« 退位に慎重だった皇后 | トップページ | 続・差別語「土人」 »

2016年10月22日 (土)

北・抜き陰謀論

 当塾ではこれまで「軍事衝突の火種」として世界の危険地帯を記事にしてきた。東アジアでは中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル実験頻発などがあるが、中国は表面上のこわもてとは裏腹に、党組織と経済の安定化に迫られており、大所帯かつ国連常任理事国であることもあって、一応の文民統制が機能しているとしてきた。

 それに比べて、北朝鮮は正恩独裁で危なっかしいところがあるが、核にしろミサイルにしろ持てる力の全てをさらけだして威嚇して見せるだけ。そう言っちゃあ悪いが米韓との力の差は歴然としており、背後に中・ロの厳しい目もあって、一連の挑発は、民心把握の猿芝居でしかない。正恩が狂わない限り本気で使うことはない、と判断していた。

 しかし、気になるニュースが出てきた。

韓国の国家情報院は、最近の北朝鮮の動向に関する情報を国会に報告しました。報告では、国際社会からの制裁で、「金正恩党委員長に対するエリート層の忠誠心が弱まり、腐敗や不正も広がって政権の不安定化が進んでいる」と指摘。その「正恩氏は身の安全に不安を感じていて、警護を強化している」ほか、北朝鮮では、今年に入って64人が公開処刑されたということです。

 さらに、「正恩氏は、一度酒を飲み始めると、自制がきかなくなる」というのです。韓国の国家情報院は、金正恩氏は、週に3~4回、宴会を開いて暴飲・暴食をしており、心臓や血管の病気を患うリスクが極めて高いと分析しています。(20日)TBS News

 「正恩が狂わない限り」が怪しくなってきた。正恩の異常とも言える肥満体は、責任ある国家元首のものではない。なにか病的危険性をはらんでいそうだ、と感じていた。ただ、この種の情報は、えてしてガセである可能性が高い。

 ところが、韓国の国家情報院が国会に報告した内容である。それなりの根拠があるはずだ。自制がきかなくなる人に核ミサイル発射ボタンをゆだねるというのは、国家存亡の危機である。本塾の先月10日付提案「北・抜き6か国協議」は、やや冗談めかして書いたが、実はあり得て当然、と考えていた。

 国連安保理の決定にことごとく背を向ける北の態度に、中・ロも困り果てている。仮に核弾頭を積んだムスダンが、今回のように発射直後に爆発したらどうなるか。放射能は中国にもロシアにも遠慮なく飛んで行く。

 当然、黙って見ているわけにはいかない。再発やアメリカの先制攻撃を防ぐため発射基地を押さえに行くだろう。同じようなことは、米・韓にも言える。38度線を越えた作戦がとられる。こうなれば第2次朝鮮戦争で、前より手に負えなくなる。

 そうならないようにするための6か国協議だ。北は、核放棄が条件となるので加わらない。そこで北抜きということになるのだが、最初に話し合われるのは、正恩を失脚させ、代わるべき政権を混乱なく樹立することだ。

 上述の情報通りなら、正恩の存在が国家の危機ということで、軍内部で愛国的クーデターが発生する可能性もある。また、暗殺も話に出るだろう。それで内戦状態が起き、大量の難民が発生して国境を越えるようなことがあれば、一番困るのは地続きの中国・韓国そしてロシアだ。それで各国が治安維持軍を送り、それぞれの勢力圏を確保しようとすると、やはり第2次朝鮮戦争になる。

 そうならないよう中立の連合軍を作るとか、日本は後方支援に徹するとか、将来の南北統一をどう構想するとか、そんなことを話し合うための北抜き6か国協議になる――。

 今日の毎日新聞「余禄」には、いわゆる「陰謀論(「コンスピラシー・セオリー)」の例として、9・11事件に政府が関与していたとの説や、ケネディ大統領暗殺の政府機関黒幕説、政府がUFOや宇宙人を隠しているとの説、アポロ月面着陸映像の作り物説など4つをあげている。

 仮に「北・抜き6か国協議」にでもなれば、それに劣らぬ有力候補のひとつになりそうだ。

|

« 退位に慎重だった皇后 | トップページ | 続・差別語「土人」 »

東アジア共同体」カテゴリの記事

コメント

よくよく考えれば、昭和28年(1953)7月の休戦協定から、現在までの約60年間もかかって未だに終戦になっていない朝鮮戦争は異様と言うか、それだけ多くの国の利害が複雑に入り混じっているのでしょうね。

やはり、休戦協定を破って再戦しないと、朝鮮戦争は終戦にならないのでしょうか?
それは最悪の結果です

投稿: 玉井人ひろた | 2016年10月22日 (土) 20時19分

北朝鮮から見ると割合単純なのです。日本敗戦で、北はソ連が、南はアメリカが占領しました。そしてそれぞれ独立のため政権ができたわけですが、南より北の方が政権基盤や経済復興が優れており、北は、南の人民をアメリカの傀儡政権から救う使命があるというわけです。だから韓国民というよりアメリカが敵なのです。
アメリカは、共産政権が圧倒的に強いのであわてました。それでマッカーサーに任務を与え共産軍を中国国境まで押し返し、中国はやばいと見て義勇軍の名目で北を支援、結局もとの線に境界を作って停戦し、そのままになっているわけです。

だから、北はあくまでもアメリカとの交渉にこだわっています。その点、アメリカの方が逃げまくっているような感じもします。

投稿: ましま | 2016年10月22日 (土) 21時10分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/68062226

この記事へのトラックバック一覧です: 北・抜き陰謀論:

« 退位に慎重だった皇后 | トップページ | 続・差別語「土人」 »