« 2019年9月 | トップページ | 2019年11月 »

2019年10月

2019年10月31日 (木)

国際人材を有為に

 

 10月も今日が最後日、22日には国連高等弁務官事務所のトップなどを務めた緒方貞子さんが他界した。IAEA(国際原子力機関)天野之弥(ゆきや)事務局長がなくなったのは7月22日である。

 国際公務員は、安倍首相の指示を受けることなく、世界人類の平和を掲げて仕事をする。緒方さんは現場主義で、防弾チョッキをまとい紛争地の難民の声を聞くなど、その行動は尊敬だけではなく、日本人としての誇りでもあった。

 天野さんは、各国の原子力政策の違いからすべてに歓迎されるという結果は生まれないが、核拡散防止の査察など、当事国の信頼がなければ果たせない仕事がある。

 唯一の原爆被爆国出身者としての責任、これも信頼を得る上で大きな支えとなったはずである。そのほか、明石康国連事務総長、小和田恆国際司法裁判所判事なども活躍の実績が残っている。

 ところが、日本の国際公務員の少なさがこれを帳消しにしている。

 国連の拠出金の分担率はアメリカ、中国に次いで日本は8.5%の3位。国連機関で働く職員の数が日本は、1,071人で25位となっている。

 国連を目の上のこぶにしているトランプ大統領は、すでに問題視し始めた。日本もこれに同調し、国連軽視を加速させるのではないかと心配している。

 日本の国際的地位が、国連やノーベル賞に支えられていることを忘れてはならない。

| | コメント (0)

2019年10月30日 (水)

雨上がり

 

Dscf3559

 雨被害報道の続く千葉県に、何日ぶりかの一日晴天の日差し。

| | コメント (2)

2019年10月29日 (火)

シリアの混沌

 ISの最高指導者、アブバクル・バグダディが、シリア国内で米軍に隠れ家をつきとめられ、穴に逃れたところで子供と共に自爆で死亡した。

 トランプ大統領は、「世界はより安全な場所になった」と例により自画自賛したが、逆になることの方が心配だ。

 毎日新聞は、今日の社説で「テロの脅威はなくならぬ」というタイトルをつけたが、その点の意見は一致する。ただ中身はアメリカマスコミの論調を意識してか、一貫性がない。

 過激思想に感化された若者が世界中から集まり、外国人戦闘員は3万人を超えたというという現象について「多くは格差に不満を持ち、孤立を感じていたとされる。バグダディ容疑者が死亡しても、こうした社会の病理を解決しない限り、過激思想に共鳴する人は後を絶たないだろう」と分析する。

 「社会の病理」とイスラム、バグダディを安易に短絡させるだけで、アラビア語で表現されるコーランがどうして過激思想になるのかの説明は省かれている。

 新聞はバグダディに「容疑者」という呼称をつける。テロ犯罪の指揮者という面だけで宗教指導者という側面を無視している。

 アメリカ・マスコミの論調は、アメリカのシリアからの軍撤退は急ぐべきではない、ISの復活を助けるだけになる、というものであった。

 毎日社説も「米軍は責任をもってシリアでの治安維持にあたるべきだ」としている。ところがそれに続けて「イスラムとの対話を通じテロの温床を排除する努力が必要だろう」という。

 スンニ派原理主義の代表格はISで、スンニ派大国のエジプト・サウジはアメリカの友好国であるが、テロを排除する力はない。

 バグダディは、カリスマ性はそれほどないという情報もあり、ISのよって立つところは、「原理主義」という論理だったのだ。バグダディを殺しておいて、だれと対話するのか。

 もう一方のイスラム・シーア派の代表格はイランである。これは、アメリカと戦争になるか、と危惧された相手で話し合う土壌がない。

 こういった八方ふさがりの中では、ロシアとシリア・アサド政権が主導権を握る可能性に目を向けるほかないのではないか。

| | コメント (0)

2019年10月28日 (月)

靖国なら秘書持参でOK

 前経産省香典疑惑「議員辞職を」というのが共同通信世論調査の結果であった。

 有権者の通夜に本人が香典を持っていくのはいいが、秘書に届けさせるのは法違反になり処罰を受けるということで、菅原一秀経産相は辞任だけでなく議員辞職を求める意見が48.3%に達するという。

 今月17日から4日間行われた靖国神社の例大祭に、安倍首相は、「真榊」と呼ばれる鉢植えの供え物を奉納し、本人は参拝しなかった。

 終戦記念日には、自民党総裁として私費で玉串料を納めている。奉納物には「内閣総理大臣安倍晋三」という表示がありテレビにも映しだされる。秘書に届けさせるのだろう。

 信仰の自由がある限り参拝は自由だ。しかし総理大臣が特定の宗教法人である靖国神社に金品を届けさせるのがどうして違反にならないのか、香典とどこが違うのか不思議である。

| | コメント (2)

2019年10月27日 (日)

風水害の新知識

 東日本大震災に続くのが、どうやら「東日本大水害」か「令和元年大水害」と呼ばれるような状況になってきた。今回の水害で、東日本大震災を、津波被害と放射能漏れ被害を区別して考えなくてはならないのと同様、浸水被害と、土砂災害被害を区別して対策を練る必要があると思う。

 浸水は、河川、排水など、殷夏の時代から国家施策の第一任務、「治水」にぬかりがなかったかどうかを、厳しく点検しなければならない。

土砂災害は、危険予測と警告・強制避難などに甘さがあったのではないか。

 塾頭散歩の途中で、日頃感じていたのは、急斜面でなくとも、晴天続きの道路を越えて地下水が流れているようなところ、急斜面で中の空洞が見えるような老木とか、杉の木だけの植林に頼っている場所などに危険を感じる。

 新造成地でも危険を感じないようなしっかりしたものがあるが、工事の最中というのはやはり危ない気がする。

 行政に頼るだけでなく、住民の意識も大切だ。今回の経験を活かし、風水害による停電も電力会社に責任があることを明確にした方がいい。

| | コメント (2)

2019年10月26日 (土)

