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2016年7月

2016年7月31日 (日)

小池百合子当確

 当塾は、都知事選に対して7月13日に1度だけ「都知事選漫評」という記事を書いている。そこでは「鳥越・小池・宇都宮・増田4人の主要知事候補の顔ぶれが決まった」としている。マスコミは、鳥越を野党統一候補とするため、宇都宮は明日にでも辞退するのではないか、という観測をしていた。

 しかし、塾頭は4人の立候補が望ましいと書いている。理由は、共産党が過去2回の都知事選で元・弁護士会長で都政にも明るい宇都宮を推薦し、次点をつけているので統一候補としては彼を推すのが筋だと思ったからだ。

 鳥越の突然の立候補宣言は、「顔」だけが頼りのあと出しジャンケンで、動機に国政へベルの思い入れしかなく、準備不足が歴然としていた。塾頭は、今日の結果を当時から予測していたが、知名度の低い増田より下とまでは思わなかった。

 岡田民進党代表は、昨日次の代表選に出ないことを発表したが、この結果を予想していたからであろう。もし4人で戦っていたら、池田氏が当選するにしても野党統一で責任を問われるようなことはなかった。

 一番先に噂に上った蓮舫参院議員が、「国政を優先・専念したい」しいう理由をあげ、知事候補を辞退したのと、鳥越氏の一夜漬け立候補では見劣りするのはやむを得ない。民進党は、戦中の俚諺「またも負けたか八連隊」である。

 小池氏が当選してよかった、というと左派や護憲派の皆さんたちに叱られるが、理由は、順風満帆に見えた極右・安倍自民が分裂し、都政を支配する自由を失ったという禍根を残したことにある。

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「中国の脅威」の正体②

 前回の書き出しは、「中国の脅威、だから改憲」こんな理屈が大手を振るってまかり通っている。というものだった。もうひとつ、まかり通っている理屈に「軍隊を持って普通の国になろう」というものがある。

 憲法9条第1項の「戦争の放棄」、これは1928年の不戦条約がもとで、それを受けつぎ発展させたのが国連憲章である。それが普通の国の常識で、「違う」というのは常識はずれなのだ。にもかかわらず、空爆とか地域戦争に多くの先進国がかかわっているため、日本の方が異常に見えるのだろう。

 けれど軍隊を持たないとした第2項、これは、たしかに普通の国とは違っていて珍しい。だからこそ、その珍しさを世界に認めさせ、平和先進国としてのリード役を進めるのがいいのだ。一方で強い兵力を持たないと、外交・経済その他で遅れを取るという考えもある。

 それは、「自衛力」にとってかわらせることで、必ずしも不可能でないと思う。テロも内乱ない安定した国なら、投資や観光そして学術で優位に立ち、憲法前文にいう「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する」という理想に合致するのだ。

 それでもなおかつ「甘い」とか「お花畑」という人がいるだろう。それならば、中国とは妥協せず、アメリカと組んで戦争の準備をするか?。核戦争になれば、国土が広く攻撃目標や発射基地の分散が可能な方が必ず勝つ。

 地上戦でも人口が多く兵力の補給が得やすい方にかなわない。中国13億5000万人以上は日本の10倍をはるかに超える。日本は、人口減少老齢化に入ったが、中国は一人っ子政策をとってなおかつ、今後10数年で今の日本の総人口に相当する人口がポンと増える。

 人口は現在世界一だが、名目GDPが現在世界第2位、やがてアメリカもそれに越される。総力戦になればどう見ても勝ち目がないのだ。だから、くやしくとも主戦論は止めておいた方がいい。

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2016年7月30日 (土)

「中国の脅威」の正体

 「中国の脅威、だから改憲」こんな理屈が大手を振るってまかり通っている。南シナ海に9段線を引いてこの領域内の岩礁は中国の領土で、飛行場を作ったりビルを建てたりしている。ここは2000年も前から中国が認知しているという文献があると主張していたようだ。

 尖閣も同様の論理で、そのうちきっと軍事占領される、と危機をあおって改憲の雰囲気づくりをするのがはやっている。南シナ海はオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所で中国の全面敗訴という、見るも無残な惨敗ぶりを見せた。

 中国国内でも、国際法上認められない無理難題を押し付けている、という良識的な意見が存在したはずだ。軍と習体制にとって、世界制覇の夢で国民を引っ張っていこうという材料にケチがついたことは深刻で、「あくまでも無視する」という強硬発言は、それを裏付けている。

 良識派に折れて後退するわけにもゆかず、権威確保のためほかの手を考えざるを得ないだろう。尖閣奪取など、中国にとってもメリットのない危険な賭けをするはずはない。

 しかし、前線のはね上がり分子によるきっかけが衝突に発展、互いに相手の非を強調することにより国民のナショナリズム火をつけ、戦争になったという例は、過去にいくらでもある。満州事変、支那事変、上海事変など、日本が「事変」と呼ぶケースはほとんどがそれだ。

 もう一つ、不安定な地域をそのままにして防衛する意図がなく、第3国がそこを利用する余地を残す、つまり鍵をかけない地域があるということは、隣接国に占領の口実を与えることになる。

 したがって、日本国民は国土を守るという強い意志を内外に示し、自衛隊がその任に当たるという決意をもっていなければならない。

 それが最大の「抑止力」で、何もしなくとも日米安保があり、集団的自衛権をうたっていればアメリカが守ってくれるはず、などというのは、幻想である。アメリカは尖閣で中国と戦争などしたくない。沖縄に大勢の海兵隊を置いておくのは危険だという考えさえ持つ。そんなのは自分で守れ、というだろう。

 「核の傘抑止力」、詳しくは述べないがだんだん伝説の域に入ってきた。ミサイル防衛、これは必要だが、軍縮のための道具だと思えばいい。

 最大の抑止力は、日本国憲法第9条の存在だ。表現に不備があれば、非戦・専守防衛の立場を強化する方向で書き加えればいい。

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2016年7月28日 (木)

無題

 参院は27日、参院選後の各会派の議席を確定した。自民党と公明党、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党の4会派による「改憲勢力」の合計議席は、無所属議員の一部を加えて改憲発議に必要な「3分の2」(162議席)を上回る163議席になった。

  自民は参院選で、神奈川選挙区から無所属で当選した中西健治氏の追加公認を含め56議席を獲得。非改選と合わせ121議席となり、過半数に1議席足りなかったが、直後に新党改革の会派だった平野達男氏を入党させ、27年ぶりに単独過半数を確保。昨年から自民会派入りしている無所属の井上義行氏をあわせ、会派は改選前の116(議長をのぞく)から123に増やした。

