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2016年9月

2016年9月30日 (金)

司法権と<大津事件>

 福岡高裁那覇支部は、沖縄県知事が行った辺野古沖の埋め立て承認取り消しについて、それを違法とする国の主張を受け入れた。県は、判決理由が一方的に国の主張そのままをコピーしたもので、県民が何度も確認し合った民意が公益に反するというのは納得できない、と上告する。
 
 もう一つ、菅直人・元首相が、安倍首相が発信したメルマガに「やっと始まった海水注入を止めたのは、なんと菅総理その人だったのです」というニセ情報を流した件で同首相を相手に起こしていた名誉棄損訴訟である。裁判所は、その事実を認めながら訴えを退ける判決を下した。

 菅元首相は、焦点をずらしたおかしな判決だとしてこれも上告して最高裁にいくことになった。塾頭は、残念ながら双方ともこういう結果を予想していた。内閣の指名で天皇が任命する最高裁長官や、その長官の指名する名簿に基づいて内閣が任命するその他の裁判官。お友達中心人事がすっかり根付いた安倍人事のもと、反抗できる役人はいなくなったようだ。

 現行憲法は《司法権の独立》を司法条項のまっさきにかかげている。しかし、政治に任免権をにぎられ、その意に添うような仕事をするようでは、絵に描いた餅にすぎなくなる。明治憲法には任命に関してこまかい規定はないが、「司法権ハ天皇ノ名ニ於テ法律ニヨリ裁判所之ヲ行フ」とある。

 明治憲法でも使っているこの司法権、「天皇の名」から「独立」に変ったが、その伝統は生きているものと思っていた。その伝統というのは「大津事件」である。

 塾頭は、これを取り上げてみようと思った。しかしまてよ、大津事件はだれでも歴史の時間で習っているだろうし、テーマにはならないな、と考えた。

 ところが、戦後の日本史ブームのきっかけを作った中央公論の『日本の歴史』全26巻で、その時代を担当した有名な史家・色川大吉氏の「近代国家の出発」には載っていない。目を皿にして見たが目次にも索引にもない。

 さらに、書棚にあった高校の副読本『資料日本史』だが、これにもない。司法の独立を語る時、必ず語られる史実がなぜか全く抜け落ちているのだ。すると、本塾の教科からは落とせないな、ということになった次第。

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 大津事件(おおつじけん)は、1891年(明治24年)5月11日に日本を訪問中のロシア帝国皇太子・ニコライ(後のニコライ2世)が、滋賀県滋賀郡大津町(現大津市)で警備にあたっていた警察官・津田三蔵に突然斬りつけられ負傷した暗殺未遂事件である。当時の列強の1つであるロシア帝国の艦隊が神戸港にいる中で事件が発生した。

 小国であった日本が大国ロシアの皇太子を負傷させたとして、「事件の報復にロシアが日本に攻めてくる」、と日本国中に大激震が走った。明治天皇は、急遽勅使を派遣、追うように京都の病床に皇太子を見舞うため下向した。

 学校は謹慎の意を表して休校となり、神社や寺院や教会では、皇太子平癒の祈祷が行われた。ニコライの元に届けられた見舞い電報は1万通を超える。

 日本政府は、事件を所轄する裁判官に対し、旧刑法116条に規定する天皇や皇族に対して危害を与えたものに適用すべき大逆罪によって死刑を類推適用するよう働きかけた。伊藤博文は死刑に反対する意見がある場合、戒厳令を発してでも断行すべきであると主張した。

 これに対し、時の大審院院長(現在の最高裁判所長官)の児島惟謙は「法治国家として法は遵守されなければならない」とする立場から、「刑法に外国皇族に関する規定はない」として政府の圧力に反発し、普通謀殺未遂を適用、無期徒刑の判決を下させた。

 日本政府内では外務大臣・青木周蔵と内務大臣・西郷従道が責任を負って辞職し、6月には司法大臣・山田顕義が病気を理由に辞任した。また、一般市民の中で死を以って詫びるとし京都府庁の前で剃刀で喉を突いて自殺したものまででた。

 一方、この事件で津田を取り押さえるという功績を挙げた人力車夫、向畑治三郎と北賀市市太郎の二人は、事件後18日夜にロシア軍艦に招待された。この際、ニコライの要望により、正装ではなく、あえて人力車夫の服装のままで来るように要請された。

 そこでロシア軍水兵からの大歓迎を受けた。そしてニコライから直接聖アンナ勲章を授与され、当時の金額で2500円(現代の貨幣価値換算でおおよそ1000万円前後)の報奨金と1000円の終身年金が与えられた。日本政府からも勲八等白色桐葉章と年金36円が与えられた。
-----(参照・Wikipedia、『日本現代史小辞典』ほか)

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2016年9月29日 (木)

漢字文化

 「漢字文化圏」といえば、長い間中国・朝鮮・日本・ベトナム、それに台湾だった。それが、南北朝鮮のハングル文字優先で漢字を追放したため、国で言えば中国と日本だけになってしまった。韓国と北朝鮮は姓名のもとが「朴槿恵」「金正恩」などと漢字であるが、日本では「ボク」や「キン」でなく「パククネ」とか「キムジョンウン」と朝鮮語読みにする。

 かつてはそうでなかった。放送でも、金大中はキムデジュンでなくキンダイチュウ、李承晩は、イスーマンでなくリショウバンと日本読みした。中国人の場合は、毛沢東・胡錦濤・習金平など、古来一貫して日本語読みであり、マオツートンなど中国での音は使わない。

 その間の事情を、玉井人ひろたさんにお調べいただいた。そこには、

昭和47年(1972)9月、当時の田中角栄首相が中国を訪問し周恩来首相との日中国交回復の会談の際に、日中両国の人名は、互いに、読む人の国の読み方を従来通りに継続することで合意。理由としては、漢字文化を共有する中国と日本では、正しく名前を伝えるために相手の漢字を連想させるのが最も早い方法だとして、読みよりも漢字を優先された結果――、

