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2016年10月

2016年10月30日 (日)

続・安倍から逃げるなら、今

 自衛隊の海外派遣に関連して、25、26日に連続して取り上げた。国連のPKO(平和維持機構)の一環として陸上自衛隊が派遣されているのは、南ソマリアだけで、それを新安保法適用第一号にしようというのが安倍のねらい。国会で議論されているがどこか弱い。

 その2回目は「安倍から逃げるなら、今」と言う題にしたが、そんな緊迫感はどこにもない。大部分の国民は、自衛隊が戦争に巻き込まれると思っていない。実は塾頭もそうだ。しかし、「可能性は?」ということになると、過去の戦争の発端を調べればわかるが、ゼロというよりは「まさか」の方が多いくらいだ。以下はその関連ニュース(10/29、毎日朝刊)である。

政府は25日、南スーダンのPKOへの部隊派遣を来年3月末まで5カ月延長することを閣議決定したが、現地情勢や部隊の訓練状況を見極めるため、新任務の付与は先送りした。

 「新任務」というのは、攻撃を受けている勢力から頼まれれば、武器を持ってその相手と交戦するということだ。それは「殺さなければ殺される」という現場である。そしてさらにこう続く。

 稲田氏(防衛相)は8日に南スーダンの首都ジュバを訪問し、23日には岩手県で交代部隊の訓練を視察した。柴山昌彦首相補佐官も31日からジュバに入る予定で、新任務付与の準備を進めている。柴山氏は28日、「安倍晋三首相から現地の状況をしっかり見てきてほしいと指示された。今回の訪問は一つの判断材料になる」と記者団に語った。

 稲田氏だけでは、やはり心許ないのか。しかし誰が行っても同じ。安倍首相は解散総選挙で圧勝を予定し、自衛隊の名を防衛軍と変えて憲法上戦争のできる国にしようとしているのだ。9条第1項に「戦争放棄」があっても平気、「自衛のため」と言ってしまえばそれまでなので、アメリカなどと同じことが可能になると踏んでいる。さらに報道は続ける。

 野党は今国会で、南スーダンの治安悪化や、任務拡大に伴い自衛隊員のリスクが高まる可能性などについて政府を追及している。このため政府は、自衛隊が駆け付け警護を行うケースを、国連関係者らから緊急の要請があり、現地の治安当局やPKO歩兵部隊より速やかに対応できる場合などに限定する方針だ。

 野党の追及も、全く迫力ない。つまり、大多数の国民に訴えるものが無いのだ。「自衛隊員のリスク」に矮小化され、多くの市民が犠牲になる戦争になるとは思っていない。警察でも消防でも死と隣り合わせのリスクをともなう。リスクを避けてどうして国を守る大任が果せようか。そんな自衛隊であってほしくない。

 やはりニュース解説ではだめだ。かりにA軍とB軍が対立する内戦状態の国だったとしよう。自衛隊はそのいずれにも加担しない立場で、道路・橋などのインフラ整備や、住民の食糧援助の任務補遂行しているつもりだ。

 ところが、そのエリアがA軍の支配区域であればA軍はそのための負担が減り、またそれを活用することもできる。B軍から見れば自衛隊は敵を利する行為をしているわけで、立派な攻撃目標である。かけつけ警護で戦端が開かれれは、あとにひけない果てしない戦争の当事者になるのだ。

 政府が、かけつけ警護ができるケースに、ああいった場合、こういった場合などいろいろ複雑な条件をつけて限定しようとしている。公明党を納得させるためかも知れないが、現場で、PKO派遣5原則に適合し、新たな制限どおりかどうか、そんなことを斟酌しているうちにことが進んでしまい、下手をすると先手をうたれて、自衛隊員に犠牲者が出るかもしれない。

 逆に出先が政府の定めた制限を守らず、独断専行したとする。本来なら処罰されなくてはならないことだが、結果が良ければ不問に付されることが多い。また、処罰は士気に影響するというだけでなく、国民から支持されていることから、手柄にさえしてしまう。

 こんなことが、戦前満州や中国大陸で繰り返されたことは、歴史を調べればすぐわかる。さらに恐ろしいのは、諜報機関や軍部などが意図的に戦争を作り出す陰謀や仕掛けを作り出すことである。 

 民主主義国家であっても、このような事態は防げない。なぜならば多くは「特定秘密の保護に関する法律」などの軍事機密に隠れてしまう。アメリカのイラク戦争開始が「ニセ情報」による、とされているが、ブッシュ大統領が最初からそれを知っていたかどうかもうやむやだ。

 自衛隊員に犠牲者が出たとしよう。当然大ニュースとなり、国民世論は「相手のA国・軍に壊滅的な損害を与え、勝利するまで戦え」ということになる。イラク戦争は、第2次大戦よりはるかに長い15年を経ても、アメリカが勝ったと言えない混とんのさ中にある。今になって厭戦気分が起きてももう遅いのである。

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2016年10月28日 (金)

追悼・三笠宮殿下

♪昭和 昭和 昭和の子どもだ 僕たちは 

 だから、昭和天皇に続く秩父宮、高松宮、三笠宮の3兄弟は、平成の子供と違って近くに感ずる。その最後の弟三笠宮が100歳の長寿を全うし、27日朝薨去された。昭和は28年を経てですでに遠くなった。

 次代の今上天皇も生前譲位を言いだされている。塾頭はこの20日に「退位に慎重だった皇后」を書いたばかりである。そこで、退位に理解を示す国民の多数は、自らの生き方を決められないことは、基本的人権に反することにならないか、という素朴な発想からきているのではないか、と書いた。

 ところが、三笠宮は70年前の皇室典範制定時に、皇族の立場から天皇の生前退位を容認する意見を発表され、「必要最小限の基本的人権としての譲位を考えた方がよいと思っている」と異議を唱えていた(表記は原文通り)ということがわかった。

 また、オリエント歴史学者として、紀元節復活に反対意見を持ち、さらに戦中には、陸軍参謀の名で中国各地を視察、その見聞にもとずく支那派遣軍総司令部で行った講話原稿が残されている。そこには、日本人の「侵略搾取思想」や「侮華思想」、さらに「日本軍の暴虐行為」などの表現があった。

 ひるがえって、今朝の新聞には、天皇の生前退位に関する安倍首相の指摘諮問機関が、ヒヤリング対象とする専門家?16人を選定したことが書かれている。それを見ると、週刊新潮も顔負けするような極右雑誌の常連筆者、渡部昇一・八木秀次・桜井よしこなど、安倍首相のお気に入りがずらっと勢ぞろいしている。

 これら歴史修正主義者や戦前回帰論者は、100歳にわたる貴重な現代史目撃者の見聞・意見とと真っ向から対立する。メンバー選定者は、意見がはっきりしている人から選んだというが、その結論はどうなるのだろう。結論が出せないか、出たとすれば到底歴史の批判に耐え得ない奇怪なものになるだろう。

