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2016年10月13日 (木)

中国軍の抗議デモ

 安倍政権とその周辺にあるナショナリストは、北朝鮮、中国の脅威をことさら前面に出し、彼らの改憲志向や軍事力強化に結び付けようとしている。たしかに、中国の軍事的背景をともなった海洋進出は用心することに越したことはないし、北朝鮮の核保有を阻止するため手段を講ずることは当然だ。

 しかし、明日にでも戦争が始まるような誇張は、マスコミにも責任があるが、まっとうな外交に背を向けようとする国内政治家に最大の責任があり、挑発に乗って緊張を高めるだけでは、国際的に理解されない。

 一般国民のなかに、「北朝鮮の貧困が進み、脱北者がふえたり暴動が起きて正恩が失脚すればいい」とか、「中国の内政や経済に問題が起き、発展が阻止されることを期待する」といった風潮を助長することにもなっている。

 そうなるのも、自然の成り行き――でいいのだろうか。先方の置かれている境遇、正確な情報と知識を冷静に分析し、それを国民に知ってもらう、という任務が放棄されていないか。険悪なイメージ操作を否定する方向で、当局者やオピニオンリーダーは動かなければならないのに、どうかするとその逆を行っている。

 北京で、前代未聞の中国解放軍の抗議デモが起きた。以下日経の記事から引用する。

【北京=山田周平】中国・北京市の国防省前で11日、退役後の待遇に不満を抱く元軍人らによる抗議活動があった。参加者は1000人規模とみられる。中国では地方で元軍人による抗議活動が起きることはあるが、北京での大規模な抗議は異例だ。国防省付近には同日夜現在も多くの参加者が残っているもようで、公安当局が厳戒態勢を敷いている。

 そして最後をこうくくっている。

中国の人民解放軍は共産党の指揮下にあり、軍トップの中央軍事委員会主席は習主席(党総書記)が務めている。今回の抗議活動の収拾に手間取れば、習指導部の威信にかかわりそうだ。

 他紙も似たり寄ったりだが、産経・読売は習政権への抗議という性格をより強く表現している。

【産経】こうした習指導部の姿勢に不満を抱く勢力が、中国共産党の重要会議である第18期中央委員会第6回総会(6中総会)が今月24日から開かれるのを前に、元軍人たちを動員したとの臆測も出ている。

【読売】軍中枢に対する異例な規模の抗議行動によって、兵力削減を伴う軍改革や腐敗摘発を進め、軍の掌握を図ってきた習近平(シージンピン)政権の権威は大きく傷ついた形だ。

 塾頭は、「参加者は全国各地の軍から」とか「整然とした行動で交通規制などもなく」、「用意されたバスで引き上げ」などの記事を見て、これは上官の指示で参加しているものだなと見た。

 しかも、デモを行った場所が、日頃は厳重な警備がされている中央軍事委員会のある場所であるということは、統帥権を一手ににぎる習主席自身の指揮で動いた可能性すらあるのだ。参加者は揃いの迷彩服だったというが、通常軍人は個人の意思で集団行動はとらない縦割り社会である。

 習金平は、副主席2人を相次いで汚職事件で摘発したばかりであり、軍事委員会ただ一人の文民になってしまった。軍内部にあった不満不服をこの際表面化し、その措置を講ずることで軍内部を掌握する非常手段を敢えてとったということだ。

 そういった、軍内部の動きや動向は軍事委員会内部にある「公弁庁」という強力な組織が一手に握っており、文民統制を実効あるものにしている。主席が、軍の実情や制服組の動向をここで知ることができるのである。

 しかし、党内部の激しい権力争いの中で足をすくわれないよう、使える手は何でも使わなくてはならないとすれば、末端軍人の要求を表面化することも彼にとって有効かもしれない。日本の右翼が小躍りするような話しではないのだ。

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東アジア共同体」カテゴリの記事

コメント

中国の場合ですが、これは迷彩服(作業服?)というところがミソでしょう。
何よりも権威とか名誉を重んじる軍人の中央官庁へのデモなら普通に考えれば制服に勲章と付ける方が自然です。

