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2017年3月29日 (水)

なだれ被害は人災

鈴木牧之『北越雪譜』からの引用である。三月は「気をつけろ」と繰り返し警告し、里人はよく知っているので、被害者は少ないといっている。出版されたのが天保8年、今から180年も前になる。江戸中の貸本屋でこの本を置かないと客がつかないというほど評判の高かった本であった。(引用は野島出版刊同名書より、ルビ略)

 

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山より雪の崩頽を里言になだれといふ、(中略)字書に頽は暴風ともあればよく叶へるにや。さて雪頽は雪吹に双て雪国の難義とす。高山の雪は里よりも深く凍るも又里より甚し。我国東南の山々里にちかきも雪一丈四五尺なるは浅しとす。

 

 此雪こほりて岩のごとくなるもの、二月(旧暦、今なら3月・塾頭注)のころに至れば陽気地中より蒸て解んとする時地気と天気との為に破て響をなす。一片破て片々破る、そのひゞき大木を折がごとし。

 

これ雪頽んとするの萌也。山の地勢と日の照すとによりて、なだるゝ処となだれざる処あり。なだるゝはかならず二月にあり、里人はその時をしり、処をしり、萌しを知るゆゑに、撃死するもの稀也。

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【追記】

地元・栃木県那須町の高久勝町長は29日、定例記者会見で「(現場は)スキー場の境界から約400メートル離れた国有林内で、雪崩が発生しやすいため専門家でも入らないところ。素人から見ても、そこでのラッセル訓練はあまりにも無謀ではなかったのか」と指摘(毎日新聞3/30東京・朝刊より)

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コメント

北越雪譜の雪崩の章を読んでみました。

雪崩は雪煙のようなものだという認識しかありませんでしたが、雪国では氷の塊(しかも、細かいものでも人ほどの大きさで、大きな塊となると、何十メートルにもなる)が、大木を折るような音を立てながら落ちて来るとは、恐ろしい。
被害にあった人の首や腕が、もげてしまうという凄まじさ。
筆者が繰り返し、その恐怖を綴っていたというのも理解できます。
昔の書物で、解読が難しく、少々読み飛ばしつつも、その巧みな表現力に、映像がまざまざと浮かびました。
現代では、そこまでの被害に遭ったという事故は聞きませんが、自然を侮ってはいけませんね。
月並みな表現ですが。

(余談ですが、熊に助けられた男の話、幽霊の話なども面白く、出版当時、ベストセラーだったというのも頷けました。)

投稿: えいこ | 2017年3月31日 (金) 08時54分

追記: 『そこまでの被害に遭ったという事故は聞きませんが』というのは、
体がバラバラになる程の被害、という事です。

投稿: えいこ | 2017年3月31日 (金) 10時11分

えいこ さま
 筆者は、塩沢(上越線沿線)のちぢみ織(信濃川の流れにさらすので今でも有名)問屋の御曹司で、商人との交流も多く、筆も立ったのでしょうね。

 今でいうならテレビの「世界不思議発見」番組です。

投稿: ましま | 2017年3月31日 (金) 11時31分

hi!

投稿: DoraDuata | 2017年4月 8日 (土) 17時59分

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