と記載されている。

 若い人には信じられないだろうが、昭和30年代から40年代にかけて波はあったものの「日中友好ブーム」というべきものが民間・政府を問わず何度かあり、熱狂的に盛り上がったこともあったのだ。周恩来や郭沫若などは日本に留学し、日本人の思考回路に精通していたせいもあっただろう。

 朝鮮人は、日本敗戦まで日本人そのものだった。中国人と違って近すぎたことが、その後の両国民に心理的トゲとして残っている。しかし、それも最近は当時を知らない人々の間で過剰に増幅されている。例えば、皇民化で氏姓変更を強制されたという話。塾頭のクラスには数人の朝鮮姓に人がいて、日本語読みだったが改姓した人は一人もなく聞いたこともなかった。

 周恩来が感じたように、日本では歴史、文化、言語、宗教、国民性など、すべての面で漢字は身に沁みついており生活から切り離すことができない存在なのだ。「日本」という言葉にはじまり、明治・大正といった元号や神武以来の天皇の諡号は、全部中国の「音」を借りたもので、日常言語の中にも溶け込んでいる。

 この面で中国と日本は、世界で漢字文化を両国だけで共有する非常にめずらしい間柄だと言えそうだ。韓国の文化人の間で、漢字復活の意見があるというが、わかるような気がする。これを活かせないということは、世界的に見て奇妙な現象というべきだろう。

 今、国際語といえば「英語」を誰しもが想起する。欧州各国の言語は26文字程度の音標文字・アルファーベットで表記され、類似した言語形態である。しかし漢字のように文字からその意味や含みを読み取ることはできない。

 EU各国は国境や通貨で差別することのない「共同体」である。議会や政府に相当するものもある。お互いの話し合いは、イギリスが脱退したけど英語でするのかな、と思ったら、定められた公用語は加盟国数より多いのだそうだ。1国で複数の国語を持っている国があるからだ。一体感を保つといっても容易なことではないことがわかる。

 国際交流の中で言語が持つ意味は、安倍首相の英会話ですむような簡単なものではなさそうだ。世界でキリスト教に次ぐ第2の宗教人口はイスラム教徒が占める。彼らが唯一の神と共に尊ぶのが神の声・コーランである。そのコーランはアラブ語で唱え、アラブ語で理解するきまりになっている。

 だから、スンニ派・シーア派の激しい対立や解釈の相違はあるが、基本的には他の宗教・民族より容易に一体化する。これが政治の上で実現し、ISのような原理主義的後進性が克服されなければ、多様性をもって成り立つ現行社会にとって脅威となるだろう。

 漢字文化の持つ意味をあらためて考えてみたい。

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2016年9月28日 (水)

物・者・もの・もつ

 日本語はむつかしい――の続き。「もの」という場合、人は「者」、それ以外は「物」と相場が決まっていて、使い分けにそう苦労しない。ところがこれを分析してみるとなぞの山だった。

 「あの人はおおものだ」という場合「大物」と書き、なぜか「大者」とは書かない。「あの人は人物だ」というほめことばでも「物」を使う。そういえば「動物」に対し「人物」という。最初から人は「物」なのだ。「物」の範囲は数えきれないほど多い。

 物体だけにかぎらず、できごと(事象)、きもち(心象)にも使う。たとえばこんな具合だ。分類には自信がないが(笑)。

▼心象
ものにこだわる ものかなし ものたりない もののけ ものさびし もののみごと ものわすれ ものごころ
▼事象
ものかき たまもの ものたし ものごと ものがたり かりもの  
▼現象
はれもの できもの さるもの 
 
 食物と進物と貨物は物を(ブツ)と読まず(モツ)と読む。なぜだろう。食物には、干物、煮物があるが焼物とは陶器のことで、焼き芋や焼き魚・焼肉などを焼き物と言わない。こんな区別、外国人には無理だろうな。着物はすでに英語化しているが、反物や指物など日本独特の物はどう訳すのだろう。

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2016年9月26日 (月)

法制局、官僚の反乱か?

Dscf2890 今日の毎日新聞のトップは、”安保法決裁「5月0日」”という見出しである。これだけでは何のことかわからないが、30年間の保存義務のある重要文書に、最もお堅く優秀であるべき官僚が決済日を”ゼロ日”というふざけた記載をし、受付日は空欄のままだったことが分かった。

 集団的自衛権の解釈変更について公文書が何も残されていないことについては、すでに明らかになっている。各省庁から送られてきた(この場合防衛省等から)法案・政令案を一覧表にした「公文件名簿」という文書で、全く違う目的で情報公開請求をしていた一民間人がこれを発見した。

 写真下の同じ文書だが、毎日新聞が入手した時点で文書はすでに修正されていた。法制局は「担当者のミス」というだけで、新聞社への詳細説明を拒否している。その修正されたものも、法制局が受け付けた日が政府の閣議決定した日と同じとという、およそ信じられない投げやりの記載だ。

 これは、一連の安保関連法制が法制局抜きで進められたということが、素人でもわかる内容だ。いずれほかの証拠や証言もあらわれてくるだろう。すでにこれだけの材料が揃えば、歴史上「史実」として扱われてもおかしくない。

 法案を強行採決したのも、こういったボロが出るのを恐れたからに違いない。日付が空白、というのは記載漏れということもあるだろうが、「ゼロ日」とわざわざしたのは、明らかに故意で、担当者の抗議の意図が感じられる。

 この記事は、今後もたびたび引用されるに違いない。もしそうでないとすれば、官僚の限りない質の低下ということになり、東京都の豊洲問題と同じ構図となる。

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2016年9月23日 (金)

