« 平均寿命記録 | トップページ | 『日本之禍機』4 »

2017年5月12日 (金)

たしかな自衛力とはなにか

MAX さま。

長文のコメントありがとうございました。本塾は異論、反論をおおいに歓迎します。

 今の憲法ができた背景にご理解がないのは、70年もたっていて時代が変わり環境も変化しているので、ある程度やむを得ないのかとも思います。

 悲惨な戦争を起こさないため、また、各国の利害を勘案しながら知恵をしぼる。そのため難解な部分が出てくることはやむを得ません。それを乗り越えても平和を追求する努力が必要なのです。

 9条1項は、1928年のパリ不戦条約に基づいており当時日本を含む米英仏など15カ国で締結、その精神は今の国連に引き継がれています。日本国憲法はそれを採用しただけで、自民党案も1項を削除しろとはいっていません。もちろん憲法に入れてない国も多くあります。

 ところが、第2次大戦が起きてしまいました。戦争参加国は「自衛のためなら条約違反にならない」ということを口実にしました。その反省もあって、第1次大戦後にできた国際連盟を解体し戦勝国を中心に国際連合に改組しました。当初の国連憲章案は「自衛の権利」という言葉を、濫用をふせぐためにわざと抜いてありました。

 自衛権は人が襲われようとしてそれを防ぐ行為は、ごく自然な「自然権」であり、国もそれと同じことでわざわざ憲章に入れる必要がないという理由からです。

ところがイギリスなど、植民地を持つ国から「どうしても入れてほしい」という強い要望がありました。

 アメリカは、交換条件として、当時できたばかりの米州機構条約加盟国の要望であった、大国の拒否権行使で小国の自衛が不安ならないようにするため、集団的自衛権も併記することで妥協しました。

 その後、アメリカはずいぶん多くの戦争に加わっていますが、すべて「自衛権」か「集団的自衛権」を理由として戦争を合理化しています。ブッシュは9.11で「テロリストとそれを支援するならず者国家からの自衛の戦争」を口実にしました。トランプのシリア爆撃でさえ、見るに耐えない残虐行為放置から米国民を護るための自衛権行使という、ややへりくつっぽい理由をつけなければならなかったのです。

 自然権である「正当防衛そのものを最初から絶対に認めない」などとは、日本国憲法のどこにも書いてありません。当然自分の身は自分で守る必要があります。従ってそれに見合う自衛隊があるのは当然で、非武装中立も非現実的夢想論であり、かえって国際環境を不安定にする原因を作るため、本塾としては反対です。

 ところが2項は軍隊を持たないことを規定しています。したがって、自衛隊は戦争を目的とした軍隊ではありません。防衛だけが任務なので、他国を攻撃する目的の装備は持っていません。

 ただ、国連憲章の精神をいつも逸脱するアメリカとの集団的自衛権は、国外に出て軍隊である米軍と共同作戦をする可能性を否定しておらず大変危険です。だから、自衛隊は憲法違反ということになるのです。

 大いに警戒しなければならないのは、安保法制にいくら縛りがあっても、命がかかっている戦場に入れば現場判断が優先します。縛りは役に立たないということです。それが「戦争」であり「軍隊」が持つ宿命なのです。

 日米同盟があれば、しっかり護ってもらえる、これも夢想です。いざとなれば反撃で損害を受けることを避け、自国最優先となるのは当たり前です。やはり「自分の身は自分で守る」という強固な精神しかありません。

 では、核武装やミサイルなどの軍備に中国に負けない備えをする。それも現実的ではありません。近代戦でとことん戦えば国土の広い国が最終的に勝つ道理となります。

 結局、日本を攻撃すると強い抵抗を受け思わぬ損害を被る、平和憲法を持ち、軍隊組織を持たない国に攻め入れば国連加盟国から総すかんを食って袋だたきになる、という抑止力の方がもっとも確実な安全体制ではありませんか。

 自民党は、自衛隊を軍隊にしたがっています。そうすると他国並みになったつもりでしょうが、自己満足です。暴漢も凶器を持った相手にはより凶暴になるものです。自衛力が高まったわけではありません。かえって現行憲法より危険がますのです。

 現行憲法は多くの平和国家から評価されています。子供さんはそれに誇りを持つことになるでしょう。

|

« 平均寿命記録 | トップページ | 『日本之禍機』4 »

憲法」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/70543423

この記事へのトラックバック一覧です: たしかな自衛力とはなにか:

« 平均寿命記録 | トップページ | 『日本之禍機』4 »