経済・政治・国際

2009年11月 2日 (月)

国会がおもしろい!

 私は国会の予算委員会の中継で与党質問など聞いたことがなかった。まさに茶番で時間の無駄だったからだ。今日、政権交代後はじめての委員会が与党質問から始まった。単に好奇心からだったがこれが予想外に面白い。

 民主党の山口壮代議士のアフガンに関する質問は、考えが当塾と同じだった。すなわち、経過はソ連の侵攻と全く同じ経過をたどり、国際的にも「負け戦」であると認識されるようになった、いまや出口戦略を考える段階だ、日本は日本にしかできない国際貢献をするべきだ、という主張だ。

 そして遂にでた。「私なら体を張ってでもタリバンとの接触を試み武力ではない国際協力に当たる」という発言。言いも言ったり、わが塾の主張と同じである。山口氏は外務省出身で、米、中、パキスタン、英の各大使館勤務を経験した人で素人ではない。

関連エントリー
アフガンは振出しにもどせ
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-2991.html
アフガンの出口を作れ
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-1de4.html
アフガンの動き、急
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-6c3c.html
ガンダム
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/post_e87f.html?no_prefetch=1

 このほか、国民新党下地幹郎議員の普天間県外移設発言に対する、「候補になった自治体の意見を考えろ」というヤジに「沖縄だけに基地を押しつけるという心構えだから解決しない。基地は国民全体で負担を分担する考えがどうしてできないか」と反論したのも圧巻だった。(以上議員発言は正確ではありません)

 午後からは野党質問も始まる。やはり「民主党がんばれ」だ。

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2009年10月26日 (月)

わかっていない「共同体」

 2009_10260001 今日は1日雨との予報。つわぶきの葉・花が一段と鮮やかだ。半月前《「共同体」7つの誤解》を書いた。これから鳩山首相の所信表明演説が行われる。「アジア共同体」の議論も一段と活溌になるだろう。しかし、マスコミも一般社会もさっぱりわかっていない。 「アジア共同体を作ろう」という発想自体がまちがっている。「戦争をなくするにはどうすればいいか、そのためには何ができるか」というEUの発端になった精神がない。そこで、第2次大戦当時英国の首相だったチャーチルのチューリッヒ大学における1946年演説(再掲)と、最初の共同体鉄鋼・石炭プール計画にたずさわったドイツのアデナウアー首相の信条を引いておく。(小屋修一『欧州連合論』より)

チャーチル
 われわれが生きているこの時代に、平和を破壊し、人類の全ての未来に暗影を投じることになったあの恐るべき「民族の戦い」を二度も戦ったのは、この欧州においてであった。だが、欧州がこの不幸を癒すひとつの薬を用いるなら局面は一変し、欧州を短時間で今日のスイスのように、自由にして幸せな知に変容せしめ得る、そんな薬が存在する。

 その特効薬とは何か?それは欧州の家族を平和にかつ安全に生活させることができるように、再編成することである。つまり、一種の「欧州合衆国」を建設することである。その欧州一家復活の第一歩は、フランスとドイツの統合でなくてはならない。

アデナウアー
 ドイツは欧州全体のなかに、自分の居るべき場所を見いだすことによってしか、平和でいることはできない。

 さらに、単なるブロック経済と考えている人が多いことだ。1930年、世界恐慌が吹き荒れたあと、米ドル、英ポンド、仏フランなど統一通貨、域内保護貿易圏を目指したブロック化で日本などが孤立した。そのあせりから東亜新秩序、大東亜共栄圏などの円支配圏に活路を見いだそうとし、ブロック経済が第2次世界大戦の引きがねにもなった。EUは「反戦・平和」が作ったのだ。わかっていない。( ̄| ̄;)!……

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2009年10月24日 (土)

外交ブレまくりは×

 鳩山外交の滑り出しは順調で◎をつけだが、このところ首相と外相、防衛相などの発言がブレまくっている。外相が日本外国人記者クラブで「東アジア共同体にアメリカは加えない」と発言していたのに対し、首相はASEANに出席してアメリカの参加を求める意向を表明するという。

 まったく逆の意見で、これほどの食い違いが表面化することなど聞いたこともない。また、沖縄の基地移転問題でも、首相は民意を慎重に見極める必要があるとして、期限を設けない方針であるのに対し、他の閣僚は早期決着を求め県外移設の選択肢はないなどという。

 また、岡田外相は普天間飛行場の嘉手納基地統合案持ち出し議論を複雑化している。国内の他の案件でも閣僚間の意見食い違いが表面化していて、ガラス張りで政策決定の過程がよくわかるなど、新政権に甘い評価も見受けられる。

 しかし外交は違う。米国防長官らが来日しても従来どおりの強硬策を表面にだす。そして一歩もひかぬ立場を説明し、一切の妥協を拒むところから始まる。さまざまな応酬があって最後に首脳がでて落としどころをさぐって決着をみる。日本外交はその逆だ。

 金正日のまねをしろとまでは言わないが、そんなのは外交交渉のいろはではないか。多少のイレギュラー発言をするにしても、それは最善の結果を招くめの陽動作戦の範囲内だ。官僚はずしはいいけど、官僚だったら決してこんな混乱を招くようなことはしないだろう。

 あしもとを見られて相手を利するだけでなく、あきれられ信用をなくすだけだ。どうしてこんなことになるのだろう。先が思いやられる。このままでは、早晩鳩山外交の◎から×に転化するに違いない。

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2009年10月21日 (水)

アフガンの動き、急

 アフガンというよりパキスタンというべきか。とにかく地下でマグマが動き始めているような気がする。その理由を挙げる前に、わかりにくいアフガン・パキスタン問題を整理しておこう。

 ・タリバン 米軍が攻め込む前までアフガン政権を支配していたイスラム至上主義の勢力で、ソ連が侵攻してきた時には、アメリカの援助も得てこれを撃退した。サウジ人であるビンラディンと義勇軍アルカイダも、これに参加した。しかし、9.11テロの首謀者とされるビンラディンをタリバンの宗教指導者・オマルがかくまったことからアメリカとの戦争になった。

 タリバンと称される勢力は、強硬派から穏健派まで極めて多様で、カルザイ大統領は来月大統領選の決戦投票を迎えるが、すでにアフガンで8割近くの地域を支配下に置いているというタリバンとの話し合い路線は動かないだろう。

 ・TPP(パキスタン・タリバン運動) もともとタリバン育ての親は、パキスタンである。ヒンズー教国・インドと境を接するカシミールで厳しく対立する同国にとって、バックを支える強力なイスラム政権が必要だった。

 アフガン内でも過激派タリバンが存在し、依然自爆テロなどによる治安悪化が続いているが、犯行はパキスタン北西部を基地とするTPPとの疑いが持たれている。もちろん、カルザイ政権打倒をめざす他の勢力かも知れないが、ビンラディンとオマルはすでにアフガンから逃れ、パキスタン北西部にいるとされる。

 ・パキスタン北西部 アフガンで最大人口を擁するパシュトン人が多い国境地域であるが、ペシャーワルに州都を置く「北西部辺境州」と、北西部の南端に位置する「連邦直轄部族地域」ワジリスタンに分かれていること知っておくべきだ。そうでないと、新聞を見ていても混乱を起こす。法体系をはじめ、ほとんど国の統治権が及んでいないのが「直轄」と名を付けた後者の方なのだ。

 つまり、「パキスタン北西部の南ワジリスタンにパキスタン軍が猛攻を加え、住民が続々と直轄地域から北西部に避難している」などというと、北と南が混在してわけがわからなくなる。オマルや外国人を含む過激派は、TPPが本拠を置く南ワジリスタンの3千㍍を超える山岳部にいるとされている。

 さて前置きはこれぐらいにしておいて、いま述べたパキスタン軍の猛攻は、17日に開始された。これはパキスタンが01年に米国の「対テロ」同盟国にかじを切って以降、最大の軍事作戦である。同軍部はこれまで同盟関係にあったタリバンと対敵することには至って消極的であった。   

 この裏には、アメリカが共同作戦や核兵器の管理という強硬なムチと、膨大な援助というアメで、パキスタン政府に強圧をかけた結果であろう。作戦には3万人以上の兵士が配置されるというが、冬は雪に閉ざされ短期決戦は無理である。

 続けて奇妙なニュースがある(毎日新聞、10/20)。

 【カブール栗田慎一】パキスタンの有力英字紙「ニューズ」は19日、北西辺境州政府や軍部の情報として、パキスタン軍が反政府武装勢力「パキスタン・タリバン運動」(TTP)との戦闘を続けている部族支配地域のアフガニスタン側国境で、米軍とアフガン軍が設けていた主要な検問所が半数以上も撤去されたと報じた。パキスタンでの共同作戦を求めている米国が、あえてアフガンのタリバン戦闘員の越境を容易にさせたとの見方も出ている。(後略)

 これはどういうことか。アフガンにいるタリバンに「パキスタンの本家が危ない」と思わせて、アフガンから自発的に追い払うためかか、パキスタン軍の猛攻を避けてアフガンへの逃げ道をあらかじめ用意、そこで絡め取ろうという「ねずみ取り作戦」か、どちらも考えられる。

 以前、このブログのどこかに「米軍増派はパキスタン向けか」と書いたような気がするが、もしそうなら、無人機以外にパキスタンに入れない、まさにマンガチックな米軍の高等作戦ということになるだろう。日本外交の対アフガン政策も心して当たっていただきたいものだ。

 

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2009年10月19日 (月)

新外交にギヤがかかった

 前回のエントリーで「オバマの背中を押せ」を書いたら、早速、岡田外相が「核の先制不使用宣言をアメリカに働きかける」という考えを講演で示した。これは、鳩山新外交方針に慎重かつ確実にギアがかかったことを示す。当塾としては、これをすなおに受けとめ、手放しで喜びたい。

岡田氏は講演の中で「(日本政府が)一方で核の廃絶を強く言いながら、自分のためには先制使用してくれと言うのは、矛盾のない行動であるかというのはかなり議論がある」と指摘。「大きな方向性としての先制不使用は否定できないこと」と語った。

 核の先制不使用は18日の「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」の本会合でも議論され、年明けにも出される最終報告書に盛り込まれる見通し。岡田氏は報告書がまとまった段階で、米側に議論を提起したい考えだ。 (AsahiCom、10/19

 8月はじめ、麻生政権が民主党に断末魔のネガティブキャンペーンを始めた頃、「核先制攻撃希望の日本政府」という記事を書いた。アメリカの先制攻撃がいかに日本にとって危険か、そして報復攻撃にも核は使えないということを書いたものだ。

 今回の、岡田発言が明快さより慎重さが目立つのは、背景に依然として次のような意見が存在することを意識したからであろう。

 米国が先制不使用を宣言した場合、北朝鮮が弾道ミサイルに搭載した生物化学兵器で日本を攻撃しても、米国は核兵器では反撃しないという保証を与えることになる。今回の外相発言は、日米両政府内で波紋を呼びそうだ。(毎日新聞、10/19。電子版ではこの部分をカット)

 これほど、あり得ない仮説はない。北朝鮮が日本を狙うとすればノドンだ。弾頭はなんでもいい。何発かは打ち落とせるだろうが、一定の被害はさけられない。仮に抑止力を米国の報復攻撃に頼るとしても、核兵器を使うはずがない。

 なぜならば、過剰防衛になることはいうまでもないが、発射基地が散在しているので狙いがつけらない。しかも基地は中国・韓国に近く、放射能被害が確実に他国に及ぶ。そんな危険を犯して、世界で3発目の使用国も米国という愚を犯すだろうか。通常兵器のピンポイント攻撃の方がよほど確実で効果的なはずだ。

 このほか、普天間基地の移転問題、おもいやり予算、地位協定その他問題は山積しているが、外交はすべて駆け引きだ。米国防省を先陣に立てて強硬姿勢で臨んでくるだろうが、アメリカでも世界軍事戦略変更、修正が必要なのだ。真剣に相談に乗り、オバマを助ける方向をさぐる方がいい。

 日本は、これも前政権末期に、勝俣東電会長や東大・京大教授たちを集めた懇談会で、年末に改定される「防衛計画の大綱」への超タカ派・対米従属の答申意見を出した。もちろん新政権はこれを無視、改定を来年に持ち越すことにした。急ぐことはない。あわてず、次のギヤをどこでかければいいかを思案すればいいのだ。 

 

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2009年10月15日 (木)

億・兆

 「億兆心を一にして……」というのは、頭に刻み込まれた教育勅語の一節、「一億一心火の玉だ!」というのは、戦争末期が近い頃の標語だった。1億というのは、当時朝鮮・台湾の人まで入れた国民の人口総数だから概念としてつかめた。

 だけど兆となるとその一万倍、何にもたとえようのない架空の数字で無限大を意味しているという感じだった。それがこのところいやに身近になった。政権交代のニュースのおかげである。自公内閣が作った本年度補正予算を削り取り、公約実現の財源を捻出する。

 目標3兆円、新大臣にハッパをかけてぎりぎりひねり出した2兆5000億、まだ足りぬ、さらにがんばれもっと厳しくと、各大臣は東奔西走。こっちでなん億あっちになん億なん千万、90%まできたあとひと息、などと連日のご活躍。

 億どころか千万にも縁なき衆生だが、ひとごとではない気がしてくるから不思議だ。そこへ飛び込んできたのがビックリ外電。

【ニューヨーク時事】米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は14日、金融大手の今年の報酬支給額が前年比2割増の計1400億ドル(約12兆4000億円)に達するとの試算を明らかにした。これは、米株式相場が最高値を記録した07年の水準(1300億ドル)を上回り過去最高。失業におびえる庶民を尻目に高額報酬を謳歌するウォール街(米金融街)に、米国民の怒りが再び爆発する可能性がある。(毎日新聞・東京10/15)

 エエーッ、12兆……。何人で分けるのか知らないが、これだけあれば日本全国子ども手当(2.7兆円)4年分払ってまだお釣りが来る。怒りが爆発するのは米国民だけでない。金融マフィアで迷惑しているのは世界中だ。

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2009年10月 7日 (水)

新保守(ネオコン)の芽

 自民党の安倍元総理に近い自民党議員や平沼赳夫無所属議員で構成する新保守グループ、真・保守政策研究議員連盟は、有力議員の落選や党内の穏健派谷垣総裁の誕生、さらには会長・中川昭一議員の急逝で、かつての威力を失ったように見える。(「ネオコン」というと、アメリカのブッシュ政権を支えたスタッフの意味になるので、日本のそれは漢字で「真」ではなく「新」保守とした)。

 それに、政権を奪った鳩山内閣は「友愛」や東アジア共同体を表に出した新外交政策で、予想をこえる足場を築くことに成功した。民主党内閣には、松下政経塾出身でかつて「タカ派」と目されていた大臣が二人加わっている。

  政権党となってそれなりの要職についたこれらのタカは、ハトは無理としてもトンビぐらいになって鋭い爪は隠し続けるに違いない。つまり、野党分裂などの政局があっても、新保守グループに同調、これに加わるとは考えられない。しかしそこらをにらんだ「新保守の芽」には注意が必要だ。

 世界の国々が、競争力を強化しようと奔走しているからだ。世界の景気が再び落ち込むと言われているが、日本は構造改革なしにどうやって生き残るつもりなのか。

 今後、日本は間違いなく世界の激動に飲み込まれていく。たとえば、軍事力を強化している中国が、経済発展の行き詰まりから台湾に侵攻するような冒険を犯さないとも限らない。その場合、シーレーンを中国に抑えられれば、日本の物価や通貨はかなり不安定になるだろう。

 日本の存立基盤が根底から揺さぶられようとしているときに、「子供手当て」のような国民へのサービス合戦を展開している場合ではない。(以上DIAMOND online 09/9/28より)

 これは、山田宏東京・杉並区長のインタビュー発言である。最近はほとんど聞けなくなった新保守アナクロニズムの丸出しで、反・民主党の立場も鮮明にしている。彼は松下政経塾第2期生で日本新党から立候補、細川政権を立法調整委員長として支えた。

 すなわち原口一博、前原誠司両大臣の大先輩で、塾出身者の中では随一の指導力・統率力があったとされる。在塾当時からの「新党結成論者」で、長浜博之・野田佳彦氏らと「志士の会」を結成、血判状をとったという芝居じみた話もある。

 区長の任期はあと1年あるが、国政を目指した彼にとって、現職大臣である後輩の後塵を拝す屈辱の中にいる。こうなったのは、細川政権のあとの野党の離合集散で、メンバーの去就がばらばらになって裏切られた思いから、中央政界に見切りをつけ、区長戦に転身したことによる。

 全く事情は違うが、塾出身で小池百合子議員の秘書から議員となり、民主党の支持を含め3期連続当選しながら横浜市長戦に鞍替えした中田宏がいる。彼はこの衆院選が日程にのぼる頃、突如横浜市長を辞任したことで世間を騒がせた。

 補欠選挙は衆院選と同日に行われたが、辞任に納得のいく理由は示されていない。ただ、山田杉並区長と行動を共にするということが明らかになっているだけだ。彼の企画した横浜港開港150周年イベントの有料入場者が予定の40%しかなく、大赤字になることがはっきりしており、責任追及が避けられない状態ではあった。

 また、当初のはなばなしさに反して女性問題など素行面でも市民の評判は低下、相乗り議会のもと民主党関係者の信頼も高くなかったようだ。自己顕示欲が強く野心まんまんのところは山田区長と似ているが、すでに松下塾の同窓は頼れない。

 山田氏の新党へのこだわりは決して失せることはないだろう。二人ではなにもできないが、地方自治の経験をてこに橋下大阪府知事を巻き込むことができれば、ひと波乱起こせる可能性がある。さらにその母体に新保守グループを持ってくると、場合によればだけれど要注意信号だ。

 しかし、塾出身者でまとまるということは、それぞれ一匹狼的な側面が強く、ことにその最大勢力である民主党から求めることは絶望的であろう。そうすると反・民主党を旗印にするしかなく、かといって谷垣自民党の是々非々野党ではインパクトがない。

 橋下も日和りまくっている。東国原は使えない。当分は新保守の主導権を目ざして空しい過激発言を繰り返すしかないだろう。(本稿は出井康博『松下政経塾とはなにか』その他を参考にしました)

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2009年9月29日 (火)

幻と化す政界再編

 自民党総裁選の結果が出た。
          議員票   党員票   計
谷垣禎一 120(61%)180(60%)300(60%)
河野太郎  35(18%)109(36%)144(29%)
西村康稔    43 (22%)  11(4%) 54(11%)

 また、新総裁は党内人事で幹事長に大島理森・前国会対策委員長(63・高村派)、政調会長に石破茂・前農相(62・額賀派)、総務会長には田野瀬良太郎・元財務副大臣(65・山崎派)を起用する。長年中枢を支配した町村派(旧・森派)は3役から排除、与党の閣僚起用に対応した谷垣氏らしい重厚な布陣となった。

 総選挙で民主党の圧倒的な優勢が伝えられる前、自・民の過半数割れがあれば、政界再編が避けられない、というのが大方の見方だった。また両党の内部の不一致から、むしろそうあってしかるべき、という肯定的な意見もすくなくなかった。

 しかし、もう半年前に考えたような政界再編は当分はないだろう。選挙前に反麻生で脱党も辞さない勢いを示した勢力もすっかり声をひそめ、渡辺みんなの党というヌエ的存在の小会派が残っただけである。大勝した民主党側には当面分裂する要素が見あたらない。

 そこで、上記の自民党総裁選の結果の中から将来をうかがえるものがあるかどうかを考えた。平沢勝栄代議士は「10月の参院補欠選挙、そして来年の参院選で負ければ、党は分裂、永久野党の始まりになってしまう」(サンデー毎日10/11)と言っている。

 まず、谷垣氏の得票は、議員・党員いずれも60~61%と揃っている。河野・西村両氏には、圧倒的な差をつけて勝利したことになる。これは、国民が望んでいる自民党の立ち直った姿を、健全、穏健な保守本流にあると見たためではないか。

 政治家を色わけして見たくはないが、河野氏は年代交替と新自由主義を強調していたようだし、西村氏は、経歴だけでなくその信条も安倍元総理と極めて近い存在のようだ。極端にいうと、中道右派対「ネオリベ」、「ネオコン」の戦いに擬することもできる。

 河野氏はその主張が明白で、過激とさえいわれ、あいまいさを政界遊泳のこつと考える同僚議員の支持が得られなかった。したがって、18%35人の支持票は、掛け値なしの同志を結集したと見ていい。しかし、谷垣総裁の采配で野党としての政策に河野氏の意見のいくらかが取り入れられれば、彼の潔癖な姿勢から背反・脱党という事態は起きないだろう。

 問題は西村氏だ。43人22%は、語られているように派閥の長あたりから出た締め付けがあったとすれば、党員票の出方からみても相当割り引いて見なければならない。党を割ってでも同志として行動を共にするという議員は、党員票11%との差の中間あたりとしても30人に達しないのではないか。

 これに、右派無所属・平沼赳夫氏らや民主の極右議員を加えてもかつての公明党の勢力には及ばない。しかし、共産党同様、純粋野党として存在感を示すというのであれば、それはそれで立派な選択かも知れない。いずれにしても政界再編は、すこし先の遠い話になってしまった。

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2009年9月25日 (金)

鳩山外交は☆☆☆

 総選挙では民主党の勝利を願った。そしてその勝ちっぷりは予想を越えた。反・民主党陣営の期待を裏切り、小沢幹事長との軋轢もなく組閣を無難にこなした。そして息つく間もなく外交の表舞台に飛び立ったが、ここまで日本の外交が輝いて見えたことはかつてない、と言えばほめ過ぎになるだろうか。

 次の日曜日に世論調査をする社が仮にあれば、内閣発足当時のご祝儀支持率をさらに上回るという前例にない結果がでるかも知れない。もちろん新聞各社の論調が言うように、これから発言に肉付けするためは、至難の業が待ちかまえている。

 自ら安保理の議長を買って出たオバマ米大統領も、国連の分担金滞納を放置し、事務総長身辺の不正をかぎまわり、国連をあってないような地位におとしめたブッシュ時代との違いを際だたせた。しかし鳩山首相の存在感は、決してオバマに劣るものではなかった。

 それは、オバマ以上に議会対策を気にしないでいい政治基盤と、一時いわれた対米関係への懸念が報じられたようなものでなかったことに自信を持ったからであろう。これが仮に自民党内閣の総理だったら、オバマ発言口移しのことしか言えず、国際舞台で注目される場面がなかったに違いない。

 選挙では、外交はほとんど争点として取り上げられることはなかった。しかし、鳩山首相の国際舞台での発言は国際公約である。単なる目標であっても、それに反する行動はとれない。例えば安保理発言で「非核3原則を堅持することを改めて誓う」と言っているのに、あとで「かつてアメリカとの間で核持ち込みに対する密約があることがわかったので2原則にします」などと言えるだろうか。

 このほか、当塾がかねて主張してきたこと↓に関連する事項をここに抜粋しておきたい。
オバマに提案
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-2b1a.html
アフガンの出口
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-1de4.html

安保理決議
【非核兵器地帯条約】非核兵器地帯条約締結に向けた動きを歓迎、支持。
【非核保有国に対する核の不使用】NPT加盟の非核保有国に対し、核兵器を使わないと保証した核保有5カ国の声明(95年の決議)を想起し、こうした保証が不拡散体制を強化することを確認。

 例えば日・韓・北朝鮮の3国でこの条約を結ぶ(北東アジア非核地帯宣言)ことに対し安保理が歓迎、支持を与えるだけでなく、核保有国である米・ロ・中はこの地域に核兵器を使用しない保証、つまり6カ国協議参加国による条約化も視野にはいってくる。

国連総会鳩山首相一般討論演説
 東洋と西洋、先進国と途上国、多様な文明の間で架け橋となるべく全力を尽くす、というのが骨子。それに5項目をあげている。第一が世界経済危機への対処、2番目が気候変動問題、第3に核軍縮・不拡散への挑戦をあげる。

 この中で北朝鮮問題に触れ「6者協議を通じ朝鮮半島の非核化実現の努力を続ける」と締めくくっている。第4が平和構築・開発・貧困でアフガン対策に乗りだすことをいうが、これが当塾の主張「アフガンの出口探し」につかがれば理想的だ。

 最後の第5が東アジア共同体の構築であり、当塾がカテゴリを設け強調している究極の平和追求体制である。これは国内にもまだまだ誤解があり、軌道に乗せるのには半世紀では足りないだろう。しかし、ASEANなどとの関連でこの主導権が中国に行きかけていたのを、鳩山外交で手前に引き寄せた効果は大きい。 

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2009年9月23日 (水)

国語力

 麻生内閣が消滅してまだ1週間もたっていないのに、遠い過去のような気がする。気のよいマスコミは「去る者を追わず」で、自民党の敗因、総理、総裁の責任追及もそこそこに新政権に関心を移してしまった。

 自民党がここまで惨めな負け方をした最大の理由は何か、政策や政権運営などでなく、私は麻生総理の「漢字読み違い癖」をあげたい。もろもろの原因が重なっていることは事実だが、踏襲を「ふしゅう」などといってしまうような幼稚語の連発だ。

 ネットで検索すれば「読み違い一覧表」のようなものがいくらでもでてくる。庶民は親近感を通り越して、「なんだ、知識や教養のレベルは俺より下じゃないか」と思わせてしまったことである。

 カリスマ性とまではいかなくても「やはり総理大臣になるような人は違う」というところがなければ、支持率が上がるわけがない。庶民に「この程度の総理」と思われては、どんな立派な采配をふるっても、すべて底が浅く失政のもとのように見えてしまうのだ。

 オバマ大統領は、言葉を大切にすることで支持に深みを増した。政治は言葉であるといっても過言ではない。このブログにとって、戦時中の政治はもっぱら批判の対象であるが、こんなこともあった。橋田邦彦文相が「科学する」とやってしまったのだ。

 ゴウゴウたる非難の輪がひろがった(金田一晴彦『日本語』岩波新書)。今では「何が問題?」と言われてしまいそうな話だ。「そんな動詞はない」というのが理由で、大臣が語る日本語に対してこれだけ厳しい評価を受ける。うっかり「メールする」などとは言えないことになる。

 しかし、麻生氏の読み違いは日本語の乱れ以前の次元の低い問題だ。見過ごせる範囲を超えているということだろう。鳩山総理の英語による国連演説(地球温暖化対策としての排出ガス25%削減など)に万雷の拍手が起きた(産経新聞)という。鳩山首相の英語力評価をする能力はないが、これからは日本語に加え、英語力も身に付いていなければならない。たいへんなことだ。

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2009年9月21日 (月)

試される鳩山外交

 今日21日、鳩山由紀夫首相がアメリカに向けて出発、鳩山新外交の第一歩を踏み出す。23日、オバマ米大統領との初会談を皮切りに、主要20カ国・地域(G20)金融サミットに出席し、中国、ロシア等の首脳にも個別に会う。

 海外からのニュースは、地球温暖化問題に対し、公約として温室効果ガス25%削減を打ち出したことが、ヨーロッパのみにとどまらず、アメリカ国内からも歓迎と期待をもって迎えられていることを伝えている。鳩山首相は、この問題について22日の国連気候変動ハイレベル会議で、詳細を提言する。

 このような、米政権のカーボンコピーではない、しかも具体的な提案をすることで、一挙に日本の存在感を増したことは間違いない。このさき、打ち上げ花火ではなく成果を上げられるかどうか、岡田外相以下のスタッフの手腕、国民(議会)の支持如何にかかわってくる。

 安全保障問題では、北朝鮮問題やアフガン問題で具体策が示せるかどうか。拉致問題で日本の制裁強化策、インド洋の給油問題処理などは事務レベルの話だ。根本的解決に向けた具体案を示すには、それなりの慎重さや時間がかかるだろう。

 直ちに発足早々の政府に、無理な注文はつけられない。しかし、個別首脳会談でそれだけの意気込みを伝え協力を要請することはできる。このブログも取るに足りないことを承知の上で奔放な意見を言ってきた。

アフガンの出口を作れ
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-1de4.html
オバマに提案してください
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-2b1a.html

 明治、大正の先祖のように、政治家だけにまかせず外交についても大いに素人意見をたたかわすべきだと思う。そういった意味も含め、サミット以後に予定されるこういったニュースも大いに注目したいものだ。

 政府はアフガニスタン和平に向けた関係各国の高級事務レベル協議を11月下旬に東京で開催する方針を固め、最終調整に入った。複数の政府、与党関係者が19日、明らかにした。アフガン和平に主導的な役割を果たすことで、来年1月に期限を迎えるインド洋での海上自衛隊による給油活動撤収の環境整備も狙う。アフガン、パキスタン、イラン、米国、欧州連合(EU)などが参加する方向だ。【2009年9月19日(土)17時48分配信 共同通信=niftyニュース】

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2009年9月18日 (金)

問われる「保守」の中味

 アメリカが東欧のポーランドとチェコに配備を予定していたミサイル防衛(MD)システムの計画見直しを発表した。イランからヨーロッパに向かうミサイルを捕捉、撃墜させるためだという。たしかにイギリスをねらうなら通り道になるかもしれない。

 ロシアがこれに猛反発していた。ロシアはMDシステムそのものに反対している。核弾頭や、長距離ミサイルの数を制限する条約を結んでも、片方だけにそれを途中で撃墜するシステムができれば意味をなさなくなるからだ。

 核廃絶を掲げた米オバマ政権がこのシステム開発や配備に慎重になるのは当然だ。イランが核ミサイルでイギリスを攻撃するという想定は、北朝鮮が第7艦隊司令部があるハワイを攻撃するというのと同様、現実味のないゲームの世界の話にすぎない。

 これに対して、米国内の保守派が「同盟国の切り捨て」と反発するのは必至(毎日新聞)だという。MD計画推進は、ブッシュ政権の国防政策の目玉だった。保守派がいう「同盟国」には、ロシアを脅威と感じる東欧の設置国も含まれている。

 自国の防衛ではなく、「同盟国」を理由にするいかがわしさは何なんだろう。日本で同じことが起きたとき、果たして「同盟国のため」というのだろうか。これまでの自民政権は、さかんに「日本の安全に寄与する」と繰り返してきた。何度も念を押すが、日本に落ちてこないテポドンを打ち落としても日本の安全に結びつく保証はない。

 冷戦構造に終止符を打とうというオバマの構想のもと、MD戦略は破綻を来たそうとしている。しかしオバマは非常に慎重である。イラク撤退の代償としてアフガン増派を打ち出さなければならなかったように、ミサイル防衛も別のメニューの用意をほのめかし、国内世論に配慮している。

 それは“保守派”対策である。共和党内のブッシュ残党、ネオコン、宗教原理主義者、反共主義者それに表面化しないユダヤ・シンパ、白人至上主義、産・軍シンジケートなどが、偏狭なナショナリズムと結合してオバマの行く手を阻む議会勢力とならないよう、牽制するためだろう。

 鳩山内閣にも似たような前途が待ちかまえている。それを“保守派”と表現するのはどうもうまくない。落選した中川昭一元外相が結成した真・保守政策研究会などいうものがあるように、保守本流に対する傍系が本家を名乗りたいという動きもあった。

 そういった「望まざる」保守というか右派というか、どうもいい表現がない。このブログで「和製ネオコン」と言ってみたこともるが、やはりピントこない。浅薄な国粋主義者、人種差別・排外主義者、パワー・ポリティクス信奉者、歴史改ざん者そして、偏狭なナショナリズムに訴え政治利用しようとする自称愛国者たち、それらをいう、言い得て妙な言葉、あったら教えてください。

