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2018年11月 1日 (木)

朝鮮半島を覆う苦悩

太古より最も密接な隣国であり、近代化・国際化が進んでいるはずの韓国が、なんとも理解しがたい不思議な姿を見せる。先の軍艦旗騒動に次いで今度は70年以上も前の徴用工補償訴訟で原告勝訴の最高裁判決を出したことだ。

慰安婦問題もそうだが、長い間問題にはならなかった問題が、突然息を吹き返す。

判決文を朝鮮語で見たわけではないが、中央日報・日本語版に判決理由が書いてある。

大法院1部は日本の確定判決が日本の韓半島(朝鮮半島)支配と強制動員そのものが不法だと見る大韓民国憲法の核心価値と正面から衝突……

日本の新聞では、その前半部分を日韓併合条約そのものが不法、という書き方になっている。日韓併合に相当強引さがあったことは事実だが、日本は当時念願の日英条約を改定して間がない頃だ。国際間の評判には相当気を使っていた。

韓国側の李完用総理などと国際法上さし障りのない手続きを踏んでいるので、不法という指摘は当たらない。それまでの国際会議の成り行きから見ても、イギリス、アメリカ、オランダなどからは支持も受けていた。

もう一度、上の判決理由をよく見ていただきたい。「大韓民国憲法の核心価値と正面から衝突」とある。国際法上不法というのではなく、韓国憲法から見ると不法だといっているのである。

韓国憲法には、国のルーツとして上海に設立された亡命政権の法統を継ぐ、と書いてある。亡命政権は李承晩をトップに据えたが、これを承認する国は一つもなく、まとまりも欠いて李承晩はアメリカに身を隠していた。

日本の敗戦を見ていち早く施政権を持とうとした「人民委員会」が李承晩を主席に担いだのだが、アメリカがそれを認めなかった。しかし、冷戦がようやく表面化しかかったこともあって、激しい左右対立の中1948年5月に米軍施政下だけの単独選挙が行われ、アメリカの意を受けた李承晩が初代大統領となった。そして憲法が制定され「大韓民国」の発足となる。

この経緯からわかるように、国名が「朝鮮」ではなく「韓国」としたのは、日韓併合の直前に朝鮮国王が「大韓帝国」と国名を変更したのを引き継いでいるのだという、亡命政権の主張が感じられる。

日韓併合と同時に亡命政権ができたのならわかるが、実際は1919年(大正8)で9年の間がある。そのきっかけとなったのは朝鮮全土で起きた31運動で「独立万歳事件」ともいわれる。理屈だが独立運動というからには、併合そのものを不法としていなかったことになる。

だから、亡命政権の「法統」といっても、韓国最高裁の憲法解釈がそうであれば韓国政府が三権分立の建前から尊重するというのは、行政の長として立派。

しかし、国際法上疑義があるということは、裁判官の少数意見や、国民の間にもあるようだ。

民族分断の解消を前にした、建前と本音、そして大きな矛盾をかかえる朝鮮半島にどこまで親身になれるか、日本も大きな選択を迫られることが避けられない。

 

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コメント

騒いでいるのは日本のマスコミと韓国の一部右翼だというのが真相らしいですが、国民感情としては分らないでもない気がします。

福島県、特に会津では150年前の遺恨がまだ歴然と生きていますので、たった70年ほどまえのことはまだまだでしょう。

投稿: 玉井人ひろた | 2018年11月 2日 (金) 08時44分

恐れているのは、南北融和が実現したあとの両政権による「本家争い」です。お互いに立国(独立)の源流を正当づける「反日競争」になりかねません。

投稿: ましま | 2018年11月 2日 (金) 13時40分

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