公明は改選前の20から25に、おおさか維新の会は7から12にそれぞれ増えた。日本のこころを大切にする党は3議席のままだった。(朝日新聞デジタル

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 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。(平家物語)
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2016年7月27日 (水)

NHK人事、日本会議は「誤解を受けるから」

 久々のベタ記事からである。要約すると適切を欠くので全文を引用させていただく。

NHK経営委員会の石原進経営委員長(JR九州相談役)は26日、改憲を目指す保守団体「日本会議」の地方機関「日本会議福岡」の名誉顧問と、原子力の利用を促進する一般社団法人「原子力国民会議」の共同代表を、いずれも辞任したことを明らかにした。同日開かれた経営委後、記者団に明らかにし、「誤解されるなら、辞めた方がいいと思った」と述べた。また、同日の経営委では、来年1月末に任期満了を迎える籾井勝人(もみい・かつと)会長の後任を選ぶ指名部会を設置した。石原委員長は「現会長の(続投の)意思も聞く。別の候補も挙げ、どの人が最適か年末をめどに決めたい」と話した。  (毎日新聞・東京・7/27)
 

 日本会議などの名誉職辞任の理由である。「誤解されるなら、辞めた方がいいと思った」、なんと国民や視聴者を見下した不遜な言い方ではないか。「誤った解釈だから、誤解する方が悪い」と言わんばかりだ。

 そもそもそういった職に就いたのは、自らにとってプラスと感じたたからではないか。NHK委員の任命権者は安倍首相である。ほかの委員に、右翼張りの意見を持つ作家の百田尚樹氏や、某右翼を礼賛する哲学者の長谷川三千子氏などがおり、「お友達」人事になっている。石原氏は日本会議のメンバーという理由で、首相が選んだのかもしれない。

 今回辞任したのも、辞任しないとマイナスになると察知したからにほかならない。こんなご都合主義で国民を見下す委員長に、NHKの放送内容に影響を与える会長の任免権を持たせていいのだろうか。

 前々回書いた「報道の自由度ランキング」世界72位には、こういった政治権力の恣意が、陰に陽に影響してくるのだ。

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2016年7月26日 (火)

相模原の大量殺人

 このところ、ヨーロッパを中心に多発するソフトターゲットを狙った殺人事件などをテロと呼ぶことに違和感を持ち、何本かの記事にした。特定の宗教や国家を敵視するか、特定の個人や団体を攻撃する政治目的がない殺傷は、テロと呼ばない。

 26日未明、障害者施設に侵入して19人を殺し、26人を傷つける事件が発生した。史上類を見ない蛮行である。これをテロと呼ぶ人はいないし、マスコミにもそんな気配はない。

 ところが、犯人は今年2月に衆院議長公邸を訪れ、障害者の安楽死に関する陳情書を提出したという。最初は受け取りを拒否されたが、ねばって2日目に受けとらせた。すると政治目的が皆無とはいえなくなる。

 けれども、やはり「テロ」ではないのだ。その政治目的が個人の情念を越えて共感されるものでなかったからだ。ヨーロッパの場合、よくイスラム教徒に対する経済的差別があって、失業とか貧困が過激派に走る原因とされる。

 しかし、それをテロと言っていいかどうかは、目的に対して共感が得られるかどうかにかかわる。個人の情念だけでなく、動機の分析や、結果が何をもたらすかを洞察できるものに限られるべきであろう。

 過激派、そして守る方、いずれも「テロ呼ばわり」することは、戦争を激化させるプロパガンダにつながり、さらなる破壊・殺人に加担するだけである、ということを知っておくべきだ。

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2016年7月25日 (月)

ドーピングと言論の自由

【モスクワ杉尾直哉】全体責任か個人の権利か--。国際オリンピック委員会(IOC)の緊急理事会が24日、国ぐるみのドーピング(禁止薬物使用)が指摘されたロシアの選手をリオデジャネイロ五輪から全面排除しないと決定したことについて、IOCのトーマス・バッハ会長は同日、電話を通じて記者会見した。「集団の責任と(ドーピングに関与していない)個人の権利の間でバランスをとらねばならなかった」と語り、苦渋の決断だったことをにじませた。(毎日新聞7/25)

 この問題の責任は、競技者自身の問題か、競技団体など組織の問題か、国家が絡む政治問題なのか報道だけではわからない。最初にロシアの組織的ドーピング疑惑に火をつけたのは2014年12月のドイツメディアだった。

 さらに16年、米ニューヨーク・タイムズが米国に亡命したロシア元検査機関所長の詳細証言をスクープした。これまで各組織・機関の検証や事実解明が続いてきたのだが、肝心なロシア・マスコミの検証や責任追及の動きがさっぱりわからない。毎日新聞の別の記事では、中国の出版の自由に関しても報じている。

【北京・河津啓介】中国の改革派言論を代表する月刊誌「炎黄春秋」が当局による人事介入に反発して今月、「廃刊」を発表した。当局主導で選ばれた新役員陣が発行を続けようとしているが、旧役員陣は「今後、『炎黄春秋』名義で発行される出版物は、我々とは関係ない」と言明。インターネット上では、習近平指導部が言論統制を強める中で改革派の「最後の陣地が陥落した」と失望の声が上がっている。

 毎回のように書いているのだが、世界が激動し不安定な時代、民主主義が唯一のよりどころとするのが「言論の自由」である。塾頭は、ランキングとか世論調査の数値を頼りにしないたちだが、国境なき記者団による今年4月に発表された「報道の自由度ランキング」を見て、愕然とせざるを得ない。

1 フィンランド    16 ドイツ   72 日本 
2 オランダ      41 米国    77 イタリア     
3 ノルウェー     45 フランス 148 ロシア
4 デンマーク     69 香港   176 中国
5 ニュージーランド 70 韓国   179 北朝鮮

 全180カ国中72位で、アジアでは香港・韓国より下である。民主党政権下の2010年の11位から 自民党政権下の2015年は61位まで下がり、そこからさらに11位も下げてしまった。自由とか民主など名乗るのことさえ気恥ずかしくなる位置である。

 この責任は、やはり国民が負わなければならないのだろうか。

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2016年7月24日 (日)

ヨーロッパの移民・難民

 フランスで14日、観光地ニースの遊歩道で花火見物をしていた人々の列にトラックが突っ込んだ。これは当塾16日付記事で「本当にテロか?」という内容でエントリーしたが、22日には、ドイツ南部ミュンヘンで、銃乱射事件が起き、9人の死者がでた。

 ドイツのケースは18歳のイラン系男性が犯人で、当局は間をおかず、犯人はイスラム教徒であるが「テロではない」と断定した。フランスの、さまざまな追跡捜査を行う中で、なんとかイスラム国などと関係する、または「感化を受けた」テロにしたいというような姿勢とは違う。