 塾頭は、日本随一のナショナリストは、昭和天皇をはじめ、こういった皇族方にほかならないという考え方だ。生を受けると同時に五穀豊穣と民(おおみたから)の安寧を祈る神事の中で育ち、徹底した帝王学を学び、利害を超越した純粋性を持つ。

 そのテキストは日本書紀・古事記で始まるのであろう。それらの文献は、決して美辞麗句の聖典ではない。先祖の各天皇の事績を原典で知る必要があり、そこからさまざまな文化や教訓・批判力を身に付ける。決して「天皇中心の神の国」や「万世一系」などという安直なものではないはずだ。

 天皇、そして皇族は、明治維新以降はびこり始めたエセ・ナショナリストや戦中に猖獗を極めた皇国史観を超越した、日本民族の「象徴」的存在であることを改めて強く感ずるのである。ここに更めて殿下の冥福をお祈りする。

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2016年10月27日 (木)

誰のための労組

 最大手広告代理店「電通」の新入女子社員が苛酷な長時間残業から来たと思われる自殺を遂げ、労災と認められた。また過去、支社を含め複数回労働基準監督署から是正勧告を受けていたことなど、続々と報道された。

 15日のエントリー「新潟県知事選&労働組合」は、民進党が知事選について連合の反原発反対の意を受けて自主投票に逃げこんだことを含め、今どきの日本の「労働組合」に疑問を感じ、電通のような事態をふせぐため、同社には労働組合がなかったのか……と書いたものである。

 塾頭が現役の頃は、労働省の出先「労働基準監督署」が会社の担当部門から鬼のように恐れられていた。なにしろ警察署・消防署と同じ「署」でよばれる強制力を持った役所だからだ。税務所や登記所、あるいは公共職業安定所とはわけが違う。

 同じ労働組合でも、今回の事件について役所側の労働組合のコメントを発見した。毎日新聞10月21日・東京朝刊によるものである。

全国労働組合総連合(全労連)の井上久事務局長は「労働基準監督官の人数が足りない。監督官は相当のオーバーワークで、お昼ご飯を食べる時間もないのが実態だ」と指摘する。厚生労働省によると、企業が時間外・休日労働に関する労使協定を届け出たのは14年度137万7705件で3年前から約18万件増えた。ただ、今年度の全国の監督官は3241人で、3年前から43人しか増えていない。

 「お昼ご飯を食べる時間もない……」。エッ?!、これでは取り締まる警官がコソ泥をしているようなものではないか。中央省庁再編で労働省が厚生省と合体し、さぞかし行政効率が上がりスリム化しているのだと思ったら、逆に監督官は増えているようだ。

 電通がこれほど何度も指摘を受けながら、旧態然としてお上を恐れぬしたい放題。疑いたくないが「接待」という2文字がどうしても浮かんでくる。役所の労働組合も業務の簡素化より、仕事量と身内にしか目を向けない官僚意識が先に立っている発言だ。

 塾頭……、ただただ「長嘆息」が結論です。

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2016年10月26日 (水)

安倍から逃げるなら、今

 当塾では、南スーダンへの自衛隊PKO派遣についてこれまで断片的に取り上げてきた。韓国軍が自衛隊に武器を借りにきたとか、稲田防衛相が信念としてきた終戦の日の靖国参拝しない理由づけなのか、その日は同地へ出張、わずか7時間滞在しただけで引き上げてきた。それをを国会質疑で辻本清美議員に追及され、ベソをかいたなどである。

 安倍首相は、この部隊に「かけつけ警護」など新安保法制への足掛かりを作りたいので撤退させる意思はみじんもない。稲田防衛相は11日の参院予算委員会で、自衛隊が国連平和維持活動(PKO)に従事する南スーダン・ジュバを視察した感想として、「南スーダン政府の閣僚をはじめ、国連特別代表とも意見交換し、部隊視察やジュバのさまざまな所を視察した。(その結果)ジュバの中の状況は落ち着いているという認識をした」と述べた。

 稲田の南スーダン視察は、あらかじめこの結論が決まっていて無理やり首相から強制されたお出かけであったことは、容易に想像が出いる。ベソをかくのもごもっともである。そこへこんなニュースも飛び込んできた。

毎日新聞 10月25日(火)21時32分配信
 【ヨハネスブルク小泉大士】南スーダンの首都ジュバで今年7月、政府軍と武装勢力との大規模な衝突が発生した際、国連の平和維持活動(PKO)部隊が、政府軍兵士の襲撃を受けた外国人援助関係者らの救出要請に応じなかったことが、米NGOの報告書で判明した。日本政府がPKOに参加する陸上自衛隊部隊への任務付与を検討する「駆け付け警護」の典型例だが、政府軍相手に戦闘となることを懸念して出動しなかったとみられ、現場での任務遂行の難しさが改めて浮き彫りになった。

 問題の襲撃は政府軍とマシャール前第1副大統領派の部隊の戦闘が激化していた7月11日午後に発生。政府軍の兵士約80~100人が、外国人援助関係者らが滞在していたジュバ市内の宿泊施設に侵入した。

 「紛争地域民間人センター」(米ワシントン)の報告書によると、兵士たちは少なくとも5人の外国人援助関係者の女性を集団でレイプしたほか多数の人々を殴打するなどし、南スーダン人記者1人が、前副大統領の出身民族ヌエル人であることを理由に射殺された。この間、援助関係者らは、国連南スーダン派遣団(UNMISS)や米国など各国大使館に何度も電話などで救助を要請。UNMISS司令部は中国やエチオピアなどのPKO部隊に出動を求めたが、拒否されたという。

 ちなみに、南スーダン国連平和維持活動に部隊を展開している国は14か国。日本以外の先進国で米国やEC諸国の参加は無く、旧宗主国の英国のみである。治安維持ができないのは何とも残念であるが、国連自体政府軍から敵視されている。

 現地のどの勢力に肩入れしてもうらまれ続ける。そんなことは、イラクやシリアで充分証明されている。元世界の警察官すら敬遠しているのだ。冷たいようだが、資金と武器の供給を絶って現地で解決してもらうしかない。

 ここは、日米安保と直接関係がなく集団的自衛権の適用はできない。かりに、トラブルを生じて引くに引けないような状態になったら、安倍首相の国賊的失政がもたらしたものとなるだろう。自民・公明議員のうち、賢い人は今が逃げ出すチャンスであると信ずる。

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2016年10月25日 (火)

海賊、人質かかえて5年

 地中海からスエズ運河を通り、抜けたところが紅海で、アラビア半島とアフリカの間にある。アフリカ側は、北からエジプト、スーダン、そしてつい最近稲田防衛大臣が行った南スーダン、エチオピア、シブチと続き最後のインド洋の出口がソマリアで、内戦状態のイエメンが対岸にあり、世界で最も危ない地域に上げられる。

