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2017年8月

2017年8月31日 (木)

反日のない中国史

Dscf3077カットは『宗史日本伝』である。中国古典で、日本を詳しく説明した書は『魏志倭人伝』が有名だが、朝貢国としているだけで、歴代の青史は、概して客観的で遣使が文に通じ、節度にかなっていることなどから好意的に扱ってている。

宗史は、倭人伝の頃から1000年以上立っており、「倭」から「日本」と呼称を変えたいきさつを書いた『旧唐書』を受け継いだ書き方になっている。カット写真のように旧漢字まじりで書かれているが、今の簡体字を使った中国文より読みやすい。

こういった日本紹介は、明の時代に書かれた『元史』、つまり近代国家出現前まで続いていた。同書・日本伝の冒頭部分の現代語訳を、『旧唐書倭国日本伝他二篇』岩波新書から引用する。

日本国は東海の東にあり、古は倭奴国と称した。あるいはいう「その旧名を嫌い、故に名を日本と改めた。その国は、日の出るところに近いからである」と。その土彊(国境)の至るところと、国王の世系および物産・風俗とは、『宗史』の本伝(日本伝)に見える。日本の国は中土(中国)を去ること殊に遠く、また大海を隔てている。

元は、元寇で2度日本をおそっている。その際元の使節が日本で惨殺されたり、船舶や兵員に多数の死者を出しているにもかかわらず、その事実を記すだけで最後にこう書いている。江浙行省の役人が、成宗に対し兵を日本に用いんことを乞うたのに対し、次のように答えた。そして仏教国である日本とは、仏僧を通じて国交回復することを試みている。

帝曰今非其時朕徐思之(帝がいうには「今はその時ではない。朕はゆっくりこれを考えよう」)

 

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2017年8月30日 (水)

ミサイル発射と各紙社説

北朝鮮の日本上空越え発射に対する8月30日付社説のタイトルは次のようになっている。朝日、読売、日経は圧力強化の方向で、読売が「敵基地攻撃能力保有の検討」に言及、東京は話し合い解決優先だが、トランプだのみで独自の方策が見あたらない。

ミサイル発射 日米韓の結束強化を 朝日
○北ミサイル発射 日本通過は許されない暴挙だ 読売
○列島越えた北朝鮮ミサイル 日本主導で5カ国協議を 毎日
○危険極まる北の挑発に強力な制裁圧力を 日経
○北ミサイル、「善意」は独裁者に通用しない 首相は積極防衛に転換を 産経
北朝鮮ミサイル 日本を実験場にするな 東京

産経は、独自の主戦論だ。専守防衛を捨てて「積極防衛」転換を政府に要求、敵基地攻撃能力を導入したうえ敵地攻撃力へと進化させるという右翼好みの勇ましいものだ。

毎日の「日本主導で5カ国協議を」が目新しい。本塾の昨日の提案と同様な趣旨だが、協議の内容にまで踏み込むのは、想像・予測が入るので時期尚早ということだろう。

 

 

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2017年8月29日 (火)

北朝鮮問題の根本

早朝から北朝鮮のミサイル発射だ。正直言ってもう食傷気味。日本政府は「これまでにない」と危機感をあおるのに懸命だ。たしかにJアラートを初出動させたなどは初体験だが、北朝鮮側から見ればさして自慢するほどのものはない。

「さらに圧力を」というオオカミ少年ごっこでは解決しない。つきあってくれる国際社会があっても、決め手にはならない。日本が本当に危機を感ずるのであれば、もっと根本的な解決策を考えて提案すべきだ。

本塾は、1年ほど前から「北・抜き6か国協議」をという私論を展開(下記)してきた。もちろん北朝鮮が加われば最善である。問題の本質は、核とかICBMミサイルではない。民族の分断が70年以上も続き、南北対立を解決する糸口すらないという絶望的な状況である。

日本、アメリカ、ロシア、中国の4カ国は歴史的関与の時代は別々であっても、分断にそれぞれ大きな責任がある。韓国の日本に対するいらだちも、北朝鮮の異様な国粋主義も、根は同じと見る。

北は、統一時の優位性を保つため核保有国としての権威を捨てることはない。6カ国協議参加に核廃棄を持ち出してもムダだろう。したがって新6カ国協議は、南北統一の実現は遠い将来だとしても、そのタイムスケジュールを考える場であるとすればいい。

もちろん、核拡散防止や東アジア非核地帯宣言などを議題としたり、米軍の韓国撤退や南北政権共存のシステムも必要である。もし、北が参加を拒否したり、核実験継続をするようなら、経済制裁解除はない。

そのため仮に北にクーデター、内乱が発生し中国や、米韓が国民の安全確保を目的に出兵するようにことがあれば、その範囲をお互いに限定する秘密協定を作っておくことも必要だ。北朝鮮にとって聞き捨てならないことも議題になる。

もちろん、経済協力など、お膳立てをする日本の役割は小さくない。対話と圧力では、拉致問題が一歩も前進しなかったことに、そろそろ気がつかなくてはならない。

       記

201612 3 ()

「北・抜き6か国協議」の時期

http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/post-5487.html

20161022 ()

北・抜き陰謀論

http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/6-c69d.html

2016910 ()

北・抜き6か国協議

http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/6-59aa.html

[訂正・お詫び]

Jアラート初出動は誤り
2012年と2016年、先島諸島上空を人工衛星発射と称するものが通過した際に発動されました。

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2017年8月28日 (月)

アメリカ崩壊

  鉄壁のソ連が崩壊したのだから、アメリカが崩壊してもおかしくない。ソ連崩壊の前、それを予見できた人がどれだけいただろうか。大戦後、計画経済や科学技術も優位に立って、世界の共産化を進めていたソ連は意外にもろかった。

