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2019年5月

2019年5月31日 (金)

議会の死んだ日

 82年前の今日、その年のはじめ以来陸軍の政治関与により、国会はマヒ状態に陥る。2度の政変を経て就任した陸軍出身の林銑十郎首相も、職を投げ出した。この後を継いだのが華族出身の近衛秀麿である。

 そして、7月7日、中国・盧溝橋で偶発的軍事衝突をきっかけに日中戦争が始まった。ここから8年間「さきの戦争」が続いたのだ。その年の5か月間に何が起きていたかを略記しておく。

1937年(昭和12
1/21
 第70回帝国議会において立憲政友会の浜田国松衆議院議員が反軍演説。

「近年のわが国情は特殊の事情により、国民の有する言論の自由に圧迫を加えられ、国民はその言わんとする所を言い得ず、わずかに不満を洩らす状態に置かれている。軍部は近年自ら誇称して(中略)独裁強化の政治的イデオロギーは常に滔々として軍の底を流れ、時に文武恪循の堤防を破壊せんとする危険がある(後略)」

 これを軍人に対する侮蔑とする陸軍大臣との間で腹を切れという応酬に発展、議場が大混乱におちいった。このため、広田内閣は事態収拾不能で総辞職。その後以下の経過をたどり、軍部専横が決定的になる。

1/25 宇垣一成(陸軍大将)に大命降下。陸軍が陸相候補を推薦せず組閣失敗で4日目に組閣辞退。

/2 林銑十郎(陸軍大将)内閣成立。閣内、政党出身者ゼロ。

3/31 議会刷新を理由に抜き打ち解散。 4/30 総選挙。

5/31 林内閣、軍部・政党の支持を失い総辞職。

/4 第一次近衛文麿内閣成立。

 

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2019年5月30日 (木)

「神の国」でない明治維新

 「天皇中心の神の国」と言ったのは森喜朗元首相である。明治維新からそうなったと信じる人は、自民党を中心に多く、その中心を森友学園の幼稚園で斉唱させたという教育勅語に置いている。

 とろが、その教育勅語の最後は、こう書かれている。

【教育勅語】

斯ノ(この)道ハ實ニ我カ皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ子孫臣民ノ倶ニ遵守スヘキ所之ヲ古今ニ通シテ謬(あやま)ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス(もとらず)朕爾臣民ト倶ニ拳々服膺(けんけんふくよう)シテ咸(みな)其德ヲ一ニセンコトヲ庶幾フ(こいねがう)

 つまり、この内容は、天皇にも遵守の義務があり国民と共同責任を負う、で結んでいる。起草したのは、天皇自身でなく、天皇側近の公卿と藩閥政治家で構成される官僚である。国会開設前なので、維新から明治中期まで通用していた常識で、天皇→神の発想はない。

 同様の例をあげよう。

【大日本帝国憲法】前文

国家統治ノ大権ハ朕カ之ヲ祖宗似承ケテ之ヲ子孫二傳フル所ナリ朕及朕カ子孫ハ将来此ノ憲法ノ条章二循ヒ之ヲ行フコトヲタガワラサルヘシ

【大日本帝国憲法】告文

朕カ現在及将来二臣民ニ率先シ、此ノ憲章ヲ履行シテタガワラサムコトヲ誓フ

【軍人勅諭】

我国の御稜威振るわざることあらば汝等能く朕と其憂を共にせよ。

 以後、日清戦争開戦に激怒したとされることや、各天皇が平和愛好の立場にあり続けたことを見ると、現憲法の天皇のあり方は、ごく自然でであり、天皇を勝手に神とする不敬は許されない。

 

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2019年5月29日 (水)

仲介は「イラン」(前回の続き)

【カイロ時事】イランのメディアによると、イラン外務省報道官は28日、安倍晋三首相が6月中旬ごろで調整している同国訪問について、「実現すれば両国関係の転換点になる」と述べた。安倍氏は米国とイランの緊張悪化を受けて仲介役を演じたい考えだが、同報道官は日本など友好国の意見に耳を傾ける方針は強調しつつも、「現状は仲介を受け入れる段階ではない」と強調した。 【時事通信社】

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2019年5月28日 (火)

首相のイラン行きトランプが賛成

 3回前は、イラン・アメリカと安倍外交の幼稚さ、頼りなさから、複雑な中東も問題に手を突っ込んでやけどをしないのか、という危惧の念を記事にした。ところが、トランプはあれほどイランに露骨な敵意というか、むしろ戦意といってもいいほどのブラフをかけているさ中、安倍のイラン行きに対して、不快感どころか首相のイラン訪問を期待するとまで言い始めた。

 俗に「よくいうよ」の変身ぶりである。以下、毎日新聞(5/28・東京)の引用である。

(前略)歴代米政権の中でも突出した親イスラエル政策をとるトランプ政権が、イラン敵視の姿勢を先鋭化させてきた。オバマ前大統領のレガシー(政治遺産)を否定する思惑もあり、昨年5月にイラン核合意からの離脱を表明した。

 ただ、トランプ氏は「戦争は望まない」のが本音だ。経済制裁や軍事的圧力を通じ、イランを再び交渉のテーブルにつかせることを目標としている。イランの体制転換を公言するボルトン氏ら強硬派と一線を画し、最近は好戦的なボルトン氏の言動にいら立っていると伝えられる。

 核合意からの離脱を自ら宣言した以上、トランプ氏は他の核合意参加国(英仏独中露)への仲介は頼みにくいのが実情だ。日本を介せば、自身の立場を傷つけることなく、打開策が見いだせるとの期待があるとみられる。【鈴木一生、ワシントン高本耕太】

 どうやら、この話はトランプ来日前から日米外交筋できていた話のようだ。白い八の字髭のボルトン氏は、ブッシュのイラク侵攻を日本に支持を迫ったあの顔だ。その彼が、トランプの強硬姿勢を支えるため途中から起用された。