 そのソマリアがひさびさのニュースになっているが、ホルムズ海峡と違って日本ではあまり取り上げられない。

(CNN) アフリカ東部のセイシェル沖で海賊に船を乗っ取られ、人質にされていた船員26人が約5年ぶりに解放されたことが24日までに分かった。解放交渉を仲介した海賊問題対策の非営利組織(NPO)OBPの関係者が明らかにした。

OBPによると、オマーン船籍の漁船は2012年3月に乗っ取られ、乗員29人のうち1人は襲撃を受けた際に死亡、2人は拘束されている間に病死した。

人質は全員が男性で、カンボジア、中国、インドネシア、フィリピン、台湾、ベトナムの国籍だった。

解放されたのは22日で、国連機を使って出身国に帰国させる。OBPは身代金が支払われたのかどうかなど、人質解放の詳しい条件を明らかにしていない。

 ソマリア沖の海賊が話題になり始めてほぼ10年近くになる。各国商船の往来の激しいところである。武装海賊に襲われ、拿捕されるという事件が次々に起きた。そのため、アメリカをはじめ近海の警戒を厳重にし、商船に軍艦を付き添わせるなどした。

 この流れを受けて日本政府も海上自衛隊のソマリア沖への派遣を検討し始め、2009年3月13日、ソマリア沖・アデン湾における海賊行為対処のための海上警備行動を発令した。翌3月14日、海上自衛隊の護衛艦2隻をソマリアに向けて出航させた。

 そういった海賊の犠牲者が、5年も経て解放されたというのだから驚きである。もっとも、このあたりの海賊は、大昔から生活手段を得る為の商売であった。それは、陸上で隊商を襲う盗賊も同じで、商人にとっては通行税をとられるのと同じである。

 それは、ここに限ったことではない。日本にも瀬戸内海専門の村上水軍や、五島列島に根拠を置く、倭寇と呼ばれた存在もあった。その特徴は、いずれも国家の支配・統制下になく、政治的コントロールが利かないということである。

 この地帯は、西欧が植民地支配するまでは、長い間国家も国境も存在せず、部族単位で必要な行動をとっていただけで、特殊とはいえない現象だ。

 したがって、海賊が拉致した人員は商品として売られるとか身代金と交換するとか、然るべき利用方法で処置されなければ意味がない。戦争捕虜ではないし犯罪人でもない。5年間どのような境遇にあり待遇されていたか知りたいところだが、多分明らかにはされないだろう。

 アラブやアフリカに発生するさまざまな内紛やISなどの行動も、こういった前近代性を加味して動きを見ていかなければ、わからないことが多いのだ。

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2016年10月23日 (日)

続・差別語「土人」

 沖縄で基地反対運動をしている人に対し、規制にあたっている機動隊員が投げかけたこの言葉、塾頭が最初にこれを取り上げたのが19日の早朝だった。「琉球新報」の電子版からひいたものである。

 その後中央紙やTVも取り上げ、今日のニュースショーでも、先週のできごととして、論評も加え報じていた。塾頭は記事の中で 『「土人……」(どじん)、いや、懐かしい言葉を聞くものだ』と書いた。若い隊員がこんな言葉をなぜ知っているのかが不思議だった。

 これについて、戦中までは実際に本土の人間が沖縄の人に使っていた差別語だったとか、現在でもネットウヨが「シナ人」とともによく使うとか、政府・官僚が上からの目線で対応することが差別を誘発したなどという解説もあった。

 塾頭は、ネットウヨ言論は一時ほどではないのかと思っていたら、小林よしのりがブログにこんなことを書いている。

辻元(清美)氏は政治家として年季が入って来て、国会質問の追及も腰が据わっている。
言葉が重くなってきたので稲田朋美への追及のときは、とうとう稲田が震えだし、泣いてしまった。
これを稲田萌えのネトウヨおっさんどもは、「憂国の涙」なんて庇ってるのだから、馬鹿もど外れている。

わしのAKB萌えは意識して自分を馬鹿に見せてやっているが、稲田萌えは無自覚に馬鹿をさらけ出しているから脳髄まで馬鹿が浸透している。

 「馬鹿」と言うやつが「馬鹿」という。4回も繰り返す小林もどうかと思うが、アメリカのトランプ現象もネットにあふれる乱暴な言論が影響しているという。また、中国でさえ、ネットにあふれる対外過激言論が慎重論をおさえる役割を果たしているそうだ。

 世界総ネットウヨ時代――想像もしたくない世紀末的現象だ。これを止める大文豪がそのうちに出てくるだろう。それを期待したい。

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2016年10月22日 (土)

北・抜き陰謀論

 当塾ではこれまで「軍事衝突の火種」として世界の危険地帯を記事にしてきた。東アジアでは中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル実験頻発などがあるが、中国は表面上のこわもてとは裏腹に、党組織と経済の安定化に迫られており、大所帯かつ国連常任理事国であることもあって、一応の文民統制が機能しているとしてきた。

 それに比べて、北朝鮮は正恩独裁で危なっかしいところがあるが、核にしろミサイルにしろ持てる力の全てをさらけだして威嚇して見せるだけ。そう言っちゃあ悪いが米韓との力の差は歴然としており、背後に中・ロの厳しい目もあって、一連の挑発は、民心把握の猿芝居でしかない。正恩が狂わない限り本気で使うことはない、と判断していた。

 しかし、気になるニュースが出てきた。

韓国の国家情報院は、最近の北朝鮮の動向に関する情報を国会に報告しました。報告では、国際社会からの制裁で、「金正恩党委員長に対するエリート層の忠誠心が弱まり、腐敗や不正も広がって政権の不安定化が進んでいる」と指摘。その「正恩氏は身の安全に不安を感じていて、警護を強化している」ほか、北朝鮮では、今年に入って64人が公開処刑されたということです。

 さらに、「正恩氏は、一度酒を飲み始めると、自制がきかなくなる」というのです。韓国の国家情報院は、金正恩氏は、週に3~4回、宴会を開いて暴飲・暴食をしており、心臓や血管の病気を患うリスクが極めて高いと分析しています。(20日)TBS News

 「正恩が狂わない限り」が怪しくなってきた。正恩の異常とも言える肥満体は、責任ある国家元首のものではない。なにか病的危険性をはらんでいそうだ、と感じていた。ただ、この種の情報は、えてしてガセである可能性が高い。

 ところが、韓国の国家情報院が国会に報告した内容である。それなりの根拠があるはずだ。自制がきかなくなる人に核ミサイル発射ボタンをゆだねるというのは、国家存亡の危機である。本塾の先月10日付提案「北・抜き6か国協議」は、やや冗談めかして書いたが、実はあり得て当然、と考えていた。

 国連安保理の決定にことごとく背を向ける北の態度に、中・ロも困り果てている。仮に核弾頭を積んだムスダンが、今回のように発射直後に爆発したらどうなるか。放射能は中国にもロシアにも遠慮なく飛んで行く。