そのきっかけがアフガン。1978年に成立したアフガニスタン人民民主主義政権が地元のイスラム勢力(その中にタリバンもあった)に押されてメロメロ。ソ連はさっそくこれに軍事介入した。アメリカはソ連と戦う反政府勢力(その中にウサマビンラディンもいる)をひそかに支援。

10年たっても先が見えず、ソ連は多くの犠牲を払いながら撤退する。ソ連が崩壊したのは、わずかその3年後だ。

そしてアメリカ。2001年の9.11事件が発生、首謀者とされるサウジアラビア人・ビンラディンが在留するアフガンに対し、アメリカは身柄の引き渡しを要求した。すでにイスラム国となっていたアフガンは、長考の末宗教指導者の言を容れ、客人の引き渡しを拒否した。

アメリカは「テロとの戦い」として、多国籍軍とともにアフガンに攻め込んだ。それからすでに17年、アメリカ史上最長の戦争が続いている。相手はタリバンだ。イラク以上に終わりの見えない戦争で、オバマは撤退を決意していた。

トランプは、それを覆し戦争継続・増派をこのたび決定した。国内は、人種差別などをめぐって大混乱の最中。こんな騒ぎを見たのは初めてだ。戦争継続の国民の支持は得られまい。

相次ぐ政府要人の辞職や解任が続き、議会の同意が必要な人事も進まない。議会や司法が正しく機能すればソ連のような崩壊が避けられるだろうが、これを支える国民大衆が二つに分かれて争うような状態はソ連以上だ。北朝鮮とのゲームにかまけている暇はない。

 

最良の同盟国・日本ののんきさは、また、どうしたことか。

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2017年8月26日 (土)

ミサイル発射様変わり

今朝早朝、北朝鮮は短距離ミサイルを発射した。韓国発表が最も早く数発、飛距離250キロ。続いてアメリカ国防総省は3発、いずれも失敗。これに対する韓国の反応は、250キロ飛んだのだから失敗とは言えない。発射後直ちに爆発した1発は、故意に爆破と微妙にくい違う。韓国は、成功であってほしいと言わんばかりに聞こえる。

日本は菅官房長官の「経済水域に及ばず我が国に関係ない」と冷淡な感じ。北朝鮮は、まだ何の発表もしていない。こまのの、沈黙するのか。沈黙すれば、これまでの反動で、金正恩の負けになる。そこで新手の発表をするかどうか。もうひとつ。恒例の国連安保理非難決議だが、今回はないだろう。

いずれにしてもこれまでにないケースになってくる。その変化をよく注視しなければならない。

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2017年8月25日 (金)

歴史に「もしも」はない

これはよく聞く禁句というか警句である。ただ本来の意味はよくわからない。

東南アジアにおいて、日本はそこの人々に対して”侵略”したわけではなく、白人に支配されている状況から解放しようとした。その意味では、白人支配からの解放戦争でもあった。

これは右翼論陣が信奉する渡部昇一上智大名誉教授が、自著『かくて昭和史は甦る』に書いており、未だにそれを権威ある史実と信じている政治家が自民党のなかにも多い。戦中を知る塾頭は、軍部・権力機構の建前はそうであっても、「どこか違うのではないかな」という感触は持っていた。

その感触は、政府が公言する「大東亜共栄圏」を疑う「もしも」である。そして渡部氏は、もし日本が戦争をしなければ、そのまま植民地が継続したという「もしも」である。歴史研究や記述には「もしも」という仮説を立て、それが正しいかどうか証拠づける作業はどうしても必要になる。

最初に気がついたのが、1943年(昭和18年)5月31日の御前会議である。マレー、スマトラ、ジャワ、ボルネオ、セレベスを帝国領土と決定した。今のマレーシア、インドネシアにあたる。

帝国領土とされる地域は、当時からほとんどが産油地であり、アルミの原料となるボーキサイト、ゴムなど戦争継続に欠かせない資源が確保できると聞かされていた。シンガポールは「昭南島」と改名し、地図には日本と同じ赤色が塗ってあったのを覚えている。

植民地解放ではないが、今中国の海洋支配で問題なっている南シナ海の諸島。これらを日本海軍が軍事支配したのは1939年、太平洋戦争開始の前年である。そして当時日本領であった台湾高雄州に所属させた。援蒋ルート遮断のほか、南方の油田確保とその輸送路を支配する目的があったことは明らかである。

日本敗戦後、各地で激しい独立戦争があったことは知られている。渡部教授の「もしも」は史実の下で完全に崩壊しているのだ。右翼は東京裁判を不公正・不当のものという。これも「もし日本が戦争負けていなければ」のお話だ。

もうひとつ、日韓併合がなければ、ロシアが半島を併呑しただろうという「もしも」もある。ロシアの南下政策は維新前から顕著に見られ、朝鮮を日本と折半支配する提案をしたり、朝鮮王宮を抱き込んで露公使館執務させたことがあるなど、そう勘ぐられても仕方がない面がある。

しかし、それは「もしも」であって歴史ではない。歴史は、あくまでも日本の中国・満州侵攻に展開していったことだけが真実である。「もしも」を歴史に取り込むようなことがあれば、その瞬間、学問の地位を失って俗説か論評になる。

歴史認識には、厳密さが要求される。決して「もしも」を野放しにしてはならない。その点中国・韓国の歴史認識にも「もしも」が氾濫しており、史実がゆがめられている。関係改善はここから始めなくてはならない。

 

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2017年8月23日 (水)

CCW・LAWS

いかに「反戦塾」であろうとも、次々に出てくる戦争用語にはとても追いつけない。「サイバー攻撃」など使ってはいるが、実は、その語源、定義・中味などを言えといわれればお手上げになる。

