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2016年9月 4日 (日)

靖国神社のないアメリカ

 イラクで従軍、戦死した息子を追憶する中で、父親・フェルナンドさんは政府の虚偽に満ちた戦争装置の仕掛けがわかり、自ら反戦運動の先頭に立つようになった。『赤旗』にあるレポート記事を要約し、日米の差を考える。

 フェルナンドさんは妻や家族から、「息子を侮辱している」と反感を抱かれ、遂に離婚・一家離散の憂き目にあっているという。戦死したのは20歳の海兵隊員、ヘススさんである。すでに結婚、残された1歳4カ月の息子は、フェルナンドさんにとっての初孫だ。

 フェルナンドさんは、息子の終焉の地をたしかめるためイラクを訪れた。そこで、薬の不足で病院で亡くなる子どもたち、破壊された学校や家々など、先が見えないイラク市民も目にすることになった。

 大量破壊兵器を隠し持っているというニセ情報を根拠に、独裁者フセインを追放するためという口実で始めた戦争だが、アメリカを憎んでいる市民はいても歓迎する市民の姿はない。フェルナンドさんは息子がここで一兵士として命を絶ったことを告げると、「兵士は憎まない。国や死の商人に得るものがあっても市民には、戦争から得るものは何もない」という反応が戻ってきた。

 ヘススさんは、出征前に息子に手渡したサルサソースの小瓶を偶然発見し、名前が書いてあったので彼が戦死した場所を知ることができた。そしてここで、彼が何故命を落としたかも知った。

 公式の通知には、ヘススさんは、前日の交戦中に頭を撃たれて死亡したと明記されていた。しかしそうではなく、米軍がばらまいたクラスター爆弾によるものだと、米メディアの現地特派員が知らせてくれた。

 米政府の死因のごまかしがフェルナンドさんに突きつけられ、軍・政府に不信感を募らせる大きなきっかけとなった。ヘススさんが高校在学中に受けた兵員募集官からの勧誘は、今は戦争がなく危険もない。除隊後は麻薬取締官の訓練が無償で受けられ、就職先は保障されている、というものだった。

 それでは、一家離散となった原因は何だろう。

 「国のために尊い命を捧げた英霊に尊崇の念を捧げる――」、これしかないだろう。遺族は、政府にだまされて犬死した――のではない、と感じるのが当然だ。フェルナンドさんの奥さんは、こう思う以外に心を慰める術を知らなかったに違いない。夫の証言の方が嘘に聞こえた。

 塾頭の叔父は乳幼児を含む3人の子をあとに、終戦の前年出征した。戦後半年以上たった頃戦死の公報があった。その死は誰からも確認されていない。フィリピン戦線でジャングルを逃げ惑う中、多分餓死したのだろう、という推測で、もちろん遺骨などない。

 近所のおばさんが来て言った。「遺骨はなくとも、靖国神社へ行きなさった。天皇陛下がおいでになって、ちゃんとお参りになる。あきらめんばねえ」。天皇陛下は昔から「国」の象徴であった。総理大臣や防衛相などでは、代役にならない。今の政治家は勘違いしているようだ。

 戦中から、配給物資横流しなど軍部横暴の噂は聞いていたが、塾頭が政府や軍部への信頼を決定的に損じたのは、東条英機元首相、陸相の拳銃自殺失敗である。

 「生きて虜囚のはずかしめを受けることなかれ」という戦陣訓を作り、多くの兵士を死に追いやった張本人が戦犯容疑者としてGHQに逮捕される寸前、不可解な自殺失敗を演ずる。そういったA級戦犯を合祀したことで天皇の参拝はなくなった。靖国神社が兵士を駆り立て、戦死者と遺族を納得させる仕掛けであることに国民が気付き始めたからである。

 アメリカには、靖国神社も敗戦の経験もない。当然、戦死者遺族に価値判断の差が出てくる。日本では、こういった離婚騒ぎの話を聞いたことがない。アメリカはよくも悪くも「自己責任」なのであろう。