 当然、黙って見ているわけにはいかない。再発やアメリカの先制攻撃を防ぐため発射基地を押さえに行くだろう。同じようなことは、米・韓にも言える。38度線を越えた作戦がとられる。こうなれば第2次朝鮮戦争で、前より手に負えなくなる。

 そうならないようにするための6か国協議だ。北は、核放棄が条件となるので加わらない。そこで北抜きということになるのだが、最初に話し合われるのは、正恩を失脚させ、代わるべき政権を混乱なく樹立することだ。

 上述の情報通りなら、正恩の存在が国家の危機ということで、軍内部で愛国的クーデターが発生する可能性もある。また、暗殺も話に出るだろう。それで内戦状態が起き、大量の難民が発生して国境を越えるようなことがあれば、一番困るのは地続きの中国・韓国そしてロシアだ。それで各国が治安維持軍を送り、それぞれの勢力圏を確保しようとすると、やはり第2次朝鮮戦争になる。

 そうならないよう中立の連合軍を作るとか、日本は後方支援に徹するとか、将来の南北統一をどう構想するとか、そんなことを話し合うための北抜き6か国協議になる――。

 今日の毎日新聞「余禄」には、いわゆる「陰謀論(「コンスピラシー・セオリー)」の例として、9・11事件に政府が関与していたとの説や、ケネディ大統領暗殺の政府機関黒幕説、政府がUFOや宇宙人を隠しているとの説、アポロ月面着陸映像の作り物説など4つをあげている。

 仮に「北・抜き6か国協議」にでもなれば、それに劣らぬ有力候補のひとつになりそうだ。

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2016年10月20日 (木)

退位に慎重だった皇后

 今日は、皇后陛下誕生日である。休日ではなかったが昭和20年までは「地久節(ちきゅうせつ)」といった。折からの天皇退位問題で、これまでの経緯などが今日の新聞に取り上げられている。

 「毎日」によれば、その意向を最初に示されたのが2010年7月22日の宮内庁参与会議で、6年前陛下76歳の時とされる。同会議は2カ月に1回程度開かれ、参与は宮内庁長官、侍従長、最高裁長官、警察庁長官、検事総長の経験者などで構成される。

 同日は天皇・皇后を含め、深夜に至る異例の会議となった。会議では摂政制度を薦める出席者もいたが、陛下は「天皇というものは何人によっても代行することはできない」と強く否定。皇后さまは当初は退位に慎重な姿勢だったが、陛下の考えに同意する姿勢になったという。

 ということは、事前に夫婦間はもとより皇太子・秋篠宮などにも根回しのないまま切り出されたものと見られるが、塾頭は天皇の考えに強い共感を覚えるものの、「不敬罪」覚悟でいうと、やや、わがままな気がする。

 天皇は「日本国憲法の子」だからである。昭和天皇は、戦争責任などを理由に、戦後何度も退位を考えられた。しかし新憲法とGHQはそれ許さず、天寿を全うされた。今上は、「象徴天皇にふさわしくない姿や言動を国民の前にさらしたくない」という思いがあると見る。

 それは、同年輩の塾頭にもよくわかる。そう考え、自分の今後の生き方を自分で決めたいと思うことは、「基本的人権」に他ならない。日本人の多くが天皇の退位の希望を肯定したのは「基本的人権」尊重に重きを置いたからであろう。

 ところが、天皇およびその子は生まれながらに、男性の配偶者は結婚と同時に皇族となり、憲法に定められた国民の基本的人権がないのである。

 その中で代表的なのは、第2条で天皇の世襲が義務付けられていること。第13条の個人の尊重、第15条の選挙権、第22条の居住・移転・職業選択の自由、第24条の結婚を含む両性の平等などが適用されないことなどである。

 もし、そういった自由があるとすれば、天皇継承拒否の意向があれば、それも尊重しなくてはならないし、「菊のカーテン」を取っ払って言論の自由を駆使されれば、政治的な影響力持たせてしまうことになる。

 18年前に、女性天皇を認めるかどうかで議論があった時、高橋紘・所功『皇位継承』という本が発刊され、その最終章は「新『皇室典範』のディレンマ」でくくった。憲法や皇室典範にメスを入れて、国民の感覚に合ったものにするか、明治の皇室典範の遺風を固持するかの二者択一が迫られているという意味だ。

 政府は17年の通常国会に法案提出を目指すというが、これまでその作業を怠ってきたつけは重く、国民の納得が得られるような議論にはならないだろう。塾頭は9月7日付で「生前『退位』でなく『交代』」という文を書いたが、オリンピックのリレーのように考えて知恵をだしたらどうかとした。

 「象徴」はトラックを走る走者に、入賞の栄誉と尊厳はチームの全員にということだ。バトンタッチのルールをきちっと書けばいいだけ。前天皇の名称は「上皇」でいいではないか。住まいや予算は新宮家にすればいい。それで余生をゆっくり過ごしてほしい。

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2016年10月19日 (水)

差別語「土人」

 「琉球新報」(10/19電子版)によると、沖縄のヘリパッド建設現場でフェンスにつかまり抗議している市民に対し、規制にあたっている機動隊員が、「どこつかんどんじゃ、ぼけ。土人が」と発言、これを市民が記録していた動画で取材記者が確認した。

Photo  「土人……」(どじん)、いや、懐かしい言葉を聞くものだ。識者らが差別発言と批判しているというが、記者も辞書をひいて確かめたらしい。戦時中は、主に腰みのひとつで暮らす南洋諸島の原住民をさしていった。悪意はなくとも明らかな差別語である。

 当時の人気漫画主人公「冒険だん吉」少年も、腰みのをつけて王冠をかぶり、南洋小島の王さまになる、そしてて住民に愛され親しまれるという筋だ。本土から応援にきたらしい巻き舌ぎみの機動隊員は、まさかそのマンガは見てないだろうが……。

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2016年10月18日 (火)

続・軍事衝突の火種

 10日付で「軍事衝突の火種」として、世界の危険個所4カ所を上げた。その最後が、④中国船体当たり・韓国警備船沈没、EEZ内不法操業、である。それについて、こう結論づけた。

中韓の間は最近冷え込んでいるというが、至って冷静であり日中間のようにはなってはおらず、アメリカの抑止力を表面に出すようなことはしない。結論からすると、韓国人は中国のお行儀の悪いのは百も承知の上、というふうに見える。

 それが最近に至り、両国間の挑発的発言で、売り言葉に買い言葉、緊張を高めている。下記の引用は韓国の代表的通信社からのもので、新事実もあってやや長くなってしまった。中国の火元は「環球時報」で、当塾が指摘しているようにタカ派専門の海外向け論調を頻発するが必ずしも中国を代表する意見とは言い切れない。

 朝鮮日報などのマスコミには、緊張をあおり、紛争を拡大すべきでないという慎重論が依然としてある。いずれにしても対北、対中国、対日、それぞれ政策転換の過渡期でもあり、朴槿恵大統領任期最後のかじ取りが注目されるところでもある。