北朝鮮発のミサイル発射のエスカレートが始まると、出てくるは出てくるは。「斬首作戦」「B1B爆撃機」「イージスアショア」……。それぞれはネット検索で調べていただくとして、ここでは将来が恐ろしくなりそうな略号を二つあげておく。

1 CCW(特定通常兵器使用禁止制限条約)
 X線などで検出できない破片を使う兵器や、失明をもたらすレーザーといった非人道的兵器の使用などを規制する五つの付属議定書と、手続きなどを定める本体条約で構成。1980年採択、83年発効。略称はConvention on Certain Conventional Weaponsの頭文字。

2 LAWS(自律型致死兵器システム)
 AIが自ら標的を判断するなどして攻撃する兵器。キラーロボットとも呼ばれる。だが、人間の介在の有無など「自律」の解釈を巡り定義は揺れている。2007年に英国の著名なロボット研究者ノエル・シャーキー博士が危険性を指摘。国連では14年から非公式専門家会合で問題点を議論している。略称は Lethal Autonomous Weapons Systemsの頭文字。

このブログも遠くない将来古典になるか?。そんなことはない。戦争がなければ核兵器もなくなる。科学技術の発達・利用を反戦に向けさえすればいい。順序を間違えているだけなのだ。

 

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2017年8月22日 (火)

前原対枝野

前回の続きである。昨日1時半に始まった民進党代表選に望む両候補の会見。想像通り退屈なものだった。党存亡の危機という切迫感が感じられない。党分裂回避を優先しているからだ。前回の記事は、新党への衣替えのチャンスにしてほしいという最後の期待だった。

同日発表された産経系世論調査の政党支持率は、調査時に立候補が確定していた両者に対する期待効果は見られず、政党支持率では、自民が33・0%で前回から3・9ポイント回復している一方、民進は6・9ポイントで0・1ポイント下落している。

期待されていない、これが今後覆される可能性は限りなく低いだろう。質疑応答を録音していないが、発言の中に「議論の結果を尊重して」とか「柔軟に対応」というよいな文言があったような気がする。

これは、国会の政府答弁でよく出る用語で、永田町ボケしているようだ。枝野氏の発言に「政治の私物化されている状況に強い怒り」とか「対抗軸を打ち立てる」なとど、森友・加計問題や安保法制などを思わせる表現はあったが、具体策がない。前原発言は「選択肢を――」でさらにあいまいである。党内議論を避けるためか。

小中学校の学級委員選挙と変わらないような選挙であれば、国民の目は向かない。都民ファーストの会を取り込みたいなど、こそくな手段では国政復帰に遠い。小池百合子が同じ自民党である東京都連を敵に戦い抜いた手法こそ学ぶべきではないか。

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2017年8月20日 (日)

前原・枝野&新党

明日、民進党代表選の告示が予定される。産経新聞は社説を立てて、こう書き出している。

この党首選びに、どれほどの期待と関心が寄せられているか。代表選を控えた民進党のすべての関係者に、まず考えてもらいたい点である。

比較すれば、まだ影も形も見えない「新党」の方が、世間の耳目を集めやすいのではないか。

続く内容は産経らしいというか、特に共感するものがないが、ここまでは全く塾頭と同じである。

公示してからの新党では、敵前逃亡となり、大義にもとる。選挙で堂々と持論を披瀝し、雌雄を決すべきだ。伝えられているのは、前原誠司元外相(55)と枝野幸男前幹事長(53)の事実上の一騎打ちだ。

ほかに、旧みんなの党で初当選した井出庸生衆院議員(39)が手を挙げるようだがよく知らない。この中で国民の耳目を集めるような新公約を打ち出せる人がいるかどうか。

前原・枝野有力候補は多数派工作のため、これまでの党内融和第一ではなく、自民一党支配打倒のために何が必要か、対立点を明示し、公約に高々と掲げなければならない。

その結果、破れた方は同志と共に党を離れ、新党を結成すればいいし、また勝った方も、これまでのヌエ的(前後不統一の怪鳥)存在から脱して、党勢拡大につなぐことができれば新党結成と同じことになる。

党は存続の、崖っぷちに立っているのである。塾頭は両有力候補のうち、どちらかといえば枝野氏支持である。しかし彼がかつて改憲私案を発表したとき、そのヌエ的内容をさんざん批判したことがあった。

改憲を公約に掲げるとすれば、共謀罪法や集団的自衛権解釈でできた安保法制など、安倍強権体制下で危惧される解釈改憲ができないように明文化する改訂だ。

原発ゼロ政策はもとより、鳩山内閣でできなかった沖縄基地辺野古移転反対も堂々と掲げればいい。さらに、安倍政権ではできなかった核兵器禁止や公文書公開など、国民にわかりやすい公約にすることだ。

「それは無理」などと言っていると、自民党内からそんな意見がでて先を越されることすらあり得よう。トランプの飛んでも発言から見れば、その程度なら穏当という今の世の中だ。

支持グループに知名度の高い元・社民党の辻本氏や元・首相の菅氏もいる。それだけでは不十分で、すでに政治から身を引いた鳩山由紀夫首相や、自民党では福田康夫・小泉純一郎元首相らベテランに新党構想の相談をするぐらいでないと、枝野候補の飛躍は望めないだろう。

 

 

 

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2017年8月19日 (土)

無差別大量殺人

スペインのバルセロナで繁華街を車が突進し、死者13人を含む100人以上の死傷者を出した。同国では翌日(18)日、別の似たような事件があり7人が負傷している。両事件の犯人は重複していると見られる。

車を使った犯行は昨年7月、仏ニースで86人が死亡する事件が起きたが、今年に入って比加級数的に増加、このところ毎月・毎日といった状態になった。今日も犠牲者の数はすくないが、街頭における殺人がフィンランドとドイツから伝えられている。

