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2016年6月26日 (日)

大英帝国の夢

 イギリスのEU離脱を決めた国民投票について、かつて海外に雄飛した英国の誇りをよそに、EUが政策を決めてしまう現状にいらだちを感ずる高年層が離脱を選択させた、という記事がいくつかある。

 高年層と言っても、日本でいう「戦争を知らない世代」、つまり安倍首相の世代は、すでにこれに含まれている。第2次世界大戦で、英仏露はたしかにドイツ・イタリアの枢軸国に勝った。日本は、主にアメリカに負けた。

 英仏などは、戦争に勝ってもアジア、からインドを経てアラビア、アフリカに及ぶ膨大な植民地を失った。日本も中華民国に負けたわけではないが、満州、台湾を失い、朝鮮は南北2分して独立した。

 勝ったアメリカは、太平洋の信託統治諸島をのぞき寸土も得ていないが、ロシアはソ連崩壊により多くの同盟国を失った。日本の北方領土は、占領したままロシア領にした世界的な例外だ。 

 同じ「戦争を知らない世代」といっても、上記各国のさきの大戦に対する印象は、日本と全く違うし、「知っている」世代にしても同じではない。戦争に勝っても植民地の大半を失い、「大英帝国」の衰退を止めることはできなかった。

 世界の「民族自決」の潮流は止めようもなかった。今度のEU離脱も「民族自決」を指向するもので、大英帝国復活の夢とは全く矛盾する。大英帝国の名残を残していたニュージーランドの国旗の左上にあるユニオンジャックは、すでに変更が検討されていた。オーストラリアでも同じ機運にあり、いずれは消えてしまう運命だ。

 第一、ユニオンジャック自体が危機にあるのだ。EU離脱に反対が強いスコットランド地方がこれを機に2度目の独立住民投票を行い、これが決定すれば、イングランド旗との組み合わせでできている国旗の変更を迫られる。そうすれば、もう大英帝国どころか、分散小国家群に過ぎなくなる。

 イギリスの高年層がそんなことを承知の上で投票したとは、どうしても思えないのだ。

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コメント

EUという機構自体が、どれほど生活に根差してしまっていたかを国民そのものに実感が無かったのでしょう。
実感としては有ったのは、移民の流入が止まらないという負の実感だけだったのでしょうね。

日本と同じように島国国家の‘国民性’なのかもしれません。

投稿: 玉井人ひろた | 2016年6月26日 (日) 22時07分

海賊と言えば言い過ぎですが、もともとアメリカをはじめ外国へ押しかけていって築いたのが大英帝国です。

投稿: ましま | 2016年6月27日 (月) 13時41分

EUを中国に置き換えれば、離脱するにせよ、離脱しないにせよ、最終判断は、2年後をめどに、イギリスが自ら解決すべき課題であるということで、この2年後に、改めて判断することを、合理的推論に基づく具体的目標に置くことで、そのための猶予期間として協議をしていくことにすれば、もうこれだけで構わないのではないでしょうか。

アメリカにしてみれば、どちらを選択しても、何のデメリットもないのであれば、イギリスにとっても、EUにとっても、これ以上に失うものは何もないのだということで割り切って、2年後の最終判断により、イギリスにとってのメリットんみなるばかりでなく、EU全体にとってのメリットにもなり、アメリカにとってのメリットにも繋がるのならば、願ってもないことだし、日本にとっても、これをロールモデルとするならば、今度はドイツを見習って、それこそアメリカと中国を相手にしたビスマルク外交というのを、ロールモデルとして、韓国がフランスをロールモデルとするならば、これを北朝鮮に対しても、ロールモデルとして示していくことで、南北統一の実現に繋がり、韓国や北朝鮮にとってのメリットになるばかりでなく、アメリカにとってのメリットにもなり、中国にとってのメリットにもなり、日本にとってのメリットにもなればこそ、これほど素晴らしいことはどこにもないのではないですか?

投稿: asa | 2016年6月28日 (火) 21時04分

 ヘーゲル、カント、マックスウエーバー、マキアベリの時代の人の方が現在よりよほどマシな議論をしています。

 ヨーロッパ(だけではないが)は、どこまで落ち込むのでしょうか。

投稿: ましま | 2016年6月28日 (火) 21時26分

ヘーゲル、カント、マックスウエーバー、マキアベリの時代の人の方が現在よりよほどマシな議論をしています。

確かにその通りのことかもしれませんが、むしろもしかすると、新自由主義と言っておきながら、一部の権力者が、自ら劣化しているのをごまかそうとしているを勘違いして、自爆テロを引き起こす連中もまた、単なる跳ね返りに過ぎないだけのことであり、この両者こそが、人類の劣化とまでは言わないまでも、人類の進化を阻害し、自らが生きて行けなくなるのではないかという不安や葛藤が、結局のところは、自分で自分の首を絞めているに等しいのではないかとも見受けられ、この両者だけが、歴史の闇の中に、どんどん涙を流し続けながら、歴史の闇の中に葬り捨てられて、共倒れすることで、人類の進化に繋がっていくならば、反って願ってもないことかも知れませんね。

投稿: asa | 2016年6月28日 (火) 21時41分

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