« 医は仁術 | トップページ | 杉田水脈発言について »

2018年9月18日 (火)

安保法制の危険目前に

首相は、総裁選の演説で、外交での成果をことさらあげていいる。例として「アメリカとのこれまでにない緊密な関係構築」に触れたが、その中味は言っていない。

本塾は前々回の「首相の外交センス」で、途上国へのバラマキ外交以外には、主要国をはじめ拉致問題など何の進展も見られず、トランプとの「特別な関係」も経済などで色あせてぎくしゃくしていると書いたことに矛盾する。

そこへ、今朝の毎日新聞に「シナイ半島 停戦監視へ陸自派遣検討 安保法を適用」という記事が出た。

はは〜んこれか。

ぎくしゃくの中には、トランプのイスラエル大使館エルサレム移転に同調せず、イスラエルの脅威であるイラン制裁にも消極的な態度がトランプのお気に召さなかったという事情が隠れているはずだ。

記事の中にある「シナイ半島駐留多国籍軍・監視団(MFO)」とは何か。40年近く前の1979年3月、エジプトとイスラエルが激しく戦った中東戦争の後始末として、キャンプ・デービッド合意に基づき、ワシントンD.C.で署名されたエジプト・イスラエル両国の他、イスラエルの支援国であるアメリカ署名した条約に基づく。

記事は、次のように続ける。

安全保障関連法で可能になった「国際連携平和安全活動」の初めてのケースとなる。政府は現地の治安情勢などを見極めながら、派遣が可能かどうか慎重に検討を進める。

自衛隊の国連平和維持活動(PKO)への部隊派遣は昨年5月の南スーダン撤収で途絶えており、「積極的平和主義」を掲げる安倍政権は新たな派遣先を検討していた。ただし、シナイ半島はイスラム過激派の活動で治安が不安定な地域があり、当面は司令部要員の派遣にとどまる見通しだ。

国際連携平和安全活動は改正PKO協力法で規定され、自衛隊が国連主導ではない、欧州連合(EU)などの国際機関の要請による人道復興支援や治安維持活動に参加できるようになった。紛争当事者の停戦合意などPKO参加5原則を満たすことが条件。隊員は同じく安保法で規定された「駆け付け警護」もできる。

MFOは1979年のエジプトとイスラエルの平和条約に基づき多国籍軍の形式で展開している。本部はローマで、昨年現在で欧米など12カ国が約1160人の軍人を派遣し、日本も88年から資金援助している。(後略)

それが現在も続いているわけだが、40年間にその政策・環境が全く変わってしまった。エジプト・シナイ半島はイスラエルと境を接しており、長い間エジプト市民の支持する「穏健なイスラム原理主義」と称された「ムスリム同胞団」がパレスチナ人に人道的支援を続けパレスチナ・イスラエルの融和も図ってきた。

一変したのは、いわゆるジャスミン革命で同胞団の支持する政権が生まれたものの、軍部がクーデターで倒し、シナイ半島に逃げ込んだ同胞団をテロリスト扱いにして厳しい弾圧を加えてからである。

このため抵抗も武力に頼らざるを得なくなり、ISを名乗る一派も生まれるようになった。

MFOがエジプト政府の意を受ければ、こういったいわゆる「テロリスト」と対立関係を生む。それはアメリカとイスラエルにとって好都合であり、日本の参加はその実効や人数は別として多大な宣伝効果があると思われる。

首相は、これで「ぎくしゃく解消」ができたと踏んでいるのだろう。泥沼にいったんはまり込むと参加するより抜ける方が困難になる。憲法の趣旨にまったく反した方向へまっしぐら、を止める人はいない。

 

|

« 医は仁術 | トップページ | 杉田水脈発言について »

安保」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/74230159

この記事へのトラックバック一覧です: 安保法制の危険目前に:

« 医は仁術 | トップページ | 杉田水脈発言について »