 本塾は、カテゴリーに「中近東」や「石油エネルギー」を設けているように、イランはパーレビ―王朝の時代からホメイニ革命、テヘラン米大使館の学生占拠、オイル・ショック、そして戦争と逐一観察を続けてきた経験が根にある。

 そのような歴史の中から、トランプが取ろうとしているハチャメチャ行動を説明することはできない。たしかに、日本は仲介を買って出る位置にはいる。そのこと自体は賛成なのだが、これをアメリカべったりの安倍政権ではなく、野党第一党の立憲民主あたりが、自民に対抗する外交政策として掲げる器用さがあって然るべきだったといえよう。

 

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2019年5月27日 (月)

オホーツク海沿いで39.5℃

 オホーツク海に面した北海道佐呂間町で26日午後2時過ぎ、39.5℃の猛暑になった。道内で過去の最高気温、全国の5月における最高気温の記録を突破している。

 北海道清水町で36歳の男性がゴルフ中に、宮城県登米市の県道では65歳の男性が倒れ、それぞれ病院に緊急搬送されたがいずれも死亡が確認された。この日の緊急搬送は、全国で575人にのぼる(毎日新聞5/27)。

 ちなみに26日の各地観測点最高気温を抜粋しいおこう。(カッコ内は平年)

東京 32.624.0
札幌 32.018.6
青森 33.619.5
仙台 31.220.5
福島 35.323.7
熊谷 35.025.1

 その他最高が20度台の都市は、秋田、銚子、静岡、鹿児島、那覇の5地点で、それ以外の13地点はすべて30度以上になった。

 この異常事態が、トランプのかげにかくれた。今日も暑くなるそうだ。

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2019年5月26日 (日)

トランプの大相撲表彰

 トランプ大統領は、今朝早くヘリでゴルフ場に向かった。それが終わると大相撲の升席にいる。安倍首相とは朝から一日中ベッタリだ。

 大相撲千秋楽は、ジョージア出身の栃ノ心のお陰があって優勝者がすでに決まっており、横綱・大関に新顔が現れるような取り組みもないので、普通ならスルーしてもいい内容だ。

 しかし、今日は違う。トランプ・安倍の行動を実況でフルに見られるのだ。中でも表彰式は見逃せない。土俵上で表彰の順序はどうなるのだろう。天皇賜杯より先に来ることはないにしても、内閣総理大臣賞の前にするか後にするか。

 ちなみに、天皇賜杯は高さ108㎝、重さ30㎏。大領杯は高さ137㎝、重さ約30㎏。大統領杯の方がやや高いが、ほぼ同じと見ていい。

 ところが、総理大臣賞の方は50.8㎏もある。通常、官房長官などが代わって手渡すが重くて持てず、協会の担当者が手助けをすることが多い。

 アメリカからは、昔、パンナムだったかの表彰に「ヒョーショージョー」と奇妙なアクセントで表彰状を読み上げた米人が人気を呼んだが、トランプが直接手渡すのなら、「おれも」といって首相が無理をする。

 持ち上げられなければ醜態になる。だけど衆議院解散の理由にはできないよ(笑)。

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2019年5月25日 (土)

イラン対アメリカに安倍外交

 今日の毎日新聞が次のように伝える。

  1. 2015年にイランの核開発を制限するため、同国と主要6カ国(米英仏独露中)が結んだ。米国は昨年5月に離脱を表明。経済制裁を再発動したうえ、今月に入ってイラン周辺への空母や戦略爆撃機の派遣を決めている。
  2. 首相は今月16日、急きょ来日したイランのザリフ外相と会談し、中東情勢に懸念を示すとともに、核合意の履行継続を求めた。
  3. 安倍晋三首相は来月12~14日の日程でイランを訪問する検討に入った。
  4. 首相は昨24日、ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と会談。上記日程は通告済み。27日に予定しているトランプ米大統領との首脳会談を踏まえ、最終的に判断。
  5. イランは核合意履行の一部停止を宣言。ホルムズ海峡付近で米国の同盟国・サウジアラビアのタンカーが受けた「破壊工作」についてイラン側の関与が疑われるなど、軍事的な緊張が高まっている。 

 メディアは、今日夕方羽田に到着するトランプ大統領を追って、宮中晩さん会や相撲見物などの報道を集中させる間に大変なことが決まる。その間(もう決っているかもしれない)、首相のイラン行きの可否や対イランへの姿勢などに対する水面下のすり合わせがあるのだろうか。

 中東和平・イスラエルとの角逐、サウジ等スンニ派各国との断交その他、イランは世界の国際問題を左右しかねない火種の中に置かれている。拉致さえ言っていればよかった、北朝鮮とは違う。首相が飛んで火に入る夏の虫にならなければいいのだが。

 イランから見る過去の日本については、5月8日付「北との首相対話」、5月9日付「イランで得点を(再掲)」参照。

 

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2019年5月23日 (木)

日本山妙法寺

 スリランカの同時爆破テロから1か月以上たった。日本人1人を含む250人以上が犠牲となるような予想がつく場所ではなかった。スリランカで連想したのは「日本山妙法寺」である。

 本山ではないが近所にそのお寺があった。そして、黄色の法衣をまとい「南無妙法蓮華経」と唱えながら町を通る姿があったが、最近はそれを見かけなくなった。

 近所の知り合いのお婆さんもその信者だった。海外へ行かれると聞き、その行き先はスリランカだという。しかし、その理由が何かまでは聞かなかった。

 国内でも反戦、護憲などの集会には行進の先頭で、題目にあわせてうちわ太鼓をたたく姿を映像で見た人は少なくないはずだ。

 その要となる人が故・藤井日達師だった。藤井師は、ガンジーやインドのネール首相とも知見があったとされる。いずれも平和を真っ先に掲げる指導者で、世界でそれなりの影響力を持ち、複雑な宗教上の対立を克服する理想を実現しようとしていたことを思い出す。

 

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2019年5月22日 (水)