読売と産経、北方領土で逆報道

 いずれも「ヤフーニュース」に取り上げられた、北方領土の対ロ交渉に向けた日本政府の姿勢。これが読売と産経の両紙で全く逆になった。珍しいケースなので、全文を引用する。

 最初に読売のニュースガ出た時、外交交渉をする前にあらかじめ落としどころをマスコミが報道するなど、あってはならないことだし、相手側に足元をさらけ出す愚挙ではないかと思った。

 政府御用紙のような記事が多い読売だが、敢えてそれをするということにまず驚いた。そして、安倍右派政権の有力支持紙と思われる産経の否定記事だ。この両紙の違いが後でどういう結果をもたらすか。興味深く注視していきたい。

読売新聞 9月23日(金)6時12分配信 】
◆北方領土、2島返還が最低限…対露交渉で条件 

 政府は、ロシアとの北方領土問題の交渉で、歯舞群島、色丹島の2島引き渡しを最低条件とする方針を固めた。

 平和条約締結の際、択捉、国後両島を含めた「4島の帰属」問題の解決を前提としない方向で検討している。安倍首相は11月にペルー、12月には地元・山口県でロシアのプーチン大統領と会談する。こうした方針でトップ交渉に臨み、領土問題を含む平和条約締結に道筋をつけたい考えだ。

 複数の政府関係者が明らかにした。択捉、国後については日本に帰属するとの立場を堅持する。その上で、平和条約締結後の継続協議とし、自由訪問や共同経済活動などを行いながら、最終的な返還につなげる案などが浮上している。

産経新聞 9月23日(金)12時38分配信】
◆菅義偉官房長官「そのような事実全くないと断言」 北方領土交渉で4島帰属前提にしないとの報道否定

 菅義偉官房長官は23日午前の記者会見で、ロシアとの平和条約締結交渉で、政府が歯舞群島、色丹島の2島返還を“最低条件”とするとの方針を固め、条約締結の際には国後島、択捉島を含む4島の帰属を北方領土問題解決の前提にしない方向で検討しているとの23日付読売新聞朝刊の報道について「そうした事実は全くない。明確に断言しておく」と否定した。

 菅氏は北方領土問題に対する政府見解について「4島の帰属問題を解決し、平和条約を締結していく。この基本方針のもと、粘り強く交渉を進める方針であることは全く微動だにしていない」と改めて強調した。

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2016年9月22日 (木)

豊洲の本音は地下駐車場

 石原元都知事は「東京都は伏魔殿」といった。たしかにそのようだ。マスコミの市場豊洲移転問題報道は連日盛況であとを絶たない。伏魔殿とかお化け屋敷なら次から次と、あっと驚く新趣向が出て人を驚かす。

 そして、終わりも見えてこないから、よけい関心が持続する。マスコミは、出てきた事実しか報道できず、出てこないお化けに的を当てることはできない。塾頭は、土木・建築については素人だが、ビルの管理はしたことがある。

 当初、石原氏のいう「建物の下にコンクリートの箱」構想を聞いた時、「これは地下駐車場や建物のユーテリティーなど、お金の取れないスペースを地下にもっていきたい」ということだな、とピンときた。

 最初、パイプスペースをとるため、というような説明があったが、いわゆる天井裏か縁の下スペースで高さ1メートルもあれば十分で、地下室にする必要はない。ユーテリティーには、空調設備、エレベータ、ごみ置き場、水槽、自家発電設備、受電設備などのほか、ビル管理に必要な機材置き場、要員の休憩・仮眠設備なども必要であろう。

 これらがなければ建物は機能しない。通常、地下室か屋上に配置されるが建築設計では当然の常識、と言ってもいい。

 しかし、高さを4.5メートルもとったことについて、万一汚染物が発生した場合にそなえて、パワーショベルが入れるようにしたという説明、これは、完全に安全が確保されているということを否定することになる、という指摘を受けた。

 そして、どこから入れる?という疑問に、建物の隣に水平に置かれたコンクリートの蓋を示したようだ。奇妙なことだが、そこへクレーンなどを持ってきて吊り下げるのか?。一旦分解して、という説明もしているようだが、これだけでウソだということが分かる。

 弁解が次の弁解を呼ぶ。子供のいいわけでももっと上手だ。さらに、パワーショベルだけでは仕事にならない。ダンプとか、コンクリートミキサー車などの出入りも必要になってくる。その蓋の位置から傾斜をつけて車が通れるようにするか、車用エレベータをを作ればそれでいい。

 頃合いを見て、実害がないから地下駐車場にすると言ってしまえば当初の予定通りだ。「それが狙いだった」という本音を漏らす人が果たしてこれからでてくるのだろうか。

 今日、高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉方針が決まったと報じられている。13日に書いた「築地移転、福島第一そっくりに」ということで、永遠のなぞとしてしまわないことが日本にとって最も肝心だ。

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2016年9月21日 (水)

ヤベー(やばい)

 ヤベー(やばい)、スゲー(凄い)、ヒデー(ひどい)、ウルセー(うるさい)、ウメー(美味い)、オモシレー(面白い)、サイテー(最低)、ヨエー(弱い)……。

 テレビなどを見ていても、よく出てくる若い人の言葉です。男性に多いようですがそうとも限りません。エ列長音と言って、江戸時代から現れた発音だそうです。(山口仲美『日本語の歴史』参考)

 江戸落語の八っあん、熊さんクラスが使い、武士やご隠居などはあまり使いません。デーク(大工)、ナメー(名前)、フテー野郎(太い野郎)、ショウベー(商売)などです。
 
 また関西では使われず、もとは関東周辺の田舎言葉に由来しているのか、上方では軽蔑の対象だったようです。たしかに「イ」をはっきり発音すると言葉がきれいに浮かんで次の言葉とつながり、会話全体に品格が出てきます。