 ここに、隣り合っていても両国に微妙な差があるようだ。国内に反対はあるものの、ドイツのメルケル首相は押し寄せる難民を無制限に受け入れようとし、他の欧州諸国との違いを見せた。イラク戦争やIS空爆に参加せず、ウクライナ問題でもアメリカ一極主義を離れて妥協の道を模索しつづけた姿とダブる。

 テロの多発に関連して、ムスリムを警戒したり差別の対象とすることを厳にいましめる態度が見える。アメリカでは、トランプ共和党大統領候補の発言に支持者が喝采し、移民・難民に縁の薄い日本も、どちらかというと排他意識の方が強いだろう。

 ヨーロッパは、上の2国にかぎらず、イギリス、オランダ、ベルギー、イタリアなど難民問題に苦慮し、またテロも発生している。昔からある移民も含め、アフリカ、アラブ、南アジアなと旧植民地から流入する移民はどうしてもイスラム教徒が多くなる。

 しかし、それら各国における対応・対策は決して一様ではない。試みにドイツとフランスの例を見てみよう。ドイツは第一次世界大戦でオスマン帝国が同盟関係にあったせいか、トルコ人の移民が多い。彼らは、第2次大戦後の東西分裂などもあって、ドイツの人手不足を補う有力な働き手になった。

 彼らは家族を呼び寄せ、景気変動の波の中で、労働力の調整弁的役割を果たした。そういった移民は、特定の街区にまとまって住んでいる。ドイツの外国人問題を語る時に、必ず登場するキーワードは統合(Integration)という言葉で、人種差別禁止も意味する。

 ただし、宗教上、民族習慣上の「同化」は決して求めない。ドイツ民族はドイツ民族であり、歴史の変遷を経て独自の芸術・文化を築いてきたという自負のもとで、同化は、その独自性を損ねると考える。また、ナチスが犯した生々しい反省も生きており、はっきりした位置づけがある。

 しかし、フランスの場合はやや異な.る。フランスのアイデンティティーはフランス革命の”自由・平等・博愛”である。その価値観を共有できなければフランス人でなく、個人の前にアッラーを優先させたり、女性の自由を制限することを捨てる、つまり同化しない限り異邦人として区別するのは当然である、という考えになる。

 そして、フランス人(国籍を持つ)ならそのようなテロを起こすはずがない、という思い入れも作用するのだろう。そういった歴史的背景を持たないアメリカは、パレスチナ問題をきっかけに中東のムスリムの複雑な権利闘争に足を取られ、安直なポピュリズムが巾を利かせ始めた。

 日本は大勢につくだけではだめだ。歴史的なしがらみがないだけに、安易な考えで難民受け入れの枠さえ広げればいいという考えだけでは成功しない。長い歴史の中でイスラムに接してきたヨーロッパから、多くのものを学ぶ必要がある。

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2016年7月23日 (土)

ユダヤのロビー活動

 最近アメリカのユダヤ社会やロビー活動などについて知りたく、関係する本を読んだりしている。そんな中から、ちょっとメモ書き。

 米国の人口は約3億人、その何でユダヤ人は2%台。米議会のユダヤ系議員は全議席の約5%。昨年の米誌長者番付、トップ50人のうちユダヤ系2割。多いと思いますか、少ないと思いますか?。

 支持政党は伝統的に民主党のようだ。そのネオコン的性格から、テッキリ共和党だと思っていた。政治献金には、個人、団体それぞれに上限があるが、ユダヤ関係では、88年の選挙時477人の候補者あてに総額540万ドルの献金をしたとされる。

 誰に献金するのかは、AIPAC(アメリカ・イスラエル広報委員会)というのがあって、日頃の言動やイスラエル関連議案への投票行動などを綿密かつ厳しくチェックしており、それによって多大な選挙資金が充足できるかどうかの分かれ目になる。

 そういったチェックの中に、「反イスラエル」とか「親イスラエル」という区分けの言葉が盛んに使われ、イスラエル占領地区における行き過ぎた行動を懸念する向きは、「反ユダヤ」で「自己嫌悪」であると烙印を押す。

 そして、イスラエルへの資金・武器援助など、「力の信奉」政策を実現させるために声をそろえる。どこか似ているところが――、と思ったのが日本の右翼語・「反日」と「自虐史観」である。

  しかし、2008年には、イスラエルに批判的な新しいロビー組織「Jストリート」が登場し、若者の支持を得るようになった。 世界的・歴史的伝統を持つ「ユダヤ人の団結」はどこへ行くのだろう。

  アメリカの大統領選同様、さっぱり先が見えない。

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2016年7月21日 (木)

ジャーナリズムの矜持

Dscf2859_2 「週刊文春」と「週刊新潮」をジャーナリズムと言えるかどうかは分からない。今日付けの二つ並んだ新聞広告である。まさに目下大激戦展開中の都知事選特定候補のネガティブキャンペーンととられても仕方があるまい。

 この新聞の別のページに鳥越事務所が文春に対して「刑事告発を検討中」というベタ記事があったが、それ以前の問題である。「どこからかの圧力」と疑ぐられのがせいの山である。

 両誌は「出版・言論の自由」をいうであろうが、放送のように権力が法の下で干渉できないからといって、特定候補に影響をもたらすようなことを自由に目玉記事にしていいという理屈は成り立たない。

 一般の人が街角にある選挙ポスターに×印でもつけたら、警察がすっ飛んできて「選挙妨害」で逮捕される。言論の自由は民主主義を守るため、最大限守られなくてはならない。

 選挙中のもっとも肝心な時期である。このような時期こそ言論の自由にもまして、選挙の公正を保つため最大限の配慮をする。これも民主主義を守る上でマスメディアに課せられた任務である。

 両誌は一番売れる週刊誌らしいが、ジャーナリズムの矜持という点では、右派の肩を持つことで売り上げを伸ばしてきたにしても、「週刊サンケイ=SPA!」の方が上であろう。

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2016年7月20日 (水)

続・ジャーナリストのサラリーマン化

 このところ、4~5本続けてマスコミやジャーナリズムの突っ込み不足やお座なりの対処に苦言を呈する記事を書いてきた。今日の新聞記事を見てもそう思う。まず、トップが「露ドーピング隠蔽」。これで思い出すのは、オリンピック→国際委員会(IOC)→2億3千万円の招致コンサルタント支払だ。その後どういう用途で誰に、といった詳報は目にしていない。

 政治でけがされ、肥大化し、莫大な費用を費やし、そして夢を奪うだけのオリンピック。今なら間に合う。4年後の東京開催を返上したらどうか。そして、開催地はギリシア、種目も当時に準じたベーシックなものだけにすればいい。