子供の夢を消すAI

 昨日、関東でJRの電車が所定の場所に止まらないという事故が3件起きた。埼玉県の深谷駅では10m、栃木県の間々田駅では13mそれぞれ所定停車位置からオーバーラン。いずれも雨の影響でブレーキが利かなかったという理由である。深谷の場合はバックせずそのまま次の駅まで運転し、乗降客80人に影響が出た。

 もう1件は千葉の常磐線である。常磐線の上りの特急電車が停車する予定だった柏駅を通過するミスで、同駅で降りる予定だった乗客およそ80人には次の松戸駅で降りて柏駅に向かう別の電車に乗り換えてもらうなどした。

 前2件は、当時たしかに猛烈な雨が降っており、自然災害のように見えるが、JR当局も「再教育して事故再発を防ぐ」といっているように、人為的ミスに入るだろう。

 男の子に「大人にったら何になりたい?」と聞くと、これまで電車の運転手が筆頭に来ていた。

 だが、電車の運転は自動車のような複雑さもないので、自動運転に変わり、前方は車掌がモニターを見ているようになるかもしれない。車掌になりたいという子供はあまり聞かないが、車掌の仕事は大変だ。

 乗降客の確認、出発の合図は今でも車掌の仕事。昔の都電・市電の車掌は、切符の販売、回収もした。そのほか、電車が四つ辻で方向転換する時、後尾の窓から身体を乗り出して集電のポールからぶら下がっているひもを引き、余勢で走る電車の進行方向に向けた電線に、ポールの先についている滑車をうまく乗せるという離れ業までやっていた。パンダグラフになってからは、それがなくなる。

 モニターで前方を見ていることぐらいなら大して負担にならないだろう。AI時代はすぐ目の前までやってきている。

 

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2019年5月21日 (火)

ゴミ分別は役所の仕事に

 役所から、「伐採枝は資源ごみとして〇曜日に」という知らせがきた。今、最も軽いが最も袋が多きくなるのがプラスチックである。これが多すぎて一部は中国に輸出され、それがあまり始めたので不法投棄され、海洋汚染の原因になっているという。

 買い物をすれば、プラスチック容器がついてくる。これが再生できるというので、貼ってある紙をはがしたり、食品などの汚れを水で洗ったり手間をかけて分別していた。

 プラスチックの種類は多い。使えないものは燃やすか埋めるしかない。しかし、使えないプラスチックを燃やす、という処分方法が記事として出てこない。

 伐採枝は、生きているとき温暖化ガスのCO₂を取り込むので、燃やしてその分を排出してもOKのバイオ資源だという説明だ。石油からとれる合成樹脂・プラスチックももとは、大量の酸素を生み出す植物性プランクトンだから、同じではないか、と思うがこれが違う。

 石油は何億年も前から長い期間をかけて生成される。それを一挙に燃やすのでとても追いつかない、という論理になる。

 家庭で分別するのに、袋を何種類つくってもそんなことまで気を配ることは無理。ゴミ収集は、生活ごみとそれ以外に単純化し、それ以上の分別は役所の仕事にしたらどうか。原発再開を考えるより、簡単なことだ。

 

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2019年5月20日 (月)

所を選ばない「IS」

 エジプトの首都カイロ近郊で19日、観光バスを狙ったとみられる爆発があり、BBCなどによると少なくとも17人が負傷したと伝えられる。ISを名乗るメンバーの犯行と見られている。

 アフガニスタン、パキスタン、スリランカなど各方面からISの活動が伝えられ、地域ごとに独自の「州」を作ったり、生死不明だった宗教指導者バグダディーの生存も明言する。

 ISすなわちイスラミック・ステートは、アメリカとその連合国の猛攻により、シリア・イラクに存在できず消滅したことになっているので、「ISを名乗るメンバー」などと注釈をつけている。

 アラブ語でどう表現するかは知らないが、英語でいう「ステート」は、必ずしも国民国家を指すとは限らない。共通の宗教・民族の集団があれば特定の場所に定住しなくとも「ステート」は成立する。

 原理主義的なムスリムにとって唯一無二の権威は「神」だけで、大統領や組織化された国家ではない。だから、自爆テロに国民国家的な指揮・指導の必要はなく、宗教指導者が示す宗教指針さえあればいいのだ。

 単一民族で、特別の教義を持たない多神教の日本は、明治維新で廃藩置県を経て欧米並みの国民国家とすることに、ほとんと抵抗がなかった。万世一系とされる天皇の存在が、国民国家成立にプラスしたとも思われる。

 それだけに、ISの存在を過去のものとしてしまいがちだが、なかなかそんなものではない。

 

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2019年5月19日 (日)

世代区分で蔑視

人生再設計第一世代 「氷河期」言い換えに怒り 政治不信「上から目線」

 毎日新聞(5/19・東京)にこんなタイトルをつけた記事があった。

 その要旨は、政府の就労支援策を検討する経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)で、民間議員から「就職氷河期世代」を「人生再設計第一世代」と言い換える提案がされた。これに対してツイッターなどで「ひどいネーミングだ」「ばかにしている」などと怒りの投稿が相次いでいる。

 就職氷河期世代は、バブル崩壊後の景気悪化で企業が新卒採用を絞った1993~2004年ごろに高校や大学などを卒業した世代。現在30代半ば~40代半ばで約1700万人。18年で非正規雇用者は317万人に上る。

 そういった苦難を味わった世代を、人生設計ができない世代などと責任転嫁をすれば、怒るのが当たり前だ。安倍晋三議長や担当する官僚の本音が、はしなくもこぼれ出たと見るべきだろう。

 ところで、塾頭の世代はどういうのか、「団塊の世代」などという区切られ方をされた覚えはないが、菊地昌典『歴史と想像力』筑摩書房、では、昭和一ケタ世代の体験は、刺激的ながら程度の差があり「宙づりの世代」としている。

 その中で、共通性についてこう解説する。

昭和一ケタ世代に骨の髄まで浸みこんでいるのは国家の崩壊感覚である。大日本帝国の権威、権力の脆さ、はかなさ、そして何よりも、その無責任さを否応なくこの世代は心の底に灼き付けたのであった。