 そういつた「イ」→「エー」の変化をした言葉を考えたら出てくるは出てくるは、きりがありません。生命保険→セーメーホケンなど、若くなくとも1語で2か所も使っていました。「ヤベー……」(笑)。

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2016年9月20日 (火)

また遠のいた米・ロ

 10日前に「北・抜き6か国協議」ということを書いた。それは、北朝鮮のミサイルや核実験に全く打つ手がない現状打破に奇案はないかというつもりで、その中身まで触れなかったが、こんな案だ。

 6か国協議は、米・ロ・日・中・韓、それに北朝鮮が加わって2003年から2007年まで6回にわたって開催された会議で、北の核開発をセーブし、代わるべき援助をしようという目的の会議だった。それが北の開発続行やミサイル実験の強行などで破談となりそのままになっている。

 金日成の時代には、北も東アジアの非核化に消極的でなかったし、息子の正日にもその余地がないわけではなかった。だが、今の金正恩には、国連決議や経済制裁など「蛙のつらに小便」だ。
 
 中国も北の政権崩壊が起きるとまともに影響を受ける。国境を越えた難民の殺到だけでなく、東北地方には朝鮮族の国民が多い。また北が韓国やアメリカの影響下に置かれると、直ちに国の安全にかかわる。

 そこで北朝鮮抜きで、①北から正恩の影響力をなくするには、どんな方法があるか、②正恩を除いた後誰がどういう体制を作るか、また混乱が起きた場合各国がどう対応するか、③統一の機運に至るまで6か国を中心とした国際的環境をどう築くか、などを話し合う。

 もちろん、これは塾頭の冗談半分だ。だから前回は中身まで書かなかった。しかし、本当にこんな会議をされば正恩は焦るだろう。ほかに手がないとすれば、これが最大の圧力で北朝鮮制裁になる。

 ヒントになったのはシリアでの米ロが協議して決めた10日前の1週間停戦合意だった。これがきっかけとなってシリア・イラクの平和を回復、中東の火種となった諸国・諸勢力を糾合した平和志向に弾みがつくのではという一縷の期待だった。

 アメリカの一極支配がなくなった今、世界でもっとも安定している強国はロシアである。この2国の呼吸が合えばなにかできる――と思ったのだ。前回の記事で「確定した話ではないが」とことわりを入れておいたのがよかった。残念ながら、そんなに塾頭の思うようには進まないのが現実だ。

【カイロ秋山信一、モスクワ杉尾直哉】シリア政府軍は19日、米国とロシアが主導し、今月12日に発効した反体制派との一時停戦が「終了した」と発表した。反体制派でも停戦は崩壊したとの見方が強まっている。米露主導の停戦が頓挫するのは今年に入って2回目で、和平調停の難しさが浮き彫りになった。(毎日新聞9/20)

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2016年9月19日 (月)

「区割り」いろいろ

 たまたま見ていた本の参考図に「旧国名地図」というのがあつた。本文はすべて読み下しても、こういった図は必要を感じないと丹念に見ない。バラッと開いたページがたまたまそれだったのでよく見ると、今まで気が付かない新事実に気が付いた(遅いか!笑)。

 まず、東北6県の旧国名は「陸奥」と「出羽」だけ。今は青森県だけが陸奥だが、陸中(岩手)、陸前(宮城)、磐城・岩代(福島)の3県も陸奥だった。そして、出羽を羽前(山形)、羽後を(秋田)と分けたのが、陸奥同様明治2年だったということ。

 東北に区割りされていないが、そのすぐ南が常陸(茨城)の国で「陸」がつく。そこで疑問。陸奥をなぜ音・訓にない「むつ」と読むのか。また常陸が「ひたち」というのもわからない。とにかく日本語はむつ・かしい(笑)。

 明治2年は版籍奉還の始まった年だが、4年に藩をそのまま県としたため、3つの府と302の県ができた。現在の区割りに落ち着いたのは、明治22年でありそんなに古い話ではない。

 ここまで、「東北」という言葉を使ったが、九州・四国・山陽・山陰・関西・中部・関東などという区分は、現代地理教育によるものだろう。日本史で最も古い区割りは「大八州」、即ち、本州・九州・四国・淡路・壱岐・対馬・隠岐・佐渡であり、北海道は入っていない。

 「道」という区分は、前述の「旧国名地図」に載っていた。言葉として今残っているのは、北海道と東海道ぐらいだが、北海道を除いて塾頭の持っていたイメージとだいぶ違う。東海道の起点は、お江戸日本橋ではないのだ。

(北海道)
北見・天塩・石狩・根室・釧路・十勝・根室
(北陸道)
越後・佐渡・越中・能登・加賀・越前・若狭
(東海道)
常陸・下総・上総・安房・武蔵・相模・甲斐・駿河・伊豆・遠江・三河・尾張・伊勢。伊賀・志摩
(東山道)
陸奥・羽前・羽後・陸中・陸前・磐城・岩代・下野・上野・信濃・飛騨・美濃・近江
(畿内)
山城・大和・河内。和泉・摂津
(山陰道)
丹波・丹後・但馬・因幡・伯耆・出雲・石見・隠岐
(山陽道)
播磨・美作・備前・備中・備後・安芸・周防・長門
(南海道)
紀伊・淡路・阿波・讃岐・伊予・土佐
(西街道)
筑前・筑後・豊前・豊後・肥前・肥後・日向・薩摩・大隅・壱岐・対馬・琉球

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2016年9月16日 (金)

国籍を逆手にとれない蓮舫

 蓮舫民進党新代表は、代表選のさなか、沖縄普天間基地の辺野古移転を「予定通りに実施する」という方針を示したようだ。自民党となんら変わらない。沖縄・公明党よりまだ後ろ向き。

 かつての民主党が鳩山元首相を失脚させ、社民党との連立を捨ててからの方針を再検討、「もう一度見直して辺野古案を凍結するようアメリカに働きかける」ぐらいどうして言えないのか。