中国がサッカーに弱いわけ

 前回、北朝鮮と韓国のサッカー試合が平壌であったが、実戦は乱闘、見物人ゼロ、韓国選手の扱いはまるで犯罪人という状況に触れた。

 ネットで独裁者の国はサッカーが弱いという意見を見た。中国のことだが、サッカーの試合は個人の判断でとっさの動作を決める、試合中に上の指示は受けられない。自ら最適な判断を下す訓練ができていないのが社会主義国、というものだ。

 サッカーはやらないので、本当のことはどうかわからないが、日本では監督の「つぶしてこい」の一言で、相手の大学選手を背後から猛タックルして問題になり、結果として廃部に追い込まれたケースがある。

 独裁者(国)とスポーツの強弱は、関係ないように思うが……。

| | コメント (2)

2019年10月25日 (金)

反日競争は逆効果

 10月15日に平壌「金日成スタジアム」で行われたサッカーW杯カタール大会(’22年)アジア予選、北朝鮮対韓国の試合は荒れに荒れた。北朝鮮選手はラフプレーの連続。両チーム入り乱れての、大乱闘まで起きたのだ。試合(0対0のドロー)が終わっても「あの暴力的なプレーはなんだ!」と相手を罵り合い、サッカーでは恒例となっているユニフォーム交換もなかった。(後略)

 以上は、フライデー・デジタルによる。5万人収容の金日成スタジアムには一人の観客もおらず、韓国主将は、「無事に帰国できただけでも奇跡だ」という扱いだつたという。

 金正恩は、金剛山にあった韓国の友好観光施設の撤去も指示している。

 板門店で文大統領と華々しく演じて見せた統合へのパフォーマンスは、田舎芝居にもならない恥を世界にさらしたことになる。

 その後、文を相手にしないような素振りが北から漏れていたが、もはや元へは戻らないだろう。8月12日に、「北朝鮮、対話は米と」 題して、北はこの時点で文大統領の本音が南北統一の主導権を握りたいとする野望があり、それを実現する有力な武器が「反日競争ではないか」と書いた。

 しかし、このところの日韓関係の抜き差しならぬ状況を引き起こし、それが国際世論はもとより、国内からも批判があって政権基盤に疑いを生じるようになった。

 北は、反日競争には乗らず、文外しで韓国の地位が低下し、できれば米・北朝鮮主導の形にした方がいいと悟ったのだろう。

| | コメント (0)

2019年10月24日 (木)

北方領土

 前々回まで領土問題を2回続けてきたが残るのが北方領土になる。安倍首相は、最初エリツィン大統領との交渉を楽観視していたようなそぶりを見せていたが最近は沙汰やみの気配である。

 尖閣・竹島と違って大勢の人が住み、国際問題や歴史が複雑に絡んでいることから、トップの思い付きで解決できるとは思えず、たして2で割るような妥協は危険である。

 その詳細を書くいとまはないが、米英中との戦争の末期に、ソ連が日ソ友好条約を一方手に破棄し、言葉は悪いがヤルタ会談による千島分与という闇取引があって、火事場泥棒的に参戦した経緯がある。

 これは、第一次大戦以後の国際規範に背く不法なもので、ロシアの内部にもその点を突く意見があるという。ソ連は、8月15日を過ぎてから4島を軍事支配し、9月2日の降伏文書調印にも参加しなかった。

 こういった原点をあいまいにしたり、歴史的事実を隠蔽した妥協は、両国にとって百害あって一利ない。その点、韓国の徴用工問題で原理原則をゆるがせにしてはならないことと、相通ずる。

| | コメント (0)

2019年10月23日 (水)

警察犬投入

 テレビを見てたたら、水害被災地のがれきの山の周辺を駆けめぐる犬。

 字幕に「警察犬投入」と出た。

 人命捜査にかかわる犬なのに、「投げ入れ」と同じ漢字表現では失礼だ。

 せめて「登入」と変更できないか。

 

| | コメント (0)

遠のいた竹島問題+即位行事

 前回、尖閣問題で中国と話し合うチャンスをさぐれという文を書いた。領土問題ではあと竹島と北方領土がある。

 韓国が戦後になって李承晩ラインを引いたことにより、島根県の竹島は韓国が実効支配、そのまま続いている。

 この場合も、明治以前は所属がはっきりしていなかったことや、日本が武力を行使して取り返すということもできないため、占有実績を認めざるを得ない。そのかわりに、日本の入会権も確立するというような解決方法を考えたことがある。

 しかし、それはなくなった。徴用工問題、慰安婦問題など話しあって何かを決めても、後であっささりほごにされるような国とは、まともな交渉ができない。

 文政権に大きな転換がなければ、動こうにも動けないという大問題の解決の方が先になった。

 その韓国からも天皇即位祝賀行事に親日家で知られる李洛淵(イナギョン)首相が参加した。

 191の国・機関が参列したということは、世界のほとんどの国が参加したと言っても過言ではない。

 世界は、天皇が平和憲法を国民統合の象徴とする存在であり続けようとしていることと、即位礼がその確認の場になることも知っている。

 その中で日本共産党が欠席し社民党も4議員のうち3人が欠席した。その感覚の鈍さは、これまた世界級である。

| | コメント (0)

2019年10月22日 (火)

自衛隊・中国海軍の共同訓練

 NHKや毎日新聞によると、海上自衛隊が中国海軍と16日、関東南方沖で共同訓練を実施したとということが、昨日の海上自衛隊発表でわかった。

 中国海軍との共同訓練は2011年12月以来8年ぶり3回目で、日本近海側では初めて。海上自衛隊の観艦式の接待に応じたものの台風で中止になつたため、即応の対処だったらしい。

 反戦塾にとっては大ニュースだが、ほとんど目につかない扱いになっている。8年ぶりといえば、尖閣列島を日本政府が民間地権者から買い上げ、国有化したにの中国が猛反発し、解決できない領土問題の様相を呈して以来、ということになる。