こういう事件を「テロ」と称しがちだが、一連の事件は「違う」と、塾頭はあえて言う。犯人はアフリカ出身のイスラム教徒であり、ISと通ずると称する通信社が「IS戦士」の行為と称すると、直ちに「テロ」にしてしまう。そして安倍首相まで得たり賢しとばかり非難声明を出す。

宗教指導者・バグダディ師が死亡したとされ拠点を失ったISが、組織として遠く離れた各国テロを起こす指令をするとは思えない。現にこのような事件を後で精査すると、ISには無関係だったとされるケースがいくつも出てくる。

一時、アルカイダを名乗ることで、加害者・被害者にメリットがあった時期があった。ISの特徴は神とムハンマドを信じるかどうか、また敵視するかどうかがジハードの目的であり、国の権威に関係間ない一般観光客でにぎわう街区襲撃では教義にも反する。

アメリカでは、今月初め人種差別を理由とする街頭行動に端を発して自動車暴走による全く同様な事件が起きた。さすが、これはテロとは言わない。こういった方法・行為がどうして起きるのか。

日本には秋葉原事件という前例があるが、かつてはなかった無差別大量殺人がこれほどまでに日常的になったことは、「テロ」と別に考える必要がある。犯人がイスラム原理主義の影響を受けているというケースはあるだろう。

しかし、本質は別のところにあるのではないか。再発防止策は、原因分析をくわしく掘り下げる必要があると思うが、そういった指摘は聞かれない。

 

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2017年8月18日 (金)

オルタナ右翼

欧州は右傾化しない」、これは本塾が今年の最初に掲げたテーマだった。今日の毎日新部コラム「金言」で西川恵氏はこう言っている。

かくまでに一国の指導者の交代は、国や地域を混乱させ、また逆に安定させるものかと思う。トランプ大統領の米国とマクロン仏大統領の欧州を比べての感想だ。

 マクロン氏が大統領に当選して100日がたった。欧州連合(EU)域内では政治的な安定が高まり、経済に好循環をもたらしている。難民の流入は続くが、一時の排外主義的な雰囲気も後退した。

マクロン大統領が堅持する多角的貿易・開放体制、EU強化、仏独提携といった基本方針が人々に安心感を与えている。

このあと、西川氏はトップの夫妻や男女関係の在り方にも触れ、「反知性主義」がこの違いの根底をなしているように書き進める。

西川氏は書いていないが、安定感を失っている点では安倍首相にも同じことが言えよう。昭恵夫人隠しが知性的とは誰も思わない。「反知性主義」とは、日頃文学や美術に親しみ、哲学への造詣がある人々への反発がそうさせるのだろうか。

エリートへの反発という意味では分からないわけでない。しかし、昭恵夫人の元・秘書をノンキャリアではありえないイタリア大使館に転属させ、それをあえて不問に付して恥ずところのないことなど、知性のかけらも存在しない。

トランプ大統領は白人至上主義者(KKK)などへの発言が大問題となっているが、逆に一定の支持が依然としてある。それらに対していわゆる広義の右翼ではない「オルタナ右翼(もうひとつの右翼)」という分類があるようだ。

日本で言えばネトウヨ、古くはネオナチ、近くは「在特」などをいうのだろうか。いずれも根底に人種差別があり、反知性主義に行き当たる。厳密にいうとポピュリズムでさえないということだ。

安倍首相は果たしてそこから抜け切れるがどうか。塾頭は60年安保デモに参加しているが、祖父・岸信介氏は決してそれだけの人ではなかった。

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2017年8月17日 (木)

トランプと金正恩③

【ワシントン時事】トランプ米大統領は16日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が米領グアム周辺への弾道ミサイル発射を保留したことについて「非常に賢い決断をした」とツイッターで述べた。その上で、他の選択肢を取っていたら「壊滅的で、受け入れられないものだっただろう」と訴えた。

標題は、北朝鮮のグアム向けミサイル発射予告にはじまり、「続」に続いてになってしまった。このあとまだ続きくかも知れない。

最初の回は、核、ミサイル実験を始めて予告したことと、着弾地をグアム周辺とし、通過地を日本の県名をあげて示し、軍事目的を明確にしたこと、その目的は日本・アメリカの出方を偵察するためではないかという予測だった。

日本政府は早速存立危機事態も、などと騒ぎ立て、PAC3を移動させるなどの対応を公表。アメリカでは、トランプの硬軟揺れ動く発言の推移などを見せ、北の「偵察」目的は予想以上の効果を上げた。上記のトランプ発言をもって金正恩は勝利宣言をしてもいい。

これで、予定されている米韓合同演習なども、従来のレベルをあげなければ、北の優越感を維持できる。つまり、恫喝ごっこは一時お休みで、対話の糸口を探るきっかけができるということだ。

そうなればめでたしめでたしで、人種問題で人気失墜のトランプが一息つけるかも知れない。今日午前の民放テレビショーで、専門が中国と称するある大学所属のコメンテーターが中国の制裁強化により、金正恩の方が折れたと言っていた。これは違うだろう。

北朝鮮がICBM=大陸間弾道ミサイルだとする発射実験を2回行ったことを受けて、国連の安全保障理事会が北朝鮮の主な収入源となっている石炭や海産物などの輸出を全面的に禁止する新たな制裁決議を全会一致で採択したのは今月6日、北がグアム計画を発表したのが10日、タイミングが合わず因果関係は成立しない。

固定観念にとらわれすぎないことが肝要だ。

 

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2017年8月16日 (水)

慰安婦像競争は自慢?