その反動として、一ケタ世代のユートピア幻想はたえずふくれあがる。夢が現実によってくりかえし破壊されても、夢を負いつづけ、その夢で現実を打ち返す営為を戦後三十余年、休みなくつづけてきたのである。戦争中の精神の窒息状況に対する無限の自由への憧れ、いささかの管理をも生理的に嫌悪する体質、そして高度成長下にはぐくまれた傲慢な浪費の美的称揚にたいする絶対否定、倹約称揚の精神などは、一ケタ世代に不思議ともいえる思想の共通性を与えている。

 まあ、半分は当たっているでしょうね。

 

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2019年5月18日 (土)

丸山穂高議員、辞職不要

 北方四島の「ビザなし交流」に参加した、日本維新の会の丸山穂高衆議院議員が今月11日の夜、訪問団の団長に、「戦争で島を取り返すことには賛成ですか、反対ですか」などと質問したことに対し、所属党からは除名された。

 それだけにとどまらず、同党を含め野党6党は、「国会全体の権威と品位を著しく汚した」などとして、17日、議員辞職勧告決議案を衆議院に共同で提出した。

 与党は、買収などの不祥事ではなく、決議が可決されても本人が言論の範囲として拒否すれば効果がないとして、これに乗らない気だ。塾頭は、自公与党の考えに賛成する。

 丸山穂高議員が、場所や相手もわきまえず野放図な不用意発言をしたことは、決して許されるべきではない。しかし、議員を辞めれば、野党が発言の真意をただす機会も失う。

 同議員の言っていることは、領土紛争で口にはできない一面の真理ををついているのだ。近くはイラクとクェートで起きて湾岸戦争となり、古くは同じ共産圏同士でもウスリー江珍宝島をめぐる国境紛争で中ソが交戦、双方で150人を超える戦死者を出した。

 イスラエルとパレスチナの例を見ても、国境は戦争で決まるというのが世界史上定番になっているのに、見ぬふりをしているのが現状だ。しかし、日本は憲法9条で「国際紛争を解決する手段といては、永久にこれを放棄する」限りその手は使えない。たとえ核武装をしたところで、国土面積の差だけで勝ち目はない。

 そうすると、交渉で解決するしかないのだが、ロシア側には、国際法上問題が残るヤルタ協定を根拠とする点、特に北方領土が歴史上ロシア領であった事実がないことが弱みになっている。

 そこをついて、国際世論を味方につけ、すこしでも有利な条件で妥決点を見出すか、アメリカのアラスカ州のように日本が買い取るしかない。

 いずれにしても、74年も実効支配されていた点が大きい。吉田首相のように、遺憾の意を表し、権利確保の努力を続けなければならなかったのだ。

 安倍首相の人気取りゲームで終わることなく、具体的な外交政策が国会で議論され、安易な憲法改正の目論みを俎上にげるというのなら、議員の存在価値も出てくるだろう。

【追記】この記事は、その後の報道などにより不当だったことがわかり、全面撤回します。理由等は、6月7日付の本塾記事で。

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2019年5月17日 (金)

『日本国紀』批判

 ネトウヨが好みそうな大見出しをつけて、毎号大きな新聞広告を出すマイナーな雑誌がいくつかある。その常連筆者3,4人のひとりに作家・百田尚樹氏という人がいる。同氏の『日本国紀』という本は、最近書店店頭に大きく平積みにされており、いわば売れっ子だ。

 その本に対して同業の作家・津原泰水氏がツイッターで批判したところ、出版社から圧力を受けたということが毎日新聞の記事(05/17)になっていた。

 批判の内容は、歴史書であるのに、出典が明かされていない、内容にウイキペディアそっくりの所が多くコピペの集大成ではないか、ということで、出版社内部でももめているということだ。

 よりくわしい記事を本塾でまとめたいと思ったが、それには本を買うか図書館へ行かなければ(出典を確かめなければ)ならない。ブログであっても本塾のような性格を持ち、サイトを公開するからには、最小限度守られるべきルールである。

 このブログもウイキペディアはよく利用するが、人名、日付、場所などに間違いがないかなどを確かめるようなことが多く、コピペの量が多くなれば新聞記事引用同様、出典として明記することにしている。

 純粋な小説ならばその必要はないが、ドキュメンタリーの位置づけをすれば必要になってくる。そういったことは、学者はもとより文筆を志すものなら常識として持ち合わせていなければならないものだ。

 それをチェックし校閲するのが出版社の編集者の責任であり、権限でもある。今回、それがないがしろにされていたのであれば、出版元・幻冬舎の信頼にも大きく関わってくる。

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2019年5月16日 (木)

イランもやはりトランプ流か

 これまでトランプ大統領は、北朝鮮とイランに対し、核・ミサイル開発中止を要求して、軍事的・経済的圧力を目に見える形で展開、危機的な状況を作り出してきた。

 これについて、両国に対する似たような行為だが、本塾は、イランについては、トップ同士の交渉ルートがないことと、バックにイスラエルの影がチラホラする点などで、イランの方がより危険としてきた。

 ところが、トランプは例のツイッター作戦で、「イランにも道あり」という話し合い路線を暗示する記事が出てきた。「世界がトランプに踊らされている」。これでいいのだろうか……。

【ワシントン時事】トランプ米大統領は15日、米空母や戦略爆撃機の中東派遣で、イランとの緊張が高まる中、「イランはすぐに対話を望むに違いない」とツイッターに投稿した。米国の強硬姿勢に関し、イランとの軍事衝突を危惧する声が上がっているが、トランプ氏は、イランが米国の圧力に屈し、核開発の禁止や弾道ミサイル開発中止などの交渉に応じるとの認識を示した。

一方、米国務省は15日、イランの隣国イラクの米大使館の緊急対応要員以外に出国を命じた。これに先立ち米中央軍は「イラク駐留米軍に対する差し迫った可能性のある脅威を、引き続き厳重に監視する」と強調。米国は、親イラン勢力による米軍などへの攻撃に対する警戒を強めている。 【時事通信社】

 

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2019年5月15日 (水)

なぜ世界遺産?