 父親が沖縄に最も近い台湾の出身、他人事とは思えないからと、国籍問題を逆手にとって新方針を打ち立てることもできない。全く期待はずれである。

 

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2016年9月15日 (木)

北朝鮮制裁と国連&日本

 一時は史上最強の台風と騒がれた10号だが、太平洋を行ったり来たり複雑怪奇な進路をとり、これまで一度もなかった岩手県に直接上陸、福祉施設などに甚大な被害をもたらした。その先の進路もまた特異なものだった。

 日本海に抜けると、いつもと違う逆方向に舵を向け、北朝鮮にあった寒冷低気圧と合体。塾頭は、北朝鮮で最大の弱点・北東部に大雨被害が出るぞ、と素人予測をしていた。北朝鮮の核実験などへの制裁に決定打が出せないので、かわりに10号が向かったのかなと、やや不謹慎な想像をした。

 その安保理決議の準備がようやく昨日、委員会で満場一致で決まり、以前より強い意思表示になるようだ。一方、国連の一機関である世界食糧計画(WFP)は次のような緊急援助を決めた。

【TBSニュース】
»洪水被害の北朝鮮、WFPが緊急食糧支援
 台風10号に伴う洪水被害に見舞われている北朝鮮で、WFP=世界食糧計画は被災者14万人にビスケット1週間分や大豆30日分などの緊急食料支援を実施しました。

 被害が確認できていない地域もあるため、被災者の数は増えるおそれがあるということです。WFPは継続的な支援が必要になるとして、来年8月までに2100万ドルが必要と見積もっています。

 反して日本政府は、

【時事ドットコム】
9月14日(水)16時2分配信
岸田文雄外相は14日の衆院外務委員会で、洪水被害を受けた北朝鮮への支援について「核実験や弾道ミサイル発射は従来とは異なるレベルの脅威になっている。このような状況を踏まえれば、現時点で支援を行う考えはない」と述べ、核実験などを理由に支援に慎重な姿勢を示した。生活の党の玉城デニー氏への答弁。

 そして日本国憲法は、

われわれは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われわれは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なのもであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

とある。専用機で世界漫遊し、あっちに何億ドルこっちに何億ドルとばらまき外交に余念のない安倍首相殿、憲法前文のこのくだりは集団的自衛権確立の理由としてよく引用されましたね。

 おそらく菅談話は撤回させることになると信じます――??。

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2016年9月13日 (火)

築地移転、福島第一そっくりに

 遂に出た!という感じ。「原子力村」ならぬこっちは「オリンピック村」(選手宿泊設備でない)の存在である。
 
 ”汚染地下水処理システム”がそれ。今日から始動し始めるというが知られていなかった。築地魚市場の豊洲移転問題で、説明してきた候補地の地盤造成方法が公表通り実施されておらず、建物の地下には、そのかわり巨大な空間があり、床には水がたまっていた。

 つまり、移転先の汚染水問題は完全にクリアーされているという説明は”ウソ”であり、隠されている問題が次々に出てきたのだ。移転賛成派の責任者もあきれ顔で怒っている。

豊洲市場の施設の地下空洞に地下水がしみ出している恐れがある問題で、盛り土が行われなかった主要施設3棟の地下空洞に水がたまっていることが12日、東京都への取材で分かった。小池百合子知事は同日、幹部会議を開き、水がたまった原因や盛り土をしなかった経緯を調査し、安全対策を検証するよう指示した。
 
 都は同日、地下水の上昇を抑えるためポンプでくみ上げ、有害物質が下水道基準を超えた場合に浄化し排出する地下水管理システムの試運転を開始。この開始は当初の計画通りという。
(産経新聞 9月13日(火)7時55分配信 )

 テレビの報道では、共産党都議視察団には地下室にできた水たまりは、地下水管理システムがあるから心配はない、と既に稼働しているような説明だったり、その水をサンプルとして採取したいという要求には、この物件は都が所有しており水も都のものだかといって拒否されたという。

 都議は都民の代表として視察に来ているのだ。それを拒否するというのは、上司か都議会のドンか知事か誰かは知らないが、絶対権威を握っている誰かの意にそわなければならないという、こっぱ役人の浅知恵だろう。怒鳴りつけてやってほしい。

 それにしても、そういうシステムの存在自体、地下水汚染に心配があるから設営されるもので、同システムの運営維持には億から10億単位の費用がかかるといわれる。

 この一連の経緯は、福島第一そっくり。膨大な組織が政治目的のために不利な情報は隠して公表せず、外見上、科学的で公正・公平な手続きのもとことが進行しているように見せかける。権限の所在は不明確で、責任は誰もとらない。

 これは、珍妙なことになりそうだ。自民党で都議会を牛耳り議会のドンと称された内田茂都連幹事長は辞任したものの、院政を敷いて“闇将軍”ぶりを発揮し、小池都政にたち向かうとされてきた。それが小池知事と共産党のそれこそ「水も漏らさぬ」共闘関係とぶつかる。

 都政だから、外交・安保問題には直接関係がない。共産党が唯一の小池有力与党になるかも知れない。民進党?、都議会では存在感の薄い第4党。右派で自民党に籍をおいたことのある松原仁が都連会長では、共産党と席を同じくすることなど不可能だろう。結局何もできない。

 小池は、共産党と組んで都議会と渡り合い、また妥協点も探るという仕事になるだろうが、都議会が解散されるような事態になれば、政党をまたいで中央政局にも激震が走ること間違いなさそうだ。

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2016年9月12日 (月)

新聞休刊日に思う

 今日は新聞休刊日である。昔は新聞も休みというのは、正月元日(2日付)など、年に1、2度だった。それが4~50年前頃から急増し、毎月になっていった。主要紙は全く横並びの日取りである。

