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2017年3月14日 (火)

価値観外交

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  サウジアラビアのサルマン国王が来日、13日安倍首相と首脳会談を行った。写真(毎日新聞より)

 

 この場面はTVでも見たが、首相の握手の誘いに、一瞬ためらったような国王のぎこちない表情が印象的だった。

 

首相が盛んに言っていた「価値観外交」、最近はあまり聞かれなくなったが、アメリカを中心に自由・人権・法による支配などの価値観を共有する国と協同し、それに反する国とは距離を置くというふうに聞こえた。

 

首相の頭の隅には、価値観の違う国に中国などの旧共産圏がイメージされているようだった。しかし「価値観」からすれば、サウジアラビアなどがもっとも遠い存在である。

 

両首脳の背後には国旗がある。日の丸にある真っ赤な大きな太陽、これはサウジ(アラブ)人がもっとも忌み嫌うシンボルだ。遮るもののない砂漠の灼熱の太陽は、死を意味することもある。

 

だから、太陽は避けられ、暗緑色の地色とか新月や星などの図柄がこの地域の国旗に選ばれる。それから議会も国民の選挙権もない。女性の権利は、服装の自由や車の運転禁止など大幅に制限される。

 

法律はなく、コーランとその解釈だけがそのよりどころとなる。「国王」というけど、西欧の国王とはおかれている位置も役割もまるで違う。もちろん、東洋の王朝や天皇とも違い、首長、スルターン、土候、部族長の大規模化したものいう感じに近い。サウジの場合、メッカ・メジナの2大聖地の保護役とした位置づけもある。

 

同時にイスラム教スンニ派の盟主であり、シーア派のイランと激しく対立する。その一方、同じスンニ派原理主義のISとは戦火を交える。ISにとって巨大化した国王・サウド家は、衰滅させなくてはならない存在だ。すべての権威・権力は神に帰すものであって「国王」ではない。

 

共産主義は、ヨーロッパのキリスト教地帯で生まれたものだ。価値観という点では、日本とサウジより近いと言っていい。ターバンにガウン姿のイスラム指導者との挨拶は、背広同士の首脳外交間の自然な握手と勝手が違う。

   

もちろん友好親善も経済協力欠かせない国だ。しかし、イスラム圏との文化の差、キリスト・ユダヤなど宗教上の歴史的対立や、植民地処理上の複雑な関係をわきに置いて握手すればいいというものではない。

 

逆に言うと、そういったことにもっとも手を染めていない先進国である。漫然とした「握手」外交でことが足りるというものではない。安倍外交にどこまでその覚悟と決意があるのか不安を感じる。

 

 

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