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2016年6月12日 (日)

戦争仕掛人②

 太平洋戦争突入直前、日本はなぜかドイツ・イタリアというファシズムの国と三国同盟を結んだ。戦後はファシズムこそ悲惨な戦争をもたらした元凶であるかのように言われた。前回はそのファシズムの定義を書いた。

 定義は「合理的な思想体系を持たず、もっぱら感情に訴えて国粋的思想を宣伝する。」でしめくくられている。なんのことはない。アメリカのトランプ現象、日本の安倍一強体制、中国の新覇権主義などと違わないではないか、ということになる。

 最後のとりでが「議会制民主主義」か、と思ったが、ファシズムを生んだ西欧史をひも解くと、議会も民主主義も古代ギリシャにその端を発している。その後ヨーロッパはキリスト教勢力に覆われるが、めまぐるしい宗教戦争にさらされ安定した国家が現れない。

 政体も、17世紀には帝国・王国・公国・共和国などさまざまで、議会があって王様を追放した、などの話もある。18世紀後半に入ると、フランスの哲学者ジャン=ジャック·ルソーは『社会契約論』で民主的投票で支配力を手にするのは多数意見を支持した者に限られ、反対した少数者は自由を失う、と喝破した。

 しかし、18世紀後半には、政体の如何を問わず「民主主義」の概念はヨーロッパに定着する。明治維新前夜に「西洋では入り札(投票)でものごとを決する」という日本人の観察がある。20世紀になって『現代議会主義の精神的状況』(樋口陽一訳)はこういう。

 民主主義的に組織化されたさまざまの国民あるいは社会的、経済的集団はは、抽象的にのみ、同じく「国民」とよばれる。具体的には、大衆は、社会学的および心理学的に異質である。民主主義は、軍国主義的でも、平和主義的でもありうるし、進歩的でも反動的でも、絶対主義的でも自由主義的でも、集権的でも分権的でもありうる。そうしてさらに、すべてはさまざまらの時期ごとにさまざまであり、だからといって民主主義であることをやめるわけではない。

 シュミットは、ナチスに迎合するようになるが、日本国憲法が参考にしたといわれるワイマール憲法のもとて、なぜヒトラーが権力を握ったか、そして壊滅の運命をたどったか、麻生さんではないが、深く研究をするべき材料だ。

 上述のように、シュミットは、「国民」と「大衆」を分けている。大衆は「安保法制化」に反対しているが「国民」は賛成している。日本国憲法には「国民」という言葉はあるが、「人民」または「大衆」という言葉はない。

 そのような詭弁がこれから使われないとは限らない。「自由」は多数決で奪うものではない。民主主義とは少数意見を尊重することから支持されている。ことに「基本的人権」は、3分の2の多数をもっても奪われてはならない。

 さきの戦争で自由を奪われ、多数の犠牲者を生んで獲得した憲法を活かすためには何が必要か。まず、参院選で安倍自民を大衆の手で敗退させることが第一である。

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コメント

投票日は7月10日のようですが、直ぐですね

投稿: 玉井人ひろた | 2016年6月12日 (日) 22時50分

アメリカ・イギリス(EU脱退)・日本、いずれもコモンセンスが問われることになります。

投稿: ましま | 2016年6月13日 (月) 13時28分

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