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2019年9月20日 (金)

予見可能性

 「予見可能性 は、日常使う言葉ではない。塾頭がはじめて知ったのは、昔、炭労争議の裁判で判決に出てきた時ではなかったかとと思う。

高級な法律用語に聞こえたが、文字の意味は「あらかじめ知っていたかどうか」を判断するという程度のことで、深い意味はなさそうだ。

 ところがこの一語が裁判に使われると、「この紋どころが目に入らぬか」というような効果を発揮するから不思議だ。

 福島第1原発事故で、巨大津波に襲われる可能性を予見できたのに、措置を怠ったことが業務上過失致死傷罪に当たるとして、強制起訴されていた東電旧経営幹部3被告に対して、「予見可能性があったと認めることはできない」という判決を東京地裁がくだした。

 東電は、政府の地震調査研究本部の「最大15.7mの津波が原発に襲来する可能性がある」とする試算を08年3月に受け取っており、東電担当者から具体的に敷地が浸水する可能性について報告を受けている。

 判決はそれを指摘しておきながら、「具体性や信頼性が不十分」だから予見することが不可能だった、としている。

 浸水したら何が起きるか、それを防ぐにはどうすべきか、という具体的なことを考えるのは東電である。専門家の指摘に福島県沖を震源地としていないなどを理由に信頼性に疑問を抱くなど、東電幹部が評価すべきことではない。

 1973年79年と2度にわたったオイルショック当時に、東電幹部も在職していたはずだ。石油不足は、当時の電源の主流を占めていた石油(重油)火力からの脱却・多角化が盛んに議論された。

 当然原子力も話題とされたが、すでにそのころ発生していた人為的ミスによる危険とか、事故による放射能被害の大きさから原発慎重論が支配していたことを東電幹部が知らないわけがない。

 上記判決は、全くナンセンスだ。

 これと同様な案件は民事訴訟でも進んでいる。約30件の訴訟のうち9地裁・支部で12件の判決が出た。このうち前橋地裁では予見可能性を認めており、今後まちまちの判断になりそうだ。

 司法が国の責任をどう判断するか。韓国の徴用工問題と性格は違うが、重要なテーマであることには違いない。

 

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コメント

地元紙にしてみれば、このままでは済ませないという心境なのでしょうね。そこを突っ込んだのがNHK特別取材班だと思います。次回の記事にしました。

投稿: ましま | 2019年9月21日 (土) 10時50分

裁判官は多くの資料から判断したことなので、公正だと信じたいですが、納得できないのが心情です。

きょうの地元紙には判決の全文が紙面2ページを使って掲載されました。
ハッキリ言って、保険の説明書より難しく複雑で頭が痛くなりました。

投稿: 玉井人ひろた | 2019年9月21日 (土) 08時04分

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