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2009年9月15日 (火)

アフガンの出口を作れ

 オバマはアフガンで岐路に立っている。国内問題でも国民皆保険や景気回復をめぐり、反対勢力からの猛攻を受けると、70%近くあった支持率も50%に限りなく近づく可能性がある。オバマの公約は、イラクからの撤兵を急ぎ、アフガンへは治安回復優先のため増派するというものだった。

 日本では大きな記事になっていないが、ウサマビンラディンが9月か10月になると恒例的に出すとされる「声明」が報道されている。アメリカのいわゆる「テロとの戦い」の本質を突くものであるが、軍事的解決しか頭にない各国からは無視されている。

 アフガンに世界一の軍事力をつぎ込み、NATOからも協力を得、さらにCIAという優秀な?諜報機関がありながら、8年経ってもまだビンラディン1人を確保できずに戦い続けている。彼の指揮下にあるアルカイダが敵だという。しかしその正体はつかみきれていない。

 また、当初アフガン国内で彼をかばって引き渡さなかったという理由でアフガンに侵攻、その当時の政権タリバンを倒しカルザイ政権を擁立した。だからタリバンも敵だというが、宗教的指導者のオマルもまだどこかで生きており、隠然とした勢力を保っている。

 タリバンはアフガン国内でも健在で、《戦闘が止まなければ、「かつてソビエト連邦を崩壊に追い込んだように、あらゆる手段を用いて、あなた方(米国民)に対し消耗戦を続ける」ということになるだろう》という、ビンラディンの警告は真実味を帯びている。

 ビンラディンの声明は、米国民に呼びかける形になっている。そして、一般にオバマに対する挑戦のようにとられているが、これまでのブッシュ政策やネオコンの存在と対比して批判する形をとっており、政策の変更こそ解決への道であることを示唆している。

 当初の米軍増派の理由とされたアフガンの大統領選挙は終わった。皮肉なことに国内の7、8割を実質支配しているタリバンとの融和を説き、外国軍隊の撤退を主張するカルザイ氏が留任することは、ほぼ確実だ。

 アフガンに駐留する外国軍の立場はますます苦境に立つことになる。駐留を続ける理由は、撤退すると治安が悪化するということである。それはあり得るだろう。イラクがまさにそこから抜け出せない。

  それでもアメリカはオバマの方針を貫いた。 その分をアフガンに増派、ということになったのは、「アメリカはテロとの戦いに負けた」ということには絶対したくないからだ。アメリカ国民がそれを許さないし、オバマもそれでは選挙に勝てない。 ヨーロッパ諸国もそれは同じだが、現実の厳しさからだんだん撤退論に傾いている。

 さて日本だが、選挙に勝った民主党は、「テロの温床を除去するために、アフガニスタンの実態を踏まえた支援策を検討し“貧困の根絶”と“国家の再建”に主体的役割を果たす(3党連立合意)」としている。

 「インド洋の給油活動の延長はせず」の代替として、国際治安支援部隊(ISAF)への協力などを安易に持ち出す前に日本にはすることがある。それは、カルザイ政権、タリバン良識派、パキスタンなどと話し合い、アフガン戦争の出口をさぐることである。

 オバマの苦境を救い、ECから感謝され、日本が国際社会に外交で存在感をしめすのにはこれしかない。海上給油は別として派兵当事国でなく、過去アフガンに覇権を競った歴史もなく、タリバンと戦ったソ連や国内にイスラムの火種をかかえる中国にはできず、宗教上の確執もない。

 平和憲法を堅持し、アメリカと役割分担し対等なパートナーシップを築くことをモットーに政権交代をした日本、今こそ絶好の外交一流国へのチャンスである。外交の継続はブッシュ・小泉体制をだらだらと続けることではない。重ねていう。「アフガン戦争の出口を作ること」、民生支援はそのあとでいい。

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2009年9月10日 (木)

連立合意に思う

 民主・社民・国民新党の連立協議がようやく合意、調印に達した。ここ数日は社民党の要求である外交・防衛政策をめぐって各段階の協議が不調に終わり、一見、はらはらする場面があった。「一見」というのは、「できレース」とまでは言わないが、党首をはじめ幹部にそれほど深刻な顔は見られず、タイムスケジュールどおり進んだことだ。しかし素人目には、なんでここまで来てもめなくてはいれないのか、あるいはもめて見せなければいけないのか、理解に苦しむところがあった。

 新聞各社の本件に関する社説を見ると、その題名だけでわかるようにはっきり二つに分かれた。朝日が「政権に加わることの責任」、毎日は「民意に沿う政権運営を」で、社民には、「現実的な対応を」(朝日)、「抑制的な対応が必要」(毎日)と注文をつけている。これに対し、読売と産経は、それぞれ「日米同盟の火種とならないか」と「日米同盟維持に疑問を残す」という、政権不安説である。

 産経の右傾宣伝に注文をつける気は毛頭ないが、読売には言いたい。読売の報道姿勢は、産経と違って、いたずらに反権力を標榜せず、それが国民の利益や気持ちにそぐうものであれば、政府与党に進んで協力するということではなかったのか。

 国民は、小泉・安倍の対米一辺倒、まるでアメリカの属国のような同盟関係に持ち込んだことにNOの判断を下したのである。これは、マニフェストで見ても明白な争点になっている。新政権の日米交渉は、長い時間をかけ両国の信頼関係を築いた上で提起されるだろう。

 したがって交渉自体、決して容易な業ではないと覚悟しているはずだ。それを「火種」というなら、国民は火種を作るとを希望したのだ。最大の新聞社として、どうしたらこの国民の願いを叶えられるか、その環境づくりをすることが「読売」らしいのではないか。

 当塾の意見は朝・毎に近い。しかし冒頭に掲げた疑問は残されたままだ。ここまで社民がねばったのは、沖縄の基地問題解決のため、沖縄2区選出の照屋博徳議員が脱党をほのめかしてこだわったからだという情報がある。

 社民党は福島党首が張り切ったにもかかわらず、かろうじて前回の議員数を維持できたばかりである。ここで1人かけて7人が6人になったら福島さんの責任問題にもなりかねない。照屋さんも福島さんも交渉ごとが専門の弁護士出身である。新政権誕生を前に、子どものように駄々をこねていたとは思えない。

 沖縄の問題、基地問題はこのところとかく忘れられがちである。沖縄の与党議員になるに当たり、身を張って問題提起をしたという所だろうか。また受ける側の民主党も、アメリカとの交渉上、政権内に地位協定や基地問題をおろそかにできない強い意見があるということは、決してマイナスにはならない。

 吉田茂、岸信介元首相もアメリカとの交渉の際、国内の革新勢力が強く、このままでは反共のとりでとしての役割が果たせなくなる、といって多くの譲歩を獲得したとされている。まさか、そこまで読んで芝居を打っていたというのは、何がなんでもうがちすぎになるだろう。 

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2009年9月 8日 (火)

民主・公明・社民

 今日の毎日新聞に、公明党に関連する記事がふたつ出ている。一つは社説でありもう一つは第2社会面のベタ記事(東京14新版)である。題は、社説が「公明新体制、生活・平和の原点に戻れ」で、ベタ記事の方は「池田大作氏が核兵器廃絶へ提言」となっている。

 当塾は、戦争指向政治家を駆逐する上で、それが効果をもたらす政策であり政治力であれば、与野党、右左、政治基盤を問わず支持するという立場である。これは、小泉→安倍と続いた国政の流れに、戦後味わったことのない危機感を抱いたからで、政治信条全般に共鳴しているわけではない。

 さて、新聞記事の方であるが、題名からも想像されるとおり、公明党が惨敗を喫した連立10年にわたる政策面の総括、および自公選挙協力の威力により自信過剰に陥った反省と、野党としての解党的出直しを求めたものである。

 その中で、手前みそになるが、当ブログが周辺情報から憶測してきた公明主導の「福田降ろし」について、

 政策の一致点が多い福田首相の政権末期に「福田降ろし」を主導しようとしたのは、政策より選挙を優先させた結果だった。

 と社説に明記されるほど、覆いようのない事実だったことが証明された。たとえは悪いが、深みにはまりそうな福田に浮き輪を投げればいいものを、かわりに泳ぎがうまそうに見える麻生に交替させ、麻生も危ないと見て救いにいったところを、今度はしがみつかれ、ついにふたりとも溺れるという図だ。

 太田代表が比例重複立候補の道を絶って背水の陣を敷いたという段階で、すでに更迭は決まっていたに違いない。選挙後直ちに新陣容による野党としての建て直しに入り、今後大変貌を遂げるだろう。太田と同じ失敗は許されないからだ。

 もう一つの記事、創価学会の池田大作提言である。聖教新聞はトップ記事から他の面まで使って、なお明日に続けると言うことでまとめきれず、ここではとりあえず毎日の記事を一部引用する。

 被爆国日本が非核三原則を堅持し、「永遠に核兵器を保有しない」と宣言しリーダーシップを発揮するよう求める内容。また、北朝鮮を含めた北東アジアの平和実現のため、6カ国協議の参加国で「核不使用宣言地域」の設置も提言している。

 これもまた、当ブログが5日前に提言した「オバマに提案してください」と同趣旨である。新しく生まれ変わる公明党は、この実現に向けて鳩山内閣を全面的に後押しすることになると思う。そこで、「またか」といわれることを承知で社民党に苦言を呈しておきたい。

 ここまで書いてきたように、これから平和政策のヘゲモニーを握るのは公明党になる。ようやく社民・国民新党の連立協議が整うようだが、社民は連立を前提に選挙協力もし、執行部一任を取り付けているのに、一部党員の顔をたてるために新政権発足の入り口で些事にこだわっているように見える。

 そうやっているうちに、公明党が具体策で一歩も二歩も先を行くことになりそうだ。すると民主党は選挙で停滞・退潮気味の社民党がお荷物になる。次の参院選はもうすぐやってくる。社民党喫緊の課題は選挙で当選者を一人でもふやして発言力を増し、また現実的政策提案をして民主党に力を貸すことではないか。まちがいなく公明党との競争の時代がやってくるのだ。

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2009年9月 6日 (日)

小沢一郎という人

 大勝利した民主党の幹事長に小沢一郎が就く。マスコミは大騒ぎだ。民主党はもとより、自民党でも安倍幹事長がサプライズでチョットニュースになったぐらいで、幹事長人事にこれほどスポットが当たったことはない。

 要するに先が読めないのだ。そこで、細川政権前後の政局を知る人から小沢手法を語らせようというような企画が並ぶ。しかしこれからを占うのにそれでは弱い。そこで3年前に書かれた自著、『小沢主義』をもう一度読み直してみた。

 歴史小説が好きだというが、こんなにワイドな時代や人物が出てくるとは思わなかった。

 縄文・弥生・仁徳天皇・聖徳太子・中大兄皇子・中臣鎌足・織田信長・松下村塾・坂本龍馬・西郷隆盛・大久保利通・後藤象二郎・木戸孝允・福沢諭吉・伊藤博文・原敬・山県有朋・田中角栄。

 この中で、田中角栄は直接の政治の師であるが、最も共鳴する人物は、織田信長と大久保利通だとしている。独断専行、積極果敢、冷徹、人に嫌われようも和やコンセンサスより素早い行動で結果を示す点が気に入っているようだ。剛腕と言われる所以である。

 さらに外国人では、孟子・カエサル(古代ローマの将軍)・サリーナ公爵・クラーク(御雇教師)・ゴーン(日産自動車社長)をあげる。サリーナ公爵では、映画「山猫」に出てくる「変わらずに生き残るためにはみずから変わらなければならない」というせりふに感銘、座右の銘としている。

 なお、マスコミは盛んに両雄並び立たず的な、党と政権の二重構造化を警戒する見解を流しているが、本書では「与党と政府の一体化というのが僕の信念だ」と明言している。鳩山内閣が試みようとしている国家戦略局など政治改革の難工事は、二重構造打破が目的であり、そもそも小沢の発想だったのだ。

 さらに小沢は、政治家に求められる資質として欠かせないのがリーダーシップであると説いている。鳩山のリーダーシップを自ら損ずるような行動を仮にとるとすれば、作ってはこわす、それこそただの「こわし屋」に過ぎないということになるだろう。

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2009年9月 3日 (木)

オバマに提案して下さい

 最初に、やや古いが「毎日jp」からやや古い(8/13)引用をしましょう。

【ワシントン草野和彦】米国人記者釈放交渉のため、クリントン元米大統領の北朝鮮訪問に同行したポデスタ元大統領首席補佐官は12日、ワシントン市内で「我々は金正日(キムジョンイル)総書記に朝鮮半島非核化の約束を守る必要性を強く促した」と記者団に語った。訪朝メンバーが、金総書記との会談で非核化を迫ったことを明らかにしたのは初めて。

 ポデスタ氏は、3時間以上に及ぶ元大統領と金総書記との会談について「興味深い議論をした」と表現。ただ、オバマ政権への訪朝結果の報告は現在も続いているとし、「(報告を)どう受け止めるかは現政権次第だ」と述べ、今後の米朝関係への見通しに関する言及は避けた。

 これを読んだあなたは、「ああ、また北朝鮮の核廃棄をアメリカが迫っているのだ」と思いませんでしたか。よく見てください。「北朝鮮」の「核廃棄」ではなく、「朝鮮半島」の「非核化」なんです。日本のマスコミは、この違いをこれまであまり言っていません。ついでにやや長くなりますが、次の外国のニュースも見て下さい。

 【8月15日 AFP】韓国の李明博(イ・ミョンバク、Lee Myung-Bak)大統領は15日、1945年に日本の植民地支配から解放されたことを祝う記念式典の演説で、北朝鮮に対し、南北間の非核化と通常兵器の削減に向けた交渉に応じるよう呼びかけた。

 李大統領は「朝鮮半島の非核化、南北両国の通常兵器の削減について論議する必要がある」と述べ、両国が武器を削減し軍隊を縮小すれば、軍事費を大幅に削減でき、その分経済発展のために投資できると訴えた。

 さらに韓国政府は対話を再開する用意があることを強調し、「あらゆる問題に関しいつでもあらゆるレベルで協力する」と語った。また、北朝鮮が非核化を決断するなら、韓国政府は朝鮮半島の和平に向けた新しい計画を推進し、北朝鮮の壊滅的な経済状態を回復させて生活水準を向上させる手助けをする国際的計画を実行に移す構えであることを表明した。(AFPBBNEWSより)

 アメリカのフィリップ・ゴールドバーグ対北制裁調整官は東京で25日、日本外務省の斎木昭隆アジア大洋州局長と会談し、朝鮮核問題に関する国連決議について討議した。
 ゴールドバーグ対北制裁調整官は、朝鮮半島の非核化実現の重要性を強調した。
 ゴールドバーグ対北制裁調整官は「アメリカは、6ヵ国協議でのみ朝鮮と話し合う。二ヵ国会談は行わない」と述べた。(「中国国際放送局 日本語部」 2009年8月25日)

 ロシアのアナトリー・セルジュコフ国防相が21日、ロシア訪問中の韓国の李相喜(イ・サンヒ)国防相と会談した。双方は、朝鮮半島の非核化の促進を支持すると示した。

 セルジュコフ国防相は会談後、「両国は、朝鮮核問題における考えが近い。朝鮮は非核化を実行し、再び6カ国協議に戻るべきだ。これは朝鮮問題を解決する唯一の道だ」と述べた。これに対して、李相喜国防相は賛同の意を表し、さらに「朝鮮の核計画と関連活動は、地域の平和と安全に脅威を与えた」と述べた。(「中国国際放送局 日本語版」2009年7月22日)

 外交部の秦剛報道官は23日の定例会見で「中国は、対話を堅持し、6カ国協議を堅持することが、朝鮮半島の非核化を実現する最良の道だと考える」と表明した。秦報道官は、朝鮮半島の非核化について「具体的な問題について他の各国と緊密な意思疎通や協調を継続したい」と述べた。(以下略・「人民網日本語版」2009年6月24日)

 そもそも「朝鮮半島非核化」は1991年12月31日、韓国と北朝鮮が次の内容で合意し共同宣言を発表したものです。

 南と北は朝鮮半島を非核化することで核戦争の危機を除去し、わが国の平和と平和統一に有利な条件と環境をつくり、アジアと世界の平和と安定に貢献するために、次のように宣言する。

 南と北は核兵器の実験・製造・生産・搬入・保有・貯蔵・配備・使用をしない。
 南と北は核エネルギーを平和的目的にだけ使用する。
 南と北は核再処理施設とウラン濃縮施設を保有しない。
(以下略)

 これが、北朝鮮・アメリカの相互不信の高まりから北が核実験を行い、ホゴになったものてす。もともと北は朝鮮半島の非核化は、金正日の父・金日成の遺言とも言われ、北の安全が名誉ある方法で保証されれば核兵器放棄も不可能ではないと考えられるのです。

 そこで浮かび上がるのが、前に記事にした“鳩山代表の「本気度」”です。そこに、日本も参加して「東アジア非核兵器地帯宣言」に格上げするのです。上の6カ国協議参加国のうち、核保有国の米・ロ・中も半島の非核化に賛成で、日本の参加に反対する理由はありません。

 これまで日本は「核の傘」を言い続けました。そして非核3原則も密約などもあって不透明でした。しかし、民主党は「東アジア共同体」をマニフェストにまで入れました。核保有3カ国も、ここに非核地帯ができれば、核攻撃の対象にしないという保証をすればいいのです。

 そして、北も核を放棄する名分が立つはずです(経済的見返りは要求するでしょうが……)。これを鳩山首相はオバマ大統領に提案して欲しいのです。ただし、日米双方とも議会筋などに反対勢力があり一筋縄ではいかないでしょう。

 また、こういった外交折衝は、極秘の根回しから始めなくてはなりません。願わくば、金正日もオバマも胡錦濤も、このブログを目にしないように祈るばかりです(呵々大笑)。

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2009年9月 2日 (水)

鳩山首相はチャーチルになれるか

 前々回の記事《安保政策で「チェンジ」を》で、新政権への期待を述べた。その中で鳩山代表の「友愛」精神と東アジア共同体構想が、オーストリアのクーデンホーフ・カレルギー伯爵の著書に根ざすものであることを書いた。

 戦時中の「われら日本の小国民」のにっくき敵の首魁は、新聞の政治マンガで表現された米・ルーズベルト、英・チャーチル、中・蒋介石だった。そのチャーチルが現役引退後、カレルギー伯の「欧州統合」の理念を受け継いで、チューリッヒ大学で次のような演説をしている。

 われわれが生きているこの時代に、平和を破壊し、人類の全ての未来に暗影を投じることになったあの恐るべき「民族の戦い」を二度も戦ったのは、この欧州においてであった。だが、欧州がこの不幸を癒すひとつの薬を用いるなら局面は一変し、欧州を短時間で今日のスイスのように、自由にして幸せな知に変容せしめ得る、そんな薬が存在する。

 その特効薬とは何か?それは欧州の家族を平和にかつ安全に生活させることができるように、再編成することである。つまり、一種の「欧州合衆国」を建設することである。その欧州一家復活の第一歩は、フランスとドイツの統合でなくてはならない。(小屋修一『欧州連合論』より)

 これが大きな波紋を呼び、欧州各国で「パン・ヨーロッパ運動」が息を吹き返した。そして、議員連盟、期成同盟といった19カ国およそ1000人のNGOが結集し、いわゆる「ハーグ決議」として「統合の系譜」に筋道を作ったのである。

 なお、新聞で鳩山氏の論文が「反米的」などとして、一部海外マスコミで反発を受けているという。これについて、鳩山氏は「全文をよく読んでもらえばわかるはず」と言っているが、「飯大蔵」さまのブログではこれを詳しく分析している。

 また、『Voice』9月号に掲載された原文「私の政治哲学」(日本語・英語)も同氏のHPで見ることができるので、ぜひご一読願いたい。私は、同氏の国連依存の改憲案など賛成しかねる点も多いが、このような政治家が国政の舵をとる限り、小泉・安倍・麻生といった戦争隣り合わせ路線にはならないと信じている。

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2009年8月31日 (月)

安保政策で「チェンジ」を

 今日から変わる。反権力が権力になり権力が反権力になる。仮にそうであれば、敗戦で体験したときのことと同じだ。当時は「茫然自失」という言葉がよく使われたが、なにも「頭が真っ白」という意味ではない。

 庶民の暮らし、日々の営みが終戦の詔勅を境に突然変わったわけではない。アメリカ敵視や戦時体制は半月ほどくすぶり続け、ようやく最後の煙が消えたのは翌年正月の「天皇人間宣言」があった頃だ。

戦時教育に励んだ学校の先生も、ゆっくりと気づかれないように方向転換をはかり、校長などの指導者がいつの間にか替わっていった。

 選挙後のマスメディアも急には変われない。これまでワイドショウで使い慣れている自民党議員がそのままゲスト出演している。いつかは自民離れする日があるのかも知れないが、長年の惰性をそう急には変えられないのだろう。

 怒濤の勢いを見せた民主にも、ポッカリ穴があいたような所があった。それが明治維新、海外事情に通じて鎖国の惰眠に風穴をあけた開明の士、高杉晋作と坂本龍馬を産んだ長州と土佐である。いつの頃から頑迷固陋の保守の気風に変わったのだろう。

 山口4区で安倍晋三候補に果敢に立ち向かわれた戸倉さんは、ブログの縁がありひそかに応援していた。残念な落選ではあるが、仮に次の参院選で再挑戦されることがあるにしろ、当面はすべてを忘れ、ゆっくり心身ともに休養をとっていただきたい。

 さて、その民主党。社民・国民新党を加え318議席というのは、立派に「チェンジ」を果たせる数である。当選議員の69%が「憲法9条を守る」立場を表明しており、その中の79%は「集団的自衛権の解釈を変える必要なし」と考えている。

 以上は複数のアンケートをもとにしているが、アンケート結果は時と場合で違う答えをしているものなどもあり、カウント自体正確を期すことが困難である。しかし、これまでの因習にとらわれない回答が新人議員の増加にともなって現れたもので、新民主党の大勢を表していると見ていいだろう。

 また、自民党右翼ばりの意識にとらわれ抵抗勢力になりうる議員は、解散前とかわらない20人前後であると見られるが、大勝で分派行動はしにくくなった。残りは判断不能の回答や無回答者で、党首の指導力次第で態度を決めるか、大勢順応型といっていいだろう。
 
 民主党のマニフェストに関連して半月ほど前「鳩山代表の本気度」という記事を書いた。それは、「東アジア共同体」構想についてである。本塾はEUのような共同体構想こそ究極の平和・安全保障体制だと考えている。

 鳩山代表の「友愛」の精神は、祖父一郎元首相が、第2次大戦後現在あるEU誕生のきっかけを作ったといわれるオーストリアの政治家リヒャルト・クーデンホーフ・カレルギーの『自由と人生』を読んで感動。52年の政界復帰後、訳書を出し、友愛に満ちた社会を実現する「友愛革命」を唱えたことがはじめといわれる。

 一般でいわれているような、ふんわかムードの仲良しクラブとは違う。手始めに考えられる「東アジア非核地域」は、日本、南北朝鮮が対象となる。麻生首相の背広でおなじみのブルーリボンバッジ組には、とんでもない話かも知れないが決して夢物語ではない。

 ここでの詳細は避けるが、同党当選議員のうたち「アジア重視」と共に「北朝鮮制裁強化より話し合いを」という意見の持ち主が54人もいる。この意見は、共産党議員に多いが、決して共産党の回し者ではない。亀井静香氏をはじめ、9条改憲論者の中にもいるからだ。

 鳩山首相が掲げる理想が多くの人の共感を得るまでまだまだ時間がかかるだろう。しかし決して少なくない応援者がいることを信じて、日本の「チェンジ」に突き進んでいただきたい。

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2009年8月29日 (土)

選挙後株価は?

 国民が待ちこがれた衆院選もあと1日となった。麻生総理がこの日を決めた頃、真夏選挙はともかく、二百十日2日前で「台風はだいじょうぶかいな」と思った。もし台風が東京12区を直撃すれば、公明党にとって神風になるはずだった。

 幸か不幸か、台風は1日おくれで関東へ、翌日はこよみ通り東北を襲うという予報だ。すでに伊豆諸島は影響をうけているだろうが、選挙当日もまだ油断ができない。荒れたら選挙に行けない高齢者もいる。普通なら避けなくてはならない日程だったのだ。

 荒れる予定の選挙翌日、兜町はどう反応するだろう。大方のアナリストは政権交代折り込みずみ、という予測を立てている。しかし、ちょっと違うような気がする。経済や相場は当塾の正課ではないが、民主党圧勝ならご祝儀相場、つまり絶好の売り場になると見る。

 ロングレンジで日経平均を見てみよう。最低の7000円すれすれに落ち込んだのは、年度内解散が遠のき、民主党小沢代表の選挙事務所が西松建設の政治献金にからんで摘発された頃である。以後上向きはじめ、麻生総理が解散を決意したあと、7月27日頃からは1万円の大台にのせた。

 その後、波動はあるもののわずかに上向きで今日に至っている。ただ、このところ報道されている民主圧勝が反映しているかどうかには疑問がある。株価にとって結果伯仲なら政局不安で売り材料だ。これまでの株価の推移や一部アナリストの意見では、民主党政権必ずしもマイナスとは見ていない。

 竹中平蔵理論で行けば、民主圧勝は大暴落を意味する。ちょうちん持ちアナリストが多い中、自説をまげない竹中さんは立派だ。しかし、多分その竹中さんを兜町は裏切るだろう。長い間閉塞感を味わったのは一般国民だけではない。投資家もまたそうなのだ。

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2009年8月27日 (木)

独裁政権にならないか

 民主党のマニフェストの政権構想に、5原則、5策というのがあり、それぞれの項目と説明が掲げられていた。政治主導型の政府組織構想である。公約実現に向けてはりきっているな、という印象しか持たなかったが、このほどその詳細が明らかになった。毎日新聞(8/27)によると、その中核となる「国家戦略局」は次のようなものである。

① 初閣議で任意の首相直属組織とする。
② トップの議長には専任の閣僚を充て、重要閣僚の上の「副総理格」で検討。議長は党の政調会長を兼務する方向。
③ 構成メンバー 国会議員、民間の有識者、各政策を担当する官僚、計30人。
④ 経済財政諮問会議を含めた各種政策に関する首相の諮問機関(教育再生懇談会、安全保障と防衛力に関する懇談会など)は休眠、廃止も検討する。

 長年自民党が築き上げてきた政・官癒着の悪弊を打破するため、強力な行政組織を作ろうという意気込みはわかる。同日付けの読売新聞では、構成メンバーを首相秘書官に登用するとか、100人の国会議員を政府に投入するとも言われている。

 「国家戦略」という大げさな表現は何なんだろう。憲法は、国権の最高機関が国会であることを定めている。つまり、国民が選んだ国会議員にゆだねられている。それを、行政府の首相が任命権を持ち、その配下におく組織で、国運を左右する「国家戦略」が(おそらく)非公開で検討されるというのは、三権分立の精神をゆがめることにならないか。

 しかも選挙で圧勝し、絶対的な権勢を振るえそうな党の政策決定にもあずかるというのである。これでは、強力な行政機構というより、独裁政治の温床にもなりかねない。あまり強大すぎて首相のコントロールが利かなければ、今度は責任の所在をあいまいにする。

 行政機構が強力になり過ぎるという現象は、本来の民主主義と相容れない。ぶれたり、どじを踏んだり、後戻りしてみたり、それでも破滅には向かわない、それが民主主義のいいところであることも忘れないでほしい。

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2009年8月25日 (火)

今週の言葉

 衆院選まであと5日。惨敗が予想されている自民党候補者から「民主党が政権を取ると社会主義になる!」という絶叫まで聞こえてきたそうだ。

 カナダの政治学者C.Bマクファーソンは、その著書『自由民主主義は生き残れるか』(田口富久治訳・岩波新書)の中で、「もうその生涯と時代をあえて描写してもさしつかえないほどその終焉に近づいていると考えてよいのだろうか」と問いかけた。自由主義と民主主義、民主主義がどう機能するかによってよって回答は一様ではないと見ている。

 不幸なことには、自由民主主義は、そのどちらをも意味しうる。というのは、「自由主義的(リベラル)」という言葉は、強者が弱者を打ち負かす自由をも意味しうるし、あるいは自らの能力を行使し発展させる万人の平等な実効的自由をも意味しうるからである。後者の自由は前者の自由と矛盾している。

 原題は、1977年に発表されている。これからの新たなモデルが求められているがその姿はまだ見えてこない。

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2009年8月18日 (火)

森田健作知事の馬脚

 自民党支部を残したまま「完全無所属」を名乗って千葉県知事に当選した森田健作、八っ場ダム建設の賛否をぼやかしておきながら、当選すると即賛成に変身、剣道2段の免状は架空。模擬子ども議会で子どもから「知事はウソをつかないで下さい」といわれた元タレント。

 選挙民がしまった、と思ってももう遅い。せめて4年間、実害のない政治をしてくれれば、という希望もどうやらあやしくなった。自・公議員の賛成のもと、県教育委員会にとんでもない人を持ってきたのだ。さきほど電撃辞任した中田前市長の、横浜でも同じようなことが起きていたようだ。

 その人の名は、野口芳弘。「日本教育再生機構」の代表委員だという。この団体の理事長は、天皇男系皇嗣論者でY染色体を論拠に持ってきて失笑を買った八木秀次教授である。構成員は「新しい教科書の会」出身メンバー、日本会議メンバーなどが主になっている。

 共産党後援会のチラシによると、野口氏は「特攻隊賛美」「愛国心教育」を進めてきた人で、その著書に「教育とはそもそも強制」「(過ちをおかした子どもが謝らなければ)ひっぱたく、叩きのめすのである、『体罰』を断行するのである」などと公言しているという。

 森田知事は、6月議会で「戦前の軍国主義教育は必ずしも一面的な教育だったとは認識していない」と野口氏を弁護する答弁をした。森田氏も上記団体に参画しており、自民党以上に始末の悪い組織にいた馬脚を現したものだろう。

 子ども議会で質問したお子さま、どうかひっぱたかれたり、叩きのめされないよう、これからくれぐれもご用心ください。大人も、安倍失脚以来、このような戦前回帰路線が組織的に、そして静かに潜行していることに、とくとご用心願いたい。

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2009年8月13日 (木)

憲法・外交・安保政策と選挙

 衆院選公示まであと5日と迫った。党首討論が終わったものの、長丁場の選挙戦は、地震、台風、タレントスキャンダルのニュースが先行し、お盆休みがあけても「政権交代」への盛り上がりに欠けるものになるのではないかと懸念される。

 マニフェストに対する議論は盛んだが、国民が政策論争にどれだけ引き込まれているか、はっきりいってそれに甲乙をつけるだけの能力がないのが実態ではないか。また8月15日を迎え、「戦争はいやだ」、「戦争は避けるべきだ」という、素朴で共通の願いにも政治は正面から答えていない。

 毎日新聞のホームページで、衆議院「毎日ボートマッチ」“えらぼーと”というのが昨日から始まった。このメリットは、全立候補予定者に向けたアンケート結果が見られることだ。当ブログでも以前「立候補者メモ」を作ったことがあるが、途中でやめた。