 おまけに、祝日の夕刊は休みということで、祝祭日の激増にともない夕刊の来ない日も多くなった。増えたのは折り込み広告の量ぐらい。相当経費が節減されていると思うが、新聞の値下げは一度もなく、逆に各社そろって談合値上げをしている。

 今や、30数年前の倍額以上だ。まさに犯罪的というか、これではネットに勝てるわけがない。

 休刊日増加の理由について、当時、配達に当たる「新聞少年」に休息をあたえるため、というキャンペーンが多く見られた。昨今、少年の姿など見たことがない。

 子どもを使ったマスコミの情報操作?――。この連想を誘ったのが、湾岸戦争の引き金ともなったクウェートの少女ナイラちゃんの議会証言である。

 「イラク兵が病院に侵入し、保育器から赤ちゃんを取り出して床に……」という涙ながら訴えをアメリカの有力紙が一斉にとりあげた。これが世界に伝播し、3カ月後にアメリカの軍事介入(1991/3、湾岸戦争)が始まる。

 しかし、この証言はナイラちゃんがクウェート大使の娘であり、クウェートには行ったことがなく、1200万ドルの報酬を受けた広告代理店の仕掛けであることがわかった(「ワシントンポスト1992/7/8」、池上彰)。

 それに比べれば新聞休刊日など、まだ罪が軽いというべきか。

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2016年9月10日 (土)

北・抜き6か国協議

 ネット渉猟の中、時事ドットコムで次のニュースが飛び込んだ。

【ベルリン時事】AFP通信によると、ケリー米国務長官とロシアのラブロフ外相は9日、シリア内戦の停戦計画と対過激派軍事行動での連携で合意した。(2016/09/10-07:33)

 これは大ニュースだ。ほかには見当たらない。NHKオンラインが早いので見たらやはりあつた。いつもNHKをクサしているが、この点は評価する。

9月10日 7時54分
内戦が続くシリアをめぐって、アメリカのケリー国務長官とロシアのラブロフ外相は、アサド政権と反政府勢力が今月12日の日没からシリア全土で停戦することで合意したと発表しました。そのうえで、12日から1週間停戦が守られた場合、アメリカとロシアとの間で過激派組織IS=イスラミックステートなどに対して協力して対処するということで、シリアの内戦の終結につながるか注目されます。

 確定した話ではないが、アメリカがアサド政権を認めず、シリア対策で米ロがなくぎくしゃくして、協調を欠いていた間柄だ。米・アサド政権間で対立のあったクルド族との関係をどう処理するのかの言及はないが、ロシアが仲介に立てば停戦可能だろう。

 アメリカは、イスラエルと対敵するアサド政権を認めたくない一貫した立場があった。しかし、シリア内戦に関与するためには、一時的であろうと合法政権であったアサド政権の合意が必要だ。そうしておいて、シリア国内の秩序を回復すれば、あとを国連にゆだねるにしろシリア住民の選択に任せるしかない。

 米・ロの合意がその方向を目指しているのであれば、冷戦時代とは違う新・2強時代が来るのかも知れない。

 今日の海外報道は、北朝鮮の過去最大とされる核実験のニュースで埋め尽くされている。日本は、すでに種が切れている「制裁強化」をわめいているだけで打つ手がない。

 そこで、北朝鮮を除いた6か国(5か国)協議を提案したらどうだろう。それが孤立を印象付ける北への最大の政治的「制裁」になるのではなかろうか。経済制裁は、過去何度も戦争や難民を生む原因となった。

 シリアのことを考えれば、北抜きの6か国協議が不可能だとは思えないのだが、アメリカの尻馬に乗ることだけしか能のない国では無理か?。

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2016年9月 8日 (木)

秋サバは中国に食わすな?

 2日付の題は「秋サバと原発」で、若狭湾から京都に向けて名産サバを届ける「鯖街道」としてにぎわったことを書いた。

 ところが今朝のテレビ朝日系のモーニングショーを見ていたら、そんなのんきなことを言っていられない。目下「サバ戦争」のさ中にある、という報道だ。中国が外国の警戒をものともせず、海洋進出に血道を上げる原因の一端を見たような気がした。

 このところ、海洋資源の乱獲で海産物の供給量が減り価格が上昇しているということは、一般論として知っていたが、それを象徴的に表しているのが、サバの激減だという。

 まず、中国人の胃袋だ。いまや世界的になった日本食ブームは中国も例外でない。中でもサバは瞬く間に美味が知られ、需要が増えた。しかも、かつて魚介類を生で味わう習慣のなかった内陸部も、冷凍の技術が一般化して、需要の伸びはとどまることを知らない有様だ。

 こうして漁船の乱獲が始まり、サバは中国近海では絶滅、次第に外海に向かうことになる。一本釣りに始まる日本の伝統的漁法を経ていない中国漁業は、いきなり灯火による集魚、底引き、はえ縄、遂に大型ポンプで海水と共に魚群を吸い取ることまではじめた。

 当然、魚を求めて尖閣諸島に近づく。中国公船も警戒に当たる。漁になれた日本漁船が見つかると、その近所には魚がいるはずということで、中国公船が近くへやってくる。日本船が不安を感じて立ち去るのを見計らって中国漁船がやってくる。

 法には触れていない。法に触れなければ何をやってもいいという流儀なのだろうか?。漁民と言っても日本のような古来の素朴なプロ、という感じはしない。軍など官僚の利害と重なり、手厚い保護があるようだ。北太平洋の漁場にも似た現象がある。

 少子化対策にもかかわらずこれからも人口が増え、所得が増え、内陸部の食生活も変化する。その中国に、「サバは資源保護のため中国人は食うな」とは言えない。これは、地球温暖化防止の排ガス規制と相通ずる。

 人類の生き残りを目指して、双方に相当厳しい規制を課す方向で話し合いを開始しなければならない。軍事的対立にすぐ結びつけたくなるだけでは何も解決しない。「鯖街道」の行き着く先はそこだった。