韓国では、日本公館前・バスの中・諸外国など慰安婦像作りがブーム化し、これに便乗したのか今度は徴用工も加わるという。韓国ならばこそだが、さすがに国内から「自慢しているみたい」という自戒の声が、かすかながら聞こえだした。

塾頭、これをみてなるほど、「言い得て妙」な言い回しだと感心した。歴史認識、外交経緯などいずれをとっても公的な議論や理屈の上で韓国側に分がない。そこで出てくるのが感情訴求の道具として銅像乱造に傾斜することになる。

韓国政府ですら、ブームは止められない。これに抵抗する声をあげるには相当勇気がいる。外国でアピールするのは、もっぱら公娼制度と性奴隷であるが、戦後の韓国にもあった制度だから大きなことは言えず、強制連行の証拠もない。

そして金でもないとなれば、日本政府は銅像ブームを黙視するしかない。反日を政治目的にするかぎり、銅像効果は的を失うことなになる。それを端的に表現しているのが「自慢しているみたい」だ。

 

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2017年8月15日 (火)

終戦記念日と人間喪失

今日は終戦記念日。マスコミが最近強調しだしたことは、「戦争の悲惨さ、過酷さを伝える人がだんだん少なくなっている」という問題意識だ。このブログを始めて終戦記念日は12回目に当たるがあまり触れた記憶がない。

「反戦塾」と銘打ち、「だんだん少なくなっている」ひとりに違いないが、ただ、ちょっと違うな、と思うことがある。戦中を生きた者は、当時から戦争の悲惨さ、過酷さはよく知っている。だからといって日頃反戦平和を唱えたわけではない。

もっともそんなことをすれば、ただちに特高が来て監獄入りだが、それはごく例外で、大多数は現在同様、喜怒哀楽を共にしながら日々を過ごしていたのである。徴兵は明治のはじめからある国民男子の義務で、よりよい地位や兵種を望む者は志願兵を選んだ。

もちろん戦争になることに反対する人はいる。しかし大多数は政治や国際情勢に詳しいわけでなく、強硬主戦論を書くと売れる大新聞以外に言論統制をかいくぐる論調を目にすることはできなかった。

とはいえ、家族の戦死は痛ましく身近な戦争体験だ。それをなだめる装置が「現人神・天皇陛下もお参りする靖国神社」である。神ではない首相が記帳し、稲田さんがお参りしてもなんの役にもたたないのである。

民間人が空爆死しても靖国には祀られない。それも、男は兵役前から競って志願し、特攻兵への抵抗をなくすことに役立っている。

だけど、戦争末期になるとそんな戦争の仕掛けや醜い実体が露呈してきた。大本営発表つまり天皇の官僚はウソ八百、軍部が隣組に向けた配給物資をかすめたり学校や会社まで支配する。塾頭が就職した会社の戦中の社長は、佐官級の軍人から軍刀を床に突きながら軍属を提供するよう脅されたという話を聞いた。

軍部の横暴は敗戦時誰でも知っている常識だった。殺し合いをする戦争は相手が敵だけではない。人が人でなくなることを意味する。悲惨を悲惨と思わなくなり精神の平衡感覚も機能しなくなる。

人間関係と心の潤いが失われ、ザラザラした砂で満たされたような感覚になる。つまり戦場では、人があらゆる動植物以下の存在と化してしまう。「悲惨」は自然災害でも「悲惨」だ。人でなくなった自らの心境や、命令への絶対服従にあなたはどこまで耐えられますか。

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2017年8月14日 (月)

1000字

小学生の頃、1000字の宿題というのがあった。漢字を1000字、ノートに書いて提出する。同じ文字を20回ずつ50種類書いてもいい。けっこう苦痛だった記憶がある。

このブログも、1回で原則1000字未満を心がけている。それは、読みやすい図書は、小見出しひとつをおおむね1000字以内におさめていることを、体験として知っていたからだ。

ある心理学の本を読んでいたら、人間が自分の全能力をあげて一つのことに集中できるのは、およそ3分間とある。将棋のプロなどのような「長考」になれた人でも、3分ほどもたつと思考の「ムダ弾」が殖え堂々めぐりになるそうだ。

なるほど。約1000字を読む時間を計ってみたら3分前後。やっぱり合っている。この文は3分の1程度に過ぎないが、書くのに必要な時間は10倍ではとても足りない。遅筆で有名な故・井上ひさし旧宅が近所にあるからかな。σ(^^)

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2017年8月13日 (日)

続・トランプと金正恩

グアム襲撃計画のニュースが飛び込んできてから3日たった。10日のエントリでは、とりあえず「危ないのは金正恩の方」という結論を書いた。その後内外の反応などが続々と入っている。

一番滑稽なのが、日本の小野寺防衛相の記者発表。紙を見ながら「集団的自衛権発動は日本存亡の危機」が条件――、これは、すでに金正恩がことあるごとに言っている。なんと金正恩を信頼していることか。

さらに、PAC3をこれまで空白地域だった中国・四国4県に配備することを発表した。前回書いたように北朝鮮の「偵察目的」は、これでその一部が果たされた。本来なら軍事機密で記者の前で得々と言うものではない。日報を隠すにしてはずいぶんオープンな自衛隊だ。

もっとも、日本ではマスメディアがすぐ発見、記事になるからいいが、装備の移動などこそ建前上軍事機密としておくべきだ。

『週刊現代』がこういった政府の動きを、憲法改正などの政治目的達成のための「危機のあおりすぎ」という批判を展開している。

塾頭は、その一面があることは認めるが、全面的に賛成するわけにはいかない。なぜならば、これまでの戦争突入の歴史は例外なくといっていいほど、突発的に予想を超えて起こるものだからだ。

どの国にも、「戦争を望む」分子がいる。武器を作っていてそれの消耗を願う人、新しい武器を実際に使ってみたい人もいる。もちろん、政治的に有利に立つため、国民の熱狂的支持を引きつけたい人もいるだろう。そういった人たちは、チャンスをいつもねらっている。場合によればニセ情報、自作自演の陰謀を使うことさえいとわない。