 次は、トルコのクーデター。世界中に配信された放送局などの場面がある手際いい映像と、反乱軍側の無秩序・無計画性が目立ったが、トルコ政府は、これまでに7543人の軍人や司法関係者を拘束し、内務省は警官ら8777人、財務省は職員1500人を解任した。

 拘束や処分を受けた公務員は2万人近くになる。これらの処分は容疑や根拠が明らかでなく、エルドアン大統領と対立するアメリカ亡命中のイスラム教指導者、ギュレン師を支持したということで、最初からリストがあったとしか考えられない。

 エルドアン大統領は、拘束された数千人の軍人らを、EU加盟の要件として廃止していた死刑を復活させて殺す可能性も示唆している。そして、アメリカへはギュレン師の引き渡しを正式に要求した。

 日本を含め先進各国は、選挙で選ばれた政権を支持しクーデターを非難する声明をいち早く出しているが、対抗するイスラム世俗派を一挙に壊滅するのが目的の、仕組まれた「逆クーデター」であった疑惑が出てきた。

 トルコは、シリアの内戦の中でロシアと複雑な軍事対立があり、一時は緊迫状態にあったし、今でもそれが解けた状態とは言えない。シリア難民の出発地として、また、ドイツへの移民増大など、エジプト、サウジなどと共にイスラム圏の中で実力を有する大国だ。

 ISなど過激派原理主義、対敵するクルド族、シーア派・スンニ派の対立、ロシアやその他アジア・アフリカのイスラム諸国との関係、難民の受け入れや流出など、かなめに位置している。これまでは、クッション役といった発想があったが、これからはどういう帰趨をたどるか一向に見えてこない。

 ギュレン師をアメリカが引き渡すかどうかが大きなカギとなろう。引き渡しに応じれば殺されることが目に見えている。アメリカが泥沼にこれ以上足を取られないためには、要求に応ずるという選択肢はないだろう。いずれにしても、ジャーナリズムの力量が問われるできごとだ。

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2016年7月19日 (火)

見えなくなった中東

 題は異なるが前回の続きである。「アメリカは見えないような形で、中東紛争の主役から手を引きつつある」と書いたが、テロや内戦などを通じてわれわれが持っている中東の常識が通じなくなっていることを、メディアも論評も追い切れていないように思うのである。

 「悲しい現実だが、アメリカの中東政策はワシントンでなく、イスラエルのエルサレムで作られていると言っていい」。イスラエル・ロビーの影響力を、ポール・フィンドリー元下院議員はそう表現する。では、人口比率三%にも満たない在米ユダヤ人社会が、なぜそれほどの影響力を持ちえるのか。

 これが10数年前に発刊された岩波新書・土井敏邦『アメリカのユダヤ人』の課題だった。それを、米大統領選で民主党のヒラリー・クリントン候補と接戦を演じて脚光を浴びたトニー・サンダース氏が、主要政党の指名争いに躍り出た初のユダヤ系候補として、崩そうとしている。

 しかも、彼はイスラエルの占領政策や米国のイスラエル寄り姿勢を批判していることに対し、米国ユダヤ社会では若者を中心に支持されるようになってきた。また、イスラエル・ロビー主流派によるイラン核開発合意断固反対が成功せず、歴史的敗北を喫している。(毎日新聞⇒立山良司『ユダヤとアメリカ――揺れ動くイスラエルロビー』中公新書)

 中東で爆弾テロとか、戦争によらない民衆による抵抗運動が出始めたのは1987年頃のいわゆるインティファーダ発生の頃からである。それ以来、アメリカにおける同時多発テロ9・11を頂点としてパレスチナ問題抜きで議論されることはなかった。

 しかし、焦点はイラク・シリアのISやクルド人問題、そして欧米を巻き込んだ難民・移民など、民族の大移動を思わせる人口問題に移っていった。その中にはトルコ→ドイツ、ロシア→イスラエル、アフリカ→フランス、ポーランド→イギリスなど各国特有の事情も抱えこんでいる。

 テロの発生が多様化している中で、これらが各国の右傾化を下支えしているようだが、若者を中心にした協調・一体化への動きも顕著になってきた。イスラエル、パレスチナにも見られる現象で、もう一度アメリカの中東政策の裏側にある変化に目を移そう。

 CNNによると、米政府は15日、2001年9月11日の米同時多発テロに関する調査をまとめた議会報告書のうち、長く機密指定にされていた箇所を公開した。報告書は同時多発テロを起こしたハイジャック犯の一部が、サウジ政府とつながっている可能性のある複数の人物から支援を受けていたと指摘している。

 サウジは、アラブイスラム圏の中で緊密な石油利権による独占的な利益をアメリカと共有していたため、パレスチナのイスラム教徒を救わなければならない立場に蓋をしてきた。サウジ人の中には、これに強く反発し、政府の公式立場と逆の行動をとる王子などの存在を、当塾でも指摘したことがある。

 シェール・オイル開発成功などで、アメリカは経済的にもサウジの存在にこだわらないようになった。ISに対抗するには、同じスンニ派であるサウジより、それと対立するシーア派・イランの協力を得た方がいい。イラクはシーア派が多数派で、現政権も傀儡とはいえアメリカが選挙で作った政権だ。

 かつての、イスラエル・アメリカの共通の敵イランと核問題についての決着がついたので、もう必要ないとばかり、かつての秘密を暴露したわけだ。同盟国がこんなにあっさりと見限られる例は見たことがない。

 中東から、アメリカとユダヤと石油という相関関係はなくなった。もはやここで不毛の対立に固執し命を無駄にする必要は何もない。イスラエルやパレスチナの若者もそれに気がつき始めたのだ

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2016年7月18日 (月)

ジャーナリストのサラリーマン化

 都知事選が中盤にさしかかり、メディアが情勢を伝え始めた。それによると、小池、鳥越、増田の順で3候補が団子状態ということらしい。塾頭が都知事選を記事にした時、宇都宮候補が立候補を取り下げたばかりだったがその中で「選挙民の選択肢が減り残念だ」と書いた。

 鳥越自身がいうように、ジャーナリストという「アウトサイダー」から「インサイダー」に身を置きかえることになる。鳥越は塾頭より若いが、戦争や戦後をしっかり把握しており考えが塾頭に最も近い。しかし、都知事になるということは、彼のセンスや発想が生かし切れず、当選しても選挙民の期待を空転させることにならないかを心配した。

 鳥越氏がサラリーマン化するとは言わないが、地方行政トップとしての制約がある。そういった点をどう乗り越えるか、また活かせるかについて、宇都宮氏としっかり議論してほしかった。それも鳥越氏立候補の目的にかなうことだったはずだ。

