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2020年12月

2020年12月31日 (木)

戦争の名

 寒波とコロナが猛威を競う大晦日。外へも出られない、人にも会えない異常な年越しだ。

 反戦塾のお題は「戦争の名」。パラパラと本をめくっていたら「十五年戦争」という戦争の名が出てきた。

 1931年の満州事変勃発からシナ事変を経て太平洋戦争敗戦までの15年について、左派系の学者・論客が好んで使った名だ。

 その時代に生を受け、経緯をつぶさに見て育った塾頭としては賛成しかねる呼び方で、同じ戦争ではなく歴史に誤解の余地を残す危険がある。

 本塾では「さきの戦争」という曖昧模糊とした表現をすることが多いが、太平洋戦争、第2次大戦、終戦まで使われた大東亜戦争など一定していない。

 過去の戦争では日清戦争、日露戦争など特定の相手国つけた名でわかりやすかった。それより前の内戦では、戊辰戦争とか西南戦争など、起きた年、場所で特定している。ベトナム戦争、朝鮮戦争もその類だ。

 「反戦塾」だから、独立戦争は別として、どの名がいいという評価はしない。戦争はないに越したことはない。

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2020年12月29日 (火)

千葉県知事のウソ

 森田健作千葉県知事(71)は26日、千葉市内のホテルで、ニッポン放送「森田健作の青春の勲章はくじけない心」(来年1月1日午後6時)の収録を行った。新型コロナウイルスの感染拡大に加え、鳥インフルエンザの対応にも追われる中、リスナーに向けてステイホームを呼び掛けたものだ。

 森田氏は次の県知事選への不出馬を表明している。4月以降は大手芸能事務所サンミュージックの所属タレントとなる。同社は第1号タレントである森田氏に最高顧問への就任を打診する方針。大変な厚遇ぶりだ。

 菅総理とは盟友で、不出馬を取りざたされた14日には総理と面会し後任の推挙などいろいろ話し合っているようだ。

 それで思い出すのがテレビタレントから宮崎県知事に転身した東国原氏だ。観光客相手に人気を維持していたがその上を目指す野望があったようだ。

 森田氏もタレント→県知事を経て国政につなぎたいと考えているのなら、無理だからやめた方がいい。

 3期目だが、最初の知事選の時、剣道3段と経歴を偽った。模擬子供議会があって、そこで「知事はウソをつかないでくださいと」と指摘された。

 また、09/02には「国は親分県は子分」という問題発言があり、去年、千葉市近辺に上陸した台風15号の際は、県庁を公用車で出かけ一時行方不明になっていた。その後公舎でなく芝山町の別荘を訪れていたことがわかり、「同方面の被害状況を視察していた」というウソでごまかしている。

 日本会議に所属し、首相や前首相とそのあたりでもつながっている。外から見ているとわからないが、ウソ多発の点では共通している。

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2020年12月28日 (月)

内閣支持率2桁急落の越年

 調 査 主 体  実施月日 支持率 前回比較
日経・テレビ東京 12/25~27 42%  -16%

読売       12/26~27 45%  -16%

NHK            12/11~13   42%    -14

朝日       12/19~20 39 %  -17%

共同通信     12/5~6  50.3%  -12.7

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2020年12月27日 (日)

帰省今昔物語

  JR各社の25日~1月5日の新幹線、在来線の指定席予約状況は9日時点で前年同期比61%減。その後、22日時点で東北新幹線では予約席数が約1万席、北陸新幹線では約2万席減るなどキャンセルが相次いだ、と毎日新聞(12/26)が伝える。

  同紙は、26日が帰省ラッシュのスタート日というような書き方だった。塾頭が正月の「帰省」に当たる旅行を最後に経験してから50年ほどたつ。

 その頃は、30日が御用納めで出勤、社長の挨拶があった後退社。公休は31日から1月3日まで、4日は仕事始めでやはり挨拶を交わしただけで退社した。

 したがって、帰省は30日と4日の休暇願を出して30日から帰省ラッシュが始まったように記憶する。

 新幹線はまだなく、ホームや駅頭に長い行列ができたのは、東京では上野・東京・新宿など始発駅だった。

 早くから並ばないと座席に座れず、通路に紙を敷いて座るかデッキに立つしかなかった。それで10時間余の我慢は容易ではない。

 東京からの手みやげは、田舎にはなく東京の有名店で作り始めたスイーツ、バームクーヘンなどが喜ばれた。

 帰省者激減は新型コロナの手みやげがこわいから、というのも今年限りに願いたい。

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2020年12月26日 (土)

菅首相、しめた!!

 安倍前首相のウソ猛追で、内心喜んでいるのは実は菅首相。矛先が自身に向いてくることがあっても、答えたくないことは理由をつけて「差し控えさせていただきます」で逃げられそうだ。

 国会の関心が、年末年始を控え新型コロナ感染者激増の危機を招いた政府責任に向かわず、むしろ来年度予算に成立にはプラス要因ということも考えられる。

 解散総選挙の時期は、安倍復活の野望がくじかれ、野党の不信任案提出も見込めない。

 そうなれば菅首相の一存で最も都合のいい時期を選べばよく、任期いっぱいの可能性もでてきた。

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2020年12月25日 (金)

