« アメリカ大統領の実像 | トップページ | イランで得点を(再掲) »

2019年5月 8日 (水)

怪・北との首相対話

 安倍首相が拉致問題について大転換を図ろうとしている。菅官房長官や河野外相は正面からそれにふれず政策に変わりはないように装っている。というより、そうせざるを得ないということだろう。

 そもそも拉致問題は、改憲と並んで、首相を際立てるキャッチフレーズであったはずだ。その方法は「対話と圧力」が口癖だった。経済制裁強化も、3月に国連人権理事会で11年間続けてきた非難決議の共同提出見送り後に言わなくなった。

 トランプ大統領の対・金正恩会話戦略進展から、右往左往が始まった。それが8日の毎日新聞によると6日のトランプ大統領との電話会談を経て、対話は、「拉致問題の解決に資するものにしなければならない」から「条件を付けずに向き合う」に変わった。

 解説を含めた新聞記事の中は、「手詰まり」「方針転換」「模索」「焦り」「前のめり」「置き去り」「賭け」「リスク」などの単語であふれている。

 北朝鮮は14年、再調査委員会の調査として、帰国した5人の被害者のほかに日本側が被害者として認定した12人について、「8人死亡」「4人未入国」と主張している。それを日本側が受け入れないので、調査委員会は解体されたままになっている。

 安倍首相が対談しても、「実は居ました」などという新事実を明らかにすることなどないだろう。北の肩を持つ気は毛頭ないが、北の調査に根拠がないとする証拠は、交流がないので不十分なままである。

 そして、いまさら「違ってました」などというはずがない。そんなことをすれば、国際的信用が一挙に崩壊する。

 拉致を続ける理由として、いまだに「北の最高秘密がばれるら」とか「対日・対韓工作に支障が出る」などという人がいる。長年にわたって人質外交を続ける理由も、成り立たない。

 つまり、費用を使って長期間拉致被害者を監禁していても、何の利益にもならないということである。安倍首相が拉致問題にこだわるのには理由がある。日本会議によるキャンペーンとの関連だろう。

 北朝鮮との対話に舵をきり、それが内閣支持率に貢献すると考えているのだろうか。だとすると浅はかな考えで、結果が命取りになりかねないと思う。

 それでも乗り切れるという「思い上がり」があるとすれば、上記の新聞にあふれた「単語」に、もひとつこれを付け加えておこう。

 

|

« アメリカ大統領の実像 | トップページ | イランで得点を(再掲) »

東アジア共同体」カテゴリの記事

コメント

玉井人ひろた さま
「うぬぼれ」は、「ひそかに」を前につけても自然な感じですが、「思い上がり」にはそれがないだけ似合ってそうです。

投稿: ましま | 2019年5月 9日 (木) 08時49分

「思い上がり」と「うぬぼれ」ではどちらのほうが似合うでしょう

投稿: 玉井人ひろた | 2019年5月 8日 (水) 21時24分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« アメリカ大統領の実像 | トップページ | イランで得点を(再掲) »