 この機を逃してはならない。中国監視船の侵犯などが続いているものの、中国は、歴史上の先取特権と事実上の占有を暗に認めたともとれるのである。

 日本側も、台湾漁民が出漁していたことや、かつて中国と大陸棚開発で話し合った事実を踏まえ、同島嶼の非軍事化や漁業権、鉱業権などについて、友好的な話し合いの道を開くべきだ。

| | コメント (0)

2019年10月21日 (月)

世界の常識と逆の韓国憲法

 徴用工問題に関連して『[新版]世界憲法集、第2版』岩波文庫、より収録。

【スイス連邦憲法】
第193条 全面改正⓸国際法の強硬規範は、侵害してはならない。
第194条 部分改正⓶部分改正は、事項の統一性を保持しなければならず、国際法の強硬規範を侵害してはならない。

【フランス憲法】第54条[違憲の国際協約と憲法の改正] 憲法院が、共和国大統領、首相、いずれか一方の議員の議長または60名の元老院議員の提訴に基づき、国際協約が憲法に反する条項を含むと宣言した場合には、当該国際協約を批准あるいは承認する許可は、憲法を改正した後でなければなしえない。
第55条[条約の法律に対する優位] 正規に批准もしくは承認された協定は、相手国による当該協定もしくは条約の適用を条件に、公布と同時に法律に優位する効力をもつ。

【大韓民国憲法】
附則 第5条[憲法施行当時の法令および条約の効力] この憲法施行当時の法令および条約は、この憲法に違背しない限り、その効力を持続する。

  先輩国の国際法優位が常識となり、日本の憲法では、「国際法規の遵守」と規定するだけですが、韓国憲法は国内法優先のように見えます。

| | コメント (2)

2019年10月20日 (日)

パクスアメリカーナの終焉

日仏、イラン金融支援

イラン、サウジに接近

 上が今日の毎日新聞1面トップ記事見出し、下が同紙国際面トップ記事の見出しである。

 世界の軍事・経済を一手に支配してきたアメリカが、ついにここまで落ち込み、だれも予想しなかったような大転換が今始まろうとしていることを示す記事だ。

 パクスアメリカカーナはいつからか、を特定するのは困難であるが、中東関連に限れば1947年に米系メジャーズの合弁会社アラムコのサウジ進出と1954年イラン進出以来、つまり第2次大戦を経て世界の石油資源独占体制を確立した時期に重なる。

 本塾もたびたび触れてきた。イランはホメイニ革命があり、米大使館を長期間学生に占拠されるという屈辱を受けて以来、不倶戴天の敵である。

 イラクとは、反イランで一時同盟関係にあったが湾岸戦争以来、イラクを壊滅に追い込み、ISがイラク・シリアの混乱に乗じて勢力を持つとこの対策のため、引くに引けなくなった。

 この間隙をついて、イランの革命防衛隊が着実に勢力を伸ばし、核開発能力を有していることも、イスラエルにとってもっとも警戒すべき相手国になった。

 米欧とイランの6か国で核兵器抑止の条約があったのを、トランプが一方的に破棄、厳しい経済制裁とペルシャ湾で軍事力展開をする目的で同志国を募るなど、一触即発の状態であった。

 その中での、日仏のイラン金融支援は、アメリカの政策に真っ向から対立し、イランを力づける。

 もう一つの記事、サウジはイスラム教聖地メッカ・メジナを領土内に置き、つねにイスラム・スンニ派の盟主として振るまってきた。

 それに異を唱えるのがシーア派のイランである。この両派の対立に妥協の道はない。つねに戦争の危機をはらんでおり、イエメンでは両派の武力抗争のさなかにある。

 アメリカは、それを利用して旧来から密接な同盟国であるサウジに肩入れし、イランをけん制してきた。

 その、イランがとサウジと接近というのは、両国ともアメリカの力を見くびった、あるいはアメリカから得るものは何もない、ということが露見し始めたということか。

 日本も、いろいろ考えなくてはならない時期に来ている。

| | コメント (2)

2019年10月19日 (土)

「恩赦」の不透明

 政府は、天皇の即位礼に合わせて55万人の恩赦実施を閣議決定した。

 ずいぶん人数が多いなと思ったら、戦後の恩赦についての一覧表(1997年犯罪白書などで作成)が毎日新聞に載っていた。

 13回の恩赦があって、その総人数は約4千万強にのぼり、1回につき平均300万人あまりというのは、日本の人口から見てもちょっと信じられない数字だ。

 1回の恩赦で1000万人を超すのが明治100年記念と昭和天皇大喪の礼の2回あった。

 その基準は至ってあいまいで、同紙の法務省への取材では、「検討に制約を受ける」として詳細を明かさない一方、政府関係者は「やはり先例が大きく、あうんの呼吸で決まった感じはある」と話したと伝える。

 それにしても、明治100年に前例などはないし、「天皇、皇后両陛下のご結婚」の1277人と1千万を超える数の差の説明はつかない。

 不透明さを突く野党の意見も聞いたことがないが、慶弔にかかわることであれば、おおよその基準を作っておくのが世間の常識ではないか。

| | コメント (2)

2019年10月18日 (金)

災害と自治体の責任

Map_top1_20191018082901

 前回、気象庁による竜巻の避難情報はお役所的で、「頑丈な建物」への移動など非現実的でむしろ危険、と書いた。水害による浸水や土砂崩れなどは別で、これらについては、自治体の出すハザードマップを最大限活用すべきだと思った。

 しかし、なかなかそうはいかない場合もある。写真は江戸川を隔てたところにある東京都江戸川区のハザードマップの表紙である。

 「ここにいてはだめです」、「浸水のおそれのないないその他の地域へ」というコピーと共に、同区の地図から赤い太い矢印が、千葉県、埼玉県、茨城県、東京西部、神奈川県方面に向けて、区民の全員避難を促すような絵が描かれている。各自であらかじめ避難先を決めておいて、という趣旨だが、これもまた、なんと無責任のことかと驚いた。