 本塾は、直近の出来事で「仏・ニース事件、本当にテロか?」と「天皇退位問題の危険なリーク」の2件を取り上げた。しかし、いずれも事件の本質や事実の掘り下げに迫る態度がいまだに見られず、ジャーナリズムよいずこへ……の状態が続いている。

 本題に直接関係するわけではないが、中国の南シナ海関連ニュースや世界で頻発するテロなどのニュースに対して、発生した正確な背景や歴史的な流れの上での解説が省略され、誤解は誤解のまま誤った即断のもとに置かれていることが多いように思える。

 そのため、国民は理解を欠いたまま刹那的な判断に依存せざるを得ず、それが、トランプ現象や英国国民投票、世界の右傾化を促進しているのではなかろうか。電子メディアの発展もその一端を支えている。

 世界中で起きているテロをどう見るか。なにか、各国政府の反応は、「断固非難し、各国との協調でこれに対抗する」などというのが紋切り型で、「ISへの空爆強化」程度しか対抗手段が見られない。

 西欧文明とそれに牙をむけたテロはそもそもどこから始まったか、それを見ないで国境に壁を作っても何の対策にもならないことがだんだんはっきりしてきた。対立は、英仏など西欧列強が第一次大戦前にアフリカ・アラブ・アジアに繰り広げた帝国主義的植民地競争に端を発する。

 第一次世界大戦の結果、敗れたオスマン帝国はイスラム圏で中東を中心に膨大な領地を有していたが、英・仏・露3国の秘密協定(サイクス・ピコ協定)で住民にかかわりなく山分けのような形で引いた国境線が、その後の紛争のもととなった。パレスチナやイスラエルの独立をイギリスが重複して約束するなどもその大きな要因だ。

 しかし、第2次大戦後までアメリカの顔は見えなかったのが、急に紛争の主役を演ずるようになったのは何故か。それは、世界最大の石油資源の利権獲得と、アメリカの政治に圧倒的な影響力を持つユダヤ人の母国・イスラエルをイスラム勢力から守るためである。

 イスラエルにとって脅威になるイスラム国は、アメリカにとって敵になった。最初はホメイニ革命でアメリカ大使館が占拠されたイラン、ウサマビンラディンをかくまったアフガン、そういった中で力を蓄え、独裁者といわれるフセインが支配するイラク、そして、イスラエルにとって脅威となるヒズボラの根拠シリアなど、場所と相手を変えて次々に軍事力投入や介入を繰り返した。

 そして今でも、IS空爆の主役のように振舞っている。しかし、アメリカは見えないような形で、中東紛争の主役から手を引きつつある。IS自身、テロのターゲットをどこに向けるのか、明らかに戸惑っている。

 テロ撲滅に国内治安強化は当然である。一方、ISを壊滅してもテロが無くなるわけではない。今こそ中東問題の根源に立ち返り、和平のあるべき姿やイスラムとの共存について、ジャーナリストは世論を喚起すべきではないか。

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2016年7月16日 (土)

仏・ニース事件、本当にテロか?

 まだ刻々と情報が伝えられている段階なので決定的なことは言えない。天皇退位問題でもそうだが、マスコミならびに政府筋は、あたかも間違いないことのように断定する。こうやって世をリードしていくのかと思うと空恐ろしくもなる。

 地元・オランド大統領はもとより、オバマ、プーチンをはじめ、安倍首相までアジア欧州会議(ASEM)の首脳会議を舞台に先を競うようにしてテロ非難の合唱だ。

 これまでに伝えられている犯人像は、フランスとチュニジアの二重国籍者で、家庭内暴力や強盗、薬物犯罪などの前歴があり、性格は粗暴といったことである。犯人の名前からイスラム教徒に違はいなさそうだが、過激派と結びつく証拠は見つかっていない。

 犯行に及んだトラックから爆発物・銃・手りゅう弾などが発見されたというが、それをもってテロと断定していいのだろうか。ことによると、秋葉原の「相手はだれでもよかった」とする大量殺傷事件の類かも知れない。

 ISなど過激派は犯行声明を今時点で出していないが、仮に「神の教えにない殺傷をおかすものはムスリムではない」という、”非犯行声明”を出したらどうなるか。各国首脳はテロである証明をしなければならず、テロとの戦い宣言が宙に浮いてしまってグローバリズム世界が混乱する。

 塾頭がISならば、そうするがなあ――。

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2016年7月15日 (金)

南シナ海と舛添弁明

 国内のドタバタニュースで取り上げるのが遅れたが、南シナ海の殆どを支配下におこうとする中国の行動に対し、フィリピンがオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に提訴していた件である。12日に判断が下され、中国にとっては見るも無残な結果になった。

 中国は巻き返しのキャンペーンに躍起である。しかし、躍起になればなるほど論拠に齟齬を生じ、第三者を立てて「違法ではない」という証拠にしようとする。しかし、その強硬姿勢が国内的には通用しても、国際的に見ると判決の答えになっていない。

 これを見ていて、舛添前・都知事が記者会見などで苦しい弁明をくりかえしている姿を思い出した。なんとなく「セコ」く、続けるているうちにこじつけが見え見えになるのである。

 ひとつあげておこう。「中国は2000年前頃からこの領域を支配・命名しており、三国史時代の記録もある。フィリピン側にはその証拠がない」という主張である。

 Yjimage4_2さあ、大変だ。九州・博多湾から大宰府あたりと見られる「倭奴国」は、中国・漢の支配下にあり領有権が及ぶということになる。その動かぬ物的証拠は、日本が国宝として持っている。「漢倭奴国王」という5文字を刻んだ金印である。「漢」は2字分の大きさで刻まれている。この印璽については『後漢書』にも記録がある。

 日本側には証拠とする記録がない。第一この頃には日本に文字はなかったし、文献もない。中国の論理からすれば、中国固有の領土にされてもおかしくないわけだ。しかしこの時代には、国家とか領土とかという概念はなかったし、国境もあいまいだった。

 それを持ち出して「俺の物」といっても世界でそれ認める者はいないだろう。漁業はフィリピンの原住民もしていたかもしれない。そしてフィリピン語の名をつけていたかもしれない。ただ国家がなく文字も持たなかっただけだ。

 こういったナンセンスは、尖閣諸島での主張にも見られる。塾頭がかねてから言っているように、領土としての証拠物件は、中国のいう「明の時代に航海記録」云々より日本の方にはるかに多く、実効支配や人が住んでいた記録もあるのだ。

 そういった事実を国際世論に冷静に伝え、漁業・鉱業権などを話し間で解決しても、国際基準に合致する領有権は、アメリカに頼るという姿勢だけでな、く日本が断固防衛するという気概をしめしておくべきである。

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2016年7月14日 (木)

