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2017年7月 5日 (水)

潮流の変化

 前回は、都議選の結果を受けて、安倍一強の終わりの始まりを書いた。期待を込めてというより、すでに確信をもって言えそうだ。

世界についても、昨年末のオーストリア大統領選で難民の排斥を訴えた極右政党の候補が僅差ながら敗退したことについて、同国が歴史的にヨーロッパの潮流の変化に少なからぬ位置を占めていたことから、言われ続けてきた「ヨーロッパの右傾化」の潮流は止まるという予見を年始に当たって占った。これはそのとおりになった。

さらに現在、中東の混乱に大きな潮流の変化が見られる。先月20日に、5月28日シリアのラッカ近郊でIS幹部の会合が行われたのを狙ってロシア軍が空爆を行い、その結果カリフであるバグダーディーが死亡した可能性があるというニュースについて書いた。

その後、カリフがIS建国の宣言を行ったイラク北部・モスルの象徴的な建物が爆破され、イラク軍の攻撃でISは同地から撤退、シリアでは首都的な存在だったラッカも壊滅寸前のようだ。

ラッカに進攻したのは「シリア民主軍」(SDF)だ。主力はシリアのクルド人武装組織「人民防衛隊と、アラブ人武装勢力の計3万人で構成されている。シリアに投入されたデルタ・フォースなど米特殊部隊約300人も行動を共にしている。

本塾の前からの意見は、中東などの内戦に、他国が直接軍事介入したり武器供与をすると、戦線が拡大するだけでなく、民衆の反感や宗教・人種問題が絡んで抜けられなくなると言ってきた。オバマはそれを学習し教訓としていたのだ。

有志国連合も、空爆を主にして正規軍派遣は避けているように見える。ISの場合、近代国家の枠にはまらない特異な集団として出現したイスラム原理主義で、イスラム全盛時代を再現しようというものである。

ただ、コーランを信奉しない異教徒はすべて聖戦やテロの対象、というのは世界に通用しない。現実とどう折り合いをつけるかというのもカリフの権能だが、それが存在しなくなったというのは、ISそのものの存在にも疑問符がつくことになる。

フィリピンやエジプトその他各地にISを名乗るグループがあるが、ISにあやかっているだけで分派でも分身でもない。ISは「イラク・レバントのイスラム国」と名乗るだけに、活動の場はメソポタミアから地中海東岸、アラビアが対象である。

テロは、ISを否定する国家に向けたもので、無差別テロやその他の目的のテロとは本来無関係の現象である。したがって、ISのプロパガンダ・犯行声明などに各国が激しく反応するのは当然である。

国際的包囲網の中で無力化をはかり、いずれは、各国に分散したクルド族同様に高度な自治権を与えるなど、話し合いで解決する道をさぐることしか平和解決の方法がない、と考えていた。

前置きが長くなったが、IS敗退の現状を見て、「イラク・シリア内でイスラム・スンニ派住民の居場所確保の方策を検討しなければ」という識者の意見が出始めたようだ。どの程度発展するか疑問もあるが、長年塾頭が考えていたこととは一致する。

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