 しかし、実際にネットで中身を確認してみると、行政側では、被害が予想される1日前の情報提供に始まり、それに対する行動は、時間を区切って現実の行動がとれるように細分化したものになっていて、もろもろの選択肢も示されている。

 もちろん自己の判断にゆだねる部分は多いが、区が真剣にとり組もうとしている姿勢はうかがえる。

 これだけのものを区民が知悉しきれるのか、という不安も残るが、それだけに読んでもらおうという一念で、このショッキングな表紙を思いついたのだろう。

 

| | コメント (0)

2019年10月17日 (木)

竜巻避難情報

 台風19号が上陸してから5日目になるが、被害情報が依然としてトップクラスにある。

 千葉県は死者1名であるが、気象庁はその原因を竜巻によるものと断定した。

 死亡した男性は横転して破壊された車の中から発見されている。当日、竜巻注意報は朝から県内一円に出ぱなしであった。

 当日マスコミで繰り返されたことは、「注意報・警報等に留意し、自分の身は自分で守る……」であった。

 気象庁のホームページには

竜巻注意情報 が発表された場合には、まず簡単にできる対応として、周囲の空の様子に注意してください。そのとき、空が急に真っ暗になる、大粒の雨が降り出す、雷鳴が聞こえるなど、積乱雲が近づく兆候が確認された場合には、頑丈な建物に避難するなど身の安全を確保する行動をとってください。

とある。「頑丈な建物に避難する」タイミングとしてはすでに遅いのではないか。

 車の中でなくなった男性は「頑丈な建物」に行こうとしていたのかも知れない。徒歩で出ても落雷の直撃を受ける可能性がある。

 第一、「頑丈な建物」とは何を指すのだろう。普通なら避雷針のついた鉄骨鉄筋造建築を想像する。

 近所になければ車での移動となる。この現場近くでは、木造家屋の多くが屋根を飛ばされるなどの被害を受けている。けが人は出たが、死んだ人はいない。被害者は、多分頑丈な家だと思ってはいなかっただろう。

 戦時中、空襲警報が出て爆撃機の音が聞こえたら、防空壕のない家庭では、押し入れの下の段を開け、布団をかぶるようにした。

 竜巻注意報は「危険を感じたら家から出ないでください」が正解だと思うが、現在の気象庁情報提示は、いかにもお役所仕事的ではないか。

| | コメント (2)

2019年10月16日 (水)

戦争と米国民の意識

 ネットを手繰っていたら、『アメリカはなぜ戦争に負け続けたのか』と題する図書(中央公論新社・刊)の紹介が目についた。著者は、米戦略国際問題研究所シニアアドバイザーで元軍人のハーラン・ウルマン氏である。

 本書では、歴代大統領の資質不足をその原因としており、「ケネディ、レーガンにも十分な資質があったとはいいがたいが、カーターにはそれがほとんどなかった。そしてさらに深刻なのは、1992年当選のクリントン以降の4人の大統領である」と訳者の中本義彦氏が解説する。

 気になるのはトランプ大統領だが、著者が「常識」の持ち主と評価するマティス国防長官とマクマスター国家安全保障補佐官はすでに事実上解任されている。本書の米国での刊行予定が、トランプ大統領の就任から間もなかったこともあり、十分な記述はないが、最近の4人の中でも「トランプほど政治経験の乏しい大統領はいない」とシビアだ。

 それで、我が本棚に、油井大三郎『好戦の共和国アメリカ』岩波新書、というのがあるのを思い出した。

 この方は、対先住民戦争にはじまり、植民地戦争、独立戦争からイギリス、メキシコとの戦争、南北戦争など内戦から2度の大戦を経て、冷戦とパクス・アメリカーナ、対テロ戦争とほとんど切れ目なく続いており、いつも「デモクラシーを守る」という口実が戦争の口実として使われてきたことを説明する。

 その一方でアメリカには、クエーカーのように戦争を原理的に否定し、徴兵を拒否する反戦派や、防衛戦争などは肯定しつつも、戦争は「最後の手段」として自制しようとする「状況的非戦派」が多数存在する。

 好戦国であったがために、同国で最も多いのがこの層であるというのが油井氏の結論で、軍隊の組織・編成や指揮命令系統、戦意の有無から、対戦相手との装備・戦力比較に至るまで、専門的知識のレベルは想像以上に高いという。

 そこが大戦前の日本との大きな違いで、アメリカ国民が議員選出や大統領にだれを選ぶかにかかってくる。

 前掲書は、そういった選択を豊かにするための参考類書リストに大きなスペースを割いて、負ける戦争再発に歯止めをかけようとする意図を明確にしている。

 安倍政権が強行採決した安保法制のように、アメリカについていればいい、というのとアメリカ国民のレベルには雲泥の差があるようだ。

 防衛大臣、外務大臣にはお友達でなく、すくなくともアメリカ国民並の見識を持つ人材を配してほしい。

| | コメント (0)

2019年10月15日 (火)

トルコと韓国

 国際報道の中で、トルコによるシリア内のクルド族攻撃は、シリアアサド政権によるトルコの反撃、ヨーロッパ諸国のトルコ非難、そしてアメリカによる対トルコ経済制裁など、塾頭が想像していたように四面楚歌状態になった。ロシアの動きは報じられていないが、アサド政権の後見で地中海に海軍基地を確保する上でもトルコの肩を持つはずがない。

 本塾は日本の出る幕はないと予測したが、トルコが強気で中央突破する道は閉ざされたとしていいだろう。

 遠いところでも、パワーポリティクスとか地政学的観測といった想像は可能である。

 ところがお隣の国、韓国では注目の的であった曺国(チョグク)法相が電撃的に辞任を発表した。就任から35日目、検察改革法案を自ら発表してからわずか3時間後のことである。

 自ら検察改革断行を理由に、家族の不始末とは別という、日本ではちょっと考えられないような強硬姿勢だった。それを支えるはずであった文大統領は、はしごを外された態であるが、より反日路線を強化して突っ切るかもしれない。