 昨日は、本塾のアくセス数が普段の倍を超えた。昨日書いたのは「閑地の花」という、それこそ閑ネタなので不審に思い、解析のページを開いた。

 原因は、2011年5月の「前方後円墳のなぞ」に対する検索によるものらしい。なるほど。百舌鳥・古市古墳群の世界遺産指定申請に関する報道の過熱ぶりが影響したと見える。8年前の記事、変なことは書いてないだろうな、と思ってページを繰って見たが、心配することはなかった。

 それより、今回の申請は、世界基準に無理に合わせようとして日本の古墳文化全体から見ると不自然で誤解を生む要素が多い。

 古墳マニヤの塾頭は、九州から東北・北限に至る各地の前方後円墳をいくつも見ているが、百舌鳥・古市だけはまだ行っていない。ついでがないことが大きいが、行っても自由に登れないことや、周辺の環境が造営当時と激変していることと、創成期の纏向古墳群や終末期の関東各地などの、歴史と文化の転換というロマンに乏しく、中間的存在として関心が薄いのが理由だ。

 宮内庁が「静安と尊厳を保つため」という理由で専門家の科学的調査を拒否し、今後も方針を変えないとしているが、仁徳陵の造営時期が想定より大きく後にずれ込んでいることが学会の定説となった。

 歴史書は、天皇名を除き「大山(だいせん)古墳」とすることが多くなり、教科書でも採用されている。ところが、今回は敢えて「仁徳陵」名で申請、「静安と尊厳を保つ」はずの政府方針が逆効果を生む可能性が出てきた。

 塾頭の悪い癖で、今回の申請自体その真意がわからず、政治的効果を狙っているように思えてならない。

 

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2019年5月14日 (火)

「閑地」の花

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 永井荷風の『日和下駄』第八に、「閑地(あきち)」というのがある。その書き出し。

市中の散歩に際して丁度前章に述べた路地と同じような興味を感じせしむるものが最(も)う一つある。それは閑地である。市中繁華なる街路の間に夕顔昼顔露草車前草(おおばこ)なぞいう雑草の花を見る閑地である。

 写真の閑地の花は、荷風が挙げた4種類の「雑草」ではなく、おそらく「ハルジオン」だろう。荷風が散歩した頃にはまだない外来種で、遠くに見える赤い花も確かめてはいないが、日本名ではなく、カタカナで呼ばれる花だ。

 西洋タンポポが日本タンポポを駆逐してからもう5,60年たつ。生物の覇権主義はどこまで続くのだろう。

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2019年5月13日 (月)

親日作家の校歌パージ

朝鮮日報5/12

(前略)光州市教育庁の関係者は「市内の中学・高校13校と大学4校が、親日人名事典に登載されている音楽家4人の作った校歌を採用しているが、このうち15校で校歌変更の議論が進んでいる」と話した。また、韓国にある17の市・道教育庁のうち仁川・全羅北道・忠清北道・慶尚南道など10の教育庁が親日校歌の洗い出しを進めている。ソウル市や京畿道などでも全国教職員労働組合(全教組)が「親日校歌を変更せよ」と圧力をかけている状況だ。ソウルのある高校の校長は「親日人名事典は左派団体が作った資料なのに、それを根拠に特定の音楽家に親日のレッテルを貼り、校歌を変更するとは、あきれるばかりだ」と疑問を呈した。

 日本の戦時中でもこんなことはなかった。

 戦前から童謡や校歌などを数多く手掛けている

♪青い目をしたお人形は 

アメリカ生まれのセルロイド……

の野口雨情をはじめ、山田耕筰、北原白秋、中山晋平など有名な作詞・作曲家が軒並み「親米作家」になってしまう。

 しかし、戦時中も誰ばばかれずに歌っていたし、通っていた中学の校歌の作者がそうだからといって、廃止されるようなこともなかった。

 名曲は名曲の扱いをする矜持と文化はあった。

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2019年5月12日 (日)

安倍首相のレベル

 毎日、トランプが何を言ったかが大きな記事になる。安倍首相のはレベルが低いせいか官邸のコントロールが効いているのかあまり騒がれなくなった。

 トランプは、同じ核兵器開発関連の経済制裁や軍事圧力を北朝鮮とイランに向けているが、両者には明白な差がある。北朝鮮のようにアメリカ本土を狙うような姿勢を見せたことがなく、核拡散防止条約も脱退していないイランに向けた姿勢の方が好戦的で、トップ同士が話し合うということも聞いたことがない。

 理由は、潜在的核保有国・イスラエルの存在だ。イランの勃興を許すことは、国内のユダヤ人勢力にとって許しがたいことである。それに、イスラム・スンニ派大国のエジプトとサウジは、シーア派・イランと鋭く対敵する関係になり、イスラエルにとっては、安心できる友好国的存在になった。アメリカもその方が居心地がいいということだ。

 北朝鮮の核や、中国の関税問題も摩擦は、トランプ独特の交渉テクニックのひとつ。お互いにそれを知っているので、戦争になるようなことはない。

 安倍首相もようやくそれに気づいたようだが、傍目で見ていても滑稽なレベル。アベノミクス同様、それを注意してあげる我が国の人材払底の方が、よほど深刻である。

 

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2019年5月11日 (土)

市川ママ駅

 京成電鉄は、母の日を前に、「市川真間駅」を「市川ママ駅」と改称、表示板の映像を中心に全国放送された。令和ブームも呼び水になったに違いない。真間は『万葉集』でいくつか歌われている伝説の美女・手児奈で有名になった場所だ。

葛飾の真間の入江にうちなびく
玉藻刈りけむ手児名し思ほゆ 

           山部赤人

 「真間」はそのまた昔、アイヌ語で「崖」を意味していたという。台地の先端部でいたるところに崖がある(写真)。

2019_05110005  3000年後には、「その意味は日本語で母の意味」などと言われるようになるかも知れない。

 

