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2020年3月 5日 (木)

安倍首相の急がば回れ

 新型コロナウイルスの感染がさらに拡大した場合に備え「緊急事態宣言」を可能にする法案の早期の成立を目指すことに安倍内閣は懸命になっている。

 与野党の党首会談を通じて早期成立を目指しているが、野党側にさしたる抵抗はない。

 安倍首相の下心が別のところにある、という論調は全く見えてこない。現行憲法を変えたいという安倍首相の執念を軽く見ているからだ。

 大日本帝国憲法には「戒厳令」の規定があった。内乱・戦争・天災等国家的な危機が発生した場合、既存の法令にとらわれず緊急事態に当たっていいとする、特殊な国家権力である。

 これは、軍隊の最高指揮者指定とともに、憲法に明記されることが外国の例でも多く見られる。

 大日本帝国憲法第十四条では「天皇ハ戒厳ヲ宣告ス」とだけ記されており、二二六事件では、これが発動された。

 緊急事態には軍隊を使えるというのが、いわば常識になっている。日本には、軍隊がないのでそんな条項はない。自然災害など緊急事態への自衛隊出動は、自治体の長の権限として要請される。

 「緊急事態宣言」という言葉が法律にでてきたのは、平成24年の民主党政権時代で、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」という時限立法に始まる。

 しかしその前、同年4月に自民党の日本国憲法改正草案に「国家緊急事態宣言」という言葉が使われていたのだ。

 そこでは、9条の自衛軍創設に合わせ、98条・99条にこの改正案の骨格をなす条文が位置づけがされていた。

 その宣言がなされる条件として、

・外部からの武力攻撃

・内乱等による社会秩序の混乱

・地震等による大規模な自然災害

・その他の法律で定める緊急事態

そして緊急事態宣言がなされた場合、次の段階へと向かう。

・内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定する事が出来る

・何人も公の機関の指示に従わなければならない

・衆議院は解散されない 

・議員の任期及び選挙期日の特例を持たせることが出来る

 などを明記している。

 安倍首相は、コロナウイルス対策として、現有の「新型インフルエンザ等対策特別措置法」ではあきたらず、コロナウイルス対策に便乗して、緊急事態宣言の強化を先取りし、9条改正への地ならしをしておこうという魂胆であるとしか思えない。

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コメント

玉井人ひろた さま

この関連の法案は、民主党政権時代、主要な権限を地方自治体、特に県知事が負うことになっていますが、自民は国(内閣)レベルに引き上げ全国に号令できる制度を目指して改定交渉に当たりました。しかし、合意に至らず保留されたままになっています。
共産党をのぞく野党の腰が定まらない原因がそこらにあるようです

投稿: ましま | 2020年3月 8日 (日) 15時17分

今まで国会を無視し、閣議決定でおこなっていたのに特措法だけ野党の同意を得ようとする姿勢に憶測が飛んでいますが、
一番は「初動対応の失敗を野党にも共有させようというのが狙いだ」
という考えが、最も的を得ている気がします

投稿: 玉井人ひろた | 2020年3月 8日 (日) 07時59分

(追記)公明は法案了承を見送る方針を固めたようです

投稿: ましま | 2020年3月 5日 (木) 17時50分

和久稀世 さま
戒厳令のないアメリカ憲法のもとでは、トランプさんでもこんなに怖くはありません。
公明党と共産党に期待というのも情けない話です

投稿: ましま | 2020年3月 5日 (木) 17時02分

安倍総理に緊急事態宣言を許したらどうする!!
って、いくら言っても、今の野党は・・・・・

怖いですね~
怖いですね~
って、私たち国民は淀川長春さんの真似でもするしかないのでしょうか?

投稿: 和久希世 | 2020年3月 5日 (木) 16時48分

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