 トルコのような観測を働かせようにも、韓国は国際情勢を左右させるような手持ちのコマを自ら放棄してしまった。反日国民感情にも限界が見えはじめている。

 同じ隣国間の角逐であってもトルコ、シリア関係とは様相を異にする。韓国が何を言い出すかによって、マイナーな2国間関係に矮小化されてしまった。

 それが解決への道をかえって見えなくしている。

| | コメント (2)

2019年10月14日 (月)

公器・新聞の危機

 明日から新聞週間が始まる。それなのに今日が休刊日なので、明日の朝刊は配達されない。毎日新聞とか日日新聞などの社名が示すように、かつては休刊するのは、年に2日とか多くとも数日以内であった。

 休刊日は毎月あり、祝日など公休日がやたら増えたので夕刊のない日もふえた。それなのに値上げの声がちらほらする。

 消費税の上乗せのないのがせめてもの救いだが、皮肉の一つも言いたくなる。

 新聞週間は、戦後まもなくGHQの指示で創設されたものだ。民主主義と自由を定着させるため、新聞が果たす役割を高める啓蒙活動である。今年も、その線からの議論や分析が行われるものと思う。

 一方で、情報源は映像やネットという新メディアに押され、若者を中心に購読戸数減少からくる経営難も噂される。まさか、政府の助成を受けるわけにはいかないだろう。新聞には他のメディアでは果たせない機能と任務がある。

 新聞週間の行方が気になるところである。

| | コメント (2)

2019年10月13日 (日)

虫の居所

 「C(シー)エレガンス」。この言葉を知らない人はこれから先、時代に取り残される。

 塾頭も目にしたことはあるのだろうが、物理学・科学・生物学・医学の中に学術用語と共に出てくると何のことかわからずに読み飛ばしてしまう。

 必要かつ大切な知識を、さりげなく補ってくれるのが新聞の一面下段のコラム欄である。毎日なら「余禄」、朝日は「青鉛筆」などと題している。

 そこで今日の「余禄」が、C(シー)エレガンスをわかりやすく取り上げ、問題提起の材料に使っている。それを要約してみよう。

 C(シー)エレガンスは体長1ミリの線虫の一種で、その泳ぐ優雅な姿から「エレガンス」の名が付いたという。

 分子生物学の泰斗、シドニー・ブレンナー博士は1963年、生物の発生過程を調べるため、この線虫を使うことを提案した。どの細胞がどう分裂するか、どの神経がどんな行動を担うのかを20年かけて調べて、精密な生命地図を作ったのだ。

 高等生物だが構造がシンプル。体が透明で観察しやすい。飼育が簡単なうえ、生きたまま凍結保存できる。謎の多い生命現象への答えが、この「生きた試験管」から次々と生まれた。

 オワンクラゲから発光物質を見つけた下村脩(おさむ)さんのノーベル賞にも、このCエレガンスが貢献した。

 来年には、この線虫の鋭い嗅覚を利用したがん検診が日本で始まる。がんの有無が、ステージ0でも高精度で分かるという。がん特有の尿のにおいを好み、近寄ってくるのだ。

 尿は1滴を提供するだけで済み、9800円で15種類のがんを一度に調べられるという。

 塾頭は、大腸がん摘出手術を経験しているが、血便検査で陽性なのに、がんの発見が遅れたこともあって内視鏡やCTの検査を何度も受けている。

 この先、医療費や検査費用の軽減と相まって早期発見による長寿化が進み、これまでにない社会現象を生みそうだ。

 虫の居所を気にしなくてはならない新時代が到来したのだ。

| | コメント (0)

2019年10月12日 (土)

手におえないトルコ

 3回前に米軍のシリア撤退で、アメリカや日本に「そうするとトルコがシリアでIE壊滅で活躍したクルド族がトルコの攻撃を受け、せっかく取り戻したこの地域の和平が台無しになる」、という反対論があることを紹介した。

 塾頭は、トルコ国内のクルド族の独立志向をけん制する必要があるにしろ、弱体とはいえアサド政権下にあるれっきとした国家である。そう露骨なことはするまい、と思っていた。

 ところがトルコは、それを待っていたかのように国境を侵し、米軍去った後のクルドを攻めて死傷者まで出している。

 この攻撃を協議するため国連安保理は、臨時の会合を開いた。

 トルコの軍事作戦を懸念する点では一致したが軍事作戦中止については温度差が浮き彫りになった。

 会合を招集した英国やフランスなどはトルコを強く非難した。ヨーロッパ6か国代表は、地域の安定を脅かすトルコに軍事作戦の停止を求めて声明を発表。

 トルコの軍事作戦は、トランプ大統領の黙認や同意の結果だとの非難を意識してか、米国もトルコの軍事作戦を支持しないとの立場を示した。

 こういった、国連や各国の反応の鈍さは、わかっていたものの「やっぱり」である。本塾は、昔から親交のある日本が間に立てないのかといった書き方をしたが、取り消す。

 日本に、トルコを相手にするような能力はない。かつてのオスマン帝国は、アラブから地中海を取り巻くような巨大イスラムの盟主であった。黒海ではロシア艦隊と覇権を争い、近くはキプロスの半分を勢力圏に置いてギリシャと対峙し、一方でNATO加盟国になるなど、日本の手におえるような相手ではない。

| | コメント (0)

2019年10月11日 (金)

台風と塀の文化

 明日の「記録的被害をもたらす可能性のある台風」接近に伴い、マスコミはさかんに事前の準備・対策を呼び掛ける。言われているようなチェックは一応済んだつもりだった。ところが昼前、意外なところに危険が見つかった。

 ブロック塀である。50年近く前のものだが、ブロック塀倒壊で倒壊による小学生の人身事故が起きた時も「うちのは、背も低く鉄筋・セメント・支柱など基準どおり作っているから、大丈夫で放置しておいた。

 今日見つけたのは、隣地と敷地に段差がある一面で、隣地から見れば大人の背を優にこす。

 上から3段目ぐらいまで続くヒビがあった。押してみるとぐらぐらする。やばい!。60mの風なら崩れてもおかしくない。

 早速、下段の風穴を使って麻ひもで括り付け、応急措置をとった。

 ブロック塀は戦後に普及した。それまでは板塀が主で、豪邸には大谷石を積んだ塀などが贅沢とされてきた。ブロックは安い材料を流し込んで大量生産が利く。重くないので工事も簡単だ。