天皇退位問題の危険なリーク

  告示寸前までちゃぶ台がえしのような報道の続いた都知事選候補だが、間をおかずとてつもないリークが新聞トップを占領した。「天皇生前退位の意向」というものである。リーク元は政府関係者とか、宮内庁関係者とかとしているが誰かわからない。

 これだけ各紙が確信をもって取り上げるということは、内閣官房に関連する信頼できる「筋」であることは確かだ。その一方で、東京新聞には「十三日夜に取材に応じた宮内庁の山本信一郎次長は「そのような事実は一切ない。陛下は制度的なことについては憲法上の立場から話すことを控えてきた。今後も一貫して同じ姿勢」と述べた。風岡典之長官も否定した」とある。

 天皇は、誕生日その他の会見で、公式行事の軽減や分担など激務を緩和したい旨の発言があったことは確かだ。それに対して政府が対策を練るのは当然のことだ。しかし、皇室典範で生前退位はできないことになっている。

 そんなことを100も承知している天皇が、退位・譲位をたとえ非公式であろうと言明するということは考えられない。だから、リークは伝聞か憶測によるものではないか。意地悪く考えると、3分の2勢力が現実になった今、憲法改正のトレーニングに皇室典範改訂を取り上げ、あたかも天皇の意志であるかのような偽装工作をしているのではないか。

 これほど危険なことはない。戦中の有力者がよく使った手だ。マスコミはリーク元を公表すべきだ。こんなことが平気で通るようでは戦前の二の舞だ。国民こぞって厳しく監視する必要がある。

 天皇の公式行事の軽減は皇室典範を改正しないでもできるものが多い。また、現行制度で実施可能な「摂政制度」があり、皇太子を天皇の代理とすることができるのだ。つまり「副天皇」がすべての公式行事を代行できる制度で、昭和天皇も大正末期にこの役についておられる。

 天皇生前退位論は、憲法改正を前に皇室典範を改正し、平和志向の天皇の口封じをしておこうとする陰謀――、さすがの塾頭もそこまでは言わない。しかし言わないわけにもいかない。

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2016年7月13日 (水)

都知事選漫評

 ジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)が12日午後2時から都知事立候補の記者会見を行ったことにより、鳥越・小池・宇都宮・増田4人の主要知事候補の顔ぶれが決まったとメディアが伝える。ただ、宇都宮健児・元日本弁護士連合会会長(69)は、鳥越の立候補を見て今日(13日)中に立候補を取り消すだろうとして、3人と見ている所もある。

 当塾が知事選関連の記事を立てるのは、これが初めて。今の時点では3人か4人わかっていないが、塾頭は4人であってほしいと思っている。選挙権はないが、都民にとっては選択肢が多い方がいいからだ。

 これまで、自民と民進の両党から推薦候補として名の上がった候補は何人になるのだろう、出たり引っ込めたりで数えきれない。以下に思いつくまま書くが、当然漏れもあるだろう。

 民進⇒古賀茂明・石田純一・長妻昭・片山善博・長島昭久・松沢成文・蓮舫
 自民⇒村木厚子・桜井俊・石原伸晃

 中央に対する影響力が大きいといっても、所詮、地方自治体の首長選挙である。地方議員で中央政党名で選挙に立っているのは公明・共産が主で、自民や民進はいても中央での比率ほど人数は多くない。

 早い話、地元に橋をかけるとか道路を治すなど、地元選挙民を考えれば全員与党でありたいわけである。現に、比較的政党色の強い都議会でも、民進が自・公・共に次ぐ第4党にすぎない。自治体の首長が何党であろうと、選挙民に大きな影響が出てくるということはない。

 そうすると都知事が何党推薦であろうと、要は民意を正しく反映さえしてくれればいいのである。今回の候補種選びは、党利党略優先でめまぐるしく情勢が変化し、その意味でも劇場型選挙をよりにぎわす結果になった。

 とはいうものの、参院選で与党・改憲陣営と安保法制化を違憲とする野党共闘側が激しいつば競り合いのほとぼりが残る中である。野党側で、ここで一矢を報えることができれば、これからの国会運営に大きな影響をもたらすことができるという計算が働く。

 都民でなくてもそういった目でみていきたい。まず鳥越立候補表明だが、会見で「4党合意など政党の枠組みはなく、政党からの打診もない。自分で手を上げた」と言明した。他方、民進党内では当初、党都連の松原仁会長らが党執行部と調整し、元経済産業省官僚の古賀茂明氏(60)の擁立をめざす方針をいったん固めた。松原氏は11日午後、都内で古賀氏と会談し、立候補を要請したばかりである。

 それが、わずか一両日しかないのに鳥越氏を野党4党の統一候補に決めたのだという。本人が「昨夕きめたばかりなので公約もまだ考えていない」などというのに、むつかしい政党間協議が一瞬にして決まったということである。

  しかも、共産党が過去2回支援して次点につけた宇都宮氏をあっさりと見捨てるという非情さ、凡人には考えられない判断だ。宇都宮氏は前回にも細川候補に票を向かせるため降りてもらえないか、という話があったという。

 それに対して、一度会って公約を聞き、政策について合意が見られれば引いてもいいという返事をしたが、先方から公約の詳しい内容の提示がなく、それでは立候補断念の理由が成り立たないので立候補したという。

 今回も昨日、宇都宮・鳥越会談が行われた。宇都宮の方から政策提案書をだしたが、鳥越側の返答がなかったと言われる。つまり同じことが繰り返されていることになり、弁護士会長までやった宇都宮氏が前例と異なる判断をするとは考えられず、共産党以外の支持者も納得しないだろう。

 そうすると、政党間の対立は、自公推薦の元・岩手県知事の増田寛也氏(64)と4党推薦の鳥越氏ということと、党推薦が得られなかった小池氏と宇都宮氏という構図になる。さきほども言った通り、政党間では参院選の安保法案廃止のような与野党の対立軸が見当たらない。

 当選決定の鍵をにぎる浮動票は、今回は政党から逃げる可能性が高い。人気度や顔より実務経験、などという声も聞かれるが、それは増田氏と宇都宮氏に分かれ、誠実という印象では宇都宮氏に向く可能性もある。

 知名度、インパクトからすると、鳥越・小池が互角なのかもしれないが、先出しジャンケンで「都議会冒頭解散」など、巧みに敵を作った小池に人気が集まることも考えられる。反自公票が鳥越でなく小池に行く可能性もあり、直感で女性初の小池有利かなと思う。

【追記】夕食中に「宇都宮氏出馬断念」のニュース。残念!。これで「支持政党なし」層は小池さんに流れることになるでしょう。

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2016年7月11日 (月)

