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2021年2月24日 (水)

コロナ文明論

 日清・日ロの戦争が終わり大正を迎える。江戸文明も街から次第にその姿を消していく。それを文明論として表現したのが永井荷風の『日和下駄』だとされている。

 それとは全く無関係だが、現在、文明の転換期に差し掛かっているのでは、というような気分になることは多く、本塾でも触れることがある。

 配達される新聞は、薬や健康食品の全面広告などで占領される。ネットやテレビもまた然り。

 視聴者もすっかりそれに埋もれて不思議を感じなくなった。野口冨士男編『荷風随筆集』岩波文庫、からのやや長い引用だが、その点はお許し願いたい。

(前略)私は日進月歩する近世医学の効験を信じないのでは決してない。電気治療もラヂウム鉱泉の力もあながち信用しないのではない。しかし私はここに不衛生なる裏町に住んでいる果敢ない人たちが今なお迷信と煎薬とにその生命を託しこの世を夢と簡単にあきらめをつけている事を思えば、私は医学の進歩しなかった時代の人々の病苦災難に対する態度の泰然たると、その生活の簡易なるとに対して深く敬慕の念なきを得ない。(後略)

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