 それに、当時はしゃれているという感覚もあり、石や煉瓦のように長持ちするはずだった。

 それが、古くなると黒ずんでもろくなり、表面がぼこぼする老化現象もあるのだ。東日本大震災程度の揺れがあればひびが入るのも当然だろう。

 ♪粋な黒塀見越しの松……は、お富さんの隠れ家。

 かつて塀は外からの目隠しに役割があった。蒸し暑い日本では家の戸障子は開け放し、縁台で夕涼みが必要だった。

 戦後は塀は低く、庭を見通せるようにするのがはやりだ。ブロックは使っても鋳物やアルミのしゃれた柵の土台として使う程度、つまりアメリカ風が主流になってきた。

 今度改造するときは、それにするのかなあ、などと考えている。自然災害と文化は切っても切り離せない。

| | コメント (2)

2019年10月10日 (木)

日本版ビーナス誕生

Dscf3548

 奈良の唐子遺跡といえば、弥生時代最大の環濠遺跡として名高い。これまでも軒先にぜんまい型の飾りをつけた高床式建物絵画の描かれた土器が発掘され、遺跡を象徴するビジュアルとされてきた。

 写真は、同遺跡から発掘された土器片に描かれた新たな人物像として、今日の毎日、朝日などに紹介されている。

 弥生中期(紀元前1世紀)頃のものとされ、胸の乳房や広げた腕の下にひれ状の飾りをつけた「鳥装」があることなどから、女性シャーマンの絵とする学者の説を加えている。

 女性シャーマンなら、文献に現れる最初が卑弥呼で、これより3世紀ほど前の絵ということななる。

 この絵が、古事記、日本書紀の神話、「あまてらす」の存在を暗示することになるかどうか。

 古代史マニュアにとっては、小泉信次郎ではないが「セクシー」な発見である。土器片にある彼女は、日本版ビーナスになりそうだ。

| | コメント (0)

2019年10月 9日 (水)

米軍シリア撤退反対社説(毎日)

 日本のオピニオンリーダーとしては、なんとも不可解な社説である。多くの情報を整理・分析してその中からより正確な真相に迫り、読者にアピールするのが社説の役割だ。

 毎日の今日の第一社説のタイトルは、「米軍のシリア撤収方針 地域の危険招く無責任さ」である。

 要旨は、アメリカのIS掃討作戦でシリアのクルド族が地上軍として加わり、壊滅状態に追い込んだのに、米軍が撤退すると、国内にクルド族をかかえ、その独立志向(または自治権拡大)になやむトルコから越境攻撃され、米国の盟友が危機に陥る、というものである。

 さらに、IS戦闘員が復活したり、米軍の後ろ盾を失ったクルド人勢力が、ロシアやイランの支援があるアサド政権に接近、反米勢力を拡大させることになりかねない、という理由を挙げる。

 同じ新聞の国際面トップに、ワシントン特派員から送られた、米軍撤収、共和からも批判 シリア北部「クルドへの裏切り」、と題する記事がある。

 米国民や野党が、トランプ大統領の人気取りのために、これまで払った犠牲や戦費を台無しにしかねないような撤退に反対するのはわかる。

 撤退には、周到な環境整備や関係各国との合意を作っておくことも当然なことで、アメリカ国民が、傀儡政権のためにシリアやアフガン、イランからの早期撤退に反対しているわけではない。むしろ逆であろう。

 毎日社説は、ワシントン発の記事をもとに作ったのではないと思うが、「仮にこうなればこう」という話をつけたしただけ。

 クルド族が住む地域は、イラン・シリア・イラク・トルコ等にまたがっており、独立国を持たない最大の民族とされてきた。差別・貧困・弾圧などから解放されるため、自治権拡大への念願が強く所属国との抗争が続いていた。

 中東問題は、かつてはイギリス・フランスが手を汚し、そして現代はアメリカが取って代わっている。複雑化している中東諸情勢の中で、問題解決のカギを握るイラン・トルコは、日本は歴史的に友好関係にある。

 中東和平構築のために何ができるか、日本政府がアメリカのポチから脱却できる最大のチャンスであるというような社説であってほしかった。

 

| | コメント (0)

2019年10月 8日 (火)

台風の対応遅れ、再燃

 森田健作千葉県知事は、初当選からすでに10年、こんなに続くと思った人は当初いなかっただろう。当時、履歴にあった「剣道2段」が根拠のないウソだったことが発覚し、子供から「知事はウソをつかないでください」と言われるなど、人望のなさが目立つ知事だった。

 血は争えないというか、気のゆるみというか、ここへきて台風15号の被害対処の遅れから、知事の当時の行動に疑問が投げかけられるようになった。

 7日の衆院本会議で、立憲民主党の枝野幸男代表の代表質問に答え、政府の初動対応について「迅速・適切に行われた」と述べたが、問題はさらに拡大する気配になってきた。

 前々回、『断固』は中国政権専用の中国語とした。首相の『適切』も、今や安倍政権の専用語と化している。そのウソを、野党が委員会などでどこまで追求しきれるか、注目の的になってきた。

 新聞の報ずる知事の行動とは次のようなものである。

・台風が通過した9月9日、当時の気象状況が基準に達していたにもかかわらず「災害警戒体制」に入らず、災害対策本部設置の前段階の「応急対策本部」も設置しなかった。

・台風15号通過時に一度も登庁せず、10日午前にようやく災害対策本部を設置した。

・当初、知事の初の被災地視察は14日とされていたが、県議会で10日の知事公用車の走行距離が109㌔に上ることを立憲民主党が指摘、県秘書課は、「知事は(10日に同県)富里市方面の被害地を回っていた」と説明を変更したが、途中で私用車に乗り換えるなど不自然な行動。

 

| | コメント (2)

