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2017年9月 8日 (金)

古い護符「日米韓協力」

これまで“裸のまま”、つまり、あとから付け加えた諸協定や「指針」「安保法制」などがない日米安保条約は、維持すべきだという考えを塾頭は持ってきた。

60年安保反対闘争のデモには参加したが、今考えると占領を終えていきなり占領軍を撤去させることは、東西対立激化のなかで、日本の平和維持が不安定化する。そのため、講和条約締結とともに旧・安保条約を結んだのは自然の成り行きだった。

それは、アメリカ主導で作られたもので有効期限もなく不平等と見たのが、戦後15年を経た当時の岸信介首相である。国力の差から完璧とは言いかねるが、戦争を放棄した憲法を持つ日本としては、現行安保条約への改訂が精一杯の仕事だったと思う。

明治維新前夜、日本を開国に持ち込んだのはアメリカである。東京湾に4隻の軍艦を繰り込ませた脅迫があり、治外法権など不平等なものであったが、開国に欧州列強のような帝国主義的侵略はなかった。そして、戦後占領中も食料援助など、どちらかというと友好的に扱われたという経緯がある。

そういった歴史環境の中から生まれた日米安保である。憲法を越える拡張解釈をしておきながら、条約そのものは手つかずのままである。基本的には、抑止力という、お札(ふだ)のような効能はあっただろう。そこへ起きたのが北朝鮮の軍事的脅迫である。

もともと極東の安定を意識した条約である。しかし、締結当時と極東の環境は大きく変わった。日中韓の経済大国化、中でも中国はアメリカに次ぐ実力をつけ、軍事費増大や海洋覇権が警戒されるようになった。

一方、経済的には出遅れた北朝鮮だが、ミサイルや核爆発実験を繰り返し、世界の猛反発を受けながら一触即発のような緊張を作り出している。日米韓はこういった新局面にどう対応するか、冷戦的発想で乗り切れると思ったら間違いだ。

その中で我が国は、「今は対話のときではなくて圧力である(菅官房長官)」の一本槍で、真剣な問題解決に無関心と見られても仕方がない。他国頼みで日本は何もすることができず、「断固として」など中国がよく使う形容詞をつけ加えることしかできない。

ロシアが「北は草を食ってもやめることがないだろう」というのは、かつて日本が体験したことなのに、そういった想像力も働かない。あくまでも独裁共産国、狂気の・金正恩で思考を停止しているとしか思えない。

トランプ発言も独特な粗雑発言の中から、現実的にはどう処理するか探っているように見える。ここで、注目しなければならないのが、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権の急激な変化である。

就任前から対北朝鮮宥和政策を唱え、就任後も対話重視を言っていたが、急に韓国自前の斬首作戦部隊を創設するとか、ミサイル弾頭の重量制限を撤廃し、地下貫通能力を高めるなどの北に向けた主戦的な方針を示すようになった。

このところの挑発は、北のグアムに向けたミサイル発射と水爆実験それに対抗した米韓合同軍事訓練であって、北から韓国をメイン・ターゲットとした挑発はしていないし、文大統領も半島内の「戦争はない」としている。文政権の変化はどうして生まれたのだろうか。

塾頭は、最近の米韓合同軍事訓練の中からだと疑っている。結論から言うと、アメリカは北と本気で戦う気持ちはない、という感触を持ったからではないか。本気の演習なら、ソウル近辺に多く在住する米軍家族の疎開・帰国作戦から手をつけなければならない。

ミサイルでなくても、国境近くからの砲撃でソウルが火の海になり、命知らずの兵員やゲリラが殺到するのに時間はかからない。1万人規模の退避訓練は実施しているというがアメリカが、民間人保護を後回しにして開戦を急ぐわけがない。

それどころか、北の核保有を認めたうえ話し合いに応じることも考えるべき、とする有力意見もある。イラクの例からしても、韓国をそこまでして守るメリットは何か、核攻撃を断念させる方が先ではないかという、アメリカ・ファースト論ならそうなる。

韓国の頭ごなしに米が北と話し合う、これは韓国として到底我慢できることではない。その点ロシアと北でも同様だ。そこで、韓国もアメリカを頼りに軍事バランスを取ることに危険を感じはじめたのだ。

北に対して相応の発言力を維持する、これが韓国急変の理由であろう。南北対立をベースにした日米韓の古い護符は、もう役に立たないのだ。

追記

 田原惣一朗氏が首相に提言した冒険の中身が、6カ国協議を5カ国首脳に提言し、同意を得れば首相が訪朝し実現を図るという趣旨だったことがわかった(朝日新聞デジタル)。

 この時期に田原氏が明かしたのは、当塾が去年から取り上げてきたような「南北分断は5カ国に責任がある」という前提を持つ提案ならともかく、上からの目線の首相が説いたのであれば、失敗したということだろう。

 

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