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2019年5月10日 (金)

移民・難民・流民

 民族の移動には、移民・難民・流民の3種類がある。ほかに権力による強制移動もあるが、これはここからのぞいておく。

 世界のほとんどの国では、民族問題が大きな議論となり揺れ動いている。その象徴的な例がEUにある。毎日新聞の報道によると、EUが実施した先月の世論調査では、EU加盟が自国の利益になっているとする回答が68%を占め、過去35年で最高水準を示した。これは、利益になっていないの23%の3倍近くになる。

 ところが、この23日に実施される5年に1回の欧州議会選挙国民投票(EU脱退を決めたものの迷い続けているイギリスも、投票にはとりあえず参加する)の見通しでは、反移民を唱える右派勢力が35%弱と僅かながら増える予想がたてられており、EUが一体どちらに向くのか、混とんとしていて見当がつかない。

 ヨーロッパは、そもそも、民族の大移動の中から生まれた国が多い。言語が違っても日本語のように孤立した言葉ではない。日本は、島国といっても大陸と隣接しており、その影響を受けながら独特の文化を育んできた。

 そのことから、移民・難民・流民の違いを追及する機会もなく、固有の観念を持ち合わせていない。この先の国際環境を考えると、外交手腕を育むためには、ちゃんとした理念を打ち立てておく必要がある。

 

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2019年5月 9日 (木)

イランで得点を(再掲)

 今、トランプがとっている行動により、イランが苦境に立たされている。これは、過去にもあったことで目新しい事件ではない。その時、原油輸出制裁の網をくぐってタンカーを回し、危機を救ったのが日本の企業である。

 その第一船が川崎港に入港したのは、66年も前(1953年)の明日に当たる5月10日である。以下の記事も9年前のものであるが、あえて手を加えずに再掲する。

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 一冊の古い本を引っぱり出してきた。冒頭のグラビア頁に記念写真がある。写るメンバーは鳩山首相の父、若き日の鳩山威一郎氏、鳩山首相のお母さんの父、ブリジストン社長・石橋正二郎氏と夫人つまり鳩山首相の祖父母、ほかに4人関係者がいるが、ソファの中央に座るのは、主賓であるモサデグ・イラン首相の“密使”ホスロプシャヒ氏である。

 場所は東京麻布にある石橋邸の応接室で、昭和27年(1952)3月28日、講和条約が発効しGHQが廃止される1か月前のことらしい。その本の名は『イラン石油を求めて・日章丸事件』読売新聞戦後史班編<昭和戦後史>である。

 なぜそんな本を思い出したかというと、オバマ話し合い路線にもかかわらずイランのウラン濃縮作業が進み、核拡散防止で交渉してきた常任理事国とドイツの6カ国のうち、イランに同情的であったロシアまでイラン制裁に傾き始めたという最近の情勢である。これが約60年前、石油資源国有化でイランが世界から孤立した姿にそっくりなのだ。

 長年イランの石油利権で独占的利益を上げてきたのはイギリスの企業で、英国は国有化に激怒した。軍事力行使に限りなく近い恫喝で、イランの石油を引き取る消費国はなく、イランの石油タンクは満杯となる一方経済制裁で国民生活は苦境に立たされた。

 そんなとき、極秘の使命を帯びて日本にやってきたのが前出のホスロプシャヒ氏で、この密会がきっかけとなり、世界を驚嘆させた日本の出光興産・日章丸による抜け駆け輸入が実現する。日章丸が日本を離れる時には、船長などごくわずかが知るだけで、船員や家族も行き先を知らされていなかった。

 船長なども、途中英海軍に拿捕される覚悟はしていたが、まさか撃沈したり命を取ることまではしないだろうという、不安に満ちたものだった。また、航行中疑念や追尾をさけるため、無線発信をおさえ、やむを得ない連絡には暗号を使うなどスリリングなものだった。

 その経過の詳細はとても紹介しきれないが、日章丸は昭和28年5月10日、製品を満載して川崎に入港、荷揚げを開始した。そして2度目の航海につき、船が目的地アバダンに近づいた時の模様を前掲書が次のように伝えている。

 日章丸がルーカ・チャネルをさかのぼりはじめねと、大きな白いシーツを旗になぞらえて打ち振るもの、口笛と喚声と拍手がイラン側の河岸にこだまし、アバダン製油所が近くになるにつれ、小蒸気船がなん隻も日章丸にまつわるように集まってきて、盛んに汽笛、サイレンを鳴らす。

 石油桟橋には軍楽隊の出迎え、空からは超低空で飛ぶ小型機より、赤い花、黄色い花がばらまかれる。ゲート付近には鈴なりの人、人――。上陸した乗組員には「日本人、英雄」「ジャポン、イデミツ」の声が高まった。さながら日章丸は、経済苦境にあえぐイランにとっての救世主の雄々しい姿だった。

 この間、日本の外交にとってどんな難問が降りかかってくるかも知れない。各国ともそれぞれ国益にどう影響するか固唾をのんで見守るしかない。日本はようやく独立を果たしたばかり、朝鮮戦争はまだ後始末がのこっており、冷戦のまっただ中にある。

 イランの密使・ホスロプシャヒ氏はアメリカ経由でやってきた。CIAや日本の外務省はこのことを承知しているはずだ。欧米各国は、当時残っている各地の石油利権や財産権を侵害されることに反対である。しかしアメリカは、イランが共産化することをより恐れており、また、中東など利権獲得に遅れをとっている地域で、平等な機会が与えられることに反対する理由はなかった。

 だからといって、国が英国の反感を買うようなことはできない。こんなことで日本におはちがまわってきたのではないか。もちろん日本政府も同様である。日章丸帰着の頃イギリスのエリザベス女王の戴冠式があり、皇太子(今上天皇)が天皇の名代として参列する、戦後初の晴ればれしい外交舞台が待ってる。