参院選の結果

党  増減 新勢力
――――――――
自民 +6 → 121
民進 -14 → 49
公明 +5 → 25
共産 +3 → 14
お維 +5 → 12
社民 -1 → 2
生活 -1 → 2
こころ 0 → 3
元気 -1 → 2
改革 -1 → 0

 参院選の開票結果は、マスコミの予測どおり。ハプニングはありませんでした。しかしこれで見るとひどい。2けた以上の参院議員を持つ政党でマイナスは民進だけ。しかも減りかたも2けたで、合併効果や野党共闘効果は全くなかったということになります。

▼新古今和歌集
              太政大臣
 浮き沈み来む世はさてもいかぞと
 心に問ひて答へかねぬる

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2016年7月 9日 (土)

投票率72%、前回比-11%

 明日は参院選投票日。よくうかがう「つぶやき古道」さんの記事にヒントをいただき、過去の投票率をちょっと調べて見ました。

72.08% (前回比-11.08%) 男性:78.52% (前回比-4.64%) 
女性:66.97%

 これは1946年(昭和21)4月10日の第22回総選挙、戦後初の国民投票です。女性の「前回比」がないのは、前回までは女性の選挙権がなく、前回比では+66.97%ということになります。また、この回から選挙年齢が25歳以上から20歳以上に引き下げられました。

 ちなみに当選者は、自由110、進歩94、社会93、協同14、共産5.、無所属・諸派119。婦人議員は39人でした。
 
 さて、その前回です。1942年4月30日(昭和17)、太平洋戦争の真っ最中です。前回記事でもちょっと触れましたがいわゆる翼賛選挙です。投票率は83.2%、いつもは投票率の低い東京がなんと86%でした。

 当時、何かというと「非国民」という言葉がはやりました。パーマネントをかけているご婦人は、♪パーマネントはやめましょう、という子供のはやし謡で街から消え、外出姿もスカート、ハイヒールからモンペ、地下足袋に変えないと「非国民」扱い、という時代です。

 この選挙結果は、翼賛政治体制協議会推薦者381人、非推薦者85人で、政権翼賛議員は軽く3分の2を越えました。

 棄権する人は非国民扱い、があったのかもしれません。投票率が高すぎるのも問題ですが、今の日本は他の先進国から見ても低すぎます。今度の選挙は選挙年齢が変わる大きな境目の選挙です。

 投票率がどうなるか気になります。

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2016年7月 6日 (水)

なぜ安倍ではいけないか

 「お国のために尊い命を捧げた軍人に尊崇の念を……」、これが首相靖国神社参拝の常套句である。最近は忘れられているが、中国・韓国、特に中国が参拝を問題化する前から、日本国内で賛否の議論があった。従って、外国がそれを言うのは内政干渉である。現にアメリカは何も言っていない。

 問題は、A級戦犯合祀と、憲法20条の[国の宗教活動の禁止]との関連である。軍事裁判を「国内法上の犯罪者とはしない」という国会決議をもって、犯罪者ではなくなったという、首相参拝支持者の意見があるが、当時、塾頭も「もっともだ」と思っていた。

 戦争に直接責任のあるA級戦犯の主な容疑者は、講和条約前にすでに刑死か病死している。ことの発端はB、C級戦犯だ。上官の命令で捕虜を殺害したなどの罪で服罪し、恩給が受けられないなどのケースがあって、講和条約締結のあと判決を解除したものだ。

 安倍首相は第2次首相就任に当たり、それまでの首相参拝と全く異なる強い意志で参拝を強行した。さきの戦争についての責任を肯定的にとらえ、戦後レジーム、つまり憲法は押しつけ、極東裁判は違法という「日本会議」流の発想のもとに動いているからである。

 戦没者慰霊セレモニーなどほかにいくらでも方法があるし、天皇もそれならば参加できる。塾頭の身内にも戦死者があり、遺族の心のうちを知っている。「お国のために尊い命を捧げた」などとは思っていない。

 「無謀な戦争を起こした政治家や軍部に殺された」と思っている。また、戦後得られた自由・民主主義を育て戦後復興に献身できたのも尊い犠牲者あってのことであり、戦後レジームなどと英語で言われる筋合いはない。戦中戦後を知っている者にとって、脱却するなどもってのほか、人格まで否定されているような気がする。

 もちろん、塾頭と同年代以上で、安倍首相と同じような考えを持つ人はいる。全員がそうかどうかわからないが、そういった人は戦争指導者かその縁者に違いない。

 GHQから、明治憲法に沿った時代錯誤の憲法草案を否定され、結果的にGHQから示されたものに近い案を国会に出さざるを得なかった担当大臣・松本烝治国務相などが、抵抗の及ばなかったことに涙した話は、そのとおりだろう。

 安倍首相の祖父・岸信介は、満州経営を経て東条内閣の閣僚をしていた。終戦時まで革新官僚と言われながら閣僚まで進んだ実績を否定してしまったら、自らの人格まで否定されるような気がすることもわかる。しかし、戦争の前からすべてを体験しているので、何も知らない安倍首相などとは違う。もし存命していれば叱られるようなことも多いのに違いない。

 戦争指導者は、戦犯でなくても軍部、政治、教育、果ては各地方にいた警防団や各所翼賛団体ににまで及ぶ。しかし、そのすべてが敗戦を否定し、GHQを敵視しているわけではない。ただし、公職追放者として指名された人とか、農地解放で土地を取り上げられた大地主の中には、恨み骨髄という人がいるだろうことは想像がつく。

 また、右翼雑誌に毎号顔を出す著名学者も、さすがは歴史家である。「こういう史実がある、考え方、解釈がある」と言っているだけで、すべてが虚構というわけではない。しかし、戦後マルクス主義者や進歩的文化人など言われる人の一部に、歴史の歪曲や、プロパガンダに類する論調が幅を利かせ、日教組や学生などに影響を及ぼした。それに対する反動が起きたということは、言えるだろう。

 安倍首相ではいけないのは、近現代史、ことに明治から昭和前半にかけての歴史認識が希薄であるにもかかわらず、戦前の国家主義的態勢復活を思わせる自民改憲案を持ち出そうとしていることである。

 その重大性は、最近、自民党内や右派的マスコミでさえ、警戒の目を向けるようになった。反面、公明党を含め各党の改憲姿勢には開きがあり、自民党案の実現性は低いという楽観論も流れ始めている。

 さきの戦争は、アメリカの態度に問題があったにしろ、「まさか」というところへ「あれよあれよ」という間に突っ込んでしまったのだ。イギリスの国民投票でも良識派は、EU離脱という選択はあり得ないと楽観していたのではないか。ヒトラーがかつて民主主義の名のもとで、全権委任法という憲法無視の法律を作り、第2次大戦の愚を犯したことを忘れてはならない。