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戦争とは」カテゴリの記事

コメント

靖国神社については、非常に謎が多く、その謎のほとんどが、明治政府による隠ぺいとされます。

私は↓

「靖国神社は『北白川宮能久親王』と『北白川宮永久王』を祀るため建立された」

という説にとても興味を持ちます。

投稿: 玉井人ひろた | 2016年9月 4日 (日) 11時17分

宮家の知識はないのですが、元軍人が多く、その死を祀らないと祟るようにことがあったのかどうか。

そうすると、戦争装置の仕掛けという後世の役割だいぶ違う。反面、誰を祀るかなどでは共通点もありそうです。

投稿: ましま | 2016年9月 4日 (日) 11時37分

鎮魂と招魂では文字も違うが、意味が大きく違っている。
宗教が違うので日本以外では、鎮魂の施設はあっても、オカルトめいた招魂など、誰も考えないのです。
そして、靖国神社ですが前の名前が東京招魂社であることは、政府やマスコミ、靖国神社も一応は認めているが、
実はそれ以前の古い歴史が何故か隠されている。
馬関戦争で英仏蘭米の四国連合艦隊に大敗した長州の奇兵隊戦死者を高杉晋作が祀った桜木招魂場が今の靖国神社の前身だが、この歴史的事実は何故か日本のタブー中のタブーとして封印されている。
たぶん、もともとの靖国神社ですが、日本独自の怨霊信仰ですよ。だから隠されているのでしょう。

投稿: 宗純 | 2016年9月 4日 (日) 15時57分

長州というところは、なにかとオカルトが多い土地柄のように思えます。

投稿: ましま | 2016年9月 4日 (日) 17時24分

靖国神社側の公式見解では、靖国の元となっているのは福羽美静(津和野藩=現在の鳥取県出身)らが桜田門外の変で亡くなった人々などを祀り京都で招魂儀礼をおこなったとされる小祠が靖国の元の宮としていますね。

それは、昭和6年に靖国神社内に移し建立され「元宮」という名称で本殿の隣にありますね。

宗純さんの「‘桜木’招魂場」とは、たぶん現在の「桜山神社」旧名「桜山招魂場」の入力ミスかと思いますが、ほとんど建立された時代も同じですね。

投稿: 玉井人ひろた | 2016年9月 5日 (月) 16時33分

高杉晋作の招魂場ですが、これは一箇所だけではなくて長州藩に16も作られていて、春と秋に祭礼を行っていたらしいのですが、
これは今の靖国神社と同じ発想です。
8月15日に拘っているのは政治家の方で、実は神社の側は春と秋の例大祭がメインなのです。
靖国神社ですが、なんとしても長州藩の招魂場の歴史を表舞台から消したいのでしょう。

投稿: 宗純 | 2016年9月 5日 (月) 16時55分

日本神話の黄泉の国は出雲ですが、岩見、長門つまり山陰ですが、洞窟が多いので招魂の場所も多いのでしょうか。

沖縄にも似たようなところがたくさんあります。

投稿: ましま | 2016年9月 5日 (月) 18時00分

山口県には招魂場が22か所あるとのことですが、その内の16が高杉晋作が発案したということなのでしょうか?

いずれにしても
「高杉晋作の発案で、慶応元年(1865年)に下関桜山に日本で初の招魂場が建設され、桜山招魂場となった」
とありますので、やはり「桜木」は勘違いと言うこと・・・ですよね?

投稿: 玉井人ひろた | 2016年9月 5日 (月) 20時54分

玉井人ひろた氏へ、

繰り返しコメントをしているようですが、
何が主張したいのか。
先ず、北白川の宮ですが、
これはマッカーサーによって皇籍離脱した宮家で、今の天皇家とはほぼ無関係というか、遠すぎる。
皇族とか麻生太郎のような大金持ちは学習院なのですが、この靖国に祀られた二人は士官学校卒。
そもそも靖国神社とは陸海軍省が管理していたのですから、たぶん、その辺に理由があるのでしょう。

靖国神社の巨大な大村益次郎の銅像に象徴されているように、長州藩とか旧日本軍にその起源があるのは明らかですよ。
他所の藩の京都の小さな祠など、偽装だと思われる。
170年前の桜木招魂場ですが、『木』と「山」とが違っていると、えらく拘て、勘違いだの間違いだのと書いているが、
そのような些細な問題にこだわるから本質を誤るのです。それでは何時までたっても真実には辿り着きませんよ。ネット時代の今は誤字や当て字は大問題とされているが、昔の日本語では何の問題も無く書いているのです。色々な文字が使われているので、どれが正しいと一概には言えない。

長州藩が長州藩内に長州の戦死者のための招魂場を作ったことが大問題であり、それが今の靖国神社であったのです。
ところが、この事実を今の靖国神社としては隠したいのです。
此処が一番の大問題というか難問なのです、それ以外の些細な雑事に目が向くから間違うのです。