それよりも、先週の10月6日にはアメリカ陸軍トップのマーク・ミリー米陸軍参謀総長が米軍協会の会議で『ロシアとの大規模な戦争はほぼ不可避だ』と強調する危険極まるアジ演説を行うし、
同じく米軍のトップのダンフォード米統合参謀本部議長もほぼ同じ時期に同様の危ない発言を行っている。
わざと危機感を目いっぱい煽っているのですが、もしかすると悪い冗談ではなく本気かも知れません。

投稿: 宗純 | 2016年10月14日 (金) 08時51分

中国の場合、権力の中枢は「党」です。その党のをゆるぎないものにするため何十年もかけて権力機構の仕組みを考えてきた。軍も「人民解放軍」は党の軍隊で、党の指揮で動く仕掛けで、この点アメリカや日本と全く違います。

だから、はっきり言って有効なコントロールが利かない日米の方が危険といえましょう。その日米も紛争国での代理戦争が限界点にきている。

政治家は選挙戦で手いっぱいなので、大戦争はできません。

投稿: ましま | 2016年10月14日 (金) 09時52分

ソ連とか中国の軍隊の特徴として欧米などには無い政治委員という制度があり、各部隊の司令官と同等の強力な権限を持っているが、
もちろん政治委員とは共産党幹部ではあるが軍人ではない。
民主主義の基本原則であるシビリアンコントロール(文民統制)ですが、多くの国々で度々クーデターが起きる原因とは、
まさに、軍隊とは自己完結型の組織であり、シビリアンコントロールが一番効かないものの代表だからでしょう。
アメリカでも何処の国でも、一応軍隊は政府が完璧に管理しているとの建て前なのですが、
これは安倍晋三首相のアンダーコントロール発言と同じで、現実とは大きく違うらしいのですよ。
シリア停戦が1週間で破綻した原因はシリア軍陣地に対する空爆と、
(欧米のメディアがロシアかシリアの空爆だという)国連や赤十字の救援物資の車列に対する攻撃ですが、ロシアは二つともアメリカ軍などが攻撃したと主張しています。
もしもロシアの言い分の方が欧米のメディアよりも正しいとしたらですが、
日本の関東軍の真似を世界最強のアメリカ軍がしているのですから、アメリカ陸軍参謀総長がいうように、ロシアとの全面戦争は避けられないことになります。

10月6日のミリー米陸軍参謀総長の『ロシアとの大規模戦争は不可避』発言は米軍協会の公開の会議で行ったものであり、秘密でも何でもない。
ところが、欧米メディアは一切無視。
何も報じていません。
唯一報じているのはロシアのスプートニクだけなので、多勢に無勢。勝負は最初から決まっている。
今まさに危険極まる情報戦が始っているのですが、この目的が不明。
デフォルトなど何かの偽装である可能性もあるが、もちろん実戦の可能性もある。

投稿: 宗純 | 2016年10月14日 (金) 10時33分

外電の評価は難しいが発信元の信頼性が第一です。雑多な情報の一つだけを採りあげると、過ちのもとになります。当然新聞各社は複数チェックをしており、在外特派員の腕の振るいどこでもあります。

国内ではそれをどう味付けするか程度の違いはあるものの柳条湖事件の当時と違うことは、情報の量と質が格段に増していることであり報道管制が利きにくくなっていることでしょう。

投稿: ましま | 2016年10月14日 (金) 11時03分

話は逆で、情報の量と質が格段に増している今ほど報道管制が完璧に行える環境はありません。
良い例が、4年目のロンドンオリンピック開会式での日本人選手団の強制退場の場面は、すべてのメディアが知っていたが、全員が報道を自粛しています。
一切報道していないのですよ。
たまたま開会式を見に来たロンドン在住に日本人市民のネットへの投稿で、メディア全員の情報統制の悪事が露見する。
民放は破廉恥な日本選手団の退場場面にコマーシャルを注入することで誤魔化した。
ところが、コマーシャルが無いNHKでは実は退場場面を映していた。ところが、困ったことに視聴者の方の脳が正常性バイアスが働き受け付けない。