 戦中日本では、政党が「自発的に」解散し「大政翼賛会」を作った。議員3分の2のねらいと似通っている。危機はそこまで来ている。冒頭に掲げた靖国参拝の安倍常套句は、戦前の5・15、2・26といったクーデター計画やテロで死んだ実行犯に対して、国粋主義者が使ってもおかしくないことばである。

 今、安倍ではいけないのである。

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2016年7月 4日 (月)

テロ根絶の責任者

 バングラディシュの首都ダッカで、イスラム過激派のテロにより7人の日本人犠牲者が出た。いずれもJAICA(国際協力機構)による技術協力、有償資金協力の関連業務に携わる人たちで、単なる観光客ではない。

 これまで大規模テロが発生した国を見ると、

A・ISなどへの空爆参加国(フランス、トルコなど)
B・イラク戦争参加国(アメリカ、イギリスなど)
C・旧宗主国または十字軍派遣国(フランス、イギリスなど)
D・内戦等への介入国(アメリカ、ロシアなど)
E・異宗派・異民族の抗争(クルド族、シーア派、アフリカ各地、パレスチナなど)
F・国内抗争(インドネシア、ロシア、パキスタンなど)
G・難民問題や文明の対立等(フランス、ベルギーなど)
H・国内独裁政治への抗議(エジプト、リビアなど)

書いては見たものの、当てずっぽー。今や世界のどこでも、いつでも頻発する現象になってしまった。原因を分類したり発生地を想定するには、何の役にも立たない。ただし、個人によるジハード(聖戦)が教義として位置づけられているイスラム教に関連して起る例が、大部分であることだけは否定できない。

 バングラディシュはイスラムの国だが、こんな事件が起き、日本人が犠牲になることなど想像もできなかった。バングラは比較的温和な人が多く親日的だとされている。今回犠牲になった人たちも、貧困脱却のための基盤整備計画を立てるために派遣されている人たちだった。

断片的にニュースを追ってみると、犯人はコーランを暗誦させてそれができなかった人を殺した、とか、地元のIS支部の犯行声明なるものに、十字軍・イタリヤ人を殺したと書いてはあるかが、日本人には触れていないとある。

 また、犯人にはロシア、チェンチェン出身者や中国、ウイグル自治区出身者がいるとかいう情報が当初あったが、今日は、バングラ出身の学生によるいわゆるホームグロウン・テロという報道がふえた。しかし本当のところはわからない。

 反政府勢力は勢力の誇示に、政権側はそれを弾圧口実とするのに都合がいいからだ。いずれにしても、ISの中心であるアラブ人とはやや趣を異にする。これまで起きた同国内のテロ事件は、権力の激しい弾圧に対抗して、政治的に対立する勢力狙い撃ちにして暗殺するなどの傾向があったようだ。

 そうすると、権力側に援助を働きかける日本は敵、と言う見方も成り立つ。そういった議論の中で、今日も136人の死者を出すテロが報じられている。イラクのバグダッドでシーア派住民が狙われたらしいが、犠牲者の数はダッカと一けた違う。しかし、新聞は国際面で小さく扱うだけだ。

 発生場所や被害者、そしてその目的がどうあろうと、世界は協力してこういったテロを根絶しなければならない。同時に貧困や、宗教・人種・性別その他、あらゆる不公正の存在を断ち切らなければならないことも急務である。

 このところ、世界の先進国にそれに逆行する傾向が駆け巡っている。この喫緊の課題を誰が先導するのだろうか。集団的自衛権とは関係なしに、日本国民の安全が現に脅かされているにもかかわらずまるで他人ごと扱いだ。

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2016年7月 2日 (土)

案山子になった神

 先月の21日と前回に続いて、日本神話に登場する神様の話である。その名は「久延毘古=クエビコ」である。クエは崩えの漢字が当てられ、その神には片足がない。最初に書いた「ひるこ」も、蛭のように骨がない障害を持つ神であった。

 「♪山田の中の一本足の案山子……」がそれにあたる神らしい。出雲神話で草の実の殻の船に乗ってやってきた小さな神がいた。その名を誰も知らない。ヒキガエルが「クエビコなら知っているはずです」とヒントを言う。クエビコは、「カミムスビノカミの子、スクナビコノカミでしょう」と答えたのでその名がわかった。

 この神も、ひるこ神が海の幸をもたらしたように、穀物や酒をの普及に貢献し、大国主神と協力して国づくりをしたとされる。なぜ山田なのか、門田や下田ではないのか、それは「山からくる鳥獣を追うため」という。今話題の「熊」は案山子では防げないのだろうか?。

 Dscf2850今どきの鳥獣は賢いので案山子ではだまされない。対応は、インター・ネットしかないようだ。⇒

 なお、『沙石集』には、こんな民話がある。

 又百足(ムカデ)ト、山神ト、蛇ト知音ニテ、山ニスミケルガ、百足ガ山神ニ云ク「我ハ足百アレドモ、アマレリトモ不覚(おぼえず)。汝、足一ニテハ、争(いかで)カタヤスクアルカン。九十九ノ足ヲツクルベシ」ト云。山神ノ云ク、「我ハ足一ヲドリアリクニ不足ナシ。汝ガ九十九ノ足切ステヨ」ト云。蛇ノ云ク、「我ハ一モナク、百モナク、ケレドモ、腹ヲモテ、アリクニ事カケズ。百モ一モ捨ヨ」ト云フ。

 天照大神とか、天孫降臨とか、神武東遷、そして万世一系などという国粋神話だけでなく、こんな話にも関心を持てば、日本民族の多様性や、ふところの広さに思いを馳せることができるはずなのだが……。

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2016年7月 1日 (金)

熊を祀る神社

 先月21日は、日本神話でいざなぎ、いざなみ両神の第1子、「ひるこ」が海に流されるという児童虐待まがいの話にはじまり、その後海から拾われ、「えびす1として受けいれられ、各地の神社で人びとに愛されたという話をした。

 昨近多いのが、各地のクマ出没ニュースである。熊は『古事記』に「天熊大人命」などの名で現れるが、やはりこれらに関連する神社が、下記の通り各地にある。(『古事記は本書紀に出てくる謎の神々』新人物文庫)

 出雲国意宇郡、紀伊国牟婁郡、因幡国高草郡、近江国蒲生郡、そして、下の写真が下総国岡田郡(茨城県)の桑原神社である。別に、クマに出会って「くわばら、くわばら」というわけでも、クマに襲われないという御利益があるというわけでもなさそうだ。

200601011

 神の使いとして食料を見つけたり集めたり、また生糸のまゆを作るカイコを持ってきたりする有益の神で、人を襲うことには縁がなさそうである。しかし、桑原神社は何となくクマが出てきそうな雰囲気……。

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