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ソウル聯合ニュース】中国が、自国漁船の度を越えた横暴ぶりに対する韓国政府の対策に強く反発するという、あきれた態度をみせている。

 中国外務省は12日の会見で、自国漁船が黄海で韓国の警備艇に体当たりして沈没させ、逃走した7日の事件について、事件発生地点は韓国が取り締まりをする法的な根拠がないと主張した。両国の漁業協定に基づき漁業活動が認められた場所であり、取り締まりは韓国の越権行為だというのだ。

 また、一段と凶暴化する中国の違法漁船に対し、韓国政府が艦砲射撃などを含む取り締まり強化策を打ち出したことについては「紛争を誘発しかねない」と警告し「中国人の安全と合法的権益を保障すべきだ」と主張した。

 中国政府の言い分は納得し難い。7日の事件の責任を韓国政府に転嫁し、さらには取り締まりという法の執行権を乱用するなとこちらを戒めたのだ。年間10万隻以上の自国漁船が韓国の海域に侵入し、違法に水産物を略奪していることに対する反省は一切みられない。他人の家に侵入して盗みを働いたことがばれた泥棒が、家の主人をなじるようなものであり、盗人猛々しいとはまさにこのことだ。

 中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は、韓国政府が艦砲射撃まで認めたことは「ナショナリズムの集団発作だ」と激しく非難した。いくら国の宣伝メディアとはいえ、自国漁船の蛮行には口を閉ざし、漁場を荒らされた韓国の反発を「発作」と侮辱する非理性的な論調にあ然とするばかりだ。

 韓国政府は中国外務省の主張に対し「確立された国際法と国内法に基づいて行われた正当な措置」だと反論した。韓国の海洋警備当局が違法操業する中国漁船を摘発して追いかけた末、漁船との衝突により韓国の海域の外で沈没したもので、韓国当局が行使した追跡権は韓中両国が加盟している国連海洋法条約で認められている権利だと強調した。

 韓国政府は中国の圧力にひるんではならない。違法操業の取り締まりに暴力で抵抗する中国漁船に対しては、断固として対応する必要がある。韓国の漁場に侵入して鉄パイプやおのを振り回したり、警備艇を沈没させたりする中国漁船にこれ以上、国の公権力が踏みにじられないようにすべきだ。

 だが、中国漁船に対する取り締まりと事後処理は国際法と国内法に基づき冷静に行うべきであり、行き過ぎた取り締まりにならないよう管理と統制が必要だ。(以下略)
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2016年10月17日 (月)

新潟知事選で政治に動きを

 前回、土曜日に書いた新潟県知事選は、昨日の投票で野党推薦の米山氏が勝った。当塾としては久々の朗報である。野党と言っても民進党は入っていない。共産・社民・生活改め自由の3党である。

 前・泉田知事の方針を貫き「原発再開断乎反対」を旗印とした米山氏が勝つという予想は、その通りとなった。もともと田中角栄以来自民党勢力の強いところだが、昔の農民運動の名残もあって、旧・社会党も必ず議員を出していた。

 当初、与党楽勝と見ていたのは、そのあたりの県民性を甘く見ていたのだろう。終盤戦になって米山優勢が伝えられると、推薦政党のトップが共産党になっているので、自・公はそこらを攻めれば逆転できると思ったのか、県外からも大勢を動員して「県庁に赤旗でもいいか」などと煽ったらしい。

 わずかながらも県民性を知る塾頭は、これは逆効果になるなとにらんだ。問題は、前回書いた通り民進党が推薦を降りたことだ。各社社説は、原発政策への影響が主で、毎日と東京がこれに多少触れているだけとなっている。

 民進党は、電力労組を傘下に置く連合に配慮して原発再開阻止に加われなかった。民意に反し、野党共闘をそれで反古にする愚を蓮舫党首は悟ったのだろう。終盤に至って組織決定に反し応援にかけつけた。

 これで民進党が脱皮し、沖縄など地方の民意を尊重して対・自民大連合を目指すようになれば与党の足元をゆるがすことができるはずだ。しかし、党の現状は程遠い。やはり指導者の蛮勇に期待するしかないのだろうか。

 豊洲問題だけでなくオリンピックでも、国・都・組織委員会など難攻不落と思われた組織に果敢に立ち向かい、自民党を手玉に取ってる小池都知事を他山の石にしてほしい。

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2016年10月15日 (土)

新潟県知事選&労働組合

 新潟知事選は、あす16日に投開票される。東電・柏崎原発の再開をめぐって「東電が信頼できない」として反対し続けた泉田裕彦知事の任期満了に伴う選挙だ。知事の再出馬辞退で無所族の4人(三村誉一、森 民夫 -、 米山隆一 、後藤浩昌 )が戦う。

 その中で、注目は長岡市長だった森民夫氏(67)=自民、公明推薦と、医師で弁護士の米山隆一氏(49)=共産、自由、社民推薦の2人である。

 米山は、泉田と同じ立場で原発再開絶対反対だ。民進党は自主投票にしているが、見かねた蓮舫党首が米山の応援にかけつけた。民進党自主投票の理由は、電力労組が加盟する支持団体連合に配慮したためだという。

 前にも書いたが、東電は新潟県に配電しておらず、同社関連の有権者は柏崎近辺にいるだけだろう。東電のために管下の東北電力関係者が投票しなければならない義理はない。参院選比例区などで、候補者に対する知識がない、などという場合は、組合推薦の候補に投票するということはあるが、今回のような、断固反対と、あいまいにする候補が選択できないわけではない。

 米山氏は、過去何回か落選を経験しているが、今度は手ごたえを感じているようだ。連合の応援より、県民の意向と共産・社民の下支えの方が利いているというのであろう。それにしても、民進の組織の弱体ぶりは目に余る。

 労働組合をテーマにしたもう一つの動機は、電通の超過残業強制にもとない、自殺する羽目に至った若い女子社員の事件である。名もない零細会社ではない。「天下の」という常套句がつく日本を仕切っている大企業である。

 法律で1日の労働時間は8時間以内と決まっている。それを越える場合は、労働組合またはそれに代わる従業員を代表できる組織との間で超過勤務協定が必要だ。今回の事件にはそこらの詳しい報道がない。

 労働組合があるのかないのか、協定は多分あるのだろうが、それも限度を超えた残業時間のようだ。塾頭は法学部ではないが、民法・会社法・労働3法は、常識として詳しく学んだ。あくまでも企業と従業員は契約を介して平等の立場にあるということだ。

 いつのまに、それが常識でなくなったのだろう。労働組合の加入数が激減しているというが、他国の例を見ても日本の特殊事情がうかがえる。子育て政策もいいが、育った子がこんな破目になる政治に誰がしたか。

 厚生省と労働省を合併させ一本化したのが2001年、森内閣の頃からだろう。いまの政界には、こんな懸念を問題化する動きが全く見えてこない。

*追記
 電通にどうやら労働組合と称するものがあるらしいが、自殺者二人も労働者から出すような組織は、「労働組合」とは言わない。

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2016年10月13日 (木)