検察不信

・安倍前首相不起訴
 会見で謝罪「預金から補填」
        「桜」不記載 

  秘書は略式起訴 特捜部
         菅首相も陳謝

・吉川元農相収賄容疑で追及
                   便宜供与裏付けへ

・黒川元検事長「起訴相当」
     検察審査会 賭博容疑再捜査へ

 以上は12/25付け毎日新聞・東京朝刊1面の見出しの全部を書き写したもので、すべて検察官僚が関連している。

 他のページでも解説がトップ扱いで掲載されているが、それぞれ、どうしてそう判断されるのか、「秘書」とか「政治資金」など共通点があるもの、起訴、不起訴の判断はばらばらだ。

 秘書から聞いていなかったという「桜を見る会」の疑点も、起訴があり、有罪判決が出なければ「連座制」の適用を受ける恐れはない。その入り口にいる検察の腰が定まっていないということは、「法の正義」を掲げる検察の役割を放棄したことと同じである。

 庶民の近づきがたい法解釈を羅列したところで、庶民感覚とかけ離れた結論に甘んじていているようでは、責任を果たしたことにならない。

 ここにも「民主主義の危機」がある。

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2020年12月24日 (木)

思いやりは片思い

 「思いやり予算」という言葉。安保条約に基づく在日米軍家族の滞在費や基地などで働く日本人要員の労務費の一部を日本側で負担いているという程度のことはおよそ知っていた。

 この名はいかにも日本的で、アメリカの関与するところではなく、早い話が「忖度」予算のようなものと解釈していた。名づけたのは共産党という説もある。

 外務省は23日、外交文書26冊を一般公開した。この中に中国の天安門事件に対し日本が欧米とは異なり、制裁など拙速な強硬措置は避けるべきであるという方向で動いていたことも明らかになった。

 在日米軍駐留経費負担、いわゆる思いやり予算は、1989年夏の海部俊樹首相初訪米に際し、日本政府が米側に首脳会談などで議題にせず、実務者レベルでの「静かな対話」を水面下で行うよう求めていたことが文書で分かった。

 ハイレベルでの対立が表面化すれば、大幅負担増を求める声が米議会で強まり、対日圧力にさらされると警戒したためだ。

 この時は日本の交渉がある程度奏功したが、1年後にイラクがクウェートを侵攻する湾岸危機が発生すると状況は変化。米国が求める人的貢献に日本が応じられず、対米支援のための財政負担を余儀なくされていく実態が浮かび上がる。

 今年10月、来年度以降の駐留経費の交渉を始めるにあたり、トランプ大統領はあらかじめ大幅な負担増を求める姿勢を公言していた。

 バイデン新政権がこれまでの日米関係をどう取りさばくかわからない。明らかになった極秘公電などによると、89年8月30日、この問題を「外相間で話し合わせることにしたい」と米側が提案し、首脳会談で「全く提起しないという選択肢はない」と主張。

 日本側は「静かな対話の原則に反する」と反発し「提起されれば、できることもできなくなる」と再考を迫った。

 実際、翌9月1日の外相会談でベーカー国務長官は「議会から刀を突き付けられている」と述べ「創造的な責任の分かち合い」が重要だと強調している。

 このように激しい応酬がかわされ、両国の外交担当者間では、あくまでも仮の決定で、「盤石な日米同盟」という発想は、米側には存在しないと見た方がよさそうだ。

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2020年12月23日 (水)

指先文化

 読売新聞はデジタル教科書の使用に関するアンケート調査実施し、その結果を12/23に発表した。

 公立小中学校を所管する計74市区のうち、9割超の69市区がデジタル教科書の使用に不安や懸念を抱いていることがわかった。望ましい教科書の形は、62市区(83.8%)が「紙とデジタルの併用」としている。

 指先だけで済ませるなら、ノートや鉛筆など筆記用具も不要、ランドセルも鞄もいらなくなる。

 端末も見ながら通うのは危険だからというので持たせなければ、今のコロナ禍対策と同じ遠隔授業で済むということになる。

 考えただけで恐ろしくなる。本塾は、教科書を含む印刷媒体と電波媒体を比較し、新聞を含む印刷媒体が果たす知識・教養・文化への効用をかねがね主張してきた。

 さらにいえば、読んだり書いたり考えたりまとめたりするための労力は、民主主義を支える上で、身につけておかなければならない必須要件である。

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2020年12月22日 (火)

ウソ800ウソ118

 安倍晋三前首相による「桜を見る会」前夜祭に関する疑惑を巡り、衆院調査局は21日、安倍氏が2019年11月~20年3月に事実と異なる国会答弁を118回していたと明らかにした。(毎日新聞・東京朝刊12/22)

 ウソ800よりすくない118だから、まあ「いいや」などとしゃれていられる場合じゃない。

 安倍氏が自在に操ってきたと思っている官僚による調査だ。頼りにしてきた法務当局、検察・裁判官などの忖度はない。地下水脈は動いているのだ。

 河井案里参議院議員の夫の秘書に責任転嫁しようとする作戦に下された断罪は、そのまま元首相にも降りかかるだろう。

 日本の国民、官僚、選良などには、前々回に書いた「フェイクニュース亡国」を阻止するだけの健全さを残している。

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2020年12月21日 (月)

豪雪

 新型コロナの間を縫って、各メディアに豪雪被害が特記されているように感ずる人が多いのではないか。

 報道に出てくる地区の隣町にかつて住んだことがあるので、命がけの豪雪がどんなものか書いてみる。

 冬型の気圧配置が続いたため、東北の日本海側や北陸などを中心に、20日は大雪に見舞われた。午後4時現在の積雪量は青森市酸ヶ湯246cm、新潟県津南町204 cmなどである。

