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2018年5月16日 (水)

朝鮮のナショナリズム獲得

429日に「日・朝間の序列争い(遣唐使)」という題で書いている。中国(唐)から見れば日本は朝貢国扱いだが、遣唐使が朝鮮(新羅)と序列が逆になっていると抗議、訂正させたという内容だ。

これは、平安時代の話だが、それよりずっと前の飛鳥時代、随に向けて「日出ずる国の天子日没する国の天子に書を致す」という文書を出して煬帝を怒らすなど、日本は古代からアイデンティティに裏付けされたナショナリズムを確立させていた。

お隣朝鮮では金・文の南北首脳が板門店で電撃的に会談し、民族統一を夢見る高揚感に沸き立っている。不思議に思うかも知れないが、朝鮮民族にはこれまで、「ナショナリズム」が存在しなかったのだ。

北にしろ南にしろ激しい自己主張、プロパガンダは、日頃の映像などでおなじみだ。しかし、これは南北が分断し、北は金日成将軍の態勢確立、南は朴正熙大統領が経済建て直しに成功してから始まった。南北双方の政権が内外に向けて、民族の代表を競い合っているようにも見える。

これはナショナリズムではない。北はアメリカとの戦争状態終結の直接交渉実現、南は反日と経済外交の進展をいう。朴正熙はナショナリズムを持てなかった朝鮮の歴史を『国家と革命と私』(原著1963年、鄭大均『韓国のナショナリズム』所載)の中で次のように総括している。

わが五千年の歴史は、ひと言でいって、退嬰と粗雑と沈滞の連続史であった。いつの時代に辺境を越え他を支配したことがあり、どこに海外の文物を広く求めて民族社会の改革を試みてみたことがあり、統一天下の威勢をもって民族国家の威勢を外に誇示したことがあり、特有の産業と文化で独自の自主性を発揚したことがあっただろうか。

いつも強大国に押され、盲目的に外交文化に同化したり、原始的な産業の枠からただの一寸も出られなかったし、せいぜい同胞相争のためやすらかな日がなかっただけで、結局、怠惰、安逸、日和見主義に示される小児病的な封建社会の一つの縮図にすぎなかった。

これは塾頭の歴史観とおおむね一致する。ある意味で非常に気の毒なのだ――という言い方をすると、朝鮮人の自尊心を傷つけることになり、慰安婦像問題など黙視して勝手にさせればいいなどとは考えず、しっかりと抗議するのが礼儀だ。

中国と韓国を旅行すると、中国は店の看板をはじめ、あらゆる所漢字標識。字体が違っても8~9割は意味がわかるので親しめる。ところが韓国はハングル英語併記はあっても日本語、中国語併記はまずない。

朝鮮民族以外はハングルを読めない。読めたとしても音標文字なので韓国語を知らないと解釈できない。今は改善されているかも知れないが気になる点だ。

「倭色用語(ウエセクヨンゴ)」排斥、つまり言葉狩りは南北競って進められた。日本人は韓国語を知らないが、朝鮮人は多くの日本語を知っている。日本統治下にあり、教育されたこともあるが、漢字で表現される近代用語はもとより、日本語は文化として深く浸透していたのを無くしようという運動だ。

しかし、前述の「用語=ヨンゴ」は排斥できずに残っている。無理をすると、どうしても別な事柄をあげ「反日」推進になってしまう。韓国が独立を得たとき、手放しでこれを喜んだ群衆が、集まるだけでは表現しきれない、何か歌を歌おうという声が中から起こった。しかし適当な歌がみつからない。そこで自然にでたのが、日本の愛国行進曲、♪見よ東海の空明けて……で、唱和の輪が広がったという。(前掲書)

お互いの違いを認め合い、進んでいる点には尊敬を払い、礼節を尽くすという相互関係は、少なくとも明治維新まではあったのだ。日本が統一に関与するべきではないが、相互の関係についてもつと知識をもつべきだ。

南北朝鮮がかつて持てなかったナショナリズムを手にするまたとない機会を得たのだ。つまり、国の形を決める文化問題だ。トランプがどれほど朝鮮について知識があるか不明だが、中国は五千年のつきあいがバックをなしている。

アメリカの軍事的観点による対処や日本の対話と圧力、拉致問題優先は、民族のナショナリズム、アイデンティティ確立という半島の文化の問題でもあり、かみ合っていない。隣国である日本が蚊帳の外である点は、そういった認識を無視しているからである。

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