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2017年4月14日 (金)

戦略的忍耐と謀略的専横

このところの米トランプ大統領が主導するシリア爆撃や北朝鮮に向けた海軍力の集中など、中国に対する有形無形の圧力に対し、習近平主席は「戦略的忍耐」に徹しているといわれる。

 

漢字で示されるこれまでの中国の姿勢は、もっぱら「核心的利益」を「断固」として守るといった表現で示された。政府筋は、同国の軍事費増大や尖閣・南シナ海問題を例示し、中国の「脅威」を説くことに熱心だった。

 

尖閣への主張は根拠がなく、南シナ海の内海化も無謀である。しかし、差し迫った脅威にはならないというのが塾頭の考えである。というのは、スターリンのような独裁政権は排除されたが党支配という社会主義体制が、目的達成のための戦略として採用されているということである。

 

これに対して西欧型議会主義、つまり自由主義陣営の家元を任ずるアメリカの方に「謀略的専横」が多いのは困ったことだ。シリアの化学兵器使用疑惑で、国連安保理が調査団派遣を提案したことに対し、ロシアは拒否権を発動、成立しなかった。理由は、シリア軍への立ち入り調査の権限が含まれていることだ。

 

仮に、シリア軍に書類開示を求め、一部でも断ると「証拠隠しをした」という報告になるだろう。軍の持つ情報をすべて開示するというのは、主権侵害に当たるというのがロシア側の理由だ。

 

ロシアも化学兵器の製造・所持・使用に反対しており、かつてシリアの所有分を撤去させた。それが守られているというアサド側の主張を信用している。また、現地の治安維持は、気に入らなくても国連に議席を持つ現政権が一義的に責任を持つという立場だ。

 

また、塾頭も指摘したが、アメリカは、湾岸戦争の際のクエート大使の娘を使った被害者の自作自演報道をした。またイラク侵攻に使った大量破壊兵器隠匿のニセ情報など、世論操作のための「謀略的専横」が働いたという見方もしている。

 

アメリカの場合、それがあとでバレるのも通弊だ。自由・民主のあかしとでもいいたいのか、至って平然としている。トランプ自身、大統領選にからんロシアにクリントン候補へのサイバー攻撃を働きかけたという疑惑も浮かんでおり、ロシアが知らないわけがない。

 

しかし、戦争や市街地爆撃の口実に使うことは国連憲章違反であり、一度であっても許せない。

 

この謀略的専横は日本にも経験があった。柳条湖満鉄爆破事件に始まる満州事変と満州国独立である。中華民国の提訴と日本の賛成で国際連盟に「リットン調査団」が組織された。

 

鉄道爆破が関東軍の自作自演であると断定され、日本の面目がつぶされた。それで、松岡全権による演説で連盟を脱退し、やがて、太平洋戦争にまで突っ走る。戦略的忍耐は全く働かない。

 

このたび、ロシアが拒否権発動で止めておいてかった。謀略的専横に抗議して連盟脱退などしたら、それこそ第3次世界大戦だ。戦略的忍耐こそもって範となすべきなのだ、と言っておこう。

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