 天保年間に発刊した鈴木牧之の名著『北越雪譜』がある。山間部の集落では「一昼夜に積所六七尺より一丈に至る時もあり」とあり、「雪を観て楽む人の繁花の暖地に生たる天幸を羨ざらんや」としている。

 積雪量2mから2m半、3.3mに至る時もあるというから現在とそう変わらない。そんなときは中学へ通った電車も止まるので暴風雪の吹きさらしを約1里半歩いて通った。雪道は積雪をかき分けて、と思いがちだがそれは違う。人が歩くところだけ雪が固まり、まわりの雪は吹き飛ばされるので馬の背のようになる。

 学校にある低鉄棒の高さの倍以上の積雪になると、鉄棒の下の雪が先に溶けて空間ができるためか、ぐにゃっと曲がる。

 家に帰ると軒先から垂れ下がった雪が危険なため、物干しざおなどを突っ込んでまず落とす。それから屋根にのぼって雪落としが始まる。

 そうしないと、雪の重みで木造家屋はミシミシと音がし、戸障子が動かなくなる。毎年そういう大雪とは限らないが、昨今のニュースにあるような立ち往生や落雪による犠牲者の話は、当時もあったが今の方が多いような気がする。

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2020年12月20日 (日)

フェイクニュース亡国

 本当にウソがまかり通る世 の中になってなってしまったのだろうか。

 それを確かめるために必要なことは「知識」である。その知識は、信頼できる人を通じて教えられ、伝えられて社会の「良識」を形成した。

 知識を媒介するのが教科書であり、新聞・雑誌・図書であった。それにラジオが加わり、戦時中は、大本営発表というニセの情報で敗戦を誘導した。その後テレビの普及で、映像と民主主義は真実を伝えるのに役立ったように見える。

 ところが、最近は「ウソ」が市民権を得るようになった。

 その原因は、SNS(ソシアル ネットワーク サービス)の盛行がもたらしたのかも知れない。個人の情報発信が簡単になり、多くのネットユーザーの目に触れることが可能になった。

 不道徳表現は別として、その内容が真実であるかどうかのチェックはない。そこでフェイクニュース(虚偽報道)が大手を振ってまかり通り、それに同感するような反応が殺到すると、それが真実であるかのようにとられる。

 アメリカのトランプ大統領もSNSを多用し、アメリカ人の多くを支持陣営に取り込むことに成功した。

 アメリカだけではない。日本の安倍前首相の周辺にもウソが山積しているが、これを糾弾する機運が高いとは言いきれない。

 「ウソも方便」がまかり通る世の中、「大本営発表」復活を許容する国に将来はない。

 

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2020年12月19日 (土)

先進国アメリカの妄想

【毎日新聞.12月18日 東京夕刊】

 バイデン次期米大統領は1月に発足する新政権の内務長官にデブ・ハーランド下院議員(60)を指名する方針を固めた。米メディアが17日、一斉に伝えた。近く発表される見通し。上院で承認されれば先住民として初の閣僚となる。国有地や先住民政策を担当する内務省トップに先住民出身者を求める声が民主党内から上がっていた。ハーランド氏は西部ニューメキシコ州のプエブロ族出身。民主党州本部の委員長などを経て2018年の連邦下院選に同党から出馬し、先住民女性として初の連邦議員となった。 (以下略)

 これは驚いた。昔見た西部劇の映画は、西洋から渡来してきた白人が先住民の生活や土地を奪うことで戦いとなり、カウボーイハットと二丁拳銃の乗馬姿が活躍する。先住民・インデアンを追い払ったあとにアメリカ合衆国が成立する。

 1787年9月17日、現在のアメリカ合衆国憲法が起草された。集合的に権利章典と名付けられた最初の10の修正案は1791年に批准され、多数の基本的な市民の権利および自由を保証することを目的として策定された。

 それから164年後に日本はアメリカを主力とする連合国と戦ってやぶれ、敗戦国として占領下におかれた。

 東京の中心街も進駐したアメリカ兵であふれた。電車の中で習いたての英語で会話を交わしたのは黒人兵で威圧は感じなかった。

 志願兵かどうかはわからないが白人兵と同じ軍服を着ている。差別があるようには見えなかった。

 しかし、その頃米本土では乗り合いバスの席は黒人用と白人用に分かれており、その境目にある席にだれが座るかを決める権限は運転手にあった。その席の奪い合いで黒人が立たされ、それがもとで差別反対抗議運動に火が付き、キング牧師が乗り出すなど全米にひろがった。

 この問題は訴訟沙汰になり、最後は黒人のバスボイコット運動と最高裁の違憲判決で黒人勝訴で決着し、人種差別は消滅したかに見えた。

 日本の敗戦後10年もたっており、日本国憲法も定着するころだ。「土地に杭は打たれても、心に杭は打たれない」立川米軍基地拡張反対運動が高揚を見た年でもある。

 人種差別、さすが今はないだろう、と思ったら、トランプ・バイデンの選挙戦で論争の的になった。

 そこで、冒頭の引用である。バイデン新大統領が閣僚に黒人を指名、そのデブ・ハーランド下院議員(60)は、上院で承認されれば先住民として初の閣僚となる。

 それだけではない。2018年の連邦下院選に同党から出馬し、先住民女性として初の連邦議員となった人だ。

 なんと、先住民女性議員は2年前まで存在しなかったという、後進国ぶりだ。なんでも手本にしなければならない先進国というイメージはもろくも崩壊した。

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2020年12月18日 (金)