アメリカには、北朝鮮を早く叩かなかったため核やミサイルの技術発展を許した、という批判もあるだろう。「早撃ちマック」の国である。敵が銃を構える一瞬前に撃つ、これができなければ正義が守れない。

現状は、北朝鮮の狂気をふくめ「間違って」戦争が起きる可能性に満ちている。9条を生かして日本ができることがあるのに、それを好まない日本人がいるのも、また奇怪なことだ。

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2017年8月12日 (土)

うたかた

「うたかた」は、通常「うたかたの夢」などとして使われるが「あわ」すなわち泡沫の意味である。「仕事師内閣」ができたそうだが、早くもうたかた大臣のいることも露呈した。日本の古典文学の書き出しを二つあげ、もののあわれを味わうことにする。

方丈記
 ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつかつ結びて、久しくもとどまりたるためしなし。

平家物語
祇園精舎の鐘の声諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色盛者必衰の理をあらわす
おごれる人も久しからずただ春の夜の夢のごとし
たけき者もついには滅びぬ
偏に風の前の塵に同じ

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2017年8月10日 (木)

トランプと金正恩

今朝のソウル発ロイター電によると、北朝鮮は、中距離弾道ミサイル4発を米領グアムに向けて発射する計画を8月中旬までにまとめ、金正恩朝鮮労働党委員長に提示する方針を、国営の朝鮮中央通信(KCNA)が伝えたという。

さらに、朝鮮人民軍の金絡謙戦略軍司令官は、朝鮮人民軍が発射する『火星12』は日本の島根県、広島県、高知県の上空を通過するという、コースにまで言及した。

その通り実行に移すとすると、これまでとは違う流れだ。ICBM(大陸間弾道ミサイル)ではなく中距離弾道弾である。この目的は何だろう。もちろんこれまで通り、日米向け恫喝と国連制裁決議への反発には違いない。

ICBMは「実験」であり、このたびの中距離弾道弾は「演習」と見ることもできる。しかし、核実験、ICBM発射のレッドラインは超えていないという解釈もできる。一方、これまでと違う点として、遠距離飛翔は衛星ではなく、攻撃目標を特定した4発同時発射の軍事目的であること。さらに、そのコースまであらかじめ予告をすることも異例と言えよう。

日米はこれに対して何もしないのか、または演習とはいえ、日本の領土を横断しアメリカ領土の近くに着弾するとなれば、自衛措置としてミサイル防衛システムで撃破することもできそうだが、北朝鮮には、その偵察をするという目的があるのかも知れない。

まず、迎撃するかしないか。迎撃するとすればSM3をどこから発射するか、地上配備かイージス艦か、または日米同盟や集団的自衛権を機能させるかどうか。4発全部を捕らえることできるかどうかなどであろう。

 全部打ち落とされたにしても、北朝鮮にとってその反応と性能を見ることができたということで、マイナスにはならない。その次の出方はすでに用意されているはずだ。アメリカが先制攻撃をしてこないということも計算済みだろう。

トランプと金正恩のどっちが危険かといえば、金正恩の方だ。トランプ人気が残っていて、対北朝鮮への軍事行動支持が50%を超えていたにしても、彼自身の支持率は30%台にすぎず、安保関係は現役経験のある実務型が押さえているため、暴発することはできない。

 これに反して、金正恩は実の兄の暗殺をいとわぬ冷酷さがある一方、大酒を飲むなど周囲の牽制が利かず健康管理にも疑問があるという。内部崩壊をもっともおそれているのは中国と韓国である。そのバランスのうえで安逸をむさぶるのが彼の流儀かも知れない。不確定要素は金正恩の方に多いのはたしかだ。

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2017年8月 9日 (水)

東京都のこれから

  早いもので、小池百合子が自民党候補を破り都知事に就いてから1年と9日が過ぎた。その後の話題はもっぱら築地市場の豊洲移転問題だ。それが下火になると都知事選、これも知事が目論んだ与党の「都民ファースト」が公明党と組んで自民に圧勝した。

 これらと比較にならないが、最近はあまり知らない自民党脱党議員の若狭某などで「日本ファースト」を立ち上げ、小池人気にあやかって国政新党を、という話が出ている。これはすでに先が見えている。

 大阪がベースだった維新とよくいって同じか、とてもそこまで行かないだろう。それより小池知事が出した、築地・豊洲双方活用方針。これは先が見えないが江戸時代は、日本橋の魚河岸があとで2か所に分かれ相争って発展したという故事がある。

 小池さん、国政などに色目を使わず「都民ファースト」がよさそうですよ。

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  錦絵などで有名な日本橋東詰の魚河岸は、江戸前の東京湾はもとより、遠州・上総など外洋に面した漁船まで、川面を埋めつくして蝟集した。遠海ものは塩漬け乾物とし、マグロ・カツオ・サケ・タラ、そして豊富な貝類も店頭に並んだ。

 一七世紀後半になると、特殊注文や増大する需要に応じきれないということで、やや下流に当たる楓川沿いの本材木町に新肴場に問屋を設けた。これも江戸の人気をさらった芝居小屋などとともに大いににぎわった。(『江戸ことば百話』東京美術、ほかより)

 

 

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2017年8月 8日 (火)

安倍流「専守防衛」

政府は陸海空3自衛隊の一体的運用を進めるため、中期的な目標を定めた「統合運用計画」を来年にも新たに策定する。背景には、中国の海洋進出や北朝鮮の弾道ミサイル開発、同盟国への軍事的負担増を求める米トランプ政権の誕生など安全保障環境の大きな変化がある。

具体的には、島しょ防衛で「日本版海兵隊」として陸自に「水陸機動団」が創設されることなどが念頭にある。ミサイル防衛でも、海自が運用しているイージス艦の迎撃ミサイルシステムを地上に配置する「イージス・アショア」が検討されている。いずれも従来の陸海空の枠組みを超えた運用が要求される。

