経済・政治・国際

2020年4月 3日 (金)

マスク2枚の効用

 1日の新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で、安倍晋三首相が布製マスクを全国5000万余りの全世帯に2枚ずつ配布すると表明したことに対し、ネット上で「マスク2枚でごまかすな」などの批判が強まっている。保守派論客の批判もあり、首相と親しい作家・百田尚樹氏が「なんやねん、それ」とつぶやくなど、首相の支持層からも不評のようだ。【大場伸也】<毎日新聞04/02>

 今度ばかりは評価する意見が見当たらない。役人が考えて考え抜いた方策とは到底思えない。「浅知恵」という言葉がぴったり当てはまる。いったいどこからでてきたのだろうか。経産省出身の官房官僚という報道もあるようだが「上意下達」以外にはなさそうだ。

 なぜ2枚なのか。

 1枚は、森友学園問題の口封じ、もう一枚は加計学園問題の口封じ用なのかも知れない。2枚ではまだまだ足りない。桜を見る会問題、検察官定年延長問題、口封じをしたい案件はまだまだ続く。

 コロナと同じ。そのうち消えてなくなることを期待しているのだろう。

 

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2020年3月24日 (火)

死に体国会

 毎日新聞は、23日の参院予算委集中審議を報ずる記事の中で「森友問題火消し躍起」と中見出しをつけ、立憲民主党福山幹事長が「安倍総理と麻生大臣は新型コロナが収束したら、真相を明らかにし、即刻責任を取って辞任していただきたい」と発言したと書いている。

 びっくりした。これだけ見ると1年先か2年先でもいいように聞こえる。すくなくとも任期いっぱい務めてください、ともとれる発言だ。

 同じ委員会で質問者の指摘を受け、首相は「国会答弁で悪夢のような民主党と答えたことはない」という発言もしている。これは、議事録に残っている事実であり、当時の報道にもある。

 「忘れていた」という弁明はできない。うそをついても言い逃れはできる、という国民を愚弄した態度なのだ。即刻首が取れる失態なのだが、野党は首相のウソに慣れっこになったのか全く緊張が見られない。

 上の福山氏の言い回しは、コロナ問題を中心に据えた集中審議だったから――という弁明があるかもしれない。

 それならば、こう答えればいい。

 森友関連や法務大臣など次々に重なるウソ答弁、即刻内閣総辞職すべきだが、応じなければ不信任決議を検討する。総辞職して我が党が内閣を受けても、コロナ対策には万全を期す用意がある――と。

 

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2020年3月19日 (木)

岐路に立たされる検察

 安倍政権は、検察長の定年延長問題で答えを出さなくてはならない期限が迫っている。そこへ、あらたに検察の権威にかかる問題が出てきた。

 森友の文書偽造にかかわる訴訟問題である。これまで業務に携わっった近畿財務局の職員が自殺していることは、早くから知られていた。

 その遺書がこの度遺族により公開され、その全文も毎日新聞などで明らかになった。公務員の手になるものだけに、詳細・綿密で、命がけで作った抗議文書であることがよくわかる。

 遺族は、これをもとに当時理財局長だった佐川宣寿(のぶひさ)氏や国に対して1億をこえる損害賠償請求の訴訟を起こすことになった。

 ここで不思議なのは、文書偽造の指示について、すでに多くの証拠が存在し、佐川氏本人をはじめ安倍首相、麻生財務相なども認めており、刑事犯罪が成立するのに、なぜか地検が起訴しないことだった。

 地検の言い分は「決裁文書から売却の経緯などが削除されたが、文書の趣旨は変わっておらず、特捜部は、告発状が出されている虚偽公文書作成などの容疑で刑事責任を問うことは困難」というものだった。