 本当の理由は(今日、全面撤退を決めたようだが。その後それを撤回?)「幸福実現党」なるカルトまがいの候補者まで面倒見きれなくなったからだ。共産党の立候補制限と同様、撤退に「ホッ」としている党があるに違いない。それはともかく、早速「えらぼーと」を訪ねてみた。

 いきなりアンケート結果は出てこないが「トライしてみる▼」を追っていけば、選挙区別に出てくるし、比例区も見られる。まだ回答を得ていないものもあり、追加更新も予定されている。そこで、政権交代を目指す民主党候補(比例区はのぞく)を、とりあえず「反戦塾」流に分析してみた。

 「憲法9条改正に反対」および「集団的自衛権の憲法解釈を見直す必要はない」という意見を併せ持つ候補者は約54%にのぼる。これは双方のことがらをマニフェストに明記することを避けたにしては、多いと見てよい。

 現に、以前の調査時は改憲派だったのに、小沢政策や安倍首相当時の改憲思潮が後退したためか、態度を改めている候補もいる。残りの46%はなぜか東京・大阪とその近辺に多い。態度を明らかにすることが選挙に不利を招くということもあるのか。

その内訳は、次のようになる。
①政治信条が自民党最右派に近い候補 6~7%、20人前後
②上記項目の双方ではなく片方だけに賛成している候補で、政治信条が不明。
③無回答か、二者選択ではない別の回答をしている候補。

 上記①は、「靖国神社に参拝する国会議員の会」とか「在日外国人参政権に慎重な国会議員の会」などというリストをたぐってみれば、おおよその見当がつく。これらの候補は、民主党が過半数を大きく割った場合、平沼新党などの呼びかけで脱党、自民と組む可能性がある。

 したがって慎重な投票姿勢が必要だ。それ以外は自民に近い政治信条を持っていても、それが理由で党を割るような存在にはならないだろう。右派グループは民放テレビなどへの出演が多く、優位に立っている。

 自分の選挙区の候補をよく見ていただき、比例区は社民か共産に票を集中させるなど、確実に反戦議員をふやすよう、「えらぽーと」の有効利用をおすすめしたい。 

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2009年8月10日 (月)

リベラルの会と選挙

 前回の「リベラルの会」に続いて今回の衆院選に触れるつもりであったが、その前に前回記事の補足をしておきたい。それは、リベラルの会趣意書と民主党マニフェストの差を述べた中で、前者が北東アジアの安全構築をいっているのに、後者が南北アジアから太平洋まで範囲を広げた経済中心の構想でぼやかされているように言った。

 今朝になって再確認してみたら、マニフェストに一行、「○北東アジア地域の非核化をめざす」とある。前に見ているはずなのだが、失念していた。同党には別に「INDEX2009」という政策集があり、詳細がそこにあるとばかり思っていた。

 一行だけの公約は、南北朝鮮の「非核化宣言」が効果を期待された時代ならばともかく、北が核保有を誇る現在では空文に等しい。北東アジアに対しては、日朝共同宣言に見られるような、総括的解決の糸口をを見いだすことしか方法がないのだ。

 リベラルの会にそれらのすべてを期待することはできない。期待するのは、選挙後に想定される政権再編で、自民党あるいは右翼諸派勢力によるなだれこみの防波堤となりうる勢力に発展してほしいと言うことだけである。以下、同会発足に名をつらねた候補者を見ていく。(遺漏があればお許しいただきたい)

北海道5区 小林千代美(40)元・民主
 この区の対抗馬は町村信孝、町村派の会長だ。森・小泉・安倍・福田と4代続けて総理を出した最大派閥の代表が落選すれば、森の求心力はさらにおとろえ、自民党の瓦解も否定できない。

宮城1区 郡和子(52)前・民主
 仙台市の青葉区・太白区、東北を代表する選挙区で、自民党の土井亨(50)も町村派だ。

秋田1区 寺田 学(32)前・民主
 自民、平沼グループ、諸派の超保守勢力と民主・共産の平和勢力の激突になる。

埼玉12区 本多平直(44)元・民主
 今のところ共産が候補を立てていないので、その票が集まればなお有望である。

千葉6区 生方幸夫(61)元・民主
 生方は「リベラルの会」発足を主導した。6人という県下有数の激戦区になりそうだが、共産党をのぞけば、あとの4人は「みんなの党」新人を含む保守派である。 

新潟1区 西村智奈美(42)前・民主
 2回連続当選を果たしたベテランである。1区現象を起こしてもらいたいところ。

愛知3区 近藤昭一(51)前・民主 
 落選した生方の後を受け、平岡秀夫とともに会の代表世話役をしている。生方は読売新聞記者の経験があるが近藤も中日新聞出身である。

大阪5区 稲見哲男(61)元・民主
 ここでは、自民党ではなく公明党が対抗馬だ。前回の選挙では共産党候補者の票を加えると公明に勝てるという結果になっている。現在、諸派を入れて5党の戦いとなっている。

大阪17区 辻 恵(61)元・民主
 改革クラブの西村真悟がいる選挙区だ。かつて民主党に在籍したが田母神支持の極右だ。弁護士の資格を不正に使用した容疑で逮捕されたことがある。当選させてはならない。

大阪18区 中川 治(58)元・民主
 自民党は中山太郎。外相などの実績を持つ大物だがすでに84歳。ここまで後継者に恵まれないとは、お気の毒に思う。

山口2区 平岡秀夫(55)前・民主
 前回の小泉解散で自民新人に惜敗、比例区に回ったが、昨年2月の補欠選挙で自民候補に大勝、選挙区復活を果たした。小沢民主党を勢いづけた一因になっている。

山口4区 戸倉多香子(50)新・民主
 「リベラルの会」には直接関係はない。前記平岡の選挙区出身で盟友。自民ネオコンの代表格・安倍晋三から1票でも多く支持票をもぎとり、相手勢力に打撃を与えられる候補だ。

福岡3区 藤田一枝(60)元・民主
 農相の経験がある大物の太田誠一が相手だが、集団レイプに肩入れをするような失言癖のある人物だ。十分に勝機はある。

鹿児島1区 川内博史(47)前・民主
 相手は保岡興治、自民党で鹿児島のドンといわれるがすでに70歳、統一協会との関係や複雑な政界遍歴は、もはや実績にならない。昔年のライバル対決に変革の風がどう吹くか。

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2009年8月 9日 (日)

「リベラルの会」

  「気になる選挙区」の題名で、選挙区ごとに北海道、東北、北関東と取り上げてきた。あと、南関東以下を続けるつもりだったがやめることにした。理由は、連日似たような劇場型選挙区紹介がマスコミで取り上げられ、それと競うようなことはしたくないと感じたからだ。

 そこで、民主党で是非勝利してほしい候補を考えてみることにした。これまで書いてきたように、自民党タカ派以上に危険な意見を持つ候補が松下政経塾出身者や旧民社党出身者などの中にいるわけで、このところ離党や除名などでやや勢力を減じているように見えるが、同党の外交・安保政策をあいまいにする一因となっていることは否めない。

 そこでまず、かつて同党で50名を擁する有力な政策グループと見なされていた「リベラルの会」の結成趣意書と今回の選挙公約(マニフェスト)を、憲法を中心に比較してみることにした。リベラルの会は、前回の小泉選挙で大勢の落選者をだし、一時は存続を危ぶまれていた。

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リベラルの会結成にあたって(2004年8月)

私たちは、東西冷戦に象徴されるイデオロギー対立の政治が終焉した21世紀こそ、「真の自由」と「真の民主主義」を実現する世紀にしたいと思います。そして、「真の自由」と「真の民主主義」こそが、世界に平和をもたらし、個々人に光り輝ける人生をもたらすものと考えます。

 以上の基本認識の下、私たちは、次の基本的な考え方を政策実現していくために、「リベラルの会」を結成します。

1、 憲法第9条の精神を世界に広め、活かしていきます。自衛隊は専守防衛に徹し、一部の国を敵国扱いすることとなる集団的自衛権は行使せず、国連を中心とした集団的安全保障の確立を目指します。国連改革を推し進め、新しい国連の下、積極的に世界平和の構築に取組むとともに、北東アジアの平和と安全の為にイニシャティブを執っていきます。

2、 真に自立した市民一人一人が政治に参加することのできる「市民に開かれた政治」を目指します。そして、「市民に開かれた政治」の中で、社会的立場の弱い人を含むあらゆる人が、安心して自由に暮らしていける社会の実現を目指します。

民主党衆院選マニュアル(2009年7月)

「憲法とは公権力の行使を制限するために主権者が定める根本規範である」というのが近代立憲主義における憲法の定義です。決して一時の内閣が、その目指すべき社会像やみずからの重視する伝統・価値をうたったり、国民に道徳や義務を課すための規範ではありません。

民主党は、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」という現行憲法の原理は国民の確信によりしっかりと支えられていると考えており、これらを大切にしながら、真に立憲主義を確立し「憲法は国民とともにある」という観点から、現行憲法に足らざる点があれば補い、改めるべき点があれば改めることを国民の皆さんに責任を持って提案していきます。

民主党は2005年秋にまとめた「憲法提言」をもとに、今後も国民の皆さんと自由闊達な憲法論議を各地で行い、国民の皆さんが改正を求め、かつ、国会内の広範かつ円満な合意形成ができる事項がるかどうか、慎重かつ積極的に検討していきます。

「民主党政策INDEX2009」

自衛権の行使は専守防衛に限定
 自衛権は、これまでの個別的・集団的といった概念上の論議に拘泥せず、専守防衛の原則に基づき、わが国の平和と安全を直接に脅かす急迫不正の侵害を受けた場合に限って、憲法9条にのっとって行使することとし、それ以外では武力を行使しません。
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 双方に共通する点は、9条の精神は守るといいながら、「1、2項を変更しない」と言い切っていないことである。この点は社・共や公明との違いで不安を残す。両者の最大の違いは「集団的自衛権」への姿勢である。

 作成時点の異なるものを比較するのは問題があるが、マニュアルの「個別的・集団的といった概念上の論議に拘泥せず」はいかにも苦しい。たしかに、かつて安倍首相らが一般化できない持論をふりかざし、神学論争のような議論にしたことはある。

 しかし、この問題を棚上げにしたのは、日米同盟の懸案に目をふさぎ解釈改憲に道を開く明らかな「逃げ」である。このような「概念上の論議」を否定しておきながら、「急迫不正の侵害」という、個人の正当防衛にかかわる「概念上」の用語を武力行使に関して使うなど、全く前後の論理が一貫していない。

 また、マニュアルは憲法問題を「慎重かつ積極的に」検討していきますという、これこそ民主党が目玉にしているアンチ官僚公約にそぐわない官僚用語で、何を言っているのかわからない。また、上の比較文からは長くなるのでのぞいたが、アジア政策でも明らかな開きがうかがわれる。

 リベラルの会は、「東西冷戦に象徴されるイデオロギー対立の政治が終焉した21世紀」を冒頭にかかげている。これが「リベラル」理念の根底をなしている。そして北東アジアとという表現で中国、南北朝鮮、あるいはロシアといった日本と隣接した国との安定した関係づくりに目をむけている。

 これに対し、民主党マニュアルは「共同体」といった踏み込んだ用語を使いながら、アジアを台湾、アセアン、太平洋諸国まで自由貿易圏をひろげるとか共通懸案事項で協定する構想にとどまり、北朝鮮に対する「制裁強化」一本槍の論調とあいまって、軍事的対立の緩和、善隣友好より、自民党内に強い反共シフトの流れを引きずっているように見える。

 以上をふまえ、「リベラルの会」を主導した議員が多数当選し、さらに元職・新人を加えて強力な政策集団となれば、小沢・菅・横路など各グループに名を連ねながら活動を発展させ、各グループの意見の調整役となって、民主党の一貫した現実味のある安保・防衛政策を構築できるのではないか。

 是非そのような方向に向かってほしいということで、次回は「気になる選挙区」のしめくくりとして「リベラルの会」世話人を務めた候補を中心に紹介して見ようと思う。

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2009年8月 4日 (火)

遂に出た平成版7博士

2009_08050005右のイラストは、明治36年9月4日号の「中央新聞」に掲載された政治漫画。対露同志会の外交演説を写すプロジェクターを後ろで操るのは、ズボンに「小ムラ」と書いてある小村寿太郎外相(『日本の歴史』中央文庫より)。

 政府の「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・勝俣恒久東京電力会長)は4日、年末に改定される「防衛計画の大綱」(防衛大綱)に向けた報告書をまとめ、麻生太郎首相に提出した。日本を飛び越えて米国へ向かう北朝鮮の弾道ミサイルの迎撃などを可能とするため、憲法で禁じられている集団的自衛権の解釈の見直しを提言。海外への武器輸出を禁じた武器輸出三原則の緩和も求めた。報告書を受けて政府は大綱の改定を進めるが、そのまま反映されるかどうかは不透明だ。(後略:8/4毎日新聞夕刊)

 今日午前にエントリーした前記事の続きで、緊急に1日に2度目の投稿をする。報告書はまだ見てないが、報告書の骨子を毎日で次のようにまとめている。

  ・弾道ミサイルに対応するため、集団的自衛権の
   憲法解釈見直し
  ・武器輸出三原則を修正し国際共同開発などを容
   認
  ・敵基地攻撃能力保有を検討
  ・日本の安全保障を確保するため「多層協力的安
   全保障戦略」が必要
  ・「存在による抑止」に加え「運用による抑止」
   を重視

 そして懇談会メンバーは、座長・勝俣恒久東京電力会長、北岡伸一東大大学院教授、田中明彦同教授、中西寛京大公共政策大学院教授ら6委員、加藤良三前駐米大使ら3人の専門委員が務めるとしている。

 これを見てすぐ思い出したのが、日露戦争の前年の明治36年6月に東京帝国大学の富井・戸水・寺尾・高橋・中村・金井・小野塚の7博士がそろって桂首相を訪ね、日露開戦の意見書を出したことである。これは早い段階で政府のヤラセであることがマスコミにもばれていたが、このあたりの事情を「原敬日記」が余すところなく物語る。

  「政府が最初七博士をして露国を威圧し、因て
   以て日露協商を成立せしめんと企てたるも、
  意外に開戦に至らざるを得ざる行掛りを生じた
  るものの如し」

 小泉政権以来、官学大教授を中心にに防衛産業をかかえる財界、そして米国追随を職務としてきた駐米大使を集め「懇談会」と称して権威づけをし、憲法違反すれすれの防衛政策を画策してきた。今度はすれすれではなく、はっきり憲法違反である。

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麻生外交ブレまくり

 前々回、自民党・マニフェストの外交・安保政策に対し、北朝鮮と戦争をする気か、といった趣旨の記事を書きました。それに対し「雷鳥」さまから貴重なご指摘を受けたので、お許しをいただき以下を引用します。

■失礼します。
 マニフェストの「同盟国である米国に向かう弾道ミサイルの迎撃」という点ですが、北朝鮮からアメリカに向かう弾道ミサイルは、地球儀を見ると、中国・ロシア、そして北極の方を飛ぶと思うのです。日本上空を飛ばないミサイルを迎撃するなんて技術的に無理でしょう。
 自民党が「北朝鮮」を言うとき、いつも的外れだと感じています。

投稿: 雷鳥

■雷鳥 さま
コメントありがとうございます。
いいご指摘でした。私も意識の底にはあったことなので、拙シナリオ中の「アメリカ本土」は、ハワイに訂正し、別途補足のエントリーを考えようと思います。

投稿: ましま

 ご指摘の通りです。この前の大騒ぎをしたテポドンの弾道では、軌道修正しない限りハワイに向かい、米本土へは行きません。前の記事で新公約を「アメリカの猟犬・しかも国力の弱い北朝鮮限定」と書きました。

 アメリカのミサイル撃墜要請は、ブッシュ時代のネオコンに端を発しており、そのミサイルは北朝鮮ではなく、中国のものだったはずです。すくなくともアメリカは、最近まで北のミサイルなどにそれほど脅威や関心を示していませんでした。

 アメリカの関心は「不安定な弧」としてインド洋から先、イスラエルなど地中海沿岸に向いていました。当時の麻生外相は、それをまねして太平洋からヨーロッパを結ぶ「自由と繁栄の弧」を唱えましたが、狙いがあいまいで中国封じ込めにしか解釈できず、それこそ「自由と繁栄の(孤)」で終わったわけです。

 アメリカが日本にMD(ミサイル防衛)システム相乗りを迫る本当の狙いは、無限といわれるほど膨大な開発予算を分担させることにあると見ます。中国は既にアメリカに到達するICBMを持っています。中国からでしたら、確かに日本上空を通ってアメリカに向かうコースもあるでしょう。

 しかしアメリカはオバマ大統領にかわり、現政権はその脅威をニクソン以来の友好ムードの中で話し合い解決をしようとしています。こういった中、唯一の被爆国家で憲法9条を持つ日本ならドラスチックな外交戦略転換を打ち出せるのですが、オソマツ政界にはそれも期待できません。

 なかでも、自民・マニフェストは最低です。すでに安倍時代に破綻した「集団的自衛権の解釈改憲」の生き返らせることをねらい、北朝鮮の核・ミサイル脅威と拉致問題であおりたてて、素人でもわかるようなミサイル撃墜話を持ち出すのですから、いかに「自由と繁栄の弧」が受けなかったとはいえあまりにもひどすぎます。

 まさに、漢字が読めない「この首相にしてこのマニフェスト(外交・安保)あり」です。また、想像したとおりマスコミはほとんどこのことを上げません。せめてネットの上で頑張るしかありません。皆様のご協力をお願いします。

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2009年8月 1日 (土)

自民党・マニフェスト

北朝鮮と戦争をする公約

 これまで、自民党の良識派にかすかな期待もあったが、こんな物騒な公約を出すようでは、自民党を本気でつぶさなければならないと思います。アメリカの可愛い「ポチ」から猟犬に格上げしたのです。それも獲物は弱い北朝鮮限定です。

 安倍晋三首相時代、シーハー駐日大使はミサイルアメリカに向かうミサイルの撃墜など、日本に傲慢な要求を突きつけました。それに応じ安倍は、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(アーミテージ国務副長官から「ショー・ザ・フラッグ」と自衛隊派遣を強要されたとされる当時の駐米大使・柳井俊二が座長)を設け、「集団的自衛権行使」に風穴をあけようとしました。しかし、安倍退陣に従い日の目をみることなく、福田政権下では棚上げになっていました。今回どさくさに紛れて公約化、復活させようとするもので、各野党もマスコミも見逃していいわけありません。

 特に、北朝鮮の弾道ミサイルから日本国民の安全を守るため、同盟国である米国に向かう弾道ミサイルの迎撃や弾道ミサイル防衛で連携する米国艦艇の防護などが可能となるよう、必要な安全保障上の手当を行う。

 これがマニフェストの「9外交・安全保障」に書かれていることがらです。日本語としてもおかしな文章で、日本国民の安全になぜアメリカ向けミサイル撃破が役に立つのかわかりません。自民は具体例を示したつもりかも知れません。それならもっと具体的に当塾のケーススタディーをしてみましょう。

① 北がテポドン4号の発射準備をする。こんどは明らかに前回より大きい。アメリカ本土に到達する可能性は大である。アメリカはスパイ衛星はもとより、情報集めに躍起になる。そこへCIEに複数の筋から、直接対話に応じないアメリカに脅威を与えるためのICBM発射準備である、との情報が入る。

② アメリカは国連安保理に連絡し、北に警告するが、北は例によって「人工衛星」と言い張る。アメリカは発射の時間が迫ったと判断し、日本海上の米空母から艦載機を飛ばし発射台を破壊する(アメリカ流の先制攻撃論)。

③ 北は将軍様親子の面目まるつぶれになるので、当然報復を考える。かねて訓練してきた地対艦ミサイルを米空母とそれを護衛する海上自衛隊護衛艦に向けて発射する。

④ 同時にソウル近郊の米軍基地などに向けスカッドなど打ちまくり、日本本土には200はあるというノドンを数十カ所の秘密かつ移動可能な発射台から無差別に撃つ。そのうち何発かはパトリオット(PAC-3)で撃墜できても完全防御は不可能である。

⑤ 「核の傘発動で、北は壊滅する」ことはあり得ない。通常兵器での空からの攻撃はするだろうが、隣接国、中・ロ・韓国に死の灰が及ぶ壊滅作戦などはあり得ない。

 このうち、①と②は、ブッシュのイラク攻撃からみもてあり得ない話ではありませんね。③、④は最近の金正日の求心力不足から、以前より無謀な行動にでる可能性があり得ます。上のケースだけでなく、日本がミサイルを迎撃したとしても結果は同じです。

 宇宙平和利用の権利はどの国にもあり、宇宙での武力行使は国際法で禁止されています。宇宙というのは、海における公海と同じでそこで米朝の軍艦が衝突し、自衛艦が北の軍艦を砲撃撃沈したらどうなるでしょう。それを考えれば自ずから結論がでます。また、自民党マニフェストでは「北朝鮮へ断固とした対応」の一本槍で、話し合いの「は」の字も出てきません。

 米中蜜月時代がクローズアップされ、米朝直接対話が国連の仲介などで実現すると、自民党マニフェストはたちまちコケにされます。拉致被害者の救出がおくれてもなぜ「断固とした対応」の方がいいのでしょうか。

 上のテストケースのようなことが起きないようにするのが政治家第一の仕事ではありませんか。強がりを言っていれば選挙が有利になると考えるほど落ちぶれた党に、日本の将来をゆだねるわけにはいきません。そんな党が権力を握れば文民統制も絵に描いた餅、戦争にまきこまれます。

公明党は手を切るチャンス

 拝啓 太田昭宏公明党代表さま

 貴党は、憲法9条の1項、2項とも堅持する、とマニフェストで明記されました。社・共はもとより民主党もそうです。しかるに自民党は「自主憲法制定」の名のもと9条2章の名称を変え、2項に軍隊創設をうたう改定案(自民党新憲法草案)の実現を公約しました。

 また、毎日新聞のアンケート調査によると、貴党の衆院立候補予定者の88%は「集団自衛権の解釈を見直す必要がない」としており、参院選前の貴党比例区立候補者は、100%9条改正に反対し、100%が集団的自衛権の行使に反対でした。

 代表ご自身のお考えもそのように拝察しています。これまで、与党であることに実利を見いだしておられたご方針も昨年秋からことごとに裏切られ、もはや連立政権維持にも暗雲がただようようになりました。そのええ平和を愛する創価学会の方々に冷や水をかけるような自民のマニフェスト、もう選挙協力を押しつけるのは酷ではないでしょうか。

 貴党の我慢も限界にきていませんか。明らかに相反するマニフェストを持つ党が連立をめざすのは、創価学会員のみならず国民全体を愚弄することになります。言葉は悪いが振りこめ詐欺のようなものです。これを機に連立を断念し、初心に返って政党のありかたをじっくり検討していただきたいと思います。

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2009年7月31日 (金)

アフガン、敵は誰?

 オバマの話し合い和平路線をよそに、アフガンには治安部隊を倍増させる計画がある(文末引用参照)。イギリスも、犠牲者急増と裏腹に増派の方向で、世論はこれに賛成しているという。なぜ、そういうことになるのだろう。

 来月行われる選挙を前に治安回復をはかるというが、それは当面の口実で、選挙後に撤兵ができることを保証していない。というのは、米英にとってまだ「敵」に勝っていないからだ。ブッシュのはじめたイラク戦争で撤兵を決めたのは、アフガンにその分をまわすという前提つきだった。

 そうしないと、「敵」を打ちのめすこともできない「腰抜け」、「卑怯者」ということになるのだ。大統領もそういったアメリカ人の好みに反する行動はとれない。もう一つ、テロ被害者意識と、従軍して戦死した人の遺族、さらには命がけで戦った退役・在郷軍人などの存在だ。

 後半の部分は、米英に限らない。そういった人たちの無念は晴らせない、犬死にだったのかというという声と、「愛国者」とか「売国奴」などという殺し文句が乱れ飛ぶ。しかし相手方にもそれと同じかそれ以上の論理があることを忘れてはならない。

 日本の太平洋戦争開戦直前、アメリカから日本軍の中国撤退を含む条件をハル・ノートで突きつけられ、東条が「日本陸軍全体の士気にかかわる、そのようなことができるか」と一蹴し、開戦を決定的にしてしまったことを思い出せばいい。撤退はそれほど難しいことなのだ。

 さて、それでは誰を敵(相手)にして戦っているのだろう。最初は、9.11やロンドンのテロの首謀者であり資金源であるとされるウサマビンラディンと、彼の元にあるテロリスト養成学校と世界的なテロ組織であるアルカイダだったはずだ。

 タリバン勢力は、それをかくまった当時のアフガン政権だったが、身柄を引き渡せというアメリカの圧力に悩んだ末、宗教指導者オマルの判断で、ムスリムの戒律「客人は優遇する」に従って拒否した。これが自衛権をおかすという理由づけで、アメリカに軍事行使をうながすことになった。

 戦闘は瞬く間に終わり、タリバンのかわりに亡命先からカルザイを帰国させ傀儡政権を作った。米軍と有志国軍がアフガン山岳地帯などしらみつぶしにウサマビンラディンとオマルを探したがでてこなかった。もうアフガン国内にはいないと見るべきだ。

 国境を越えたパキスタン側にいるとされているが、パキスタンはアメリカの同盟国で勝手に軍隊を越境させることができない。そこで無人機などを飛ばして隠れ家らしいところを爆撃しているが、効果がなく、多くの民間人を犠牲にしている。

 いまやパキスタンの反米感情は、アフガン以上になろうとしている。そのアフガンでは、タリバンがじわりと復活し、全国の7割がたを支配しているという。敵対していたカルザイでさえ、彼らと妥協をはかるしか安定は得られないと考えるようになっており、米軍の中にもそれを肯定する意見がある。

 アメリカにとって、「敵をかくまった者は敵」で、タリバンもテロリストも一緒にして区別していないかのようだ。たしかに彼らの中にはテロに走る者もいるだろう。しかし、タリバンの標的は戦争の相手である占領軍とその支援者で、世界や民衆を敵にしているわけではない。 

 米英がいう、治安悪化とはそのことを言うのであって、タリバンが民衆の支持を受けている限り、外国軍隊に対するレジスタンスは尽きそうにない。結局ベトナム化が避けられないということになる。ソ連は、1989年に軍隊を撤退させるまでの10年間で1万5000人の犠牲者をだした。当時の司令官は、「アメリカはこの教訓に学ぶべきだ」といっている(共同通信)。

 イラクでもブッシュは盛んに治安維持を言い続けた。そしてバグダッドなどの治安回復を自らの手柄にした。米国内にはそれでも引き揚げを不安視する向きが多かったが、オバマは公約を実現しようとしている。

 治安維持は、一義的に占領軍がするものでなく当該国にゆだねるべきものだ。異教徒である占領軍では、一時的に押さえつけても根本的解決にはならない。イラクも今後いかなる内紛が起きようと、それは自国の責任で解決すべきで、他国の軍事介入がいかに長期にわたり禍根を残すか、歴史が証明している。

 仮にアフガンで治安が回復したとしても、アメリカは「敵」に勝ったことにならない。するとこんどは、パキスタンを「敵」に軍隊を移動させなくてはならなくなるだろう。戦いの敵を見失った悲劇的運命がそこに待ち構えている。

 わが愛するオバマさん。アフガン増派よりもっと先にやることがあるでしょう。役に立たない日本政府のかわりに当塾から忠言します。

 【ワシントン大治朋子】ホルブルック米特別代表(アフガニスタン・パキスタン担当)は29日に会見し、治安の悪化が目立つアフガニスタン情勢について「アフガン軍や警察の増強が必要だ」と指摘、地元の治安部隊の一層の拡充が不可欠との考えを示した。

 現在、アフガンの治安部隊は国軍8万5000人、警察5万人の計13万5000人態勢。米メディアによると、アフガン駐留米軍のマクリスタル司令官は治安部隊を最終的に27万人に倍増することも検討している。(毎日新聞 2009年7月31日 東京朝刊)

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2009年7月29日 (水)

参院選から2年

 2年前の今日、参院選の投票が行われた。それから安倍首相のレームダックが始まり秋には退陣、福田内閣も去年秋の退陣、そして来月末の総選挙を迎える。

 昨夜から、ネットへの接続が不能となり、接続業者、パソコンメーカーと電話サポートを受け最後は主張サービスを受けるなど、記事を作成する余裕がなかった。複合的原因らしいが、結局外付けモデムを換えてようやく復活、今回は過去記事の再録にする。

 手抜きながら、前回の「民主党・マニフェスト」と合わせると時の流れを実感できるので、これにてご勘弁のほどを。

●参院選直後

 参院選の結果、安倍自民党の凋落を喜んでいる向きは多いと思う。ご同慶の至りと言いたいところだが、わが委員会としては「護憲派の敗北」と評価せざるを得ない。その理由は、護憲を正面にかかげた社民党・共産党が改選議席を確保できず、9条ネットも泡沫扱いの票しかとれなかったことである。

 それに加えて、民主党(推薦を含む)は、わが委員会のカウントによると9条護持、集団的自衛権不可とするハト派議員39人を当選させた一方、安倍一派なみのタカ派議員9名が当選した。態度不明者も9名いるが、ハト派当選者は7割を切り、野党、そして公明党まで含め9条擁護派議員をふやしたことになっていないからである。

 自民惨敗に対する安倍退陣論が盛んである。しかし福島退陣論や志位退陣論を聞かない。長期低落傾向を選挙制度のせいにするのはもう聞き飽きた。わが委員会もたびたび警告を発してきた。しかるに国民が期待する左翼政党回生の処方箋は、なにひとつ描かれていない。

 護憲をいうが、問題は3つある。ひとつは自民改憲案を葬り去る政治戦略やプログラムが何も示されていないこと。2つめは非武装中立や自衛隊縮小をいうだけで、直面する脅威や安全保証に対して説得力ある説明がなされないこと。

 そして最後は、各ブログて盛んに提唱された護憲統一戦線が一顧だにされなかったことである。選挙区で、護憲票が割れて当選に達しなかった例は、幸いにして1、2を数えるだけだった。それほど社・共の得票がすくなかったということである。国民の護憲への願望に応えられなかったことは、犯罪的である、とさえいえる。

 しかし、われわれは叫び続けていかなければならない。もはや過去の政党の殻にとらわれてはいけない。1年以内に解散総選挙、政界再編があることは必至である。これまでの経緯から見て社・共がその主導権を担うのは無理である。民主・自民・公明の動きを注意深く追うとともに、国民的世論の形成をはかることが急務である。

●それから1年半年後 

衆議院立候補予定者アンケート結果
(毎日新聞2009/1/6,9,13)
・回答者=9割強にあたる790人・数字は複数回答、無回答をのぞく%。-は言及なし。

--------------------
★憲法9条
       【全体】【自民】【公明】【民主】【共社】
改正反対    55%  12%  63%  67% 100%
改正賛成    38%  83%  28%  19%  0%

★集団的自衛権行使を禁じた憲法解釈見直し
        【全体】【自民】【公明】【民主】【共社】
必要はない  60%    20% 88%  70%  -
見直すべき  33%  74%   -   -   -

★日本の安全を守るためにより重要なことは
         【全体】【自民】【公明】【民主】【共社】
近隣諸国と
の平和外交    39%      -   -  28% 100%
国連中心    10%       -   -  26%  - 
日米同盟    37%   6%    59%    19%  -
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 解散がだらだらと先送りされています。政界再編もあるようなないような中途半端な状態も続いていま す。その中でのアンケート調査なので、当塾にとって関心の深い調査であるにもかかわらず、なんとなく 緊張感に欠けます。