中国軍の抗議デモ

 安倍政権とその周辺にあるナショナリストは、北朝鮮、中国の脅威をことさら前面に出し、彼らの改憲志向や軍事力強化に結び付けようとしている。たしかに、中国の軍事的背景をともなった海洋進出は用心することに越したことはないし、北朝鮮の核保有を阻止するため手段を講ずることは当然だ。

 しかし、明日にでも戦争が始まるような誇張は、マスコミにも責任があるが、まっとうな外交に背を向けようとする国内政治家に最大の責任があり、挑発に乗って緊張を高めるだけでは、国際的に理解されない。

 一般国民のなかに、「北朝鮮の貧困が進み、脱北者がふえたり暴動が起きて正恩が失脚すればいい」とか、「中国の内政や経済に問題が起き、発展が阻止されることを期待する」といった風潮を助長することにもなっている。

 そうなるのも、自然の成り行き――でいいのだろうか。先方の置かれている境遇、正確な情報と知識を冷静に分析し、それを国民に知ってもらう、という任務が放棄されていないか。険悪なイメージ操作を否定する方向で、当局者やオピニオンリーダーは動かなければならないのに、どうかするとその逆を行っている。

 北京で、前代未聞の中国解放軍の抗議デモが起きた。以下日経の記事から引用する。

【北京=山田周平】中国・北京市の国防省前で11日、退役後の待遇に不満を抱く元軍人らによる抗議活動があった。参加者は1000人規模とみられる。中国では地方で元軍人による抗議活動が起きることはあるが、北京での大規模な抗議は異例だ。国防省付近には同日夜現在も多くの参加者が残っているもようで、公安当局が厳戒態勢を敷いている。

 そして最後をこうくくっている。

中国の人民解放軍は共産党の指揮下にあり、軍トップの中央軍事委員会主席は習主席(党総書記)が務めている。今回の抗議活動の収拾に手間取れば、習指導部の威信にかかわりそうだ。

 他紙も似たり寄ったりだが、産経・読売は習政権への抗議という性格をより強く表現している。

【産経】こうした習指導部の姿勢に不満を抱く勢力が、中国共産党の重要会議である第18期中央委員会第6回総会(6中総会)が今月24日から開かれるのを前に、元軍人たちを動員したとの臆測も出ている。

【読売】軍中枢に対する異例な規模の抗議行動によって、兵力削減を伴う軍改革や腐敗摘発を進め、軍の掌握を図ってきた習近平(シージンピン)政権の権威は大きく傷ついた形だ。

 塾頭は、「参加者は全国各地の軍から」とか「整然とした行動で交通規制などもなく」、「用意されたバスで引き上げ」などの記事を見て、これは上官の指示で参加しているものだなと見た。

 しかも、デモを行った場所が、日頃は厳重な警備がされている中央軍事委員会のある場所であるということは、統帥権を一手ににぎる習主席自身の指揮で動いた可能性すらあるのだ。参加者は揃いの迷彩服だったというが、通常軍人は個人の意思で集団行動はとらない縦割り社会である。

 習金平は、副主席2人を相次いで汚職事件で摘発したばかりであり、軍事委員会ただ一人の文民になってしまった。軍内部にあった不満不服をこの際表面化し、その措置を講ずることで軍内部を掌握する非常手段を敢えてとったということだ。

 そういった、軍内部の動きや動向は軍事委員会内部にある「公弁庁」という強力な組織が一手に握っており、文民統制を実効あるものにしている。主席が、軍の実情や制服組の動向をここで知ることができるのである。

 しかし、党内部の激しい権力争いの中で足をすくわれないよう、使える手は何でも使わなくてはならないとすれば、末端軍人の要求を表面化することも彼にとって有効かもしれない。日本の右翼が小躍りするような話しではないのだ。

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2016年10月12日 (水)

人口激変時代

 塾頭茅屋周辺は、40~50年前に都郊外住宅地として畑地から戸建てが増えた地域である。建て替えした家もあるが、ほとんどは手をいれても改造・補強にとどまり、昔の姿を残したままだ。住民の当主は老齢化し、子があとを継いでいる家はほとんどない。高齢化率は人口20万人以上の都市では市川が横須賀市に次いで全国2位だそうだ。

 放置されたままの空き家もすくなくない。そういった中で一人所帯が増え、町内会が機能を失いつつある。1年交代の当番組長を辞退する人が増え、回覧板も入院者がでたり、置忘れがあったりで回転が止まることもしばしば。

 しかし、耕作者がいなくなった農地や廃業したテニスコートなどまとまった敷地があると、小型分譲住宅団地となるケースがでてきており、そうなると若者や子供も増えるので、トータルでは近辺の人口減少に歯止めがかかっているようだ。

 その差が極端に二分化し、地域全体としてはまとまりのない異様な雰囲気の中にある。こういった現象はここだけではないと思うが、ブログをやっているとブログ人口の変遷も気になる。正確な統計はわからないが、相当減っているのではないか。

 塾頭が始めた頃は、SNSは一つもなかった。先駆したミクシーやツイッターは早くも下火で、フェイスブックとかラインとか、スマートフォン普及もあって、どうやらブログ向きではない方向に世間は向いているようだ。

 現役の頃、ポケベルが出現したが、どこに居ても拘束を受けるような気がして持たなかった。その伝で携帯もパス。スマホにも縁がない。パソコンは開拓者だった塾頭だが、今や全く過疎地帯の一人暮らしの境遇にいるようだ。

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2016年10月11日 (火)

色あせた「核戦略批判」

 本棚を整理していたら、茶色に変色し、閉じが利かずにバラバラになる頁がある豊田利幸著『新・核戦略批判』という書が見つかった。「まえがき」にこうある。
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 拙著『核戦略批判』(岩波新書、一九六五年)が世に出てからすでに二〇年近い歳月が流れた。そこで予見した核兵器体系の技術的進展および核戦略の変貌は、不幸にして、いまや現実のものとなりつつある。

 旧著で私が最大の力点をおいたのは、核抑止論に内在する矛盾の摘出とその批判であった。その後、核抑止論の虚構についてすぐれた労作があらわれ、国の内外を問わず心ある人々の間では、核抑止論はほとんどその支持を失ったように思われる。しかし、現在でも核抑止論の信奉者の数は無視できないし、核保有国およびそれに追随する国家の為政者たちの大部分は、依然としてこの誤った教義に固執している。彼らは現実主義の名のもとで、それを克服する道を模索かる努力を放棄し、状況追随の論理に身をゆだねている。それゆえ、問題の核心は、いかにして核軍縮を実現するか、というすぐれて政治的な構想に移ってきたと考えられる。(後略)
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 この引用部分は、、そのまま現在に当てはまっていることにまず驚いた。著者の最初の指摘からすでに半世紀以上たっており、世論はむしろ後退しているとさえ思える。そして、最終章「核戦略と日本の軍事的状況」で、日本の軍備増強がもたらすものとしてこう指摘している。