2019年10月 7日 (月)

近隣不動産

 最近我が家の近くに多くなった土地、建物は次のようです。

・更地

⓵築40年以上たった在来工法または初期のプレハブ工法で建てた木造家屋を解体し、整地して更地にしたもの。

所有者が老齢化し、継続所有が困難になったか。

⓶宅地・農地・森林、地目のいかんを問わず耕作に使われていた土地を、放置するか分譲目的で整地したもの。

 以上の現状変更で、接道が幅員が4m未満の道路の場合上地義務を生じるので凸凹道路が続出。

・無人家屋

①何十年も空き家のまま。
 持ち主不明で放置されているようだ。庭木は伸び放題。巨木化し道路にはみ出す。家屋の中も草木伸び放題なのがガラス戸を通して見える。近隣が一番迷惑するケース。

⓶ここ数年空き家。
 所有権者が死亡したか引っ越ししたままで相続者があっても利用、または売却の意思なし。郵便受けが満杯か、表札が外されている。

・新築・改修

①新しい分譲家屋もそれなりに存在。連絡先など立札が立っている。
 東京の高層マンションに住み、子供がある所帯が、環境・安全や住みよさを求めて越ししてくるケースも聞く。

⓶古い建物のリフォーム・耐震補強・建て替えなど相当進んでいると思われるが、気が付かないことが多い。

・価格 

 公示される土地価格は、このところほとんど変化なし。

| | コメント (4)

2019年10月 6日 (日)

中国特有の漢字文化

 香港のデモは終息の気配が見えないが、中国が「香港政府のマスク禁止条項を、『断固』支持するという声明を出したという報道があった。

 『断固』。中国政権関連の報道には、外交問題などで常套句のように出てくる言葉だ。

 しかし、市民のマスク着用などに『断固』は大げさだ。日本語にもこの2字は存在するが、こんなところに使うことはない。

 こういった違和感は、同じ漢字を使う文化であっても、この場合の『断固』は中国語なのだと気が付いた。「熱烈歓迎」もよく使われるが、『熱烈』も、トランプ来日で日本が使ったという例を聞かない。

 その最たるものが中国の「核心的利益」だ。日本の辞書にも載っていないし、意味がよくわからない。やはり、中国でしか通用しない言葉であろう。

 「白髪三千丈」の国である。

| | コメント (2)

2019年10月 5日 (土)

首相、共産党=勉強不足

 先月末、「反日種族主義」と題したエントリーに始まり3回前の「韓国は植民地だったのか」につなげたが、今日も3たび日韓関係改善の阻害要因になりかねないニュースが現れ、本題になってしまった。

 結論も全く同じになる。「両国内の学者・研究者が互いに歴史の発掘につとめ、史実を明らかにするとともに、「歴史に学ぶ」という方向に進まなければならない」ということである。

 以下毎日新聞記事(10/05・東京朝刊)からた全文をお借りする。

 共産党の志位和夫委員長は4日の記者会見で、戦前の日本による提案が国際人権規約につながったとした安倍晋三首相の所信表明演説について「これほど厚顔無恥な世界史の歪曲(わいきょく)はない。歴史への無反省が表れた」と批判した。

 首相は演説で、日本が1919年の第一次世界大戦に関するパリ講和会議で「人種平等」を提案したことに言及。「欧米の植民地が広がっていた当時、日本の提案は強い反対にさらされた」と紹介した後、「日本の大いなる理想は国際人権規約をはじめ国際社会の基本原則になった」と続けた。

 志位氏は「国際人権規約の基本理念は『民族自決権』だ。それを踏みにじって(朝鮮半島の)植民地支配をしていたのが戦前の日本だ」と指摘。「(首相の)歴史への無知と無反省が表れた。こういう姿勢だから日韓問題もより悪くなる」とこき下ろした。【小山由宇】

 まず、第一次世界大戦に関するパリ講和会議で日本が「人種平等」を提案したのが、人権に対する世界の基本理念につながったが、当時この提案は強い反対にあったとする首相演説について。

 パリの講和会議で国際平和路線に強い意欲を持ち、それまでの帝国主義・植民地拡張競争への反省を促したのは当時のウイルソン米大統領で、国際連盟創設や以後の軍縮に貢献した。

 以後、公然とした帝国主義・植民地拡張競争が消え、国際共産主義のソ連圏拡張を「帝国主義」ににぞらぇる程度になった。

 日本が人種問題を持ち出したのは、アメリカなどにひろがるアジア系移民への差別を意識したもので、性格が全く違う。大戦がヨーロッパ中心に行われたので、日本が議論の外に置かれないよう提議したものだ。強い反対にあったなどということも、聞いたことがない。

 次に志位氏であるが、「国際人権規約の基本理念は『民族自決権』だ。それを踏みにじって(朝鮮半島の)植民地支配をしていた」という点。

 民族自決は、明治維新があって、砲艦外交ではあったが、朝鮮に強く求め続けた日本の態度だ。

 李氏朝鮮が王族内部の利権争いが絶えず、帝国主義的侵略をいつ受けてもおかしくない状態だった。諸外国に対して安定した開国を果たし、東亜の安定をはかる、という路線は、アメリカなども賛成していたのだ。

 しかし、李王朝の混乱には手の施しようがなく、伊藤博文暗殺なども誘因となって、合法的手続きで韓国(その直前、朝鮮国を大韓帝国に変更)政権と条約を交わして併合したものだ。

 首相、志位氏ともに、時代を区切ることからはじめて、その背景を考えた上、歴史を分析したとは思えない。

 そうでなければいいが、お二方とも、背後にいる御用歴史家・専門家といわれる人の話を部分的に採用したのではないか。

| | コメント (1)

2019年10月 4日 (金)

労組不在

 前々回、コンプライアンスという、昔はやった言葉がテレビでいきなり飛び出してきたのに驚き、新聞にはあまり出てこないと書いたのが、今日の新聞では各面いたるところに出てくるようになった。