 ご覧の通り、数字は文章化した記事から拾っているので、空欄になっているところがあります。党別を 見ても、ま反対の意見が同居しているので、選挙民は自分の意見を代弁してくれる候補が誰なのかがわかりません。

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2009年7月28日 (火)

民主党・マニフェスト

不安な方向感覚
 7月27日発表された民主党の政権政策の感想を一口で言うとこういうことになる。ここでは「反戦塾」として、外交・安保を中心とするが、全体として腑に落ちない点もある。あげあしとりであるにしても、素人には素人の思考回路で考えることにしたい。

 まず、「国家戦略局」を新設するという。別にそれが悪いというわけではないが、政権を取ろうという政党なら、まっ先に掲げなければならないのが、国の向かう方向を示す「国家戦略」ではないか。あとで述べるが、外交・安保政策にはそれが欠け落ちている。

 次ぎに「歴史的転換」をいうが、それらはすべて「脱官僚」に集約されているように見える。「国家戦略局」新設を含む政策決定システムの改編から、不足財源の捻出まですべて「脱官僚」の大合唱である。これがなんとなく「郵政民営化反対勢力の一掃」の小泉選挙を思い出させてしまうのである。

 私は、基本的に官僚は政治家より政策にくわしく優秀であり、国民に対して公正公平な感覚を持っていると考えている。例えば、内閣法制局が打ち出した「集団的自衛権の権利はあるが行使は違憲」といった解釈を、自民党政治家が「不都合だから変えさせろ」といったようなことである。

 不正摘発や経済特権廃止は当然であるが、それを越えて官僚のやる気をなくするようなことまでやると日本の政治は成り立たなくなるし、結果として国民に被害を及ぼすようなことにもなる。さて本題の外交・安保政策である。

自民的改憲の否定
 マニフェストとは別建てだが、その文末に「国民の自由闊達な憲法論議を」と題して特記したものがある。その内容は目新しいものではないためか報道されていない。これこそまさに「国家戦略」の一部なので採録しておく。

「憲法とは公権力の行使を制限するために主権者が定める根本規範である」というのが近代立憲主義における憲法の定義です。決して一時の内閣が、その目指すべき社会像やみずからの重視する伝統・価値をうたったり、国民に道徳や義務を課すための規範ではありません。

民主党は、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」という現行憲法の原理は国民の確信によりしっかりと支えられていると考えており、これらを大切にしながら、真に立憲主義を確立し「憲法は国民とともにある」という観点から、現行憲法に足らざる点があれば補い、改めるべき点があれば改めることを国民の皆さんに責任を持って提案していきます。(以下略)

 鳩山代表は、中曽根康弘会長の「新憲法制定議員同盟」の顧問になっている。この会は、現行憲法の改正ではなく「新憲法制定」を名乗っている。引用の最後の部分を見てもわかるように自民党の狙いとは全く違うことを公約にしている。鳩山代表は首相になっても、当然これにしばられる。

ユニラテラリズムかマルチラテラリズムか
 外交は、各論の最後に持ってきている。民主党にとって最も足をすくわれかねない、それだけに重要な項目と言わなければならない。これまでの自民党外交、特に日米安保条約が冷戦後新ガイドラインで変質を来たし、ブッシュ政権の元で従属国化した小泉外交とどこが違うか、それを明らかにすることがまっ先に必要である。

 それには、アメリカのオバマ大統領がブッシュのとったユニラテラリズム(単独行動主義)に決別を告げ、マルチラテラリズム(多国間主義)に転換したことをどう受け止めるか、日本の外交に生かしていくかの観点が欠かせない。

 日本自体はそのどちらをとるのか、また、米国についてさえいればいいというバイラテラリズム(2国間主義)からの脱却は、すでに安倍内閣当時から始まっているがまだ深い影を残したまま残っている。しかし、今回のマニフェストは、その基本的な立場「国家戦略」を避け、懸案事項の網羅だけに終わっている。

 「緊密で対等な日米関係」「アジア外交の強化」「北朝鮮への厳しい態度」「世界平和と核廃絶」、これだけでは、民主党の基本戦略が見えないために自民党との違いが出てこないだろう。一部で言われている、日米地位協定改定を「着手」から「提起」に後退させたなどというのは、どうでもいいことだ。

自民党との違いはどこ?
 相手のある外交問題で、具体的な手順や落としどころなどいちいち明記する必要はない。かといって、項目のタイトルに「東アジア共同体の構築をめざし……」という画期的な戦略目標を書いておきながらその説明が本文中になかったり、東アジア非核化をいいながら、核の傘や日米密約問題に言及がなかったりする。

 また、同日付けで発表された「民主党政策INDEX2009」に「自衛権は、これまでの個別的・集団的といった概念上の論議に拘泥せず、専守防衛の原則に基づき、わが国の平和と安全を直接に脅かす急迫不正の侵害を受けた場合に限って、憲法9条にのっとって行使することとし、それ以外では武力を行使しません」としている。

 これについて、アメリカとの同盟関係をどう調整するのか、例えばブッシュのとった先制攻撃論などをはっきり拒否できるのかどうか、また、地位協定以外に基地問題や防衛予算、通常兵器削減(軍縮)への言及がないことにも不満を感じた。
 

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2009年7月14日 (火)

都議選と公明・共産

 都議選結果の感想で、昨日の続きである。民主党の躍進は言い尽くされているので他の党を見る。目立つのが23人の全員当選を果たした公明党の善戦と、13人を8人に減らした共産党の惨敗である。この2党は片や護憲、片や平和指向の党として当塾にとって目の離せない存在なのである。

 ところが両党の得票を見ると意外なことに全く逆転する。以下の数字は複数のところから取っており未確認。( )は前回。
     
 公明 743,472(786,292)-42,820 
 共産 707,602(680,200)+27,402 

 まず、得票数そのものは23人と8人という差がでるほど大きな差はない。共産党はほとんどの選挙区に候補者を出し死票が多く、公明党候補のいない選挙区は自民党に票がまわって、数字に出てこないからとも考えられるが、党の固定票の目安となる前回参院比例区の得票が参考になる。

 公明 718,202
 共産 554,601

 つまり、公明の得票数は70万台で安定?しており、今回のように投票率が高まった時に得票数を減らしているのは、政権交代の前哨戦をうたった民主党に票が流れたと可能性のある共産から見ると公明の退潮傾向がはっきりしたのではないか。

 仮に私が東京都民だったらこういう投票行動をとっただろう。前回都議選は、石原知事与党には意地でも入れたくないので共産党に一票。今回は、総選挙を前にせっかく民主党に勢いがついてきたところへ水を差したくなかったので民主候補に一票。

 参院選比例区の55、6万票が共産党の固定票ならば、共産党大躍進という今回の得票数で、『蟹工船』ブームで党員数が増えているというのは本当なのであろう。勝ったのに深刻な顔が去らない太田さんと、くやしそうだがにこにこしている志位さんの差にそれが現れている。

 食らいついたら放さない、つまり「真善美」の「真」のかわりに「利」を置き、「美利善」とする確実な実利に執着する創価学会的政治手法は、選挙戦術でも生かされており、共産・社民ともに参考にしてほしいものだ。ただ、去年の夏、福田首相を見切り、麻生みこしを担いだ頃からそれらが立て続けに裏目となって現れ、太田さんの浮かない顔になったのだろう。 

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2009年7月13日 (月)

都議選と国政

・誰が首相にふさわしいか
 麻生太郎23% 小泉純一郎7% 小沢一郎7%
 小池百合子4% 石原伸晃4% 与謝野馨1%
 石破茂1%
 (国会議員以外)
 石原慎太郎23人 東国原英夫8人 北野武5人
 橋下徹3人

 この調査は、去年9月はじめ福田首相が政権を投げだして間もない頃のものである。毎日新聞が電話番号を無作為抽出するのではなく、全国300の地点を選んでそこで面接という方法を取って調べた。おそらく、よくTVでやっている設問の一覧表にシールを貼らせるのに似たやりかただろう。サンプルは2563人となっている。

 その後、麻生氏は総裁選で総理の座を射止め、小泉氏が引退を声明、小沢氏が民主党代表を辞任した。それ以外、現在でもこの顔ぶれはあまり代わりそうにない。小沢一郎の代わりに鳩山由紀夫、強いてあげれば、桝添厚労相、民主党・長妻氏が加わる程度か。

 選挙結果は、麻生太郎、石原慎太郎といった国政、都政トップの顔を繰り出し、石原伸晃、小池百合子など人気者をでてこ入れしたものの、与党は過半数を割った。東国原現象も自民党には逆効果だった。人気俳優で劇場型選挙をやっても通用しない時代になったのだろうか。反面、政策が選択肢になったとは到底思われず、先を占うことはまだ無理だ。

 その中で、投票率が跳ね上がったことだけは期待が持てる。顔ではなくすくなくとも政党を選ぶ選挙になったのだ。この現象は総選挙でもそのまま続くだろう。すこしでも進歩に向かっているのであれは、この一年、低次元の政治が続いただけにすなおに喜びたい。

 最後に10数年ほど前、定年退職後墨田区で町会役員をつとめ、今は故人となった先輩のぼやきを紹介しておこう。

 都区議会選挙といってもこのあたりでは、政策で投票する人などいない。いつも当選する人は、決まっている。その人はお祭りを取り仕切ったり、寄付を集めたりひごろ愛想よく近所づきあいがいい。政治信条などないも同然、あってもはなはだお粗末だ。

 酒がでる会に呼ばれることもあるが、まるで親分子分固めの盃だ。同席していた人と銭湯で会ったら入れ墨のある人だった。若い人でちゃんとした考えを持っているひともいるが、そういう人はそもそも選挙に行かない。

 それよりは、多分ましになったのであろう。

  

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2009年6月29日 (月)

小泉城下町に激震

 小泉元首相が次の衆院選に息子を立てようとしている地元・横須賀の市長選挙があった。

【確定得票数】
当68628 吉田 雄人=無新(33)
 64147 蒲谷 亮一=無現(64)
 23134 呉東 正彦=無新(49)

 吉田氏は市議出身で若さが売りもの。破れた蒲谷氏氏は、自民・民主・公明相乗りの支持を受け、小泉元首相も9年ぶりに街頭で応援演説に立った。普通なら小泉効果もあって圧倒的に現職有利になり落選はあり得ないはずだ。

 そんな常識を米軍基地の町・横須賀市民がくつがえした。この調子では、世襲地盤に安心しきって選挙運動もしていないといわれる小泉ジュニアー落選の可能性もでてきた。かといって、民主も安心できないが、圧倒的な人気で首相の座を射た時のブームはもうない。

 直近まで迫った解散総選挙では、山口4区のとくら候補も頑張っていただきたい。元総理といってもメッキがはげればこの通りである。この報道の扱いはまちまちで、NHKTVのニュースでは、小泉の“コ”もでてこなかった。しかし流れは変わった。

 靖国参拝を強行し、ネオコンブッシュにしっぽを振り、また、戦前を「美しい国」になぞらえて改憲しようとした権力者が退場することを、心から願っている国民はすくなくない。一時の人気だけで投票行動に走るのは、千葉県知事だけでもう最後にしてほしいものだ。
 

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2009年6月25日 (木)

東国原自爆テロ?

 《自民党古賀選対委員長運転の衆院選車両が通過しようとしていた宮崎県庁で大爆発が起きた。スワ自爆テロ?。どうやら東国原知事が仕掛けたものらしい。目下、宮崎県警が原因と被害状況を調査中である》

 といった感じの知事の「総裁立候補条件付」衆院選立候補声明である。テレビが繰り返し報道するので、ことの次第は省略する。「果たしてそんなことできるのかなあ」とか、「あり得ないし、あっても反対――」というのが庶民の反応だろう。

 そこでケース・スタディーその1、知事の意向をそのまま受け入れる。この場合、総裁候補は国会議員でなければならない、という自民党党則を至急総会を開いて改定するか、現総裁一任をとりつけて超法規的に次期総裁に指名する。これは、自民党内の現状からみて絶対に不可能。

 ケース・スタディーその2、東国原氏当選後に総裁選を行い、次期総裁候補の1人となる。この場合は、麻生総理による解散総選挙で、国民は麻生総裁を前提に投票する。したがって、もし自民が勝てば、麻生が信任されたということになり、新入議員に禅定などという事態は起きない。

 自民が負けた場合、野党の総裁選びということになり、東国原氏は「地方から国を変える近道」という県民へのアピールを裏切ることになる。その3は、より長い目で次の次ぎを狙うとか、政界再編の起爆剤となるなどの選択があるが、そこまでは先を見通していないだろう。

 大衆受けする人気は移ろいやすいということは、彼が一番よく知っているはずだ。一方、先輩の松浪議員が言った「顔を洗って出直してこい」の意味は、中央政界はそんなに甘くないよ、という忠告だということを、東国原氏はどこまで自覚しているか。

 結局、東国原知事の自爆テロであるかどうかは、宮崎県民、比例区出馬なら九州の得票数が決定するだろう。当選したばかりの森田健作千葉県知事が、早くもマスコミをはじめ自民党県議に至るまでさまざまな批判を受け、子供からは「ウソはつかないでください」などと要望される有様である。元気がいいのはいいが、人気のかげりはどこからくるかわからない。他山の石にしてほしいものだ。

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2009年6月19日 (金)

情報錯乱

 新聞紙上に飛び交う内外の情報は、ブログ記事を書く上で欠かせない。しかし、関心ある記事がすくなくとも、また、逆に多すぎても何にするか迷ってしまう。それと、関心があっても記事の信憑性が疑われるようなものは敬遠せざるを得ない。

 それが、中国における北朝鮮情報である。これまで「白昼夢」という題で国連安保理決議後の動きを占った記事を書いたため、「白昼夢その3」まで続けてしまう羽目になった。さすが今回は「白昼夢その4」とする元気はない。もう今日はやめにしようかとも思ったが、それもあとを引くようで気分が悪く題を「情報錯乱」とした。

 錯乱情報その1は、中国共産党機関誌・人民日報が発行する『環球時報』が、平壌に駐在する某国大使から北京で取材した話を載せたという記事である。それによると、金正日総書記の健康状態が「大きな問題が発生し、ひどい状況にある」ため、三男・正雲氏が後継者に決まったというものである。

 各紙とも、このような両国間の重要かつ踏み込んだ問題を外国人からの取材で取り上げるのは初めてであるとしており、大使が情報をわざわざ北京まで来て本国に報告しなければならないほど北朝鮮の情報管理が厳しくなっていることも伝えている。

 錯乱情報その2は、金正雲氏が訪中したという朝日新聞報道を中国外務省報道局が否定したことである。それを毎日新聞はこう伝える。

 (前略)秦副局長は16日の会見で、「そのような状況は承知していない」と答えていたが、朝日新聞は、さらに18日付朝刊1面(同)で「正男氏も同席」と金総書記長男の正男(ジョンナム)氏も会談に同席していたと続報を掲載した。

 18日の会見で秦副局長は「日本の方々は東洋の含みのある言い方が理解できるに違いないと思っていた。まだ理解できないようなら今日はもう一歩進めて事をはっきりさせる」と前置きしたうえで、「私も関係メディア(朝日新聞)の報道を読んでみたが、まるで(スパイの活躍を描いた)『007』の小説のようだと思った。彼らが次のシリーズで何を書くのか、私には知る由もない」と述べた。

 中国外務省の会見について、朝日新聞社広報部は18日、毎日新聞に「ご指摘いただいた北朝鮮についての一連の報道は、確かな取材に基づき記事にしたものです」とのコメントを出した。

 朝日新聞は記事の中で取材先を複数の北朝鮮関係筋としており、金総書記と近く北京との接触の多い人物だとしている。また韓国の朝鮮日報は、日本の取材競争の過熱ぶりをつたえ、朝日の記事は「誤報」をにおわせるような表現で記事を載せている。

 ちなみに、朝鮮日報は毎日新聞と提携関係にあるが、公正に見て朝日新聞の記事には多くの疑問が残る。ただ、その直前に伝えられた韓国KBSテレビの「正雲側近による三男・正男暗殺計画と中国官憲の身辺保護」報道が正雲訪中とされる日に近く、何かの動きがあったのかな、という気がしないではない。

 その点をのぞけば中国の対応に大きな矛盾があることになる。最初に書いた某国の駐北朝鮮大使から入手した情報をリークしたような、中国の北朝鮮に対する情報提供への不信感がある一方、国家元首である胡錦濤主席に面会し、国内何カ所かの工場見学をするような公式訪問を極秘にするように要求されて、それに唯々として従うというのはおかしい。事前に相当緊密な打ち合わせがなければならないはずだ。

 さらに、朝日新聞が相当細かな行程、宿泊場所、それに正男の参加など追加情報まで得たとすると、任意で得た情報というより、何らかの情報錯乱のためしかけられた工作のような気がしてならない。全くの素人は、歴史とか場所とか前後のかかわりなどいろいろなニュースの中から真偽を見極めなくてはならない。

 このニュースは、解釈とか言った言わないなどの話ではなく、いずれ結果がはっきり出る問題である。これを取り上げた朝日新聞編集幹部の英断と勇気に敬意を表するとともに、もし誤報だったらどう責任を取るのだろうと思ってしまう。  

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2009年6月18日 (木)

党首討論

 イランでは、大統領選のTV討論が大いに盛り上がり、投票率がピンと跳ね上がったという。さらに投票に不正があったのではないかということで、国をゆるがすデモさわぎが今も続いている。その点、日本の選挙管理委員会はしっかりしているので、国民は幸せである。

 ところが、昨日おこなわれた党首討論、近々行われる選挙でどっちかが次期総理大臣になるはずなのに、国民は冷ややかでちっとも盛り上がらない。新聞で見る識者の評判も、両党首の討論内容と同じで肺ふをえぐるような感動が全くでてこない。まことに不幸なことである。

 かといって一方通行の、劇場型選挙ははもうこりごりである。だが、あの党首討論だけはなんとかならないか。同じ形の演台を30㎝ほど間隔をあけて相対し、発言の度に立ったり座ったり。それだけで何とも滑稽に見えてしまうのだ。

 そもそもの発案者が小沢一郎さんだったというが、ああいった舞台仕掛けで、演説でもなし座談でもない、紋切り型のこんにゃく問答をするのが恥ずかしくて逃げてまわっていたのではないか。せめて、日曜に多く行われるTVの政治討論ぐらいの内容にはできないのか。

 それは無理。「党首討論」というのは俗の名前で、実は「国家基本政策委員会合同審査会」というのが正式なのだ。つまり、国会の予算委員会の変形のようなもので、形式にとらわれ、くだけた形にはできない仕掛けになっている。あれでは発言の鮮度や両者の人となりなどがどうしても後退してしまう。

 だから、両党首が自己主張を前面に出して自由な雰囲気の中で議論を高め、そこから国民が判断材料を得るという場にはなってこない。盛り上がらないのは彼らの責任ではない。前回はヤジがひどくてひんしゅくを買い、今回は自粛したようだが、すこしでも盛り上げようとした傍聴者の工夫だったかもしれない。

 国会は大相撲ではない。伝統的なしきたりやしぐさなど必要ない。メディアなどの意見も聞いて国民の要望に応えられるよう、大幅改革をしたらどうだろう。

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2009年6月16日 (火)

白昼夢その3

 2週間前に書いた「白昼夢」が、その3、までゆくとは思わなかった。そこで、このところの北朝鮮の“瀬戸際外交”が、これまでとは違う何か不気味なものを感じるような書き方をした。金正日健康不安と後継者問題があるからだ。

 続けて「中・朝の現実」と「白昼夢その2」を書いたが、今日(6/16)入ったニュースは、日頃の北潜入レポートなどと違って聞き捨てならぬものがある。それは、朝日がトップで報じた金正雲の訪中と胡錦濤主席との会見と、各紙が韓国KBSテレビの報道として伝えた、長男・金正男の暗殺計画発覚である。

 後者については、前のエントリーでその可能性に触れたが、亡命・失脚はともかく、暗殺についてはややぼかして書いた。いくら世界から数十年は遅れている国とはいえ、後継者候補として世界で最も知られている顔である。簡単にバレルような暗殺計画を立てるとは思えない。

 韓国・KBSはNHK同様公共放送である。だから正しい情報とは言えないが、日本のどこかの民放のように金正雲の近影と称するとんでもないガセ写真をつかまされ、大恥をさらすようなことはないだろう。一抹の不安は残るが、仮に大筋で合ってるとしよう。

 その中で問題なのは、「計画に金総書記は関与していない」という点だ。これは、金正雲側近が三男に対する忠誠心競争に先んじようとして独走した計画だとしても、金正日総書記の指揮・命令が利かなくなっているという証拠ではないか。

 それならば、いつ軍事的暴発が起きてもおかしくないことになる。また前にも触れたがオーストリアの皇太子暗殺で第一次大戦が始まったように、仮に正男暗殺にでもなれば、当事国である中国・北朝鮮間に戦闘が起きる原因にもなり得る。

 次ぎに、三男正雲が金総書記の特使として訪中したという朝日の報道である。後継決定を告げ、最近の外交問題について話し合い、広東省深セン、広州も訪問し、ハイテク工場などを視察したというおまけまでついている。

 飛行機で北京に行っているというので、飛行機がこわい金正日と違ってお召し列車が目撃されるということはないだろう。しかし、工場見学までしていればネット情報の発達した国だ。いずれ真偽は明らかになる。それにしてもこの段階に至ってまだ後継者発表を控えている理由がわからない。2年後の金日成前主席の生誕100周年に合わせて発表というのも、金正男暗殺計画と同じくらいわけのわからない話だ。

 

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2009年6月 8日 (月)

白昼夢その2

 当塾は、先週北朝鮮情勢に関連して「白昼夢」と「中・朝の現実」の2本エントリーした。外電などをウォッチしていると、まさかという時、まさかという形で戦争が始まる。湾岸戦争(イラクのクウエート侵攻)も、今度のイラク戦争もそうであった。

 しかし、その前に当事国間の応酬、つばぜり合いが間断なく報道され、予兆がないわけではない。ただ、戦争は「国家の大事」なので、どこでいつ誰と戦かうかは、当事国の首脳の胸の内ひとつ、ほかから推し量ることはできない。

 いつも、北朝鮮、中国脅威論に水をかけている当塾であるが、今回は、「意外に戦争は近いかも」と言ってみるつもりである。7日のテレビ朝日「サンデースクランブル」では、北朝鮮の金正日の後継者から脱落した長男の金正男が亡命するかも知れない、という話を興味本位で放送していた。

 例によって、わけ知り顔のゲストコメンテーターが、北朝鮮の異状ぶりと日本が標的にされているという脅威論を、繰り返し放映され見飽きた映像をバックに強調する。これに対して常連で出てくるテリー伊藤と黒鉄ヒロシが「ここで言うのもなんだが、チョットこういう番組多すぎるんじゃーないの(正確ではない)」といったのには笑っちゃった。

 彼らもしたり顔でそのような企画につきあうことに、さすがあきあきしていたのだろう。局側の困惑ぶりとゲストコメンテーターの憮然とした顔がアップされたのは、生でしか味わえない名場面だった。それは別として、金正男の亡命、失脚はあり得る。かつての世襲王朝では暗殺・謀殺が常識といっていいほどで、日本の天皇家も例外ではなかった。

 金正男が活躍の本拠にしていた中国は、また大きな難問を抱え込んだことになる。その扱い方ひとつで中・朝間に思わぬ緊張をもたらすかも知れない。田中真紀子元外相が、厄介払いしたような簡単な問題ではない。皇太子暗殺で第一次大戦は起きた。今、北朝鮮に一番脅威を感じているのは中国であると言いたい。

 北による日本・韓国への脅しは、国内向けプロパガンダと、瀬戸際外交のダシに使っているだけだ。アメリカは歯牙にもかけないふりを装っている。むしろ脅威を感じているのはほかならぬ中国なのだ。中国が国連安保理決議で、公海上の船舶臨検回避にこだわっているのは、北朝鮮が可愛いからではない。

 臨検を強行するとすればアメリカしかない。そこで、軍事衝突が起き、アメリカがそれを口実に先制攻にミサイル発射基地や核関連施設を攻撃し、平壌に中国から全くコントロールが利かない親米政権ができて、将来韓国と一体となった核大国にでもなったらそれこそ脅威だ。

 それでなくとも、ミサイル発射基地は攻撃目標になりやすい。東倉里など、中国国境に接近した場所に中朝距離弾道ミサイル基地を作り、国連決議を無視してそこから発射実験などされたら、大迷惑どころがとばっちりさえ受けかねないのだ。

 ミサイルはどの方向にも向きを変えられる。そのようにはならないという保証はどこにもはない。アメリカが中国と境を接するインド、パキスタンの核兵器保有を黙認していることも懸念材料となる。そんなことにはなり得ない、とおっしゃる方、中国が経験した直近の戦争を思い起こしてほしい。

 それは、ちょうど30年前の79年2月に起きた中越戦争だ。ベトナム戦争でアメリカに勝ち抜いた北ベトナム(共産党政権)に中国が攻め入った。原因はいろいろある。支援していたカンボジアのポルポト政権に、ベトナム軍が干渉して勢力拡大を計ったとか、華僑が弾圧を受けて難民化したことがあげられている。

 しかし最大の理由は、さきの記事でも触れたように、核戦争すら辞さないという中ソ間の関係悪化である。アメリカが去ったあと、ソ連は海軍力を駆使してベトナムに急接近した。ベトナム戦争を国境を接している中国が支援したことは、それより前、朝鮮戦争で中国が北朝鮮に義勇軍を派遣したことに似ている。

 そのベトナムを、今や最大の仮想敵国であるソ連が軍事的支配権をにぎるようなことはどうしても避けなければならない。ここで人民解放軍の威力を示しておかなければならない理由があったのである。中国はその前に着々と外交上の手を打ってあった。

 78年8月の対日平和友好条約締結、79年1月の対米国交回復、その他東南アジア各国の理解を得ることなどである。これも、今回の北朝鮮の愚行に対し、制裁決議に精一杯日米その他各国と歩調をあわせる努力をしていることに似ている。つまり大義を手にしておきたいのだ。

 こう見るとあと何らかの動機が作用すれば、中国が動き出す条件が整う。前回「中国の堪忍袋の緒がきれたら」というような表現をしたが、それが何であるかわからない。3度目の核実験やミサイル発射かも知れないし、6カ国協議完全離脱、あるいは金正男の扱いで中国の威信を傷つけるようなことかも知れない。

 中越戦争は中国側5、6万人の死者を出しながら1カ月で終息した。北朝鮮と戦火を交えても限定戦争となるだろう。北朝鮮にとって悲劇的なことは、息の根を止められるようなことはなくても、どこからも支援が受けられないことに加え、金正日王朝は確実に崩壊するだろうということである。

 全く素人考えのシナリオかも知れない。しかし外交はアメリカ頼み一本槍で、今後のさまざまな国際環境の変化・動きに対応できる確固とした方針を持たない日本の現状を憂慮して、あえて今日のブログの題目にしてみた。

 

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2009年6月 6日 (土)

オバマ演説とコーラン

毎日JP(6月5日)より
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 オバマ米大統領の4日のカイロ演説では、イスラムに対する否定的な固定観念を改める決意を表明すると同時に、イスラム側の対米意識の問題点も指摘するという、「配慮」と「率直さ」が目立った。イスラム世界から価値観の「押し付け」などを批判されたブッシュ前政権との違いを際立たせる意図がにじむ内容だった。

 オバマ氏は演説で、イスラム世界がギリシャ・ローマの古典文化を守り、欧州の文芸復興(14~16世紀)や啓蒙(けいもう)運動(18世紀)へ道を開いたと言及し、その歴史的貢献を称賛。イスラム教の聖典コーランから3回も引用し、相手の文化を尊重する姿勢を示した。
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『コーラン』井上俊彦訳・岩波文庫より

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 これこれ、そこな者ども、汝らは彼が好きらしい、向こうでは汝らのことなど好きでもないのに。汝らは勿論、聖典は全部信じておる。ところが彼らは、汝らに面と向かえば「我々も信じている」、などというくせに、自分たちだけになると憤怒のあまり汝らに向かって指を噛む。

 言ってやれ、「怒り狂って死んでしまえ。お前らが胸の中でどんなことを考えているかアッラーはすっかりご存知だぞ」と。汝らに幸運が訪れれば、それで彼らはくやしがり、不幸が襲ってくれば、それで彼らは大喜び。だが汝らさえ忍耐強く我慢して、神を畏れかしこんでおれば、彼らの悪だくみも全然汝らには歯も立たぬ。彼らのしていることはアッラーが全部ご存知だから。
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 オバマ演説は、いつも多くの人に感動を与える。上の二つの引用は別に他意はない。なお、コーランの中の「聖典」とは、ユダヤ教・キリスト教が奉じる「聖書」のことである。これで見てもムスリムが手放しでアメリカを信用するようになるというのは幻想に近い。

 また、アメリカには、平和と和解のために反省をこめて歴史を正視しする動きに対し、「自虐史観」とか「媚回派」などとわめき立てる反動分子がいるのかどうかわからないが、オバマ演説に対して厳しい制約がかかることは充分察しがつく。

 オバマ演説は表面の華やかさとは裏腹に、狭いいばらの道をたどることになるだろう。これを空中分解させないように、せめて日本だけはブッシュ――小泉連携の罪滅ぼしに、核廃絶をはじめ精一杯の対米協力をしてほしい。自民党が無理ならば、それができるのが「民主党」であるという旗を掲げてほしい。 

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2009年6月 4日 (木)

中・朝の現実

 前々回のエントリーが「白昼夢」であった。買ったまま読んでいなかった『週刊朝日緊急増刊・朝日ジャーナル4.30号』を見ていたら、「外交に民主主義は不要!難問を米に頼らずに解決せよ」と題する記事があった。

 それによると「白昼夢」は麻生外交などの方で、わが塾の「白昼夢」は、なかなか現実味のあるような論調になっている。筆者は、北京大学に在学経験のあるジャーナリスト・富坂聡氏で、遅まきながら紹介しておきたい。

 全体を要約すると、日本の外交は、尖閣諸島の領有問題も拉致問題にしても「軍事大国アメリカに働きかけるだけの思考停止」状態にあるとし、またメディアもこれを検証する力がなく、政府や国民世論(民主主義)に追随するだけで、解決をむしろ遠ざけているという指摘である。

 そして、北朝鮮の核実験に対する中国の反応について、その蛮行を中国自身が止められなかったことに対する批判が噴出すると同時に、「北朝鮮は60年代の中国と同じで危険だ。とてもまともに相手できない」という慎重意見が党・軍の幹部に多いという。

 60年代の中国といえば対外的には中ソの対立が激化し、全面戦争を覚悟した悲壮な時代だ。旧ソ連は中国に原爆を投下することを本気で計画し、中国はそれを事前に察知し、「原爆を落とされても誰かが生き残って報復する」ために主だった将軍を全国に散らせた。中国が北朝鮮の現状をこんなふうに見ていることは興味深い。

 一方、その中国もほんの10年ほど前まで「アメリカの兵士が1万人も死ねば世論が反戦に傾き戦争の継続は困難になる。しかし中国は100万人が死んでもまだ戦争を続けられる」と豪語していた国である。

 と説き、また拉致問題に対する取り組みも「日本が自分でやる」というというより「アメリカがやってくれる」、もしくは「いつか自壊する」という淡い期待が、超大国の優越した軍事力や経済封鎖で実現すると考えているように見え、当事者であれば当然分析すべき次のような実態が無視されていると指摘する。