投稿: 宗純 | 2016年9月 6日 (火) 08時56分

さすがにプライドが高い方ですね。(happy01

単純に「間違いました」でいいでしょうと思いますがね。些細な事なんですからね

櫻山神社のHPでご説明していることを否定され、同神社の宮司が可哀そうです。

投稿: 玉井人ひろた | 2016年9月 7日 (水) 09時28分

長州藩が長州藩内に長州の戦死者のための招魂場を作ったことが大問題であり、それが今の靖国神社であったのです。

ということは、長州藩が、長州藩内に長州の戦死者のための招魂場を作ったことであるならば、大した問題ではないものの、これが今の靖国神社になったこと自体が大問題だということが、合理的推論に基づく根拠した見立てではないかと見受けられるのですが?

長州の戦死者のための招魂場を長州藩内に、長州藩が作ったことについては、これが下関戦争により報復攻撃を受けて犠牲となった長州藩士であるならば、尊王攘夷というものを過剰適応し、この下関海峡を通る外国船(軍艦ではない一般の貨物船等)を勝手に砲撃したことに対する報復であるというならば、これも偶発的な転機による出来事であり、決して長州藩が自ら招いたことだったとはいえ、長州藩だけの自己責任でもなければ、これを取り締まろうとする徳川幕府あるいは、これを勘違いして、自らの権力欲に溺れた強欲な公家集もまた、自ら招いたことでもあるのだということにこそ、歴史的教訓として受け止めれば、これを「お国のため、天皇陛下のため」と言っておきながら、靖国神社になったこと自体が、天皇陛下を騙し、多くの大日本帝国臣民を騙し続けておきながら、これをごまかしたいがために、慰霊顕彰と称して、まんまと騙されて命を奪われた使い物にならない間抜け兵士までおも英霊と称して奉るだけの「間抜け神社」に他ならないというボロを、この靖国神社に公式参拝しようとする安倍首相からして、中国外務省ではありませんが「安倍総理は嘘つきだ」というのをごまかそうとしているに過ぎないというボロを、自ら白状してくれたものではんまいかと見破れば、これに対しては、まんまと騙されたふりをして「自らボロを白状して頂きまして誠に有難うございます。これを勘違いして、怒りをぶつけてこられたとしても、こちらとしては何のメリットもなければ、むしろ、日本会議そのものが、公共の迷惑極まりない存在であることは、誰が見ても明らかなことだし、靖国神社に置かれましては、このままひっそりと慰霊鎮魂しながらも、そのまま、そっと静かに歴史の闇の中で、涙を流し続けながらも泣き寝入りして頂くのを、天皇陛下と共に、そっと静かに暖かく見守っていくことで、これが公共の利益となるのならば、これを勘違いして慰霊顕彰したがる日本会議に対してのみ、そっと静かに暖かく見守りながら、「どうぞ心置きなく、どんどん涙を流し続けながら、どんどん勝手に一人負けをして、どんどん歴史の闇の中で、そのまま、ひっそりと泣き寝入りをしながらも、幸せに暮らして頂けるように、そっと静かに暖かく見守って参りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます」ということで応えて頂くことを誇りとして、国際社会にも、どんどん見せつけて下されば、近隣諸国に限ることなく、国際社会全体としては、もう複雑な感情を抱きながらも、そっと静かに通り過ぎていくだけの観光スポットとしての役割を担うことが出来るのならば、遊就館にしても、全国各地に点在する戦争博物館や特攻隊資料館なども含めて、歴史考古館や民族博物館と同様に、そっと静かに大切に保存することにより、誰もが自由に、気軽に見学できる観光資源となることで、これが公共の利益となることにこそ、誇りを持って涙を流しながらも深く感謝をして応えて頂ければ、天皇陛下と共に、そっと静かに暖かく見守りながら、深く感謝をして応えて行くことにより、この感謝の気持ちというものを、今度は「困ったときはお互いさま」ということで、個人主義のベースとして、外交カードに利用するならば、国際社会にも、どんどん見せつけていくことで、全人類が共に支え合い、助け合い、わかちあいながら、共に幸せに暮らすことが出来る様に、天皇陛下と共に、そっと静かに暖かく見守っていくことを誇りとして、個人主義のベースとすることで、日本の運命を大きく変えていくきっかけとすることが出来れば、何よりのことではないかとも深く考えられるのですが?