 また、これを取り上げて検察審査会が出した結論は、過半数が賛成した「不起訴不当」であり、「起訴相当」とするためにはさらに3分の2以上が必要となる。

 それでも、検察にはまだ抵抗する手があり、これを動かすには大変な労力を要する時代になった。

 今回の民事訴訟は、原則的には受けなくてはならない。それでもなお、理屈をつけて不受理とすることができる。

 要は、政府ににらまれて、人事で仕返しされるよりは、三権利分立を軽視するほうがまし、という考え方だ。そうさせないため、原告の弁護士に頑張ってもらって世論を盛り立て、裏を知っている籠池被告を含めた安倍造反者の協力や、マスコミの奮発も必要になってくるだろう。

 日本の将来のため、今回の訴訟の動きを注目していかなければならない。

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2020年3月14日 (土)

日本語崩壊すれすれ

 森雅子法相――、東北大を卒業後、アメリカに留学して弁護士資格も持つ。頭はいいかもしれないが、日本語が理解できずにつじつまの合わないことを平気で発言する。

 日本語を破壊しつくして顧みない人が法務大臣で、安倍首相は、それに注意を与えるものの、謝罪したから、といっておとがめなしになる。

 森法相は、国会答弁の中で「東日本大震災の時に福島県いわき市で検察官が最初に逃げた」とか、「震災の時、検察官はいわき市から国民が避難していない中で最初に逃げたわけです。身柄拘束をしている十数人の方も理由なく釈放して逃げたわけです」などと述べた。

 実際は、いわき支部の検察官らは当時、裁判所の要請を受けて県内の別の支部に勤務場所を一時移しており、「逃げた」は事実と異なる。

 また、勾留中の容疑者の釈放も「安定的な勾留が困難」「被害者の居所が分からなくなって最終処分が困難」など、臨時的な措置と判断されていた。

 実態を曲げた発言は、野党の糾弾・指摘を待つまでもなく、法務大臣としての責務を全うする資質に欠けるとして、退いてもらうしかなかったのだ。

 もちろん、首相の任命責任は免れ得ない。しかし「厳重注意しておいたからいいでしょ」だけで逃げてしまう。

 国会の議席数の差に開きがある野党は、追及はマスコミまかせ、最初からあきらめムード、音無しの構えだった。

 以上のほか、法相の周辺には、行政の司法介入を疑わせるような事例が続発している。

ケース1・前法務大臣河井克行氏と、妻の案里参院議員および秘書の3人が公職選挙法違反容疑で逮捕された。容疑は案里議員の選挙に当たり応援を依頼した要員に法定の倍額の謝礼を払っていた件。なお、首相が支持する案里候補には党から億を超える膨大な資金が渡っていた。

ケース2・東京高検、黒川弘務検事長の定年延長が突如、閣議決定された件である。これはケース1が裁判になった場合、首相の意に沿うことが多かった検事長を、検事総長定年後まで伸ばして検事総長に横滑りさせる下ごしらえだ、とされており本塾でも取り上げた

ケース3・これはごく最近。宮下一郎副内閣相が昨日参院で可決成立したコロナウイルスのためと称する「改正特措法」について、11日の法務委員会では、民放に対しても「放送内容について変更、差し替えしてもらうことはあり得る」と答弁。

 それを13日の同委員会で「放送内容の総合調整や指示は、放送法により行うことがではない」と、全く反対の答弁をした。

 以上いずれも、議事録や公文書など周辺証拠は整っており、野次とか私的発言などという類ではなく言い逃れはきかない。

 国会議員は、国民の意見・感覚を政治に反映させるために存在する。

 昨日の「改正特措法」審議は、与党と野党統一会派(立民・国民・社民・無所属)も賛成、与野党一致に近い議決を目指したようだが、社民は党首の福島瑞穂が欠席、立民の山尾志桜里氏は反対、その他統一会派の5名が欠席または退席した。

 これで、「日本語が守られた」というには程遠いが、国会に絶望しなくても――という気分にもなった。ややほっとしている。

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2020年3月 8日 (日)

緊急事態宣言と戒厳令

 コロナウイルス騒動の中で喧伝されている「正しく恐れる」という言葉は、「天災は忘れた頃に来る」の箴言(しんげん= 戒めの言葉)で有名な物理学者、故・寺田寅彦博士に端を発している。