 人口の5%の約100万人が軍人という総戦力に近い状態を維持している国の危険性をもっと詳細に分析しなければならないはずだ。日本に置きかえれば700万人の自衛隊を持っている計算だ。マンパワーを誇る中国人民解放軍でさえ200万人だ。

 中国の軍幹部が「中国の60年代と同じだから相手にしたくない」というのも頷けるというものだ。もし裸の日本がこの危険な国と本気で向き合っていれば、相手がどんな国であれ、国家元首・金正日の謝罪の意味をもう少し考えたのではないだろうか。

 そうして、最後をこうしめくくる。「国(アメリカ)が疲弊して国民が海外の問題に興味を失えば自己完結する大国が内向することはむしろ自然だ。そうなったときに日本が慌ててももう遅いのだ」と。

  麻生(誤読)、中川(酒)大臣などに国の運命を託さなければならない不幸から早く抜け出したい。これが「夢」だ。

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2009年5月26日 (火)

北朝鮮につける薬

 地下核実験と短距離ミサイル発射でまた騒ぎになっています。

 道路でわがままを言って泣き叫ぶ幼児。困り果てた両親はどうしますか。
1.大声で叱りつけるか人目をはばからず体罰を加える。
2.いけないことだと言葉でさとす。
3.甘言で釣る。
4.かまわずどんどん先へ行く。
 
 体験されている方はわかりますよね。

 「北朝鮮が日本に核を積んだミサイルで攻撃してきたら?」「アメリカの核の傘は?」、北朝鮮脅威論にはこう答えてきました。「金正日体制が崩壊して内乱状態になり軍の統制がとれない、金正日が精神異常をきたす、なにかの手違いで誤作動する」そのいずれかでなければあり得ないでしょうと。

 ところが、今度は以前と違う点がちょっと気になります。
1.金正日の健康悪化に合わせるようにテポドン以来矢継ぎ早で、もうあとカードがなくなりそう。
2.激ヤセで生気がない状態なのに後継者決定が遅れている。(円満にバトンタッチができない)内部事情がありそう。
3.イラン、ベネズエラ、シリア、キューバなど盟友反米国家がアメリカ・オバマ路線に期待するようになり、兵器輸出先が俄然減りそう。
4.国連安保理決議を敵にするだけでなく、北の立場を理解してくれていたはずの中国、ロシア、韓国から今度こそソッポを向かれそう。

 そんなことはわかっているのに、要は相当あせっているのかも、ということです。北になんの糸口も持たない日本にとって、一番大事なのは北の情報でしょう。これは上の4.の国にお願いしてもらうしかありません。「圧力!」だけでは情報がとれません。こんどの「わがままっ子」は、ひとすじ縄ではいかないようです。

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2009年5月21日 (木)

検察との闘い忘れるな

 今日、新裁判員制度が施行されるのだそうだ。マスコミのどれを見ても「関心が低い」「よくわからない」「選ばれてもやりたくない」のオンパレードだ。何故そういうことが必要なのか、どうしても変えなくてはならないのか、変えるとどんな目に見えるメリットがあるのか。

 制度の中味は説明しても、以上についての「説明責任」が果たされていない。「司法制度改革」の一環で、裁判制度のほかに弁護士の増員や仕事の中味、法曹教育の改革など、一般国民から遠いところでどんどん改革が進んでいるということだろう。

 こういった改革の話が耳に入り始めたのは、橋本内閣末期、小渕内閣の頃ではなかろうか。気になるのは、日米防衛条約の指針、いわゆるガイドライン関連法が1999年が国会で成立した時期に符合し、経済政策でも新自由主義とかグローバリズムなどという言葉が幅を利かしはじめていた頃である。

 司法制度改革でもアメリカの意見を聴き、「競争原理を取り入れる」という方向を選んだようだが、それほど強い反対意見もなかったような気がする。しかし、日本の司法制度が憲法改定に匹敵するほどの変貌を遂げようとしているのに、いつのまにか既定事実のようになってしまったことに、大きな不安を感じざるを得ない。

 「説明責任」といえば、民主党では小沢代表が鳩山代表に代わり、やや政界の様相に変化が表れてきた。自民党は、これからも使い古した「説明責任」で民主党に攻撃をかけようとしているようだが、民主党も検察が小沢追い落としに寄与した点を、今度は堂々と取り上げて反論してほしい。

 当ブログは、秘書逮捕から間をおかず小沢代表辞任を主張してきたが、それは検察の戦術の手中に落ちで自民安泰という、日本の政治にとっても司法にとっても最悪の事態を避けたかったからだ。決して小沢氏が代表として不適格だという考えからではない。

 「説明責任」といっても何を説明するのだろうか。仮に献金を受けた団体が、西松建設のダミーだということを知っていたとか知らなかったとか、西松建設が工事受注を期待していることを知っていたかどうかなど、秘書の裁判に直接影響するようなことは発言できるわけがない。

 しかし、小沢代表か辞めない限り、秘書の犯罪は議員の責任ということで2の矢3の矢をつがえられ、検察攻撃はしにくかっただろう。民主党の任務はこれからだ。小沢辞任で一件落着などとのんびりした姿勢は許されない。

 前代未聞の検察政治介入を不問にしてはならないからだ。それこそ、日本の司法の根幹を守る気概で追求の手をゆるめずに攻めに回ってほしい。その最大の武器が「政権交代を果たす」事であるのはいうまでもない。小沢氏がそれを一番よく知っているはずだ。

 小沢氏を過去の人にしてはならない。小沢氏をかかえ込んだ挙党一致体制で選挙の終盤を闘ってほしい。

 

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2009年5月19日 (火)

公明党から民主党に?

 16日が17日にかけて実施されたマスコミの世論調査が発表された。こくところ毎週のようにそのような調査が発表されている。民主党の鳩山代表出現で、民主党が勢いをつけ、政党支持では一時優位に立ったように見えた自民党が、小沢辞任効果分だけ後退したように見える。

◎麻生・鳩山どちらが首相にふさわしいか
   (麻生)(鳩山)(差) 
読売  32   42   10
毎日  21   34   13
共同  32.0  43.6    11.6
   
政党支持率
   (自民)  (民主)  (差)
読売  28.4  30.8  2.4
毎日     23       30      7
日経    33   38   5
共同  25.2  30.0    4.8

 この結果は各社に数字の違いはあっても、傾向としては同じ方向を示しており、その範囲において信用できる。特に深い意味はなく、国民の「素朴な」感覚が反映したものだろう。新内閣発足時と同様、ご祝儀得票がはげ落ちた後は、またどういう変化が出てくるかわからない。国の将来についてしっかりとしたビジョンが示せず、もっぱら世論動向の得点稼ぎで政治が左右されるような現状には落胆する。

 しかし、時として新聞見出しに表れないびっくりするような数字にお目にかかることがある。わが塾は公明党に関する記事が比較的に多いが、世界平和が売り物の創価学会をバックとし、自民党タカ派の暴走をチェックする機能があるからで、支持政党ではないがやはり気になる存在なのだ。

 まず、毎日新聞の別面に示された下のデータを見ていただきたい。

▼どの政党を支持していますか
     かっこ内は前回
自民党         23(27)
民主党         30(24)
公明党         3(6)
共産党         3(3)
社民党         1(1)
国民新党      0(0)
改革クラブ    -(0)
新党日本      0(0)
その他の政党 2(2)
支持政党なし 37(36) 

 民主党がふえた6ポイントは、自民党が減った4ポイントと公明党が減った3ポイントにほぼ匹敵する。毎日の調査はコンマ以下を四捨五入するのでそれによる誤差は当然生ずるが、その他の政党が全く変化せず「支持政党なし」も現状維持のままである。

 そうすると、この移動は2与党から民主への乗り換えのように見える。ただ公明党の半減というのはかなり極端な数字だ。社民党支持者の2倍以上がそっくりいなくなったということは、不問にできない現象である。かりに数字の誤りでなければ、公明党もさることながら、同党の候補者がいない選挙区で支援を受ける自民党の打撃の方が大きそうだ。

 安全保障問題、外交問題および生活重視の発想は、自民党より民主党により近いと言われてきた同党である。ここへ来てイラク戦争協力や、行きすぎた新自由主義に対する反省に頬かむりし、首相のたらいまわしを繰り返す自民党と、その自民に寄り添うばかりの公明党幹部に、支持者が愛想をつかしたというのは考え過ぎだろうか。
     

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2009年5月13日 (水)

ただのこわし屋?

 小沢一郎について回った伝統的なあだ名は「こわし屋」だった。民主党代表になってからは「ボクは変わる宣言」で卒業したのかと思ったら、12日の民主党両院議員総会で16日に現議員だけの投票で後継代表を選ぶという破天荒な日程を決めた。これは、民主党をこわすことにならないか。

 民主主義を守るため、と口癖のようにいっていた小沢氏(後継決定までは代表である)が、まさに民主主義にやいばを向けた構図である。立候補したい人が20人の推薦人を集める余裕もないし、総理になる前提の候補の政策をまとめたり討論したり、またそれを国民が知ることもできない。

 執行部として責任を共にするといっていた鳩山幹事長が、一転立候補の意向を示すなど、どう見ても密室決定のにおいがする。政治に密室協議があるのは当然で、それがいけないのではない。定められたとおりの手続きで、国民がよく見える方法で代表を選ぶべきだし当然そうするのだと思っていた。

 代表の辞任が早ければ、それだけ余裕をもって後継選びができたはずだが、まだ解散したわけではなく、これからでも時間は充分にある。自民党でさえ国会選挙の洗礼は受けていないものの、公開された形で国民の前で総裁公選をするようになった。

 任期途中の緊急事態だから略式でやるというのは理由にならない。党則にある議員総会での選任というのは、本人死亡などの場合に適用すべきで、総理大臣になる可能性をもつ人を選ぶのに、今度の日曜日に地方へ行って国民の声を聞きたいという一部議員の要望さえ押さえ込んだようだ。

 こんな民主党に支持が集まるだろうか。「支持が集まらなくてもいい、ギリギリでどっちが勝っても負けてもいい、そして自・民両党の中に分裂の気運が生まれ、その中で政界再編か大連立を画策し、キングメーカーの醍醐味を味わえれば本望」、まさかそんなことを小沢氏が考えているとは思わないが、それならばこわし屋復活どころか、これはもう国賊である。

 リベラルな人材に囲まれてた菅直人氏や、安全保障問題で小沢氏と協定を結んでいる横路氏の周辺から声が聞こえてこないのも不審である。「小沢氏を中心に一致団結」するための自重はもういらないのではないか。音無の構えでは国民の支持は集められない。

 もし、鳩山対抗候補が岡田氏だけなら、改憲に熱心な鳩山氏より自民党のこわがる岡田氏の方を次善の策として応援したい。

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2009年5月11日 (月)

遂に小沢辞任

 小沢民主党代表は遂に辞任した。事件発生以来、当ブログは再三この事を予見して発言し続けてきた。それはまさに「民主党による政権交代を実現させるため」につきる。しかし、当ブログの期待した最も遅い時期になってしまった。

 会見で強調したことは、政権交代を実現させることと党内一致団結体制である。当ブログの最近の関連記事は前々回の「風船の哲学」だった。会見では後継指名を否定したが、一党員として党内結束に尽力するような発言もしており、これまで小沢体制を支えてきた鳩山幹事長、菅野代表代行が小沢で整えた結束を維持させようとすれば、当然その3者で統一候補を推す動きも出てくるだろう。

 そこでいい意味での「風船の哲学」が作用し、小沢辞任が最善の効果を生むかも知れないしそれを期待したい。ここは是非本来の小沢流を発揮し、巷間噂されているような若手の二番煎じではなくハプニングの人選をしてほしい。今度こそ民主党員は全力で選挙に立ち向かい国民の期待にこたえなければならない。

 検察対小沢――第一ラウンド……小沢の勝ち!!。

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2009年5月 9日 (土)

風船の哲学

 熱気球に乗ってはしゃいでいる朝青龍の映像がテレビに出ていた。と、思ったら今度はモンゴル勢力士が揃ってゴルフに行ったというのでスポーツ紙などが騒ぎにしている。親方を通じて厳重注意だそうだが、本場所前とはいえ、彼らはそんなに悪いことをしたのだろうか。

 かと思うと、桝添厚生労働大臣の、帰国高校生らが新型インフル感染したことを発表する発表するあの引きつった顔と早口。水際作戦にこだわり過ぎてはいないだろうか。日本人には、どうもことごとに緊張をあおるくせがあるようだ。天孫民族ならぬテンション民族とはよく言ったものだ。

 もうすこし、青空にゆっくり舞い上がる風船のように、おおらかにいかないものだろうか。ただしこのエントリーの題「風船の哲学」は、そんな話ではない。前回に続いて小沢民主党代表の辞任がテーマで、毎日新聞に載っていた岩見隆夫の「近聞遠見」という政治コラムで見た全く違う話である。

 そもそも言葉の起源はこうだ。34年余前の74年暮れ、自民党は田中角栄首相が金脈批判で退陣したあとの後継問題は、椎名悦三郎副総裁に選定を一任される。「三角大福中」といわれた実力者の中から角を継ぐべき人は誰かを選ばなければならない。椎名は悩む。

 当時の記者の分析によると「あらゆる可能性をもたせ、風船を大きくふくらませておいて、いざ、という時に一気に口をあける」のが政局の緊張を解くこつで、最も意外性のある少数派閥の三木武夫を指名し、異論噴出と思いきや、あっという間に政争は終息させた。まさに風船の効用だという。

 次ぎの風船は、94年夏にふくらむ。細川連立政権が短命で倒れ、あとの羽田政権も崩壊寸前の時だ。非自民で連立に加わった最大勢力の社会党が、小沢一郎新生党代表幹事と市川雄一公明党書記長の一・一コンビによる強引な政権支配でそでにされ、反旗をひるがえした。

 一方、万年与党に慣れていた自民党は野党暮らしに耐え切れず、我慢が限度に近づいていた。そこで村山(富市・社会党委員長)を担いで政権を奪回するという奇策が生まれる。風船をを操っていた人について岩見は語っていない。

 村山か、自民党河野総裁か、野中か、さきがけの竹村か、とにかくこれも「風船哲学」が効を奏し、自社双方の内部の反対を封じてしまった。岩見は、小沢代表が風船を限度いっぱいふくらませ、解散と同時に後継者を指名して代表辞任をするという手があることをサジェスチョンする。

 しかし、三木、村山内閣の時とは時代が違う。個人芸で国の代表者を決める時代は過去のものであろう。ここ3代続いて国会選挙の洗礼を受けず自民党首相が続いた。しかし森首相が密室協議のもとで決まったという批判から、党代表者はまがりなりにも開かれた選挙で選ぶという習慣が付いている。

 小沢氏が後継指名をするにしても、党内公選は避けられない手続きだろう。それがないとすれば、小沢氏の政治手法とあわせて、自民党ですらなくなった過去の政治体質をひきずった党として国民から見放されてもやむを得ないということになる。

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2009年5月 8日 (金)

民主敗北も視野に

 本ブログは、小沢民主党代表の秘書逮捕を受けて3月4日付けで「小沢辞任しかない」の記事を掲げた。それは、時をおかず辞任することが、小沢氏独特のカリスマ性と政治生命を生かし、民主圧勝をギャランティする道だと思ったからだ。

 次ぎに4月1日付けで「小沢辞任は今月中」をエントリーした。本当は、検察の選挙干渉が取りざたされ、国民の関心がさめやらぬ事件発生直後がよかった。それでも、起訴の内容や自民党関係者への捜索を見極め、後継代表候補のめどをつけ拙速をさけるという理由なら我慢もできた。

 しかし、それもぎりぎり連休前までで、国会が始まる頃には完全に麻生ペースになり民主が解散総選挙の主導権をにぎるのが困難になる。そこで、エープリルフールデーに今月中という予測を立てた。しかし小沢氏は言を左右にするのをやめて最近は開き直り発言も聞かれるようだ。

 過去小沢氏の影武者のように行動を共にし、時にはマスコミ批判の矢面に立って支えてきた恩人の藤井裕久氏や、ニセメール事件など党の危機に際して絶妙な手腕を見せた渡部恒三氏など最高顧問の忠告に対し、「マスコミに向けた老人の繰り言だ」というニューアンスの批判をしたという。

 これまでどうにか保ってきた小沢氏のカリスマ性は、完全になまった。われわれ市民は政治家に直接接触するわけではない。多くのこまぎれ情報から判断するしかない。昨日から始まった国会の論争でも民主党に政局を動かすほどの迫力が一向に感じられなかった。

 小沢辞任もこれからでは遅い。民主党はこのままじり貧状態を続けていくのか。私はぎりぎり比較第一党とか、野党連立でかろうじて過半数などではなく、圧勝しなければ民主党勝利とはいえないと思っている。それは、いずれ政界再編の波からのがれられず、日本の政治が望まざる方向に流されることを心配するからである。

 この責任はひとり小沢代表だけでなく、小沢氏に変わる民主党の顔を擁立できない、あるいは自ら進んで候補を買って出る気概のない党員にもある。双方共に民主党の魅力をそいでいるとしかいえない。これで選挙に敗北するようでは、自民・公明をふくめたガラガラポンを本当に模索しなければならないような場面がくるかも知れない。

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2009年4月27日 (月)

「議員=職業」の誤謬

 先週金曜日に「世襲禁止は差別で愚策」というエントリーをあげた。日曜日のニュースを扱うワイドショーもこの問題で花ざかりであった。全部を見たわけではないが、最初から「世襲」に批判的な編集になっており、わずかに現世襲議員等の間で「憲法が保障する職業選択の自由に反する」というような意見が紹介されていた。

 ちょっと待ってほしい。本ブログが上げた憲法第十三条[個人の尊重]や、第四十四条[国会議員及び選挙人の資格]には触れず、本ブログが指摘していない第二十二条[居住・移転・職業選択の自由、外国移住・国籍離脱の自由]を上げている人やマスコミは、日本語を知らないか、憲法をよく勉強していないのではないか。

 議員に、職務や職権や職責があり、失職もするがそれ自体が職業ではない。なっとくのできない人は『広辞苑』を見てほしい。

 しょく-ぎょう【職業】[史記孔子世家]日常従事する業務。生計を立てるための仕事。生業。なりわい。(以下略)

 議員は、職業安定所(ハローワーク)で紹介されてなるものではない。選挙を経て国民から推されてなるものだ。地方議員なら歳費だけで生計が立てられず本来の職業を捨てられない人もいる。議員を金儲けの手段、割の合う業=なりわいだと思うから、そんな取り違いが出てくるのではないか。

 昔は「井戸、塀」といって、議員になると志のために私財を使い果たし、井戸と塀しか残らないと言われたものだ。「職業選択の自由」なとを持ち出して、てんと恥じない程度の候補は、世襲でなくても制限したくなる。

 重ねていう。民主党は、日本国憲法の趣旨を尊重し、自民党の画策する改憲指向に反対のマニフェストが作れるような党内体制を採れないようでは、自民との体質の違いがいつまでたっても鮮明にならず、自民党に政策をパクられて終わりになるだろう。「世襲制限」は次元の低い姑息の手段だ。

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2009年4月24日 (金)

世襲禁止は差別で愚策

 国会議員の候補者から世襲候補を閉め出すという計画が進んでいる。民主党は岡田克哉氏が中心になってマニフェスト化する方向で、自民党も菅義偉氏が導入に積極的になっているという。政党が公認候補の選定基準にするのは勝手だが、今の小選挙区制のもとで両党から世襲に当たる候補が排除されれば、政治信条を無視しても小政党の候補になるか無所属で立候補する以外になくなる。

 そうすると、候補者だけでなく有権者も選挙の自由を奪われ、仮に世襲議員として当選しても政治活動は大幅に制限される。これは、法制化されなくてもあきらかな憲法違反の社会的差別である。

日本国憲法----------
第十三条[個人の尊重]すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

第十四条[法の下の平等、貴族制度の禁止、栄転の授与]すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

第四十四条[国会議員及び選挙人の資格]両議員の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない。
--------------------

 そもそも、世襲のどこがいけないのか明示されていない。いろいろな事件や政治行動に関連して「あれも世襲、これも世襲」といった、マスコミが作り上げた「貴種に対するやっかみ」に過ぎないのではないか。

 選挙の際に必要な地盤・かばん・看板の看板に頼ってでてくるから苦労がたりない?。そんなのは今をさかりのタレント候補の方がもっと大きな看板を背負って出てくるではないか。それも排除するのでなければ理由にならない。

 たしかに、世襲といわれたここ4代続いた首相に多くの問題があり、不祥事で辞任した大臣もいる。しかしそれと世襲のどこに本質的な関係があるというのだろう。逆に選挙で無理をしなくてもいいから、小手先の利益誘導より国家的な政策に取り組める、政治に対する関心、知識が幼少時からインプットされており、政治を志す有能な人もいる、などの利点もあるはずだ。

 要は、世襲ではなく人物が問題なのだ。上記の違憲問題を含めて両党の推進者はそれをどう考えるのか。またマスコミも選挙目当てか、と言う程度で正面からこれを批判しないのはどうしてか。有名人の看板だけにひかれ、政策や経歴も吟味せず投票する選挙民に一番問題があるのは確かだ。

 こういったことに、正面から取り組み、改憲を画策し基本的人権を軽視する自民党を攻撃するのが民主党の役目ではないか。そこいらを党内意見がまとまらないからといって、世襲禁止などという愚策を公約にかかけるようなことでどこまで国民の目がとらえられるか、大いに疑問である。直ちに取り下げてほしい。

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2009年4月18日 (土)

見放された北朝鮮

 韓国の有力紙「朝鮮日報」電子版に北のミサイル発射に関する次のようなコラムが載っていた。すこし前に「北朝鮮の虚言症」という記事を書いたが、国際的な反応として相通ずるものを感じ興味を覚えた。

 それは米国の民主党に強い影響力を持つブルッキングス研究所の朴善源研究員(Brookings Institution,Dr Sun-won Park)が、同研究所のホームページに発表した報告「平壌がまたも失敗、北朝鮮による3回目のミサイル発射と金正日の読み違い」を紹介したものである。

 この朴研究員の前歴がものすごい。前・盧武鉉政権では、統一外交安保戦略秘書官という地位にあった。つまり金大中政権以降続いた「太陽政策」を実現させるため、北朝鮮とコミットし関係を緊密にする役柄である。

 氏は1960年代生まれで、韓国では「反米運動第1世代」といわれ、ソウルの米国文化院占拠事件で身柄を拘束された体験も持つ。また、近くはマカオの銀行の金融制裁を解除するため、米政府とわたりあいブッシュ政権の関係者から「忌避すべき人物」との烙印まで押されたという。

 その朴氏は、まず、「オバマ政権はブッシュ政権とは異なり、米中首脳会談にも意欲的で、新たな関係の始まりに向けて北朝鮮に手をさしのべていた」のにもかかわらず、これを軽視し、安保理の議長声明に「待ってました」とばかり強硬な対応するに至ったのは、失敗だとしている。

 それは、日、韓、米が北朝鮮問題について強い連帯感を持つようになったこと、これまで国際社会の中で後ろ盾になって支えてきた中国とロシアに疑念を生じさせたことであり、核開発を続け6カ国協議を破棄するような道をとれば、「北朝鮮は永遠に不良国家として存続する以外にない」と結論づけている。

 身勝手な金正日時代がいつまでも続くはずがない。しかし今までのように東アジアに余計な不安材料を増産し、自滅への道をひた走るような愚を誰が是正するのだろうか。それとも、1951年に父・金日成が失敗した北主導の朝鮮統一をいまだに夢見ているのだろうか。

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2009年4月16日 (木)

続・社民党に与う

 海賊法案に対する社民党の対応が毎日新聞にでていた。以下は同党幹部の発言内容である。

・日森文尋国対委員長・「民主案は与党案よりもずっと中身がいい。しかし、自衛隊が出ることには(党内に)伝統的な(反対)意見もある」

・福島瑞穂党首・「政府案には大反対。それを修正してどうなるか」

 過去には、土井委員長の「駄目なものは駄目」という有名なせりふがある。当塾としてなにか記事にしたいと思ったが、どう考えてもため息がでるばかり。そこで、手抜きで気がひけるが、前の記事に飛んでいただいてお茶をにごす。

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2009年4月15日 (水)

北朝鮮の虚言症

 安保理の議長声明に対して、北朝鮮は「6カ国協議は不要」とする強硬な姿勢で反応した。すべて想定内のようで想定外のことが一つある。それは、「非難」の文字が入るなど、議長声明が日本政府も満足するほど強硬なものになったことである。

 朝日新聞などはこれを日本外交の勝利などと説くが、そうではあるまい。ロシアや中国が議長声明案に歩み寄ったのは、北朝鮮が「人工衛星を軌道に乗せた」という子供だましの嘘を公然と世界にまき散らすなど、両国の面目に配慮を欠いた北の虚言症に愛想をつかしたからであろう。

 両国とも、打ち上げ前は人工衛星説をかげながら支持する立場だった。本塾も、その可能性は前回と違って事前の通告をしたことなどからあり得ると見ていた。前にも繰り返しているが、そうだとしても弾道ミサイルと技術開発では共通することには違いない。

 北朝鮮は衛星の楕円軌道の距離や、発信電波の周波数まで公表、国内向けには、受信将軍賛歌の録音なるものを流した。だけど世界ではロシアをはじめそれを検証できたという情報はない。軌道追跡などという高度な装置でなくても、地上に届く電波は、アンテナと受信器さえあれば誰でにでも確認ができる。

 外交のかけひきで国家が嘘をついたり、情報操作を駆使するのは当然で、場合によっては国運をかけた激しいやりとりになる。それを一般人がどこまで本当か嘘かを見極めることは、まことに困難である。ところがこの件は、本人以外にだれも証明する人がいない。北は見え透いた単純な嘘を天下にさらさし、世界と自国の人民を愚弄した。中国・ロシアが「それと同類と見られたらたまらない」という気になるのは当然だろう。

 仮に、北が「衛星の切り離しに失敗しました。今後できたら各国の協力を得て成功させ、平和に貢献したい」という声明でもだしていたらどうなるだろう。日本とアメリカがその裏を疑ったとしても、安保理に上げることさえ困難だったかも知れない。

 北朝鮮がこのような嘘を平気で流し続けるようなら、いずれ世界の人民に見放され、信頼を失う。「軍事・経済ともに世界の最盛強大国になる」などの目標は、その逆はあり得ても絵空事にすぎないことを知ることになるだろう。かといって、日本政府が脅威論と制裁一本槍で対応を人任せにしたまま、交渉の糸口にさえたどり着けないというのも、まことに芸のないことだ。

・関連過去記事
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_1e43.html
 

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2009年4月 1日 (水)

小沢辞任は今月中

 今日はエープリル・フール・デー、当たらなくとも責任は負いません(^^)。

 西松建設関係で小沢民主党代表の秘書逮捕が報じられてひと月近くになる。当ブログでは、当時解散に向けた野党の攻勢が弱体化することと、民主党支持者の信頼を裏切ることになることを理由に、小沢代表の即刻辞任を主張した。

 それ以来、事態は何ら進展を見せず硬直状態に陥っている。検察の強引さ不公平さもすでに公然化しているが、民主党の支持率低下という事実はくつがえしようがない。それは将来最高裁判決で無罪になっても同じである。

 検察と闘いたい気持ちはわかるが、政権を取ってから人事で報復するなどという無茶なことは、未開国でなければできない。「泣く子と地頭には勝てない」、そこらのことは、小沢代表が一番よく知っているはずである。またこのまま長引けば、民主党が追いつめられることについても同様である。

 私は前から、小沢代表がそう遠くない時期に辞任するという気がしていた。それはかねてから、「総理大臣をつとめる柄ではない」というそぶりをうががわせていたからでもある。小沢代表は、民主党にとって(選挙を有利にするための)辞任の時期を慎重にはかっているに違いない。

 それは、麻生総理と「暗黒の孤独」の中で続く凄絶な葛藤である。来月の与党の補正予算提出前後が山場になるが、「小沢辞任が当然」と思われてからでは遅い。仮に「時期はよし」ということで首相が解散に踏み切ってからの辞任であれば、民主党は総選挙の行われる40日以内に新代表を選出しなければならない。

 こんなことは、事実上不可能に近く、結局小沢、麻生の戦いにならざるをえない。麻生おろしが不発となりそうなので、これが自民党にとって最善の戦い方になる。ちなみに、解散されれば衆議院議員は失職する。そのため自民も民主もこの間に選挙で新党首を選ぶには、現行の党首選挙規定を変える必要がある。

 そうすると、小沢に変わるべき候補にあらかじめ狙いをつけ、もっとも党内に混乱を起こさず、選挙に有利な体勢を築くとすれば今月中しかないことになる。その後麻生首相が解散権を行使せず、60日条項で補正予算を通過させても、景気が劇的に改善されるというようなことのない限り、自民有利の場面は見られないだろう。

 なお、民主党で今全く名前がでてこない人がいる。党籍を離脱している江田参議院議長と横路衆議院副議長である。ともに1941年生まれで議長を花道にするにはまだ若すぎる。ことに横路氏は、小沢代表と安全保証3原則を確認しあい小沢氏を支えてきた間柄である。また、ご本人もやる気満々であることを講演を聴いて知った。解散で党に復帰すれば、一方の旗頭になれる人である。以下、小沢氏との合意3原則をあげておく。

 日本国憲法の理念である平和主義・国際協調主義に基づき、我が国の平和と安全、独立を確保するため、安全保障は以下の原則により行う。

(1) 自衛隊は憲法9条の理念に基づき専守防衛に徹する
 日本が武力による急迫不正の侵害を受けた場合およびそのまま放置すれば侵害を受ける蓋然性が極めて高い場合に限り、国民の生命および財産を守るため、武力による阻止または反撃を行うものとし、それ以外の場合には、個別的であれ集団的であれ、自衛権の名の下に武力による威嚇または武力の行使は一切行わない。

(2) 地域安全保障体制の確立
 日本およびアジア太平洋地域の平和と安定のため、日米安全保障体制は引き続き堅持する。さらに日本を巡る北東および東南アジアの平和的国際環境を醸成し発展させるため、当該地域諸国(米国を含む)からなる協議・協調の機構設立を目指す。

(3) 国際平和協力は国連を中心に行う
 国連を中心に世界の平和・安全を確保するために日本として積極的に貢献する。そのために自衛隊とは別組織の国連待機部隊を新たに創出する。国連の決議等によって要請された行動にその部隊を直ちに派遣し、国権の発動とならないよう、指揮権を放棄し国連に委ねる。

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2009年3月31日 (火)

双六の上手

 以前、「友とするに悪きもの」という『徒然草』の一段を、麻生総理のお友達、中川昭一前外相についての警句としてエントリーした。最近でもときどき検索でそこへお見えになる方があるので、その続編という意味からこの一段をつけ加える。

 今度は別に麻生総理に限っていない。もう一人の対抗馬・野党の大物の方にも当てはまりそうだ。とはいうものの牽強付会、我田引水にならないよう、このへんでやめておこう。

 双六(すごろく)の上手と言ひし人に、その手立てを問ひはべりしかば、『勝たんとうつべからず、負けじとうつべきなり。いずれの手か、とく負けぬべきと案じて、その手を使わずして、一目なりとも遅く負くべき手につくべし』と言ふ。道を知れる教へ、身を修め国を保たん道も亦しかなり