投稿: asa | 2016年9月 7日 (水) 10時28分

玉井人ひろた氏へ、

愚かなストーカー行為は止めなさい。ご自分が恥をかくだけですよ。
そもそも、この人物ですが、以前にコメントした時の、常識のない言動に呆れて、以後は相手にしていない。

今回のコメントも同じ種類で、破壊的カルトの靖国信者なのかもしれないが、
余りにも呆れ果てた馬鹿馬鹿しいコメントを繰り返しいる。

「靖国神社側の公式見解では、靖国の元となっているのは福羽美静(津和野藩=現在の鳥取県出身)らが桜田門外の変で亡くなった人々などを祀り京都で招魂儀礼をおこなったとされる小祠が靖国の元の宮としていますね。
それは、昭和6年に靖国神社内に移し建立され「元宮」という名称で本殿の隣にありますね。』

この人物の頭の程度は、ほぼあの爆笑田母神と同じ水準である。
昭和6年なら、70年後に移したことになるのですよ。
少しは自分の頭で考えなさい。
靖国神社が言っているから正しいなど、愚かすぎて話にもなりません。
田母神ではないのですから、少しは常識を弁える必要があるでしょう。

投稿: 宗純 | 2016年9月 7日 (水) 12時09分

はい了解しました。どうしても、そういう方向にしたいようですね。コメントありがとうございました。

櫻山神社は、旧長州の人々にとって高杉が発案した日本初の招魂場であり英雄が祀られた神社でありますので、‘間違った名称’は地元人への最大の侮辱であることを悟ってもらいたいだけあだったのですが、思考が違ったようです

失礼しました

投稿: 玉井人ひろた | 2016年9月 7日 (水) 18時47分

塾頭には不快なコメント論争にこの記事を利用してしまったこと、お詫び申し上げます。

投稿: 玉井人ひろた | 2016年9月 7日 (水) 18時53分

どういたしまして。塾頭、山口県生まれなのに、明治革命(維新という言葉は使いたがらない)については、幕府側の要人の功績を高く買っており、調べもしていますが長州側はうとく、あまり本題からかけはなれるようならスレッド打ち切りにしようかな、と思いましたが知らないことが多かったもんでflair

投稿: ましま | 2016年9月 7日 (水) 20時11分

ましまさん、
最後のコメントに、『塾頭にはにこの記事を利用してしまったこと、お詫び申し上げます。
投稿: 玉井人ひろた 』
とあるように、自分のコメントが『不快なコメント論争』であるとの自覚があるのですよ。その事実を知っていながらストーカー的に付きまとうなど迷惑千万。
今回、玉井人ひろた氏に対する、当方の反論コメントを一方的に削除する行為は感心しません。

そもそも最初のコメントは
『靖国神社については、非常に謎が多く、その謎のほとんどが、明治政府による隠ぺいとされます。』だったものが、
最後には
『英雄が祀られた神社でありますので、‘間違った名称’は地元人への最大の侮辱であることを悟ってもらい・・』
と180度変遷している事実を認めるべきでしょう。
英雄どころか、関門海峡を通る外国商船を突然砲撃しているのですから、これは日本を国家的な危機に陥れた極悪テロリストですよ。

靖国神社を正しいとの判断なら、主張が残念ながら噛み合わないのは当然なのです。
しかも自分が昭和6年に移したとのトンデモナイ主張をしているのに、それに関しては丸ごと無視する態度は不真面目すぎる。

投稿: 宗純 | 2016年9月 8日 (木) 10時30分

宗純さま

ブログのコメント欄には、塾なりのルールを決めています。このルールづくりと解釈は塾頭一方的な権限です。
 
本文に関係ない投稿が果てしなくつづくこと。
罵詈雑言で塾の品格を損ずること。
本文は1000字以内を守るようにしているのでそれを超えるもの。
議論ではない塾生同士の喧嘩。

などはカットの対象となります。以上、ご協力よろしく願います。塾生は神様です。

投稿: ましま | 2016年9月 8日 (木) 13時26分

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またまた、閣僚らの終戦記念日に合わせた靖国神社参拝が行われたことで、いつものように韓国と中国と日本国内でも一部の方々やマスメディアが反対、賛成の大騒ぎですね。私としては、なんだかその騒ぎに慣れてきた感があります。 さて、靖国神社には様々な誤解や勘違いが日本人に... [続きを読む]

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