意味不明のリベラル

 最近の新聞面で圧倒的に多いのは政治・経済の話である。新型コロナ禍や地球温暖化などは社会や、科学を主にしなければならないはずだが、それも結論を政治と経済に収斂させることが多い。

 本来は、政治家が国民にとって最善の結論を追求すべきなのだが、どうもそうなっていない。

 原発や自然保護などに対する国民の意見として大きく表現されるのが、大企業社長や財界団体トップの発言である。昨今では、原発ゼロや自動車動力源の再生可能エネルギーへの転換(カーボンフリー)などへの推進意見を説く有力者や権力者ほとんど見かけない。

 反対意見を集約したりリードする野党や勢力は弱く、政治権力・財界の思いのままといった現状だ。

 かつての政治勢力は「保守」と「革新」に分かれ、国会の流れを左右する存在だった。それが昨今は「革新」にかわって「リベラル」と変わっている。

 それで、国民はわからなくなった。自民党内で保守を自称する議員は「靖国神社に参拝する議員連盟」などで区別しやすいが、「リベラル」は党名となっている自由を含んでいる。  

 ケースバイケースという意味ならいいんでは……というのが、世論調査の半数近くの内閣支持率に現れているのではないか。

 立民など野党は、リベラルを云うだけでは永久に勝てない。

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2020年12月17日 (木)

中国の海洋制覇

 前回の「台湾・マカオ・尖閣」に続くニュースとして採録した。

地図OpenStreetMapより

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 【ジャカルタ=一言剛之】太平洋のパプアニューギニアで、中国が大型の「多機能漁港」を整備する計画が持ち上がり、隣国のオーストラリアが神経をとがらせている。周辺に大きな漁場はないため、中国側の真意を疑う声もある。

 豪公共放送ABCなどによると、中国企業「福建中鴻漁業」は11月、パプアニューギニア南部のダル島に2億豪ドル(約160億円)を投じて漁港を整備する覚書を政府と交わした。

 ダル島は、豪本土から約200キロ・メートル北に位置し、豪州にとって重要なシーレーン(海上交通路)であるトレス海峡に面する。漁港を隠れみのにした中国民兵などの活動拠点になりかねないとの懸念も出ている。(後略、読売新聞オンライン)

 

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2020年12月16日 (水)

パラオ・台湾・尖閣

 太平洋の小国、パラオ共和国はフィリピン・ミンダナオ島の東とニューギニア島の北を結ぶ線上にある。

 塾頭が現役の頃、近くの席にパラオから引き揚げてきた若い女子社員がいた。あだ名は「パラオ」、明るく気さくで誰からも愛された。多分、父親が当時日本の委任統治領であったパラオで公職についていたのだろう。

 この地域に散在する小さな島々は、スペインなど西欧諸国が植民地化を競い、最後はドイツが支配する。第一次大戦で日本が戦勝国になったので梯形の線で囲ったこれらの島々が日本の委任統治領になった。

 それまでのドイツは、原住民は植民地搾取の対象であっても民生に配慮する事はなかった。かわって入ってきた日本は、子供の教育、衛生、生業などの指導に当たり、歌も教えた。適当な歌詞がなく、♪見よ東海の空開けて……が流行歌になったとか。

 いずれにしても、島民は日本を解放者として迎え、現在なお親日的な風土は変わらないという。当時は日本だった台湾からも多くの人々が住みつき、戦後いち早く台湾を独立国として承認し国交を結んでいる。

 台湾と外交関係のある国は世界で15か国、人口約1万8000人のパラオはその一つとなっている。

 台湾を自国の領土とみなす中国は以前から、パラオが台湾と国交を結んでいることに不快感を示し、中国に切り替えるよう働き続けている。2018年には非公式にパラオ観光のボイコットを呼びかけるに至った。

 しかし、台湾も国交がある国があるかぎり、国交関係を一方的に打ち切ることは、中国と対等な交渉を維持する大きなキーポイントを捨てることになる。双方にとって国威をかけた争点として譲れないポイントになってしまうのだ。

 そこへ入ってきたニュースだ。

【AFP=時事】太平洋の小国、パラオの海上保安当局(DMLE)は14日、違法操業をしていた中国漁船を拿捕(だほ)し、乗組員28人を拘束したと明らかにした。パラオは台湾と外交関係があり、外交問題に発展する可能性がある。

 中国人乗組員と巡視船の乗組員19人は、新型コロナウイルス対策としてパラオ国内で14日間の隔離措置が取られているという。パラオは世界でも数少ない、新型コロナの感染が確認されていない国の一つである。

 大中国が、国交のない島国から漁民の自由を奪われる、などと考えたこともないだろう。中国海軍を漁場近海に出撃させるという話さえ出てくる。

 そうなると、浮かんでくるのが尖閣諸島だ。尖閣も歴史的に台湾との絡みがある。パラオと事情は違うが、ここは日本とは無関係と言えない点で共通している。台湾が中国にとっていかに重要か、香港のことも絡んで腰の据わった多国間協議を模索するしか解決の方法はないのではないか。

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2020年12月15日 (火)

暮れの浅草

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 12月半ば。コロナとか雑踏といえば決まったように浅草の雷門、大提灯前がTVロケの定番になっている。暮れの浅草の風物といえば、羽子板市。17、18、19の3日間だが、あまり聞かなくなった。

 今日から「がさ市」も立つはずだが、これも聞かなくなって久しい。ネットを開いてみると、広場に何階かのプレハブ小屋を急造し、大小の門松やしめ飾りを業者向け専門で取引するらしい。

