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2020年5月13日 (水)

冷戦思考では先に進まない

 日本の防衛政策について、13日付の毎日新聞が久々に社説を掲げている。結論は「日本は対米追随から脱し、米露に中国を加えた新たな時代の軍縮交渉の実現にこそ努力すべきだ」である。

 本塾の主張に一見似ていそうだが、実現の当てのない机上の空論だ。東アジアの地政学的分析が全くないといってもいいからだ。おそらく、防衛・外務両省、自衛隊などの取材がもとになっているのだろう。

 社説は、ヨーロッパにおける緊張緩和が目的で米露間にあった中距離核戦力(INF)全廃条約失効を受けて、中距離ミサイルを日本に配備するという案が浮かんでいることについてである。

 中国は、前述の条約に拘束されないため、2000発近くのINFを保有していた。日米をはじめアジア地位にはそれに対抗するミサイルは1発もない。アメリカは、性能アップも兼ね、これを埋めようというものだ。

 秋田・山口両県におけるイージス・アショア(ミサイル探知陸上基地)も、攻撃目標とされるという地元の強い反対で、見通しが立っていない。そのような中で米軍にINF網を構築させようという案だ。安倍政権では先の見えない負担増をおして、どこまで反対できるか疑問である。

 頭書の新時代に向けた「軍縮交渉」に各国が乗って来るはずがない。アメリカは中国の海洋進出の歯止めにしたい、中国は台湾独立のけん制がある、ロシアも沿海州に危険が及ぶので簡単には乗れる話ではなく、軍縮交渉がまとまる機運は全くない。

 唯一日本が乗り出してまとめるチャンスがあったのが、北朝鮮と韓国の接触とアメリカのトランプ大統領が乗り出したとき、日本は6か国協議再開を提案し、朝鮮半島と日本を非核地帯宣言に組み入れることだった。

 ロシアのプーチンは、去年4月に6か国協議再開を提案している。障害となっていたのは、安倍首相の北朝鮮敵視の冷戦思考と、朝鮮半島と日本を1エリアとする構想に韓国が拒絶反応を起こす可能性だった。

 冷戦思考といえば、北朝鮮と中国、それにロシアは共産国で日米が対抗するべき国という発想である。経済がその壁をとり除いているという分析がない。それだけではなく、北朝鮮と中国、ロシアと中国の間には抜きがたい不信感が存在し、中国は北朝鮮の核保有を絶対認めたくないという立場だ。

 日本の政治家は、そういった地政学的発想を故意に避けようとしているのではないか、という気がする。

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