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2020年1月17日 (金)

中東情勢の急変貌

 イスラエルとイスラム圏各国との衝突による中東戦争が勃発したのは、第2次大戦がおわってから3年目、1948年である。

 石油を武器とするOPECの結成で世界経済をゆるがし、イラン・ホメイニ革命で米大使館が占拠されて以来、イラク戦争、アフガン戦争などアメリカは紛争介入が絶え間なく続き、ロシアの後方支援もあってイラク・シリア・アフガン・リビアなど分裂国家だらけとなった。

 その、最後に出現したのが、既存国家の枠を超えたISの跳梁である。

 ISは、既存国家である米・ロをはじめ、シーア派の本家イラン、同じスンニ派ではあるが、王国のサウジ、軍事独裁政権のエジプトから、寄ってたかってつぶされてしまった。

 ここに、戦後かつてなかったような変化が中東に起きようとしている。

 イスラム人口の9割を占めるというスンニ派の元締め役である、という自覚がサウジにはあった。

 それは、コーランがアラブ半島が中心となるアラビア語だけで唱えられ、他語への翻訳は許されていないこと、ムスリムの義務である聖地・メッカ、メジナが国内にあり、巡礼者への便宜供与をシーア派信者も含めて保証しているなどの自覚をよりどころとしている。

 それには、王国であってもスンニ派を統合するため「普通の国家」とは違うという立場が必要であった。つまり、国際舞台に立つようなことは、できるだけ避けてきたように思える。

 中東湾岸3カ国歴訪でサウジアラビアを訪問した安倍首相は、ムハンマド皇太子の招きで首都リヤドから約1000キロ離れた、世界遺産の古代遺跡「マダイン・サーレハ」を見物した。

 この遺跡の古さは、中国やエジプトなどに存在する世界最古の文明発祥の地としてもいいほどのものであり、もちろんマホメットなどは存在しない時代である。

 サウジは、この史実を国民教育に使うことはせず、観光地化も避けてきた。

 ところが、今年の主要20カ国・地域(G20)の議長国として、同国はG20観光相会合をこの古代遺跡近郊のウラーで開く予定にしている。

 皇太子は、アッラーのお恵みである石油資源がこの国を支えるという、これまで続いた慣習では国が持たないことを知っている。

 そこで、観光立国に舵を切り替えようとしているように見える。

 イランとアメリカの動向を、このところ書き続けてきたが、イラク・シリアの情勢も様変わりし、石油を軸としてきたアメリカの撤退も、遠くないような機運になってきた。

 安倍首相が、そんな変化をどこまで感じ取っているか、外務省の役人のアドバイスだけでは心もとないような気がする。

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