このアメリカ陸軍参謀総長の驚愕映像はユーチューブでいつでも閲覧が可能です。
ロシアのスプートニクだけが正しくて、それ以外はすべてが大政翼賛会状態の大本営発表を行っているのですから怖ろしい

投稿: 宗純 | 2016年10月14日 (金) 11時34分

中国による南沙諸島の埋め立てですが、この映像は欧米や日本も報じたいるのですが、・・・
これもロシアのスプートニクが報じた衛星写真とは大違いなのですよ、
ロシアの衛星写真を見ると、ほぼ不沈空母ですね。日本や欧米の方が、なぜか、この事実を隠して、穏便に見える風にしています

投稿: 宗純 | 2016年10月14日 (金) 12時06分

知らないことなので憶測が立ちません

投稿: ましま | 2016年10月14日 (金) 13時05分

『知らないことなので』ではなくて、
残念ながら、『それは知りたくないことなので、』の間違い。
言葉の使用方法が間違っています。
米陸軍参謀総長が米軍協会の会議で『ロシアとの大規模な戦争はほぼ不可避だ』と強調する危険極まるアジ演説を行っていた事実や
同じく米軍のトップのダンフォード米統合参謀本部議長もほぼ同じ時期に、米議会上院公聴会の証言として、
同様の危ない発言を行っている事実は、調べる気がありさえすれば誰にでも簡単に分かります。
ただし、これらの米軍制服組のトップの危険な発言ですが、
言葉の通りかどうかは真偽は全く不明。三百代言の橋本徹と同じで口から出まかせを無責任に嘘八百を喋っている可能性も十分にあります。というか、普通の判断力があれば、たぶん丸々のガセネタです。
だから自分のブログ記事には何も書いていない。少しでも真実の可能性があれば真っ先に自分のブログに書いています。

南沙諸島の方ですが、ずらっと最新の戦闘機が並んでいる様は丸っきり航空母艦であり、この事実を何故欧米のメディアが無視すいるのか。もっと言えば中国との緊張感を目いっぱい煽っている産経新聞が無視するのかの謎は、首をかしげるばかり。全く辻褄が合いません。

投稿: 宗純 | 2016年10月14日 (金) 14時21分

驚くのは、今回のこのデモ行進の様子、中国のメディアは13日まで一切報道をしなかったという事実です。
習政権のメディア統制の凄さを見せつけられた感があります。

ところが、日本を始め海外メディアは大きく取り上げたため、渋々中国メディアでも報道したようです。
それも海外向けに‘英語版だけ’で、報道したのは「人民日報」傘下の「環球時報」だったようです。

その中で、国防省の声明は「改革を進めることで、元軍人の生活の一時的な困難は次第に解決される」と強調し、元軍人に、理解と冷静な対応を求めています。

この声明も、中国語報道ではカットされているようです(以上NHKのWEBニュースより)。

ですから、中国国内では大きなニュースにはなっていないようです。

投稿: 玉井人ひろた | 2016年10月14日 (金) 16時52分

宗純さま

「知りたくない」でも結構です。本題に直接関係のないこと。そこまで論旨をひろげる意図がないということです。

 ひとつの文章、つまり一品料理にあれこれ食材をぶちこむことでなにを訴求したいのか、全体として意味不明にならないようにしています。

投稿: ましま | 2016年10月14日 (金) 18時26分

玉井人ひろた さま
「人民日報」は正式の党機関紙ですが、「環球時報」は党の指導下にあるものの比較的自由に(過激なことや私見に類することを)海外向けに発信しています。

