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2016年12月 7日 (水)

生めよ増やせよ

 フランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏が毎日新聞のインタビューに応じた。トッド氏は、日本の社会保障制度について、「家族に要求することが多すぎる」と指摘。それが低い出生率につながっているとの見方を示した上で、「日本が直面している最大の課題は人口減少。このままでは30~40年後に突然、災いが訪れる」と警告する。 (毎日新聞12/7)

 タイトルの「生めよ増やせよ」は、戦中、政府が唱導したモットーである。戦線が拡がって兵士が不足し、徴兵対象から外れていた大学生や一家をささえる中年世帯主まで徴兵された。職場の事務員はほとんど女子社員が肩代わりした。

 工場や炭鉱などの労働者は、中国など周辺国に求めた。これが「強制連行」と誤解されているもとである。女だけでどうやって「生めよ増やせよ」を実現させるのだろう。小学校高学年では「……も国のため」というハヤシ言葉がはやった。

 少子高齢化はたしかに問題が山積している。上の引用は主に経済問題を言っているのだろう。しかし、人口問題は昭和になってから二転三転しており、単純な方向付けだけでは片付かない。

 昭和恐慌で人口の殆どを占めていた農民は、余剰人口を吸収する働き口がなくなった。日本は人口密度が東洋ではジャワに次いで高い(今よりずっと低かったが)とされ、大陸に目が向けられた。満州事変後、満蒙の生産技術を高めるという名目で満蒙開拓団が大挙して海を渡った。
 
 それが数年後には「生めよ増やせよ」に早変わり。戦争直後には大勢の復員兵士を迎え、団塊の世代を生む結果となった。

 現在、自民党の政策では、女性は育児に専念できるようにするのか、職場を増やすようにするのよくわからない。移民受け入れに対しても同様で、基本政策を持たない。

 TTPなどを巡って、食糧自給率が云々されている。自給率を高めるためには、人口が増えない方がいいことになる。戦時中は標語に「一億一心」など一億近い人口を称したが、朝鮮・台湾を除いた内地だけなら7000万人台だった。それでも自給ができず、「貧乏人は麦を食え」など、池田首相の暴言を生む土台があった。

 人口問題もインフレターゲットと同じ、ただ増えればいいと言うものではなく、国土面積や生産力などから見てどのレベルが適正かを、しっかり見極めることが大切なのではないか。

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