これまで、こういった計画は単年度ごとに策定されていたようだが、中期的な方針がなかったことの方が不思議だ。かつては、共産国の侵入に備える米軍の枠組みの補完的役割を担っていればいいという判断で、その延長線上にあったのか。

安倍晋三首相は6日、広島市内で記者会見し、2020年代半ばまでの10年程度の防衛力のあり方を定めた「防衛計画の大綱」(防衛大綱)を見直す考えを表明した。

首相は会見で「中期防は来年度で期限を迎える。今から次の計画について検討を進めることが必要だ」としている。大綱見直しに伴う検討課題として、ミサイル防衛や南西地域の防衛に加え、サイバー攻撃への防衛についても触れた。

一方で敵基地攻撃能力については「常に現実を踏まえながらさまざまな検討を行っていくべきだ」と前置きしたうえで、「現時点において、保有に向けた具体的な検討を行う予定はない。専守防衛の考え方についてはいささかも変更はない」と述べた。

以上は、7日付毎日新聞朝刊(東京)で報道されているが、「敵基地攻撃能力」を「専守防衛」の文脈の中で語るという、彼独特のレトリックがここにもある。専守防衛は敵の基地を攻撃しない前提で、自衛隊の存在を合憲とする考え方だが、概念としての矛盾は一向に気にしない。

「日本版海兵隊」も使われる場所によって立派な「敵基地攻撃能力」になるのだが、集団的自衛権行使や新安保法制の存在が煙幕の役割を果たし、専守防衛が有名無実化してしまうことが首相のねらいなのだろうか。

自衛隊現地の日報に「戦闘」と書かれていたことを、最初はないとか破棄されたといい、存在が証明されると、あたかも用語の間違いであるかのような説明で押し通そうとする。現場の自衛隊員は見聞したり体験したことを生で報告する義務がある。

「日報」はあくまでも正しいのである。これを政治が忖度したり改変するとなにが起きるか、過去の日本の戦争史を列挙するまでもあるまい。破滅に向かう道程以外のなにものでもない。

加計にしろ森友にしろ首相が「一点の曇りもない」などと、りっぱな言辞を使って弁明すればするほど、白々しく感じるようになった。首相の信頼がすでに地に落ちていることが、世論調査にも現れている。

首相は3日、小野寺五典防衛相に大綱の見直し検討を指示していたが、この3月、敵基地攻撃能力の保有検討を政府に求める提言を策定した自民党安全保障調査会は、当時、党政調会長代理だった小野寺氏が中心的に関わった経緯を忘れてはならない。

新方針策定そのものは当然で、塾頭も賛成である。ただし首相のレトリックの裏に何があるのか、しっかり見極める必要がある。

 

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2017年8月 4日 (金)

愛国者の行く手

安倍首相やそのお友達は、本当に明治維新以降の「国体」復活を願い、森元首相ではないが「天皇中心の神の国」と信じているのか。その実、逆ではないかと思うことが多々ある。

天皇譲位に関する「お気持ち」を理解していないこともそうだが、歴代の天皇の「平和主義」に反した国粋主義が愛国心だと思っているようだ。

ティラーソン米国務長官が北朝鮮に対話を求める考えを示したことについて、菅義偉官房長官は2日午前の記者会見「北朝鮮への圧力を強化していく考え方を説明する文脈の中で言われた」としたうえで、「今は圧力を強化することが必要な時期だ」との認識を示した。(朝日新聞デジタル8月2日)

昨今の東アジアにおける危機意識がまるでない。あの暴言王トランプでさえ顔負けする。

四方(よも)の海みなはらからと思ふ世に
など波風の立ち騒ぐらむ

これは、唱和天皇が日米開戦に傾いた御前会議の終わりに、明治天皇の御製を引用して自らの意志を示したものとして有名だが、明治天皇も日露戦争当時眠れぬ夜を過ごした日々を歌に託していたのである。

国のためうせにし人を思ふかな
くれゆく秋の空をながめて

はからずも夜をふかしけり
   くにのためいのちをすてし人をかぞへて

むかしよりためしまれなる戦いに
        おほくの人を失ひしかな

さまざまにもの思ひこしふたとせは
        あまたの年を経しここちす

お友達はずしで先陣を切った稲田朋美元防衛相は、幕末の国学者・橘曙覧の歌を「秀歌」として推薦した(『今昔秀歌百撰』)。

たのしみは蝦夷(えみし)よろこぶ世の中に
 皇国(みくに)忘れぬ人を見るとき

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2017年8月 3日 (木)

内閣改造後予測

内閣改造人事が発表された。

さてこれからの変化は?。塾頭の勝手読み。

[内閣支持率]このところの惨落は、安倍首相自身に対するものだけに急上昇はなさそうだ。東京株式市場後場は、前日比マイナスでスタート。支持率向上・政権安定なら敏感にプラスへ向かうはず。

[政党支持率]自民はやや持ち直し、リベラルで新味が出せない民進の政策を一部先取りして、民進の後退が決定的になる。

[森友・加計疑惑]両学園の新増設計画は白紙へ。事実が明らかになっても、すべて当事者や官僚の不正ということで、責任は文科省、財務局などに負わせ幕引き。防衛省と同様なことにする作戦。

[改憲案]共産・社民も反対できない「自衛隊の専守防衛」義務を9条に付加する提案でとにかく改憲した実績だけは残す。

[解散]首相が重用してきた「お友達」は、籠池一家のように権力維持の犠牲者となるため不満が高まる。一般国民の安倍不信も解消しない。安倍居座りを選挙の自民勝利で担保し、局面打開のため、年内解散をねらう。

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2017年8月 2日 (水)

