« 梅雨の晴れ間・紫陽花 | トップページ | 「ひるこ」と「えべす」 »

2016年6月20日 (月)

試される米英流民主主義

 当塾では6月9日から「戦争仕掛人」を3回のシリーズに分けて掲載した。その趣旨は、王制・共和制など政体の如何を問わず、「民主主義」で戦争を防げないというものである。そして、公然と人種差別発言をする米共和党トランプ候補や、安倍政権の違憲のおそれのある立法を強行採決するなどの傾向について、「議会制民主主義さえあれば」、という楽観論に警鐘を鳴らしたかったからだ。

 シリーズ最後の回で、ヒトラーが自著『わが闘争』で言っていることをそのまま紹介した。その頃と現代では、どこが決定的に違うのか?。自信をもって答えられる人は果たしてどれだけいるだろうか。

民主主義のこの発明は、最近になって真の恥辱にまで発展した特性、すなわちわれわれのいわゆる「指導者たち」の大部分の卑怯な特性に、最もぴったりと応ずるのだ。いくつかの重要なことをすべて実際に決定するばあいに、いわゆる大多数というスカートの影にかくれることができるのは、なんと幸福なことだろう。(中略)

 実際、一つだけ決して忘れてはならないことがある。すなわち多数は、このばあい、決して一人の人間の代理ができない、ということである。多数はいつも愚鈍の代表であるばかりでなく、卑怯の代表でもある。百人のバカものからは一人の賢人も生まれないが、同様に百人の卑怯ものからは、一つの豪胆な決断もでてこない。

 以上を記事にして間をおかず発生したのが、アメリカ・フロリダ州の銃乱射・大量殺傷事件、そしてイギリスでは、EU脱退に反対する女性労働党議員の暗殺発生である。その国民投票が今週23日に実施される。

 アメリカのオバマ懸案の銃規制は、大統領選を前に、トランプ発言で過激化する共和党支持者との間で大激突となる。双方とも五分五分の形勢で、ちょっとしたはずみで、国の将来を左右しかねないような決定が民主主義の名の下で決められる。

 EUそもそもの発端は、1948に第2次世界大戦でイギリスの首相を務めたチャーチルがチューリッヒ大学で行った演説が引き金となり、誘導された。(小屋修一『欧州連合論』所載)

 『われわれが生きているこの時代に、平和を破壊し、人類の全ての未来に暗影を投じることになったあの恐るべき「民族の戦い」を二度も戦ったのは、この欧州においてであった。だが、欧州がこの不幸をいやすひとつの薬を用いるなら局面は一変し、欧州を短期間で今日のスイスのように、自由にして幸せな地に変容せしめ得る、そんな薬が存在する。その特効薬とは何か?それは欧州の家族を平和にかつ安全に生活させることができるように、再編成することである。つまり、一種の「欧州合衆国」を建設することである』

 また、第一次大戦で「戦争をなくするための戦争」という名目のもとで参戦したアメリカは、戦後の平和秩序維持のため大統領・ウイルソンが情熱を傾け、平和条約をリードした。そして、世界平和をめざして国際連盟規約の採択にこぎつけた。

 ウイルソンはこれでノーベル賞を獲得したが、上院の批准拒否によってアメリカ自体が不参加という、なにかオバマの核廃絶宣言と似た現象があった。しかし、この時期、ワシントンの軍縮会議、アメリカケロッグ国務長官の提唱で国際条約として「不戦条約」が結ばれるなど、平和はアメリカがリードするという意気込みが感じられる。

 これから投票を迎える英米両国民は、こういった過去の歴史を築いてきた指導者の存在を忘れないでほしい。日本でも、民主主義を有効なものにするためには、政治家の学歴や知名度、人気、言動ではなく、その資質、誠意を見極めることがいかに大切かということを、今度の舛添知事問題でつぶさに学んだはずだ。

 来るべき参院選・知事選にはこれを活かし、声を上げるしかない。

|

« 梅雨の晴れ間・紫陽花 | トップページ | 「ひるこ」と「えべす」 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

そのトランプ氏がわを押す、“あの”銃所持肯定団体が、条件付きで「銃規制」を言いだし始めたことがアメリカでは話題になっています。

政治も政治家も、‘当選するためには何でもあり’というのは世界共通のようです。

投稿: 玉井人ひろた | 2016年6月20日 (月) 17時47分

「マシンガン、〇日限り▽%OFF」なんていう広告チラシをアメリカで目にしました。
まるでスーパーの特売なみの扱いです。
ドーなってんだろう、という感じでした。

投稿: ましま | 2016年6月20日 (月) 20時02分

>多数はいつも愚鈍の代表であるばかりでなく、卑怯の代表でもある。百人のバカものからは一人の賢人も生まれないが、同様に百人の卑怯ものからは、一つの豪胆な決断もでてこない。

すごいことをいいますね。ヒトラーさんも。
ある意味、そうかもしれないなあと思わせるところがまた・・・汗
でも、悪人中の悪人、馬鹿の中の馬鹿である、ヒトラーには言われたくない。
最後の「ヒトラー」という名を、「トランプ」とか、「プーチン」とか「習近平」とか「安●」に変えていいましょう。

投稿: 金木犀 | 2016年6月26日 (日) 22時56分

金木犀 さま
メルケルさんをはじめ、どうしてナチス全盛を招いたかをよく勉強し認識している人が、しっかりと国をりードしているドイツに期待したい。

そういう政治家を鉦や太鼓で探してもいないような時代にはしたくないです。

投稿: ましま | 2016年6月27日 (月) 12時43分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/66113345

この記事へのトラックバック一覧です: 試される米英流民主主義:

« 梅雨の晴れ間・紫陽花 | トップページ | 「ひるこ」と「えべす」 »