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2016年9月 7日 (水)

生前「退位」でなく「交代」

 天皇生前退位問題は、オリンピック報道や首脳外交などで一時なりを潜めていたが、このところ、有識者会議発足時期や議論の方向性などをめぐって、官房長官や自民党幹事長の女性天皇容認論など、マスコミの記事が俄然増えてきた。

 前々回、「靖国神社のないアメリカ」を取り上げたが、その中で、天皇陛下は昔から「国」の象徴であった。総理大臣や防衛相などの参拝では、代役にならない。今の政治家は勘違いしているようだ。と書いた。

 そこで「象徴天皇」について各新聞がどう考えているかを社説などで当たってみると、各紙とも、天皇発言は非常に重大な問題提起であり、退位は法的にさまさまな困難を伴うため、問題点の整理が必要だという点では一致している。

 ただし、「象徴のありかたを国民的に議論」するという趣旨のことを何社かが書いているが、これはマスコミの重大な勘違いである。憲法をよく読んでいただきたい。

第一条 {天皇の地位・国民主権}天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

 「日本国民の総意に基く」のは「象徴」という「地位」だけであって、その中味ではない。第三条以降に国事行為が定められ、それについては、内閣や国会の助言・承認に基いて行うべきことが定められているが、これは「地位」ではなくそれに付随した「行為」である。

 だから、「象徴にふさわしい行動、在り方」はどうあるべきか、というのは、あくまでも天皇自身の内面の問題で、「象徴はこうあるべし」まで決めてしまうと、憲法第四条で禁じられている「国政に関する権能」を持たせかねない危険が生ずる。

 たとえば、東洋平和の実現を目指すこが日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であるとしてしまえば、戦前と同じことになる。時の政府は「愛国行進曲」の歌詞そのものを国民的アイデンティティにしようとして大キャンペーンを張りそれなりに成功した。

(愛国行進歌詞・昭和12年8月)
1番
見よ東海の空明けて
旭日高く輝けば
天地の正気(せいき)潑溂と
希望は踊る大八洲(おおやしま)
おお晴朗の朝雲に
聳ゆる富士の姿こそ
金甌(きんおう)無欠揺るぎなき
わが日本(にっぽん)の誇りなれ

2番
起て一系の大君(おおきみ)を
光と永久(とわ)に頂きて
臣民我等皆共に
御稜威(みいつ)に副(そ)はむ大使命
往け八紘(はっこう)を宇(いえ)となし
四海の人を導きて
正しき平和打ち立てむ
理想は花と咲き薫る

3番(略)
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 そういった意味で天皇発言も、地位と仕事をごっちゃにしてしまったきらいがある。その区別を厳然とする、そこから問題点整理を始めなくてはならない。天皇自身は言っていないが、国民の総意として成り立つ「地位」を、個人の「退位」に置き換えることはできない。

 マスコミも「生前退位」でなく「生前交代」とすべきだ。しかし「交代」では軽々し過ぎて、右翼諸君は到底納得しまい。それならばオリンピック陸上で見事な成果を上げた「バトンタッチ」ではどうか(笑)。

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2016年9月 5日 (月)

安倍首相、国益重視でトップ

専門家31人を相手に「主要国の指導者のうち実利外交が最も優れた人物」を尋ねたところ、「安倍首相」と答えた回答者が19人(65.5%)で最も多かった。多くの専門家が「憎らしいが」「認めたくないが」という修飾語を付けながら安倍首相を選んだ。

 こう書いたのは2日付の韓国・中央日報(日本語電子版)で、オリンピックの安倍マリオショーを、「自国の利益になることなら何でもする」という評価と共に紹介している。

 今月に入って1日に来日中のサウジアラビア副皇太子に会ったあとも、ずーっと国外だ。G20広州サミットに8日まで滞在し、オバマ・プーチン・習金平その他各国のトップとにこやかに握手を交わし、会議その他で何らかの成果を得ようとする心づもりだ。

 日本国内ではなぜか、こういった安倍ヨイショ記事がすくないが、韓国では「憎らしいが」「認めたくないが」という感情をこめた前提付きで評価している。実は、塾頭も同じ考えなのである。畏れ多くも天皇陛下と同じ「戦後レジーム世代」だ。それを無きものにしようという安倍理念は、人格を無視されたようで何としても許せない。

 せっかくの韓国内の評価だ。せいぜい国益に資するよう全方向外交の成果をあげてほしい。そして韓国、中国も理不尽な反日キャンペーンをすればするほど、安倍支持率が高まることを忘れないでほしい。

 ――と、言ったものの、総裁の任期延長は反対で、一刻も早く失脚してほしいというのが、塾頭の本心だ。

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2016年9月 4日 (日)

靖国神社のないアメリカ

 イラクで従軍、戦死した息子を追憶する中で、父親・フェルナンドさんは政府の虚偽に満ちた戦争装置の仕掛けがわかり、自ら反戦運動の先頭に立つようになった。『赤旗』にあるレポート記事を要約し、日米の差を考える。

 フェルナンドさんは妻や家族から、「息子を侮辱している」と反感を抱かれ、遂に離婚・一家離散の憂き目にあっているという。戦死したのは20歳の海兵隊員、ヘススさんである。すでに結婚、残された1歳4カ月の息子は、フェルナンドさんにとっての初孫だ。

 フェルナンドさんは、息子の終焉の地をたしかめるためイラクを訪れた。そこで、薬の不足で病院で亡くなる子どもたち、破壊された学校や家々など、先が見えないイラク市民も目にすることになった。

 大量破壊兵器を隠し持っているというニセ情報を根拠に、独裁者フセインを追放するためという口実で始めた戦争だが、アメリカを憎んでいる市民はいても歓迎する市民の姿はない。フェルナンドさんは息子がここで一兵士として命を絶ったことを告げると、「兵士は憎まない。国や死の商人に得るものがあっても市民には、戦争から得るものは何もない」という反応が戻ってきた。