今なお多くの日本人が信奉している「核抑止論」、あるいは「核の傘」の考え方は、当のアメリカ自身によって、すでに一〇年以上も前にすてさられていることは明白である。

 アメリカの今の考え方は、普天間基地の辺野古移転と同じように、「貴重な同盟国がそこまで言うのにのに”違う”などとは言えないだろ」という気分がうかがえる。

 まさか、のトランプが大統領になったらどうなるのか、想像もつかない。

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2016年10月10日 (月)

軍事衝突の火種

 ポケモンではなく、世界中どこかに転がっている軍事衝突の火種を探し当てて火を消す仕事、それをする人が見当たらない。米・露・英・仏などがこれをやると、そのいずれか片方にテコ入れをし、軍事協力と称して、武器を売りつけ、その武器が寝返りなどが原因で相手側にわたって果てしない戦争になる。

 中東・アフリカにはまさにその典型的な「巣」がたくさん転がっている。本来なら、国連が仲介にあたるべきなのだが、今日の国際ニュースのトップは、「シリア停戦決議案否決・国連安保理・米英仏と露対立」だった。

 標題に関連するニュースを今日の毎日新聞から拾うとにぎやかだ。
①防衛相駆け足視察・滞在7時間防弾車両で移動、南スーダンPKO
②ミサイル発射兆候・北朝鮮、きょう党創建71年
③イエメン空爆140人死亡・フーシ支配地域、サウジ主導か
④中国船体当たり・韓国警備船沈没、EEZ内不法操業

 このほか、世界で一触即発のような危険地帯が、塾頭が数えただけで10カ所以上ある。稲田大臣が行った南スーダンは、同国政府高官から「国連は内政干渉だ」と言われている始末、自衛隊は即刻撤退すべき状況なのだ。

 その国連、潘基文(パン・ギムン)事務総長は英国誌エコノミストが「歴代最悪の事務総長の一人」と酷評している。今年末に任期切れとなるが、後任に選出された元ポルトガル首相のアントニオ・グテーレス氏は、各国間の調整だけでなく指導力も併せ持つ人と期待されている。しかし、問題は常任理事5大国なのである。

 上述のニュースの中で、塾頭がもっとも関心を持ったのは、例によってベタ記事(笑)の④である。なぜならば、すぐ尖閣諸島での中国との衝突を思い出したからである。

 これが日本の海上保安庁船沈没なら、政府は非常事態宣言なみの大騒ぎをし、マスコミも、戦争が目前にあるような騒ぎ方をするに違いない。そして、中国漁船が中国海軍の別動隊になっているという風説も改めて流すだろう。

 念のため、韓国各新聞の日本語電子版を開いてみた。毎日新聞には載っていないが、韓国警備船の乗組員1人が海に投げ出されたが別の船に救助され死者は出なかったとか、韓国の抗議に中国は遺憾の意を示し、取締りを強化して再発を防ぐという趣旨のことが載っている。

 電子版ではないので扱いは分からないが、ニュース項目のトップではない。中韓の間は最近冷え込んでいるというが、至って冷静であり日中間のようにはなってはおらず、アメリカの抑止力を表面に出すようなことはしない。

 結論からすると、韓国人は中国のお行儀の悪いのは百も承知の上、というふうに見える。ちなみに、中央日報によると、よく数えられたなあ、と思うほど日常茶飯事になっているのがわかる。

西海NLL中国漁船出没数
  6月1日321隻、6月2日314隻、6月3日326隻、6月4日324隻、6月5日318隻(漁民拿捕日)、6月6日310隻、6月7日301隻

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2016年10月 8日 (土)

廃仏毀釈の危険性

 仏教では、倫理的なふるまいとは十の不徳の行為(十悪)を避けることとされています。この不徳の行為には三種類があります。身体によって行われる行為、言葉によって表現される行為、および意識の中で起こる不道徳な考えです。

 身体が行う悪行は、殺生、盗み、性的過ちの三つです。言葉による悪行は、嘘、口論、攻撃、分別のない物言いの四つです。意識による悪行は、強欲、悪意、間違ったものの見方の三つです。

 これは、ダライ・ラマ14世がアメリカで講演した中の一節です(『世界平和のために』ハルキ文庫)。

 キリスト教徒の多いアメリカ人にどれほど理解されたのでしょうか。自由競争を至徳と考え、悪魔とはたたかう義務があると信ずる人にとって、「精神修養」と言われても、ちょっととっつきにくかったのではないでしょうか。

 今、大乗仏教が生き続けている国は日本ぐらいになりました。熱心な信者でなくても、「精神修養」は仏教伝来以来、日本人の心の隅に多かれ少なかれ根付いている「心」だと思います。世界がキリスト・イスラム二大宗教が実りのない対立を続けるような世界になることを避けるため、この「心」の出番はないのでしょうか。

 日本を「天皇中心の神の国」にしたがっている森・元首相のような人もいますが、「戦勝祈願」にはよくても「精神修養」にはなりません。自民党を中心に、明治150年の記念日を作ってかつての教育勅語的日本の復活を再興しようとしている動きがあります。これが第二の廃仏毀釈にならないよう、くれぐれも注意しなければなりません。

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2016年10月 7日 (金)

米・ロが手を引くしかない

 ひさびさのベタ記事引用である。イラクやシリアで誤爆とか何人死んだなどというような記事は毎日のようにある。だから以下のような記事は、ベタ記事扱いになるのだろう。全紙面に目を通した後で、この記事をさがそうとしたところ、なかなか見つからなかったほどだ。

【カイロ秋山信一】イラク北部ニナワ県で5日、政府軍の過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦に参加するイスラム教スンニ派民兵の拠点が空爆され、少なくとも20人が死亡した。イラクメディアが報じた。米軍主導の有志国連合やイラク軍による誤爆の可能性が高く、米軍などが調査を始めた。報道によると、ISの最大拠点モスルの約65キロ南にあるカイヤラ郊外の村で5日未明、スンニ派部族の民兵組織の拠点が空爆された。
(毎日新聞10/7東京朝刊)

 このベタ記事には、いくつかのキーワードがちりばめられている。①(イラク)政府軍、②イスラム国(IS)③スンニ派民兵、④米軍主導の有志国連合である。そのほか、隣国シリアでは、アサド政権、ロシア、トルコ、ヒズボラ・クルド族・反アサド勢力、ヌスラ戦線などが登場し、ほかに目立たないがイラン義勇軍もある。

 ISはイラク・シリアの国境を無視して活動しており、これが混迷と外部からは理解できない複雑さを示している。無責任な言い方だが、現地でさえ何が敵で誰が味方か区別できているのだろうかという気がする。

 上述のキーワードをさらに展開すると、①のイラク政府はシーア派主導の政府で、アメリカが独裁者フセインを倒して選挙で選んだという成立の過程からアメリカが支持する。ただし弱体で国内を統制できず、旧フセイン派の軍人・官僚が加わっているというISを勃興させてしまった。

