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2017年4月 2日 (日)

金正男暗殺事件の幕引

 マレーシアにおける金正男暗殺に関連して、その遺体と、事件に関連したと見られる北朝鮮大使館に逃げ込んだ2等書記官や高麗航空職員らを北京経由で送還し、北朝鮮からの出国停止で人質になっていたマレーシア人9人が解放されることで政治決着、実行されていることが報じられている。

 

  これに対して「マレーシアが負けた……」とする見方がある。これまでの両国の激しいつばぜりあい、情報合戦の経緯から、そう感じるのは無理がなく、塾頭も同様に思った。

 

  しかし、外交の落としどころとしては、こんなものかな、という気がしてきた。マレーシアにとっては、弾道ミサイルを向けられ、拉致被害者問題をかかえている日本と違い、危険な隣国ではない。

 

  金正男は、子供連れで東京ディズニーランドへ行くという名目で偽造旅券を持って来日、捕まったという過去もあって日本人にはなじみある顔だ。また金正日の長男でありながら、それもあってか後継者になれず、中国に居留したことなど、本国では知られていないことまで熟知している。

 

  しかし、マレーシアでは、韓国のならともかく、キムチョルという北朝鮮のパスポートを持った男に特別な注意を払っていたとは思えない。当局も事件後、多分韓国諜報機関からの通報でそれを知ったのではないか。

 

  北朝鮮の特務員が自国民を毒殺した、ということでマレーシアに特段の利害関係が生じる訳ではない。最初は、遺体は、同じDNA検体を提供する遺族に渡す、としていたが、それならば金正男の息子でなくとも、金正日の血を引く子孫ならば、キムチョルの遺族のものと称して北朝鮮からでも提供できるわけだ。

 

  マレーシア当局は、殺されたのが金正男であることをDNAがなくとも早い段階で確認していた。そして、死因がVXガスで、実行犯とされる女性の背後に何人かの北朝鮮特務員のいることも証拠をつかんだ。

 

「特段の利害関係が生じる訳ではない」と前述したが、施政権下にある公共施設で起きた殺人事件である。不問に付すことはできない。犯行の背後にあると見られる容疑者は、大使館内にこもった2人をのぞいて、犯行があった直後、直ちに出国、国際手配はしたが逮捕できなかった。

 

大使館には、外交特権があるので手出しができない。可能なことは、出国禁止だけだ。対抗するように北朝鮮でもマレーシア人9人を出国禁止にした。人質と言われる所以である。

 

マレーシアは、想像だが大使館の2人に対し密かに事情聴取を行い、逮捕・起訴をせず国外追放という形をとって、上記のような線で北朝鮮との交渉をまとめたのではなかろうか。

 

かつてイギリスの植民地だった国である。ことをこじらすだけではなく、利口な解決方法と言えよう。反面、北朝鮮は国際間で信頼を大きく傷つけたことだけは確かである。

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コメント

国家間の話し合い(外)というのは、想像を絶する複雑さと政治計略がうごめきますので、勝ち負けは無いとしたほうが賢明でしょうね
ただ、私の様な凡人には不可思議な世界です

投稿: 玉井人ひろた | 2017年4月 3日 (月) 17時16分

日韓・日中・日米もせめてこの程度の利口さでお願いしたいものです

投稿: ましま | 2017年4月 3日 (月) 17時52分

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