 ことばの由来として、「段ボールの箱から商品取り出すときガサガサ音がする」からとある。

 かつては、一般の人が通りに面したテント張りの店でささや松でできたしめ飾り対で買った。

 ささの葉の音のガサだ。言い値で商談が成立すると「おめでとうございます」と言いながら手拍子を打つのは羽子板も同じだ。もちろん観音様にはお参りをして帰る。

 最近は行ったことがないが、浅草の紹介が提灯と人力車だけというのはちょっと寂しい。

 92年前の今日、米中国交正常化が発表されたが、100年近くたっても角の突きあいが解けそうにもないのも寂しいことだ。

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2020年12月14日 (月)

SLの名称

 今日14日は、1975(昭和50)年、国鉄のダイヤに沿って北海道の室蘭-岩見沢間で蒸気機関車(SL)が最後の旅客輸送をした日である。

 現在でも観光地に向けて、動態保存されたSLによる臨時運行があるが、かつて主に支線で活躍した名機C11が使われることが多い。前に一度書いたような気がするが、テレビのカットによく使われる新橋駅前広場に展示されているのがそれだ。

 機関車としては小型の部類で、愛称はシーチョンチョン、Cはアームのついた動輪が片側3つあることを示す。

 Dは4つあって、D51は動輪の口径は小さいが多くの貨物車両を力強く引っ張ることができる。太いボデーや底力のある汽笛の音にも人気があった。愛称はデゴイチ。

 そして東海道本線で特急「さくら」「ふじ」などを引っ張ったのがC57。これは先頭の機関車より最後尾の展望車の方に注目が集まる。機関車は動輪の数が少ないだけ口径が大きくとれ、スピードが出せた。

 そのほかかABCのつかないクンロク(96)などと称する数字だけの機関車もあり、これは大正時代から生き延びた系統を受け継いでいる。支線の主力機として長く活躍した。

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2020年12月13日 (日)

コロナと福島、一緒にするな

12/13(日) 5:03配信・読売新聞オンライン

政府は来年度、東京電力福島第一原発の周辺12市町村へ移住する人に最大200万円の支援金を出す方針を固めた。来年3月で原発事故から10年になるが、12市町村の避難指示が解除された区域の人口は、住民基本台帳登録数の2割にとどまっている。避難者らの帰還だけでなく、新たな移住を促して地域の復興再生を進める。(以下略)

共同通信(12/12配信)

政府が、福島県沖に設置した浮体式洋上風力発電施設を全て撤去する方針を固めたことが12日、関係者への取材で分かった。東京電力福島第1原発事故からの復興の象徴と位置付けて計約600億円を投じた事業で、民間への譲渡を模索していたが、採算が見込めないと判断した。経済産業省は、来年度予算の概算要求に撤去関連費50億円を盛り込んだ。再生可能エネルギー関連の産業を推進する福島県にも痛手となりそうだ。

浮体式洋上風力発電施設は2012年から、原発事故で一時全町避難となった楢葉町の沖合約20キロに3基を順次設置した。最大の1基は今年6月、不採算を理由に撤去済み。

 政府はGoToキャンペーンの無駄使い逆効果批判に、どこまで意地を張り通すつもりか。毎日新聞が今日発表した世論調査によると内閣支持率が菅内閣の支持率は40%で、11月7日に行った前回調査の57%から17ポイント下落した。不支持率は49%(前回36%)で、菅内閣発足後、不支持率が支持率を上回ったのは初めて。

 海上風力発電をお役所でやっても採算割れになることは目に見えていた。原発の周辺12市町村へ移住する人に最大200万円の支援金。

 これも、金のバラマキ。地価の高騰が目に見えている。儲かる人は誰だろう。こんな税金の使い方をする政府はかつてあっただろうか。

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2020年12月12日 (土)

中国新大使に期待

 在外大使というのは、赴任した相手国に精通しているのがいいのか、ほどほどの知識しかなく、相手国からなんでも学ぶというという誠意で接した方がいいのかわからない。

 昨日(11日)、 新しい中国大使に着任した垂(たるみ)秀夫氏が記者会見し、日中関係について、「いつでも意思疎通ができる関係を構築したい」と抱負を述べた。

 当面する課題である尖閣諸島の中国側の領有権の主張については、「まったく受け入れられない」と強調。また、延期されている習近平国家主席の訪日は「具体的な日程調整をする段階にはない」とし、目新しい点はない。

 そこに何も問題はないのだが、垂氏が中国の人脈・政情その他、彼の右に出る人のいない程精通、熟知しており、それがかえって中国側を警戒させるのではないか、と言われている。

 彼の勤務歴でそれを見よう。

 垂大使は外務省で中国を専門にする、いわゆる「チャイナスクール」の出身である。

 外務省入省後、それまでまったく学習経験のなかった中国語を専門の語学に選んだ。以来、南京大学への留学を経て、赴任地は北京、香港、台湾という中国語圏のみ。台湾は2回、北京での勤務は今回で実に4回目となる。

 彼自身が述懐しているように、中国に入れ込んだのは、隣国というだけでなく、歴史・風土・言語その他、持って生まれた中国マニュアのようだったということだろう。したがってそれぞれの勤務先で多くの友人をつくり、会食・旅行から入浴まで共にするという親密な関係を構築できたし、仕事の上でも役だっという。

 大使ということになると、そうはいかない。彼がこれまで得た知識や人脈が前向きに評価されるような成果をひたすら願うだけだ。

 

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2020年12月11日 (金)

思いやり予算の行方

毎日新聞(12/11)