 『徒然草』第百十段。なお、碁の方にも「勝とう勝とうは負けるのもと」という教訓がある。

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2009年3月26日 (木)

北朝鮮挑発の愚

 北朝鮮が人工衛星と称するものの発射がほぼ1週間後に迫っている。政府が相手側に自制をうながすのも、万一にそなえてMD(ミサイル防衛システム)の点検や配備を準備するのはいいだろう。しかし、それを「破壊命令」などという刺激的な言葉で、国民に伝達しようとすることに政府の不純な意図がうかがえる。

 それが、「日本は国際的に認められている人工衛星発射を妨害し破壊を計っている」という北朝鮮の国内体制強化に格好な宣伝材料を与えることになる。そしてさらに、日本の北朝鮮脅威感情をあおるという形ではねかえり、総選挙を前にして政府自民党支持にプラスするというものだ。

 国民の不安を解消するため、というが、その不安はこれまでむしろ政府が助長してきたのではないか。万一故障で軌道が狂い日本に落下したら、というケースを想定しているが、正常に機能しているミサイルでさえ破壊できる確率が限られているのに、不測のコースをたどる落下物を捕捉するすることなど、政府高官が言うように不可能である。

 秘密好きの防衛当局や官邸が、なぜ攻撃命令の手続きを公表しなければならないのか。本来は最高の軍事機密であってしかるべきであり、公表する義務はない。しかし、この際MDシステムをPRすることと、文民統制を印象づけたいということのようである。

 麻生内閣独特の戦略目標を欠いたご都合主義以外の何ものでもない。MDシステムはまだ開発途中にありこの先も見通せないほど高額な開発費が必要とされる。そういったことを含め克明に国民に説明するのは、為政者の当然の義務である。また文民統制は田母神発言などが再発しないよう徹底が必要である。

 一般的に防衛政策の周知を計り、安保を含めた防衛体制をよりガラス張りにすることは必要である。当然アメリカからの大きな妨害はあるであろう。軍事同盟を組むからには、守らなければならない秘密があるのは当然である。それには、日本国憲法に抵触する内容を含まないという前提が必要だ。

 話が横道にそれたが、軍事行動上の手続きであろうと、装備の開発内容や配置のあり方であろうと、日頃国民に対する懇切な説明と公開が必要である。それは繰り返しになるが、憲法第2章のもとでの防衛体制であることがその根拠であり、他国の軍隊との相違点である。

 以上の公開は、かりそめにも他国との緊張関係に便乗して行うべき性格の話ではない。悲しいかな、国民の大多数はマンガやゲームの戦争しか知らない世代になりつつある。政治家は国会論議を通じて、マスメディアはそれぞれの機能を生かして、良識ある論議を日常くり広げてほしいものだ。

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2009年3月25日 (水)

猪、鼠に変身(小沢代表)

 昨日(25日)小沢代表は、秘書の起訴を受けて記者会見した。自らの進退について「国民の皆様のご意向によって……」と言い、自ら判断しないことの言い訳とした。涙までにじませ、これまで国民に印象づけられてきた豪腕、壊しやぶりはどこえやら、濡れネズミのようなみじめな姿を見せてしまった。

 これではとても自公から政権を奪取し、明るい前途をになう総理大臣の力強さを感じさせる顔ではない。民主党に進んで投票しようという意欲も半減してしまう。小沢代表に元気がないのは「国民の皆様」の意向ではなく、党内の事なかれ主義に支えられているからだ。

 今日の各新聞の社説は、次の見出しのように珍しく一致して続投に疑問を呈した。

日経:小沢氏続投は有権者の理解得られるか
産経:公設秘書起訴 小沢氏続投は通らない
毎日:小沢氏秘書起訴 代表続投は説得力に欠ける
読売:公設秘書起訴 小沢代表続投後のイバラの道
朝日:西松献金事件―小沢代表は身を引くべきだ
中日:小沢民主党 けじめのつけ時誤るな

 その中で、はっきりと辞任を迫っているのは朝日と中日、それになぜか産経である。産経は自民を擁護するなら、自民党内にある「小沢留任の方が戦いやすい」という声に従うべきであった。各新聞が歩調を揃えているのは、すでに世論調査で小沢不信の結論が出ているからである。

 国民は、検察の強引さや不公平なやりくちの方にも目を向けている。民主党はそういった反応をもって、同党へのダメージが緩和されていると判断したのではないか。もしそうなら政治のプロとして甚だ甘いと言わざるを得ない。

 当塾は、事件報道直後から小沢辞任を主張した。検察が手出ししたからにはあくまでも然るべき成果を得るまで手をゆるめない。今後も、ゼネコンや小沢周辺から出る情報を操作し、民主党をじり貧に追い込むことも不可能ではない。

 民主党には有力な後継候補がいない、というプロの見立てがある。しかし、一般国民にその責任はない。あくまでも党内で「国民に納得が得られる」党の顔を選ぶべきだ。国民が納得する人材とは、自民の亜流でなく、違いをはっきり出せる人、党内結束が図れる人、バランスある国際感覚の持ち主ということであろうか。

 それが難しいようなら、小泉・安倍路線への回帰がない条件での大連立でも仕方がない。いずれにしても国民は現在の閉塞状態にはあきあきしているのだ。

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2009年3月21日 (土)

政治の閉塞感

 日本の政治は完全に行き詰まった。日々ブログの政治テーマを探すが、なにもかも中途半端で方向感が定まらず、取りあげる意欲も湧いてこない。こんなことって過去にあっただろうか。また、その理由は何によるものだろうか。

 今日21日の毎日新聞コラムに、岩見隆夫が「無力で、矮小な政治」という題をつけた。実は本稿でも似たような題を考えていたが、短い方が好みなので上記に落ち着いた。岩見は、最後を「異常が極まった。来週、どんな区切りがつくのだろうか」で締めくくっている。

 来週というのは、24日火曜日のことで、小沢民主党代表の大久保秘書拘置期限が切れ、起訴されるか再逮捕されるか、あるいは不起訴になるかによって、小沢代表がどういう決断をするかを注目しようということだ。

 キャリアを積んだジャーナリストすらわからないことに、素人が予断できるはずがない。しかしここに来て検察リークと思われる情報が湯水のように流され続けている。しかも、小沢代表に事情聴取すだけの証拠が揃わないとか、西松建設が受注を妨害されるのを防ぐためといった、検察側にとって不利な内容ばかりである。

 これはどう見ても不可解極まることで、仮にここで検察が矛を収めるようなことがあれば政策捜査を証明するようなことになり、前代未聞の汚点を残してしまう。検察は中味に問題があるにしても、建前はあくまでも正義の味方でなくてはならないのだ。

 逮捕しておきながら、証拠のないまま捜査終結という結末はあり得ない、という観点から、秘書逮捕のあと当塾は、直ちに代表を辞任するよう主張した。理由は3つある。まず、たとえ法に触れることがないにしろ田中派以来の金権体質を温存していたこと、それがもろもろの政策にも反映し、最近聞かされていた独自の外交政策なども打ち上げ花火以上のものではなく、変わり映えしないという不信感を招いたことである。

 そして、検察のねらいどおりに捜査が進めば、民主有利の状況が再逆転し自民に機会を与えかねないからである。したがって秘書逮捕を奇禍とし、間髪を入れずに自民党がなしえない新党首を選ぶことであった。それで、国民に清新かつ国政の閉塞感を打破する希望を持たせられれば、解散追い込みに一挙に拍車がかかったと見たからである。

 最近、自民の中枢から民主党の政策について「現実離れしている」とか「とても政権を担える党でない」などの中傷が盛んにおこなわれている。現実に妥協し、従来方針の継続だけをするなら官僚に任せておけばいいのである。政治家は不要だ。

 このまま、小沢代表が辞任せず(辞任すると検察の捜査がしやすくなるという一面もある)、検察も口をとざし、自民も任期いっぱいの方針を固め、マスコミも日和ってしまうというのが最悪のケースである。任期いっぱいは、自民に不利になるとだけ言われてきたが民主にとっても不利なのである。

 今日は国際問題に触れなかったが、この間も世界のチェンジはめまぐるしく進み、日本はどこからも注目されない、カネだけをせびられ続けるひきこもり国家になってしまうだろう。

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2009年3月18日 (水)

目が離せない北朝鮮

 北朝鮮がアメリカの食料援助を断ったという報道があった。あの国は全く何を考えているのかわからない。弾道ミサイル(人工衛星)発射との関連を取りざたされているが、これも、これまでのやり方とと全く違う。ひもじさを知る世代としては、ただごとではないような気がする。

 打ち上げの時期や方向、そして通信衛星であることまで内外に明らかにした。ここまですれば失敗は許されない。当然衛星であることの証明が必要になる。成功すれば食料などの特配があり、金正日将軍礼賛一色になるのがこれまでのパターンだった。

 食料配給には軍がかかわる。国民に明言した以上、打ち上げに失敗したらどうするのだろう。成功しても外国の援助がなければ特配物資に限りが生ずるだろうし、失敗すれば将軍や軍の面目まるつぶれになる。どうやら、一発勝負でなにか大きな賭にでているような気がする。

 後継者選びの権力闘争がからんでいるかも知れないし、金正日の健康問題もあるかも知れない。日本が一番恐れなくてはならないのはテポドン打ち上げではない。北朝鮮の政治的混乱である。日本人の中には、金正日など早く死ねばいい、北朝鮮が内乱になればいいなどと思っている人がいると思う。

 とんでもないことである。核兵器やミサイルの管理がどうなるかわからない。はねあがり分子が手にしてそれを利用するかもしれない。また、拉致された人の安全が脅かされる危険もある。今でも充分危険であるが、それでも最低限度体制維持の至上命令のもとにある。

 やはり、諸外国のようにねばり強く交渉の場に引き出し、改革開放政策の進展を促しながら、軍事力依存や大量の難民発生で周辺国を危険にさらすようなことをさけるしかない。遠回りのようだが、そうしないと特定の国の介入を招いたり、東アジアに不毛の摩擦の種を残すことになりかねない。

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2009年3月12日 (木)

どこまで続く政治不在

 政治不信は通りこした。もう、政治不在と言っていい時代が続く。これで社会が崩壊しないのが不思議なくらいだ。漆間官房副長官の、小沢民主党代表秘書逮捕に対する指揮権発動的な発言に関する報道も、水が引くように沈静化した。

 メモもない。録音もない。だからそのように言った記憶はない。……これに対して、公的立場にある人(新聞記者)の一致する証言(記事)が多くある。それを証拠に起訴に持ち込める。普通なら、これは検察が考える筋道である。

 ところが、国民にとって正義の味方の象徴であるべき検察庁のトップを勤めた人が全く逆の立場にいる。つまり、明白なウソの発言を国会などで公言し、それをぶざま詭弁で取り繕っている。野党から、証人喚問の声があがっていたようだが、それを実現させる迫力は果たしてあるのか。

 ここ連日、マスコミをにぎわしているのは、拉致被害者家族と元・北朝鮮スパイ金賢姫の釜山における会見である。確かに涙をさそう感激の場面をメディアに提供した。韓国政府に実現を働きかけてきた政府・自民党は、これで人気回復がはかれるとはしゃいでいるそうだ。

 しかし、そうはならないだろう。ひっそりと謹慎生活を送っている金賢姫にこんなことまで言われている。「日本政府のこれまでの取り組みをみていて、北の自尊心を傷つけないようにしながら、心を動かす方法を考えるべきではないかと感じた。努力すれば奇跡も起きる」(共同)。

 それに対する麻生首相の反応は、「留守家族の高齢化は進んでいる。ゆっくり取り組んでいる余裕はない」である。青い短冊形バッジをつけることと、他国にお願いしまくることで、自分で糸口をつかむ努力をしなければ結果が出るわけがない。そんなことで人気を高めるほど国民は愚かだと思わない。

 金賢姫の日本政府に対する忠告はもっともで、当塾のエントリー「北朝鮮敵視社説に異議」でも指摘していたことた。毎回のことで恐縮だが、最近の日本に、どんな主体的な外交があるのだろうか。つまり慢性的な外交不在、政治不在である。慨嘆の日々はいつまで続くのだろうか。

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2009年3月10日 (火)

北朝鮮敵視社説に異議

 「他紙はともかく朝日新聞、毎日新聞までが、北朝鮮嫌悪、バッシングの雰囲気あふれる社説を書いている。中国やロシアが北朝鮮に理解ある態度を取ろうとしているのは、理の当然だ」という批判を、当の毎日新聞に堂々と披瀝した人がいる。

 拉致被害者一部帰国以来、わが国は北朝鮮不信、蔑視、制裁強硬論一色に覆われた。そしてそのような風潮を増幅するような報道はされても、水を差すような論調を新聞紙上に見いだすことはできなかった。それは、「拉致被害者家族の心情をさかなでするもの」という批判をおそれてのことと思われる。

 それをおして勇気ある論陣を張ったのは、元外交官で広島市立大学広島平和研究所長の浅井基文である。問題としているのは、「同国が準備を進めているミサイル発射計画は、同国が主張する通信衛星打ち上げロケットであったにしても認められない」という、強い非難を込めた両紙の社説についてである。

 両紙は根拠として、安保理決議1718が北朝鮮に対して「弾道ミサイル計画に関連するすべての活動」停止を求めていることを上げる。しかし一方には「宇宙条約」があり、「すべての国がいかなる種類の差別もなく・・・自由に探査し及び利用することができる」のである。わが国をはじめ、各国は宇宙利用を当然の権利として享受していると指摘する。

 ロケット打ち上げとその制御がミサイル発射技術に共通するものであることは、否定しようがない。アメリカでも前回、「ごく小型の衛星を打ち上げようとして失敗した」という観測があった。同国が衛星打ち上げだといっているのに、一部の軍事筋が迎撃撃墜するなどといきまき、北朝鮮が、即宣戦布告で反撃すると反応するなど、平和にとって何の実利ももたらさないという考えである。

 ついでに、前にも触れたことがあるように記憶しているが、北朝鮮に関する私見をつけくわえておく。まず、北朝鮮は日本を戦争の重要な相手国と位置づけていた事である。現在、「えっ?戦争などしたことないよ」と思うだろう。

 しかし、金正日の父金日成は、朝鮮が日本の領土だった時代からソ連や国境山岳地帯を根拠とする対日バルチザンとして日本軍を相手に戦闘を続けてきた……(とされているが実は神話・伝説の類らしい)。その後ソ連軍の一員として終戦直前、日本軍掃討作戦に加わったことはあり得る。こういった金日成の生い立ちは同国存立の基礎に位置づけられている。

 したがって、日本との戦争は朝鮮戦争までずーっとつながっているのである。この戦争はアメリカ・韓国を相手に戦ったわけだが、米軍は日本の基地から発進しており、日本は後方支援・軍需物資供給を受け持って特需にわき戦後復興の基礎を築いた。そして、海上保安庁が米軍上陸作戦のため掃海任務を引き受け、戦死者まで出しているのだ。

 だから立派な戦争当事者といわなければならない。それならば、韓国各地に送り出したように工作員を潜入させたりスパイ工作に必要な人を拉致したりすることは、戦争行為として許されることになる。韓国もそのようなことをしていただろうから、日本のような反応は見られない。

 しかし、子供を含む拉致や工作船の不法行為など、国交回復をしていないとはいえ、戦闘行為がなくなってからもそれを続けていたことは合理化できない。その点について金正日は「詫び」を入れたのだ。これは同国のように首脳の権威で団結を維持させる国にとっては、よほどのことと思わなければならない。

 私は、北朝鮮の恫喝外交とか数ある不法行為を弁護する気は全くない。弱い犬ほどよく吠えるの類だ。本当は独裁体制を維持したまま、他国との交易や援助で国民生活の改善をはかりたいはずである。そこを見極めてやたらに制裁強化を叫ぶだけでなく、関係改善の糸口をさぐるべきである。

 その糸口を、米・中・ロは辛抱強くさぐっている。各国は日本の要望に無関心で妥協を急いでいるのではなく、解決に向けた外交テクニックに道を閉ざさないようにしているのである。これまでのようにアメリカに強硬策を頼むだけでは、拉致問題解決の前進をたぐりよせる手がかりにはならない。

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2009年3月 8日 (日)

タリバンの敵国になるな

 共同電によると、日本のアフガン支援の一環として、日本政府がODAから141億円を拠出し、8月に予定されているアフガン大統領選終了までの約半年間、全警官8万2000人の給与を負担することを、日米の関係筋が明らかにしたと伝えている。

 とんでもないことだと思う。現地市民の感情はどうなのか、日本の関係NGOはどう考えているのか、さらに現在事実上各地で支配権を持つタリバンとはルートがあるのか。アメリカがタリバンの敵であることははっきりしている。

 アメリカが9.11テロの首謀者としてビンラディンを指名手配し、潜伏先のアフガンに容疑者引き渡しを要求したのがアフガン戦争の動機だ。そして当時のタリバン政権が熟慮の末、宗教指導者オマルが下した決断で「客人をもてなすムスリムの伝統に反する」ということからこれを拒否した。

 一方アフガンの人々は、ソ連が同国に侵入した際、サウジアラビア出身のゲリラ戦指導者・ビンラディンとその配下アルカイダをアメリカが支援したことを知っている。それでようやく独立国としての体面を保つことができたのに、こんどはアメリカの言うことを聞かないとボコボコにするぞと脅してきた。

 ビンラディンやアルカイダを逮捕しなければ、というアメリカの気持ちはわかるが、両方とも現在はパキスタンの国境地帯に潜伏しているという。それならタリバンを敵とする理由が失なわれたと同様だ。しかし、すでに大勢の米兵をタリバンとの戦闘で失っており、タリバンの存在すら認めたくないという気持ちだろう。

 そこに、アフガンの大統領選がやってくる。もし、伝えられる通りの実勢なら、タリバン出身の候補者が当選するかもしれない。アメリカご推薦の民主的選挙で、イラクでもパレスチナでも気に入らない勢力の方が選挙に勝ってしまった。その愚を犯さないためにはあらゆる手を考えるだろう。

 選挙前の警官の給料を持つなど、最も露骨な選挙介入である。その汚れ役を日本に負わせようという魂胆だろう。どっちが勝つにしろ「あの選挙は日本に雇われた警官が妨害した」と言われる。アフガンの駐日大使は、日本にアフガン派兵は求めないと言っていた。

 その一方で民政援助資金の拠出を望んでいるが、警官の給与負担は民生援助ではない。タリバンは日本に好意的な心情をもっているといわれるが、この一事でアメリカと同一視され、まだ「手の汚れていない」とみなされる日本の平和外交の手をしばることになるだろう。アメリカの言いなりになるのは、いいかげんにしてほしい。

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2009年3月 6日 (金)

“しきたり”と小沢代表

 「しきたり」は、2字熟語にすると「慣例」である。漢字では「仕来たり」とか、「為来たり」と書くようだ。しかしこの言葉の語感は、「それが賭場のしきたり」とか「やくざのしきたり」というふうに使うとピッタリくる。

 西松建設の迂回献金にかかわる民主党・小沢代表の記者会見の発言を聞いていてそんな言葉を思い出した。お断りして置くが、小沢代表がやくざなどという気はもうとうない。世間では、ばくちはよくないことという常識があるのに、「お上のお定め(しきたり)どおりでやっている。ちっとも悪くない」と言っているように聞こえるということだ。

 「今までおとがめがなかったのに、お代官のお調べは怪しからん」と息巻いても、庶民は喝采してみようがない。もう一つある。憲法の前文にある「平和を愛する諸国民」というのは、国連のことで、自衛隊を国連の親衛隊として海外派兵するのなら合憲、とするものである。

 そんな「しきたり」はないが、小沢氏は「学説がある」と言う。つまり都合のいい「しきたり」を採用して、これが正道だと主張する。一見、論理的に説明しているようだが、世間の常識にそぐわなくても気にしない。

 訥々とした語り口にかかわらず、こういった点が「豪腕」とか「強引」という小沢評を定着させたのではないか。彼が政治家になったのは40年も前、佐藤栄作首相の時代である。外交・安保政策であろうと、政治倫理のことであろうと、解釈基準が変化するのは当然である。

 民主党代表就任の際「ボクは変わる」と言ったそうだ。また、自著『小沢主義』では、「変わらずに生き残るには、みずから変わらねばならない」としている。しかし、そう言い続けることも彼の「しきたり」のひとつで、民主党が生き残るためために、彼自身が変る必要を認めていない。

 記者会見での説明や受け答えは、地元紙を含めて小沢代表に味方をしていない。このさき、ますます防戦一方の長丁場になるだろう。民主党にとって不幸なことは、変わるべき小沢代表が、モットーや期待に反して変わらないことと、党に対する不信感を増幅したことである。

 そうして、日本人に対して不幸なことは、政治不信を払拭するには、手垢のついた自公政権から野党に政権を交替させるしかないという期待感を裏切ったことと、民主主義に大きな後退をもたらす危険性があるということである。これからでも遅くない。直ちに仕切直しをしてほしい。

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2009年3月 4日 (水)

小沢辞任しかない

 西松建設関連の政治献金問題で、小沢民主党代表の政治団体が摘発された。今日これから小沢代表の会見が予定されているが、それをチェックする時間がないことと、前回、前々回と民主党関連の記事だったことから、急遽この記事をあげる。

 「なぜこの時期に」という疑問は、当然起きる。民主党およびその支持者を中心に「政策捜査」という小さな声も聞こえてくる。それほどピッタリ、「今しかない」というタイミングなのだ。伝えられているところによると、小沢代表は相当強気でいるようだが、闘争は、代表辞任のあとにしていただきたいと申し上げたい。

 仮に、政策捜査であり陰謀だったとしよう。また、小沢代表に罪の意識がなかったとしよう。しかし違法である企業の政治献金が小沢陣営に渡ったという事実は否定しようがない。こういった例は過去にいくつもある。

 要するに政権をねらう野党党首として、脇が甘かったということである。「秘書が……」では通用しないことも知っているはずである。そして、田中金脈以来のDNAを精算しきれなかった惰性が問われているのである。

 小沢代表の任務は、本人がたびたび披瀝しているように、総選挙に勝つことである。それならば、いさぎよく即辞任して、自民党に遅れをとらず、新代表で総選挙を戦うことである。もしそのまま居座るようなことがあれば、自党の支持率は確実に自民を下回るであろう。

 なにより恐れるのは、昭和初期の昔なら軍事クーデターを起こしかねないような政治不信が蔓延することと、経済を奈落の底に突き落とすことである。その責任を小沢代表が負うような選択だけはしないでほしい。また民主党幹部にはそれを忠言する良識を持って欲しい。 

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2009年3月 3日 (火)

社民党に与う

 先月末開かれた社民党の全国代表者会議で、民主党との連立に反対意見が相次ぎ、「せいぜい閣外協力。下手をすると、今度は党がなくなる」という声(朝日新聞)が続出したという。護憲を重要な柱とする同党からすると、当ブログ(民主党の防衛政策、「小沢安保」を示せ)でも取り上げた小沢発言などとんでもない、ということらしい。

 政権維持に汲々とする自民党の姿は見苦しい。しかし、長期低落に甘んじ日本の政治に影響力を失った現在、なお、党の存続だけを願う党員の方も負けずに見苦しい。すくなくとも自民党には55年体制から脱却しようとする活力があった。

 しかし社民党は、小泉首相が衆院で与党3分の2の勢力を確保し、安倍政権で集団的自衛権や改憲に筋道をつけようとした勢いに対して、なんら有効な手だてを示せなかった。参院選で改憲勢力が3分の2になったら、という危機感も持たなかったのだろうか。

 私は一昨年春、予定されている参院選を前にして、ブログでも有名な同党議員に、同党の候補者がいない選挙区では、護憲を公約する他の議員の推薦か支持をするよう、しかるべき人に取り次いでほしい旨封書でお願いした。

 これに、返事はおろか受け取ったという連絡もなかった。私はかつて労組専従役員の経験があり、党員ではないが同党候補者の選挙活動を手伝い、選挙区内に同党の候補者があれば必ず投票してきた。だが選挙民の期待に応えられない議員や政党には存在価値がない。

 同党には、日米安保を是認し自衛隊の存在に合憲の判断を下した村山元首相が、社会党の衰退をもたらした、という考えが強いらしい。しかし村山談話など彼が残した実績がその後の政府を牽制し、一時極度に悪化した中国・韓国との関係も破綻から守ったということを忘れてはならない。

 社民党が本気で憲法を守ろうとするなら、どうして真剣に民主党とつっこんだ政策論争をしないのか。また、自衛隊や安保条約に対する考え方も、村山首相を否定することだけでどうやって日本の国政を担えるのか。第7艦隊にしろミサイル防衛にしろ核にしろ、口にすることさえけがらわしいという考えを持っていないか。

 社民党に望むのは、3分の1の壁を破れなかった冷戦時代の旧社会党に先祖帰りをすることではない。たとえ議員数がすくなくとも、改憲指向議員を説得できるだけの安保問題の素養を高め、他党の同調者を一人でも多く獲得することではないか。少数で孤独を守るひきこもり党なら、党員が心配するようになくなってしまった方がいい。
 

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2009年2月26日 (木)

民主党の防衛政策

 自民党による「海賊対策新法案」の骨子案が決まった。これに対して民主党はどういう姿勢をとるのだろう。憲法や安全保障問題は党内の意見統一がはかれず、同党の泣き所とされてきた。それとは別に、ここに来て鳩山幹事長や小沢代表の意向が相次いで新聞に報道されていることに注目したい。

 その一つが鳩山氏は英語による講演で、もう一つは小沢氏は非公式の談話らしく詳しいことがわからない。一番詳しいのが「毎日」だが前者については、読売、産経などに記事(ネット検索)が見あたらない。これは、公約となるのかどうか、民主党の変化を示すものかどうか、参考までに末尾にその記事を引用しておく。

 当塾が注目するのは、断片的ではあるが当塾がかねて主張してきた外交・防衛政策に似た表現が出てきたことである。まず、鳩山氏がアジア共同体に言及していることである。これは、政界要人の発言としては、福田元総理、与謝野大臣に次ぐもので、日・中・韓間の連携をもとに、プログラミングの段階に来ているのではないか。

 当ブログに右派の方もよく見えるようだが、「共同体構想」について「大東亜共栄圏」再現などと同一視している向きがある。当ブログのカテゴリ「東アジア共同体」などを参考に、EUの歴史や発展をよく勉強しておいて欲しい。

 次ぎに小沢氏の発言であるが、かつての「国連中心主義」がかげをひそめ、米軍基地の大幅縮小と専守防衛を任務とする自衛隊の再構築(そのために必要なら予算も振り向ける)という点では、当塾にも同様な主張がある。↓ 

反戦・護憲論の行く手2
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-8a9f.html
反戦・護憲論の行く手7
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-b2bd.html
非武装中立の否定
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-6619.html

 森本敏・拓殖大大学院教授が、在日米軍の海兵隊と戦略空軍の駐留が抑止力として必要、といったと言うが、敵前上陸したり長距離爆撃したりする部隊を置いておくのは明らかに憲法違反だ。だからこそ自衛隊が肩代わりできないのだ。抑止力として必要というなら核兵器もOKということになる。

 民主党が世界の新情勢を的確にとらえ、前原氏などの方向転換を確かなものとして新安全保障政策を確立しないと、田母神もと自衛隊幹部ばりの考えに距離を置く自民党内の防衛族に、先を越されることにもなりかねないだろう。 

■ 民主党の鳩山由紀夫幹事長は23日、アジアを中心とする海外投資家を対象に東京都内で開かれたセミナーで英語で講演した。「次期衆院選に勝利し、政権交代を目指す」と述べた上で、日米関係について「米国追従外交から国際協調路線へ明確な転換が必要だ」と表明。「アジア太平洋共同体」の実現を国家の新たな目標にする考えを鮮明にした。

 鳩山氏は「日米関係は何よりも大事な2国間関係だ」と明言。一方で「米国が(軍事面で)間違った行動をとり威信を失わないよう、日本は友人として率直な助言をしなくてはならない」と述べた。「日米同盟重視か国連重視か」の二者択一論を「間違っている」と否定した。【佐藤丈一】(毎日新聞 2009年2月24日 東京朝刊)

■ 日米首脳会談に合わせる形で、民主党の小沢一郎代表は25日、在日米軍削減論を重ねて示し、「対米追随脱却路線」を鮮明に打ち出した。次期衆院選後の政権交代をにらみ、「対等な日米同盟」の具体策として持論を強調したものだが、日本の防衛力強化にも言及。専門家からは「憲法改正が必要になる論法」との指摘が出たほか、野党内に困惑や警戒感が広がった。

 「グローバルな戦略を米国と話し合って役割分担し、日本に関係の深い安全保障面は日本が負担すれば、米軍の役割はそれだけ少なくなる」

 小沢氏は25日、大阪市で記者団に語った。そのうえで「米国のプレゼンスは必要だが、おおむね(米海軍横須賀基地に司令部を置く)第7艦隊の存在で十分だ。米軍が引くことによって日本の防衛に関することは日本が責任を果たせばいい」と改めて指摘した。

 小沢氏に近い民主党関係者によると、在日米軍の役割のうち「日本の防衛」に応分の負担をする分、「極東の安定」は第7艦隊で十分になるという意味だという。

 ただ、森本敏・拓殖大大学院教授(安全保障)は「海軍である第7艦隊だけでは抑止機能の一部しか果たせない」と指摘。「出ていった米軍の肩代わりを日本がするのであれば、再軍備を意味し、憲法改正が必要となる」と語った。

 こうした中、共産党の志位和夫委員長は「軍拡の道を進むことでイコールのパートナーになるのは間違った道だ。日本が軍事的な力を強めれば強めるほど米国は利用する」とけん制。社民党の福島瑞穂党首は「『第7艦隊で十分』の後が『日本でやる』か『基地縮小』かで意味が違う。軍備拡張には反対だ」と戸惑いを見せた。

 民主党の鳩山由紀夫幹事長は東京都内で記者団に「極東において脅威が増大している状況ではないという発想ではないか。日本の軍備増強という発想ではない」と語り、小沢氏の発言への理解を求めた。ただ、その一方で「将来ミサイル防衛網などをしっかり作れば、米国に頼らなくとも専守防衛の中で日本の安全を保てる」という持論も展開した。【渡辺創、古本陽荘】(毎日新聞2月26日東京朝刊)

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2009年2月24日 (火)

身分制

 100年に1度というのが当たっているのかどうかわからないが、数字の上では相当深刻な不景気である。ことに、昨年来報道されている派遣労働者に降りかかる深刻な状況には心が痛む。「派遣切り」など聞くだけで腹が立つ。こういったことは、日本の労働慣行から即刻追放すべきだ。

 日本が戦争に負けて2、3年あとまで、大企業には身分制というのがあった。社員と工員は身分が違った。工員は通常日給月給制(日割りした金額を月1~3回に分けて払う)で、社員の下位におかれた工長とか職長以上にはなれなかった。

 これは、義務教育の小学校卒と月謝が必要な中卒以上の学歴格差で、事務所勤務でも社員に対して雇員という身分の壁があった。そういった身分の差は、多分明治以前の武士とその従卒から来ているのだろう。同じ武士でも越えられない差があるのだ。

 士・農・工・商の士以外は、原則として自活の道をもっており被雇用者ではない。前述の社員・工員は身分に違いはあっても主に対する忠誠は身についており、主はどんな苦しいことがあっても士の生活を守らなければならない道義的責任を負った。