 「正しく恐れる」は、最近、首相が緊急時対策として独断のもと打ち出した学校閉鎖などが非科学的である、という批判の中でも使われている。

 新立法措置で批判をかわし合法化しようとしていることについて、3回前に「安倍首相の急がば回れ」を書いたが、このタイトルでは弱い。

 今朝のTV特番を見ていたが、依然として論者がこの核心にあるものについて触れようとしない。

 それは、緊急事態宣言⇒非常事態宣言⇒国民精神総動員⇒非常時⇒戒厳令などに魅力を感じ、特権を手にしたがる政治権力者を警戒しなければならない、ということである。

 「非常時」については、寺田博士が『天災と国防』の中で書かれているので、本塾が過去に引用したエントリをリンクし補強しておきたい。

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2020年3月 6日 (金)

NATOの変貌

 NATOと言えば、ヨーロッパの反共軍事同盟という答えがピンとくる時代が去って何年たつだろう。

 性格からすると日米安保条約と類似するが、NATO加盟国は、アメリカ以外に英・仏という核保有国があり、加盟各国は軍隊を持つ点は、戦争放棄の憲法を持つ日本と大いに様相を異にする。

 NATOには、ソ連圏から離脱した小国なども含まれており、軍事的主導権は米軍が握っているので、アメリカには「守ってやっている」という意識が、特にトランプの周辺に強かったのだろう。

 ソ連が崩壊し、自由主義国家が脅威を抱いた共産主義国家はすでになく、ワルシャワ条約機構もなくなった。

 中国や北朝鮮など一党独裁の国が残っている。しかしこれらも、言論など人権抑圧が問題視されているが基本的な価値観は、自由主義に近づきつつあるようただ。

 トランプは、日本・韓国などの駐留経費と同様に、NATOの分担金大幅削減を要求している。

 EUとNATOは重なって見えるが、加盟国や組織の性格は別に考えなければならない。

 EUも、もともと国家紛争の解消を目指した組織が発展したものだが、アメリカは当初から関係がなく、途中から参加したイギリスも脱退に向かっている。

 そんな中で、イギリスが脱退したらEU内でフランスが唯一の核保有国となり、トランプの動向次第でNATOにおけるアメリカの存在感は急速に薄れる。

 これを機にフランスがNATOの主導権を得たいと思うことに不思議はない。もともと、NATOとは別に通貨のユーロ―同様、EU独自の軍隊を持つべきだという意見があった。

 フランスに主導権がわたるということに、ドイツは反対のようだ。主導権を核保有国が握る、ということだろうと思う。

 加盟国の中には、核兵器禁止条約に署名をうながす声が高まっている国も多く、世界の傾向に反しロシアとの対立を際立だるような方向は取りたくないという、メルケル首相などの考えに基づくものだろうか。

 日本の将来にも大きく関係する、ということに留意しておく必要がある。

 

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2020年2月29日 (土)

虎の威と安倍首相

 今日の毎日新聞の1面トップ記事の見出しである。

肺炎休校 首相独断
文科相反対 4時間後強行

 萩生田文科相は事務次官を通じて首相の動きを知った。大臣は、次官とともに現場で様々な問題が称するることを首相に伝えて説得につとめたが、金で解決する手もあるといって聞かず、そのまま発表に及んでしまったようだ。

 萩生田氏といえば、首相のお友達というより、その思想信条で肝胆相照らす間柄と見られていた。

 日本会議国会議員懇談会・事務局長をつとめ、神道政治連盟国会議員懇談会に籍を置く筋金入りの右翼政治家だ。

 高校在学時(早稲田実業学校高等部)に、卒業パーティーのパーティー券を売り歩いて一度目の停学、高田馬場で朝鮮高校の生徒と大乱闘になり、二度目の停学を受けたことは萩生田の自慢話となっている(Wiki)

 本人に会ったことはないが、これで見ると直情径行タイプのように見える。首相が信頼して閣僚に起用したものなら、彼の直言に耳を貸さないということが、彼のプライドをどれだけ大きく傷つけることになるか。