 当然、政府内でイラン油輸入に賛否両論があったが、外務省の空気は「イランと英国の抗争に、なにも我が国の民間が行う合法的な行為をやめさせることはない」という、内心はイラン油輸入を応援する考えだった。ただ、外交上は、英国の意図に反しないよう巧妙な慎重さを演じていた。

 その後、イランにクーデターが起き、アメリカの支援するパーレビー王朝となるが、次ぎにホメイニ革命が起き、アメリカ・イランの決定的対立の根源であるアメリカ大使館占拠事件などが起きる。もともとこの地域は、イギリスとロシアが領域を2分しあうなど、他の中東地域同様に欧米やロシアに対する不信感が根強い。

 日本は、アフガンなどと同様、イランを孤立から救いイラン国民と協力態勢がとれる唯一の国といっていい。イランは、核開発問題でIAEA(国際原子力機関)に協力する姿勢も見せている。12月に同機関事務局長に就任したばかりの天野之弥氏が、核拡散防止と核平和利用の両面からどういう展開を見せるか。

 期待された鳩山外交は「政治とカネ」などの陰にかくれ、遅々として進まない。父方、母方両お爺さん時代に負けない自主的で性根のすわった外交を駆使し、内閣の得点をあげてみたらどうか。 

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2019年5月 8日 (水)

怪・北との首相対話

 安倍首相が拉致問題について大転換を図ろうとしている。菅官房長官や河野外相は正面からそれにふれず政策に変わりはないように装っている。というより、そうせざるを得ないということだろう。

 そもそも拉致問題は、改憲と並んで、首相を際立てるキャッチフレーズであったはずだ。その方法は「対話と圧力」が口癖だった。経済制裁強化も、3月に国連人権理事会で11年間続けてきた非難決議の共同提出見送り後に言わなくなった。

 トランプ大統領の対・金正恩会話戦略進展から、右往左往が始まった。それが8日の毎日新聞によると6日のトランプ大統領との電話会談を経て、対話は、「拉致問題の解決に資するものにしなければならない」から「条件を付けずに向き合う」に変わった。

 解説を含めた新聞記事の中は、「手詰まり」「方針転換」「模索」「焦り」「前のめり」「置き去り」「賭け」「リスク」などの単語であふれている。

 北朝鮮は14年、再調査委員会の調査として、帰国した5人の被害者のほかに日本側が被害者として認定した12人について、「8人死亡」「4人未入国」と主張している。それを日本側が受け入れないので、調査委員会は解体されたままになっている。

 安倍首相が対談しても、「実は居ました」などという新事実を明らかにすることなどないだろう。北の肩を持つ気は毛頭ないが、北の調査に根拠がないとする証拠は、交流がないので不十分なままである。

 そして、いまさら「違ってました」などというはずがない。そんなことをすれば、国際的信用が一挙に崩壊する。

 拉致を続ける理由として、いまだに「北の最高秘密がばれるら」とか「対日・対韓工作に支障が出る」などという人がいる。長年にわたって人質外交を続ける理由も、成り立たない。

 つまり、費用を使って長期間拉致被害者を監禁していても、何の利益にもならないということである。安倍首相が拉致問題にこだわるのには理由がある。日本会議によるキャンペーンとの関連だろう。

 北朝鮮との対話に舵をきり、それが内閣支持率に貢献すると考えているのだろうか。だとすると浅はかな考えで、結果が命取りになりかねないと思う。

 それでも乗り切れるという「思い上がり」があるとすれば、上記の新聞にあふれた「単語」に、もひとつこれを付け加えておこう。

 

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2019年5月 6日 (月)

アメリカ大統領の実像

 トランプ大統領のやることなすこと、わからないことだらけですが、今回は以下の引用だけしておきます。

(CNNニュース・05/05)

米民主党の実力者であるナンシー・ペロシ下院議長は4日、2020年の大統領選に触れ、民主党候補が議論の余地がないほどの大差で勝利しない限り、トランプ大統領が自発的に退任しない事態になることへの懸念を表明した。(後略)

アーネスト・メイ『歴史の教訓』

(前略)元来、行政府は一九三〇年代でさえ、世論を動かし、事態を制御できるかなりの影響力を保持していたが、その大統領は世論指導者として、十九世紀末以来他に類例を見ないほど重要な地位を占めるようになった。なによりも大統領は、情報収集能力の点で抜群の力を手にするようになった。しかも第二次大戦後、CIAや国家安全保障局のような組織が、議会も新聞も、いかなる民間人もおそらく匹敵できないほど豊富な情報資料を大統領に提供するようになった。

かなり広範囲な問題にわたって大統領は、ある事態を重視したりほぼ無視したりすることによって、議会と世論に対してその事態の持った重要性の度合いを決めることができる。(後略)

 

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2019年5月 5日 (日)

鯉のぼり

♪屋根より高い鯉のぼり

2019_05050005

 やっと見つけたのがこれだ。めったに目にしなくなった鯉のぼり。それも平屋がほとんどなくなって、高層マンションが多くなった今日、屋根より高いのは珍しい。ただし、この写真は、手前の人形専門店の宣伝用だった。

2019_05050003  もう一枚は、数を誇るが地面より低く風も当たらない。いずれも使い古しで元気がない。多ければいいというわけではないだろう。

 10連休最後の祝日「こどもの日」だが、鯉のぼりとの関連、意識している人がどれほどあるか。もとは端午の節句、子供の成長を祝う節句は女の子用が桃の節句・ひな祭り、男の子用が端午の節句だったが、男の子用のこの日だけ「国民の祝日」で、休みになった。

 どこかの局でアナウンサーが五月人形・武者人形を指して「ひな人形」といっていたが、ふたつの節句は全く由来が違う。子供の日といっても、学校でその由来を教えることはなく、先生も知らないのではないか。