 この身分制は、封建的であるというので占領軍の意向もあって廃止され、全員が「社員」になるのだがしばらくの間は因習が残り、かえって陰険な労務政策がとられる原因にもなった。しかし日本固有の「企業内組合」や終身雇用に見られる一家意識で、派遣切りのような事態は起きにくかった。

 身分制撤廃の功罪は、功の方が圧倒的に多いだろう。日本の高度成長にすくなからぬ貢献をしているはずだ。また、高学歴化によりそれに基ずく差別をつけにくくなった。そこで生まれてきたのが正社員とパートなどの差である。

 成長期には、労働力の流動性を高め機会均等に寄与するメリットがあったかも知れない。しかし、世界同時不況ではたちまちその欠陥を露呈した。モノ・カネ・ヒトを同列に置いた資本の過ちである。かつての身分制以上の差別を労働者に強いることになった。

 グローバル化にひた走ることに専念してきた日本は、こういう時こそヒトにとって何が一番大切かを、スタートに立って考えなおすいい機会だと思う。

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2009年2月23日 (月)

麻生さま!これが最善

 毎日新聞の調査で支持率が11%になりました。党幹部はようやく首の皮一枚が残ったと言ったそうです。「今すく辞めるべきだ」と「予算成立をみて辞めるべきだ」がともに39%という結果で80%近くの国民が退陣を望んでいます。

 このような逆境にめげず、100年来の大不況を乗り切る予算成立のために日々笑顔でご奮闘のお姿、かげながら敬服しております。今日は麻生さまに、歴史に残る名宰相になるための最善の手だてをご提案します。それは、総裁(総理ではありません)の辞表を今日すぐお書きになることです。

 内閣総辞職ならば閣僚全員のサインがいりますがこれならば一人でできること。辞任の理由は、党内が崩壊寸前の混乱をしていることの責任をとるためです。混乱しているのは内閣でも国会でもありません。ここは野党と協力し、国民や各界の意見をまとめて最善・最速の予算をあげることに全力をあげてください。

 そうすればもう党内のいざこざに振り回されたり気を回すことはありません。しかし総裁を空席にしておくわけにいきません。細田幹事長はびっくりした顔で、すぐ後継総裁選挙を準備するでしょう。あなたが国会解散すれば自民党衆院議員の総裁選投票権もなくなるわけですから。急がなければなりません。

 こうしておいて、予算の見通しがついたらあなたの手で堂々と解散権を行使するのです。もしそうしないで内閣総辞職をすれば、4度目のたらい回し人事となるばかりか、後継選挙管理内閣組閣のための人選や、健康を害しておられる天皇陛下に認証式をお願いするなど面倒な手間や時間がかかります。解散だけなら、1通の「御名御璽」を議会に届けていたくだけで済みます。

 そうです。「総総分離」の新バージョンです。しかし『週刊ポスト』がいっている与謝野総理と桝添総裁などのショボイ話ではありません。みんなあなた一人でできることです。細田さんも総選挙や党にとって最善の総裁を選ぶお膳立てをするでしょう。

 あなたが責任を負わなくてもいいのです。そして解散宣言後の40日ほどを、日本国民のために最後の善政をほどこして下さい。本当は自民党が嫌いなのでこんな提案をしたくないのですが、中川泥酔大臣のように忠言する側近もいないようなので、塾頭、非力をかえりみずここにしゃしゃり出ました。
  

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2009年2月21日 (土)

政治家の外交力

 まず、次の二つの引用文を読み比べていただきたい。

■近代に入って、日本は西欧諸国とも外交関係を持つようになったわけだが、明治維新の元勲たちがいた間はよかったが、彼らがいなくなってしまうと途端に「外交音痴」に戻ってしまった。そして、昭和の日本は国際問題を処理することができなくなり、あのような戦争に突入することになってしまったというわけだ。こうした歴史的事情に加えて、戦後半世紀にわたって「思考停止」を続けてきたのだから、今の日本が「外交不在」の国になったのは当然すぎるほど当然の結果とも言える。

■外務大臣というのは外交のスペシャリストである必要とか、世界情勢について敏感に反応できるといったものはあまり必要ではないと思う。貫禄というか。器量があればやっていけるはずだ。頭がいいと思っている官僚は大勢いるのだから、情報収集や分析は官僚に任せておけばいい。自らが外交のスペシャリストであるかは、それと無関係といえる。人間としての器量があれば、おのずと結果はついてくるとおもう。

 上が、小沢一郎の『小沢主義』で、下が『吉本隆明のメディアを疑え』である。私は年齢からすると両者のほぼ中間に位置するが、戦中の社会を知っている点で吉本にやや近い。しかし過去、吉本の作品は読んだことがないし、読んだとしても心に残っているものが何もない。

 例にあげた吉本の意見は、小泉首相が田中真紀子外相を更迭した批判として書かれているので、文学的表現として多少割引くにしても、隠居のたわごとにしか聞こえない。両者とも小泉外交の向米一辺倒を攻撃している点は同じだが、吉本の論述は自己破綻をきたしている。

 その点、日頃このブログで批判的に書くことが多い小沢ではあるが、最近の政治家の無力を説くこの方がまともである。明治の元勲が引退して、そのあと外交の主導権を軍部が握ったいきさつなど、ある程度外交史を勉強していなければ言及できないことだ。

 ここまでいうのだから、本人は「外交音痴」ではないという自信があるということにしておこう。ただし、<戦後半世紀にわたって「思考停止」>だったとはいえないだろう。戦前、軍部独走に抵抗し続けた幣原喜重郎外相は、戦後も総理をつとめて憲法制定に貢献し、吉田茂、岸信介は戦後自立に向けてアメリカに相対した。

 ことに、幣原・吉田は反軍と目され、戦中は生命の危険にもさらされた。そういった先覚政治家を鏡とし、さらに欧米や中国を中心とした外交の推移や機微に通じた政治家でなければ、総理や外相・防衛相、さらに広げるなら経済・財政・金融相などはつとまらない。

 それが余りにもお粗末だというのは、小沢の言うとおりだ。自公連立政権が風前のともし火となり、後継者として高村など外相経験者の名も上がっているが、ブッシュ時代の小泉・安倍外交路線を担当した点では、麻生元外相と同様、とっくに使用期限が切れている。

 小沢民主党内閣ができたら、せめて前述の「外交音痴」でない先輩程度の外交政策を展開して欲しいものだ。

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2009年2月18日 (水)

友とするに悪き者

 今日は、兼好法師『徒然草』第117段、「友とするにわろき者」である。これを取り上げた理由は、失脚した中川昭一大臣が麻生総理にとっての「盟友」という2文字である。今朝見た新聞1紙にすくなくとも5回はでてきた。そこでまず原文を見ていただこう(『徒然草全訳』清水書院より)。

 友とするにわろき者七つあり。一つには高くやんごとなき人、二つには若き人、三つには病なく身強き人、四つには酒を好む人、五つには武く勇める兵(つわもの)、六つには虚言(そらごと)する人、七つには欲深き人。よき友三つあり。一つには物くるる友、二つはくすし、三つには知恵ある友。

 さて、これで見て中川昭一は麻生太郎にとって「よき友」だったのかどうか。『徒然草』の中では読みやすい段だが、チョット注釈を加えてみよう。

 一つ=二世代議士、東大(法)卒、諸大臣歴任。二つ=中川55歳、麻生68歳。三つ=性懲りなく大酒が飲める。四つ=好むどころではない。五つ=極め付きのタカ派。六つ=「口を付けた程度。ゴックンしてない」。七つ=「予算通過までやらせて」。

 と、見てくると全然「友とするにわろき者」の条件に合っているではないか。これだけ揃えば、「よき友」の物くれる友、薬剤師、知恵ある友などは無視してよい。最後の政権の足を引っぱった「わろき者」を「盟友」にしてしまったのが、麻生氏の運の尽きであった。

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2009年2月17日 (火)

政局春一番

 このところ、政治、ことに政局に関するテーマからは遠ざかっている。なぜならば、朝書いた記事が夕方には陳腐なものになり、今日書いた予測が明日には狂うようなことが多いからだ。専門家でもそういったことはありがちだと思うが、ましてや素人が簡単に立ち入る場所ではない。

 しかし、今度こそは本物だろう。中川昭一財務・金融担当大臣が泥酔疑惑会見の責任をとって、新年度予算衆院通過を目途に閣僚辞任するということを、今日(17日)昼頃発表したからだ。現在、予定されていた予算委員会は、「辞める大臣の答弁は聞けない」として、野党が即刻辞任を求めストップしたままだ。

 これに公明党までが同調し、与党も分解寸前といった有様だ。仮に衆院の話し合いがついたとしても、麻生総理は後任を誰にするのだろう。参院の審議も残っている。上程した予算案作成にタッチしていないニューフェースを中川大臣の代わりに持ってくるわけにいかない。

 党内に財務、金融の2閣僚分をこなせるピンチヒッター候補がいればいいが、さもなければ総理が兼任するか、他の閣僚が兼任するかだ。そうなれば3官僚分兼任だ。これでは、もうまともな行政府の体をなしているとはいえない。もはや「話し合い解散」しかないだろう。

 さて、この場合の自民党の対処の仕方である。麻生総理の解散権行使で、そのまま選挙に入れば歴史的惨敗が目に見えている。どうしても選挙前に「勝てる新総裁」を擁立しなければならない。その可能性が唯一あるのが小泉純一郎の復活、「夢よもう一度」である。

 橋下大阪府知事だとか東国原宮崎県知事などの地方区では全国に通用しないし、自民党内でも外様を将軍に据えるようなことはできないだろう。キーポイントは、定額給付金のそもそもの勧進元・公明党である。「3分の2を使って通すような法案でない」とまで小泉に明言され、だまってついていけるのか。

 いままでの公明党は、気の進まない3分の2でもいやいやつきあってきた。政権に食らいついていることが至上命令だったのだ。「ああーそれなのに」という心境だろう。しかし小泉旋風が確かなものならともかく、福田を見捨てて麻生小旋風を期待したのが太田現執行部だ。これほど見事に見通しを誤ったのに、支持団体にとって次の失敗を許せるはずはない。

 内閣支持率が1桁台もあるというように、余りにも民主優勢と差がつきすぎたので、大規模な政界再編は遠のいたのではないか。新聞雑誌にはあまり取り上げられないが、一番気になるのが透明性の欠ける公明党の動きである。

追記 やはり世論の厳しさを受け、夕方になって事態は変わった。中川氏は麻生総理の意向もあって即刻辞表を提出し、後任は与謝野経済財政担当大臣という報道があった。

 現職大臣の兼任だ。担当大臣は竹中氏もごたごたと兼任していたからできなくはないのだろうが、変則的であることには違いない。麻生総理の初志はまた1日にして方向転換のやむなきにいたった。 

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2009年2月12日 (木)

小沢代表のわがまま

 クリントン米国務長官がアジア歴訪の皮切りに、間もなく日本へやってくる。民主党小沢代表に会談を打診していることについてはすでに伝えられていたが、ここに来てどうも小沢代表がしりごみしているらしい。朝日新聞にもそのような感じの報道がされているが、以下、毎日新聞12日(東京朝刊)から引用する。

 党関係者によると、米側からの打診は今月上旬、米大使館関係者を通じてあった。「野党第1党党首と会うのは当然」としているという。米側は17日の会談を希望するが、小沢氏側はクリントン長官と中曽根弘文外相との会談後となることに難色を示し、応じるかどうかを決めていない。
 
 小沢氏は党幹部に「日程が合えば会うが、選挙準備が優先」との意向を示しているという。民主党は昨年7月にまとめた党沖縄ビジョンで、普天間飛行場の県内移設について「県外移転の道を引き続き模索すべきで、戦略環境の変化を踏まえて国外移転を目指す」としている。【渡辺創】

 民主党としては、絶好のチャンスである。来るべき選挙に向けて、、民主党のこれまでの主張がどう評価されているのか、外交を自民党政権からどう「チェンジ」するのかの戦略を探り、政権をとったら早速コンタクトしなければならない要人と顔がつながる絶好のチャンスではないか。

 それを避けようとしている理由として、「中曽根弘文外相より後ではいやだ」とか「選挙準備が優先」などが本当にあるのなら、相手にとってたいへん失礼だし、国民の目からは国益を二の次にしているとしか見えないだろう。

 本当の選挙対策なら、生まれかわるアメリカと日本がどう付き合っていくのか、目をこらしている国民に答えることを最優先しなければならない。地方の支持団体に会うのとどちらが大切か、そんなことをいうのも悲しくなる。

 党内で外交政策が一致していないから、という風聞もあるが、それであれば与党がいう「政権担当能力がない」ということを証明するようなものだ。代表質問を人にまかせたり、国会からエスケープしたり、自分の選挙区を空白にしておいたり、そういった彼のわがままから来ているのかそれでなければ、やはり政権を取っても首相をやる気がないのではないのか、とさえ思う。

 政権交代を心から願っている者としてたいへん残念である。民主党のためだけではなく、日本国民のため、これからでもいい、前向きに会談を実現させることにしてほしい。

以下追加(YOMIURI ONLINE 02/14 11:32配信)

16日に来日するクリントン米国務長官と民主党の小沢一郎代表が17日夜、東京都内のホテルで会談することが決まった。米大使館から14日午前、同党の山岡賢次国対委員長に伝えられた。米国務長官が民主党代表と会談するのは初めて。政権交代が現実味を帯びる中、野党第1党の党首との関係構築を重視したと見られる。

 会談は米側が今月上旬に打診したが、日程調整が難航。米側から13日に見送りの意向が伝えられた。しかし、同党執行部内で「政権交代をにらみ、会談は実現させるべきだ」との意見が大勢を占め、再度日程を調整していた。

 山岡氏によると、小沢氏は「喜んでお目にかからせていただきたい」としており、会談が実現することになった。【白戸圭一】

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2009年1月29日 (木)

海賊対策

 アデン湾に出没するソマリア海賊に対し、海上自衛隊を派遣することが問題になっている。国民の立場から見て問題をわかりにくくしているのは、本質を離れた点で議論が行われているからである。

 「海賊がでて世界で困っている」、それならば海上自衛隊であろうが、海上保安庁であろうが行って商船などを護衛すればいいではないか。問題は簡単だ。それが議論になるのは、「護衛」だけでなく「戦闘」とか「逮捕」までしよう、というからだ。

 アテンドする商船が襲われそうになったら、それを妨害すればいいだけで、海賊を「撃沈」する必要はない。相手から撃ってくる?、相応にお相手すればいいので、それで撃沈されるようなヤワな自衛艦なら行かない方がいい。第一、対艦ミサイルや魚雷でも装備しているならともかく、海賊が軍艦に刃向かってくることなどあるだろうか。

 2番目の問題は、海賊というが、昔の伝統的なおいはぎ海賊と一緒にしていいのか。身代金目当てといわれるが、その出撃基地は広範囲で、人質を安全に確保する上でも相当組織的・計画的なオペレーションが必要だ。

 まず、バックがあることを考えなければならないが、それを示唆する報道は見あたらない。知られていることは、エチオピアの侵攻で、イスラム過激派の「イスラム法廷会議」を首都から放逐したあと「暫定政府」を擁立したが、国内を把握しきれていないことだ。

 エチオピアが撤退したあと、依然として無政府状態が続くソマリアに対して、アフリカ連合や国連が関与しようとしているが、ソマリア人は相手がどこであろうが外国人の関与には激しい抵抗を示す。アメリカもかつての武力介入で手痛い目にあっている。

 反面、イスラム会議が支配していた頃は、治安が維持され海賊も出没しなかったという。このイスラム過激派は、昔からテロリストの隠れ家になっていたとされ、エチオピアをはじめ周辺国、アメリカなどから敵視されていた。アフガンのタリバンと似ているところがある。

 この国で海賊出撃基地をコントロールできる安定政権ができない限り、この先もいたちごっこは続くだろう。日本では国連のPKO参加などが検討されているようだが、これも他国に追随するだけで、独自の解決策があるわけではなく、外交努力のあとも見えてこない。

 そして最後の問題が、民主党を含む防衛族の海自本格派遣を急いでいる不純な動機だ。これは、新聞報道されたが、中国海軍の派遣を見て対抗上日本の無力をさらしたくない、という隣人に対するみえみえのねたみである。さらには、これを機に改憲論議に引き込みたいという底意もうかがえる。

 たまたま、「日中関係近代史考」の原稿を考えていたので、1919年(大正8)の第一次大戦パリ講和会議で日本が突如提出した人種差別撤廃問題との類似性が浮かんだ。くわしく書く余裕はないが、人道上の一般問題ではなく、アメリカと中国のからんだ見栄の張りあいだったのである。

 これには参謀本部の強い意向が反映している。どういうことかというと、アメリカの日本人移民が「支那人」その他と同一の市民権しか得られないという、いわゆる排日移民法に抗議する意味があった。これを主張しないと日本の「武威」にかかわり、中国から侮蔑されるということだ。

 アメリカの州法にかかわり、公平を欠く意見が、アメリカに受け入れられるはずもなく失敗した。そのうえ、突然の提案の意図が各国から奇異の目で見られたこともつけ加えておこう。

 今、平和憲法を持つ日本が隣国と意地を張り合う姿は、改憲を迫ったブッシュの残党をのぞき、海自派遣問題を越えて世界から奇異に見られるのではないか。

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2009年1月26日 (月)

オバマは期待できるか

 オバマ大統領就任式は、空前のフィーバーぶりだった。それもアメリカ国内だけでなく、これまで敵視されていた国を含む世界の各地から期待のまなざしを受けての登場である。オバマが大統領に就任した翌日の21日から3日間、ギャラップ社が全米のおよそ1600人の有権者を対象に行った世論調査によると、オバマの大統領としての働きぶりを支持すると答えた人が68%、支持しないが12%、どちらともいえないが21%だったそうだ。

 この支持率を多いと見るか少ないと見るかは人それぞれだろうが、日本の細川内閣発足時が75%、小泉内閣85%(毎日新聞)と聞くと意外に少ないと思う人がほとんどではないか。日本の識者の間でもお国柄からして過剰な期待は無理という抑制した論調が目立つ。

 その一方で、黒人大統領の出現をもって、「チェンジ」「イエス・ウイ・キャン」がアメリカの体質にまで及ぶ、また、及ばさなければならないとする意見も依然として根強い。率直なところ、この68%という数字は、アメリカの保守性と現状打破願望を加味したリアリティーを持つ数字ではないか。

 私が注目するのは、南米ベネズエラのチャベス大統領である。かつてはアメリカの裏庭であった中南米は、今世紀に入ってすっかり「反米大陸」に変貌した。チャベスは、長年にわたるアメリカ資本のあくなき浸食と、それを代弁するアメリカ政府の露骨な政治干渉に反旗をひるがえした中南米反米左翼政権の代表格である。
 
 2006年の国連総会で、ブッシュ米大統領を名指しで、8回も「悪魔」と呼んで非難した。それは、中南米で歴代繰り返されたような、卑劣で欺瞞にみちた力の政策が、ブッシュにより中東を中心に繰り返されていると見たからだ。そのチャベスが、一抹の警戒を解かないものの、オバマの出現に対しては歓迎の意向を示した。

 イランなどイスラム圏でも、オバマの出現による関係改善に期待を寄せている。オバマの公約に善意を感じているからであろう。しかし、中南米にふえた左翼政権各国は、身近な存在であるだけにもっと複雑だ。これまであまり世界に知られてこなかったが、CIAの暗躍、アメリカ軍学校によるクーデター要員の組織的養成、腐敗・買収、政治テロの繰り返しは、目に余るものがあった。

 アメリカのアメとムチによる過酷な干渉と搾取は、開国以来のものといってもよく、きのうきょうに始まったことではない。その手練手管をすべて知り尽くしており、また不信感も骨の髄までしみこんでいるのが中南米諸国だ。そして、近いからこそアメリカの国民性や政略がよく見え、分析も的確になる。つまり、アメリカの政権交代で劇的に変化したなどという歴史がないということだ。

 そのチャベスが、オバマから何を感じ取ったのだろうか。やはり、アメリカに変化の兆しを見たのであろうか。ロビーイストを排除し、軍需会社や石油会社、あるいは農業資本などの献金をあてにせず、大衆の零細な寄付で膨大な選挙資金を集めたオバマ、そのオバマ流の変化を高く評価したのだろうか。

 仮にそうだとすると、本塾からもオバマに期待票を一票投じたい気持ちになる。

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2009年1月16日 (金)

派遣労働者と差別

 正月の日比谷派遣村報道で、派遣のありかたからさらに範囲をひろげて「労働問題」が議論さるようになった。それに反して、派遣村の発生が組織の宣伝活動であるとか、仕掛けられた作為あるイベントだなどとする暴論はもとより、セフティネットがあれば足りる、といった矮小化した議論にしてはならない。

 秋葉原の大量無差別殺人事件は、言語道断の犯罪事件であるが、その動機として浮かびあがったのが、派遣労働が持つ非社会性である。その前一昨年には、すでに赤木智弘氏が論文「希望は戦争」でこういった問題を提起をしている。

 これらは、もしかして大化改新、明治維新、戦後民主化に匹敵するような「労働のありかた」が問われている時代と考えるのは、おおげさに過ぎるだろうか。「階級」や「身分」という言葉や発想は、共産主義の退潮とともになりをひそめた。

 しかし、正社員と派遣、期間労働者などの区別は、新たな階級差別を創出するものではないのか。私には専門知識がないので、その分析や打開改善方策を提示することはできないが、戦中派の記憶に残る身分制について書いてみたい。

 わが家はサラリーマンの家庭だったので、農業における戦前の小作農と大・中農の差を身近に体験したことはない。ただ、40代に自宅を購入した際、近所の大地主のおばあちゃんが、孫の手をひいて遊びに来て、孫に「ここの家は家作持ちだよ」と教えているのを聞いた。あきらかに、近所に在住する旧小作人との区別をさしているように聞こえた。

 製造業会社の社員であった父の勤務先工場には、大勢の職工がいた。彼らは集合社宅に住んでいたが、社員のそれとは違って、家族の人数にかかわらず狭小で立地も悪かった。また、職階も組長とか職長という、軍隊で言えば下士官どまりで、社員との身分上の格差は歴然としていた。
 
 また、事務所にもボーイと呼ばれる使い走り的な仕事をする人がいた。この人達も「社員」とは呼ばれず「雇員」として差別された。ただし、会社との雇用関係には変わりなく、戦後労働組合が結成されると一体化し、一切の身分制職階は撤廃された(ただし実際には学歴格差などで温存された部分もある)。

 これには入らない勤務者がいた。嘱託である。社内に常駐している床屋さん、社員食堂賄い人、寮管理人、看護婦などである。つまり会社にとって必要な仕事は、すべて会社が雇った人の手にゆだねられていたのである。

 戦後10年もたつと、変化が出てきた。それまで社員がやっていた清掃、警備、廃棄物処理などについて、専門の下請け会社に委託するようになった。それらは、有能な定年退職者によって起業されたものも多く、民間の天下りはそんなところから始まっている。

 また時代が進むに連れて、現業部門の下請け業務は拡大し続け、労働組合も下請け労働者の組織化などを方針に掲げるようになったが、組織の命運をかけて取り組むようなことはなかった。賃金、福利厚生なとの歴然とした差は見過ごされていったのである。

 現在、大企業の労働組合は、製造業への派遣禁止措置などに消極的で経営者と歩調を合わせているように伝えられている。その中に「彼らとは身分が違う」という意識が全くない、と断言できる人が何人いるだろうか。

 戦中の人手不足、戦後復興、高度成長と続き、身分の差で雇用調整をするような場面はあまりなかった。また身分の差はあっても、日本固有の労働神聖視や終身雇用制度が労働者の精神的・経済的破綻を防いできた。このさき、日本が選ばなければならない「労働」のあるべき姿をどう定めていくのかが問われている。

 かりそめにも、身分を固定化して差別を助長するようなことがあってはならない。決してアメリカの真似をしてはならないのだ。そのためにこの問題にどう手をつけていくか、為政者の判断と責任は極めて重い。また、同時に労働者自身にも大きな責任があることを自覚しなければならないだろう。

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2009年1月13日 (火)

衆院候補者、9条改正反対55%

衆議院立候補予定者アンケート結果
(毎日新聞2009/1/6,9,13)
・回答者=9割強にあたる790人・数字は複数回答、無回答をのぞく%。-は言及なし。

--------------------
★憲法9条【全体】【自民】【公明】【民主】【共社】
改正反対   55% 12%  63%  67% 100%
改正賛成   38% 83%  28%  19%  0%

★集団的自衛権行使を禁じた憲法解釈見直し
       【全体】【自民】【公明】【民主】【共社】
必要はない 60% 20%  88%  70%  -
見直すべき 33%  74%  -   -   -

★日本の安全を守るためにより重要なことは
       【全体】【自民】【公明】【民主】【共社】
近隣諸国と
の平和外交 39%  -   -  28% 100%
国連中心   10%   -   -  26%   - 
日米同盟   37%  76% 59% 19%   -
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 解散がだらだらと先送りされています。政界再編もあるようなないような中途半端な状態も続いていま す。その中でのアンケート調査なので、当塾にとって関心の深い調査であるにもかかわらず、なんとなく 緊張感に欠けます。

 ご覧の通り、数字は文章化した記事から拾っているので、空欄になっているところがあります。党別を 見ても、真反対の意見が同居しているので、選挙民は自分の意見を代弁してくれる候補が誰なのかがわかりません。また対象は当選者でなく候補者なので、選挙後の趨勢を占うこともできません。

 そのせいか、新聞社は政党の枠をはずして政見の似通った候補をいくつかのグループに分類し、解析を 試みました。しかし、それとて抽象的で機械的な数字遊びのようで、参考にしたり実用になるにはほど遠 いといわざるを得ません。

 しかし、勇気づけられる数字や意外な数字もあります。それは、①候補者の過半数が9条改正反対派で あるということ。②自民党より民主党が勝った方が9条改憲から遠ざかること。③公明の改憲派は民主よ り多く、日米同盟重視が過半数を超すこと(小泉・安倍政権を支えたからね)。④自民党に護憲派が12 %も?いること(「自民党9条の会」が作れます)。⑤憲法をはじめ、前回、前々回の衆院選当時より 着実に対外強硬派より平和指向派がふえていることなどが挙げられるでしょう。

 当塾では右サイドバーにあるように、衆院立候補者メモを設けています。この記事はそこへもリンク しますが、候補者の政見が党公認のマニフェストまる写しで、アンケートの利用について、公職選挙法上 の窮屈な制約をまぬがれないとなれば、目隠をしたまま投票するようなものです。

もっと何とかならない ものでしょうか。アメリカの大統領選を見ていると、多くを知った上で選べるのがいいなあ、とつくづく 思います。

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2009年1月10日 (土)

新自由主義は悪か?

