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2017年11月 8日 (水)

「軍法会議」を知ろう

  アメリカ大統領トランプは今日中国に渡った。首脳会談で何が話されるか注目される。しかし、その内容の肝心な部分は公表されないだろう。その留守中、アメリカ国内の不安定さは依然として続いている。

アメリカ南部テキサス州で5日、男が教会で銃を乱射し、1歳半の幼児を含む26人が死亡した事件で、容疑者の男はアメリカ空軍に在籍していた時に妻子への暴行容疑で除隊処分を受けましたが、空軍は犯罪情報を司法当局に伝達していなかったことがわかりました。伝達されていた場合、男は銃を購入することができず、空軍は経緯について調査を始める意向を示しました。(中略)

ケリー容疑者はアメリカ空軍に在籍していた2012年に妻子に暴力を振るったとして軍法会議で有罪となり除隊処分を受けましたが、その後の調べで、空軍はケリー容疑者の犯罪情報を司法当局に伝達していなかったことがわかりました。(NHK11/7)

この中に「軍法会議」という言葉が出てくる。日本にはない制度で知識のない人もすくなくないと思う。さきの総選挙が改憲も争点の一つと言われながら、具体的な案文がないまま自民党を圧勝させてしまった。

安倍首相は憲法9条をそのままにして、自衛隊を書き込む加憲論を突然持ち出した。集団的自衛権を拡大解釈し、ほとんどの憲法学者が違憲と見なす安保法案を強行可決した安倍内閣が、自衛隊を9条に明記することで合法を装うとするずるい手だ。

その前からあった自民党の改憲案は、戦争放棄はするが自衛のための「防衛軍」を持つと明記している。「自衛隊」と「防衛軍」、事実上たいした違いでもないと見えるだろう。装備の面や、最近盛んに行われる米国軍などとの共同訓練や装備の点で、外国からもそう見られても仕方ない。

だがはっきり違う点もある。「軍」と「隊」の違い、英語にすれば同じという人もいるが、消防隊を軍隊という人はいない。早く言えば人殺しを職業とするのが軍隊だ。そのため一般国民と違う法制度を設けた方がいい、その代表例が前述した「軍法会議」である。

軍法会議は裁判であるが、軍内部専用で普通の裁判所とは違う。裁判官も軍人で法律専門家ではなく、判決も一般から見るとおかしなことが多い。旧日本軍人も、一般社会を「娑婆」といつて別世界扱いしてきた。【参考】「ゴーストップ事件

軍法会議の問題点について、ウイキペディア(11/8)にはこう書いてある。

軍という狭い組織の中で行われるため、どうしても「身内同士かばい合い」や「組織防衛」が起こりがちで、外部からの不信を招きやすい(ソンミ村虐殺事件、えひめ丸事故)。果ては占領中の沖縄で1945年、軍法会議の有罪評決をワシントンの本省が破棄し無罪とした事例があった事も確認された。

下士官兵などは厳格に裁かれることが多い一方、将校、特に高級将校に対する判決は寛大であることが多く、軍内部で上層部への反感が生まれること多い(富永恭次など)。

政治的な理由などにより、法や量刑相場にそぐわない恣意的な判決が出ることがある(チャールズ・ジェンキンス)。このような問題点があるため、現在のドイツ連邦共和国のように「軍刑法」のみ定め、「軍法会議」自体は廃止している国もある。

たとえば、戦闘中に怖いからといって逃げ出す兵は、撃ち殺してもいいということがある。仲間を殺しても無罪になるのだ。敵に加わるかも知れないという理由である。民間人でも、敵陣にいれば、便衣兵かも知れない。殺さなければ逆に殺されると判断すれば、殺しても責められることはない。

この、軍独特の制度を手放すことは、志気に関わるといって死守する。そして、軍の横暴さを助長させるもとにもなる。

沖縄の米軍基地では、基地外で米兵が犯罪を起こしても基地に逃げ込めば日本の警察に捜査権が及ばない、というようなことが度々あった。今でも米軍ヘリコプターが民間地に不時着し、火災を起こしても日本側は原因究明することができない。取り調べることも罰することもできないのだ。

これは、安保条約地位協定がそうさせているのだが、一般人にはない権限が「軍」なるが故に付与されているのである。自衛隊ではそうはいかない。一般国民と同じ目線で仕事をしなければならないのだ。国民は、この点をしっかり認識しておかなければならない。

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