 政府は2021年3月に期限を迎える在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)について、暫定的に21年度当初予算案に20年度とほぼ同額の約2000億円を計上する調整に入った。米側が大幅増額を要求したため、年内合意は困難と判断した。合意がないまま予算を計上するのは異例だ。

 日本はトランプ政権との協議を継続するが、実質的な交渉は21年1月のバイデン次期政権の発足以降に持ち越す構えだ。(以下略)

 アメリカの次期大統領バイデンが、日米安保にどういう姿勢を示すかよくわからない。オバマ時代の副大統領だから、当時の政策を継続するだろうというのが大方の見方のようだが、中ロとの背景や中東情勢なども大きく変化している。

 トランプのあとだけに、内政の変化は目に見えるものとなることは当然として、外交には変化を見せないという選択ができるだろうか。

 菅首相に、それに向けた臨機応変の措置がとれるような心の準備があるとは到底思えない。

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2020年12月10日 (木)

スタンドオフ能力敵基地攻撃能力

 前回、この夏ごろまで政府・与党を中心に盛んに議論されていた「敵基地攻撃能力保持」は、国内で新型コロナの感染が再拡大した秋以降対応に追われて下火になったほか、安倍首相退陣、米国の大統領選の結果もあって、自民党内でも「バイデン政権の発足後に日米間の安全保障政策をすり合わせた上で与党協議などの環境を整えればいい」など先送り論が強まった、と書いた。

 なんと、これは1日で撤回しなければならなくなつた。こんなことは本塾開設以来初めてである。

 岸防衛大臣は、防衛力の強化として、開発中の地対艦誘導ミサイルの射程を長くし、敵の射程外から攻撃できる「スタンド・オフ・ミサイル」を新たに保有する方針を明らかにした上、9日に開かれた自民党の会議で、同ミサイルの開発費を来年度予算案に計上する方針を明らかにし、了承された。

 スタンド・オフ・ミサイルといっても、前回も指摘したように素人にはピンとこない。敵基地攻撃能力とどこが違うのか。

 「我が国への侵攻を試みる能力が向上した艦艇等に対し、相手方の脅威圏外から隊員の安全を確保しつつ対処が可能」な能力という説明になっている。

 どうやら、敵の射程距離圏外から長射程・高精度で攻撃できる能力を有するミサイルを今後5年内に開発する、ということのようである。早く言えば巡行ミサイル同様、どこからでも発進できどこへでも行ける能力を持つ優れものだ。

 つまり、「敵基地攻撃能力」という具体的な攻撃目標を日本語で示した言葉と、一般的な能力を英語で言った違いだけである。

 こういった「まやかし」政治に、日本の民主主義はどこまで耐えられるのだろうか。

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2020年12月 9日 (水)

必要な軍事目的の研究

 政府が配備を断念した地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の代替策として、「イージス・システム搭載艦」2隻を新しく建造する方針であることがわかりました。

関係者によりますと、新たにつくられる艦船はイージス・アショア用に契約したレーダーやミサイル発射装置を載せた護衛艦型で、弾道ミサイル防衛を基本的な任務とします。

その一方で「対艦・対潜機能等をどの程度搭載するか」は「引き続き検討する」としているため、現在の案では通常のイージス艦と区別して「イージス・システム搭載艦」と呼ぶことにしています。

以上は【日テレNEWS24 ロゴ】(12/08)の伝えるところである。

 一方、秋以降には国内で新型コロナの感染が再拡大し、政府・与党が対応に追われて下火になった物騒な話に「敵基地攻撃能力保持」がある。

 安倍首相退陣のほか、米国の政権交代も大きく影響しており、自民党内でも「バイデン政権の発足後に日米間の安全保障政策をすり合わせた上で与党協議などの環境を整えればいい」など先送り論が強まった。

 何より公明党の賛成が得られる見込みが立たない、という本音の部分も透けて見える。

 頭書のイージス・アショアの話は、最初現有している海上自衛隊の軍艦以外に、同様能力を持つ陸上施設を秋田・山口両県に設置する計画が地元の反対運動の高まりで断念に追い込まれ、それに代わる構想として取り上げられていたが、敵基地攻撃能力の議論のもとで影が薄くなっていた。

 本塾は頭書の案に賛成する。

 理由第1は、憲法違反濃厚の「敵攻撃能力保持」の断念である。「自衛」は国が本来持つ基本的権利であっても、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」を置き、国の交戦権を認めず武力による威嚇又はその行使を放棄する、憲法を持つ。

 理由第2は、敵からの先制攻撃や反撃の口実を防ぐこと。米軍なら出来そうに思うことでも、日本が憲法違反を疑われるようなことをしない限り、日米安保も相互に両国憲法を遵守する義務がある。日本の領土・領海内での行動には制限がある。

 理由第3は、弾道ミサイルは大陸間(ICBM)など大型なものは、北朝鮮のように軍事パレードに使う以外は実用性に疑問があり、中短距離弾道ミサイルを警戒しなければならないようになった。

 しかし、イージス艦の機能は、敵基地攻撃能力を越えて日々改良改善される余地がある。敵基地の監視や電波妨害、領土・領空・領海でミサイルをとらえることは至難の業とは思えない。

 とはいえ、塾頭は専門知識のない素人である。菅内閣が目の敵にしている日本学術会議は、「軍事目的のための科学研究を行わない声明」を1967年にしている。これはぜひ撤回して、国民の役に立ってほしい。

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2020年12月 8日 (火)