 森友学園の理事長だった籠池氏の場合と、ケースは違うが似た点がある。首相の明恵夫人に思想信条の上で絶大な信頼を受けた籠池氏は、小学校用地として国有地取得に便宜を得ようとする。

 ところが、申請に偽りがあったとされ、起訴されて有罪判決がおりるが、籠池氏としては、明恵氏と二人三脚で進めてきたという思いがあるのに、安倍氏側は手のひらを返すような逃げをうち、保身につとめていることに籠池氏は我慢ができなくなっている。

 互いの信頼関係に水を差し、相手の名誉を傷つけても顧みないような態度、つまり自己の利益のためなら平然と仲間討ちをするような人柄は、いずれ大きなしっぺ返しにあうだろう。

 今日は、安倍首相を心配するエントリーである。

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2020年2月22日 (土)

決裁書不要の暴挙

 昨日の夕方、黒川・東京高検検事長の定年延長をめぐり、法務省は法解釈変更に必要な決裁を取っていなかったことを明らかにした。

「文書による正式な決裁は取っていなかった。口頭による決裁だった」などと説明している。

 驚天動地の発言だ。民間で務めた経験のない高級官僚は、これが世間で通ると思っているのだろうか。

 民間企業では、規模の大小を問わず「口頭による決裁」などありえない。上司による口頭の指示があっても、それを決裁書にするのが事務員の常識なのだ。

 法解釈の変更を、口頭ですると聞けば誰でも驚く。そう思わない官僚が安倍内閣側近として存在するようなことが、戦前・戦中・戦後をはじめかつてあっただろうか。

 未曾有(ミゾウユウ)のことだ。新型肝炎「コロナ」同様、早く処置しないと命取りになる。

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2020年2月15日 (土)

内閣支持率逆転

 世論調査に一喜一憂しない、という本塾の方針だったが、今回は例外である。

 時事通信が6~9日に実施した2月の世論調査で、内閣支持率と不支持率が1ポイント以上の差をつけて逆転した。

 通信社の世論調査は、大手マスコミがそれぞれ独自の調査を行い、それを自社メディアに使うため気付かれないことが多い。

 今回の時事調査を皮切りに、他の調査も軒並み同様の傾向を示すのではないか、ということと、与野党の政治家にとっては、無関心で済まされないようなタイミングになっているということだ。活発な駆け引きが始まり、政変のきっかけになりかねないと思うので触れておくことにした。

時事ドットコムより

時事通信が6~9日に実施した2月の世論調査で、安倍内閣の支持率は前月比1.8ポイント減の38.6%、不支持率は2.8ポイント増の39.8%となった。不支持率が支持率を上回ったのは、森友・加計学園問題で政権不信が高まっていた時期の2018年8月以来1年6カ月ぶり。支持率3割台は19年3月以来。(以下略)

 

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2020年2月14日 (金)

法治国家でなくなる

 黒川弘務東京高検検事長(62)の定年が半年間延長された問題が波紋を広げている。検察庁法は検察官の定年を六十三歳、検事総長は六十五歳と規定。首相官邸に近いとされる検察ナンバー2の黒川氏を検事総長に据えようと、政府が異例の措置を取ったとの見方が出ている。

 これで思い出すのが1891年(明治24年)に起きた「大津事件」だ。

 訪日中のロシア皇太子を警備の一警官が起こした暗殺未遂事件で、驚愕した政府中央は、天皇による入院先病院見舞いの行幸を実施、犯人の死刑執行などを画策した。

 しかし、裁判所は国内法の規定に従い、無期懲役の判決を下し、法治国家のあかしを立てたのである。これは、以後司法の独立の原則を持つ近代国家に仲間入りすることに役立った。

 今回、政治が検察人事に関与するということは、法治国家の放棄を意味する。

 「桜」や「もり、かけ」と違って、法律とか国会議事録など、廃棄できない証拠がいくらでもある。政府追及に夜店の雑多市よろしく野党が競って様々な攻勢をかけるのではなく、この一点にしぼって内閣の首を取るようにしたらどうなのか。

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