 ヘススさんは、出征前に息子に手渡したサルサソースの小瓶を偶然発見し、名前が書いてあったので彼が戦死した場所を知ることができた。そしてここで、彼が何故命を落としたかも知った。

 公式の通知には、ヘススさんは、前日の交戦中に頭を撃たれて死亡したと明記されていた。しかしそうではなく、米軍がばらまいたクラスター爆弾によるものだと、米メディアの現地特派員が知らせてくれた。

 米政府の死因のごまかしがフェルナンドさんに突きつけられ、軍・政府に不信感を募らせる大きなきっかけとなった。ヘススさんが高校在学中に受けた兵員募集官からの勧誘は、今は戦争がなく危険もない。除隊後は麻薬取締官の訓練が無償で受けられ、就職先は保障されている、というものだった。

 それでは、一家離散となった原因は何だろう。

 「国のために尊い命を捧げた英霊に尊崇の念を捧げる――」、これしかないだろう。遺族は、政府にだまされて犬死した――のではない、と感じるのが当然だ。フェルナンドさんの奥さんは、こう思う以外に心を慰める術を知らなかったに違いない。夫の証言の方が嘘に聞こえた。

 塾頭の叔父は乳幼児を含む3人の子をあとに、終戦の前年出征した。戦後半年以上たった頃戦死の公報があった。その死は誰からも確認されていない。フィリピン戦線でジャングルを逃げ惑う中、多分餓死したのだろう、という推測で、もちろん遺骨などない。

 近所のおばさんが来て言った。「遺骨はなくとも、靖国神社へ行きなさった。天皇陛下がおいでになって、ちゃんとお参りになる。あきらめんばねえ」。天皇陛下は昔から「国」の象徴であった。総理大臣や防衛相などでは、代役にならない。今の政治家は勘違いしているようだ。

 戦中から、配給物資横流しなど軍部横暴の噂は聞いていたが、塾頭が政府や軍部への信頼を決定的に損じたのは、東条英機元首相、陸相の拳銃自殺失敗である。

 「生きて虜囚のはずかしめを受けることなかれ」という戦陣訓を作り、多くの兵士を死に追いやった張本人が戦犯容疑者としてGHQに逮捕される寸前、不可解な自殺失敗を演ずる。そういったA級戦犯を合祀したことで天皇の参拝はなくなった。靖国神社が兵士を駆り立て、戦死者と遺族を納得させる仕掛けであることに国民が気付き始めたからである。

 アメリカには、靖国神社も敗戦の経験もない。当然、戦死者遺族に価値判断の差が出てくる。日本では、こういった離婚騒ぎの話を聞いたことがない。アメリカはよくも悪くも「自己責任」なのであろう。

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2016年9月 2日 (金)

秋サバと原発

 「秋」とくれば俗諺の筆頭格として「秋ナスは嫁に食わすな」。なぜか、については検索機能に任せるが、「秋サバは嫁に食わすな」というのもある。いずれも旬の味として最高の賞味期限を指しているのである。秋ナスは、ズバリ今の時期だが、秋サバはもっと遅く、晩秋の脂がのりはじめてからのようだ。

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 ただ「鯖街道」というのがあるのは知らなかった。鹽街道なら、上杉謙信が宿敵武田親権のもとに塩を贈った、いわゆる「敵シオ」の越後から信濃に至る街道が有名だが、サバ街道は若狭湾が京に向かういくつかの街道をいうのだそうだ。(写真は福井県・熊川宿)

 若狭から運ばれた鯖が京の都に着く頃には、ちょうどよい塩加減になったと言われ、京都の食文化の中に今も若狭の魚が生きている。地元では遺産登録などして観光に役立てたいという考えもあるようだ。

 ところが、若狭湾といえば他の地方にいる者にとって、サバではなく「原発」だ。敦賀発電所に2基、美浜発電所に3基、大飯発電所に4基、高浜発電所に4基、もんじゅに1基、計14機の原子力発電所がある。

 その一部は他に先がけて運転再開をはじめている。もし万一のことがあればサバではなく、一刻を争う避難の人や車で溢れかねない街道だ。江戸時代にさかのぼる由緒ある街道をそんなことに生かさないよう、地元の人にはそれを先に考えてほしかった。

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2016年9月 1日 (木)

後講釈

 台風10号で岩手県岩泉町の小本(おもと)川が氾濫し、同町乙茂地区にある高齢者グループホーム「楽(ら)ん楽(ら)ん」で、入所者9人の死亡が31日確認されたことが、2日たつた今日付けの新聞に詳報が載っている。

 最初の第一報を聞いた時は、にわかに信じられないニュースだった。なぜ要介護者施設が、なぜ入所者全員が犠牲に、といったことである。

 今日の新聞には、観測史上初の大型台風の直接上陸で経験がない、1か月分を越える雨量、避難勧告などの基準がない、川が下流で90度の急カーブ、救援にも行けない早い出水などと書いてある。

 いちいちもっともであるが、犠牲者には哀悼の念を捧げるしかない。早くから準備がされていればだが、すべて後講釈だつた。防災の日に当たり、今後活かさなければならない教訓である。

 旧聞に属するが、以下は断じて「後講釈」ではない。

東京電力は24日、福島第1原子力発電所に最大10.2メートルの津波が来て、押し寄せる水の高さ(遡上高)が15.7メートルになる可能性があることを2008年に社内で試算していたことを明らかにした。東日本大震災後、東電は福島第1原発を襲った津波の大きさを「想定外だった」と説明してきた。試算を踏まえて対策していれば原子炉が炉心溶融するという最悪の事態を回避できた可能性があった。(2011/8/24付日経新聞より)

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