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2020年5月 8日 (金)

「くに」とは何か

 イラク、シリア、トルコ、イランからなかなか戦火が絶えない。ISが消滅したような観測があるが、そう簡単にはいかないだろう。ISはイスラミック・ステートの略であるがステート即ち「国」の概念は、現在一般化している「国家」と全く異なるものである。

 現在の「国境」「民族」を超えるもので、宗教共同体」とも違う。国連の加盟単位にもならない。それが国家以上の軍事的脅威になっていた。その宗教上潜在する戦闘性、団結力はいつ復活してもおかしくない。

 この地域で、これと全く違う戦闘が起きているのが、クルド民族と域内や周辺国家との間で散発する戦争である。

 クルド族も、世界で最大の人口約3千万人という「国」を持たない民族で、イラク・シリア内や周辺国に散在し、「国」としての独立を希求するが、国連をはじめ、表向き支援する国はない。

 そこで「くに」とは何かということになると、日本は以上の観点で見るとあいまいなところがありながら、海で隔てられているだけに、紛争は避けやすい。日本国憲法が規定する国籍があるから、「日本人」ではない。

 昭和前半の時代まで「お国はどちらで」と聞かれ、「薩摩です」とか「越後です」と答えるのは普通だった。日本語の「くに」の語源や意味はどこにあるのだろう。古事記や日本書紀を見ても神話の最初から出てくるので相当古い言葉だ。調べてみたが諸説があって定説となりそうなものはない。

 そこで、日本書紀を見ると最初に出てくる「くに」は、

開闢(あめつちひら)くる初に、(くに)(つち)の浮れ漂へること、譬へば游魚の水上に浮ける猶し。

とあり、水と陸で区切られた洲を、魚の浮かんでいる姿に例えそれを国としている。続けて

時に、天地の中に一物生れり。状葦牙(あしかび)の如し。便(すなは)ち神と化為る。常立尊(くにのとこたちのみこと)と号す。

と書いている。

 「くに」も、なんとなく頼りない表現だが、国が限られた地理的な位置・範囲をであることと、そこを支配する「ひと=神」の関連を指している言葉であることがわかる。

 最初にISやクルド族のことを書いたが、「くに」の形は、海に浮かぶ大八洲とは違い、簡単に線引きはできないし、人の構成も複雑だ。ISと違った意味で「くに」とは何かが問われている。いきなり「国民国家」を目指すのではなく、「くに」の範囲と支配する「ひと」を区別をし、摩擦をさけながら自治区を形成していくしかないのではないか。

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コメント

そこに海洋系や南アジア系の血や言語も混じるのでややこしくなるようです。

投稿: ましま | 2020年5月 8日 (金) 20時23分

「極東アジアを中心に存在するモンゴロイドという人種の国家、それが日本国。」
と言ったら、変ですかね?

投稿: 玉井人ひろた | 2020年5月 8日 (金) 17時13分

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