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2017年12月28日 (木)

日韓の新世紀を

韓国から、慰安婦問題に関する日韓合意検証作業部会の報告書というのが27日に発表された。文在寅(ムンジェイン)政権は今後、韓国国民が同意していない「裏合意」の修正を日本政府に求める可能性がある。

この問題については、河野談話のレベルまでがまっとうな線であり、慰安婦像などに日本はいちいち過剰な反応をせず、史実として確認のとれないことに厳しく抗議することは当然ながら、大人の立場で黙殺するのが一番、と思っていた。

当塾は、これまで明治のはじめ、日朝修好条規を李王朝と締結して以来の両国関係を、特集を含めて書きつづってきた。そのほとんどは、民族の悲劇といっていい状態に終始しており、良きにつけ悪しきにつけ日本との関わりが大きく、その責任を免れることはできない。

自らの民族性を『恨』の一字で表現しているのを見たことがあるが、お互いが理解し合うという間柄は、遂に150年間一度もやってこなかった。塾頭は、長年の確執を乗り越え、欧州共同体の結成にこぎ着けた例を見て、「東アジア共同体」というカテゴリーまで作ったりしたが、それに近づく気配は毛頭ない。

正月用に、と思って買ってきた新書に金文学『韓国人が知らない安重根と伊藤博文の真実』祥伝社というのがある。満州生まれの韓国人3世から見た、韓国人と日本人が持っている見識が、いかに二人を対極においた誤った見方であるかについて諸データをあげ説いている。

当塾でも、かつて伊藤博文は安に暗殺されだが、朝鮮人をよく理解しており、生きていれば日韓併合も違った結果になっていたかも知れない、という説を散見するようになったと書いた。

それに対し、日韓併合はアジア侵略の第一歩であり、伊藤はその元凶である。そんな説は誰が言っているか名をあげよ、といった書き込みをいただいた。文字通り「散見」でありメモもなかったので即答できなかった。

もちろん、上掲書はそれに入っていない。著者は中国在住の韓国人である。慰安婦問題もいずれ政治問題からはなれた冷静な分析が現れることを期待したい。慰安婦問題にこだわるようなら安倍首相の平昌オリンピック出席はしない、など大人げない態度では得るところがない。

図書紹介に代えて、同書の「まえがき」から一部を引用する。

韓国では民族英雄として安重根はよく知られ、宣伝されているのだが、安によって殺された伊藤博文への認識は「元凶」としてのステレオタイプのままであり、ましてや伊藤を客観的に認識・研究しようとする意識はきわめて希薄である。実に残念である。

私の研究では、伊藤は文人型政治家で、韓国を愛した人物であり、したがって彼は、韓国を植民地支配することには、一貫して反対してきた。「知的嚮導(先に立って導く)」として韓国を覚醒させ、日本と同じレベルの近代国家として創り上げようとしたのが、伊藤の韓国近代化の理念であった。

安重根も、現在の韓国人もこのことに関しては無知であったし、誤解をしている。日本人の中でも同じ誤解をしている人も多いし、また、韓国に対して、いつも一方的に加害者意識を働かせて、真実から目をそらしている。

このような日韓関係の歴史認識のギャップや相違を解決する根本的方法は、伊藤博文と安重根への認識をより深め現在の想像ではなく、当時の歴史的真実の中に深く入り込む必要があると、私は考える。

今日まで、日韓両国は常に加害者と被害者の、脅迫観念に呪縛されてきたが、この強迫観念から逃れる時期が訪れたと言いたい。

そして「伊藤博文VS文重根」という敵対的構図から脱皮して、相互的な視点に立って、自国や相手に対する認識、理解を深めるべきだ。むやみに相手を罵倒し、責めるのはもはや意味がないし「百害あって一利なし」である。

新しい日韓パートナーの関係は、ここから生まれる。

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コメント

今晩は
仰るとおり現在の韓国国民、日本国民は知らずに議論しているのでしょうね。
慰安婦問題でも同じ事を感じます。理解が進むことが重要ですね。

 良いお年を
        飯大蔵

投稿: 飯大蔵 | 2017年12月28日 (木) 23時50分

飯大蔵 さま
慰安婦問題では、江戸時代の歌麿、昭和の永井荷風が公娼制度の中で働く女性の美しさや気構えなど、時には尊敬の念さえ抱いていたこと、また人権に対する厳しい司直の目や取り締まりなども日本文化の一環として書こうと思ったが、誤解されるだけだからやめました。

どうぞいいお年を!

投稿: ましま | 2017年12月29日 (金) 09時57分

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