 日常見て回るブログには、左派系のものが多い。このブログもその片隅に位置しするのかも知れない。その左派系ブログでは、おしなべていわゆる「新自由主義」を諸悪の根元のように攻撃しまくっている。もちろん、アメリカ追従による不用意、無原則の小泉改革や竹中流の金融資本、市場原理主義的な政策は、新安保政策と共に当塾の相容れるところではない。

 このブログでは、23回にわたったシリーズ「朝鮮・韓国」を太古から日韓併合まで続け、ようやくこのほど一段落した。その中でいろいろ感ずるところもすくなくなく、今回は、明治の文明開化と新自由主義・小泉改革を取り上げてみたい。

 小泉改革のキャッチフレーズは、「改革なくして成長なし」であり、抵抗勢力を敵視して「自民党をぶっこわす」とまで言ってのけた。ひるがえって明治時代に飛んでみる。アメリカをはじめ西欧列強のガイアツを受けて開国を実現、明治クーデターを経て「文明開化」を定着させた。

 民間にあって改革開放の旗振り役は、福沢諭吉であった。日清戦争に当たり、彼の創刊した『時事新報』は、「文明開化の進歩を謀るものと其進歩を妨げんとするものの戦」と位置づけ、戦争による清兵の殺戮も憐れむべきだがやむを得ない、とした(1994/7/29)。

 また日露戦争では、大正デモクラシーに「民本主義」の言葉をあてたことで有名な吉野作造の論文がある。その主旨は、ロシアが領土拡張をしてもそこで外国の貿易を排除する非文明国であり、皇帝の支配する専制国を倒し、自由民権の勢力になればロシア人民の幸福である、とするものである(加藤陽子『戦争の日本近現代史』参照)。

 これも、グローバリゼーションに抵抗するのは文明の敵で、専制を廃し民主主義を樹立する正義をうたっている。そして悪は正義の前に駆逐されるべき存在だという発想である。

 再び現代に話を戻してみよう。アメリカと有志国がイラクに進攻した言い分とそっくり二重写しになってしまうではないか。文明開化と新自由主義を一緒にするな!、という声が聞こえる。私も実は同感なのだが、本質的な違いがどこにあるかといわれると、正直なところわからない。

 新自由主義は悪なのであろうか。私は共産主義も社会主義も悪だと思ったことは一度もない。文明を区別し、経済システムを峻別して、善だ、悪だと攻撃しあうことから、人類はそろそろ卒業した方がいいのではないか。自然保護についても同じことがいえる。これからは、共存と発展の折り合いをどうつけていくのかの知恵を競う戦争であってほしい。、

  

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2009年1月 9日 (金)

アメリカの胎動

 8日、パレスチナで人道支援物資を受け取りに行く途中の国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)車列が、イスラエル戦車の砲撃を受け、運転手1人が死亡した。同じ日、国連安全保障理事会は、イスラエル、ハマス双方に即時停戦を求める決議案を採択した。

 これは、棄権したアメリカを除く14カ国が賛成したもので、強い拘束力があり、違反すると制裁などの対象となる。拒否権を行使しなかったことで世界の世論に配慮したつもりだろうが、反面、イスラエルの肩を最後まで持ち続けてきたブッシュのユダヤ寄り政策が証明されることになった。

 孤立主義から抜け出そうとするオバマ就任が目前に迫っている。アメリカの指導力を維持するためには、どうせ同じ結果がでるのなら、変な義理立てなどせず、賛成に回った方がいいように思うのだが、外交の現場にはそれを許さない事情があるのだろうか。

 さらに同じ日、オバマ次期大統領はバージニア州で演説し、300万人超の雇用確保・創出を目指す総合経済対策の概要を明らかにした。それによると、今後3年で太陽光や風力など代替エネルギー生産を倍増させるような公共投資、1世帯当たり1000ドル(約90,1000円)の減税措置などが含まれる。

 総額は、日本円にして約70兆円規模になるというが、たかだか2万円前後の定額給付金を、受け取るとか取らないといった次元の低い国会議論に終始し、渡辺喜美議員ひとりがやめるとかやめないという1人芝居しかニュースにならない日本。アメリカのたくましい胎動がうらやましい。

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2008年12月26日 (金)

国会開会定例日

 暮れも押し詰まってきた。多分霞ヶ関は選挙区に走る先生が多く空っぽだろう。政治ブログも来年1月5日の通常国会開会まで種切れである。ところが、今日26日は、敗戦前まで通常国会開会の定例日のようになっている。昭和になってから19年まで、この日以外だったことは1回もない。

 戦後も10日とか20日が多いが、年を越してというのは珍しかった。異例中の異例が1966年(昭和41)の第54回通常国会である。明日にあたる12月27日に通常国会を召集、佐藤栄作首相はその当日に解散したのだ。会期はたった1日。これを「黒い霧解散」といったが、こういうこともあるから油断できない。

 黒い霧とは、国有農地払い下げ、バナナ汚職、防衛庁長官の自衛隊機を使ったお国入り、その他もろもろで、12月1日に行われた総裁選も党内の批判票が1/3を超えるなど、党内基盤もしっかりしていなかった。野党4党が解散を迫っていた点でも今の麻生政権と似ている。

 その翌年1月に行われた総選挙では、自民277、社会140、民社30、公明25、共産5、無所属9で与党の議席は減らしたものの社会も振るわず、自民政権の安泰を確保して求心力も高まった。ついでながらこの選挙で社会の退潮が始まり、公明が第3勢力となるきっかけをつかんだといわれている。

 すこし前の話だが、麻生首相がこの解散の前例にあやかりたいような発言があったという。それならば佐藤首相のように年内に国会召集と同時に解散すべきだった。すこし前に「枕草子」の「近うて遠きもの――十二月のつごもりの日、ついたちの日のほど」というところを紹介したが、日本の正月休みの間隔は、いろいろな意味で感覚の改まる期間なのだ。

 その機会を自ら逸した麻生首相より、佐藤元首相の方が役者が1枚も2枚も上だったということか。もっとも、年内解散でも麻生内閣には救いがなかったかも知れない。ただ、ますます結果が悪くなるということにつきる。
 

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2008年12月20日 (土)

拝啓 麻生総理大臣閣下

 景気と閣下の人気の低下がこれでもかこれでもかと繰り返し報道される昨今、国民のため日々のご活躍感謝に耐えません。

時事通信社が12~15日に実施した世論調査で、内閣の支持率が22.1ポイント落ちて16.7%になったことを、毎日新聞が他社の調査であるにもかかわらず伝えています。

 一週間前に自社が行った調査が21%なので、この急落ぶりに多分びっくりしたのでしょう。それでも閣下は動じてはいけません。すくなくとも一国の総理です。前回や前々回の総理のようなショボイ辞め方はしないでください。

 閣下のお爺さまも国民からあきられ、最後はさんざんの人気でした。「曲学阿世」など読み方は正しかったものの学者をバカにする問題発言もありました。党内の混乱に加え野党攻撃にも、予算通過のためひたすら耐え忍んだお爺さまは、予算委員会の途中でつい質問者に対し「馬鹿野郎」とつぶやいてしまいました。

 これが暴言だとし、いわゆる「馬鹿野郎解散」になります。しかし、カッコよかったです。白足袋に舶来の葉巻をくゆらす姿。庶民にはわからなくてもにくまれても意地がありました。それで今は戦後の名宰相で通ります。

 支持率を上げる簡単な手を教えて差し上げます。来年早々にも「解散する」とひとこと言えばいいのです。きっと株価も上がるでしょう。「続・鬼が笑う政局予測」のような解散の仕方をすれば支持率数%上昇することうけあいです。

 公明党が消費税でぐずぐず言う、そう、そんなのけっ飛ばせばいいのです。「責任政党の総裁として」の一本槍でいいのです。それでも、選挙は野党に負け、結局下野することになるでしょう。もう、この先は自民で過半数など望んでもあり得ません。

 それならば、カッコよく麻生総裁善戦の実績を残せばいいのです。それが相撲じゃないが次の場所につながるというものです。まだお爺さまからみてもズーットお若い。ここはひとつ、カッコよかったお爺さまを見習ってください。

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2008年12月16日 (火)

民主党の防衛政策

  毎日紙が報ずるところによると、民主党はオバマ次期米政権との人脈をつくるため、クリントン政権時に国防次官補代理だったカート・キャンベル氏、ジョセフ・ナイ元国防次官補、マイケル・グリーン元国防総省アジア太平洋担当特別顧問ら米民主党系の国防関係要職経験者らが来日する機会をとらえ、19日に鳩山由紀夫幹事長らと会談する予定だという。

 民主党からは、ほかに菅直人、岡田克也それにこの会談をセットした前原誠司各氏が出席し、沖縄の基地問題などを話し合う計画だ。本来ならば、日本からアメリカへ出かけていって、しかるべき要人と接触すべきなのだろうが、いつ解散総選挙の爆弾が投じられるかわからない状況下で、とてもそんな余裕がないということか。

 前回のエントリー「朝鮮・韓国 16」で、山県有朋が長い船旅をいとわずスイスまで行って日本の外交・安全保障問題、そして将来の展望を築くため、識者と意見交換をしていたことを書いた。それにくらべ、いかにも「泥縄」の感がするが、亀井静香氏のいう「まぜごはん」党では、多くを望む方が無理だと言われそうだ。

 前原氏が今年6月に訪米した際、親交があるキャンベル氏らと会った結果「日米関係は大統領選の争点ではなく、白地に絵が描ける」と伝えられている。それならば、日米関係重視、安保条約堅持を前提に、日本国憲法尊重、安保条約の運用、指針や地位協定の新情勢に向けた見直しなど、これまで自民党政権が築いてきた隷属路線の「チェンジ」をはかる絶好のチャンスではないか。

 私は、それがアメリカを含む世界の潮流から見て、極端にはずれた空論とは思えないのだが、集団的自衛権容認、9条改正、中国敵視など、小泉・安倍路線に親縁性のある前原的なものを民主党から清算しない限りは、とても「チェンジ」を国民にアッピールすることができないだろう。

 沖縄基地問題で普天間飛行場の県外移設などを盛り込んだ「沖縄ビジョン」などの民主党案があるが、その程度の発想ならば自民党でも可能なことで、ブッシュ後をにらんだ案としてはなんら新鮮味がない。むしろ、小沢一郎代表が今月5日に表明したという「沖縄にそんな大きな軍事力は不必要」という言葉の方に、かすかな期待を持つしかない。

 これだけ大勢いる政治家の中で、世界的視野で物事を判断し、指導力を発揮できる政治家が一人や二人は必ずいる、こう信じなければ当塾はもとより、「日本人」をやっていけなくなる。wobbly

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2008年12月11日 (木)

続・鬼が笑う政局予測

 本当は、ジャーナリストでも評論家でもないのに政局予測などしたくない。だけどこの混迷ぶりをみていると、せめて来年に年越しの夢をかけたくなる。前回この題を使ったのは11月26日だった。自民は「自壊寸前」と書いたが、内閣支持率が21%などという数字も出て、もはや無政府状態に近いと言い換えなくてはならないのか。

 小泉元首相は、「改革」の旗振り役をしていた議員が集まる集会で、「こういった時こそジーット我慢が必要」というようなことを言ったらしい。政局は、来年通常国会まで多分これでいくだろう。ジーット我慢するのは、麻生首相をはじめ、自民党の若手・中堅・ベテランの議員、苦悩の公明党、さらに小沢率いる民主にまで及ぶ。

 我慢しきれないのは、渡辺喜美。しかし彼に続くものはなく、また孤立の道を行くしかない。次ぎは公明党。もうここまでくれば自民に三くだり半(離縁状)は出せない。公明発案のばらまき政策不人気もあり、同居離婚同然となる。

 そこで麻生の我慢が臨界状態になる。通常国会を前に新年挨拶などあらゆる手を使って「責任政党」を喧伝する。その上で解散権を行使する。自民党が比較第一党になれば最善、なれなくても解散の大義名分を手にする。いかに楽天家でも不況はより深刻化するだろうし、支持率が9月までに劇的に改善するとは思わないだろう。

 首相のクビをつなぐにはこれしかない。したがって、野党が内閣不信任案を出す→過半数で否決する→参院で野党が問責決議案上程→採決前に解散、というきっかけがほしい。それで、負けてもともとの大勝負が打てる。そうなる前提は、国民が一番我慢しきれなくなっていることを感じさせることだろう。

 年を越せば、もう史上最短の麻生内閣などと言われなくてもすむし、再起不能の歳でもない。また、巷間言われている政界再編は、それほどドラマチックに展開することはないだろう。なぜならば、保身第1の昨今の政治家は、「ジーット我慢の子」が似合っているからだ。

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2008年12月 3日 (水)

「日本軽視」歓迎

 外電には、現地と国内の意識や言葉のずれか、記者の感情にふたをするせいかわかりにくいことがよくある。タイの空港占拠デモなどもそうである。このたび裁判所で「首相が料理番組に出て謝礼をもらったのは違法で政治活動を禁止」という決定により、選挙で選ばれた首相が退陣、封鎖が解除されるようだが、それで誰が得をするのだろうか、大勢の人が何日も座り込みを続けた忍耐力はどこから来るのか、よくわからない。

 今日はそのことではない。「同盟国」アメリカがオバマ大統領に替わることにより、日本の軽視が進むか、といったワシントン特派員のレポートである(毎日新聞12/3)。

 オバマ氏は会見で「世界中で同盟の再建と強化」を推進する方針を示した。中国やロシアなど新興国の台頭に伴う国際秩序の流動化、温暖化問題、対テロ戦争の行き詰まりなど「地球規模の挑戦」は、「米国だけでは解決できない」(クリントン氏)との認識を強めているためで、日米同盟への影響も避けられない見通しだ。

 オバマ次期政権の対日政策では、ブッシュ政権が推進した「日本強化論」が見直されるとの見方もある。ロンバーグ元国務省日本部長は超党派の対日戦略文書「アーミテージ・リポート」(00年)で提唱された「米英同盟のような日米同盟」を「地域の安定につながらず、非現実的」と切り捨てる。

 ブッシュ政権では日本の集団的自衛権行使容認や国連安保理常任理事国入りなどを後押しし、強固な日米同盟を基軸に世界戦略を描いてきた。しかし、オバマ氏の外交顧問の間には「日本が嫌がることは強要しない」(ジャヌージ上院外交委上級スタッフ)との考えが強く、米外交の中国重視傾向が強まる中、日米の二人三脚による世界戦略がしぼむ可能性もある。

 日本を重視するということは、どうやら「日本が嫌がることは強要」するというということだったらしい。これで小泉・安倍路線の化けの皮がはがされたようなものだ。麻生首相を含め、彼らはやはり「重視」し続けてもらいたいのだろうか。また、防衛族は「地域の安定につながらない」ことを望み続けるのだろうか。

 また、軽視されると、かつての保護主義的なジャパン・バッシングになると困るという、財界などの思惑があるかも知れない。もうそんなのを頼りにする時代ではない。アメリカ発の原油高騰や大不況到来など、世界中が振り回され十分痛めつけられているではないか。

 いかにアメリカ離れを達成するか、日本がもたもたしている間に、これが世界各国の重要な課題になっている。太平洋をはさんだ隣国・アメリカとの協力関係は重要だ。しかし上記のような「日本強化論」ならば、何も心配することはない。「軽視」こそ歓迎されるべき方針だ。

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2008年11月28日 (金)

インド同時テロ

 なんともまた残忍なテロが起きたものだ。商業都市ムンバイのホテルなど10カ所での攻防は、犯人グループが全員で2~30人ほどだというから遠からず鎮圧され、犯人の背景や目的もある程度判明するだろう。しかし、事件が与える影響は大きく、5大紙はいずれも社説をかかげている。

 事件をどう判断すればいいのか、それらを通読してみた結果は得るところが少なかった。各紙の表題は次の通りである。
朝日=ムンバイ・テロ 新興大国を襲った恐怖
読売=インド同時テロ 経済の中枢都市が狙われた
日経=9・11連想させるインド商都へのテロ
産経=インド同時テロ、国際社会の結束で撲滅へ
毎日=インド同時テロ 不気味な「点と線」を追え

 これを見てわかるように、中味はそのまま報道記事をなぞっているだけで、日本経済への影響に触れたり、インド政府の対策強化期待や、国際協力の必要性をそれぞれの結論としている。読売、産経、日経は単にそれだけ、朝日がインド、パキスタン両政府の協力関係など解説めいた内容を加えているものの、基本的には同じである。

 その点、毎日はひと味違っていた。「点と線」をインド、パキスタン、アフガンに求め、インド以外でもイスラマバードの高級ホテルやカブールの米大使館付近の自爆テロがあったことなど、南アジアにおける最近の不穏な情勢をあげている。

 加えて、アメリカがインドの核兵器保有にお墨付きを与える「インド重視政策」などで、印パ等距離外交が崩れることによる地域安定悪化を問題にしている。私はもう一つ、それにわが自衛隊給油艦が活躍するインド洋をはさんだソマリア周辺の海賊跋扈を加えたい。

 ソマリアもイスラム過激派がからみ、無政府状態の混乱の中にあるが、過去の長い間、アメリカとエチオピアが背後でかかわってきたことは周知の事実である。その点と線は、さらにその先パレスチナまで伸びるかも知れない。

 南アジア各国の政権や国際社会を言う前に、これらがきわめて「アメリカの問題」であることを、あらためて痛感せざるを得ないのだ。

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2008年11月26日 (水)

「鬼が笑う」政局予測

 今の臨時国会が新年早々まで続き、その後通常国会に引き継いで、例のバラマキと評判の良くない定額給付金の第2次補正予算を提案するという。100年に1度の経済危機に「政局より政策だ」という麻生首相の理屈も、このごたごた騒ぎの連続で全く意味を失った。無事に年が越せるかどうかに精一杯の国民にとっては、何度聞いてもサッパリわけがわからない事態が続いている。

 新聞・マスコミもこれまで解散予想を何度変えたことか。いまのところ、今国会での海上給油法案、第1次補正予算などの成立を見た上の1月解散、来年度予算成立が見込める春季解散、さらに任期いっぱいまで最善の時期を選ぶ夏解散など、間延びした3予想がでているようだ。

 アメリカは新春20日に、オバマ大統領の就任式がある。アメリカ国民はこれに新しい夢をかけ、おそらく空前の盛り上がりの中で活気をとりもどすであろう。ブッシュの覇権主義に泣き、オバマ新政策に期待を寄せる世界各国も開放感を味わうだろう。

 日本の新年は、まれに見る閉塞感の中で始まる。政府がくれるお小遣いは、たとえ実現したにしてもお年玉ではなくずいぶん先の話だ。政党で最大の閉塞感を味わっているのは公明党だろう。福田の不人気を麻生で立て直し、早期解散をねらった思惑は、ものの見事に失敗、面目まるつぶれになった。

 「何でも言える間柄になった」はずの太田代表だが、最近は何を言っても聞いてもらえない。だまされたのか、人がよすぎたのか、いずれにしても創価学会のフラストレーションは、爆発寸前なのではないか。自民と連立を解消しないまま選挙に入り、自民が敗北すれば野党となって是々非々でいくしかない。また、公明にとってもそれが一番いいだろう。

 自民の現状は自壊寸前である。来年になってこれが修復され、内閣支持率も発足当時の線までもどる可能性はまずない。それどころか、選挙を民主有利と見れば、選挙を前に分裂する危険さえかかえている。加藤・山崎といったベテラン新党30名か、小泉応援団だった若手・中堅4~50名の新党である。

 民主に接近するのはベテラン新党の方だろう。これに前福田総理まで加わって大連立構想の復活を画策するかも知れない。選挙にわずかでも勝てば民主に選択権があり、いろいろ火種をかかえていそうな若手を選ぶことはまずなさそうだ。

 自民の方も必至の多数派工作をする。国民新党や前原前民主党代表を取り巻く一派をターゲットにするだろう。しかし選挙の終わったあとでは選挙民を裏切ることになり、まして民主が政権を取れるようならわざわざ野党に走るような馬鹿はいない。

 結局民主は分裂することなく、小沢内閣が実現するだろう。一応衆参の多数を確保し安定する。しかし最初から国民の人気がなく、支持率も麻生内閣発足時以下であろう。また、気の緩みからいずれは激しい内部抗争も起きる。そうなると長くは続かず小沢辞任、代表選となる。

 そこで初めて、敗れた方が脱党・新党結成、政界再編第2幕となる。それが1年先か2年先か。日本人の閉塞感は来年中ずーと続きそうだ。世界の動きから何十歩おくれることやら。それが景気の足を引っ張る最大の原因になるかも知れない。心配しても始まらない。来年のことをいうと鬼が笑う。

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2008年11月13日 (木)

統幕学校講師、表面化

 本日(11/13)午前、参議院外交防衛委員会が開催された。この前の田母神参考人招致のこともあり、あまり期待していなかったが、テレビ中継であまり見聞きしたことのない光景を目にした。それは共産党の井上哲士委員と防衛大臣・総理大臣とのやりとりの中で生まれた。

 議事録ではないので正確ではないが、質問の要旨はおよそこんな事である。

 質問:(書類資料を示しながら)統合幕僚学校のカリキュラムに「大東亜戦争史観」や「東京裁判史観」などずあるが、その講師の欄が黒塗りされているがなぜか。
 答弁:講師本人の了解を得ないで公表するのはいかがなものか、という配慮をした。
 質問:黒塗りして公表しないということは、よほどやましいことがあるからか。問題の重大性からみても国民の前に明らかにすべきではないか。委員長には、当委員会に名簿を提出するよう要求する。

 びっくりしたのはこの後である。委員長はたいてい事務的に「ただいまの件は理事会に諮り善処致します」などというのが通例だが、民主党の北澤俊美委員長は一段と声を張り上げ、やや怒気をこめた口調で井上委員の主張を肯定し、本人の了解などの口実は当たらないという発言をした。

 いずれ「新しい教科書を作る会」などのメンバーの名が上がってくるだろう。麻生首相の集団的自衛権行使の憲法違反発言を引き出したり、文民統制の徹底化と田母神前空幕長の発想に否定的な見解を示すなど、安倍右傾化路線がアバグループ・・・じゃない、アバかれ、クサビをさせたのは、田母神前空幕長の思わぬ功績である。

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2008年11月11日 (火)

李明博大統領に注目

 オバマ次期米大統領に世界の耳目が集まっている時、韓国の李明博(イミョンバク)韓国大統領は、毎日新聞・朝鮮日報・英国のタイムズの記者と会見し、記者の質問に答えて次のように答えた。(毎日新聞11/11)

 アジア通貨問題については、ドルの世界的な地位が低下したので、ユーロのような単一通貨が必要だ。欧州連合(EU)をみると難しい危機を乗り越えて単一通貨が実現した。韓中日が単一通貨に合意すれば、アジアに広げるのは難しくないだろう。これから時間はかかるだろうが、日本の役割が大きいと考える。

 これまで、ASEAN+3などで話に出たことはあるだろうが、福田前総理が東アジア共同体に言及して以来、共通通貨にまで踏み込んだ発言を聞いたのは、私の知る限りこれが始めてである。当ブログではかねて、究極の平和・安全保障対策として日中韓の共同体指向がどうしても必要であると主張してきた。

 李氏は1941年、大阪に生まれ戦後もの心のついた頃韓国に帰国、苦学して高麗大を卒業、現代グループの建設会社社長を経て政界進出を果たした。ソウル市長時代は高速道路をもとの河川に復活させたことで有名だ。大統領に当選して来月で1年目を迎える。

 この間、北朝鮮との関係冷却、アメリカのBSE牛肉輸入問題などで揺さぶられ、竹島問題に火がつきそうなこともあったが、いずれもバランスのとれた冷静な対応で切り抜けてきた。それらは、いずれも問題をないがしろにするのではなく、卓越した経営感覚と将来を見据えた国際認識から来るものであろうか。

 ひるがえってわが日本であるが、このところわがブログはすっかり「自虐ブログ」になってしまった。今日の毎日新聞から拾ってみよう。ジャパンパッシングはこんな調子だ。

 「米海軍の攻撃型原子力潜水艦、事前通報義務をうっかり忘れて沖縄うるま市沖に寄港」。「海上自衛隊の特別警備隊(北朝鮮の不審船問題で創設され、最近格闘訓練というイジメがあって隊員が死亡した)が、当初同盟国の米海軍に協力を求めていたが断られ、英軍の講師を招いた」。 

 今週末ワシントンで開かれる金融サミットG20で、世界各国の責任ある提言が求められている中、同紙の社説は、その結論をこう締めくくっている。

 世界第2の経済大国、日本は、国内の政治日程や定額給付金をめぐるどたばたに明け暮れている。主要な国際協調の場が「G8」から「G20」にシフトしようとしている中、この体たらくでは、ますます存在感が薄れてしまうだろう。

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2008年11月10日 (月)

田母神と2・26連想

 最初は「なんと軽率な」という程度にしか感じなかった。しかし、その後続報が入るにつけ、「これは2・26事件に似ているな」と思える点がいくつもでてきた。それは、田母神前空幕長が02年12月から04年8月まで、統合幕僚学校長を務めていたという報道がヒントである。

 2・26事件の事実上の主導者は、陸軍皇道派で参謀次長から教育総監に転出した真崎甚三郎である。その前にも士官学校に長く、最後は校長を務めて皇国思想・天皇機関説排撃などを、若手にさんざんたたきこんでいた。

 田母神も、空自幹部学校の機関誌に「航空自衛隊を元気にする10の提言」を執筆し、さかんに、日本は戦争で悪いことをしていない、むしろ数々の優れた施策をしてきたなどと、自衛官に国粋的優越感を持たせる提案をし、それに基づき統幕学校に「国家観・歴史観」の講義が開設されたという。

 これは、なんとなく2・26事件の決起趣意書に見る、神権優越・国体発揚という発想と相通ずるものを感じてしまう。毎日新聞によると、田母神は「私の考えは理解されている」と2人の元首相の名を挙げ、防衛省幹部をあわてさせたとある。

 元首相の一人は森喜朗氏で、同氏は幹事長時代「村山談話」のとりまとめにかかわったことがあり、森周辺からは否定的な声があがっていることを同紙は伝えるが、もう一人の首相名は伏せている。まあ、フツーの人なら言われなくてもわかるけどね。

 これも2・26決行の青年将校が、軍の幹部や天皇ならわかってくれているはずだと信じていたことに似ている。結局、田母神は黒幕・真崎と青年将校を兼ねているように存在で、周辺に共鳴するような空気があったり、自らの上部組織を破壊する行為をしておきながら自説を曲げないというのもそっくり、やはり一種のクーデター未遂である。

 明日、国会の防衛委員会で田母神の参考人質問があるようだが、文民統制無視や規律の乱れを議員から徹底追求して欲しい。2・26はこれで国がひっくり返ったのだ。内閣がひっくり返るだけのことは十分にある。

 こういった隊員教育が組織的に行われ、それに何人かの学者やジャーナリストが講師として協力していたそうだが、そういった常連メンバーも大体見当がつく。それに対して公然と過ちを指摘し、論戦を挑む学者が見あたらないのはなぜか。あるいは、いてもマスコミが取り上げないのか。

 2・26で敢然と直言批判を展開した河合栄治郎東大教授、朝日・毎日など大新聞の記事自粛を尻目に最後まで筆鋒鋭く迫った『時事新報』の存在こそ、今日、求められているのである。
 

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2008年11月 6日 (木)

オバマ時代幕開け

 いよいよオバマの時代が来た。民主党と共和党、たいした差はないというのがこれまでのアメリカの評価だった。しかしオバマはアメリカ初の黒人大統領である。そして、ブッシュの周辺にとぐろを巻いていたネオコン・スタッフは去り、レーガノミクスの延長線で生まれて、世界の経済を危機におとしいれた金融資本主義は見直されようとしている。

 これまで発言を控えていた世界各国の指導者達は、対敵関係にあった国を含め一斉にオバマを歓迎のコメントを発表した。浮かない顔をしていたのは、ロシアとわが麻生総理ぐらいである。アメリカに媚び、ひたすら追随を続けた小泉の時代は終わったのだ。そこから抜け出せない麻生に出る幕はない。

 「アメリカの外交政策を見極めて……」ニュースで繰り返される日本当局者の発言はこれだ。すなわち外交ビジョンがない、「アメリカさまの鼻息をうかがっていから考えます」なのだ。政治課題となるだろうアフガンへの協力、北朝鮮政策もひたすら新政策まちの有様。

 オバマは偉大なる政策ビジョン、外交にはタイムテーブルまで訴えてアメリカ国民の心をとらえた。日本には残念ながら、民主党を含め野党にもその構えがない。日本にはチェンジに無関係なのだろうか。世界やアメリカの高揚から取り残されてしまうのだろうか。

 大統領就任までまだ2か月ある。その間、日本では総選挙をにらんだ国会での攻防がある。そこに、日本の進むべき新外交政策が打ち出されることにかすかな望みをつなぐが多分無理だろう。こうなったら総選挙は当分延期し、政界再編と新しい外交政策を持った指導者の出現を待つしかない。

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2008年10月30日 (木)

本日の国際数字比較

163:4
163=国連総会第1委員会核兵器全廃を目指す決
    議賛成国(日本は議案提出国になっている)
  4=同上反対国。米国・インド・北朝鮮・イス
    ラエル(核兵器を威嚇の道具にしたい国)

286:163
286=オバマ確実、および優勢の選挙人合計
163=マケイン確実、および優勢の選挙人合計
    (クック・ポリティカル・リポートによる
    選挙人獲得分析、5分5分が89人)

0.5:1.5:3.75:4.5:6.66
0.5=日本、1.5=米国、3.75=ユーロー圏、
4.5=英国、6.66=中国
    (政策金利。コンマ以下なのに日本だけ円
    高、だから経済ってわからない。これから
    まだ下がりそう。アッ米国は下がりました
    1..0。明日は日本も追随か)

6,655,751:7,501,029
6,655,751=トヨタ、1~9月期世界販売台数
7,501,029=GM、1~9月期世界販売台数
    (トヨタが初の世界一になったんだそうだ
    がどうということはない。GM・クライス
    ラーが合併すればまた抜かれる)

【以上10月30日の新聞から】

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2008年10月29日 (水)

爆弾かかえる公明党

 公明党は、長く続いた自民党との蜜月時代がこのところ怪しくなっている。創価学会と自民党の政策基盤が違っても「それ、首相にかけあって見ます」ポスターでわかるように、支持者である学会員は、与党であることに大きな価値を認めている。それを維持するために、公明党は最大限の精力を費やしてきた。

 しかし参院選の敗退、安倍、福田内閣の不人気が続き、このまま座視すると与党の席からすべり落ちることを覚悟しなければならない。そこで、学会に不人気なテロ対策法案の3分の2可決に難色を示したり、予定にない減税の補正予算を押しつけて福田政権を追いつめ、麻生人気に乗って選挙に優位な自公体制を築く心づもりだった。

 早期解散は、その仕上げに欠かせない絶対要件である。だからテロ対策法案の3分の2可決もあえて煮え湯を飲む覚悟をし、選挙態勢もそれに合わせた体制づくりをした。ところが大きな見込み違いが同党を襲った。麻生人気は上滑りで予想を裏切り、その上100年に一度といわれる世界経済危機の波に飲み込まれた。

 せっかく総理の座を射止めたのに、在任最短記録を作りたくはない。経済危機は千載一遇のチャンスとばかり、麻生が解散を先送りしたくなるのは人情だ。おまけに創価学会は、「それも仕方ないか」という意見のようで、なにかはしごをはずされた感じになっている。

 以前から、公明党の早期解散要望の裏に来年7月の都議会議員選挙があるといわれている。一方、衆院選戦は任期満了の来年9月までにしなければならない。公明党は選挙運動に全勢力を割くため都議選と衆院選にできるだけ間隔をとりたいという説明になっている。

 ちなみに、都議の現有勢力は自民48、公明22で自公計で70、民主34、共産13、その他8である。前回の知事選のあと民主が野党化したため、国会以上に与党に重きをなしており、党の存亡をかけた選挙になる。127の過半数を維持するためには自公で5人以上減らすことはできないのだ。

 自民党は、石原人気の賞味期限をすこしでものばしてそれにすがりたいようだ。しかしいかにお人好しの都民でも、石原構想で作った「新銀行東京」のずさん経営で、本年度一般会計の補正予算935億円のうち約6割にあたる540億円を死に体になった銀行救済に投じ、おまけに暴力団がらみの5000万円融資詐欺事件まで発覚したとなれば、不問にはできないだろう。

 都立墨東病院が関連する妊婦たらいまわしによる死亡事故でもそうだが、まるで幼児がふてくされてでうような、「ボク悪くないもん」といった責任逃避発言ももう聞きあきているはずだ。民主党は選挙戦術で銀行設立に賛成したことを率直にわび、知事の責任追求にまわれば、自民の看板も神通力を失うことになる。

 もちろん公明党も、知事支持で創価学会員の協力を得られるかどうか疑問となるだろう。そうすると、公明党は衆院選で作戦失敗の爆弾をかかえ、都議選でも別の爆弾を抱えることになる。しかもその爆弾は片方が爆発すれば、残ったもう一つも容易に誘爆する性質のものである。政界再編劇を含め選挙対策や党運営に太田代表が取りうる選択には、これからも神業的なテクニックが必要となるだろう。

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2008年10月21日 (火)

妖怪・小沢原理主義

 またぞろ小沢原理主義が頭をもたげている。前に述べたことがあるが民主党代表小沢氏の国連決議万能の「原理主義」は菅代表代行が表現したもので、外部がそう言っているわけではない。憲法解釈で、国連決議があれば武力行使ができるという小沢氏の主張がそれである。

 このところ解散総選挙風を吹かせているのは、総理大臣ではなくて功をあせる民主党の方である。政権担当能力を誇示するため、党内にあるさまざまな異論は封じ込め、小沢一極集中に専念しているように見える。しばらくは、右と言えば右、左と言えば左の状態が続くのであろう。

 そんな時、同党の直嶋行正政調会長は20日の衆院委員会で、「民主党が政権を取ればそういう方針(小沢原理主義)で作業に着手する」と、法整備する考えを示した。小沢代表は昨年来アフガンのISAF(国際治安支援部隊)参加に積極姿勢をとっており、現在の自民党政策以上に危険な発想だ。

 憲法をどう読んでも、国連決議があればいいとか武力行使をしてもいいなどと解釈できるところはない。むしろ憲法の精神はそういったことを強く戒める表現になっている。湾岸戦争の頃、そういった発想を持った一学説があったからといって依怙地なまでにそれにこだわられては、国民はたまったものではない。

 まして、現今のアフガン情勢は、過去の国連決議のはるか先を走っている。米英の現地指揮官はタリバンには勝てないといっている。またアフガン政府はタリバン勢力との妥協を考えており、すでに治安維持を妨げるならず者という地位ではなくなっている。

 また、アルカイダ追討を計る米軍はパキスタンに越境攻撃をかけ、民間の犠牲者激増を招いている。それでも、これらが国際紛争を解決する手段としての武力行使ではない、と誰が言えるであろうか。イラク、アフガンでの経緯・結末は、アメリカをはじめ世界をあげて反省の時期にきている。

 そういったとき、政局というといつも小沢原理主義の古証文が姿を現わし、民主党内の良識派や自民党を含む他党にまで怪しい波紋を広げるところが妖怪さながらなのである。その妖怪を断ち切るためには、憲法9条をすなおに解釈できる新人議員を一人でも多く当選させることである。

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2008年10月14日 (火)

守ってくれない

りょけん【旅券】外国へ旅行する者の身分・国籍を証明し、その便宜供与と保護を依頼する文書。発行者は外務大臣または領事。これを所持しない者は出入国を禁止される。旅行免状。パスポート。
     -----(『広辞苑』より)

 三浦和義氏(「元社長」というマスコミ流の呼称は不自然でどうもひっかかる)自殺の報道が各方面にさまざまな波紋をまき起こしている。同氏がサイパンで長期にわたる拘束を受けている時から理解できなかったことがあった。

 おことわりしておくが、同氏にかかわる過去の事件や裁判などについての知識や関心は、それほど高く