 誤爆により被害を受けたという③のスンニ派民兵の正体がわからない。最後の段落に「スンニ派部族の民兵組織の拠点が」と書いてある。すると、その部族が住んでいた「村」ということになる。イラク政府にとっては、対敵するスンニ派原理主義ISの近くに居ながら、それになびかない貴重な同志のわけだ。

 最大の支援をするためマークすることはあつても、誤爆という事態は起こり得ないはずだ。④の米軍主導の有志国連合といっても、情報力のない有志国連合が行動を起こすはずがなく、AI(人工知能)の誤作動か故意なのだろうか。

 シリアでも誤爆が米ロの決定的な不信感を増幅した。米ロはいずれにしてもこの地域で住民に感謝されたり信頼されることはないだろう。介入をし続けることにより、戦火の絶えることはなく、両国の国益を損じ続けることになる。

 内戦から手を引く勇気を持たないことこそ”弱腰”であり、”無能”であることを、両国民ともに早く認識すべきだ。ましては、集団的自衛権などをかざして、地球の裏側まで出しゃばろうというどこかの国は、正気の沙汰ではない。

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2016年10月 4日 (火)

「夢」を乗せない鉄道計画

 安倍首相が北方領土返還、日露平和条約締結を手柄にしようとしているようだ。それらに並行して日露経済協力の話し合いも進められつつある。そのロシア側の要望のトップとして、シベリア鉄道をサファリンに結び、北海道まで延長して日本・ヨーロッパを結ぶというのがある。

 ジェット機や宇宙衛星が飛び交う時代、なにか牧歌的な話しに聞こえるかもしれないが、領土を越えた鉄道敷設というと、塾頭は、侵略とか戦争の匂いを感じてしまうのである。

 満鉄爆破というやらせで始めた大陸侵略、この事実を自虐史観として見ないようにしている和製ネオコンもいるが、恥ずかしい限りだ。その前に張作霖の乗る列車を爆破したこともあった。第一次大戦前は、英・仏・独など、西欧列強が植民地競争の中で競ったのが鉄道敷設権と鉱業権獲得であった。

 そして、利権と自国民保護を口実に軍隊を常駐させた。トラブルが発生すれば自衛戦争が起こせる仕掛けにもなっている。今はそのようなことはないだろうが、中国は、インドネシアなどでの鉄道敷設の売り込みに熱心で、自国の資本や労働者を投入することから、トラブル発生が危惧されている。

 日本国内では、日露戦争終結の翌年鉄道国有法により、それまでほとんどを占めていた民営鉄道を、一部の枝線を残して国有化した。これは、莫大な軍事費を国鉄を担保とした外債で埋めるためとされているが、塾頭は、全国から兵員を千人単位で乗り換えなしに輸送でき、物資の移動も円滑になるねらいもあったのではないかと思う。

 地方から都会へ短時間で快適に直行できる。観光開発も進む。いいことづくめで反対する人は出てこない。工事や、車両の受注が見込め、政治家や企業にも金が回る。かといって、オリンピックのように浮かれて頭を突っ込むだけでは、危険がいっぱいだ。

 日本発、ロシア横断鉄道に落とし穴はないか。鉄道線路に沿ってガスパイプラインが通るだろう。日本は安い天然ガスを手に入れられる。船便より時間短縮され、料金が安く快適であれば利用者もふえる。

 しかし、政治的理由でヨーロッパ向けにあったように、いつ止められるかわからない。エネルギー源の安定化といっても頼り切ることは危険だ。逆に日本からの旅客・貨物通過にロシアが頼り過ぎると、これが激減した場合にロシアは打撃を受ける。その賠償を要求してこないとも限らない。

 難民など人口の流入も容易になる。島国で守られている日本の秩序がどのような変化をもたらすか、そこまでよく考えた上で交渉に当たってほしい。

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2016年10月 2日 (日)

安倍嫌い・増殖中

 安倍首相の気味悪さ、それは家庭内や井戸端会議ではたびたび話題になるらしい。しかし、内閣支持率の世論調査や国政選挙結果には現れてこない。かりそめにも「塾」を名乗り塾頭とあれば、感情を交えた発信はしにくい。

 安倍支持者らしいコメントの中に、「塾頭は首相を嫌っている」というような書き込みがあった。その通り、ウソは書けない。「小学生から社会人になるまで戦中・戦後を命がけで生きてきた塾頭は、”戦後レジームの脱却”を唱え、あたかもそれがなかったことにしようといわんばかりの首相。全人格を否定されたようで到底許せない。感情的に「嫌いだ」という趣旨の反論をした。

 首相の立ち居振る舞いについて、マスメディアの中にも批判的な意見はあった。それを一挙に噴き出させたのは、今度の国会演説で、度をはずれた子供じみたスタンディング・オベイションを演じて見せたことだ。

 安倍首相は、所信表明の終盤、安保政策について語った後、「現場では、夜を徹して、そして、今この瞬間も、海上保安庁、警察、自衛隊の諸君が、任務に当たっています。極度の緊張感に耐えながら、強い責任感と誇りを持って、任務を全うする。その彼らに対し、今この場所から、心からの敬意を表そうではありませんか」と、議員たちにうながし、真っ先に自分の演説に拍手した。

 首相が挙げた「諸君」は、学術用語で一括して表現すると「暴力装置」と称される。これはドイツ語の「ゲバルト」の訳からきているが、民主党の仙石由人議員がかつて国会発言でこの用語を使ったことで、失脚につながった。

 言葉自体は、石破元防衛庁長官も使った記録があり、侮辱でも非難でもない当たり前の言葉だ。それを当時野党だった自民党だけでなく、民主党内部からも攻撃を受け謝罪させられた。つまり、安全保障の議論の中で、付和雷同する政治家はその程度の見識しかないのだ。

 それにしても、上述の安倍の独演は異様で、ナチスを躍らせたヒトラー張りの気味の悪いものであった。オリンピック終幕のマリオ悪乗りとは違う。衆院議長をはじめ、与党内からも小泉進次郎などから疑問視する声があかっており、マスコミもそれを報じている。ただ、塾頭はトランプ発言と同様、こういったことで彼の本質が暴露されればよいと思っている。自制はしないでほしい。

 ついでながら、もう一つ国会議論から。稲田朋美防衛大臣が、民進党辻本清美議員の質問をを受けた。8月15日の戦没者慰霊祭を欠席して南スーダン派遣中の自衛隊を視察したのは、靖国参拝を避ける口実つくりで、日頃の稲田発言から見て言行不一致ではないか、という追及である。

 タカ派らしい日頃の姿はどこへやら。まともな答弁がなく、涙ぐんでいたようにも見えたとメディアは伝えている。こんなよひ弱な泣き虫大臣の激励では、感激する自衛隊員はいないと思うがどうだろう。

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