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2018年9月 4日 (火)

首相改憲論の自信なさ

 首相は昨3日、自衛隊高級幹部会同で訓示した。内容・要旨は昨日の夕刊に掲載されたが、正確を期すため首相官邸のホームページに掲載されたものを引用した。最初西日本豪雨災害への救援活動を称賛したあとに続ける。

(前略)ソマリア沖・アデン湾にあっても、世界の平和と安全のため、今日も隊員たちが汗を流しています。24時間、365日。国民の命と平和を守るため、極度の緊張感の中、最前線で警戒監視に当たる隊員たちが、この瞬間も日本の広大な海と空を守っています。東シナ海では、北朝鮮に対して国連安保理決議の完全な履行を求めるべく、自衛隊の総力を挙げて、瀬取り防止のための監視を行っています。(中略)

国民のために命をかける。これは全国25万人の自衛隊員一人一人が自分の家族に胸を張るべく気高き仕事であり、自分の子や孫たちにも誇るべき崇高な任務であります。

  幹部諸君。それにもかかわらず、長きにわたる諸君の自衛隊員としての歩みを振り返るとき、時には心無い批判にさらされたこともあったと思います。悔しい思いをしたこともあったかもしれない。自衛隊の最高指揮官、そして同じ時代を生きた政治家として、忸怩(じくじ)たる思いです。

  全ての自衛隊隊員が、強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える。これは、今を生きる政治家の責任であります。私はその責任をしっかり果たしていく決意です。

 後段の結論めいた部分は、首相持論の自衛隊憲法明記を「決意」として披歴したものだろう。

 首相も自衛隊員も現行憲法を尊重し擁護する義務がある。だからそこから逃げるため、「憲法」という言葉は使えない。首相の真意がアンダーラインの部分に隠されており、自衛隊員の「悔しい思い」に責任転嫁するかのような表現になている。

 また、首相の9条1項、2項をそのままにして3項に自衛隊を明記するという持論は、どうひねってみても論理矛盾を避けることができない。

 首相は、自衛隊を「軍隊」にしたい。だから憲法に入れたいのだ。軍隊を持って憲法に規定のない国はたしかにないだろう。しかし、2項には「軍隊」についてはっきり明記してある。「陸空海その他の戦力は、これを保持しない」とあるので、自衛隊が軍隊でないことを認めることになる。

 国民のために命をかける仕事は、警察でも海上保安庁でも消防でもある。瀬取り防止・監視は海上保安庁がやっている。それが憲法に載っていないから「家族に胸を張るべき気高き仕事」ではないとでもいうのだろうか。

 自衛隊員や家族に「心無い批判」などする国民の話など聞いたことがない。自衛隊を違憲的存在とする、共産党や社民党でも政策と個人は別だ。このなあいまいな表現をいくらつなぎあわせても到底論理にはならない。

 首相の自信のなさがここに表れている。

 

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