女性の容姿雑感

アメリカのトランプ大統領が、フランスの大統領夫人に「スタイルがいいですね。美しい」と声をかけ、欧米のメディアがいっせいに批判した。日本では稲田前防衛相が離任式に頭髪を短く切って出席した。

監督不行届を理由に引責辞任した大臣。自衛隊や省内では、当然辞退するものと思っていたらしいが、慣例上一応声をかけてみたら、得々として服装もあらためてのご参列。やはりわかっていないようだ。

「髪を切って」は、男なら「頭を丸めて」が詫びの印となる。しかし、離任式でお詫びの言葉は一切なく、満面の笑みを浮かべる場面を幾度も見せた。髪を切ったのはお詫びではないことが明らかである。

日本のメディアもこれをファッションの一環として叩く向きがあった。塾頭は、施政や発言・行動ではなく、ことに女性の場合は容姿などを批判の対象とするべきではないと信ずる。ただし、言論の自由・内心の自由は公共の福祉を害さない限り守られなければならない。

「目はばっちりと色白で小さな口もと愛らしい」。ただし気まぐれでどこへいくのかわからない。前半は昔の童謡「私の人形」の歌詞だが、来日するかどうかがわからない台風5号の話だ。

アメリカでは、台風やハリケーンに女性の名を付ける。日本占領時、米軍は番号ではなくカスリーンとかキテイなどと命名、日本もそれに従った。もちろん蔑視でも差別でもない。自然現象に親しみを込めた発想だろう。暴威をふるっておそれられることもあるが、恵みの雨をもたらすこともある。

「女ならでは夜の明けぬ国」。これが本来の日本の姿である。「容姿雑感」もあらぬ方に行ってしまった。

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2017年8月 1日 (火)

慰安婦問題深堀に期待

韓国の文政権は、慰安婦問題をめぐる日韓政府間合意を検証するため、康京和外相直属の作業部会を設置した。この部会がどこまで慰安婦問題の本質に迫れるか、悲観的というよりないものねだりかも知れないが、一部民間の煽動活動黙認ではなく、世界の識者に通用する科学的・学術的な分析結果が示されることを期待したい

今回は、本塾の見解を出す準備がないので、NHKの報道と、韓国中央日報に掲載された記事と学者の見解を資料として採録する。後者は、従軍慰安婦と直接縁がない、「さきの戦争はアジアの民族解放を実現させた正しい戦争だった」、などと公言する日本の歴史修正主義に向けられているように見える。

ただ、この主張の中にも、相当無理な歴史修正主義があるのは困ったものだ。そこらがこういった作業の中で整理整頓されなければならないが、それには、日本側にも同様な作業部会があって、文大統領のいう「情緒的」なものをのぞき、資料をつきあわす共同作業ができればより万全だ。

731 2040分NHK

韓国政府は、慰安婦問題をめぐるおととしの日韓合意について日本政府との交渉の過程を再検証する作業部会を立ち上げ、年内をめどにまとめられる再検証の結果を受けてムン・ジェイン(文在寅)政権が慰安婦問題にどのような方針で臨むかが焦点になります。

韓国では、慰安婦問題をめぐるおととしの日韓合意について根強い反対の声が上がっていて、ムン・ジェイン大統領は、今月、ドイツで行われた日韓首脳会談で「国民の大多数が情緒的に受け入れられずにいる」とする立場を示しています。

韓国外務省は、日本政府との交渉の過程を再検証する作業部会を31日に立ち上げ、大学教授などで構成された9人のメンバーのうち委員長には、革新系のハンギョレ新聞で東京特派員や論説委員室長を務めたオ・テギュ(呉泰奎)氏が就任しました。

オ委員長は記者会見で「慰安婦問題の被害者の立場を踏まえながら、合意の内容に問題がなかったか綿密に調べる」と述べました。作業部会では、慰安婦問題を「最終的かつ不可逆的に解決する」などとした合意の内容について交渉の経過などを確認するとともに、元慰安婦にも意見を聞くことになりました。

再検証の結果は年内をめどにまとめられ公表されることになっていて、これを受けムン政権が慰安婦問題にどのような方針で臨むかが焦点になります。

中央日報

意外にも、20世紀に米国は、韓日関係において決定的瞬間に2度、日本の肩を持った。その第一は1905年7月29日に締結された桂・タフト密約(桂・タフト協定)だ。大韓帝国とフィリピンの植民支配を日本とアメリカが互いに認め合うことを秘密裏に約束した。日露戦争が同年9月、日本の勝利で終わる直前に交わされた。これは李承晩(イ・スンマン)初代大統領が米国で独立運動していた時期に米国を圧迫した要素でもある。1882年に朝鮮と米国の間で締結された朝米守護通商条約に米国が違反していたためだ。

◆サンフランシスコ条約は米国の第二の裏切り第二の裏切りは第2次世界大戦後、日本の戦争賠償問題を協議するサンフランシスコ平和条約(1951)でだ。韓国にとって決して平和だとは言えない「平和条約」だった。当初、高額の賠償金を含めて強力な措置を講じる予定だった米国は、日本の責任問題に対してほぼ全面的に沈黙する姿勢を見せた。中国共産党に対して蒋介石軍が劣勢となり、台湾に追われたことを受けて米ソ冷戦が始まったためだ。日本に力をつけさせてアジアの共産化を防ぐ方向に戦略を修正したのだ。

 ソウル大の李泰鎮(イ・テジン)名誉教授(74)はこのような歴史の「スケープゴート」だった慰安婦女性が今でも代理戦をしていると見ている。日本侵略の不法性問題を正面から取り扱えない中で、慰安婦問題がこれその代わりをしているというのだ。慰安婦問題は人権・女性問題なので、世界の人々から普遍的な支持を受けている。だがそれにも限界がある。李教授は「人権問題を越えて植民支配の強制性に対する歴史認識を確実にすることが根源的解決法」と述べた。

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