 スーパーで、ちまき、柏餅、菖蒲の葉などを売っているが全て端午の節句・中国の風習から来たものだ。鯉のぼりの由来もまた同様。中国・古代の詩人、屈原が汨羅で入水自殺した日が5月5日である。屈原を知らなければ、その日としたことの理解もできない。

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2019年5月 4日 (土)

平成元年には何が

 10連休もあと2日。令和フィーバーが続く中、さして書くこともないので、平成元年略年表を。

1・昭和天皇死去、皇太子昭仁が即位「平成」と改元 2・大喪の礼 3・竹下首相のパーティー券のリクルート社購入発覚 4・消費税実施(3%) 6・宇野内閣成立 中国天安門で民主化運動への弾圧事件 7・参院選で社会躍進、与野党逆転 8・第一次海部内閣成立 11・総評解散、連合と全労連結成 ベルリンの壁事実上撤廃 12・土地差本法成立 失脚したルーマニア大統領夫妻射殺

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2019年5月 3日 (金)

憲法を使う心

 憲法記念日とは変な日だ。祝日法によると、憲法記念日は、「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。」ためとなっている。

 しかるに、今日新聞に載った各党の談話を見ると、自民は改憲一色、公明が評価・礼賛と加憲。立憲が危機的状況の強調だけ。共産・社民は、それに護憲を加える。国民民主は、政府を非難するものの国民投票法にもふれる。維新の会、希望の党は独自の改定案。

 「お祝いの日」からは遠ざかってしまったようだ。

 日本は、憲政始まって以来130年、敗戦で現憲法に全面改定した以外は、一度も中身を変えていない。

 これに比べて韓国は、70年間に6回の大改定を含め9次にわたる憲法改正をしている。現大統領が12代目だから、その都度変更しているようにも見える。日本と違って、改定しやすい条文なのかと思ったが、発議や国民投票など条件は、日本とほぼ同じであった。

 改定は、大統領独裁を制限する中身が多かったようだが、前大統領が罪人になったり自殺したりする頻度も高く、大統領の地位低下は座視できないところまで来ているのではないか。その分だけ議会の権力が目立つようになり、政党間の権力競争も激しくなる。

 行政・立法・司法の三権分立も憲法上他の先進国と同じだ。しかし、こうころころ憲法が変わると、どうしても憲法の重みが軽くなり、立法が強くなる。その分、司法・行政に立法への「忖度」が働くのではないか。文大統領を見ているとそんな気がする。

 議会が力を持つことは、一見民主主義が進むように見える。ところが、選挙民が人の吟味をおこたり、慣習化した投票行動をくり返すようになると弊害が表面化する。

 最近の、韓国政府の日本に対する理不尽な態度も、そんなところからきているような気がする。

 

 

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2019年5月 2日 (木)

鳥居

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 散策の範囲には、鳥居で祀られる造作が神社とは言えないものまで含めると、ほぼ10件ある。写真の氏神のほか、庚申塚3件、水神、稲荷、天神・八幡などポビュラーな祭神はほとんど揃っている。

 お寺も10軒ほどある。千葉県という土地柄から「南無妙法蓮華経」系が多いが、「南無阿弥陀仏」・「南無金剛遍照」系、さらに「なむからかんのとらやーや」、これを漢字で書くと「南無喝囉怛那哆羅夜耶」まで揃っている。

 教会はもっと遠くまで行かないとないが、もと某総理大臣が言った「天皇中心の神の国」という表現とは合わない。

 

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2019年5月 1日 (水)

沖縄差別の歴史変造

 令和最初の日、沖縄の県紙2社の社説は、他マスコミ同様に歓迎ムードだった。ところが2日前のに琉球新報ではこうある。

 沖縄に関する限り昭和天皇には「戦争責任」と「戦後責任」がある。それらをあいまいにはできない。二度と同じ悲劇を繰り返してはならないからだ。昭和天皇が米軍による沖縄の長期占領を望むと米側に伝えた47年9月の「天皇メッセージ」も、沖縄の米統治に影響を与えた可能性がある。新憲法下での政治的行為だった。

 そうすると、先代、先々代の天皇の間に断層があることになるが、この書き方は、昭和史を歴史として扱う上で昭和天皇を誤解させる恐れがある。

 占領中のマッカーサー総司令官と昭和天皇は、直接の面会を通じて深い信頼関係があったことは、前回書いているが、昭和史としても通説化している。

 だが、引用中の「47年9月の天皇メッセージ」という表現が大きな誤解を与えるもとになっている。「メッセージ」は、「伝言」という軽い意味もあるが、アメリカの大統領教書のような重みのある伝達にも使われる。

 この場合のメッセージは、日常天皇の非公式発言や気持ちを察することのできる位置にいる寺崎宮内庁御用掛が、シーボルト連合国最高司令官政治顧問に伝えられた天皇の見解とされている(『寺崎英成御用掛日記』)。そのメモが、米国国立公文書館から公開されて、動かぬ証拠のように扱われるようになった。

 しかし、日米講和条約調印の4年前のことである。この年の5月6日、マッカーサーと昭和天皇が会見しており、ここで天皇は「もしアメリカが日本より撤退したら、誰が日本を保護するのか」と問うたとされる(前掲書)。

 ここからわかることは、昭和天皇が「メッセージ」で、沖縄を差別し復帰を遅らせたという解釈にはならないということだ。この年はすでに新憲法下にある。天皇の政治的発言はできないことになっていることは、双方承知しているはずで、本土と沖縄は同列に置かれていた。

 この年は6月に片山哲社会党首班内閣が成立し、7月に沖縄人民党が結成された。かりに、天皇発言がなかったとしても、本土にしても沖縄にしても革新勢力の進出で外国の干渉を受け、国内が混乱状態になることを内心恐れていたことは、十分にあり得る。

 それを、現在の辺野古基地に対する本土の差別意思などに関連させる思考があるとすれば、それこそ歴史の変造になる。

 諸資料から見て、昭和天皇は、全く逆の観点から差別なく国民の安寧を願っていたことがうかがえる。メディアも学者もこの変造を一刻も早く是正する任務がある。

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