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2016年10月 7日 (金)

米・ロが手を引くしかない

 ひさびさのベタ記事引用である。イラクやシリアで誤爆とか何人死んだなどというような記事は毎日のようにある。だから以下のような記事は、ベタ記事扱いになるのだろう。全紙面に目を通した後で、この記事をさがそうとしたところ、なかなか見つからなかったほどだ。

【カイロ秋山信一】イラク北部ニナワ県で5日、政府軍の過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦に参加するイスラム教スンニ派民兵の拠点が空爆され、少なくとも20人が死亡した。イラクメディアが報じた。米軍主導の有志国連合やイラク軍による誤爆の可能性が高く、米軍などが調査を始めた。報道によると、ISの最大拠点モスルの約65キロ南にあるカイヤラ郊外の村で5日未明、スンニ派部族の民兵組織の拠点が空爆された。
(毎日新聞10/7東京朝刊)

 このベタ記事には、いくつかのキーワードがちりばめられている。①(イラク)政府軍、②イスラム国(IS)③スンニ派民兵、④米軍主導の有志国連合である。そのほか、隣国シリアでは、アサド政権、ロシア、トルコ、ヒズボラ・クルド族・反アサド勢力、ヌスラ戦線などが登場し、ほかに目立たないがイラン義勇軍もある。

 ISはイラク・シリアの国境を無視して活動しており、これが混迷と外部からは理解できない複雑さを示している。無責任な言い方だが、現地でさえ何が敵で誰が味方か区別できているのだろうかという気がする。

 上述のキーワードをさらに展開すると、①のイラク政府はシーア派主導の政府で、アメリカが独裁者フセインを倒して選挙で選んだという成立の過程からアメリカが支持する。ただし弱体で国内を統制できず、旧フセイン派の軍人・官僚が加わっているというISを勃興させてしまった。

 誤爆により被害を受けたという③のスンニ派民兵の正体がわからない。最後の段落に「スンニ派部族の民兵組織の拠点が」と書いてある。すると、その部族が住んでいた「村」ということになる。イラク政府にとっては、対敵するスンニ派原理主義ISの近くに居ながら、それになびかない貴重な同志のわけだ。

 最大の支援をするためマークすることはあつても、誤爆という事態は起こり得ないはずだ。④の米軍主導の有志国連合といっても、情報力のない有志国連合が行動を起こすはずがなく、AI(人工知能)の誤作動か故意なのだろうか。

 シリアでも誤爆が米ロの決定的な不信感を増幅した。米ロはいずれにしてもこの地域で住民に感謝されたり信頼されることはないだろう。介入をし続けることにより、戦火の絶えることはなく、両国の国益を損じ続けることになる。

 内戦から手を引く勇気を持たないことこそ”弱腰”であり、”無能”であることを、両国民ともに早く認識すべきだ。ましては、集団的自衛権などをかざして、地球の裏側まで出しゃばろうというどこかの国は、正気の沙汰ではない。

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コメント

6日のワシントンポストによると米軍によるシリア政府軍陣地に対する空爆が計画されているが、大統領府の反対を回避する方法を模索しているとか、
シリア停戦が崩壊させたのも、米軍によるシリア軍への空爆だった、
シリア内戦とは欧米メディアの報道ではあるが事実ではなくて、アメリカとかサウジアラビアなどの傭兵部隊による侵略に可能性の方が余程高い。
イギリスの場合には、リビアへの介入の検証作業で、NATOがアルカイダを支援してカダフィを殺したことが分かります。
到底内戦などと呼べるような代物ではありません。

投稿: 宗純 | 2016年10月 7日 (金) 12時24分

アメリカでは「雇兵」ではなく軍事の「民間委託」というようですが、マンパワーの質的低下は覆えませんね。

アメリカにとって、戦争をやめるということは自転車のペダル止めるのと同じ構造になってしまっている。

 これを打破しようという大統領候補が出てこないというのも、衰退期のようです。

投稿: ましま | 2016年10月 7日 (金) 12時58分

今朝の毎日新聞の連載記事「昭和史のかたち」=保阪正康
終戦構想なき為政者『幻想の果ての悲劇』では、対米戦争を始めた東条英機がまったく戦争終結の構想を持っていなかったことが書かれているのですが、
東条いわく、
『勝つまで戦う』というものだったらしい。
これ、今の対テロ戦争とかの対シリア戦争でのアメリカ軍にも十分に当てはまります。

投稿: 宗純 | 2016年10月 8日 (土) 12時38分

違うところは、東条は国民の犠牲が増えても日本は耐える力が際限なくあり、いずれアメリカが根負けするという、独特で奇妙な日本文化の価値観を持っていた(日本会議にも類似点あり)のに対し、アメリカにはそれがなくアメリカ人の犠牲を極限までへらして、戦争だけは続けていけるという伝統的フロンティア精神ですね。

投稿: ましま | 2016年10月 8日 (土) 13時30分

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