« アジサイ、という花 | トップページ | 日本では考えられないビル火災 »

2017年6月15日 (木)

「カタール」に落ちた

カタールがサウジやUAEなどの湾岸諸国、さらにエジプトなどから国交断絶・経済封鎖を受け、食料などをイランからの空輸に頼って食いつないでいるという報道に驚いた。なんと気に入らない国をテロ国家と呼ぶアメリカと同じレッテルの貼り方だ。

このブログ、11年ほど書き続けたが、その中で「カタール」という国名をブログ内で検索してみると7回ほどあった。それは、アラブで唯一有力な通信社「アルジャジーラ」が籍を置いているということと、湾岸諸国の1国であること以外に、その国を紹介したことが、1回ある。それも現地を訪れた友人の話にあった短いもので、下記のように平和でメルヘンチックな姿である。

(サウジの石油積み出し港の)すぐ近くに、小さな半島だがカタールという王国があります。やはり、石油のおかげで有り余るほどのお金があります。使い道に困ってジェット戦闘機を買いました。王さまはどう使っていいのかわからないので、王妃や王子たちを屋上に集め、アクロバット飛行を見せ楽しんでいるそうです。

ここがどうして、と思うのだが、最近イエメンなどでイスラム・スンニ派とイランを中心とするシーア派の抗争が血を血で洗う厳しい間柄になり、カタールはもともとシーア派住民が多くスンニ派による反シーア派同盟に加わらないから、ということらしい。

宗派の違いは今に始まったことではない。スンニ派の盟主、サウジはシーア派であってもイランからのメッカ巡礼団を差別することなく受け入れてきた。両派の違いを際だたせるようになったのは、イラクやシリアの内戦に目途がつかなくなったここ数年のことと思うが理由はよく分からない。

パレスチナの帰属をめぐってイスラエルとエジプトなど周辺イスラム国が泥沼戦争を繰り返していたが、大国エジプトが攻めきれず結局妥協の道をたどり始めた頃、イランでホメイニ革命が起きて王政が転覆した。

「イスラム原理主義過激派」といえば現在はISだが、当時おそれられていたのはホメイニの神権政治のイランである。軍事的に弱体なアラビア半島諸国は不安を感じ、1981年に「湾岸協力会議」を作った。サウジ、バーレーン、オマーン、カタール、クエート、UAEの6カ国である。

すべてが王国であるが、当初はイラクも入いる予定が、イラン・イラク戦争、俗に言うイライラ戦争が始まったので加わらず、似たもの同士だけでまとまりもよかった。湾岸戦争では軍事協力もしている。

両宗派の対立激化は、イラク・シリアの内戦に関係があるのではなかろうか。ISはスンニ派である。イラクはアメリカが撤退する前に選挙で作った政権だがシーア派が主体である。人口でスンニ派を上回ることから予測されていたことだ。

アメリカに攻め殺されたサダム・フセインはスンニ派で軍部も同派で固めていたが、独裁者であるだけに宗派、民族間で不公平・不満の起きないような配慮があったのだろう。同国民にとってもっとも幸福な時期だったともいえる。

今、ISを取り仕切っているのは、その当時の軍部残党だとされており、アフガニスタンを根拠としたアルカイーダ系の過激主義も取り込んでいる。支配地域をシリアにものばしたが、シリアも両派がありアサド政権もシーア派に近いとされる。IS掃討にイラン革命軍が関与しており、イランを敵視しているアメリカのトランプ政権や、アサドを支援するロシアの存在など、複雑に絡み合っている。

結局、「ISには負けてほしいが、イランが勝って強くなりすぎるともっと困る」という現実があるのではないか。カタールはとんでもないところでとばっちりを食らっているのだ。

中東問題とは、長い間パレスチナにおけるシオニズムとムスリム、つまりユダヤ教とイスラム教の衝突だった。今その影は薄い。変わってテロと難民が問題になる。しかしこれも中東というより問題の中心は、旧植民地の貧困や移民受け入れ国側に移っている。

そもそもの発端が、大国の介入や軍事・武器援助にあり、それでは解決できないということをオバマは痛いほど知った。その点、プーチンはイランやアサド政権を巧みに利用し、誘導して国益に反しないようなやり方をとっている。

サウジ政府は今日の報道で、「カタールとの交通は完全封鎖ではない」などと、逃げ道を作っている。語る(カタール)に落ちたというべきか。日本では共謀罪の集中審議を省略して参院を強行突破する政府の方針が大ニュース。

明るいニュースといえば、パンダの赤ちゃん誕生だがそれも隅に追いやられ気味。そうだパンダの名前は「デンデン」がいい。見物の帰りは、藪そばでもり、かけを注文しよう。

|

« アジサイ、という花 | トップページ | 日本では考えられないビル火災 »

中近東」カテゴリの記事

コメント

中東は「アラビアのローレンス」時代から、いつでも欧米の利害によって戦争の火種を発火させられている気がしてならないのは、気のせいでしょうかね

投稿: 玉井人ひろた | 2017年6月15日 (木) 17時38分

欧米人個人に悪意がないにしても、介入し支援するには慎重でなくてはならないということでしょう。

アラブの春支援でも善意のつもりが戦火拡大と混乱を招いているケースが少なくないようです。

投稿: ましま | 2017年6月15日 (木) 21時12分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/70866834

この記事へのトラックバック一覧です: 「カタール」に落ちた:

« アジサイ、という花 | トップページ | 日本では考えられないビル火災 »