事故続発と経済

 CNNによるとケニア西部で総工費1200万ドル(約14億円)をかけて中国企業が建設していた橋が、完成を目前にして崩落したことが4日までに分かった。

 また、中国中央テレビによると、4日、重慶市西部・永川区にある炭鉱で一酸化炭素濃度が上昇する事故があり、坑内で作業中だった24人が閉じ込められ、1人は救助されたが23人の死亡が確認された。

 中国の経済発展の勢いが止まらず、一帯一路プロジェクトでアメリカと覇を競う勢いに到っていることは、安全保障上新たな東西対立を思わせる状況を生んでいる。特に新技術を伴う個別案件については米中間の経済戦争が始まっているといってもいい。

 そこで、冒頭の中国技術による事故続発のニュースである。

 日本では、こういった事故が占領終結・講和条約・朝鮮戦争勃発後に続発したことを想い出した。

 日本がIMF8条国に移行し、円が国際通貨として認められるようになったのは1964(昭和39年)で、東海道新幹線が開通し東京オリンピックを開催した年である。

 その前年63年11月9日に三井三池三川炭鉱で炭じん爆発が発生し、戦後最悪となる458人の犠牲者と839人の一酸化炭素中毒患者を出した。同じ日に国鉄東海道線鶴見付近で死者161名、負傷者120名を出した鶴見事故が発生したことと合わせ、「血塗られた土曜日」「魔の土曜日」と呼ばれた。

 続けて84年1月18日の有明坑坑内火災事故(三井有明鉱火災事故)が発生し83人が死亡している。

 このほか、北海道の産炭地・夕張でも炭鉱ガスによる事故が前後して起きて、石炭産業衰退から石油系へのエネルギー転換につながっていった。

 政府は現在もなお石炭や原子力に未練を残している。前述で教訓としたいことは、高度成長を目前にすると、旧来の工法の改善や安全対策を怠りがちで、事故を招きやすいことである。

 それから、残しておいても将来につながらない投資は、いさぎよくやめてしまうことである。

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2020年12月 7日 (月)

「尖閣」は前向きに

 今日7日の毎日新聞朝刊に、「尖閣、なぜ日本領か=山田孝男」と題した連載コラム・風知草が掲載された。こう書き出している。

尖閣諸島に中国公船が押し寄せるのは「日本の漁船が入ってくるから」だと中国の王毅外相が言った(11月24日、日中外相会談後の共同記者発表)。

耳を疑うとはこのことだが、敏感に反応したのは共産党、産経新聞と自民党の右派だけだった。(以下略)

 同時に政府与党をはじめ、野党第1党の立憲民主党や大手大メディアの反応が乏しいのはなぜだろう。中国特有のパフォーマンス発言で、多分に中国国向けたものと解釈して軽視しているからだろうか。

 日中外相会談後の共同記者発表という、公的立場からの発言であることは明白である。これに対する茂木外務大臣の反論は聞こえてこない。ということは、対外的には半ば肯定しているようにも見られる。猛省を促し、更迭を考えてもいいほどだ。

 中国は、尖閣諸島を古来日本が実効支配していることを知っているはずだ。かつて、鄧小平首相が、直ちに解決できないことは、次世代にゆだね、孫・子の知恵にゆだねよう、といったことがある。

 逆に中国の支配下にあったことは一度もない。あるとすれば、中国の朝貢国であった琉球王国の支配下にあったとか、台湾漁民が尖閣近海で漁撈に携わり避難港にしていたなどをあげるが、そんなことでは、日本の各種証拠に対抗できない。

 台湾が日本の国土であった時代に台湾漁民がやってくるのは当然だし、明治時代には「台湾住民は中国国民ではない」と公式に宣言していたこともある。こういった史実を上げなくても中国側にはわかっているはずだ。

 しかし、主張すべき主張をしないままにしておくことの危険は計り知れない。中国の狙いが漁業権や鉱業権の共有にあるとすれば、むしろその方に向けた方がいい。

 それが日本にとってすべてマイナスになるとは限らない。仮にそんな提案をしてくれば断るか改善交渉をすればいいだけで、現状が果てしなく続くよりいい。

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2020年12月 5日 (土)

中央官庁の仕事

 厚生労働省は4日、新型コロナウイルスに感染した10代女性が死亡したという集計結果を公表した。

 非常に珍しいケースで、世界からも注目されてもおかしくないニュースになる。ところが少女の居住する自治体に確認したところ誤りだったことが発覚し、公表から約6時間半後に取り消した。

 新聞報道によると、感染者の情報は、同省の委託業者が都道府県から聞き取ってデータ化しているが、この入力作業で「死亡」と誤った可能性が高いという。

 厚生労働省はこんな大切な仕事を、役人ではなく委託業者に任せているのか。いや、大切だからこそ、間違いのないよう専門の外部組織を使っているのか。

 入力ミスなど単純ミスがないよう二重チェックするのは、だれがやっても同じ作業である。

 それすら省くような業務委託をする中央省庁の体質は、安倍内閣以来いたるところで見られる官僚の任務放棄、税金のむだ使いだけでなく、役人への利益誘導さえ疑われてしまうのである。

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2020年12月 4日 (金)

おさまらぬ中東情勢

 前々回「イランの核と日本」という題で書いた。イラン核科学者の暗殺事件を危惧し、「日本は欧州などと連携し、イランに報復を思いとどまらせるよう外交努力をすべきだ」というのが結論である。

