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2016年7月15日 (金)

南シナ海と舛添弁明

 国内のドタバタニュースで取り上げるのが遅れたが、南シナ海の殆どを支配下におこうとする中国の行動に対し、フィリピンがオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に提訴していた件である。12日に判断が下され、中国にとっては見るも無残な結果になった。

 中国は巻き返しのキャンペーンに躍起である。しかし、躍起になればなるほど論拠に齟齬を生じ、第三者を立てて「違法ではない」という証拠にしようとする。しかし、その強硬姿勢が国内的には通用しても、国際的に見ると判決の答えになっていない。

 これを見ていて、舛添前・都知事が記者会見などで苦しい弁明をくりかえしている姿を思い出した。なんとなく「セコ」く、続けるているうちにこじつけが見え見えになるのである。

 ひとつあげておこう。「中国は2000年前頃からこの領域を支配・命名しており、三国史時代の記録もある。フィリピン側にはその証拠がない」という主張である。

 Yjimage4_2さあ、大変だ。九州・博多湾から大宰府あたりと見られる「倭奴国」は、中国・漢の支配下にあり領有権が及ぶということになる。その動かぬ物的証拠は、日本が国宝として持っている。「漢倭奴国王」という5文字を刻んだ金印である。「漢」は2字分の大きさで刻まれている。この印璽については『後漢書』にも記録がある。

 日本側には証拠とする記録がない。第一この頃には日本に文字はなかったし、文献もない。中国の論理からすれば、中国固有の領土にされてもおかしくないわけだ。しかしこの時代には、国家とか領土とかという概念はなかったし、国境もあいまいだった。

 それを持ち出して「俺の物」といっても世界でそれ認める者はいないだろう。漁業はフィリピンの原住民もしていたかもしれない。そしてフィリピン語の名をつけていたかもしれない。ただ国家がなく文字も持たなかっただけだ。

 こういったナンセンスは、尖閣諸島での主張にも見られる。塾頭がかねてから言っているように、領土としての証拠物件は、中国のいう「明の時代に航海記録」云々より日本の方にはるかに多く、実効支配や人が住んでいた記録もあるのだ。

 そういった事実を国際世論に冷静に伝え、漁業・鉱業権などを話し間で解決しても、国際基準に合致する領有権は、アメリカに頼るという姿勢だけでな、く日本が断固防衛するという気概をしめしておくべきである。

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コメント

なんで、わざわざ舛添なんかを引っ張り出して、中国の侵略横暴振りを矮小化するかな。

中国のやることに憤りを感じない、こういう左よりの人が日本にいて、ある一定数共産党が支持を得ているから、東京都知事に立候補した桜井みたいなのが出てくるんだろうな。

投稿: makoto | 2016年7月16日 (土) 09時04分

makoto さま

 英語は堪能のようですが、日本語を読み取る能力は疑われますね。

 この文章は中国の主張の横暴ぶりと矮小性を強調しているもので、反発がでるとすれば、あなたの言う左翼からだと思っていました。(*^-^)

投稿: ましま | 2016年7月16日 (土) 09時56分

今回中国の、権利を全面否定した常設仲裁裁判所の裁判官を選んだ元駐米大使だった柳井俊二ですが、
中国が、日本の右翼勢力が中国側に不利なように云々との批判に対して、
「国連海洋法条約上の手続きにのっとり公正に選んだ」と強調しているのですが、
これ、残念ながら、升添要一の弁明以上に説得力が薄い。

柳井の今までの右翼的な言動からは、
誰が見ても、日本の右翼が中国叩きを行ったように受け取られるでしょう。

それよりも、日本の国益にとってトンデモナイ大問題(大損害になる)を含んでいます。
この評決が、もしも国際法として確立してしまうと、日本の最南端の南鳥島が島ではなくて暗礁だとの話になり、ブーメランのように日本にはねかれるのです。
そういえば小笠原が東京都なので、南鳥島も東京都ですね。
都知事選とも関係するかも?

投稿: 宗純 | 2016年7月16日 (土) 10時49分

宗純 さま
柳井は外務官僚のトップに君臨し、アメリカのエイジェント役として日本政界も牛耳った男ですが、今回の判断に影響したという中国の口実は、選ばれた人に失礼でしょう。

柳井にそんな力は残っていないし、中国とことさら対立するメリットもない。やはり言いがかりっぽいです。

南鳥島は、どこからか提訴され、同様な判定がでれば従うべきでしょう。そうなれば公海となり、かつては各国が認めていたれっきとした島ですから、それまで持っていた漁業権などが有利になるように対抗国と協議すべきです。

投稿: ましま | 2016年7月16日 (土) 11時16分

『柳井は外務官僚のトップに君臨し、アメリカのエイジェント役として日本政界も牛耳った男』
である事実は明らかなら
何故、
『今回の判断に影響したという中国の口実は、選ばれた人に失礼でしょう。』
と繫がるのでしょうか?
結論が逆さま
愚かしいネットウヨの子供たちは別にして、我々のような日本の大人なら、法律家でも政治家でもなくて、
大学中退での外交官試験合格を自慢する典型的な外交官である外務省の国際法局長の小松一郎が、畑違いの法制局長官に就任した途端、
今までの法律解釈が180度コペルニクス的に変更されて大騒ぎになったのは、歴史にもなっていない、少し前の話ですよ。
『人選が判断に影響しない』ですが、それは理想論ではあるが現実ではない。
NHKの会長人事でも明らかなように、人選こそが一番大事です。
白でも黒に出来るというか、結果はいくらでも引っくり返せるのです。

投稿: 宗純 | 2016年7月16日 (土) 14時01分

宗純さま

人事について中国に再三意見を求めたが無視・無回答だったようです。いつもの中国流です。

投稿: ましま | 2016年7月16日 (土) 15時42分

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