« メルケルとチャーチル | トップページ | 統計不正の追及責任 »

2019年2月 4日 (月)

行政責任・昔天皇今国会

 本塾が折に触れて指摘することに、大手マスコミの政府に対する優柔不断ぶりがある。特殊な権益を保護されているNHKならともかく、長年購読し引用も多い毎日新聞にも、それがないとは言えない。それを今日の特別編集委員・山田孝男氏が書くコラム「風知草」に見る。

まず「統計の論じ方について」という題の文頭に結論か書かれている。

野党も毎度不発のマンネリ当確ごっこにふけるべきではない。選挙対策で閣僚の首を狙うパフォーマンスからは、不正の根を絶つ変革は生まれない。

そして文末に、

政府統計の信頼性は保たなければならない。責任追及は当然だが、予算論戦の軸はあくまで政策に置くべきではないか。

とくくっている。

そういったスタンスが、同じ日の紙面に載った世論調査で、政府統計「信頼揺らいだ」が75%もあるのに、内閣支持率38%で前回調査より1ポイント上がっていることにつながっているのではないか。

明治維新で幕府が大政奉還し、政治の空白ができた。憲法も国会もまだない。外圧がある中で早急に国の体制を固めるための急務は何か。大久保利通が考えたことは、内務官僚が負う責任のあり方であった。

これは124日に「統計の責任は天皇だった」として書いたが、その一部をあえて再録をする。

明治七年(1874)一月十日公布せられた職制にによれば、「内務省ㇵ国内ノ安寧、人民保障ノ事務ヲ管理スル所」とし、課を勧業寮・警保寮(以上一等寮)・戸籍寮・駅逓寮・土木寮・地理寮(以上二等寮)および測量司(八月三十日廃止)の六寮一司に分かち、内務卿は、「全国人民ノ安寧ヲ謀リ、戸籍人口ノ調査、人民ノ産業ノ勧奨、地方ノ警備、其他土木・地理・駅逓・測量等」所管の事務について大臣の指示のもとに専決する権利をもち、「而シテ其事務調理スル二於テハ、天皇陛下二対シテ担保ノ責二任ズ」と、諸省卿よりは格段に重い天皇への直接の責任を規定し、いいかえれば諸省卿よりも一段高い権威を与えられ、「特旨解赦恩典ノコト」も内務卿が勅旨を奉じて行うこととした。

現行憲法では、そのあたりをどう引き継いでいるだろうか。

日本国憲法 第五章 内閣 

第六六条③ 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う。

というのが、天皇に代わる主権者の国民そしてその委任を受けた国会、という変化になったのだろう。官僚の仕事について国会は連帯責任を負うことになる。パフォーマンスにふけっているわけではない。国会が責任を果たそうとすればそうなる。

山田氏の専門家としての緊張を欠いた論調は、一般論として受け取られやすいこともあり、憂慮せざるを得ない。

 

|

« メルケルとチャーチル | トップページ | 統計不正の追及責任 »

マスコミ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 行政責任・昔天皇今国会:

« メルケルとチャーチル | トップページ | 統計不正の追及責任 »