 最近は、半世紀前から見ると明らかに退歩ではないかと思うことが多々ある。

 関電の例から見て、企業内部が「糜爛」といっていいほど不正が蔓延していても、幹部はそう感じていないということがある。

 コンプライアンス委員会出現の前、企業経営の監視役を果たしていたのが、総会屋と労働組合だった。総会屋は、暴力団と同列に見なされて駆逐されてしまった。

 労働組合は、企業収益第一とする企業に協力する文字通りの御用組合が幅を利かすようになった。

 労働三法は、憲法を除くと民法・商法と同列に置かれ、大学でも必修科目として講義されたものだ。労働組合の団体交渉は賃金交渉のほかに、名称はさまざまだが、厚生関連案件を取り上げる「労働委員会」と「生産委員会」が定期的に開かれるようになった。生産委員会は、コンプライアンス委員会と似た機能もあり、それなりの緊張感があった。

 今の電力・原発関連の労働組合は、原発再開についても野党の反対意見をけん制する立場で陰に陽に圧力をかける存在になっている。

 経営側が戦々恐々とする相手ではなくなったのだ。自由・民主社会にとって、明らかな退歩と言わなくてはならない。

| | コメント (0)

2019年10月 3日 (木)

新古今和歌集

  八十に多く餘りて後、百首歌召ししによみて奉りし 

       皇太后宮太夫俊成

1558 しめ置きて今やおもふ秋山のよもぎがもとに松虫の鳴く

  題知らず 皇太后宮太夫俊成

1584 老いぬとも又も逢はむと行く年に涙の玉を手向けつるかな

  世の中の常なき頃 大江嘉言

1786 今日までは人を嘆きて暮れにけりいつ身の上にならむとするらむ

  題しらず    八条院高倉

1841 うき世をば出づる日ごとに厭へどもいつかは月の入る方を見む

          清輔朝臣

1843 長らへばまたこの頃や忍ばれむ憂しと見し世ぞ今は恋しき

  千載集を選び侍りける時、古き人の歌を見て

       皇太后宮太夫俊成

1845 ゆくすゑはわれもしのぶ人やあらむ昔を思ふ心ならひに

  入道前関白家に、十如是歌よませ侍りけるに、如是報

         二条院讃岐

1966 うきもなほむかしの故と思はずはいかにこの世を恨みはてまし

(『新訂・新古今和歌集・佐佐木信綱校訂』準拠)

| | コメント (0)

2019年10月 2日 (水)

韓国は植民地だったのか

 3回前に『反日種族主義』というタイトルで、日韓の衝突は、両国内の学者・研究者が互いに歴史の発掘につとめ、史実を明らかにするとともに、「歴史に学ぶ」という方向に進まなければならないと主張した。

 最初に指摘しておきたいことは、明治維新と李氏朝鮮の時代、日韓併合から3・1独立運動までの時代、日本の同化促進政策と大戦の時代、戦後の南北独立時代など、それぞれの歴史背景が大きく異なるので画一の評価でくくることなく、区別が必要だということである。

 そのひとつに、日本の戦後教育で、日韓併合で日本が朝鮮半島を「植民地」として支配が続いた、としていることである。

 塾頭と多くの点で見解を異にする渡部昇一(上智大名誉教授)であるが、次のように言っている。

 英語の文献では、日韓合邦のことを「アネクセイション」(annexation)と表現しています。これは「植民地化」を意味する「コロナイゼーション」(colonization)とはイメージがまったく違う。歴史を公平に客観的に見るには、言葉が当時どのように使われていたかを知ることも重要です。

 これまでも幾度か書いてきたように、当時の政権には、アジア諸国に対する西欧やロシアからの植民地化を防がなければ日本も危ない、という考えが強かったように思う。

 反対に、明治初頭に盛んになった征韓論など、日本軍の進出を期待する意見も少なくはなかったが、植民地化などミイラ取りがミイラになるような愚策は取らないというのが、「併合」という形になったのではないか。

 関東大震災当時の朝鮮人殺害という民族蔑視や差別が、現在でも存続していることは確かである。しかし、過去の長い歴史を振り返って、両民族が永遠に克服できないほどの問題とも思えない。

 まず、各段階を通じて「植民地化はなかった」という立証ができるかどうか、である。

| | コメント (4)

2019年10月 1日 (火)

コンプライアンス委員会

 「コンプライアンス」、テレビで久しぶりにこの言葉を聞いた。20数年前、2000年代の企業で、この言葉は常識だった。

 今回、関電の幹部が原発建設に絡んで合計億単位の金品を受け取った事件に絡んだ報道の中で出たが、新聞にもあまり出てこない。

 贈収賄はもとより、買い占め、売り惜しみ、談合その他企業の反社会的行動を自己規制するため、自主的に委員会などを設けることに使われた。

 塾頭が最初に聞いたのも、この頃である。ある地域の金融機関・信用金庫の20年史作成のお手伝いをしている際、「コンプライアンス委員会を設けたことも記録しておくべきでは」という同金庫編集責任者からの発言があった。

 塾頭は、コンプライアンスは社内統制が利きにくい大組織特有の問題かと思っていたが、信用を第一とする民間の小金融機関の不正が明るみに出れば、預金者・出資者・融資先が一斉に手を引き、立ちどころに倒産する。そういった場合、拾ってくれるところもなく、再就職も困難になるということらしい。

 電力会社の場合、消えてなくなる恐れはない。役職は失っても組織がどこかで面倒を見てくれるはず、という下心があるのではないか。

 政府は、企業自身が法令を遵守するためのコンプライアンス体制を社内につくり、また万一不正があった場合にも、すぐに自己申告した方が企業にとっても有利になるような法制度を作った。代表的な法令としては、「公益通報者保護法」「改正独占禁止法」「会社法」などがある。

 いずれも2006年以降に効果を発揮し、コンプライス組織設置は一定規模の資本金、一定規模の債務を有する企業では義務化された。

 関電も当然該当するが、経営者が中小金融機関にも劣るような、無視・無関心さで通っていたということだ。

| | コメント (2)

« 2019年9月 | トップページ | 2019年11月 »