する「制裁強化」一本槍の論調とあいまって、軍事的対立の緩和、善隣友好より、自民党内に強い反共シフトの流れを引きずっているように見える。
以上をふまえ、「リベラルの会」を主導した議員が多数当選し、さらに元職・新人を加えて強力な政策集団となれば、小沢・菅・横路など各グループに名を連ねながら活動を発展させ、各グループの意見の調整役となって、民主党の一貫した現実味のある安保・防衛政策を構築できるのではないか。
是非そのような方向に向かってほしいということで、次回は「気になる選挙区」のしめくくりとして「リベラルの会」世話人を務めた候補を中心に紹介して見ようと思う。
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