« 建国記念の日 | トップページ | 各国指導者の露出度 »

2020年2月12日 (水)

自衛隊の力

 改憲論者の中に「自衛隊は憲法違反とする学者が多いから、憲法に明記すべきだ」という理由をあげる者が多くなった。

 ちょっと前まで「命がけでことに当たる仕事をしているのに明記してない」とする意見が主だったが、本塾は、警官や消防士でも命がけで仕事に当たっているのに、どこが違うのか、と書いたものだ。

 最近は、912項をそのままにして、3項で安保法制を強行採決した時の論理にそうような条文を加えるという、安倍私案が跳梁している。

 本塾は、もともと自衛隊を憲法違反とは思っていない。設備などは、ミサイル防御システムのイージス体制、監視システム、短距離用の戦闘機、へり空母などの装備、或いは最近の島嶼不法占拠対処に備えた海兵隊のような組織など、予算から見ても軍隊といわれて反論しにくい規模だ。

 それをさらに複雑化しているのが「日米安保」である。講和後、アメリカ占領軍が撤収せず、冷戦激化の機運を受けて駐留を続けることになった。

 ただし、日本国内における革命勢力の破壊活動防止など、日本の治安維持のため「警察予備隊」を自前で持つように要請され、それが「保安隊」に名を変え、さらに「自衛隊」へと改組された。保守政権にとって将来軍隊の母体となる野望が当時からあったとしても不思議はない。

 しかし、岸首相が改定した新・安保条約は、日米両国が互いに両国憲法尊重の義務を課しているので、それに反することはできないことになっている。

 だから、安倍内閣が作った安保法制により、自衛隊が、日米安保条約を理由に米軍と共同行動をとった場合、9条などにとらわれない米軍と行動を別にしなければならない事態が生ずる。

 日本はアメリカに守ってもらっている。だから協力しなければならない。そこで思考停止するので、沖縄をはじめとする基地問題解決が遠のいてしまう。

 繰り返すが、日米安保では憲法遵守を前提に置いている。そこで、条約の様々な矛盾を法的に合理化させるための道具が「地位協定」など2国間協定で、できてしまうと条約と同じ効果を発揮し、どうかすると憲法の上をいく。

 そういった事態を回避するため、従来は、我が国に集団的自衛権は存在するが行使できないという政府の見解を、安倍内閣は法制局長官の首をすげ変えて「行使しうる」に変えてしまった。

 そうすると、自衛隊が憲法違反行為に巻き込まれる可能性が限りなく増大する。

 つまり、自衛隊員は非常に不安定な状況に立たされていることになる。言葉は悪いが、いつもの安倍首相のズルイ手口だ。こうしておいて、一挙に法改正に持ち込まれるのだ。

 この際、野党は、自衛隊の存在を認め、装備は、航空母艦はダメ、長距離爆撃機はダメ、ICBMはダメ、活動範囲は、領土・領海をこえない、国連の認めない公海での活動はダメ、国連が取り上げる核・生物・化学兵器、地雷などの禁止賛成といった、自衛隊活動制限規範を作って自民に対抗すべきではないか。

 本来なら、軍事機密に属することだが、集団的自衛権を解除し、軍隊でないのであれば隠しておくことに意味がない。

 集団的自衛権に頼らなくても、日本の自衛を担保するために、他国攻撃戦力のない現在の自衛隊規模や、平和憲法さえあれば、自衛には十分だ。

 

|

« 建国記念の日 | トップページ | 各国指導者の露出度 »

安保」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 建国記念の日 | トップページ | 各国指導者の露出度 »