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2016年8月 2日 (火)

「中国の脅威」の正体③

 中国で30余年にわたり布教活動をした宣教師アーサー・スミスはその著書『支那的性格』(白神徹訳)でこう記している。

 「中国人の間では失策をとがめられることは体面を損なうことになる。だからどんな証拠があっても、体面を保たんがためには事実をさえ否定しなければならない。テニスのボールが失くなった。苦力(クーリー=肉体労働者)がそれを拾ったことは疑う余地がない。苦力は頑固にそれを否定するが、ボールの失くなった場所へ行き、やがてひそかにズボンからそれを落とし、落ちているボールを見つけて、『ここに貴方の失したボールがあります』という。」

 以上は、中国特有の文化「面子(めんつ)」について語っており、言葉自体はそのまま日本でも通用した。引用は1964年に発行された貝塚茂樹『中国の歴史(上)』によるもので、50年から100年も前のことを言っている。

 したがって、今でもそうだとは言い切れないが、5000年の歴史にはぐくまれた文化的土壌が、跡形もなくなるとは思えない。南シナ海や東シナ海関連で、中国の発する一連のコメントの中にその要素がないとは言い切れないような気がする。

 「中国の発する一連のコメント」といったが、これがまた複雑だ。テレビなどに出てくる美人女性の「外務部」発言。外務部といえば日本の外務省に当たるが発言の中味には重さがない。政府の組織は、党の指導のもとで動くため、党組織で決められた内容でしか発言できない。

 また、軍もそうだ。人民解放軍は、党の軍隊で党トップの習金平が軍事委員会主席兼ね、国務院つまり首相の権力が及ばない。それだけにシビリアンコントロールが利かせやすい反面、プライドを損じないような気配りが必要だろう。

 軍には秘密が多く、塾頭ごときの容喙する事柄ではない。一番の不思議は「中国」という国は古今東西存在しないのに、本文をはじめ当たり前のように使われていることである。「中華人民共和国」または「中華民国」の略称であろうが、このふたつの国は激しい内戦を繰り返した別々の国である。

 中華民国要人は、人民解放軍に追われて台湾に逃げこみ、国連加盟国の地位を失って現在に至る。日本が戦争をしたのは中華民国で、共産党の人民解放軍とは小競り合いを演ずる一方、内通したりもしていた。そして終戦の年には、日本軍の武装解除で武器入手を競い合い、10月には国共内戦が勃発して、日本と戦った中華民国の顔が見えなくなった。

 だから、現在の中国(人民解放軍)とは、国として戦争をしていないことになる。このことをはじめ、中国を、日本国、英国などという「国」の概念でとらえようとすると、いろいろな疑問を生じてくるのである。

 歴代、王朝が入れ代わり立ち代わり支配してきたため、近代国家とは違う発想が必要なのかも知れない。現在は、共産党王朝のもとにあると考えればいいということか。

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コメント

台湾の民進党の新総統ですが、今回台湾先住民に対して謝罪しているのですが、・・・
よく考えたら、台湾は日清戦争で日本領になった場所であり、
当時の、蒋介石の中華民国とは無関係?であったのですが、
国共内戦で敗北して、台湾に逃げ込んだ国民党軍による台湾住民の大虐殺が起きている。
この場合、
『一つの中国』との原則が無いと、これは限りなく侵略行為に近いのです。
同じこと台湾だけではんくて、今の中国当局にも言えて『一つの中国』のスローガンが正しく無いと不都合が発生します。

投稿: 宗純 | 2016年8月 3日 (水) 15時52分

清国皇帝の愛新覚羅氏は漢民族でなく遼東方面の「北狄」だったわけですが明を滅ぼし、周辺諸国を併呑または朝貢国として、過去最大の侵略・覇権帝国にしました。

現・中国はそれだけにとどまらず海洋国を目指していますが、愛新覚羅氏は陸には強いが海は苦手だったのです。

明治時代、琉球人が台湾に漂着し原住民に惨殺されたことに対し、日本政府が清国に調査・謝罪を求めたところ「化外の民のしたこと」と統治権を否定するようなことを言ったので、日本政府に台湾出兵の口実にされました。

現・中国の歴史認識は、「いいとこどり」で、過去の国々を持ち出せば、慎太郎ではないが「支那」の表現が当たっているような印象を与えることにらります。

投稿: ましま | 2016年8月 3日 (水) 21時57分

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