国内向けには、別件で一般人に同様なことをさせないよう配慮しているのでしょう。

つまり、小出しにして様子を見ている感じです。

投稿: ましま | 2016年10月14日 (金) 18時33分

詐欺師的な言動を繰り返す不愉快なHN玉井人ひろたには何の警告もしていないのに、・・・
それでは、納得がいく説明ではありません。
単に、『その話はしたくない』(やめてくれ)ということでしょうか。
幾ら鈍感な私でも、何も返事のないとか、あって『はあ。そうですか』とあれば、それ以上1行も書きませんよ。
ところが、なにやかや、『その情報は正しくない』(間違っている)との印象操作を行うから、私としても言いだした手前、
仕方なく、続きを書いているだけのです。
もう一度、ご自分が書かれたコメントとか文章を読まれることを進めます。
そもそも記事では、
・・・明日にでも戦争が始まるような誇張は、マスコミにも責任があるが、まっとうな外交・・・
とあるように、私の場合には記事に密接に関連してコメントしていすが、
記事には一切記載がない(悪意あるほのめかしを続ける愉快犯の玉井人からの情報の)環球時報の場合には違っている。
この新聞は2013年12月12日には『日本が来年1月に攻めてくる』との超危険で挑発的な爆笑お馬鹿記事を書いています。
この中国紙の怖ろしいジョークですが、日付けが、安倍晋三が大勝利した2012年12月14日と二回目に勝利した2014年12月16日の真ん中。
今回ですが、多分大統領選挙直前の大事な時期にアメリカ軍の現役トップがお馬鹿挑発発言を繰り返しているのでしょう。

投稿: 宗純 | 2016年10月16日 (日) 14時11分

どなたであろうと、コメントくださる方は客人です。詐欺師とか馬鹿とかの文言は塾の品位にかかわるので、以後禁句とします。

投稿: ましま | 2016年10月16日 (日) 16時59分

それでは素晴らしく正直で賢いHN玉井人ひろたに変更しておきます。

ましまさんは以前にもkojitakenからのコメントに対して、『危ない人物だから近寄らない方が良い』と書いたら、知らないし関係ないと答えていたが・・
それではマルティン・ニーメラー師の後悔と同じですよ。
確かにこの反戦塾は被害は何もないが、沢山のブログがkojitakenグループのために閉鎖されたのは明らかな事実なのですから、安全のためには近寄らないのが最善です。
素晴らしく正直で賢いHN玉井人ひろたですがkojitakenの2万倍は知性も判断力もあるのですから怖ろしい。


この反戦塾ですが不思議なブログで、エアーポケットというか安全地帯というか、危険が無いので緊張感なく安心してコメント出来る数少ない平和な場所だったのですが、これは政治的な立ち位置とかブログ管理者の人徳でしょう。
逆に、自分のブログ記事でもコメントでも常在戦場、
少しも安心出来ない。目いっぱいの緊張感を持って書いています。
以前に橋下が管理売春業者の顧問弁護士だと書いた時に、ましかさんから『相手は弁護士だから危ない』との親切な注意を受けたことがありましたが、いつでも裁判闘争を受けて立つ心意気で緊張感を持って書いています。
ただ、これでは当たり前ですがかなり疲れるので、この『反戦塾』とは数少ない心休まる大切なオアシス的な場所でもあったのですが、
安全だった場所が今では暗闇で後ろから突然殴りかかるというか、対人地雷が埋まっているというか、危険がいっぱいのサバンナになっている。これでは安心してコメント出来ません。

何時も私と一致するわけではないが、ましまさんの意見ですが、常識ある日本人知識人の多数意見として、私としては非常に大切にしているのですよ。当方のブログ『南沙諸島に中国が造成した「不沈空母」の威容』
へのコメントで『抗議は当然すべきですが、緊張を高めるだけでは無益です。』から、自分の記事の意味が完璧に誤解されていることに気が付くなど非常に役に立っています。

反戦塾へのコメントは安全が確認できるまで当分の間自粛しますが、TBの方は今後とも適時続ける予定です。
また、ましまさんからの当方の『逝きし世の面影』へのコメント投稿の方は以前と変わらず今度とも宜しくお願い致します。

投稿: 宗純 | 2016年10月17日 (月) 09時20分

宗純 さま
人畜無害のようなくすぐったいコメントありがとうございました。

自分の中でこなれていない問題を記事にするのは苦手なので、端折らざるを得ないことをお許しください。

投稿: ましま | 2016年10月19日 (水) 08時18分

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