 ところが、3日の毎日新聞・東京夕刊に次のような記事が載った。

イランで2日、核開発の大幅な拡大を政府に義務付ける法が成立した。国営テレビが報じた。イラン核合意の制限破りを加速する内容で、穏健派ロウハニ政権は強く反対していたが、11月の核科学者暗殺事件を受け国会の保守強硬派が押し切った。来年1月の米国の政権交代を機に、米国の合意復帰と制裁解除を期待するロウハニ政権は難しい対応を迫られる。バイデン次期米大統領は核合意復帰の条件として、イランの合意順守を挙げる。「反イラン」のイスラエルなどは米イランの関係改善を警戒するが、イランが実際に合意破りを進めれば米国の復帰は困難になる。【共同】

 ロウハ二師は大統領である。しかし、国の進路を決めるようなことは、最高指導者が国家元首に相当する官職として新設され、ホメイニ師に次ぐ第2代の指導者をハメネイ師とした。

 国会の保守強硬派がハメネイ師に判断を任せるのか強行突破するのかは、報道ではわからない。仮にロウハ二師の意に反する行動をとればクーデターとなり、中東情勢はかつて見ない混乱や戦火が飛び交うことになる。

 続報が待たれる。

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2020年12月 3日 (木)

新聞媒体頑張れ

 「対外的に公表してぉらず、お答えは差し控えさせていただきます」。

 これだけ見ると菅さんか内閣官房のコメントかと思うだろう。はずれ。朝日新聞広報部による政府答弁の盗用である。毎日新聞3日付けベタ記事「■朝日新聞社が300人希望退職募集へ」の中にあった。

 同業他社の取材にこんな返事をするようでは、かつて、朝・毎・読・日経・産経と5大紙のトップにおかれた同紙の権威も形無しである。

 新聞各社がネットなどに移行する広告料の減収や、購読者の減退などで苦境に立たされているのはわかる。

 世界情勢や経済動向、国内政治・世論の動きなどの詳細を手早く知るために、新聞という印刷媒体は欠かせない。

 新聞は情報源の主食である。国論を担う重要な役割があることを忘れないでほしい。

 SNSや電波媒体に取って代わられる、そんな恐ろしい時代がやって来ないよう、各紙の奮起をうながしたい。

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2020年12月 2日 (水)

イランの核と日本

 「イラン核科学者の暗殺 地域安定揺るがす暴挙だ」というテーマが今日の毎日新聞社説として掲げられている。

 このテロリズムは2010~12年、イランで少なくとも4人の核科学者を殺害したとされることに始まり、今年7月にイランのウラン濃縮に関係する施設を攻撃した疑いにもつながる。

 外電は、それらの現場の模様を各社各様に伝えているが、イスラエルの工作であり、米有力紙も米政府情報当局者の話として、イスラエルの関与を報じていることについては共通している。

 イランは、有力な証拠がありイスラエルの仕業と断じている。一方、イスラエルでは一切攻撃に触れることなく、報道の中には高度化した自動兵器によるもので、物的証拠を残さないよう徹底しているというものもある。

 イスラム教の鉄則は「目には目を」である。物的証拠がないからその鉄則を反故にしてもいいという理屈は成り立たない。

 イスラエルは、それを待っているように思える。社説でも次のような仮説を立てている。

米国のトランプ政権はイラン核合意から離脱し、親イスラエル姿勢を鮮明にしてきた。バイデン次期大統領は条件付きながら、核合意へ復帰する意向を示している。

米国の新政権誕生でイランの核開発が再び進むことを、イスラエルが懸念した可能性がある。

イランが今後、イスラエルを報復攻撃した場合、バイデン氏はイランに寛容な政策をとりにくくなる。イスラエルがそれを狙ったとの観測もある。

そして次のように結ぶ。

イランはまず、容疑者を特定し、真相の解明を優先すべきだ。その上で、外国の政府や組織の関与が明確になった場合、国連を通じて問題解決を追求してほしい。

 真相を明らかにしないままイランが報復した場合、国際社会の批判は免れない。それは暗殺を実行したグループの思うつぼだ。

 日本は欧州などと連携し、イランに報復を思いとどまらせるよう外交努力をすべきだという結論は、本塾のかねてからの主張に一致する。

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2020年12月 1日 (火)

日本の外交責任

 菅首相は外交に弱いと言われている。というより、大所高所に立ったものの判断ができない人のように見えてきた。肝要な質問には、差し入れられる紙がない限り「差し控えます」の連発だ。

 アメリカの大統領選のケリが着いたら、バイデン氏がアジアに向けてどんな政策を打ちだしてくるか。トランプ・安倍のように「アメリカのポチでいます」というわけにはいかなくなるだろう。バイデン氏は飼い犬で怪我をしている。

 これまで中国・北朝鮮の弾道ミサイルに焦点あてるだけでよかった。これからのアメリカ外交がオバマ時代の東西対立から一歩も出ないということは考えられない。大国は米中の間の争いとなる。

 その場合、太平洋・インド洋の制覇というようなことがこれまでも言われてきた。しかし、これは海軍の勢力争いだ。

 日本はアジア外交に責任がある。ところが、韓国‣北朝鮮との関係改善をはじめ、中国の香港・台湾の一国二制度の行方が気になるが、座視するだけでいいのか。尖閣問題は話し合いの糸口さえ見いだせない。

 アセアン唯一の王制・仏教国として生まれ、日本に近いとされたタイが連日のデモに揺れており、東アジア連携に不安の影を落としている。

 日本の位置・役割がこれまで以上に問われる時代になったのだ。「外交に弱い」だけでは済まされない。

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